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ウクライナ情勢-ロシア軍秘密兵器!ツィルコン極超音速ミサイルをペトリオットミサイルにより撃墜する方法

2024-03-29 07:00:27 | 先端軍事テクノロジー
■防衛情報-ウクライナ戦争
 従来の地対空ミサイルでは迎撃不可能といわれたキンジャールミサイルが2023年にウクライナ軍が供与されたペトリオットミサイルで撃墜した際には世界中が驚いたものだが、一度ある事は二度ある。

 ロシア軍のツィルコン極超音速ミサイル迎撃方法について、ISWアメリカ戦争研究所は3月27日付発表でウクライナ軍によるきわめて興味深い情報を掲載しました。ISWはウクライナ空軍報道官のイリヤイエヴラシュ少佐の発言を引用、ツイルコン極超音速滑空兵器はペトリオットミサイルやSAMP/T地対空ミサイルにより迎撃可能としています。

 ツィルコンミサイルはロシア軍制式3M22極超音速滑空兵器で、2021年より配備開始、海軍艦艇に搭載されスクラムジェットにより一旦高度28000mまで上昇した後に第二段ロケット点火、その速度はマッハ9、時速11000km/hを超えるといわれます、その射程は1500kmともいわれ、迎撃不能で高速ゆえに高い運動エネルギーによる貫徹力をもつ、予定でした。

 ウクライナ空軍のイリヤ少佐によれば、ツィルコンは目標に接近すると精密誘導に移行し速度が3700km/hまで減速するため、ペトリオットミサイルやSAMP/Tミサイルでも充分迎撃可能だという。ロシア軍はキンジャール空中発射弾道ミサイルもはやい時期にペトリオットミサイルにより撃墜されており、性能は誇大表現と判明していました。
■ツィルコン撃墜の意味
 接近阻止領域阻止という現代の太平洋における防衛問題にも極超音速ミサイルをどのように迎撃するかが課題となっていましたが。

 ペトリオットミサイルによるツィルコン撃墜事例は今後のミサイル防衛にどのような影響を及ぼすのでしょうか。今後の関心はロシア軍が、今度こそ迎撃不可能であるとしてアバンガルド極超音速滑空兵器を投入することでしょう。HGV極超音速滑空兵器はR-36大陸間弾道弾などを利用して上昇しマッハ30近い速度を発揮し滑空し命中するというもの。

 しかし、R36大陸間弾道弾を発射に際し用いる為、アメリカがDSP早期警戒衛星を通じロシア軍の戦略核攻撃であると判断した場合、ミニットマン大陸間弾道弾を用いた全面核戦争に繋がる可能性も高く、使用される可能性はどの程度現実的なのかという視点も必要でしょうが、ロシア軍はキンジャールに続き、迎撃不能と誇示したミサイルが撃墜された。

 ツィルコンは、同時にもともとは航空母艦などを狙う新世代の兵器であったわけですがペトリオットミサイルによりあっさり撃墜され、そもそも極超音速兵器は終末誘導をどのように行うのかという問いが、これまで配備されているような超音速まで減速していることが判明、撃墜が必ずしも不可能ではない事を示した点は、極めて重要な情報といえます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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