不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Le rumene

2004-07-24 23:45:41 | 日記・エッセイ・コラム
暑い。煮えるように暑い。
こんな日は日中外出などせずに済ませたいものではある。
でも、私はなんとかなるとしても
ビリーさんとチッチーノさんのお食事が
底をついたのでは話にならないので
暑い盛りに、バスに乗ってスーパーまでお出かけ。

スーパーの中は涼しいので快適ですが、
行き帰りのバスはエアコンなし。
(もちろん最近はフィレンツェの市バスにも
エアコンつきのものが登場しています、念のため)
自然の風と
強烈な欧米人の体臭を肌で楽しめるバスの旅。(泣)
あとは停留所でバスを待つ間の暑さを耐えれば
夏の日中のお買いものも、そんなに辛くはない…。

スーパーでしっかりお買い物して
停留所でなかなか来ないバスを待っている間。
最初の数分は停留所に私だけしかいなくて
屋根の下の簡易ベンチに腰掛けて
セミの声などを聞きながらのんびりと夏の風を楽しみ。
土曜日の午後なので、
フィレンツェ人は皆海へ行ったらしく
車の通りもぐっと少なくて排気ガスの臭いもしない。

そんな静かな停留所へ
二人の女性がやってきた。
みるからに「ジプシー」な二人。
物乞いでもされるかなぁとイヤな気分にはなったんだけれど
暑いので移動する気にもなれず、そのままベンチに。
二人のうち一人はおもむろにスカートのまま
地面に座り込んでスカートの裾をパタパタして
自然の風を自分に送りこみ、なにやら大声で叫んでいる。
で、もう一人はベンチの私の横に座り込んで
こちらもおおいにスカートの裾をパタパタ。

私に迷惑かけないなら何やってもいいよと
無関心を装いながら、この人たちはどこ出身なんだろう、
これからどこへ行くのだろうと色々考えていたら
とつぜん私の横に座っていた女性が立ち上がって
「○×△」と
ちょっと公共電波にひっかかりそうな言葉を発して
私の前方に進み出てスカートをたくし上げると…。

あぁぁ。
パンツ履いてない…。

そして、それまでは彼らの国の言葉で話していたのに、
急にイタリア語で私に向かって
「長いこと御無沙汰なのよぉ」という意味のことを言い、
私がきょとんとしていると
もう一人の女性が
「彼女の旦那は10年前に亡くなって、
それから男がいなくてねぇ」と。
だから何なの?私には関係ないぞと思っていると
「あぁ、こんな暑い時にはスカッとしたいわよねぇ。」とか
「もう息子は大きくなってルーマニアにいるんだけどね。」
「そろそろ新しい男見つけないとねぇ」とか
あまり反応を示さない私をよそに
おおいに二人で盛り上がっているようで。

その間にも何度となく彼女はスカートをたくし上げて
「ねぇ、みてみて」とでも言わんばかりに
私の視線の前に立ち塞がり。
まったく困ったものだ…。

そして二人で盛り上がると
その勢いあまってかなんでか
今度は私に向かって二人で弾丸のように話しかけてきた。
「あんたは毎日満足させてもらってるんでしょ?」
「旦那いるの?」「彼いるの?」「子どもいるの?」
仕方なしに質問に答えていると
「えぇ、そんなに放っておいてはいけないわ」
と余計なお世話…。
「あなた何歳なの?」
「そんないい年して、女を捨てちゃいけないわ。」って。

言っておきますが、彼女たちのイタリア語はとても拙く
上記のような上品な言葉のやり取りではございません。
でも彼女たちの言葉そのまま訳したら
とてもここでは書けないので…。

最後は
「あんた両親は元気なの?」という質問。
「うん、両親は日本で元気にしているわ。」というと
「それはいいことだ。」としみじみ頷いちゃったり。
で、最後の最後に
「あのさぁ、こんなに暑いのに、
なにも飲んでいないのよねぇ。
友達になったんだし、
1ユーロでいいからちょうだい。」って。
私友達になったのかぁ??