以前から触れているように、
私の、自転車での畑行きには、
必ず、ある川の土手を通るのだが......。
ここに、いつも見かける一匹の犬がいる。
畑では、気温が下がるごとに、野菜が甘味を増してゆきます。
いや、正確にいえば、
飼い主さんに連れられ散歩している犬は他にもたくさんいるのだが、
私が今言っている犬は、もれなく、ほとんどといっていいほどいつもそこにいて......
道行く人の微笑を誘っているのだ。
獲れたてほうれん草と摘みたてルッコラでサラダ。
ドレッシングは、醤油、酢、自作のゆずジャムを合わせたもの。
仕上げにオリーブオイルをふりかけて。
小さな小さなおばさんに連れられている、
その大きな大きな秋田犬は......
風貌から見るに、きっと老犬なのだと思うが、
彼は、きっと、ずっとずっと子どもの頃からそうなのであろうと想像出来るほどに、
おっとりと、おとなしい。
間引いた大根を葉と共に細かく刻んで炒めて、
醤油、砂糖、自家製ダシ粉で味つけ。
炊き上がったご飯に酢・ゴマと共に混ぜ、おにぎりに。
ときには、小さな犬たちが寄ってくるのをただ優しく見つめ、
ときには、おばさんと座り込んではおやつを貰い、
また、あるときには水を飲ませてもらい、長い時間を土手で過ごす。
毛の生え変わる時期には、頭のてっぺんからしっぽの先まで、
それは丁寧にブラシをかけてもらい、
ときには思い切り、頭の毛を逆に梳かされてたりするけれど、
それでも彼は微動だにせず、ただただ、優しい目で遠くを見つめているのだ。
じっくりコトコト煮込んだ大根とこんにゃくで、ゆず味噌田楽。
こちらも、自作のゆずジャムが大活躍。
味噌・みりん・ゆずジャム・少量のダシを混ぜるだけのゆず味噌は、
簡単美味しい、冬の味覚。
あの体の大きさなら、リードを持つおばさんをひっぱることも、
散歩中に寄って来ては、はしゃぎ過ぎる小型犬を一喝することも可能だろうが、
彼は決してそうせず、ただ座って、
その大きな背中のシルエットで、人々に語りかける。
「ぼくは満ち足りている」
「強さとは、優しさなんだよ」
「お母さん(おばさん)とぼくは、ずっと一緒だ」
......と。
留学先のスイスから一時帰国中の、
16歳のゴンザのガールフレンド(笑)から、
おみやげ、いただきました♪
彼の優しさは、まごうことなく、
あの、小さな小さなおばさんの、深い愛情に支えられているのだ。
だからこそ、彼らはいつも寄り添い、
どちらからともなく一層歩調を緩め......
出来る限り、共に過ごす時間を引き伸ばそうと、
さらにゆっくり歩むのだろう。
そして、彼女のお父さんからお花を。
またまた部屋中いい香り~♪
彼らの穏やかな背中を見るたび、私は祈る。
どうかどうか、あの二人のこの時間が、これからもずっと続きますようにと。
自転車で、追い抜きながら、背中で強く。