薬屋のおやじのボヤキ

公的健康情報にはあまりにも嘘が多くて、それがためにストレスを抱え、ボヤキながら真の健康情報をつかみ取り、発信しています。

ひなたぼっこのすすめ(三宅薬品・生涯現役新聞N0.276)

2018年01月25日 | 当店毎月発刊の三宅薬品:生涯現役新聞

当店(三宅薬品)発行の生涯現役新聞N0.276:2018年1月25日発行
表題:ひなたぼっこのすすめ

副題:お日様に当たってできるビタミンDは様々な働きをします

この記事は、このブログで2日前に投稿した「冬はお日様に当たって健康づくり」の要約版です。

(表面)↓ 画面をクリック。読みにくければもう1回クリック。裏面も同様です。 

 

(裏面)瓦版のボヤキ
    白菜をたんと食べて百歳の長寿に

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9万9千Kmの毛細血管を健全に

2018年01月24日 | 血流改善が最重要

9万9千Kmの毛細血管を健全に

(本稿は別立てブログ「銀杏葉の百科事典 銀杏葉惚れ惚れ」で、同日に投稿したものですが、このブログでも記事にしました。)
 ヒトの血管の総延長は10万Kmになると言われています。また、そのうち毛細血管が99%を占めるとも。この数字は、ともに大雑把な概数ですから、本来なら「血管の総延長は10万Km、毛細血管の総延長も10万Km」と言ったほうがいいでしょう。でも、毛細血管以外の血管(大動脈、動脈、細動脈、静脈も同様の3種類)が1%を占め、その総延長が、これまた概数ですが1千Kmになるのですから、「血管の総延長は10万Km、うち毛細血管の総延長は9万9千Km」と言った方が「毛細血管は血管のほとんどを占め、とてつもなく長い」ことが理解しやすいかと思い、表題はそのように書きました。
 さて、毛細血管の役割はなにかというと「栄養と酸素の運搬」ということになるのですが、飽食時代の今日にあっては、たとえ毛細血管に不具合があっても、栄養は十二分に運搬されるでしょう。ですから、毛細血管の役割は「酸素の運搬」に特化しているといっても過言ではないです。
 ちなみに、通説となっているヒトの体細胞の数はというと「ヒトの体細胞の総数は60兆個、うち赤血球は20兆個」ですが、詳しく調べたら「ヒトの体細胞の総数は37兆2千億個、うち赤血球は26兆個」ということが分かり、細胞総数の70%もが赤血球で占められていることが判明しています。
 これらのことからすると、ヒトの体というものは「あらかたが赤血球とその通り道である毛細血管でできている」と言っても過言ではなく、ヒトが健康であるためには、健全な赤血球が十分にあることは当然ですが、毛細血管も健全なものでなければならないということになります。
 赤血球が足りなくなったり不健全になったりすると、ダイレクトに酸素運搬力に影響しますから、自覚症状として表れやすいのですが、毛細血管の不具合は直ちに自覚症状として表れることはないようです。
 というのは、常時、毛細血管の全部に血液が流れているのではなく、休止している毛細血管が多いからです。例えば、激しく運動するとなると酸素要求が高まりますから、血圧が急上昇し、その圧力によって休止している毛細血管へも血液が流れ、そこを通過する赤血球から酸素がふんだんに供給される、という仕組みになっています。よって、平常時に働いている毛細血管に不具合が生ずると、その隣の休止している毛細血管がバイパスの役割を担ってくれる、といったふうに血流は概ね確保されますから、問題は解消します。
 ところが、毛細血管の不具合は、じわりじわりと全部の毛細血管にやってくると考えた方がいいです。例えば、ごく軽い打ち身で(手や足を指でギュッと押さえただけの場合でも)青あざが出来る方がいらっしゃいますが、これは毛細血管が老化して切れやすくなっているからでして、これは手や足の一部にとどまらず、体全体の毛細血管が同じ状態になっていることでしょう。
 老化して切れやすい毛細血管は、血液中の血漿が漏れやすくなっていますから、毛細血管にかかっている内圧でもって血漿がいたずらに漏れ出した状態をかもし出し、毛細血管内外の圧力差を小さくし、これがために赤血球から放出された酸素が毛細血管外へ出て行く量が少なくなります。
 こうなると、体全体に酸素欠乏をきたします。休止している毛細血管がどれだけか動員できたとしても、原因が原因だけに体中の全細胞に十分な酸素を供給するのは不可能となります。その結果、何となく体が重い、だるい、すぐ疲れるといった体調不良を招きます。こうした体調不良は少しずつ進行していきますから、自覚することなく進んでいきがちで、年のせいにしたりします。
 
 毛細血管の老化現象は加齢により防ぎ得ない面もありますが、けっこう若返らせたり、老化の進行を遅らせたりすることができるものです。ヒトの体細胞は一般に数か月もすれば新しい細胞に置き換わります。これを新陳代謝というのですが、加齢に伴い、その生まれ変わりの頻度が落ち、一つの細胞が長々と働き続けることになります。そうした老化細胞はどうしてもガタがきて、正常に働くことができにくくなります。これが老化現象で、基本的に毛細血管の老化もこうして起きます。
 毛細血管の新陳代謝を促進する一番の方法は、力学的刺激です。赤血球は毛細血管の内壁を擦りながら、あたかもヘビが卵を飲んだごとく、ほんのわずかですが毛細血管を膨らませながら通過していきます。このときの摩擦による赤血球細胞内物質の揺れ動きで酸素が血漿中に放出されます。それと同時に毛細血管の内皮細胞も揺れ動きます。この摩擦という力学的刺激は、運動することによって赤血球の通過頻度の高まりと比例して増えることになり、運動すればするほどに力学的刺激が増え、その結果、新陳代謝も促進されるのです。使うものは使うほどに良くなり、使うものを使わなければ衰えるのは、筋肉や脳と一緒です。
 言うは易く行うは難しが毎日の十分な運動でして、誰しもができるものではありませんが、少しは意識して体を動かしたいものです。

 ここから先は少々専門的になりますが、しばしお付き合いください。
 まず、毛細血管の構造について概説します。毛細血管は次のような構造になっています。ただし、脳内に存在する毛細血管は神経細胞が必要とする物質しか通さない特殊な構造(これを脳関門という)になっていますが、その説明は省略します。

