Yahooニュース(東洋経済オンライン 12月4日)に、ディー・エヌ・エー(DeNA)社長の謝罪について、次のように出ていました。
「(他サイトから文言転用を推奨していた点について)私自身、モラルに反していないという考えを持つことができませんでした」。
12月1日、ディー・エヌ・エー(DeNA)は、自社で運営する9つのメディアにおいて内容が正確でない記事や無断転用があったことから、全記事を非公開化したと発表。
守安功社長は事態を謝罪し、上記のように非公開化の理由ついても説明した。
非公開化したのは「キュレーションメディア」と呼ばれるジャンルのもの。…記事を執筆するのは「キュレーター」と呼ばれるライターで、会員登録さえ行えば自由にまとめ記事を作成できる。
今回、サイトが非公開化に追い込まれたきっかけは、WELQ上で医学的に信憑性が疑わしい内容の記事が存在し、しかもそれがグーグルのキーワード検索結果の中でも上位に位置することに対する指摘が相次いだことだ。…他サイトからの無断転用が数多く存在していたからだ。ある医療関係者は「WELQの記事には、ほぼすべてを自分が書いた文章の引用で構成されているものもあった」と眉をひそめる。
著作権法に詳しい数藤雅彦弁護士は「単に出所を明示するだけでは不十分だ」と話す。数藤氏によると、引用が成立するかを決める基準のうち、「明瞭区別性」と「主従関係」が重要になるという。
明瞭区別性とは引用箇所をかぎ括弧で囲むなどして、本文と明確に区別できること。主従関係は作者の文章が主体で、引用部分はそれを補助する関係にあることを指す。
どこまでが引用かわからないもの、大半が引用で構成されている記事の場合は適法とは言えないという。キュレーションサイトは、自由にまとめを作れるため、著作権上不適切なものが掲載されることは構造的にありうる。
DeNA…編集部はクラウドソーシングサービスなどを通して集めたライターに、1文字あたり1円にも満たない単価で記事を発注することで記事を量産していたのだ。DeNAによると、その際に配られるマニュアルやライターへの指示において、他サイトからの転載を推奨しているととらえかねない点があったという。DeNA社員は「記事の発注を行う部隊は配信本数がKPI(重要業績指標)として設定されており、毎日の配信本数はメディア間で競争させられていた。しかも、SEO対策として1本あたりの文字数の基準もある。長文で大量の記事を安く生産するために、一本一本の記事に対するチェックはおろそかになっていた」と事情を話す。
(引用ここまで)
そして、本件に関して、Yahooニュース(12月5日)で、ふじいりょう氏(ブロガー/ライター/ネットメディア編集者)が次のように解説されていました。
…さまざまな形態のメディアに関わって思うのは、多くのユーザーは「深い」コンテンツを求めているわけではなく、一次情報/二次情報なのか、パクリや著作権違反をしているのか、そういったことを全く関係なしにネットで情報を得ている人の方が多数派だということだ。
例えばヒットしているドラマの原作者のインタビュー記事よりも、そのドラマの反応ツイートをまとめた記事の方が多く読まれるしSNSでも反応が伸びる。…逆に言うならば、手間をかけた記事の方がKPI(PV、UU、読了率、なんでもいい)を達成するのが難しいという環境にウェブがなっている、ということだ。
繰り返しになるが、DeNAの各メディア運営には擁護できる余地はない。だが、ユーザーが求める情報を数多く発信するというメディア本来の役割は果たしていた、ということになる。残念ながらね。
人は信じたい情報しか信じない。新聞や雑誌といったパッケージされたメディアが一昔前よりも読まれなくなり、ユーザーが読みたい情報だけを読めるようなインターネットでは、ユーザーのリテラシーを求めるような記事はPVが取れない。そういったネット環境が、『WELQ』のようなメディアを生んだのではないだろうか。「政治は国民の鏡」という言葉があるが、ネットで双方向になった現在においてはメディアもユーザーのリテラシー以上のものになり得ないと言えるかもしれない。
