「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

鎌倉市内を流れる扇川と小町通り

2024-02-06 12:00:33 | あちこち見て歩く
原 由子 - 鎌倉 On The Beach [Official Music Video]

JRで鎌倉駅に到着した観光客の皆さんの多くが最初に流れ込むのが小町通りだ。ここを北上して鶴岡八幡宮に抜けるというのが、鎌倉観光ビギナーの代表的コースなのである。

小町通りには鎌倉における老舗もあるのだけれど、鎌倉市民からすると「鎌倉らしい」と感じるお店は全体の中では少数。むしろ入れ替わりの激しい食べ物屋さんがいっぱいというのが印象だ。特に最近は立ち食いというか、歩き食いの専門の小さな店が多い。コロッケとかアイスクリームとか・・・。その場で小さな食べ物1個を手渡しして客はそこでそれを歩きながら、あるいは立ってすぐ食べる。

朝10時くらいから夕方5時くらいまでは人だらけ。人が多すぎて、さっさと歩くことができない。段葛を歩いた方が速く歩けるよ。


でも朝は9時くらいまでなら、あるいは逆に日没後であれば、ガラガラだよ(↓の画像)。住人あるいはこのあたりで働く人が通行するだけだから。

小町通りにひとつとても奇妙というか、私的にはすごく興味惹かれるものがある。今日はその話を書く。


JR鎌倉駅から小町通りに入って数分。どう見ても異様な交差点(↑)があるのだ。

わかります? ちょっと小さいからわかりにくいかな? かなり不思議な風景。

以前からここを歩くたび、かなり変だよなぁ?と思っていたのだけれど、改めて見てみた。
ここは扇川の上を小町通りが通り抜ける場所で、下の空撮画像で黄色い☆の印がついているところだ。扇川は扇ガ谷の海蔵寺(①)のあたり、少し奥を源流とする川で、市内を流れてやがて小町通り(赤い線)にたどり着き、そこからは暗渠となって若宮大路の二の鳥居(②)方面へ流れ、かつてはそこから若宮大路添いの堀に流れ込んでいた。現在は滑川へと流れる。



③がJR鎌倉駅で、ここから小町通り(赤い線)を抜けて、④の鶴岡八幡宮へと観光客は向かうのだ。

この扇川の上流の様子をお見せしましょう。こちらが紅葉の時期の海蔵寺手前の道路で、赤いカエデの下に溝みたいなのが見えるが、それが扇川である。


ちなみにこれが海蔵寺の山門。



井戸だらけの海蔵寺(↓の地図の①)。このあたりって水が溢れているのよねぇ。


で、再び地図を見ていただくと、扇川が把握できますかねぇ。①が海蔵寺だ。ずっと下って☆が先ほどの交差点というか、橋のあるところ。



扇川が流れて黄色い☆のところで赤い線である小町通りと交差する。

小町通りは瀬戸橋と名前を瞬間的に変えて、扇川を上を通過するのだ。


昭和27年竣工。1952年だね。


交差点の画像を再掲する(↓)。この交差点が「奇妙」と私は書いた。



交差点の向こうに見える橋の左と右で、左右に見える景色があまりに違うからだ。

左は妙に細い建物で始まるけれど、まあ、普通。



これが扇川。

市では下水道扱いらしい。


上空を見ると、結構建物が川方向にせり出しているが、ご愛嬌(笑)


ここまでが瀬戸橋の左側(西側)だ。

こちらが瀬戸橋の右側(東側)だ。橋の欄干の向こうは商店。


橋の欄干の向こうということは、扇川が暗渠になっていて、その暗渠の上に商店があるということになる。

最初に「居」という名前の店があり、次に「あめ源」と書かれピンクに塗装された店が見える。


さらにその隣は亀屋という有名な赤飯のお店で、そこまでが店舗だ。

その先(↓)は、普通に暗渠だ。



私がこの撮影をしたのは2月3日(土曜日)の朝。

その日の夜に放映されたブラタモリを見たら、タモリさんがこの暗渠の上を歩いていた(笑)。

このブラタモリって番組は本当に面白い。

しかしこの日のブラタモリは川の流れを追っていて、川としての暗渠に興味があったわけだけれど、私はそれとは違って、暗渠の上に商店があることに興味があったのだ。



暗渠の下は川なので、ある程度以上の大きさがある川ってだれか個人が所有することはまずなくて、したがってその上に商店が建っているというのは普通はないことである。

暗渠は上を道路の一部、あるいは建物へ入る橋として使われるくらいがせいぜいなのだ。



下の画像で隙間から扇川が覗ける。右は建物に入るための橋あるいは通路として使われていて、これはよくあること。

しかしその左は、さきほどの赤飯屋さんだ。


またちらっと扇川が見えている。


ここはすでに立ち退きがあって、新たに工事中。

青いコーンが立っているあたりは暗渠である。


以前はその暗渠の部分まで建物があって(↓)、そこは大人気の鮮魚店だった。

【Google Earth】

左手のマンションは少し前からあって、上の画像の2枚とも、それは変わっていない。

暗渠の上に古い商店の建物が建った当初、どういう建築許可があって(あるいは許可がなかったのか)、それらが建ったのだろうか。この場所の権利関係ってどうなってるのでしょう?

市の記録によると、市は暗渠の上の商店に対して1955年から立ち退き要請をしてきたと言う。

先の瀬戸橋が1952年竣工だから、それと同じような頃から暗渠の上の商店はあったし、その後すぐから市は立ち退き要請をしてたってことになるね。しかしこれだけ長い間の話だから、商店には占有権が発生していて、なかなか難しい問題になりそうだ。市にとってあまりに不利なくらい、市は時間をかけすぎている。立ち退き要請の最初は1955年だったのかもしれないけれど、途中は間が空きすぎているのでしょう。役所らしい行動だねえ。

市はこの場所の明渡し請求をしたが、昨年横浜地裁で敗訴し、控訴することを決めたそうだ。



岩田かおる氏のブログはかなり詳しくこの件を説明している。


そんなことと関係なく3日夜放映のブラタモリは進んだ。



番組後半は、鶴岡八幡宮の東側にあったと思われる大蔵幕府(「大倉」とも書く)について紹介していた。番組では「大蔵」という言葉は現代の住所区分としては存在していないが、今も残り、マンションの名前としても使われていると紹介していたね。

ほかにもね、自治会名としても残っているよ。


この大蔵幕府の西側に西の門である西御門(にしみかど)があったことはわかっていて、そのあたりを広く西御門と今も住所区分で呼ばれる地区が残っている。


大蔵幕府の反対側、東側にも門があって東御門と呼ばれららしい。


正確な位置はわからないものの、こちらも堀というか川の流れがあったらしい。

この橋(↓)、ブラタモリでも映っていたね。


これら画像(↑や↓)は一昨年に撮影したものだ。

東御門は住所区分としては使われていないが、大蔵同様地元の地区名としては認識があり、今もこのような形(↓)で使われている。


これが東御門川ですよ。


小さいけどね(笑)。

次回のブラタモリは建長寺が出てくるらしい。

臨済宗鎌倉五山第一位。これもまた楽しみですね。せめてあれくらいのレベルの番組を、視聴料とるならNHKはもっと作れよ。
コメント (22)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする