猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

イル・ブッコの夜。

2013年08月10日 05時42分41秒 | イタリア見聞録。

 

その夜そこへ座ったのは、運命か、それとも...

 

「そんなに厨房が気になるなら、中に入って見学出来ないか、交渉してあげる」

 ー ソレントの夜。

Tが、「どうしてもここだけは行っておきたい」という、
お気に入りのレストランで座った席が、
たまたま厨房を映すモニターの前だったことから、
Hさんが、そんな親切な声をかけてくれる。
 
 
 


お年頃のTMは、彼女お気に入りという、
大人な雰囲気の漂う場所に座れず、
少々残念がってはいたけれど、
ゴンザにとってはその席は、
これ以上ない特等席だった。

 

まずはシャンパンで乾杯!



偶然なのか。

いや。

もしかしたら、
そういう席があると知っていて、Hさんが、
そこをあらかじめ指定してくれていたのかもしれないが...

とにかく、ゴンザといえば、
食事の合間中、そこに映るシェフたちの動きが気になって仕方がない様子。

 

頼んだのは、お勧め料理と、それぞれの品に合わせたワインのコース。



「あれはなんだろ?」

「あの鍋が気になる」

「ああ、ああやって...」

と、時々呟く他は、黙りこくってしまったり。

料理が出れば、それにまた夢中で、
けれどもやはり、気になるのは、その作り方で...。

ついにTが、
「長年の付き合いだけど、
この人、気になることがあると、こんなに黙っちゃうんだねぇ!」と。

 

素材だけでなく、それぞれのソースも素晴らしい。



長い時間かけてとる夕食の、
おしゃべりやワインの隙間に入り込む、
ゴンザの『興味深々』。

そんなとき、Hさんが言ってくれたのが、
『見学』の話だった。

 

全部の写真を載せられればいいんだけど...難しい(笑)



言葉の出来ないゴンザは、驚き、とまどい、
「中に入れてもらえても、なんて言ったらいいの?」と、
実は腰が引けていたけれど(笑)

すぐに、快く承諾してくれたというシェフのもとへ、
支配人らしき男性に連れられ、進んでゆく。

テーブルに残った私たちはといえば、
やはり興味深々で厨房を映すモニターを眺め...

そこへ登場したゴンザの姿に笑い、
しみじみ、「来てよかったねえ!」と呟く。
(ついでに私泣く・爆)

 

おしゃべりも、ワインもすすむ。



もし、二人だけなら、とても出来なかったこと。

もし、二人だけなら、
知らなかった世界。

私は、どんな風にお礼を言えばいいのか、
どうすればその、感謝の気持ちか伝わるのか、
わからないまま、Hさんにお礼を述べる。

「いやいや、全然、全然!」

大きくて、青い目のHさんは、いつも、
お礼をいわれたり、すみませんと謝られたりすると、
その流暢な日本語で、そう答えるのだ。

私たちが見つめるモニターの向こうでは、
大緊張のゴンザが、シェフたちに囲まれ、
記念写真を撮ってもらっていた。

 

デザートも、食べきれないほど!


ソレントの夜。

イル・ブッコの夜。

そこで私たちが見たものは、
『美味しいものを作る』だけじゃない、
サービス業のなんたるか。

それは『業』であって『業』ではないのだと、
あらためて知った、
素晴らしい体験の夜だった。

 

そしてやっぱり、どこでも最後はリモンチェッロ(笑)