薬屋のおやじのボヤキ

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慢性疲労の最大の原因は「お疲れさんの肝臓」にあり

2014年07月09日 | お疲れさん状態の肝臓

慢性疲労の最大の原因は「お疲れさんの肝臓」にあり

 慢性的なひどい疲労感があるにもかかわらず、病院でいろいろ検査してもらっても格別に異常は認められず、“そんなはずはない。こんなにひどい疲労感があるのだから、どこか悪いに決まっている。”と医師に訴えれば、苦し紛れに“自律神経失調症、心身症、不定愁訴症候群、慢性疲労症候群”などの病名で処理されて、何とも的外れな薬を処方され、一向に症状が好転しないという事例が数多くあるようです。
 慢性疲労の原因は多々あるようですが、多くの場合は「鈍重肝臓」である、とおっしゃる医師がいらっしゃいます。2008年にお亡くなりになった甲田光雄氏です。
 その辺りのことを、甲田氏の著「あなたの少食が世界を救う」(春秋社)、「断食療法 50年で見えてきたもの」(同)から、以下に要約して引用しましょう。

 「鈍重肝臓」という誠に厄介な病気があります。これは筆者が名付けたもので現代医学書には載っていません。しかし、この患者さんは非常に多いのです。おそらく日本で何百万、いや何千万という大多数の人々がこの病気に罹っていると見て間違いないでしょう。
 ただ、大半の方はその程度が軽いために深刻に考えられていないだけです。しかし、程度が軽くても、生涯にわたっていろいろと悪い影響を及ぼし、ときには運命を狂わせてしまうことにもなりますから、決して甘くみてはなりません。
 いったい鈍重肝臓とはどのような病気なのかを説明しましょう。
 筆者はこれまで長年にわたって何万人というたくさんの人々に断食療法を行ってきました。患者さんは、現代医学の治療を長年受けたが治らず、鍼や灸、漢方なども試みたがだめで、途方に暮れた挙句、断食療法に一途の望みをかけて当院へやってこられるのです。そうした人々のなかで、次のような症状を強く訴えられる方々が数多いです。
 とにかく疲れやすくて、根気が全然ない。肩や首がこって、仕事に熱中できなくて、すぐ嫌になってしまう。書物を読んでも、頭に入らないし、すぐ忘れてしまう。名前や電話番号も、パッと出て来ず、記憶力には全く自信がない。そのために仕事がはかどらず、いつもイライラして当り散らすことが多くなった。そして、何事にも悲観的になって、取り越し苦労ばかりする。そのうち手足が冷えるようになり、寒がりになる。同時に暑さにも弱くなる。
 そのくせ食事となると人一倍たくさん食べ、その後は決まったように軽いうたた寝をしないとやってゆけない。腹部膨満感があり、便は思うように出てくれず、スッキリ感がない。
 こうした様々な苦しい症状が半年も1年も、人によっては何年も続いているのですから、本人にしてみれば大問題です。
 
しかし、こうした方々は、外見はどっしりした立派な体格の人が多く、どこが悪いのかと思われるような少し赤ら顔で、うっかりしていると、その人の苦しい症状の実態を感じ取ることが難しいくらいです。(要約引用ここまで)

 これが鈍重肝臓という病気の典型的な症状のようです。人によっては、症状の軽重がありましょうし、一部の症状しか出ない方もありましょう。逆に、ここには例示されていませんが、何かのアレルギーが出るようになったり、風邪を引きやすくなり、かつ、治りにくくなるということもあるようです。
 なお、甲田氏は「日本の、何千万という大多数の人々」と、かなりオーバーな表現をされておられますが、どうやらこれは当たっていそうです。と申しますのは、先にこのブログに投稿した記事「 脂肪肝は万病の元、フォアグラ状態が続いていいわけがない 」の中で、事例を挙げて、“一般的にはこれらの諸症状は生活が不自由になるまでのことはなく、長い年月をかけて徐々に肝臓のお疲れさん状態が進んでいくだけですから、自覚症状としては気が付かないだけのことで、年のせいだと勘違いしてしまう、ということになるのです。”と書きましたように、肝臓が弱ってのこととは誰しも思いもしないからです。「肝臓は沈黙の臓器」と言われるゆえんです。
 さて、この鈍重肝臓の原因は何か、もうお気付きでしょう。
 毎日の食事が胃腸の処理能力を超えているだけならまだしも、消化吸収された栄養やそれに紛れ込んだ有害物を一手に処理させられる肝臓が疲弊しているからです。これが最大の原因になります。しかし、それだけが原因ではなさそうです。引き続き、甲田氏の同著から鈍重肝臓の原因について要約引用しましょう。

 鈍重肝臓になる原因について、筆者の私見としては、次のとおり考えております。
 それはつまり、“文化生活”にどっぷり漬かって、動物としての本来の自然な生活習慣から逸脱した人たちが罹る「宿病」と申し上げてもよいでしょう。具体的には暖衣(厚着、暖房)、飽食(過食・美食)、安佚(引用者の注:安逸[
あんいつ]=気楽)(運動不足)、有害食品(食品添加物・農薬など)、環境汚染(大気や水などの汚染)、および精神的なストレス等が相互的に作用して「鈍重肝臓」という病状を現すことになると言えましょうか。
 人間と言うものは、精神的にも肉体的にも、とにかく楽をしたい、おいしいものを腹いっぱい食べたいといった本能が骨の髄まで染み込んでおりますから、いったんそのような環境に馴れてしまうと、なかなかそこから抜け出すことができなくなってしまうものです。
 そこで、天は、人間が本来持っていたはずの自然の法則からはずれて文化生活に浸っている人たちに、鈍重肝臓という「病気」を与えて忠告してくれているのです。
 したがって、私たちは、それを謙虚に受けとめて反省し、これ以上に本来の姿から逸脱しないようにいろいろと工夫し、また、それを実行に移してゆくことです。これが、人類の健康増進という大きな問題を解決するために肝要な方策と言わねばなりません。(要約引用ここまで)

