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臨時情報-中東情勢,イスラエル報復宣言後イランイスファハン州で爆発,イラン政府は感知せず

2024-04-22 07:01:04 | 国際・政治
■全面戦争は回避
 第五次中東戦争の勃発は回避でき中東在留邦人の安全も一応は確保される事となりました。

 イラン本土からの初のイスラエル本土への大規模ミサイル攻撃が発生して以来、イスラエルは報復攻撃を発言していましたが、これが4月19日、小規模な航空攻撃として実施されました。世界が危惧していたのはこれを契機にイスラエルとイランが全面戦争に発展する事でしたが、反撃は小規模であり、少なくとも今の時点での全面戦争は回避できました。

 全面戦争と成れば、イラン国内にもイスラエル国内に在留邦人は少なくなく、イスラエルとイランの間にはイラクやヨルダンとシリア等が位置している事からイスラエル軍の地上侵攻の可能性は低かったのですが、在留邦人の救出活動を行う必要が生じていたでしょう。イスラエル報復攻撃前には外務省などが在留邦人へ注意情報を発表していました。

 中東情勢は邦人保護の問題と表裏一体であり、これは1980年に勃発したイランイラク戦争において、イランでのODA政府開発援助に基づく土木工事支援法人企業駐在員が戦闘地域脱出を試みた際に戦闘に巻き込まれ、またイラン大規模攻撃をフセイン大統領が発表した際に当時の自衛隊法で邦人を救出できず、トルコ政府の厚意に頼るなどの歴史があります。

 イスラエルとの関連は証明されなかった、イランのアブドラヒアン外務大臣は4月20日、イラン中部において19日に発生した航空攻撃について、アメリカのNBCニュースのインタビューに応じ、19日未明にイランのイスファハン州上空に3機の無人機が確認されたが、無人機は撃墜現場から数百m以内で飛行しており念のため撃墜したと発言しました。

 イスファハン州での爆発はアブドラ外相が発言するような小規模なものではなかった事が既に複数報道されていますが、イラン政府としては今回の攻撃に、公式見解としてイスラエルは関与していない、とすることでイスラエルの攻撃が有れば反撃するという原則論に対し、イスラエルの攻撃を否定する事で幕引きを図っているように解釈できます。

 19日の航空攻撃は、イラン政府がイスファハン州の核関連施設に対する攻撃であれば断固反撃すると表明していたのに対し、イスファハン州の航空基地が攻撃され、またイスラエル政府が攻撃を公式声明しなかった事で、イスラエルイラン全面戦争を回避しなければならないが、イランによる大規模本土攻撃へ報復しない選択肢も回避した結果となりました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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