ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

とある夜の狂騒。(四人組)

2015-09-05 20:23:25 | スレイヤーズ二次創作
リクエスト消化第三弾!
というわけで、今回は普段twitterでお世話になっているmeiさんからのリクエストです♪
「わちゃわちゃ四人組。出来ればちょいガウリナ」という四人組SSリクを頂きました…!素敵なリクエストありがとうございます^^*

そんなわけで頑張ってみました~。こんな感じでいかがでしょうか??
※NEXT時空で、キャラは皆アニメ風。皆はっちゃけてます。うっすら?ガウリナ要素もあり。

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「一部屋しか空いてないですってえ!?」
 大声で叫んだあたしの剣幕に、宿のおっちゃんはちょっと困った顔をした。
「すまないねえ。昨日から団体さんが部屋をいっぱい借りてて、今空いてるのが二階の一室しかないんだよ……」
 異界黙示録の写本を探してさすらう旅を続けて何日経ったか。しばらく野宿を続けていたあたしたちは、やっとのことで小さな村に辿り着いた。やっとふかふかのベッドで眠れる! そう考えていたあたしだったが、しかし現実は無情だった。

「でもこの村で宿ってここしか無いんでしょ? 一人以外は野宿しろって言うわけ!?」
 振り返れば、正義の王女アメリアは何か言いたげな顔をして立っており、ゼルガディス君はフードを深く被って他人のフリ。相棒ガウリイは、相変わらず能天気な顔でぼーっとしている。
 ――ガウリイ。そのうち脳が溶けるぞ。

「いやいやいや……その、一室とは言っても結構大きい部屋だから……四人くらいは」
「でも一室なんでしょ?」
 ジト目で言い返すあたしに、おっちゃんはうっと詰まって、目を泳がせる。
「……部屋代はまけとくから」
 ぴくり。
『まける』という単語に、あたしの中の何かが目覚める。
「――いくら?」
「ええっと、7割くらいにまけるというのは……」
「半額」
「え」
「は・ん・が・く、でどうかしら? おっちゃん」
 あたしの笑顔の裏にある何を読み取ったのか、おっちゃんは何も言わずにこくこく頷いた。
 ――それでよろしい。
「それじゃ、交渉成立ね!」
 にっこりと笑って仲間を振り返ると、誰もが微妙な顔で立っていた。
 ――……なによ。

***

「ほええー、ほんとに結構大きな部屋じゃないですか!」
 ドアを開けて部屋に入ったアメリアは、きょろきょろと部屋中を見回して叫ぶ。
 確かに、部屋はそれなりに広かった。
 部屋の真ん中を陣取るベッドは、詰めれば二人くらい並んで寝られそうな大きさ。革張りのソファは、少し小さいが座り心地がなかなかよろしい。
 質素ではあるが清潔で落ち着いた部屋。それがこの部屋の印象だった。
 確かにこの部屋なら、四人で一泊するくらいは問題なさそうだ。
 ――とは言っても……。
「んでも、男女一緒ってえのはねえ……?」
 言って、あたしは部屋の隅に立つ男二人にちらりと目をやった。そんなあたしにガウリイは苦笑し、ゼルガディスは眉間に皺を寄せる。
「……俺は野宿で構わん」
 そう言って部屋を出て行こうとするゼルを、アメリアが慌てて引き留めた。彼のマントを両手で掴み、ぐっと踏ん張る。
「だ、だめですよおおっ!! 皆でわいわいお泊りしましょーよおーっ!!」
「……は?」
 彼女の予想外の台詞に、その場の全員が目を丸くした。

「アメリア……もしかしてこの状況、楽しんでる?」
 ジト目でツッコミを入れたあたしに、アメリアはうっと詰まる。
「うっ、だ、だって、こういうのってなかなか無いじゃないですかーっ! 皆で一緒に寝るとかーっ!」
「そんなの野宿でいつもやってるじゃないの」
「野外とお部屋は全然違いますーっ!」
 拳を振り上げてじたじたするアメリアである。――お子様。
「……まあまあ、たまには良いじゃないかこーいうのも。な?」
 フォローを入れるガウリイに、アメリアはさっと目を輝かせた。目の中に星が見える。ついでにお尻にぶんぶん揺れる尻尾が見える。
「さっすがガウリイさん! 良い事言うーっ!」
 それからこちらに向けられる、期待のこもった視線。上目づかいが、正直悔しいがぷりてぃ。

「……もー。しょーがないわねー」
 やれやれ、と肩を竦めて笑った。なんというか、こういう時のアメリアには、敵わない。
「……」
 それは隣のゼルガディス君も同じようで。
 彼は黙ってフードを頭からおろし、マントを肩から外したのだった。

***

 夜。
 ご飯をたっぷり食べて、ちゃんとお風呂に浸かって。久しぶりに宿というものを満喫したあたしたちである。そして今はふかふかベッドの上。
 正直に言って眠い。眠いったら眠い。
 ――しかし。
 正義の熱血王女様は、何故かそうではないようだった。

