ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.7.13  体表超音波、ハーセプチン140回目(3倍量3回目)、ナベルビン16クール1回目

2011-07-13 21:04:58 | 治療日記
 昨日、都心で行われた会議への往復で疲れたことと、今日は診察前までに採血と体表超音波(胸部エコー)を済ませておかなければいけないこともあったため、勤務終了後、病院最寄駅近くのホテルに前泊した。

 このホテルには震災直後、計画停電等でJRが運休したため、迂回していつもの3倍近い時間をかけて夜遅くに到着したことがあった。ホテルも駅の周りもどこもかしこも真っ暗で、夕食をとるにも事欠いたのがちょうど4ケ月前のことだ。そしてお風呂に入った途端、静岡震源の大きな地震があり、お湯が溢れ出そうで怖かった思い出がある。朝食もいつもと違うレストランで、セットメニューだけの提供だった。
 今回はシングル予約をツインのシングルユースにしてくれたので、広く快適に過ごすことが出来た。朝からカーテン越しの陽射しが強く、目覚ましのお世話にならずに自然に目が覚めた。自宅にモーニングコールをした後、足湯を済ませてバイキング会場へほぼ一番乗り。今日1日頑張れるようしっかりたっぷり栄養チャージをした。
 
 チェックアウト後、いつもより小一時間早く病院に入ることが出来た。それでも既に採血受付は混雑しており、受付後15分ほど待った。今日は白血球のみのチェックなので1本採取。あっという間だった。
 再度受付に戻って生理検査受付へ。予定時間の15分前にスタンバイ出来た。左胸の手術創付近から腋のリンパ節、右胸も同様に診て頂いた後、両側から頸部もチェックし、15分ほどで終了した。

 その後、内科に移動して受付をした時にはちょうどいつも病院到着する時間になった。前泊の威力だな、と思いながら20分ほど待ち、中待合へ移動して、診察室に入ったのは、それから30分ほどしてから。
 今日は白血球が3100。3000以上あったのは久しぶりだ。「調子がいいですね。」と言われる。そして気になるエコーだが、結果からいえば異常なし。「左に7ミリほどの影があるが、腫瘤ではない脂肪に類似したもの、との読影。頸部もリンパ節も腫れは見られない、このまま治療を続けましょう。」とのことでひとまず安心した。それからは、前回投与から2週間の様子をご報告。早くも夏バテで、だるさと頭の重さの後、お腹を壊してロキソニン以外にもビオスリーを飲んだこと、その後も胃が重い感じが抜けずにいること等をお話しした。「痛みの方はどうですか。」と問われ、「何となく鈍痛、圧痛はあります。」とお答えする。次週はゾメタありで、腫瘍マーカーの測定は来月の初めに、ということになった。いつものようにロキソニンを処方して頂き、診察室を出た。

 化学療法室へ移動。席に案内されるまで15分。窓際の点滴椅子を確保した後、ベッドに移らず、リクライニングを目一杯にしてその場で看護師のOさんが針刺。今日はそれほどの痛みはなかったのだが、ヘパリンロックの薬剤は入っていくけれども逆血が確認できない、ということで認定看護師のKさんが確認。やはり逆血しない、ということで先生を呼ぶことになった。前回も一度で逆血が確認できなかったことを思い出す。
 薬が入っていけばまず問題はないのだが、カテーテルの中に澱のようなものが詰まって逆血しないということが起こるようだ。点滴が落ちる時間があまりに遅くなるとその可能性が高まり、ポート造影検査が必要になるという。
 去年9月、ナベルビンが皮下に漏れたかもしれない、ということでポート造影の結果、不具合が見つかり、抜去して再設置をしたばかり。半永久的に使えるといいつつ、2回連続で1年ちょっとで不調というのではあまりにツイていない。先生を待ちながらだんだんブルーになっていった。今度ダメなら鼠蹊部付近の留置になり、面倒だ。
 先生が試してもやはり逆血の確認はできなかったが、入れる時に抵抗があるわけでないので大丈夫、と点滴開始OKの指示が出る。もう一度看護師のKさんが試したところ、体の向きの所為なのかどうか、無事血液の混じった体液が注射針に戻ったのを私も確認できた。そして開始。今日は診察までは順調だったのに、結局昼前になってしまった。

