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「君が代」不起立処分大阪府・市人事委員会不服申立ならびに裁判提訴当該15名によるブログです。

根津公子の都教委傍聴記(1/23)

2014-01-27 12:02:09 | レイバーネット

レイバーネット掲載「根津公子の都教委傍聴記」を掲載します。東京都も、そして大阪府もそうですが、教育委員会制度の主旨は、市民に対して開かれた教育行政であるところにあるはずです。

私も大阪府教育委員会制度を傍聴して初めてわかりましたが、いかに教育委員会が市民(傍聴者)に対して権力的なふるまいを行なうかが!私たちはもう一度、教育委員会制度の根本にもどらなければならないのかもしれません、地域住民が教育に参加できる制度としての教育委員会に!

●根津公子の都教委傍聴記 2014/1/23

開会時刻の突然の変更、説明を求めたFさんに退場命令

 

定例会の前に私たちは毎回、出勤する都庁職員に向けて「都庁前通信」とタイトルをつけたチラシを配っている。今朝チラシ配りをしていたら一人の都庁職員が、「今日の定例会は30分繰り上がって9時30分から。傍聴受付は9時から9時20分」と教えてくれた。近頃は定例会の最後に次回の予告がある。前回確か、「23日10時から」と言ったはずだが、と思いながらチラシ配りをいつもより早くに切り上げ、私たちは傍聴受付に急いだ。受付入口には「傍聴受付9時から9時20分」と貼り紙がしてあった。

そこにFさん(元教員)がやってきて、その場の空気は一変した。「なぜ9時30分に変更したのか。9時40分に来た人は入れないのか」「ホームページに変更を目立つように書いて徹底すべきだろう。なぜそれをしない」と抗議し、追及した。私たちだって、まさか予告が変えられるとは思ってもいなかった。教えてもらわなかったら、受付に間に合わなかったかもしれなかったのだ(通常、そして前回予告されたのは、9:20から9:40受付、10:00開会)。

職員たちはFさんの指摘を受け止め(られ)ずに、「(時刻は)主催者が決めること」と居直った。「前回の定例会で「次回は23日10時から」と予告したことを確認すると、職員は「した」と言う。都教委に非あり、は明白ではないか。にもかかわらず、居並んだ職員の誰一人、Fさんの指摘に対して謝罪の一言が言えない。「上司の指示」がなければ言ってはいけない、自分で判断してはいけないと、職員たちは思っているのであろうか。硬直した思考が怖い。

謝罪がされないままに9時30分、入室を指示され、私たち10人の傍聴者は入室した。Fさんは「なぜ突如、時間を変更したのか」と教育委員に向かって言った。木村委員長は「静かに!退場してください!」と、Fさんの質問を「妨害行為」と決めつけた。「退場」との木村委員長の指示で職員がFさんを取り囲み退場させる態勢に入ったそのとき、Fさんは「退場するのは(木村委員長)お前だよ。10年は長すぎる。」「(君が代)裁判で負けたら謝罪するのが当たり前。比留間(教育長)、辞任しろよ」と言うのも忘れなかった。

木村委員長はFさんから質問されるまでもなく、突然の変更について真っ先に謝罪し、説明すべきであったのにそれをせずに、目障りなFさんを排除したのだった。良心の呵責はないのだろうかと、各教育委員の顔を覗いたが、表情に変化はなかった。教育委員と言い、職員と言い、都教委には傍聴を保障する義務があることに意識が行かない。傍聴をさせてやっているのだという高飛車な態度である。

Fさんを追い出した後も傍聴者に対して謝罪の言葉はなかった。「13時から職員の表彰を予定しているから、定例会の開始を30分早めた」と言ったのみ。定例会は教育委員が最優先すべき仕事である。議事が長くなることだってあるかもしれないのに、午後に別の予定を入れるとは言語道断である。開会を30分繰り上げたのは、教育委員が2日登庁しなくていいようにするためだったのかと勘繰りたくもなる。かつて「都教育委員 月額報酬43万円、欠席でも満額支給」(毎日新聞2011.8.25)の報道がされた際、竹花委員は「24時間365日、東京都の教育の改善に職務を果たしている」と定例会で啖呵を切った。ならばなおのこと、終了時刻を設定しての定例会はあり得ないであろう。