 ところで、甲田氏が、この「病気」を「鈍重肝臓」と名付けられた理由を次のとおり書かれておられます。とても、興味深いですから、引き続き要約引用します。

 鈍重肝臓というものは、普通の食事を摂っているときに検査しても、異常が表にでてこないで正常値を示します。ですから、どこのお医者さんでも肝臓病を否定されます。
 この鈍重肝臓を治癒させるには、断食療法が一番です。こうした患者さんに入院してもらい7日間程度の断食を行うと、強い脱力感が現れ、起きるのもやっという状態になります。その状態のときに肝機能検査を行うと、GOTやGPTの値がとんでもない値に上昇しています。その数値を見れば、どのお医者さんも、これは「肝炎」と言われるに違いありません。(要約引用ここまで)

 つまり、鈍重肝臓とは“隠れ肝炎”とでも言えましょう。
 多くの肝細胞が炎症を起こしているにもかかわらず、血液検査をしても肝機能の指標となるGOTやGPTの値が正常値を示し続けるというものです。
 GOTやGPTは、肝細胞の中にある酵素の一種で、肝細胞の破壊が多ければ多いほど高い数値を示しますから、肝細胞の破壊がどの程度行われているかの指標になり、現在知られている肝炎は、これによって診断されていますので、鈍重肝臓=“隠れ肝炎”は見逃されてしまうのです。
 それが、断食をすることによって、GOTやGPTが異常に高い値を示すのはなぜか。甲田氏は実学を重んずる姿勢を取っておられますから、その辺りの医学的解説は少ないのですが、他の学者の論説と織り交ぜると、次のように言えると思われます。

 消化吸収された栄養やそれに紛れ込んだ有害物(問題なのは各種のウイルス)は、腸から門脈を通っていったん肝臓に入ります。肝臓に入るということは、肝細胞に入るということになり、各種ウイルスは肝細胞に取り込まれてしまいます。そのウイルスを吐き出す力は肝細胞にはなさそうで、ウイルスが肝細胞の中は居心地がいいと感ずれば寄生を始めます。各種肝炎はほとんどがそうしたもので、アルコール性肝炎でさえ、まだ知られていないウイルスが原因だという学者もいらっしゃいます。ウイルスが肝細胞へ単に寄生している状態であれば、大増殖して血液中に踊り出すことはなくて、そのウイルスの発見は極めて難しいと言えるでしょう。
 さて、
飽食の毎日が連続すれば、免疫機能とて低下していると考えられます。それが、断食によって全ての免疫機能が高まるわけではないでしょうが、一部の免疫機能が高まることが想像されます。特に、マクロファージ(貪食細胞)は、飽食時には活動を低下させ、飢餓時には活動を活発化させると考えてよいでしょう。
 これに関連する
最近の研究成果として、ウイルス感染した肝細胞は、クッパー細胞(マクロファージの一種)が感知して活性酸素(一酸化窒素など)を放出し、肝細胞を破壊してウイルスを殺すことが明らかになっています。
 となれば、断食によってクッパー細胞の活動が盛んになり(これを免疫機能の高まりというのですが)、ウイルスに寄生された肝細胞の破壊が進み、肝細胞中の酵素が流れ出して血液に入り、GOTやGPTが異常に高い値を示すということになります。

 以上のことで、検査数値の変化の説明はできましょう。
 でも、ウイルス感染は、ごく一部の肝細胞に起きているのではなく、ほぼ全部の肝細胞が感染していると考えざるを得ません。そうであるからこそ、鈍重肝臓の場合は、肝細胞全体の働きが低下し、様々な苦しい症状が出てきていると思われるのです。
 また、クッパー細胞による肝細胞の破壊も、せいぜい普段の何十倍かで止まり、肝細胞の1%にもなりませんから、新しく作られた無傷の肝細胞だけで肝臓の全機能を賄えるなんてことも有り得ないです。
 しかし、断食すると鈍重肝臓の方が見違えるように元気になるというのですから、不思議なものです。ここら辺りのことは全く分からないのですが、ウイルスの日和見感染ということにでもなるのではないでしょうか。ヘルペスがよく知られていますが、ウイルスに感染していても普段はおとなしくして何の自覚症状も出ないのですが、何かの拍子で免疫力が低下すると、ウイルスが暴れて体に異常を生じさせるというものです。

 さて、この鈍重肝臓を完治させるには、その原因からして、これまでどっぷりと浸かっていた文化生活を全て捨て去るしかないわけですが、それは到底不可能なことです。
 甲田氏は、重度の鈍重肝臓の患者さんには入院していただいて、適切な寒冷刺激や運動療法を取り入れるとともに玄米菜食や生菜食の少食に体を慣らし、その後に1週間程度の断食(場合によってはその繰り返し)でもって、治癒させてみえました。
 
しかし、この療法(特に長期断食)を自分勝手にやっては命取りになる危険性が大であり、適切な指導者の下で取り組むよう、甲田氏は口を酸っぱくして注意しておられます。

 長期間入院して断食するのは、一般には困難です。これに代わる何か良い方法はないか、といことになりますが、甲田氏は「鈍重肝臓を克服する方法」として、次のように述べておられますので、それを以下に要約引用しましょう。