 先ほど説明しました内皮細胞は幾つもがつながっており、内皮細胞同士がくっつき合っているわずかな隙間から栄養物や酸素を含んだ血漿がしみだしていきます。
 内皮細胞の外側を取り巻いているマトリックス(細胞外基質)は内皮細胞を保護する膜で、内皮細胞がバラバラにならないよう守っています。主成分はコラーゲン繊維で透過性があり、血漿は難なく通過します。
 その外側で所々に張り付いているのが壁細胞で、ヒトデのような格好をしており、内皮細胞同士をしっかりとつなぎとめる役割を担っています。マトリックスだけではつなぎとめが不十分ですから、壁細胞の働きはとても重要です。
 このように毛細血管は2種類の細胞と基質でできていますから、その3つともが正常な状態を保ち、それぞれの機能を十分に発揮せねばなりません。
 そのためには、先に述べましたように運動することによって新陳代謝を図ってやることですが、それ以外にも打つ手は幾つかあります。
 まず、内皮細胞ですが、活性酸素や高血糖で傷つきやすく、これらによって内皮細胞の老化が急速に進行しますから、それらを防ぐ手立てが必要となります。
 その最も効果的なものが銀杏葉エキスです。銀杏葉エキスには10数種類のフラボノール配糖体と数種類の総テルペンラクトン(テルペノイド)が含まれており、これらの相乗効果で内皮細胞を守り、また、若返らせるようですし、何よりも赤血球の通りをスムーズにしてくれます。
 次に、マトリックスですが、主成分のコラーゲン(細胞外たんぱく質)は体内合成できるものの、加齢により、その合成力が落ちますから、良質のコラーゲンを補給してやると、胃や腸でいったん分解されるも再合成がスムーズに進み、健全なマトリックスが出来上がるようでして、先に述べました、ごく軽い打ち身で青あざが出来る方は、良質のコラーゲン補給でこれが解消することが多いです。
 3つめの壁細胞ですが、内皮細胞の外側に突き出しているTie2(タイツー)という受容体によって壁細胞が接着し、壁細胞が内皮細胞同士をしっかりとつなぎとめているのですが、えてしてTie2が不活性になることがあり、壁細胞がはがれてしまいがちです。こうなると、内皮細胞同士の隙間が広がりすぎてしまい、血漿がだだ漏れすることになってしまいます。
 そこで、Tie2の活性化を図る必要が生ずるのですが、近年、これに効果があるハーブや生薬が幾つもあることが分かりました。ヒハツ、月桃葉、ツルレンゲ、スターフルーツ、ハス胚芽、シナモン、サンザシ、シジウムグァバ、インディアンデーツ、かりん、ルイボスといったものです。
 これらの中で、もっとも効果的なものがヒハツのエキスのようです。そして、ヒハツエキスは、他に体内熱産生作用が知られており、冷え症改善にもいいですし、また、高血圧改善効果もどれだけかあるようです。

 ということから、毛細血管の健全化のためには、銀杏葉エキス、コラーゲン、ヒハツエキスをサプリメントとして毎日補給するのが望ましいことになります。
 こうしたサプリメントの補給によって、「9万9千Kmの毛細血管」を健全に保ちたいものです。(サプリメント製品の紹介はこのブログでは割愛しました。)

<関連記事>
ヒトの体細胞総数37兆2千億個のうち26兆個も存在する赤血球を健全にしましょう

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冬はお日様に当たって健康づくり

2018年01月23日 | 風邪・インフルエンザ・コロナ

冬はお日様に当たって健康づくり
(2018.1.23投稿 2020.1.19表挿入 2023.6.6改定基準値を挿入)

 ヒトの体内で合成できるビタミンはビタミンDだけです。それも紫外線が皮膚に当たれば簡単にできてしまいますから、日本では軽視されてきました。加えて、ビタミンDの原料はヒトの体内でいくらでも作られるコレステロールですし、皮膚でできたビタミンDは肝細胞や脂肪細胞にどれだけかは蓄えられもしますから、なおさらです。
  “なんもせんでええ”ということになってしまいます。ビタミンD欠乏を心配せねばならないのは、お日様が弱い北欧ぐらいのもの。彼の地では丸裸になって甲羅干しせにゃならん。日本は逆に紫外線から身を守るために太陽光を極力避けなくてはいかん。こうしたことが、皮膚がんが騒がれた20数年前に盛んに言われていました。そんな頃に小生が聞いた皮膚科の先生の講演で次のように言われたのを今でも記憶しています。
 「ビタミンDは、
真夏であれば暗箱に入って指1本を天に向かって突き出し、直射日光に2分(時間はうろ覚え)かざせばそれで十分に合成される。紫外線ほど害のあるものはなく、これを知っている皮膚科の医師たちはゴルフをやらない。」
 “へえ、そんなもんか”と、小生、ますますビタミンDを無視するようになりました。しかし、今は亡きおふくろですが、他界する1年ほど前から外へほとんど出なくなり、冬場には“5分でいいから玄関でひなたぼっこしろよ”と外へ誘い出しました。お日様の当たりぐあいは北欧並み以下と思われたからです。

 さて、皮膚科医が言う「夏場の指1本2分(?)」、小生がおふくろに言った「ひなたぼっこを冬場に5分」は正しいのだろうか。このあたりのことは、どうも“ええかげん”な感がします。そこで、ネット検索して得た確かな情報は、平成25年に発表された国立環境研究所の研究報告で次のものです。
 
体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定
 それを概説すると次のようになります。
 両手
・顔を晴天日の太陽光に露出したと仮定した場合、紫外線の弱い冬の12月の正午では、那覇で8分、つくばでは22分の日光浴で必要量のビタミンDを生成することができるものの、緯度の高い札幌では、つくばの3倍以上の76分日光浴をしないと必要量のビタミンDを生成しないことが判りました。
 ただし、7月の正午となると、那覇で3分、つくばで4分、札幌で5分と、いずれもほんのわずかの時間で十分となります。

 こうしてみると、けっこうな時間、お日様に当たらないと必要量のビタミンDが体内合成できないということになります。日本の真ん中あたり(当地岐阜)では、両手・顔を晴天日に夏は4分、冬は20分お日様に当てないといけないということになりましょう。

