不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Il micio chiamato "Fortunello"

2004-07-25 23:38:01 | 日記・エッセイ・コラム
野良猫をローマや海辺の街ほど
街中で見かけないフィレンツェ。
かつてはうちの中庭にも数匹暮らしていたけれど、
向かいの家の改装に伴って庭が整備されると
保健所の人がやってきて
おもむろに黒いゴミ袋に入れて連れ去ってしまった…。
近隣の人の抗議も虚しくという感じだったなぁ。

フィレンツェの街にも野良猫さんは結構いるようです。
先日は中央駅から目と鼻の先、
安ホテルと3つ星ホテルの混在するVia Nazionaleでの事件。

数日来、昼と夜とを問わず
猫の鳴き声が響き渡って住民の休息・安眠を妨害。
建物の屋上から雨どいに向かって鳴きつづけるメス猫。
その猫の横には生まれて間もない2匹の子猫。
そして、階下のどこからともなく聞こえてくるのは
弱弱しい子猫の鳴き声。
声はすれども姿は見えずで
住民もどうしていいのか手を焼いていた5日間。
5日目にとうとう、消防署に連絡。

声は雨どいの奥から聞こえてくることが確定。
子猫が一匹なにかの間違いで
雨どいを滑り落ちてしまったらしい。

しかし、フィレンツェの家の造りは複雑で
隣りの家との境も曖昧だし、
雨どいもどこをどう繋げてあるのか
皆目見当がつかなかったり。

今回の雨どいは
Via NazionaleにあるホテルHotel Sempioneの壁の向こう。
唯一その雨どいにアクセスするためには
このホテルの一室のバルコニーの壁に穴をあける必要がある。
その部屋はイギリス人ツーリスト3人が宿泊中。
この3人は揃って猫好きだったこともあって
すぐさまホテル側と消防署員の話しに納得して
工事が開始されることに。
2時間の作業ののち、びしょぬれで震える小さな猫を救出。
すぐに獣医さんに運ばれたこの子猫は
真黒でお腹に白い星の模様があったとか。
獣医さんで治療を受けて命に別状がないことがわかると
救出作業を行なった消防員によって
「Fortunello」と名づけられ、
(さしずめ「ラッキー」といったところかしら)
ボランティアで救出作業に加わっていた女性の元に
そのまま引き取られたそう。

これはいい話なんだろうか…。
ちょっとするといい話しなんだけど。
雨どいの向こうに消えてしまった我が子を探して
5日間泣き続けた母猫の気持ちはどうなるの?
フクザツ…。

この救出劇まで
もう何日も雨が降っていなかったフィレンツェ。
なぜ子猫が濡れていたのか?
雨どいとは名ばかりで
時々お風呂の排水とか色々流れているんです…。
とにかく子猫Fortunello無事でよかったね。