 最も力を入れて取り組まねばならないのが、食生活の改善でしょう。腹七分の少食主義を守ることです。そして、少食になればなるほと質が問題になってきますから、自然な食品を選んだり、余さず丸ごと食べる(米なら玄米、魚は頭から尻尾まで、大根は葉っぱも)という努力が必要です。
 ところで、鈍重肝臓になるような人は大食家が多く、若い時は毎日腹いっぱい食べても何ともないという丈夫な肝臓の持ち主でもあったのですから、こうした大食家が長年の飽食を改めて少食にすることは、余程の固い決意が必要になります。
 しかしながら、人間の食欲煩悩がいかに凄まじいものであるのか、思い知らされます。固い決意をしたものの、少食生活が続けられるのは、皆さんたいてい3、4か月が限度で、パンやせんべいのつまみ食いが始まり、ついには大きな反動が出て、一気に過食へと突っ走ります。元の木阿弥、いや、悲劇的な結末を迎えることも多いのです。
 従って、少食への道は、中長期見通しを立てて一歩一歩進むのが無難です。幾つかの方法がありますが、段階的に進める一例を示しましょう。
  ①夜食を止める
  ②間食・つまみ食いを止める
  ③夕食を減らす
  ④朝食を減らす
  ⑤朝食を抜く
  ⑥昼食を少なくする
 1段階ずつ確実に習慣化させてステップアップするという方法です。ここで難しいのは③です。腹七、八分にするのは、なかなかできないものです。腹九分を習慣化するだけでもいいですから努力していただきたいです。
 ⑤については強い反発を感ずる人が多いでしょうが、実学的にも理論的にも「朝食抜き」に軍配が上がります。(引用者の注:これについては過去記事「 朝食有害論の歴史歴推移… 」で紹介済み)(要約引用ここまで)

 甲田氏は、これらの方法を取ったとしても、少食を習慣化するのはかなり難しいとおっしゃいます。それを達成するには、何よりも「食べ物に対する心の持ち方」が重要とのことです。引き続き要約引用します。

 食べ物を単なる栄養として捉える人間独尊の考え方をこのまま続けていいものでしょうか。食われるものの身になって考え、なるべく殺生しないで生きていくという、愛と慈悲の心を持つことが必要なのではないでしょうか。
 「すべてのいのちとの共生」を前提とした生き方が問われている時代です。
 私たちは、毎日いただく食べ物、肉や魚、米や野菜などなど、これらすべてのいろいろな動植物を無慈悲に殺生し、天からいただいた「いのち」の数々を単なる栄養物として捉え、飽食しています。
 このように「いのち」を粗末にしている無慈悲な行為を天は許すはずがありません。様々な生活習慣病を引き起こし、苦しめられるのです。
 それは「いのち」を粗末にしてきた人間に対する天の警告であります。
 これに気づけば、なるべく動植物の「いのち」を殺生しないでやっていく食生活を本気で考える、つまり少食の道へ進んでいけることになりましょう。
 天は少食という「いのち」に対する愛と慈悲を実行する者にのみ、すこやかに老いるという幸せを与え給うということになりましょう。(要約引用ここまで)

 いかがでしょうか。この動植物の「いのち」を敬う心が何よりも重要のように小生には思われます。甲田氏の著書は7冊持っているものの、その中からは見つかりませんでしたが、次の言葉を心を込めて毎食時に発しなければならないでしょう。
 「いただきます。ごちそうさまでした。」
 この言葉は、数多くの動植物たちの「いのち」をいただき、いただいた、人と同じ生き物である動植物たちへの感謝の言葉以外の何物でもないのですから。
 ヒトも動物であり、生き物であり、ヒトはヒト以外の生き物と同列にあって、彼らと共生させていただいているのです。間違っても、“ヒトはヒト以外の生き物の一段上にあり、彼らを自由に殺し、支配してよい”という“人間独尊の考え方”はキッパリと捨てなければなりません。そうしないことには、少食の実行はやはり不可能と言えましょう。

関連記事:2011.04.06 「 肝臓病の元凶は飽食暖衣…

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脂肪肝は万病の元、フォアグラ状態が続いていいわけがない

2014年06月07日 | お疲れさん状態の肝臓

脂肪肝は万病の元、フォアグラ状態が続いていいわけがない

 中性脂肪が異常に蓄積した肝臓、これを脂肪肝と言いますが、近年急増中のようです。
 人間ドック受診者の2、3割から脂肪肝が見つかっている、日本人成人の3人に1人が脂肪肝になっている、などと言われています。男は40歳前後、女は40代以降に多くなるようです。

 検査は簡単。腹部超音波(エコー)検査をすれば判明します。正常な肝臓は黒っぽく写り、脂肪肝であればフォアグラがそうであるように白っぽく写りますからね。なお、脂肪肝の定義は、日本消化器病学会によれば、「肝細胞の30%以上に脂肪空胞が認められる状態」を言うとのことですが、これを調べるには組織採取せねばならず、大変なことですから、エコー検査で類推するわけです。
 血液検査で、ALT(GPT)が高いとか中性脂肪が高いという場合には、脂肪肝の可能性が高いと言われますが、実際、脂肪肝であればその傾向が高いようですが、脂肪肝でなくてもそれらの数値が高い人もあり、これは当てになりません。検査値の出方には個人差がありますし、ちょっとした体調の変化で数値が大きくぶれますからね。
 脂肪肝かどうかは、検査するよりもBMI値から類推したほうがいいでしょう。BMI値25~30で50%、BMI値30以上で75%が脂肪肝という報告がありますから。
 脂肪肝はフォアグラであると考えれば合点がいきます。ダチョウやアヒルを運動させずに毎日たらふく餌を食わせればフォアグラができるのですから、人間とて同じで、運動不足で飽食し、体重が増えてメタボ体型になれば脂肪肝が出来上がろうというものです。
 男が40歳前後に最も脂肪肝が多くなるのは、そのころは脂の乗り切った年代であり暴飲暴食によるものでしょうし、女が40代以降に脂肪肝が多くなるのは、子供に手がかからなくなりますし、体型を気にしなくなって甘い物を食べ過ぎるようになるからでしょう。
 よって、運動不足の上に飽食し、だんだん肥満体になってきたという方は、誰もが脂肪肝が進んでいると考えるべきです。

