まだ静かな、ソレントの港。
この日の目的地はカプリ島。
二人で身振り手振り。
イタリアに、『青の洞窟』という場所があると知ったのは、
いくつの頃だったろう?
あれは、パスタのCMだったか、
それとも新聞広告で見た、小さな写真だったか。
いずれにしても、それは、私には、縁遠い場所だと思っていた。
島に着いたら、こんな船に乗り。
いざ出発!
まさか実際訪れる日が来るとは...
夢にも思っていなかった。
突然決まったイタリア旅行。
そして、ソレントへ着いてから決めたカプリ行き。
切り立った島の端を回り込み。
洞窟の前で、奥に見えるような、さらに小さな船に乗り換え。
Tたちはその日、ビーチで過ごすというので、
夕食を共にする約束だけして、
「じゃあ私たちはカプリに行ってくる!」と。
高速船で20分。
たったそれだけで、あっけなく、あのカプリに着く。
『青の洞窟』にも行こうと決めたのは、
カプリ行きの船の中でだったが、
二人だけで、言葉もわからず、はたしてどうすればそこへ行けるのか、
それは、そこへ着くまで、わからないままでもあった。
けれど...
心配は要らず。
カプリの港では、客引きと見られるイタリア人が、
「アオノドークツー!アオノドークツー!」と、声をあげている(笑)
船頭さんの足元に身を横たえ、こんな風に入ってゆきます。
「あそこの窓口でいいのかな?」
何より早いのは、商売したい側と、
金を払ってそれを利用したい側の話である。
私たちは、身振り手振りで、二人分のチケットを手に入れ、
やはり身振り手振りで、洞窟行きの船へたどり着き、乗り込んだ。
しかし、なんでも事前に聞いた話では、
青の洞窟に入るには、なかなかに運も大切なのだそうだ。
少しでも波が高ければ、
入口前まで行っててもアウト、ということもあるというし、
中には、4回訪れて、4回とも入れなかった人もいるという。
私は何しろ、史上最強の雨女でもあるし(笑)
だからそれほど期待してはいなかった。
...けれど、びっくり。
「洞窟前に着いても、長ければ数時間、船の上で待つ」といわれる場所で、
私たちは10分も待たず、洞窟に入るための小舟に乗り換えることが出来、
すんなりと中へ進むことが出来たのである。
「ウシロミテー!」
見た!肉眼以外では、とても伝わらない青。
船底に身を横たえ、入口をくぐり抜けたのち。
若い船頭のたどたどしい日本語に、身を起こして振り返れば...
その瞬間を果たして、どう表現したらいいのか。
ただ、肉眼でしか、伝わらない色もある、と。
入口前で、事前に私が握らせた、たっぷりのチップのおかげで(笑)
私たちが乗った小舟は船頭の兄ちゃんの大サービスを受け、
他のどの船より長いこと、洞窟内にいることが出来た。
何より早いのは、商売をしたい側と、
金を払ってそれを利用したい側の話である(笑)
それと、「ありがとう」の言葉。
青の洞窟は、午前中が一番綺麗らしい。
イタリアへ着き、Tが最初に教えてくれたのは、
「グラーッツェ!」と言われたら、「プレーゴ!」と返せ、ということだった。
こちらが「グラーッツェ」なら、向こうは「プレーゴ」。
面白いことに、相手がどれだけ無愛想でニコリともしない人物でも、
イタリア滞在中、こちらのグラーッツェにプレーゴと返さない人間は一人もいなかった。
小舟を降りる直前、
船頭の若い兄ちゃんは、とびきりの「グラーッツェ!」を私に言った(チップ分だね・笑)
私も彼に、ありがとうを。
兄ちゃん、熱唱もありがとう(笑)
カプリは、白い壁と青い空、海の島。
世界有数のリゾート地という。
ケーブルカーに乗り、メイン通りに出れば、
そこはブランドショップばかりで、実をいえばがっかりしたが、
その後、観光客が誰もいない展望台へとたどり着けば。
そこには素晴らしい景色が広がっていた。
広場を目指したはずが...
あれ?
あれ?あれ?あれ?
あれ?(笑)
『迷子になると、思いがけない発見がある』というのは、
私たちの、もはや信念みたいなものである(笑)
それが通用する、安全な場所に限り、だけれど。
ふと見れば、豪華な別荘越しに、お金持ちたちの船。
そして絶景。
着いた先は展望台、でも、観光客は誰もいない。
帰りに乗った、港行きのボロボロのバスは、
ガタガタ道で弾むたび、ばらばらに分解してしまいそうで(笑)
そのバスが通る、狭い道沿いに建つ家の壁はといえば、
ちょうどバスが通る高さの部分が、ところどころ削られていた(笑)
さあ、帰ろう!ソレントへ。
行きはケーブルカーで登ったので、帰りはバスで。
再び船に乗り、ホテルへ戻ってビールで乾杯!