Fさんの鋭い指摘・追及があったからこそ、見えた1件であった。
・予告したことを反故にし、勝手に開始時刻を変更したこと
・時刻変更について謝罪をしないばかりか、それを質した傍聴者を退場させたこと について、次回定例会までに質問書を提出しよう。

きょうも開会宣言の後、木村委員長は「議事妨害をしないように」とこと細かく言うのを欠かさなかった。

議題は、議案が①学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例の立案依頼について ②都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例の立案依頼について 報告が③都立高入学者選抜検討委員会報告書について ④平成25年度都教育委員会児童生徒等表彰について ⑤体罰根絶に向けた総合的な対策の策定について ⑥平成26年度教育庁所管事業予算(暫定案)・職員定数(暫定案)について。  このうち、③⑤について簡単に報告する。

③都立高入学者選抜検討委員会報告書について:

 現行の入学者選抜制度は1997年度に策定。「各校の特色ある教育課程に応じた入学者選抜を実現することができた」反面、「制度が複雑化し、受検者、保護者、中学校にとって分かりにくかった」から、平成28年度から入学者選抜制度を変えるとの報告。

 新制度は「選抜で見るべき力」を示し、「推薦」「学力検査」それぞれに基づく「選抜の改善」を示した。「学力検査に基づく選抜の改善に向けた具体策」では、「実技4教科を軽視する風潮改善」のため、現行の調査書点(内申)の算出方法(5教科の素点+4教科の素点合計×1,3)を(5教科の素点+4教科の素点合計×2)に変えるというもの。内申を餌にして生徒のやる気を起こすという、小手先の「改善」に飛びつく発想が恥ずかしい。
 注:学力検査による選抜は、「当日の5教科テストの得点+調査書点(内申)」で行う。

木村委員長は、「筋が通った。わかりやすくなった」と絶賛。竹花委員も「事務局の姿勢がとてもいい」とほめた。どの委員も何言か発言したが、やや盛り上がったのが「男女別定員」についてであった。現行も新しい制度も男女別定員を設けている。

 「男女で分けなければいけないのか。合理性があるのか。得点が取れなくても男子は合格。男子に将来を担う気概がないのではないか。男女別定員を検討してほしい」(竹花)、「ある企業で成績順に採用したら13人の合格者のうち、12人が女子だった」(内館)、「男女別定員に納得して受検しているのか。情報公開をしたときに耐えられるのか。女子には就職でも不利益を受けている意識がある。そこに配慮すべき」(山口)と言えば、「私立の女子校はあるが、男子校はない。男女別定員を採らないと、男子の行き場がなくなってしまう」(男性だったが、誰だったか?)と。「昔は男子校、女子校。いいところがあった」(内館)に対し、「男女合同定員制が時代の流れでいいのでは」(山口)と賛否はわかれた。

 「男女別定員を(再度)検討してほしい」という意見に対し、事務方(学校教育部)は「検討する」とは言わなかった。しかし、それでやり取りは終わってしまった。言いっぱなし、という印象。熱意があれば、徹底的に意見を擦りあわせるはず、と思うのだが。

⑤体罰根絶に向けた総合的な対策の策定について:

 9月の定例会で「体罰関連行為のガイドライン」の報告があり、今回はガイドラインに沿っての教員研修・今後の取り組みが提示された。ガイドラインはどのような行為が「体罰」に当たるか「不適切な行為」か、あるいは「指導の範囲内」「適切な指導」となるのかを示している。その中に、「短時間正座させて説諭する」のは「指導の範囲内」と書かれている。そのことについて竹花委員は、9月の報告の時に気づかなかったことを前置きした上で、「正座は短時間でもよくない。『正座は指導の範囲内』を変えてほしい。教員が一緒に正座すればいいが。」と発言。しかし、指導部は、それを呑まなかった。竹花委員は「正座が指導の範囲内のことがあるのも十分承知している。しかし、訂正してほしい」と重ねて発言した。しかし、やはり、それ以上の論議にはならなかった。

9月の定例会ではガイドラインを一定評価しつつも、「これによって教員が萎縮してしまうのではないかと危惧する。暴言は今までの習慣なので、いっぺんにただすのは難しい。徐々にただしていくことだろう。」(山口委員)など、現状是認の発言が2人からあり、一方、それに反対する意見はなかったので、この意識では体罰はなくならない、と感じていた。そこに、今回の竹花発言。論議を尽くしてもらいたかった。