 ところが、単なる脂肪肝の状態では何ら自覚症状が出ないとされています。
 まれに「疲れやすくなった」「体がだるく足が重い」「頭が重く根気が続かない」「寒がりになったし、暑さにも弱くなった」「肩がこるようになった」「腹が張ってお通じが悪くなった」といった諸症状が、人によっては部分的に出ることがあるだけだと、簡単に済まされてしまい、無視される傾向にあります。
 これは、男女ともに中年ともなれば体重が増加傾向にあることが多く、男であれば「厄年になったからなあ、若いときのようには無茶が効かなくなった」と年のせいにしてしまいますし、女であれば「更年期障害だわ、やっぱり年ね」と、これまた年のせいにしてしまいますからね。
 肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、急性肝炎は別ですが、肝臓全体が多少病んでもなかなか悲鳴を上げるところまでは行かず、少しずつだるさなどが出てくるだけのようでして、肝臓が原因と思わせられるような自覚症状が出ないのです。ですから、年のせいにされてしまうのです。
 しかし、さにあらず。先に挙げた諸症状がどうやら脂肪肝そのものの症状と思われるのです。

 ここで、肝臓の機能をおさらいしておきましょう。
 肝臓は働き者です。24時間戦っています。このことについては、2011.04.06 「 肝臓病の元凶は飽食暖衣… 」で述べましたが、その一部を以下に抜書きしましょう。
 ①腸で吸収されたものを分解・再合成し、栄養として全身へ配給します。
 ②過剰なエネルギーや鉄などのミネラルを飢餓に備えて貯蔵します。
 ③アルコール、食品添加物、薬など人体にとっての異物を解毒します。
 肝臓は昼夜休まず、たいそうな仕事を強いられ、飽食によって疲労困ぱいし、弱ってきています。酒豪の方は、アルコールそのものよりも、酒のつまみに高たんぱく、高カロリー食を摂ることにより肝臓がやられると言った方が正解です。(抜書きここまで)
(注:肝臓の機能として、これらの他に、脂肪の消化を助ける胆汁の生産がありますが、これの出の良し悪しは、脂っぽい物を食べたときに自覚できますから、以下、本稿ではこの機能に関する記述を省略します。)
 肝臓の役割として飢餓に備えての栄養貯蔵があり、脂肪肝がその一つの形態なのですが、肝細胞に脂肪空胞が数多く認められるとなると、肝細胞本来の重要な働きが落ちるのは必然です。
 飽食して栄養過剰であっても、全身の細胞が必要とする形の栄養物質が肝臓で十分作れず、内臓諸器官・組織の所々で栄養不足になって十分な機能が発揮できないことになりましょう。また、アルコール、食品添加物、薬などの解毒が思うに任せない状態となり、全身を蝕むことになりましょう。

 その結果が、先ほど例示しました諸症状となって現れてくると考えた方がいいです。
 一般的にはこれらの諸症状は生活が不自由になるまでのことはなく、長い年月をかけて徐々に肝臓のお疲れさん状態が進んでいくだけですから、自覚症状としては気が付かないだけのことで、年のせいだと勘違いしてしまう、ということになるのです。
 ちなみに、子供の頃は学校までの道のりを毎日歩いて往復するのは苦にならなかったでしょうし、20代に同窓会で学校に歩いて集合してもどってことなかったでしょうが、PTAの行事で出かける年齢となると、歩くのはおっくうだ、何とか車で行けないものか、少なくとも自転車だ、と考えるようになります。
 これは足腰の弱りだ、と片付けてしまう傾向にありますが、肝臓の弱りが大きく影響しているように思われます。腰を上げるとき、「どっこいしょ」とつい口に出してしまうのも、例示しました諸症状の最初の2つ「疲れやすくなった」「体がだるく足が重い」からで、肝臓がたいそうお疲れになられたからだと考えるべきです。

 さて、この脂肪肝ですが、格別気になる症状が出ないからといって、放置しておく、つまり、同じ生活習慣を続けていくと、取り返しの付かない肝臓病になる恐れがあるようです。
 近年、脂肪肝は万病の元と言われるようになってきました。脂肪肝は非アルコール性肝炎を引き起こし、
これが高じて肝硬変や肝臓がんに進む、あるいは、糖尿病を発症させる、動脈硬化が進み血管性疾患になる、加えて脂肪肝がベースにあるとそれらの進行が早い、といったことが指摘されています。
 それだけに止まりません。小生思うに、慢性疲労症候群の多くは、その症状からして、肝臓が疲労困ぱいし、ついに肝臓本来の機能の多くが大きくダウンしてしまった状態にあると考えざるを得ません。(この件については後日記事にしたいと思っています。)