 ところで、1日に摂取する必要量のビタミンDは5.5μg/日と食事摂取基準に定められている(2015年版、その後2020年版で8.5μg/日に改定)のですが、国民健康・栄養調査による摂取量は男女平均で8μg/日となっていて、十分に足りている計算になります。
 となれば、お日様に全然当たらなくても事足りる、となってしまいそうですが、実際にはそうではなさそうです。
 欧米の研究によると、潜水艦の乗組員での調査では10μg/日の摂取でも血中ビタミンD濃度を適切に維持できないとの報告があるようですし、米国では骨粗鬆症対策のため閉経後の女性は20μg/日を推奨しているようです。
 ということになると、お日様に当たらない場合は、日本人は今の摂取量8μg/日の少なくとも倍はビタミンDを摂取せねばなりません。
 じゃあ何を食べたらいいか。ビタミンDは魚肉にけっこう含まれており、
シラス干し、イワシの丸干しに特に多く、100gで50μg程度にもなりますから、これがお勧めです。また、この2つは骨ごと食べられますから、カルシウムとビタミンDが一緒に摂れ、つまり骨の原料補給と骨作り促進の両方ができて、一石二鳥です。小魚を食べていればカルシウムが不足することはないし、骨も丈夫になると言われる所以(ゆえん)がここにあります。
 もう少し具体的にビタミンDが多い食品を紹介すると次のようになります。
   イワシ丸干し 1匹  (30g)  15μg
   シラス干し 大さじ2杯(10g)   6μg
   サケ     1切れ (80g)  26μg
   カレイ    1匹  (100g)  13μg
   ブリ      1切れ (80g)   6μg
  ---------------------------
  <参考 鶏卵  1個  (60g)   2μg >
   肉にはビタミンDがほとんど含まれておらず、欧米ではビタミンDを添加した
  牛乳が出回っているほどです。
 (本表は2020.12.19挿入)

 口から補給する話はこれくらいにして、ことビタミンDに関しては、何と言ってもお日様に当たることでしょう。米国の閉経後の女性の推奨量20μg/日からすると、国立環境研究所の値は5.5μg/日(2015年版)を元にしていますから、口からの補給量を差っ引くと、大ざつぱに言って、日本の真ん中あたりでは、両手・顔を晴天日のお昼に、夏は10分、冬は1時間お日様に当たるとよいということになります。
 これはけっこうな時間になりますが、最近の研究では、やはりこの程度の量のビタミンDを必要とするようです。次に、
それを紹介しましょう。
 出典:全薬ジャーナルNo.283(2018年1月)新春特別寄稿
 「ビタミンDの役割と健康への寄与」(東京慈恵会医科大学教授:浦島充佳)
<要約>
 ビタミンDの健康への寄与を調査研究するに当たっては、まず血中ビタミンD濃度を3段階に分けて、十分、不足、欠乏に区分します。その閾値は諸説ありますが、病気発症との関係をみて一部自分なりに設定し直しました。
 まず妊娠後期の妊婦ですが、600人の調査をしたところ、およそ半数がビタミンD不足、1割が欠乏していました。そして、外で過ごす時間と血中ビタミンD濃度は比例していました。
 我々が実施した臨床研究の第一は、急性気道感染症と喘息についてです。近年、ビタミンDは過剰な免疫反応を抑制しつつ必要な免疫機能は促進する免疫調整の働きがあることが判ってきました。
 血中ビタミンD濃度が下がると免疫細胞の分泌する抗菌、抗ウイルス蛋白質が減り、結核やインフルエンザその他の特に気道感染症に罹患しやすくなることが想定されます。
 実際冬季には血中ビタミンD濃度が下がるので、その間インフルエンザ等の急性気道感染症が増えるのは理にかなっています。しかし、ビタミンDサプリメントにより血中ビタミンD濃度を上げてやればインフルエンザ等の冬に流行する感染症を減らすことができるかについてはまだ誰も研究していませんでした。
 そこで我々研究チームは、ビタミンDがインフルエンザの発症を抑制するか否かを二重盲検ランダム化プラセボ比較試験で行いました。その結果、ビタミンD群(30μg/日)167人中18人、プラセボ群(にせ薬でビタミンDゼロ)167人中31人がインフルエンザに罹患しました。ビタミンDサプリメントによって4割程度発症を予防できたことになります。
 その後、この比較試験を国際共同研究に発展させ、1万人以上について比較試験し、これらのデータを統合してメタ解析した結果、ビタミンDサプリメントによって急性気道感染症の20%を抑制することが判りました。さらにビタミンD欠乏の人にビタミンDサプリメントを内服してもらうと70%の急性気道感染症予防効果があることが確認されました。

 次に、喘息児を対象に同様な比較試験を行ったところ、ビタミンD群とプラセボ群に明らかな喘息発作の差異が生じ、これもインフルエンザと同様に千人強についてメタ解析を行ったところ、ビタミンDサプリメントを内服してもらうと喘息重症化に対する治療頻度を26%抑制することが判り、特にビタミンD欠乏の人にビタミンDサプリメントを内服してもらうと66%も抑制することが判りました。

 パーキンソン病について、同様な比較試験を1年間行ったところ、ビタミンD群55人中16人が改善、プラセボ群57人中7人が改善という結果が出ました。このことからパーキンソン病の患者さんはビタミンDサプリメントを内服したほうがよいと思われます。

 認知症については、アメリカにおいて血中ビタミンD濃度を測定しつつ長期追跡調査した結果、ビタミンDが十分な人に比べて欠乏している人は2.25倍認知症になりやすいという結果が出ていますが、この研究は観察研究であり、認知機能が落ちてきたことにより自宅にこもり気味になり日光に当たる機会が減り、その結果、血中ビタミンD濃度が低下した可能性もあり、ビタミンDが認知症発症予防に有効であるか否かは判りません。

 がんについてもビタミンDとの関連が数多く報告されています。血中ビタミンD濃度が高いとがんになりにくく、低いとがんになりやすいというものですが、いずれも観察研究の域を出ないもので、ビタミンDが影響しているか否かは判りません。そこで、我々は2010年より食道がん、胃がん、大腸がんの患者さんをランダムにビタミンD群(50μg/日)とプラセボ群に振り分け、再発・死亡の頻度を比較する研究を継続しており、数年以内に結果を公表する予定です。

 以上が、新春特別寄稿「ビタミンDの役割と健康への寄与」の要約です。
 なお、浦島教授は、序で「サプリメント大国アメリカでは、一番の売れ筋はマルチビタミンですが、ビタミンDが二番目に売れています。」とおっしゃっています。また、まとめで「体内のビタミンDは、陽にあたることで作られるため、無料の予防薬、治療薬になりえます。」と結んでおられます。
 さあ皆さん、冬は1時間屋外で活動しましょう。それができない方は、毎日ご飯にシラス干しを振りかけて食べるなり丸干しイワシを1週間に1匹は食べたいものです。両方やれば鬼に金棒です。ビタミンDサプリメントは最後の手段としたいものです。

(追記)
 ビタミンDは、本稿で紹介したもののほか、
糖尿病予防、筋肉の強度を高める効果などがあるとも言われています。ただし、科学的エビデンスが確かかどうか分かりませんが。
 また、お日様に当たるご利益は他にもあります。
 セロトニンは、精神面に大きな影響与え、心の安定や心の安らぎなどに関与することから「幸せホルモン」と呼ばれます。午前中に太陽の光を浴びると、それが刺激となってセロトニンの分泌が活性化します。特に朝日を浴びるのがポイントのようで、浴びる時間は30分が理想のようです。冬季の日射量が少ない北欧では、「冬季うつ病」の発症が知られています。これは、日射量が少ないことによってセロトニンの量が不足するためと言われています。日本でも、冬季は日射量が減るため、セロトニンが不足しがちになりますから、意識してお日様に当たりたいものです。