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民主主義の劣化~文科省の教科書検定基準改悪

2014-01-26 22:12:30 | 教科書排斥問題

日本の民主主義はここまで劣化してしまったのでしょうか、唖然とする思いがしました。一体、教科書検定基準改正のパブリックコメントはなんのために募集されたのでしょうか。

検定基準改正(改悪)パブリックコメントを、政府が求めていたのは、12月25日から1月14日でした。私は、検定基準改正内容もさることながら、そのあまりにも最初から結論ありきのパブリックコメント募集の遣り方に抗議の意味を込めて応じました。

下記がそうです。

そもそも、パブリックコメントの実施期間が年末年始をはさんでわずか21日間というのが異常である。

9連休を考えれば、期間はたった12日間である。

しかも、意見提出日30日未満の理由が、「平成26年度に予定している中学校用の教科書の検定に

適用する」ためというが、本末転倒も甚だしい。

なぜ、平成26年度の検定に適用することが前提となるのか、その理由は一切示されていない。

教科書検定基準の変更は、その影響を考えれば、国民の理解が十分でなければするべきではない。

今回のパブリックコメント募集は火事場泥棒的であり卑劣や遣り方である。

まずは、原案を示したうえで十分な論議を行い、それからパブリックコメントを実施すべきである。

よって、今回の「義務教育諸学校教科用図書検定基準及び高等学校用図書検定基準の一部を

改正する告示案」は白紙に戻すべきである。

 
しかし、文科省は、パブリックコメント締切1月14日のわずか3日後に改正案そのままで新検定基準を告示しました。なんのためのパブリックコメント募集だったのでしょうか?3日で分析・検証・検討などできるはずもありません。アリバイ工作としても体をなしません。
 
民主主義はなによりプロセスが重んじられなければならないはずです。仮にも教育行政を掌る文科省が、このようなペテン師まがいのことをやり、それで道理が通るのでしょうか。  
 
安倍自民党政権のもと、下村博文文科相は、どうしても教科書を政府サイドに都合よく作りあげたかったようですが、それにしても、ここまで国民を愚弄することが許されるのでしょうか。
 
義務教育諸学校教科用図書検定基準及び高等学校教科用図書検定基準の一部を改正する告示
 

文科省:教科書検定基準を改正 政府見解明記

毎日新聞 2014年01月17日 10時37分

 文部科学省は17日、教科書で近現代史を扱う際に政府見解を尊重することを求める内容に検定基準を改正した。今春に申請を受け付ける2014年度の中学校教科書の検定から適用する。

 文科省は「バランス良く教えられる教科書にするため」としているが、「南京事件や従軍慰安婦に関する記述が偏っている」との自民党の主張を受けての改正。

 これまでの小中学校の社会科、高校の地理歴史と公民の検定基準では「未確定な時事的事象について断定的に記述しない」と規定している。新たに(1)特定の事柄を強調しすぎない(2)近現代史で通説的な見解がない場合は、そのことを明示し、児童・生徒が誤解しない表現にするなどを加えた。(共同)

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教育の国家支配に反対する2・11大阪集会参加のお願い

2014-01-25 01:16:50 | 2.11集会

私たちは、教育の国家支配に反対する2.11大阪集会に向けて、あらゆる場で、案内のビラまきをしています。本日は大阪弁護士会主催特定秘密保護法反対ランチタイムデモにやって来ました。出発までの時間を利用して、ビラをまくとともに、大阪ネット山田光一事務局長の2分間アピールを撮影しました。ユーチューブに投稿しましたので、是非ご覧ください。

教育の国家支配に反対する2・11大阪集会参加のお願い

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中国マスコミも「日の丸・君が代」裁判に注目している

2014-01-23 21:03:24 | 「君が代」裁判

東京で教育の自由を求めて「君が代」不起立裁判を闘って来られた近藤順一さんから下記のメールが届きました。中国のマスコミも日本の「日の丸・君が代」裁判に注目しているとは驚きでした。昨年11月に中国大連に行きました。関空からわずか2時間で大連です。日本と中国、それぞれの国民はそれぞれの国家の問題を抱えています。国家が首謀する、ある種の国家間の敵対感情に惑わされることなく、その地暮らす人々との顔を合わせた交流がもっと必要なのかもしれません。それにしても近藤順一さん、中国語がご堪能のようでうらやましいです。