 今日はハーセプチン、デキサート、ナベルビン、生理食塩水の4本。なかなか思うようにスムーズにはいかないものだ。早く終わったら気持ちが悪くならないうちにちょっぴり美味しいものを食べて、本屋さんに寄って・・・・などと、取らぬ狸の皮算用はやめよう、と思うのだが。
 今日は体温も35度台。開始前の血圧が81-44。「ちょっと低いけれど大丈夫?」ということでハーセプチンが終わった頃に再度測定。91-50と若干上がりいつも並み。点滴終了時は100-60まで上がり無事終了した。ニューフェースの看護師Mさんの抜針はあまり衝撃もなく良かった。
 会計を済ませ病院を出た。今日の病院滞在時間も6時間ほど。外に出るなり熱風を受ける感じだった。薬局を経由すると、結局ランチタイムぎりぎりの時間になってしまった。

 今日は3冊読んだ。
 1冊目は岩田健太郎さんの「1秒もムダに生きない 時間の上手な使い方」(光文社新書)。
 著者は1971年生れの内科医であり大学教員。感染症界のエースとして超多忙な日々を過ごしながら、執筆も精力的、多趣味でも知られるそうだ。第1章 時間を削り取る、時間を作る 第2章 時間を慈しむ 第3章私の時間は何ものか からなる。“「プライオリティ・リスト」は作らず、今、この瞬間の自分の状態に耳を澄まし、他者のまなざしに規定されずに、最もやりたいことをする”これが時間をうまく使うことにつながる。これは常に生死を見つめざるを得ない現場にいることから得られた独自の哲学だという。もちろん著者のようなスーパーマンのマネはできないけれど、時間は間違いなく有限で、湯水のようには使えないことを日々実感している身としては、あとがきの「人にはその与えられた場にふさわしい時間の使い方がある。その場にふさわしい時間の使い方をすること、これこそが「時間の上手な使い方」なのではないでしょうか。」にちょっと癒された。

 2冊目は菅谷昭さんの「新版 チェルノブイリ診療記 福島原発事故への黙示」(新潮文庫)
 帯には「子どもたちを放射能汚染から守るために『レベル7』の悲劇を最も深く知る甲状腺外科医による真実のレポート 池上彰さん推薦」とあった。新版あとがきに「『まさか15年近くも前に書いた拙著が文庫版として再出発するとは!』正直言って夢にも思っていませんでした。さらに言えば、私が生きている間に、日本でこのような大きな原発事故が起こるとも。」とあった。この本は著者が2001年まで5年半にわたってベラルーシに滞在した診療記。貧弱な医療体制の中で数多くの子どもを救い、その手技は「奇跡のメス」と賞賛されたという。今回の福島第一原発事故を受けての警告を加筆したものだ。「原発災害の安全対策に『やりすぎ』はない。とにかく子どもたちの健康を守らなくてはならない。それは私たち大人の責任なのだから。」に心が震える。

 3冊目は高樹のぶ子さんの「マイマイ新子」(新潮文庫)。
 社会が未来への希望に満ちていた昭和30年。空想好きでお転婆な9歳の新子のお話。気持ちがざわざわすると額の真上のつむじ(マイマイ)が立ち上がるという。子どもっていいな、と思わずほっこりにっこり元気になった。これは高樹さんの子ども時代、のお話である。(新子は高樹さんご自身がモデル?)

 帰宅するとお花が届いていた。今日はピンクと白のミックス、淡いグリーンのカーネーションが2本ずつ、濃いピンクのスプレーカーネーションが2本。ミニひまわりが3本、吾亦紅(われもこう)とレザーファンがそれぞれ2本だった。花言葉は「女の愛」「素朴」「青子枯れ」「物思い」だそうだ。
 お花にとっても暑くて辛い時期。きっちり水切りをして長持ちする薬剤を溶かした水に活けた。


コメント
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