(2018.1.27追記)
 ガラス越しでも畳が焼けたりするから、窓を閉め切ってガラス越しで日光浴してもいいのではないかと思われましょうが、畳が焼けるのはガラスを通過してしまうUVA(長波長紫外線)によるもので、これはビタミンDの合成にほとんど関与しないようです。ビタミンDの合成に役立つのはUVB(中波長紫外線)で、これはほとんどガラスを通過できませんから、室内でビタミンD合成をしようと思ったら、窓を開けるしかないです。
 なお、セロトニンの合成は可視光線による視神経への刺激で促されますから、窓のカーテンを開ければOKです。ただし、お日様を直に見ては網膜をやられますから、そのようなことは絶対しないでください。

関連記事
2020.12.19 新型コロナこれからの時期の自衛策はビタミンDに頼るしかなさそうです

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胃酸の逆流で逆流性食道炎が起きるなんて大間違い !?

2018年01月18日 | 胃の病

胃酸の逆流で逆流性食道炎が起きるなんて大間違い !?
(最新更新:2018.6.21)

 局所のことについて語ろうとする本題に入る前に、物事は高所から大局を見通す必要がありますので、少々長くなりますが、まずは小生がそこに至ったまでの経緯を述べさせていただきます。
 
大晦日のことであった。年末年始休業の店内で1か月の〆の経理事務をしていたら、ゆうパックが届く。なんと偉い先生(高木智司先生=『タオル枕健康法』の著者)から「爪もみリング2個とその関連書籍」を贈っていただけたのである。その先生の書かれた本を要約して当店新聞の記事「首・腰タオル枕健康法」にしただけであるのに。
 早速お礼の電話を入れたところ、
高木先生がおっしゃるには、1年前に安保徹先生(2016年12月逝去)がお亡くなりになってから免役治療の活動(日本自律神経免役治療研究会[現:日本自律神経病研究会])もしぼみがちになってしまったとのことで、いたく嘆いておられた。その活動とは鍼灸(しんきゅう)を中心としたもののようで、いただいた本の題名が『実践「免役革命」爪もみ療法』(2004年)とあるから、そういうことであるのであろう。

 さて、その書は、福田稔著・安保徹推薦とあり、推薦者と著者とが同列で名が挙がっている。このように安保さん推薦となっているものは他の著者のものもあり、無名な著者の本を目だ立たせようという意図があるのではあろうが、本を読んでみたら、こと自然免役に関しては「福田=安保理論」とあり、なんとお二人は同格である。著『免役革命』(2003年)で一躍有名になられた安保先生であり、異端の免役学者・安保先生と、福田先生が同格であるとは知らなかった。加えて、日本自律神経免役治療研究会理事長との肩書きもあるのだから大御所でもある。しかしながら残念なことに、福田先生も2014年にお亡くなりになっておられた。
 なお、安保先生はその研究会の名誉理事長であったし、冒頭で紹介した高木先生は理事(現職)であるし、「爪もみリング」の開発者でもある。

 本をいただいてから10日ほど過ぎてやっと読み終えた。福田稔医師もやはり異端児である。大病院で外科医として長年勤務し、数多くの手術をこなすなかから、胃がんなどの手術に疑問を持ち、高名な鍼灸師の出会いによって衝撃を受けたのを機会に、今までの治療法を完全に変えて、手術しないで漢方薬を使ったり、鍼(はり)の代わりに注射器の針でチクチクつぼを刺したりし始められたのだから、そりゃあ大変だ。「福田がオカルト療法を始めた」などと陰口をたたかれたりして、とうとうその病院を首になり、その後、小さな病院にもぐりこんで鍼灸治療を続けてこられたとのことである。

 ここで異端児と言ったが、それは現在の日本の医学界サイドから見た言い方であって、実際は、実に全うな治療法を確立されたのであるからして、こちらが正道である。
 福田先生はその著書のなかでこう言っておられる。
 「病院側からももっと一般的な治療を行なうよう求められもした。それも無理はない。自律神経免役治療に基づく治療で、一人の患者から私が受け取る金額といえば、わずか数百円にすぎなかった。病院にすれば、いくら治療効果が上がっても、私は厄介者でしかなかったのだろう。それでも私はそれら雑音には耳を貸さず、ただ患者の笑顔を頼りに、己の信じる道を歩み続けてきた。そしてそれなりの実績を積み上げてきたつもりである。今、逆に私は彼らに問いたい。彼らが拠り所としている現代医学でがんやアトピー性皮膚炎などの難病がどれほど治癒しているのかと。」

 本書が発売されてから14年が経とうとしているが、内容は新鮮であり、決して古ぼけてはいない。安保先生の『免役革命』(2003年)とてそうである。続刊を含めて安保先生の本は数冊持っているのだが、今までにまともに取り上げたことがない。これらはいずれ機会をとらえて紹介せねばいかんと思っている。

 随分と前置きが長くなってしまい、申しわけありません。
 これより本題に入りますが、予備知識として「逆流性食道炎」について概説します。
 食道も胃や腸と同様にぜん動運動をし、飲食物を胃の方向へ運びます。その末端には食道括約筋があって、飲食物が食道を通過したら食道を絞り込んで胃の内容物が逆流しない造りになっています。加えて、もし胃の内容物が少々逆流しても、ぜん動運動でもってすばやく胃へ戻したり、食道に入った胃液を唾液によって薄めて押し戻すことで、食道粘膜が炎症を起こさないようにしています。
 この仕組みのどこかが何らかの原因によってうまく働かなくなると、胃の内容物が逆流して食道粘膜が炎症を起こし、それがひどくなるとびらん(ただれ)が生じます。自覚症状としては胸やけです。なお、
内視鏡検査で異常が見られない場合は「非びらん性胃食道逆流症」と言います。
 そして、胃の内容物の逆流が喉まで達すれば喉の痛みを感じますし、それが誤って気管支に流れ込めば咳込むことになります。寝たきり老人の場合、こうした症状や反応を示さないことも
ままあり、雑菌が肺に入り込んで肺炎を引き起こす元凶になります。
 なお、ゲップが出る場合にも胸やけと似たような症状を起こすことがありますが、これは胃から何らかのガスが逆流するとき、胃の内容物が少量逆流することによるものです。