 それじゃあ、脂肪肝を解消し、それが起因する肝臓病、糖尿病、血管性疾患、慢性疲労症候群を予防するにはどうしたら良いでしょうか。
 その答は、説明するまでもないくらい明らかなことなのですが、医学界はじめ巷では、かなり間違ったことが言われています。「肝臓病には高たんぱく食が良い」という間違った考えが定着していますから、たんぱく質の摂取を減らせとは決して言いません。逆に、タウリン(アミノ酸の1種)は肝臓の働きをよくするから積極的に摂れとまで言います。つまり、炭水化物や脂肪を制限し、たんぱく質は今までのまま、あるいはそれ以上に摂れというのですから、これは「美食せよ」と言っているのと同じです。 
 これでは肝臓はたまったものではありません。特に日本人は、です。
 なぜならば、高たんぱく食にすると、主としてたんぱく質をエネルギー物質に変換するわけですから、その分解(肝臓が担当)の過程で極めて有毒な物質「アンモニア」が大発生するからです。これは、肝細胞が速やかに解毒して尿素に変えてくれるものの、肝細胞に大きな負担が掛かるのは必然です。アルコールが肝臓に悪いというのは、アルコールも有毒物質であるから肝臓で解毒せねばならず、肝細胞に負担が掛かり過ぎるのと同じことです。(注:アルコール分解酵素の強弱は日本人の場合、かなりの個人差がありますから、酒豪であっても肝細胞にどれだけも負担が掛からない方も多いです。)
 高たんぱく食に何万年(大雑把に2千世代)も慣れ親しんできた西欧人ならまだしも、たったの2世代(戦後以降)しか高たんぱく食を経験していない日本人に、ネコ科の動物のようにアンモニアを即応的に軽々と解毒する能力が備わっているかとなると、これは大きな疑問と言わざるを得ないのです。

 よって、正解はと言うと、「美食せず、粗食に耐えて腹八分。体をもっともっと動かしなさい。」つまり「生活習慣を少なくとも戦前の状態に戻しなさい。」ということになるのです。もっとも、これをいきなり行おうとしても、とても不可能なことですし、また、急激な変化は体を壊す元ですから、やってはならないものの、長期努力目標をそこに置いていただきたいものです。
 なお、脂肪肝を早急に解消しようとして、突然極端なダイエットに走ると、逆効果になることがあります。肝臓は飢餓が訪れたと感知して、肝臓の一つの役割であるエネルギー備蓄を止めようとはしないからです。これは、脂肪肝でない人が極端なダイエットを始めると、肝臓が体中から脂肪をかき集めて「低栄養性脂肪肝」になるのと同じです。急いては事をし損じる、ということわざどおりの結果になりますから、ご注意ください。
 ですから、脂肪肝を解消するには、これはメタボ解消と同じことですが、少しずつ気長に取り組む必要があります。生体を少しずつ順応させていくしかありません。
 先ずは、腹八分にして有酸素運動を毎日少しずつ取り入れ、短期目標とする最初の1か月は2~3キロ減で十分でしょう。その後はなかなか体重が減らず多少の増加もあったりするでしょうが、中期目標としては1年間で体重の10%減程度に持って行くよう生活改善なさると良いと思います。そして、翌年も更なる生活改善を実行して1年間で体重10%減といった具合にし、BMI値をだんだん「やせ」に近づけることでしょう。なお、長期努力目標は先ほど言いました少なくとも戦前の生活習慣です。
 そうすれば、脂肪肝も肝臓病も、そして糖尿病も血管性疾患も、さらには腎臓病なり各種がんも、といったぐあいにあらゆる生活習慣病が逃げていってくれるのです。

 この生活習慣の変更の中で一番難しいのは「腹八分」ではないかと思われます。それに変わるものとして、昼食、夕食を今までのままにして、朝食を抜くという方法がおすすめです。いまやデジタル時代。アナログ的な「腹八分」で止めることは、残り二分を口にしたいという食欲煩悩との壮絶な戦いをせねばならず、かえってストレスで肝細胞まで傷めてしまいかねません。
 「朝食を食べる、食べない」という「1かゼロか」の選択の方がストレスが少なくてすむのではないでしょうか。
 ところで、「朝食を抜くとは何事ぞ!」と、読者の方々から強いお叱りを受けることでしょうね。でも、このようなバッシングは日本人しか行いませんから、小生は全く気にしません。逆に、洗脳された可哀そうな人たちだ、諸外国の食事事情に触れられるといいのにな、そうすりゃ理解できるのにな、と思っています。
 日本政府上げて、そして医師会も、「朝食を抜くと体に悪い」と大キャンペーンを張っていますが、実はこれは大間違いなのです。逆に「朝食を抜かないと体に悪い」のが真実なのです。諸外国で日本のようなキャンペーンを張っている所はどこもないですから、くれぐれもお気を付けください。
 このことについては、たとえば「 朝食有害論の歴史的推移=皆が健康な時代は古今東西「朝食抜き」 」など過去記事(左サイドバーのカテゴリー「朝食抜き・断食で健康」の中にあります)で詳細に解説していますので、お時間がありましたら一度ご覧になってください。なお、これが実行についても、いきなり行うと急激な変化に体が着いていけず、体を壊す元ですから、まずは半分、それに慣れたらそのまた半分、最後はゼロ(ただし、白湯に梅干だけならOK)、といった具合に慎重に進められるといいでしょう。
 これは、小生が実行したやり方でして、もう15年ぐらい経過しています。たしか約5年間で10キロ減量(身長157センチで60キロ→50キロ)し、イキイキ元気になりました。その後、1日1食(夕食のみ)にして約10年。今の体重は、冬50キロ、夏47キロと変動しますが、これは主として農作業に使うエネルギー消費の大小が影響しています。そして、ずっとどこも悪くない健康体を高齢者(今65歳)になっても維持しています。ただし、若干、前立腺が肥大気味ですが、これはやっぱり年のせいでしょうね。

