薬屋のおやじのボヤキ

公的健康情報にはあまりにも嘘が多くて、それがためにストレスを抱え、ボヤキながら真の健康情報をつかみ取り、発信しています。

今月の笑い話ベスト5<チャイナ版>(11月)

2011年11月30日 | 笑い話&回文物語

<笑話:694>美女からのショートメール

ある美女が私にショートメールを送ってきた。

「今晩、私の家に来てください。誰もいませんから。」

それで、私は行って、門を叩くこと1時間。

やはり誰もいませんでした。

 

<笑話:701>糖尿病ではありません

ある人が病院に行きました。

お医者さんが、尿検査をしましょう、と言いました。

それで、この人は、家に帰って、大きな瓶にいっぱいの尿を持ってきました。

医者が検査した後、“異常なし”とカルテに書きました。

この人は、家に帰って、興奮して全家族に宣言しました:

「俺は糖尿病ではなかった。お前も大丈夫だし、お爺ちゃんも、お婆ちゃんも、子供達も、皆大丈夫だ!」

 

<笑話:702>夫婦げんか

ある女性、プリプリ怒って、家に帰るなり、夫に言いました:

「スーツケースを買ってきたわ。あなたとは、もうやっていけない。私の物をこれに詰めて、ママの家に帰るわ!」

夫は瞬きをし終わらないうちに言いました:

「遅かったな。君のお母さんは、君のお父さんと喧嘩して、今しがた大きなスーツケースを抱えて到着したばかりさ!」

 

<笑話:703>忘れた!

妻:あなた、気をつけて出勤してよ!

夫:あっ!カバンを忘れた!

妻:はい、持ってきてあげたわよ。

夫:まだ、コートも忘れた……

妻:他にまだ忘れた物はないの?

夫:あっ、しまった!昨日、首になったのを忘れてた!

 

<笑話:714>

結婚40年を経た老夫婦が会話をしています。

妻が言いました:
「昔のように私が好きではないようね。前は、いつも私にくっついて座っていたのに。」

夫が答えます:
「それはたやすいこと。」と、妻の横に座りました。

「でも、昔はいつも私の腰を抱いてくれたわね。」

「これでいいかい?」と、夫は妻の首に腕を回して抱きしめました。

「昔、私の首筋にキスして、耳たぶを咬んだのを覚えている?」

すると、彼は慌てて飛び起き、部屋から出て行こうとしました。

妻は、慌てて聞きました。

「どこへ行くの?」

夫が答えました:「入れ歯を取りに行かなきゃ!」

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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)とPPK(ピンピンコロリ)、無関係のようですが関連あり

2011年11月25日 | 医者と患者・医療制度の問題点

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)とPPK(ピンピンコロリ)、無関係のようですが関連あり

 今、マスコミをにぎわせているTPP。関税撤廃で輸出企業には大きなメリットがあるが、日本の農業は壊滅する、医療業界もピンチになる、などなど。
 各業界が、自分達の損得勘定だけで、賛成だ反対だと大騒ぎしています。
 大局的な見地からすれば、世界経済の流れは、国境を無くしてしまうという、グローバル社会へと向かっているのですから、これに逆らって鎖国経済と受け止められ兼ねない政策は、もはや取れないことでしょうね。