 以上のことは現代医学の教科書に書いてあることです。
 さて、これより
福田稔著『実践「免役革命」爪もみ療法』から胸やけの真の原因について紹介します。小生、これにはほんとビックリしました。以下、引用します。

 誰でも食べすぎたり飲みすぎたりして胸がムカムカしたことがあるだろう。この胸やけはどうして起こるのか。一般には胃酸が食道に逆流することが原因と考えられている。
 胃がなくても胸やけが起こる謎
 しかし、この原因はどうもあやしい。
 というのは、私は外科医として数え切れないほど胃の切除を行なっており、手術後、胃がまったくなくなった人が胸やけに悩まされるケースを多々、目(ま)あたりにしているからである。胃がなければ胃酸が分泌されるはずがない。にもかかわらず胸やけが起こっているのである。と、すれば、食べすぎや飲みすぎの場合も、原因は別のところにあると考ええるのが自然ではないか。
 そう思って、これまで診てきた胸やけ患者に思いをはせると、意外なくらいにすんなりと解答が頭に浮かんできた。
 胸やけを訴えて来院する人は痩せ型の男性が多い。…典型的な交感神経優位のタイプだ。当然、彼らは副交感神経の働きが弱く、食道、胃、腸など消化器の働きが不活発な状態に陥っている。食べるとすぐに、胃や腸のぜん動がストップし、胃酸や消化液も不足してしまうのだ。と、すると胸やけはそうした体の限界を告げるサインと考えればいいのではないか。
 これまでの通念である胃酸の逆流というのは、胃酸が過剰に分泌されていることを意味しているといってもいいだろう。しかし、じっさいはその逆で、胃酸が枯渇していることによって胸やけが起こっているのである。
 そう考えると、胃を全摘した患者が胸やけに悩まされるのも納得できる。胃がなくなったことで、彼らは胃酸がまったく分泌されず消化能力が枯渇している。そのために体が悲鳴をあげているというのが、彼らが胸やけに悩まされる真因だろう。
 もちろんこのときに自律神経が交感神経優位に大きく傾いているのは、いうまでもないだろう。
(ここより、少々飛んで、別の項から引用)
 胃かいようの犯人も顆粒球だった
 …もうひとつだけ、今度は思わず笑ってしまうような事例を紹介しておこう。サラリーマンの多くが経験しているだろう胃かいよう治療のケースである。
 最近でこそ、胃かいようの犯人はピロリ菌ではないかといわれているが、少し前までは胃かいようというと、わけもなく胃酸過多が原因と決め付けられていた。これはある医師がH2(エイチツー)ブロッカーという胃酸の分泌を抑える制酸効果のある薬を胃かいようの治療に用いたところ、てきめん効果が現れたことによるものだ。つまり制酸作用を持つ薬に効果があったからと、いわば後づけで原因が特定されていたわけだ。
 しかし実のところ、胃かいようの原因が胃酸ではないのは明らかだった。何といっても胃の働きが弱く、胃酸の分泌が極端に少ない人でも、胃かいようになっていたのだから……。
 ところが、不思議なことに、そんな場合でも病院では、H2ブロッカーが処方されていた。そして、かいようは改善されていたのである。と、なると、ますますもって制酸効果はかいようの改善とは無関係と考えるのが普通だろう。つまり胃かいようの原因は胃酸とは別のところにあるわけだ。
 しかし、これもまた不可解なことに、医療の世界では相も変わらず胃酸過多が胃かいようを引き起こすと考えられ続けていた。そうして胃が弱い人にH2ブロッカーが効果をもたらすことについては「不思議だね」のひとことで片づけられていたのである。
 医学界の大誤解「胃酸と胃かいよう」
 しかし、じっさいのところは不思議でもなんでもない。
 私たちは、胃かいようも、がんやアトピーと同じように、自律神経の働きが乱れ、白血球の中の顆粒球が増大することが原因していると考えている。副交感神経が優位ならば、胃酸の分泌は多くなるし、交感神経優位であれば、分泌は低下してくる。前にあげたピロリ菌にも顆粒球を増大させる作用があることもわかっている。むしろ胃酸が多ければ、ピロリ菌は少なくなる。つまり、リンパ球は多くなってくる。と、すれば、自律神経の働きを是正して白血球のバランスを改善することが、もっとも効果的な治療であるはずだ。
 実はH2ブロッカーは、そうした自律神経を調整して白血球に働きかける作用があるのである。胃かいようの治療を手がけている医者なら誰でも知っているH2ブロッカーという薬には、[一般の医者は知らないようだが  *1]白血球の中の顆粒球を抑えるという「副作用」があるのである。実はこの「副作用」こそが、かいようを改善させている効果の本質だったのだ。
 加齢により、胃酸の分泌は低下する。もちろん、ストレスによっても胃酸の分泌は低下してくる。すると胃の中にピロリ菌は住みやすくなる。胃酸の分泌が多ければ、ピロリ菌は、少なくなってくるし、胃・十二指腸かいようも改善される。とにかく、悪の根源は、[顆粒球が異常に増大することによって大量発生ずる  *2]活性酸素である。
 残念ながら医学界は、いまだにこの事実を認めようとしない。目の前の症状や既成事実として認められていることだけに気をとられ、大きな視点で人間を観ることのできない、この旧弊な体質こそが医学界の最も本質的な問題だ。もう少し目を開き、自律神経の働きに着目すれば、難病といわれる病気にも治癒の道が開かれるのに……。そう思うと残念を通り越し、無念の思いさえ禁じえないこの頃である。
(引用ここまで) (注:[ ]内の*1は引用者が類推して挿入、*2は他の項の記述による)

 ここで、「自律神経」「交感神経」「副交感神経」「顆粒球」「リンパ球」について、ちょっと解説しておきます。
 自律神経とは、随意神経(運動神経や感覚神経)に対比される不随意神経で、自分の意思で働かせることができない神経系です。そして自律神経は交感神経とそれに相対する神経である副交感神経からなります。前者は興奮しているとき、後者はリラックスしているときに優位になり、そのバランスがとても重要です。ストレスがかかると交感神経が優位になり、ストレスが大きいほどよりそうなってしまってバランスを崩し、様々な体調不良、疾患を生じやすくなります。
 白血球は幾種類かありますが、圧倒的に多いのが「顆粒球」と「リンパ球」の2種類で、そのバランスが重要なものとなるとするのが「福田=安保理論」の本質です。顆粒球とリンパ球のバランスは自律神経バランスと密接な関係にあり、交感神経が高ぶれば顆粒球が増大し、副交感神経が卓越すればリンパ球が増大することが判明しています。そして、顆粒球はその寿命が尽きるときに活性酸素を大量にばら撒きますから、ヒトの体内で作られるSOD(スーパーオキサイド ディスムターゼ)などの抗酸化剤では処理しきれず、顆粒球がいたずらに増大することは生命活動に様々な支障をきたすことになるのです。

