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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】第2特科団(湯布院)第3水陸機動連隊(竹松)第7地対艦ミサイル連隊(勝連)新編

2024-04-02 20:18:36 | 国際・政治
■防衛フォーラム
 新年度を迎え先月の年度末改編について特に南西方面の防衛力強化に関する改編をまとめてみました。

 第3水陸機動連隊が竹松駐屯地において新編されました。水陸機動団はこの第3水陸機動連隊の身辺により当初計画していた3個連隊体制を編成完結することとなり、団全体で3300名体制の防衛力整備を完了しました。第3水陸機動連隊の新編に併せて、戦闘上陸大隊にも隷下に第3上陸戦闘中隊が新編、AAV-7水陸両用車を装備する部隊です。

 AAV-7水陸両用車、アメリカ海兵隊では両用強襲車と呼称されるこの装備は本部及び第1中隊を佐世保市の崎辺分屯地に置き、一方で戦車隊員をその編成母体としていることから第2中隊は西部方面戦車隊の駐屯する玖珠駐屯地に分駐していましたが、今回新編の第3戦闘上陸中隊は連隊を支援するべく竹松駐屯地に分駐する方式を採っています。

 AAV-7水陸両用車は自衛隊に58両が配備されており、これはアメリカ海兵隊と韓国海兵隊及び台湾中華民国海軍陸戦隊に続く規模で、配備開始は後発でしたがイタリアやスペインなどよりも多数を揃えることとなりました。第1水陸機動連隊と第2水陸機動連隊はともに水陸機動団本部の置かれている相浦駐屯地、同じ長崎県に駐屯しています。
■第2特科団新編
 第1特科団は第2が無いとはよく北海道で云われたところですがこのまま緊張が続くならば第2高射特科団さえ新編されるのではないかという。

 第2特科団が湯布院駐屯地に新編されました。これは3月21日の部隊改編により、従来の西部方面特科隊を拡大改編するかたちで創設され、長らく北部方面隊の北千歳駐屯地に置かれていた第1特科団のみが自衛隊の特科団でしたが、中国軍事力強化、南西防衛強化の流れを受け西部方面隊の特科隊を団編成に拡大改編したかたちとなります。

 特科団隷下には、西部方面特科連隊、第5地対艦ミサイル連隊、第7地対艦ミサイル連隊、第301多連装ロケット中隊、などが配属され、12式地対艦誘導弾システムとMLRS多連装ロケットシステムに19式装輪自走榴弾砲及びFH-70榴弾砲など多彩な装備を保有、隷下特科中隊は18個中隊という非常に大きな特科部隊となっています。

 西部方面隊は特科団本部を湯布院駐屯地に置き、健軍駐屯地、北熊本駐屯地、玖珠駐屯地、えびの駐屯地、久留米駐屯地、勝連分屯地、瀬戸内分屯地、宮古島駐屯地、石垣駐屯地に隷下部隊を配備しており、特に島嶼部に配備される地対艦ミサイル中隊は中隊単位の分散運用という方式となっており、島嶼部防衛を大きく意識した部隊となっています。
■第7地対艦ミサイル連隊
 特科の春という感じ。

 陸上自衛隊は勝連分屯地に第7地対艦ミサイル連隊を新編しました。この部隊は昨今の南西方面防衛強化の一環として、健軍駐屯地の第5地対艦ミサイル連隊を増強の上で二つの連隊に分割したもので、従来勝連駐屯地には第15旅団隷下の第15高射特科連隊第2高射中隊が駐屯していましたが、ここに新編の連隊本部を置いたかたちです。

 第7地対艦ミサイル連隊新編式典が挙行された3月21日は、同時に第5地対艦ミサイル連隊より管理替えとなった部隊の解明も行われ、瀬戸内分屯地の第301地対艦ミサイル中隊は第1地対艦ミサイル中隊へ、宮古島駐屯地の第302地対艦ミサイル中隊は第2地対艦ミサイル中隊へ、石垣駐屯地第303地対艦ミサイル中隊は第3地対艦ミサイル中隊へ。

 連隊新編と共に新しく創設された第304地対艦ミサイル中隊はそのまま第4地対艦ミサイル中隊として勝連駐屯地へと編成準備に当たっていた健軍駐屯地より移駐しており、また勝連分屯地司令は第15高射特科連隊第2中隊長が当たっていましたが、第7地対艦ミサイル連隊の連隊長が分屯地司令を務める移管行事も、あわせてとりおこなわれました。
■与那国へ電子戦部隊
 自衛隊最南端の守りについても一歩前進がありまして続いて更に火力戦闘能力を持つ部隊の駐屯も計画される。

 与那国駐屯地へ電子戦部隊が新しく駐屯、陸上自衛隊が3月21日に発表しました。沖縄県南端に位置する与那国島は長らく警察官2名が駐在するのみという安全保障上の空白地域として指摘されましたが2016年に駐屯地が新設され160名規模の沿岸監視隊が置かれていました。そして今回新たに健軍駐屯地より電子戦部隊が駐屯したとのこと。

 政府は南西地域の防衛力強化へ電子戦部隊の増強を進めており、従来は通信部隊の任務であった電子戦部隊でありましたが、積極的な電子戦闘を想定した、対空電子戦装置など新しい装備の配備も決定しています。これらの部隊は戦闘はもちろん、平時においても電子情報収集により戦争の兆候などを開戦前に把握する重要任務があります。

 電子戦部隊は人員40名規模で電子情報収集及び電子妨害任務などに対応する部隊といい、また現在与那国駐屯地では拡張工事が進められており、将来的には現在情報収集部隊と電子戦部隊という陣容ですが、新たに高射特科部隊を駐屯させ、島嶼部の防空任務に充てるとのこと。南西方面では中国軍事圧力増大を背景に防衛力整備が進んでいます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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