どもです。本日の800字!
ルクミリで14巻ネタです。死ネタ注意…
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魔族から受けた傷に毒があった。そして、すぐに適切な解毒の処置を受けられなかった。……それだけ。たったそれだけで、私の命はもう長くはないだろうと分かってしまった。
徐々に力が失われていく身体。目が霞み、思考がぼやける。ずっと、水際で溺れかけているように苦しい呼吸を、しかし今やめてしまったらそれきり、私は目覚める事はないだろう。――だから、まだ。あと少しだけ。
「……ミリーナ……、ッ」
噛みしめすぎて唇から血を流すルークの、その私を呼ぶ声に応えるまでは。
「ルー……ク」
なんとか吐き出した声は、思った以上に弱々しく響く。それに、私の手を握るルークの手にぐっと力が籠った。温かい。まだ、私はルークの体温を感じていられる。
「人を嫌いにならないで」
どうか。どうか私の為に世界を、人を呪わないで。私の事など忘れてしまっても構わないから。
必死に私の手を握る、その顔がまるで途方に暮れ、今にも泣き出しそうな幼子のようで。どうして私は今、彼に手を伸ばす事すら、微笑んであげる事すらできないのか。
――笑って欲しい。最期に一番欲しいのは、いつも私にめいっぱいの言葉を、気持ちを伝えてくれた彼の笑顔。……ああ、そうか。こんな死の間際に、私が求めるのはルークの安らぎだったのか。
それに気が付くのがこんなに遅くなるなんて。最後の最後まで。私は、本当に不器用だ。
――ルーク、ごめんなさい。……本当にありがとう。
唇だけ動かして、伝えたかった言葉はついぞ声に乗せる事は出来なかった。
徐々に力が失われていく身体。目が霞み、思考がぼやける。ずっと、水際で溺れかけているように苦しい呼吸を、しかし今やめてしまったらそれきり、私は目覚める事はないだろう。――だから、まだ。あと少しだけ。
「……ミリーナ……、ッ」
噛みしめすぎて唇から血を流すルークの、その私を呼ぶ声に応えるまでは。
「ルー……ク」
なんとか吐き出した声は、思った以上に弱々しく響く。それに、私の手を握るルークの手にぐっと力が籠った。温かい。まだ、私はルークの体温を感じていられる。
「人を嫌いにならないで」
どうか。どうか私の為に世界を、人を呪わないで。私の事など忘れてしまっても構わないから。
必死に私の手を握る、その顔がまるで途方に暮れ、今にも泣き出しそうな幼子のようで。どうして私は今、彼に手を伸ばす事すら、微笑んであげる事すらできないのか。
――笑って欲しい。最期に一番欲しいのは、いつも私にめいっぱいの言葉を、気持ちを伝えてくれた彼の笑顔。……ああ、そうか。こんな死の間際に、私が求めるのはルークの安らぎだったのか。
それに気が付くのがこんなに遅くなるなんて。最後の最後まで。私は、本当に不器用だ。
――ルーク、ごめんなさい。……本当にありがとう。
唇だけ動かして、伝えたかった言葉はついぞ声に乗せる事は出来なかった。
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