 さて、慢性胃炎の方は、往々にして胃もたれ(消化不良)と併せて胸やけが起きます。このブログの「胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる…」などの記事でコメントやメールでをいただいたりするなかで、極度の消化不良でありながら、お医者さんからH2ブロッカーを処方され、これによって胸やけが軽減したという方が何人かいらっしゃいました。
 本書を読む前までは、“胃酸が強く出すぎて胸やけになる”という常識にしばられていましたから、“胃酸の出が極端に悪い人でも食道粘膜が過敏になっているのであろうから胸やけが生じ、徹底的に胃酸の出を絞ってやれば、とんでもない消化不良を起こすものの、胸やけが解消する”ものだと思っていました。
 でも、そうではなかったのですね。どうやら、H2ブロッカーの「副作用」で顆粒球が減ってリンパ球とのバランスが整い、そして交感神経と副交感神経のバランスを整える方向に働き、その結果として胸やけの軽減という効果をもたらした、ということになります。

 もう一つ異様な例を紹介しておきます。3、4か月前に当店に来られたお客様でガスターテン(H2ブロッカー)をお求めになり、問診すると“不眠症でもあるし、これを飲むとよく眠れる”とおっしゃる。これにはたまげましたが、本書の引用部を読んで、そういうことも有りなんと感じたところです。これも、顆粒球が減って交感神経の高ぶりが抑えられ、精神安定剤同様の「副作用」として働いたことでしょうが、絶対に真似をしてほしくない使い方です。虚弱な胃をますます痛めつけることになるH2ブロッカーですからね。

 近年、逆流性食道炎がマスコミにもよく登場するようになりました。でも、これはその多くが冒頭の基礎知識で書きました寝たきり老人に当てはまるだけのことでしょう。
 胸やけは逆流性食道炎が原因するものではないとする、福田医師の説のほうが的を得ているように思われます。非びらん性胃食道逆流症は特にそうですが、びらん性であっても、胸やけの原因は「胃や腸のぜん動がストップし、胃酸や消化液も不足してしまう。そうした体の限界を告げるサイン」と考えたほうがいいでしょう。
 このことは、漢方の理論からも裏打ちされます。漢方では、「消化器系の不調は消化器官粘膜を荒らし、その粘膜とつながっている皮膚をも荒らす」となり、胃なり腸の不調でもって、口腔では口内炎を起こしやすくなるのはよく知られたことですし、食道も影響を受けて炎症を起こしやすくなるのは必然です。そして、皮膚も荒れるところまでは行ってなくても随分と過敏になっていることでしょう。

 もう一つ、別の観点から補足しましょう。それはゲップです。冒頭で「ゲップが出る場合にも胸やけと似たような症状を起こすことがありますが、これは胃から何らかのガスが逆流するとき、胃の内容物が少量逆流することによるものです。」と書きました。
 慢性胃炎の方はゲップがでることがけっこう多いようです。その原因は3つほどあります。(1)食べ物と一緒に空気が胃に入り込み、その空気が逆流してくる。(2)唾をゴクンと飲み込んだときも同様なことが起きる。(3)腸で内容物が発酵・腐敗したときにできるガスがおならとして出ず、逆流して口から出る。
 胃が健常な人が満腹食べたときは(1)が生じますが、慢性胃炎の方は、精神的緊張から唾を飲み込むことが多くて(2)が往々にして生じますし、腸の働きも落ちていることが多いですから(3)も起こりえます。
 こうしたゲップによって、食べた物の味や臭いを感じることになるのですが、そのとき胃の内容物はごく少量逆流するだけで、すぐに新たな唾でもって洗い流されますから食道に炎症を起こすことにはなりえない性質のものでしょう。せいぜい過敏になっている食道粘膜が異常反応する程度のことです。
 なお、こうした異常反応の根源は、「福田=安保理論」からして活性酸素の大量発生ということになります。つまり、常時大きな精神的ストレスを抱えていると、交感神経が高ぶり、顆粒球が増大し、やがて顆粒球が寿命が尽きるときに活性酸素を大量にばら撒き、その活性酸素によって全身の細胞が痛めつけられて過敏になり、特に脆弱な粘膜において自覚症状として現れるというものです。

 最後に「逆流性アルカリ性食道炎」についても触れておきましょう。
 胃を
全摘した場合に、いつまで経っても胸やけで悩まされる事例があります。この場合は、胃がないですから胃酸が出ることはなく、十二指腸内の胆汁や膵液が逆流して食道に炎症を起こすと言われています。これは、術後に腸管との縫合部などで癒着、狭窄が起きた場合、食物が通過しにくくなって起きるもので、再手術によってこれが解消され、胸やけが治るという事例から、そのようだと言われるのです。
 胃切除後逆流性食道炎に対する再手術の経験(富山医科薬科大学他)
 なお、胃を全摘した場合の癒着、狭窄がないケースでも、お腹の圧迫などによって逆流が生ずることもあると言われています。
 こうした事例は、たしかに消化管内容物の逆流という物理的現象も生じましょうが、その胸やけの主因は、胃がないことによる消化不良とそれに密接に関係する腸内環境の悪化によって「体が悲鳴をあげている」というサインが出ているから、と捉えたほうがいいのではないでしょうか。小生にはそのように思われます。

 本稿は、慢性胃炎の方に胸やけを訴える方が多いですから、その真因について、下記記事の補足として投稿させていただきました。慢性胃炎の方にどれだけかの参考になれば幸いです。
  薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる(付記:お茶も薬のうち)
  胃の調子が少々おかしくてもヒーヒー言うんじゃない!