 少々余談が長くなりましたが、肥満気味で「疲れやすくなった」「体がだるく足が重い」などの症状が少しでも感じられるようになってきたら、肝臓が疲労困ぱいに近づいている、このままいくと「脂肪肝は万病の元」と肝に銘じていただき、生活習慣改善に取り組んでいただきたいです。

(主な参考文献)
・日本消化器病学会HP 一般のみなさまへ 検診で「脂肪肝」-安全?危険?
・NHKあさイチHP 2012.9.10 女性が危ない!脂肪肝
・甲田光雄著「断食療法 50年で見えてきたもの」(春秋社)

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酷使され疲労困ぱいの「膵臓」に休暇を!フルパワーで膵臓が働くのは各季節の土用だけです。

2013年06月12日 | お疲れさん状態の肝臓

酷使され疲労困ぱいの「膵臓」に休暇を!フルパワーで膵臓が働くのは各季節の土用だけです。

 膵臓といえばインスリンを内分泌する臓器で、飽食によるブドウ糖過剰がために必死にインスリンを分泌し続け、疲れ切ってしまって糖尿病を引き起こす、ということが、まず頭に浮かびます。
 でも、膵臓はその前に、外分泌である消化液を出す最重要な臓器であることを十分に認識しておく必要があります。最終的な消化は小腸で行われますが、小腸には膵臓のような別の臓器がくっついているわけではないですし、前段階消化の胃にもそうしたものはありません。
 各種消化液を消化管に大量に流し込んでくれるのが膵臓で、類似したものに肝臓から出される胆汁がありますが、胆汁そのものには消化能力はなく、単に脂肪を小さな粒々にし脂肪粒の表面積を増やして消化液が反応しやすくなるよう助けるだけのことです。
 従って、膵臓は消化のための要となる極めて重要な臓器なのです

 このことは、2000年以上も前にその基本が完成している中医学(漢方)で経験的に知られていることです。ただし、近代になって臓器の命名法が間違ったがために、残念ながら今日では“膵臓”は軽視される傾向があります。
 2000年以上前の中医学にも解剖学がありました。そこで発見されたのが主要5臓器です。「肝・心・脾・肺・腎」の5つです。もっとも中医学では、これらは臓器そのものを指すのではなく、生理学上の働きを指しているのですが、「脾」以外はその臓器(+α)の働きと概ね一致しています。
 中医学で「脾」は何かと言うと、一言で言えば「消化吸収の要」です。臓器に当てはめれば「膵臓」となりますが、その膵臓は脾臓の隣にあり、近代になってから細かく臓器を命名する中で、本来は「脾臓」と命名すべきものを「膵臓」としてしまったのでしょう。
 よって、中医学の「脾」の説明が分かりにくくなってしまったのです。

 ところで、何でも5分類してしまうのを好む漢民族でして、中医学もそうした分類にしてしまうのですが、しかし、これによって自然界そして人体の生理がスムーズに説明できてしまうから不思議なものです。例えば次のようになります。

  五季 春・夏・土用・秋・冬 (土用は季節の変わり目)
  五方 東・南・中央・西・北
  五臓 肝・心・ 脾 ・肺・腎
  五志 怒・喜・ 思 ・憂・恐

 我々日本人がこれらを考えると、季節は春夏秋冬の4つでいいし、方角は東西南北の4つしかないし、大きな臓器は肝臓、心臓、肺、腎臓の4つで、感情は喜怒哀楽の4つでいいじゃないか、となるのですが、これでは自然界そして人体の生理がスムーズに説明ができないのです。
 もう一つ、抜け落ちている肝腎なものを見つけ出して5つに分類した、そ
うしたものを五行論といいますが、ここに挙げました4項目ともに3つ目に掲げられたもの(4つでは抜け落ちている肝腎なもの)が最も重要なものとなります。
 まず、五季の中で最も重要なのが「土用」で、これは“土に用がある時期”つまり農繁期でして、春・土用・夏・土用・秋・土用・冬・土用と季節は巡ります。五方も同様にして、中央が中心地域であり、東方から中央に戻り南方へ行ってまた中央に戻りというふうに中央を中心にして四方が関係するというものです。五志はというと、怒った後に思い、思った後に喜び、喜んだ後に思い、というふうに感情は「思う」ことを中心に巡っているとするものです。
 そして、五臓の働きは、肝が働いた後で脾が働き、脾が働いた後で心が働き、というふうに臓器は脾を中心にして働いているとするのです。
 さらに、各項目の1つ目同士、2つ目同士も密接な関連があり、3つ目同士は次のように関連付けされます。
 土用(農繁期)という季節は中心地域(農業が盛んな地域)にとって重要な時期であり、農作業で重労働をするから食事の量を増やして脾(消化吸収の要)の働きが活発になり、また、思考力を十分に発揮せねばならないのも土用の季節や中心地域の特質である。

 少々中医学の解説が長くなりましたが、膵臓は主要5臓器の要であって最重要の臓器であることが、どれだけかはご理解いただけたかと存じます。
 そして、その膵臓は、消化吸収の要の働きを担ってくれるのですが、それは“農繁期に膵臓が活発に働いてくれて重労働に耐えられるようにしてくれる”というものであって、年がら年中膵臓がその働きを強いられるのは想定外の出来事です。
 現在の飽食時代にあっては、重労働をせずに単に膵臓に無理強いして1年365日、1日24時間、膵臓を酷使し続けているのですから、膵臓が疲弊しきっているのは必然です。膵炎、膵臓がんの原因もここにありましょう。
 また、糖尿病も本質的には膵臓本体の疲弊から発症すると考えた方がよいでしょうね。インスリンは膵臓の中に粒々に存在するランゲルハンス島で作られるのですから、膵臓本体が疲弊すればランゲルハンス島もダメージを受けると考えるのが自然でしょう。