近藤順一さんより

皆様へ、 日中友好と教育の自由のために〈中国通信43〉を送ります。ご意見ご批判をお願いします。

中国マスコミも「日の丸・君が代」裁判に注目している。

「日の丸・君が代」はかつての中国侵略戦争の象徴、これの強制に反対する日本の教職員(公務員)の存在を中国の人々はどうみているだろうか。

原告:辻谷の提訴は反響を呼ぶ。

*中国では地方自治体も“地方政府”という。タイトル中の“告政府”は“大阪府政府を訴える”の意味。 (近藤)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

不唱国歌扣工资 日本教师告政府违宪索赔百万

2014012108:41  来源:球网

日本大阪一名高中教此前因在毕业典礼上未起立唱国歌而被扣工名教随后将当地教育委会告上法庭,引起各方关注。

据日本《读卖120道,日本大阪府立高中退休教61的辻谷博子20日向法院提起诉讼求大阪府教育委会取消其的分,并支付赔偿100万日元(合人民5.8万元)

据了解,辻谷博子由于在20133月的毕业典礼上没有起立唱国歌而受到了大阪府教育委会的扣当月10%分。原告认为制起立唱国歌侵犯了公民的思想活自由,属于反日本法行。另一方面,自己在20124月的入学式上也没有起立唱国歌,但只是受到警告,可此次分更加重,从点来,被告也反了“禁止机械性累加重分”的地方公务员法。

而大阪府教育委则认为原告的分是格依照行法律行的,没有不当之

(实习编译:夏毅敏稿:关超)(责编:潘坤、)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(日本語訳〈全文〉:近藤)

 

国歌不斉唱で減給 日本の教師、違憲・百万円賠償で提訴

2014年1月21日 8:41 原文:環球ネット

 日本大阪の一人の高校教師は、以前卒業式で国歌斉唱不起立によって減給された。この教師は当地の教育委員会を法廷に訴え、各方面の注目を浴びた。

読売新聞1月20日報道によれば、日本大阪府立高校の退職教師、現在61歳の辻谷博子は20日裁判所に訴訟を提起し、大阪府教育委員会にその処分の取り消し、あわせて賠償金100万円(5万8千人民元に相当)の支払いを請求した。

辻谷博子は、2013年3月の卒業式で起立しなかったことにより大阪府教育委員会より10%減給1月の処分を受けた。原告は、国歌起立斉唱の強制は公民の思想活動の自由を侵害し、日本国憲法に違反すると考えている。別の側面では、自分は2012年4月の入学式で起立斉唱しなかったことにより戒告を受け、今回さらに重い処分が加重された、これは被告が“機械的な累積加重処分の禁止”の地方公務員法にも違反している。

しかし、大阪府教育委員会は、原告への処分は現行の法律を厳密に適用したものであり、不当ではないと認識している。

(編集翻訳担当:夏毅敏 原稿審査:关超)(編集責任:潘坤陈建军

 追記

 

 辻谷提訴をとりあげた〈環球ネット〉は、広く中国国民に読まれています。

 

 今、安倍政権の軍事路線が大きく進展している中、とりわけ教育・思想面で日本の民衆がどう反応しているかを、中国側は注目しています。

 

 「日の君」強制に抵抗する動きにも光を当てています。これからも追っかけたいと思います

 

 

 

  

 

 

 

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教育があぶない!北摂市民ネット(あぶネット)が箕面市教委に請願書を出しました!

2014-01-23 08:53:53 | 中原教育長下の大阪の教育

大阪ネット事務局の恩地庸之さんからうれしいメールが届きました。地域の市民団体が小・中学校での「君が代」斉唱をやめるよう、子どもに強制しないよう市教委に請願書を提出した報告でした。

子どもたちへ「指導」とういう名で事実上「君が代」斉唱が強制される実態が進んでいます。「君が代」強制はいよいよ最終ステージに入りつつあります。つまり、教員にこれほどまでの強制が行われる、その最終の目的は子どもに、それこそ一人を残すことなく日本のすべての子どもに「君が代」を斉唱させることにあります。

その先にあるものを考えるとき、これは教員だけの問題ではなく市民の問題でもあります。あぶネットのように、様々な地域で市民から教委へ働かきかけてはどうでしょうか。下記に恩地さんからのメールを請願書とともに掲載します。

 

「教育があぶない!北摂市民ネット」(あぶネット)では、1月22日、箕面市教委に下記の内容を求める請願書を出しました。


1.箕面市立小・中学校での子どもたちの「君が代」斉唱をやめること
2.少なくとも、現在行なわれている下記の行為をやめること
 1)「指導」の名の下でなされている生徒に対する「君が代」斉唱の強制
 2)卒業式および入学式において、子どもたちがきちんと「君が代」を斉唱しているか否かについて貴教育委員会が行なっている調査・点検行為