(2018.3.13追記)
 胸やけを解消する意外な方法があることを知りましたので、記事にしました。
  太田胃散が胸やけに効くわけは意外なところにあり

(2018.6.21追記)
(参考記事)本稿の中で、福田稔著『実践「免役革命」爪もみ療法』を一部引用しましたが、“爪もみ療法”は、交感神経を沈め、副交感神経を高めますから、慢性胃炎の方におすすめしたい治療法です。下記をご覧ください。
  実践「免疫革命」“爪もみ療法”のすすめ。いろんな病気が改善しますよ。

 

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冬場の淡色野菜・白物野菜はすぐれもの、薬効多し

2018年01月05日 | 食養

冬場の淡色野菜・白物野菜はすぐれもの、薬効多し

 “冬には毎日冬野菜を大いに食しましょう。” して、その冬野菜の薬効はいかに。
 冬野菜は、全てが「体を温める」食品で、生よりも火を通せば、より効果がでます。つまり、季節には季節の野菜を食べるのが基本ということになります。
 霜柱が立ち、凍てついた大地に凛凛(りんりん)と突っ立っている大根を見るたびに、その素足の美しさに惚れ惚れするのですが、氷点下になっても壊死することのない、その生命力が、これを食する我々ヒトにも与えられ、つまり、体を温めてくれるのです。
 大自然に感謝したいものです。

 一方で、随分と昔から夏野菜も年中出回っていますが、これは体をグーンと冷やしますから、冬場は食べないようにしたいです。でも、火を通せば、冷やす力をかなり殺すことができますので、トマトを食べたいのなら、蒸したり煮たりペーストにしたりしてから食されるといいです。また、野菜サラダを毎日食べたいという方は、温野菜になさってください。そして、生野菜ジュースは飲まないにこしたことはないです。どうしても飲みたいのであれば、煮込んで野菜スープになさってください。
 冬は漬け物がおいしくなる季節ですが、キュウリやナスなど夏野菜の漬物はごく少量とし、冬場はカブや大根、白菜など冬野菜の漬物中心としたいです。漬物は発酵食品で、酸っぱさは乳酸菌などによる有機酸ですから、とても質のいい栄養と言えます。
 そして、漬物には塩が付き物ですが、減塩に神経質になるのは考えものです。塩は、生命活動に必須のもので、特に冬場は多少多めでも良いのです。塩は、腎臓や生殖器の働きを高めてくれますし、体をグーンと温めてもくれますからね。
(参照記事) 
立冬から冬、何を食しますか。まずは塩味が重要です。

 漬物を食べない方にとっては、“何もかも熱をかけて、これじゃあビタミンCが壊れてしまう”とご心配されるでしょうが、ビタミンCはそう易々と壊れるものではないですし、食後にみかんでも1個足せば1日必要量は十分に摂取できましょう。

 さて、これから本題に入ります。大根、カブ、白菜、キャベツ、白ネギなどなど、冬野菜には、白色、淡色のものが多いです。淡色野菜とはカロチン含有量が100gあたり600μg未満の野菜を言い、見た目に色の薄いものや表面の色は濃くても中が薄い色の野菜を言うようです。そのうち白物野菜とは見た目にはっきりと白いものです。

 近代栄養学の評価からすれば、淡色野菜のビタミンやミネラルは緑黄色野菜に比べれば落ちます。でも、パセリが非常に栄養価が高いからといっても、そうパクパク食べられるものではなく、淡色野菜をたくさん食べればパセリに勝てますよね。その点、淡色野菜は一度にけっこうな量を食べられますから、栄養価を気にすることはないのです。

 この淡色野菜、近年、白血球を活性化させ、その働きを高める力があることがだんだん分かってきました。その研究はまだ端緒に着いたばかりのようですが、免役力が高まるというのですから、淡色野菜は馬鹿になりません。特に冬場は風邪の予防になります。
 緑黄色野菜は、その色素の元が抗酸化力を有し、免疫力にも一役買っていますが、これはあくまでも受身ですし、間接的なものです。それに対して、淡色野菜のほうは、攻めの免疫力であり、ダイレクトに効果を発揮するもので、本質的に違いがあります。

 淡色野菜の免役力への貢献として一つはっきりしてきたのが、原因物質の解明までは至っていないようですが、淡色野菜を食べると、サイトカインの一種であるTNF-α(腫瘍壊死因子)が増えるというものです。TNF-αは感染症への防御反応として産生される免疫系たんぱく質で、主として白血球の一種であるマクロファージによって作られます。なお、TNF-αはがん細胞の破壊にも大きく貢献しています。
 このことから、淡色野菜は、マクロファージを活性化させて細菌やウイルスをやっつけてくれる、つまり免役力を高めてくれる、すぐれものということが言えるのです。
 参照文献 
免疫力ランキング1位の野菜は…
        免疫力を高めるキャベツ、ナス、大根
(備考:前者の文献では、冬野菜の淡色野菜としては白菜とネギの2つだけが調査研究対象となっており、白菜に対してネギの効果がうんと弱い結果となっていますが、この調査研究ではTNF-αだけを指標としており、これだけで免役力向上能を比較できるものではありません。)

 次に、ネギについて別の観点から概説しましょう。ネギは冬野菜の王様と言えます。
 ネギは白色と緑色の両方からなっていて、幅広い働きがあるのはもとより、低カロリーで、体を温める力がたいそう大きいです。一言で言えば「マイナスのカロリー食品」です。と言うのは、摂取したネギのカロリー以上にカロリーを燃やしてくれるからです。冬にダイエットをしたい方は、毎食ネギをたくさんお召し上がりになるといいです。
 また、ネギにはミネラルの一種セレンが多く含まれ、セレンは有害金属を排泄する力がありますから、「毒出し」にも最適な食品です。特に水銀の排出力が強いですから、マグロなどの大型魚(食物連鎖で水銀を高含有)を食べるときは、ぜひネギも一緒にどうぞ。ネギトロは、その生活の知恵でしょうね。
 ネギの一番の特徴は、青ネギ、白ネギ、どちらにも大なり小なりヌルッとした粘液が含まれていることです。この粘液は、免疫系を活性化し、がん予防まで期待できる可能性があるのです。
 農研機構の調査研究(「ネギの免役活性化作用」)によると、ネギの粘液の活性成分は粘性物質ではなく、水溶性物質であるとのことです。そして、ネギでよく知られているアリシン(含硫化合物の一種:催涙物質)には免疫活性化作用はなく、活性物質は「マンノース結合レクチンとソーマチン様たんぱく質」であることが判明しています。
 この粘液含有物質の大きな働きは、IgA抗体(
細胞やウイルスを取り込み、やっつけてくれる)を増やしてくれることです。病原菌やウイルスが体内侵入したとき、この抗体でもってそれらの動きを封じ、マクロファージなどが退治してくれます。また、そのマクロファージもネギを食べると増えるとのことです。なお、この粘液含有物質は、がん細胞をやっつけるナチュラルキラー細胞も増やしてくれるとのこと。

 近年、こうした研究成果がいろいろ発表されているようで、淡色野菜が注目されてきています。でも、こうしたことは、近代栄養学なり近代医学で証明されなくても、昔の人は動物的直観力によって淡色野菜は体にいいことを知っていたに違いありません。緑黄色野菜にしても同様でしょう。
 そして、つまるところ、季節折々の旬の野菜を食べるのが一番であること、これしかない、それも近隣の土地で採れたものでなければならない、という「身土不二(しんどふじ)」の法則にたどり着いたのでしょう。
 食に関しては、科学的根拠なんて不要です。昔人が編み出した生活の知恵ほど正確で間違いがないものはないと言っても過言ではないでしょう。
 ヒトは食べ物わけても野菜によって養われているのですから(小生はそう感じています)、冬であれば、地元で採れる冬野菜を有り難くいただき、毎食、野菜に感謝する心を持ちたいものですね。心を込めて“いただきます、ごちそうさまでした”と。
  