 さて、今日のグルメ時代にあっては、ヒトが本来取っていた「1日1食の少食」で済ませることはとうてい不可能です。どうしても1日3食かつ過食になってしまいます。これを無理やり少食にすると、それがストレスとなって、かえって健康を害しかねません。
 じゃあ、どうしたら良いでしょうか。
 何らかの形で、膵臓に「休暇」を与えてあげねばならないのですが。
 そこで考えられるのが、膵臓の前段階消化の消化器官の働きを高めることと、肝臓から出される胆汁の量を十分なものにすることです。これによって、膵臓が出さねばならない消化液の量をグーンと減ずることが可能になります。
 その働きの一つが先に申しました胃の働きですが、残念ながら胃も疲れています。加えて肝臓も疲れていますから胆汁の量も必要最小限しか期待できないでしょう。
 残された消化器官は口だけとなります。
 ヒトは出来損ないの動物でして、近い種の霊長類のどれと比較しても、内臓から骨格そして皮膚まで欠陥だらけです。しかし、唯一他の霊長類には決してできない特技を持っています。これは犬歯の退化によって得られたものなのですが、顎(あご)を前後左右に動かすことができ、臼歯で食物をすり潰すことができることです。チンパンジーは犬歯が邪魔になって、これができず、顎を上下に動かして単に物を叩き潰すことしかできないのです。
 ヒトは霊長類の中で唯一、牛や馬と同様の顎の動かし方でもって、食べ物を粥状にすり潰す能力を持っているのですから、これを使わないでどうするか、です。
 「1口30回ゆっくり噛む」、これが理想と言われていますが、1口100回で難病を自然治癒させた方が何人もみえますから、可能な限り回数多く噛むといいでしょうね。
 食べ物のすり潰しによって胃に入った食べ物が、さらに胃の蠕動運動でもって、よりふやけて液体に近い状態になりましょうから、膵液や胆汁は少なくて済んでしまいます。
 なお、胃からたんぱく質消化酵素が出ますから、液体に近い状態の食べ物は胃で随分と消化が進み、その分、膵液が少なくて済みます。
 加えて、もう一つのヒトの得意技として、口から消化液が出せるということ、つまり唾液に炭水化物消化酵素が含まれていることです。噛めば噛むほど唾液が出て、炭水化物は随分と消化されますから、ここでまた膵液の分泌をうんと少なくさせることができます。

 ヒトの数少ない優位な能力、臼歯のすり潰しと唾液の消化酵素を存分に発揮させるための「1口30回ゆっくり噛む」ですから、これを使わない手はないのです。
 あとは、食材の吟味です。日本人は古来からの食生活が他の民族とは異なり、たんぱく質と脂肪が極端に少ない食材しか口にしていませんでしたから、これらの消化酵素の出が悪いですし、胃も華奢(きゃしゃ)にできています。よって、動物性たんぱく質はせいぜい魚だけにし、植物性たんぱく質(大豆に多い)もほどほどにすべきでしょう。そして、「油断」です。調理するに当たって油脂は極力控えるに越したことはありません。
 ちなみに、1人当たりの食品供給量ベースで戦前(1935年)と現在(1994年)を比較すると、肉は16倍、油脂類は19倍にもなっています。これでは膵臓がもたないのは明らかなことでしょう。
 こうした食材の吟味を「1口30回ゆっくり噛む」ことと併せて行えば、膵液は従前の何分の1、いや1桁下の量を分泌するだけで済むことになります。
 これでもって、膵臓に「長期休暇」を差し上げることができようというものです。
 膵炎、膵臓がんの治療というものも、まずは原点に立ち返って「食い改め」を行い、これでもって自然治癒力を高めることから始めねばいかんでしょうね。

 最近、お客様や友人の中に、膵炎、膵臓がんを患っておられる方が次々と現れましたものですから、急ぎ記事にしたところです。

(2015.3.14追記)
 膵炎や膵臓がんの発症原因は、どうやら油っぽいもの(揚げ物、炒め物など植物油)の過剰摂取によるようです。このあたりのことを、新谷弘実著「病気にならない生き方」から抜粋して紹介しましょう。(以下、引用)

 徳川家康は天ぷらが大好きだったという話は有名ですが、もともと日本には油を使った調理法というのはありませんでした。…日本人が日常的に「揚げもの」を食べるようになったのは、江戸時代も後期に入ってからです。…
 これに対し、…地中海に近い国の人々は、古くからオリーブを栽培・多用していたため、オリーブオイルなど油を使った料理を昔から食べていました。…
 こうした食文化の違いは、遺伝子の中に「油を消化する」システムとして組み込まれていると考えられます。油は膵臓から分泌される消化液で分解消化されるのですが、私の臨床データからいうと、日本人の膵臓の機能は古くから油ものを食べてきた国の人々と比べて弱いようです。
 胃のあたりの痛みを訴えるので内視鏡検査をしたところ、胃炎も胃潰瘍もなく、十二指腸に潰瘍ができているようすもないというケースが、日本人には多々見られます。そういう人は、血液検査をすると、たいてい膵臓の異常を示すアミラーゼ値が高いという結果が出ています。そして食歴を聞くと、揚げものが好きで食べる頻度も高いのです。
 ところが、同じかそれ以上の油ものを食べていても、欧米人で膵臓にトラブルが発生する人はあまりいません。つまり、日本人の体は、欧米人のように油ものをたくさん消化することはできないということです。
 もしあなたが、週に2、3回油ものを食べていて、上腹部に痛みを感じることがあるようなら、膵炎を起こしている可能性があります。…とくに、動物性脂肪は控えているが、植物性の油なら大丈夫と、天ぷらや油炒めなどを好んで食べている人は要注意です。
…目安としては、揚げものはせいぜい月に1度ぐらいに抑えることです。…
 人間に必要な油は、…脂肪分を含有した食物を自然の形のままとることで、必要量を充分にまかなうことができます。
 自然の形のままとは、穀物、豆類、ナッツやt物の種など、油の原料となるものを、そのまま丸ごと食べるということです。それがもっとも安全で、もっともヘルシーな油の摂取方法なのです。
 