 この「1」は、市は”国の「学習指導要領」に従う”として”門前払い”の可能性があることについて会内で検討しましたが、やはり私たちの思い、原則は打ち出そうということで、入れました。

審議は、2月10日(月)の市教委2月定例会です。開始時間は2時30分です。通常は、遅くとも4時半頃には終わるそうです。不確定ですが、請願の議案は早いうちに入りそうです。

箕面市議会は維新は無論、民主も含めて君が代斉唱、教育への政治介入に熱心です。教育委員も昨年、任期を残して(ほとんどが多分、市長、市長派の”お友だち”委員に)全員変わりました。
ご都合のよい方の傍聴をお願いできるようでしたらありがたいです。

請 願 書

箕面市教育委員会 様

教育があぶない!北摂市民ネットワーク

 

平素のご公務、ご苦労様に存じます。

以下の請願をいたしますので、よろしくお願い申し上げます。

 

【請願内容】

1.箕面市立小・中学校での子どもたちの「君が代」斉唱をやめること

2.少なくとも、現在行なわれている下記の行為をやめること

1)「指導」の名の下でなされている生徒に対する「君が代」斉唱の強制

2)卒業式および入学式において、子どもたちがきちんと「君が代」を斉唱しているか否かについて貴教育委員会が行なっている調査・点検行為

 

【請願理由】

1.「日の丸・君が代」は、わが国が大陸・アジア諸国への侵略戦争を進めるシンボルとして永きに亘って

掲げられ利用されてきたものです。この侵略行為は、それらの国々の一般民衆への殺戮、強奪、強姦、人間性の破壊・冒涜等凄惨を極めたものでした。この被害国ではない、また現在の一番の友好国でもある米国からでさえ「残虐性と規模において前例のない20世紀最大規模」と言われるものでありました(日本軍「慰安婦」問題に関する2007年7月米国下院決議)。この侵略戦争への反省から、これらの象徴物を敬う行為に対する反対、嫌悪感と、強制に対する強い批判が巻き起こって久しい年月が経ちます。

 これらの象徴物にはこうした歴史と、それを推進してきた思想が抜き去りがたく込められています。このことを真剣に思慮するなら、このような象徴物を敬う行為は直ちに止めるべきであり、そして、本来的にはこれらは廃棄をするという決断をすべき事柄であります。そうではなく逆に、これを敬う政治、制度を進めるに至っては、これは単なる時代錯誤では済まない、戦争の反省の上に立ってつくられた思想及び良心の自由、表現の自由など各種精神的自由権を保障したわが国最高法規範としての憲法(19条)の内実を国民から奪い、国民を思考停止させ権力に盲従させようとする、民主主義と逆行するシステム構築に向かう大きな危険を孕んだものといえます。また、かつて巨大な犠牲をもたらした被植民地各国をはじめとした人たちの怖れと悲憤を再び呼び、警戒を招いて日本自らの国際的孤立を招くものでもあります。このように、それは暗黒政治の復活の始まりに至る由々しき事態であると考えられ、反対意見は、こうした大きな危惧によって広く存在し、また起こり続けています。

また、千代に八千代に・・苔のむすまで」との「君が代」の歌詞は、かつて国定教科書で教えてきたよう

に、「天皇陛下のお治めになる世の中がずっと続きますように」との意味であるとしか考えられません。民主主義の時代に、なぜ、こんな歌を歌わされなければならないのでしょうか!?「君が代とは・・天皇を象徴とするわが国のこと」云々との( 時代の概念を表す言葉を「国」という概念におきかえる)政府の説明は、どう考えても詭弁と言わざるを得ません。このような説明を子どもたちにすれば、科学的思考を養うべき教育の使命とは真逆に、子どもたちに「大人の社会ではこじつけが『正論』として通るのだ」と教えてしまうことにもなろうと思います。

以上のように、教育の場で、これらの象徴物を敬うよう教えるなどもってのほかの行為であり、こうした学校での「教育」行為を直ちにやめることを要請いたします。

2.しかし箕面市では、貴教育委員会の説明では例年、卒業式・入学式において教師のみでなく子どもたちが「君が代」をきちんと歌っているかどうかを、貴教育委員会 (事務局職員)が市立全校に出向いて調査、点検をするということまで行なわれています。