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“高齢者「薬漬け」適正指針 国が初 副作用の有害性明記”とのことですが…

2018年01月02日 | 医者と患者・医療制度の問題点

“高齢者「薬漬け」適正指針 国が初 副作用の有害性明記”とのことですが…

 10日ほど前のネットニュースですが、その全文は以下のとおりです。
 12/24(日) 7:55産経新聞配信
 高齢者「薬漬け」適正指針 国が初 副作用の有害性明記

 高齢者が多くの薬を服用する「薬漬け」について、厚生労働省が、医師や薬剤師らを対象に服用の適正指針案(骨子)をまとめたことが23日、分かった。国レベルで高齢者の内服薬に関する指針を作成するのは初めて。薬の多種類の服用は副作用などのリスク増が指摘されている。日本では「患者がとりあえず薬をもらいたがる」といわれ、医療費の削減も期待される。指針は来春にも完成し公表、一般国民向けも来年度に考案するという。

  薬の適正使用の指針案
 ・他種の薬の服用で健康を害することがある
 ・単に薬剤の数を減らすのではなく、処方内容の見直しに重点
 ・どの薬から減らすか、変更するかなど選抜順位の考え方を記載
 ・医師や薬剤師などが一元的に情報を集約し連携

 厚労省によると、60歳を超えると高血圧や骨粗鬆(こつそしょう)症など複数の疾患を抱えることから、服用する薬の種類が増加し、75歳以上でさらに多くなる傾向にある。レセプト(診療報酬明細書)調査によると、70歳以上の患者で平均6種類以上服用している。
 東京大などの患者調査では、薬を6種類以上服用している場合に副作用が出やすくなったりするケースが急増。転倒の発生頻度が2倍近くに増え、認知障害のリスクが増加するというデータもある。
 このため指針案では「医療の質を向上させ、患者の健康に資すること」という目的を記載。高齢者が薬を服用することで生じる物忘れや目まい、失神など「有害事象」を列挙した。
 安全性確保の観点から、単に薬の数を減らすのではなく、適正な処方内容への見直しが重要であることを明記。複数の医師にかかっている場合は「お薬手帳」を活用してかかりつけ薬剤師にチェックしてもらうことも念頭に、「医師、薬剤師、看護師などが一元的に情報を集約し、連携すること」とした。
 
NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」が今秋、約5千人の高齢者に調査したところ、処方された薬を飲み残す患者も多く、47%が飲み残しの経験があると答えた。
 同法人代表で東京家政大の樋口恵子名誉教授(家族関係学)は「服薬を不安に思う高齢者は増えている。『人生100歳時代』になり、いずれ自分で薬が管理できなくなる。薬は“命のもと”であり、薬の適正なあり方を考え直さなければならない」と話した。
(引用ここまで)

 この記事を見ていると、「国が初 副作用の有害性明記」などと見出しに出ていますから、いかにもこれで「高齢者の薬漬けが解消できる」やに思われてしまいます。
 でも、こうした類のことは昔から言われていたのではないでしょうか。
 特に「医師、薬剤師、看護師などが一元的に情報を集約し、連携すること」という話が出てくるということは、もうとっくにやっていなければいけないことがいまだ行われていないということになりましょう。いかにもお粗末です。
 それにしても「70歳以上の患者で平均6種類以上服用している」とは驚きです。
 血圧の薬、コレステロールの薬、痛み止め、胃薬といったところが主だったものかと思いますが、これら全部飲んではいけないものです。
 高齢者の場合、「患者がとりあえず薬をもらいたがる」のも事実でしょうが、“もらいたがっても与えてやらない”という医者がどれだけいらっしゃるか。薬を処方せねば経営が成り立たない開業医です。お医者さんは“欲しけりゃ、どうぞどうぞ。これでおまんまが食えるわい。”となってしまいます。
 そして、「患者がとりあえず薬をもらいたがる」ことによって、「処方された薬を飲み残す患者も多く、47%が飲み残しの経験がある」ということになるのですが、実際はもっと多いのではないでしょうか。「飲み残し」ではなく、もう一歩先を行く「捨てる」という高齢者が多い感がしています。特に、うちの近くの医院ではこんな会話が待合室で行われています。
Aさん:この頃、Pさんの顔を見ないなあ。どうしたんだろう。
Bさん:Pさんは真面目な人だから、いただいた薬を全部飲んでいるんだろう。
    とりあえず飲んでみて、おかしいなあと感じたら飲んじゃいかんのだよ。
    私なんか、そうした薬は捨てておるよ。
Aさん:そうだよなあ、私もいただいた薬は1日1回にしたり、半分にしてる。
    そうせんことには体に悪いわ。
 いかがでしょうか。
 お医者さんに面と向かって“この薬は副作用がある”なんて言ったら角が立ちますよね。新しく薬が処方され、次回の診察のとき、お医者さんから“どうですか、今度の薬は?”と聞かれれば、“はい、お陰様で元気です。”と、サラリと受け流し、さも飲んでいるようなふりをする。これがお医者様との上手な付き合い方というものでしょう。
 こうした処世術に長けた方、往々にして高齢者はそうしたものですが、服薬のアンケートに答えるときも、正直ベースで回答せずに無難な回答を選択するものです。
 間もなく70歳になる小生は、何かアンケートに答えなければいけないとき、当たり障りのない選択肢を選びますからね。だいたい公の機関やその影響下にある団体が行うアンケートなんてものは、アンケート実施者に都合の良い結果が出るように仕組むなり、鉛筆を舐めて結果発表するものですから、真面目に答えたって何の役にも立たないし、ましてや自分の得になることは絶対ないものですからね。

 最後に、ニュースの中で気になったのは「単に薬の数を減らすのではなく、適正な処方内容への見直しが重要であることを明記」とあります。
 これじゃあ開業医は「今の薬を別の薬に置き換えるだけでよい」となってしまい、一向に薬漬けは解消しないとなってしまいます。

 正月早々からボヤキまくってしまい、読者のご気分を悪くしてしまいましたが、これにこりずに、この1年間も、また、このブログをご愛読いただきますようお願いし、新春第1号の記事とさせていただきます。
 末筆ながら、読者の皆様のご多幸とご健康を陰ながらお祈りいたしております。

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