だからと言って、筆者を含めたメディア関係者が簡単に諦めてはいけないのは、「深い」コンテンツを求めている人は「多くない」かもしれないがゼロではないからだ。より知りたい、より正しい情報が欲しいと考えているユーザーのために、それに見合ったコンテンツ作りをしていく。
そのためには人のリソースも、お金のリソースも不可欠だし、それらを捻出するのは並大抵のことではない。それでもチャレンジをすることで信頼を得るという作業をやめてしまえば、ネットに限らず全ての「情報」が不確かなものになるだろう。
そうならないために戦うことが、この仕事をする上では絶対に外せない。
その上で、より多くのユーザーの情報リテラシーを高めるための努力が要るだろう。
ブログなどで「見る側」が簡単に「作る側」へなれる環境においては、著作権に関する知識はもっと深められるべきだろうし、不確かな情報の拡散に加担するとどうなるのか、地道に伝える努力も必要になってくるだろう。
いずれにしても、今回のDeNAメディアの事件をメディア関係者のみの問題で済ませてはいけないのではないか、と強く思う次第だ。
(引用ここまで)
小生もブロガーの一人で、このブログ以外にも幾つかブログ発信しています。
ふじいりょう氏が文末でおっしゃった「今回のDeNAメディアの事件をメディア関係者のみの問題で済ませてはいけないのではないか、と強く思う次第だ。」という言葉が、胸にぐさりと突き刺さりました。
小生も、それなりに気を付けて記事を書いていますが、どうしても不完全さは否めません。このニュースや解説で指摘された次の事項、
・医学的に信憑性が疑わしい内容の記事が存在
・(著作権法)引用箇所をかぎ括弧で囲むなどして、本文と明確に区別できること
・(著作権法)大半が引用で構成されている記事の場合は適法とは言えない
以上の点に関して、我ながら“ちょっとまずいなあ”と思う記事がけっこうあります。
最も重要な事項は「信憑性」ですが、これについては、軽はずみな記事は絶対に書かないようにしているものの、調査不足もあって、信憑性が低いものになっている場合もありそうです。
現に、読者からその点をコメントをいただき、訂正した記事もあります。また、少々自信がない記事には、ご意見をお寄せいただきたい旨、断り書きをしたりしています。
なお、こうしたことから、読者の方からの「〇〇について書いてほしい」との要望に対して、なかなか記事をアップできないものも幾つか抱えています。
次に、著作権法違反です。書物やネット上からの引用について著者の了解を得たものも若干ありますが、ほとんどは承諾を得ず、勝手に引用しています。
違法にならない引用の仕方をしているものもありますが、自分勝手に要約したり、大半が引用といった記事が数多くあります。
でも、ここは少々横着させていただいております。というのは、自分の主張に都合のいい部分だけを借りてきて信憑性を高めるというやり方ではなく、著者の本旨に合致した内容の記事であって、そこから逸脱しない範囲で記事にしているからです。
これは開き直りだ、と言われればそのとおりですが、そうした記事には著者名を記したり、著書を紹介しておいたり、といった形で著者をサポートさせていただいておりますので、著者ご本人にご迷惑はかけていないつもりです。ただし、場合によっては出版社から本が売れなくなるから困ると言われるかもしれませんが。そのときは、ごめんなさいと謝り、記事を削除することにします。
さて、この記事は、冒頭での引用がとても長文で、形式上、「大半が引用で構成されている記事の場合は適法とは言えない」ということになりますが、ニュースの引用は(新聞がそうですが)著作権法に抵触しないというのが本筋ですから、何ら問題なし、と小生は捉えています。
いずれにしましても、今回の事件を真摯に受け止め、また、ふじいりょう氏がおっしゃる「より知りたい、より正しい情報が欲しいと考えているユーザーのために、それに見合ったコンテンツ(中身、内容)作りをしていく。」ことを肝に銘じ、これからもブログ発信してまいりますので、よろしくお付き合いのほどお願いします。