 上述のように「君が代」斉唱は個人の思想及び良心の自由にかかわる問題であります。

 学校では、宗教上の問題や在日外国人家庭である場合等の諸事情や個人の思いによって、「歌いたくない」子どもたちがいることが当然推察されます。貴教育委員会は「そのような場合には当然配慮する」と説明されますが、子どもたちが自由に意見や希望を述べられる条件、雰囲気を作るための方策、また、そのような意見、希望が子どもたちから出された場合の対応について、その「配慮」の具体的中身の説明は全くありません。ただ「指導する」との繰り返しの説明であります。これは、やはり(貴教育委員会や学校現場での意図は仮に別としても)、これらの子どもたちへも強制がなされているとしかいえない状況であろうと思われます。

自治体は、その教育施政は国の方針に沿うとの姿勢を示しますが、国歌・国旗に関する法律は、これが「日の丸」「君が代」であることを定義したに過ぎず、この掲揚や斉唱を義務づけたものでは全くありません。同法の制定時にも、総理大臣が「新たに義務を課すものではない」との談話を発表(1999年8月)していることは周知のとおりです。

また判例においても、学習指導要領には「教師に対し一方的な一定の理論ないしは観念を生徒に教え込むことを強制するような点は全く含まれていない」とし、教師の「起立斉唱の有無を管理職が確認する体制」は、この要領の「大綱的基準」を越える教育に対する「不当な支配」であり、これを違憲としています(旭川学テ最高裁判決、1976年)。また東豊中高校での不起立教師への処分をめぐる2009年大阪高裁判決では「・・とりわけ『唄う』という行為は、個々人にとって情感を伴わざるを得ない積極的行為であるから、これを強要されることは、内心の自由に対する侵害となる危険性が高い。従って、『君が代』斉唱しない自由も尊重されるべきである」としています(これは確定判決です)。教師に対する強制においてさえかかる司法判断があるのに、「職務命令」には関わりのない子どもたちへの強制については何をかいわんやでありましょう。 

国連でも、自由権規約委員会において2011年7月、「旗やシンボルに敬意を払わないこと」を理由に人権を制約することは許されないとの意見書を採択しています(当時、こうした強制が社会問題化している国は他にないことから、これは日本の「日の丸・君が代」強制を念頭に置いたものと解釈するしかないものです)。

箕面市も、関連法規や「君が代」斉唱の条例を設けた大阪府の方針を尊重するとのことでありますが、いうまでもなく、法的規範としては憲法が最高規範であり、また箕面市が「人権のまち推進基本方針」を遂行するにあたって「基本」の一つとしている「児童の権利に関する条約」=国際条約も同様に規範力の高いものであります。規範性は以下、法律-条例と順に低くなり、したがって法律や条例が憲法に違反していれば、その実効性は本来持たないものと解釈されるべきであります。

私たちは、法的な面においても箕面市がこうした基本的考え方、姿勢に立って市政を実行されることを強く望みます。「箕面市子ども条例」では「市と市民は、子どもの成長に応じて、表現の自由と意見を表明する権利を尊重する」(第8条)と謳っています。いうまでもなく「表現の自由」の尊重は、「表現することを強制されない」自由の尊重でもあろうと思われます。

「君が代」斉唱は、教育の場において強制されるべきでない、いや、教育の場であるからこそ、これは「人間の思想、内心にかかわる問題であり、各々がこの問題について考えてみよう」と教えるべき事柄であろうと考えます。

以上、学校での「君が代」斉唱の「指導」は実際上は強制となっており、こうした強制は直ちに止めることを求めます。

また、貴教育委員会による各学校への調査・点検は、斉唱が不十分な学校には「指導」を重ねる方針だとされており、この「歌うまで指導」するというのも、やはり「指導」という名の強制でしかなく、こうした点検行為を直ちにやめるよう求めます。しかも、教育現場への教育委員会による監視としか見えない、こうした直接的な関与は威圧感を伴うことは避けられず、卒業式・入学式の場を国家儀式まがいの重苦しい場にすることになお拍車をかけるものと考えます。卒業式・入学式を、子どもたちや地域の主体性を尊重し、めでたく送りだし、また迎えるという本来の主旨の場にするよう貴教育委員会が務めていただくことを要請いたします。

以上

2014年1月22日

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