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肝臓病の元凶は飽食暖衣。これといった治療薬がないですから、生活習慣を改めるしかないです。

2011年04月06日 | お疲れさん状態の肝臓

肝臓病の元凶は飽食暖衣。これといった治療薬がないですから、生活習慣を改めるしかないです。

 戦時中の米国での事件。行き倒れの浮浪者が病院に運び込まれました。
 
アルコール中毒で肝硬変を起こしていました。
 この患者に、高たんぱく、高カロリー食を与えたところ、肝硬変が改善しました。
 こうして「肝臓病は、高たんぱく、高カロリー食、安静が良い」という神話が生まれ、肝臓病の養生として定着してしまいました。70年近く経った現在でも、これは変わっていません。ごく一部の、“これはおかしい”と感じたお医者さんを除いては。

 ここで、肝臓の仕事をおさらいしておきましょう。
 1 腸で吸収されたものを分解、再合成し、栄養として全身へ供給
 2 過剰なカロリー源や鉄などのミネラルを飢餓に備えて貯蔵
 3 アルコール、食品添加物、薬など人体にとっての異物を解毒
 これらを処理するために、肝臓は昼夜休まず、たいそうな仕事を強いられ、飽食によって疲労困ぱいし、弱ってきています。
 酒豪の方は、アルコール分解酵素を容易に分泌する力を備えていますから、これによって肝臓が疲弊することはまれで、アルコールそのものの害よりも、酒のつまみに高たんぱく、高カロリー食を過剰に摂ることによって、肝臓がやられると言った方が正解です。
 したがって、前述の養生法は、現代では逆効果になります。

 医学が進歩し、肝炎にステロイド剤が劇的に効くことが分かりました。肝細胞の破壊を食い止めてくれるのです。でも、長期連用すると、重い副作用が出て、多用できません。
 どうすれば良いか。非常に簡単なことです。自前のステロイド剤を使えば良いのです。
 腎臓の直ぐ上にある、小さな臓器「副腎」を活性化させて、必要なステロイド剤を十分に分泌させられるようにすれば良いのです。なお、ステロイドはホルモンの1種です。
 その方法は、冬でも「冷水浴」。
 水風呂専用浴槽を浴室に増設し、冷・温・冷・温・冷を1分ずつ交互に行います。
 この寒冷刺激で、副腎の機能が高まり、副作用のない自前のステロイド剤を手に入れることができるのです。

 慢性肝炎の入院患者に一切の薬を飲ませず、「冷水浴」と「適度な運動」と「少食」で、病状を改善させておられるお医者さんがいらっしゃいます。
 なお、日頃、次の3点を実行すれば、肝臓病は着実に改善するとも言っておられます。
 1 飽食暖衣するなかれ
   飽食がいけないのは前述したとおり。
   冬は寒がり、夏は暑がる方は肝臓が疲労している証拠です。
 2 冷水シャワーを1分間
   初めは微温湯で。慣れてきたら、順次、冷たくします。
 3 ゆっくりランニングを週に2、3回、2、30分間、空腹時に行うこと
   肝臓のみならず、全臓器の血流を格段に良くします。

 以上、予防医学の第一人者、小山内博氏が、その臨床実績から自信を持っておっしゃっておられます。(氏の著書「生活習慣病に克つ新常識」新潮新書による)

 この中で一番難しいのは、“飽食するなかれ”ですよね。腹八分で我慢することほど精神的に苦しいものはないです。グルメ文化華やかりし昨今ですから、食い意地が張って、何ともなりません。

 参考までに、肝硬変のでき方を、氏の同著から説明しておきましょう。
 飲酒で肝炎、肝硬変になることは少ない。飲酒習慣のある方の、原因不明の肝炎が、アルコール性肝炎にされているだけです。(後日追記=注:酒豪の方は、B・C型肝炎であってもアルコール性肝炎にされてしまうことが多いようです。)
 肝炎は、A・B・C型の他に何種類もあり、ほとんどがウイルス性のものです。
 肝細胞をウイルスが直接壊すのではなく、免疫系がウイルスに過剰反応して、正常な肝細胞まで破壊するのです。これは一種のアレルギー反応です。
 この過剰反応で、大量に肝細胞が破壊されても、直ぐに修復され、肝機能は維持されます。しかし、傷跡が残ります。
 若いうちは、何度これが繰り返されても、傷跡に弾力があり、肝機能はさほど落ちません。でも、50歳前後になると、次第に傷跡がひきつれ、収縮し、肝臓の組織を締め付け、肝硬変へと向かわせます。
 GOT、GPTの値は、肝細胞の破壊の程度を示します。もし高い値が出たら、新たに一つ傷跡が出来たと思ってください。将来の肝硬変へ静かに一歩足を踏み入れたのです。
 なお、傷跡は修復不可能ですから、このことを十分にご承知置きください。

 沈黙の臓器「肝臓」の怖~い話でした。ギョッとしますよね。
 春は肝臓の季節。この時期の養生は、肝臓のためにあるのです。
 よって、この時期は、腹八分、低たんぱく、低カロリー食に心がけるしかないのです。

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