「リナさーん、ほら次ですよーっ」
 あたしの持つカードをつつきながらそう言うアメリア。その目は、夜中だと言うのに爛々と輝いていたりする。
 ……どーいうわけか、あたしたちはこの村に昔から伝わるらしいカードゲームに、ここ数時間程興じているのだった。
 ――何が悲しくて四人で丸まってカードゲームなんぞしなくちゃならんのだっ! しかもふかふかべっどの上で……。
「ふわあっ、く……」
 欠伸を噛み殺しつつ、適当にカードを切る。すると、とさり、と音を立てて右肩に重みが掛った。その急な重みと、首のあたりに触れた高い温度にびくりとする。
「んひゃわっ……って、ガウリイ何寝てんのよっ!」
 彼は、器用な事に手元のカードをきっちり隠したまま眠りこけていた。
「んんー?」
 肩で小突いてやると、寝ぼけた声を上げながらあたしの肩から頭を持ち上げるガウリイ。そのいつにも増して緩んだ表情。
 ……今敵が来たら一発でやられそう。

「もー、ガウリイさんてば。仕方ないですねえ……じゃあ次、ゼルガディスさんで」
 呆れたように肩を竦めて、今度はゼルに笑いかけるアメリア。そんなアメリアのきらきらした笑顔に、ぼふんと音を立てて柔らか枕がめり込んだ。
 ――!?
「何がじゃあ次、だ。寝ろ!!!」
「わぶっ!?」
 勢いでそのままベッドに仰向けで倒れ込むアメリア。ふかふかベッドが小さく揺れる。
「……ぜ、ゼルちゃーん?」
 恐る恐る呼びかけてみると、アメリアに枕を投げつけた張本人はそのままゆらり、と立ちあがった。背景にどす黒いオーラを漂わせて。
「もう嫌だ。寝る。俺は寝る……!」
 ぶつぶつ言いながら、近くのソファの上に横になって背中を丸める。
 ――あ、ずるい!
「何するんですかゼルガディスさーん! って、ああっ! なんで寝ちゃうんですかああっ!?」
 起き上がったアメリアがそんな彼の元へ慌てて駆け寄るが、ゼルガディスは動かない。
「……うるさい。お前もさっさと寝ろ」
「そんなあ! もっと色々しましょーよ! 本音トークとか、熱い正義への想いを夜通し語りあうとか……!」   
 ――そんな事しようと思ってたのか、アメリア……。
 いや、寝ろよ。

 やれやれ、と頭を振ってあたしも立ちあがろうとして、失敗した。ぐい、と太い腕で引き寄せられてバランスを崩す。
「!?」
 慌てて隣を見れば、あたしを抱き枕よろしくホールドしているのは、完全に寝ぼけているガウリイ君その人である。
「ちょ、が、ガウリイっ!?」
「むにゃ……リナあ……」
 だめだこりゃ。
 一体どんな夢を見ているのやら。ぎゅうぎゅう抱きしめられて、あたしは真っ赤になってじたばた暴れるものの、自称保護者はびくともしない。
「……ちょ、ちょっとガウリイどこ触ってんのよ!?」
「んんー?? ……ぐう」
「だあああもうっ!!」
「ぜーるーがーでぃーすーさあああん」
「だあああうるさいっ!!隣の客にめーわくだろーがっ!!!?」
 ソファでは、いまだに寝かせてもらえないゼルと寝かせる気が全くないアメリア。
 騒がしい事この上ない。
 ……むしろ、ゼルガディス君が一番うるさかったりしなくもない。

「リナ……」
 そんな中。不意に耳元で名前を呼ばれて、あたしはどきりとした。
 ――えっ?
 彼の腕を振りほどこうとするのを、思わず止めて耳をそばだててしまう。相変わらず目を閉じて寝息を立てているガウリイが、次に何を言うのか。
「……リナ」
 ――……なによ。
「もー食えない」
「……」
 …………ぷちっ。
 その瞬間、あたしの中で何かがキレた。

「寝るなーっ! 起きろ―っ! ゼルガディスさーん!」
「寝ろ! 今すぐ寝ろーっ!! すぐさま寝ろーっ!!」
「……むにゃ、んん」
「…………『眠り』(スリーピング)!!」
   
 ――あたしの呪文が部屋中に響く。
 瞬間、アメリアの駄々をこねる声も、ゼルガディスの叫び声も、ついでにガウリイの寝言もストップする。
 がくん。どさっ。そして人がその場に倒れる鈍い音。
 ……それからようやく、部屋は静かになった。
「ハァ」
 脱力して、あたしはベッドの上でがっくりと肩を落とす。
 やっと、この良く分からない狂騒が収まったようで、ほっとしたような凄く疲れたような……。
 ソファの上でアメリアとゼルが折り重なって寝てたりするけど、まあ、それは見なかったことにしよう。うん。あたしは悪くない。
 ……とりあえず、差し当たっての問題は。
「この馬鹿くらげ、どうやったら離れるのよーっ!?」
 相変わらず抱き枕よろしく抱きつかれたままのあたしは、軽く絶望しながらその夜最後の叫び声を上げるのだった。


 次の日、呪文のせいで誰も起きない皆の代わりに、宿のおっちゃんの苦情をあたし一人で受けるハメになったのは、不幸以外の何ものでもない。


おしまい☆
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すいません調子乗りましたーっ!!!(ジャンピンぐ土下座
わちゃわちゃ四人、と聞いて凄く嬉しくて頑張ってみたんですが、良く分からない展開になってしまいました。こんな感じで良かったのですかね……??とりあえずアメリアのキャラがおかしい。アニメ設定だから、ということで許して貰えると嬉しいです。

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