 医療については、医師会・歯科医師会・薬剤師会が三者連名で、国民皆保険が崩れてしまう危機的状態になるとか、混合診療が増えて患者の医療費負担がきつくなるとか、病院が株式会社化されて営利主義になるとか、薬価がおかしくなるとかで、国民のためにならないから反対だとおっしゃっています。
 これらの反対理由の一つ一つがどれも合点がいかないのですが、ビックリしたのは、「営利主義」です。今の日本の医療業界は、“博愛主義”なり“奉仕主義”でもって、“銭儲けなんぞ一切考えていない”とでも言うのでしょうかねえ。
 小生思うに、医療業界は、鎖国政策で農業以上に固く守られて“楽して儲けている”としか考えられません。少なくとも、薬漬けと検査漬けで、稼ぎまくっているのですからね。
 皆さん、よくご存知なことですが、日本人がどれだけ薬を“食わされて”いるか。
 例えば、“インフルエンザか、それタミフルだ”とばかり、世界のタミフルの7割を日本で消費していますし、“コレステロールが高いか、それ脂質降下剤だ”と、これも世界の6割を日本で消費しています。血圧降下剤だって、そうです。
 そして、日本人がどれだけ検査、検査で、余計な放射能被曝までさせられながら、高額な検査料を払わされているか。「放射能は危険だ」と医療業界が先頭を切って主張せねばならないでしょうに、検査被曝については、福島原発事故当時にマスコミを騒がせたものの、それから一月もしないうちにパタッとマスコミから消えました。なんで?です。
 検査被曝させる高額機器のCTとMRI。日本にある台数はダントツに世界一で、世界の3分の1を日本が買占め、人口当たりでドイツと比べると、CTは6倍、MRIは5倍もあり、その稼働率を上げるために“さあ、検査しましょうか”と勧められ、“いや、けっこうです”などど言おうものなら、お医者様に“いやーな顔”をされますから、“はい、よろしく”と、言わざるを得ません。そして、度々検査していれば、何かが見つかり、“はい、お薬を出しておきましょう”となって、飲まされる薬がまた増えます。
 投薬と検査で保険点数の大半を占めるという日本の医療制度をぶち壊し、「病気を治癒させ健康体にした」という、欧米方式の成功報酬型の医療制度に改革せねばならないのですが、内からの改革はとても不可能でしょうから、外圧によって変えてもらうしかないでしょうね。TPPが、それにどれだけ役立つか分かりませんが、鎖国政策よりはマシでしょう。何せ、今が最悪ですので、これ以上悪くなることはないでしょうから。

 しかし、黒船到来によって医療の面において開国政策が取られるとなれば、あわせて国民も、医療のあり方に対して目を開かねばなりません。自分の健康を“お医者さん任せにする”という、悪しき風潮を根本的に改めねば、医療改革も進まないからです。
 と言いますのは、今のお医者さんは、一面、かわいそうでもあるからです。
 “何で毎日、こうも大勢、年寄りが生活習慣病を何とかしてくれんかとやってくるのか。これでは、働き盛りの人で健康を害している、本当に困っている患者をゆっくり診察することもできない。治るものも治せないじゃないか。”というのが現状のようでして、年寄りには“歳を食ったのだから、しゃあないわ。病気と上手に付き合えや。何とかしたかったら、生活習慣を改めろよ!さっさと帰れ!”というのが、真面目に医療に取り組んでいるお医者さんの本音のようです。
 欧米では、こうしたお医者さんが本来の医療を行うことができる態勢が整っていて
、保険点数の付け方にも根本的な違いがあり、1日当たりの診察患者数は日本の数分の1以下で、診察にもカウンセリングにもたっぷりと時間がかけられているようです。

 今般の医療に関するTPPに対しては、国民が、「自分の健康は自分で責任を持つ」のが当然であり、「生活習慣病は、生活習慣を改めるしか治しようがない」という考え方をしっかり持つための良い機会ではないでしょうか。
 この取り組みは、所によっては、既に随分前から進められています。

 TPPという言葉を最初に聞いたとき、小生は一瞬PPKとごっちゃになってしまいました。
 ティーピーピーとピーピーケー。よく似てますからね。
 このPPKは「ピン・ピン・コロリ」のローマ字表記の頭文字3つを連ねたものです。
 「いつまでもピンピンと健康で、コロリと死ねたら幸せ」というのものです。
 PPKが言われるようになって、もう30年になります。8年前に当店発行の生涯現役新聞でそれを取り上げましたので、まずそれをここで紹介しましょう。データなどは10年前のもので、最新のものは一部不明ですが、ほとんど変化していないと思います。

 「ピンピンコロリの里」それは長野県です。
 数字がはっきりと物を言っています。全国47都道府県の順位を見てみましょう。
 ・入 院 率   最下位
 ・在院日数    最下位
 ・老人医療費   最下位
 ・自宅での死亡   1位
 なぜにこんなことになっているの?
 はっきりした理由は分かりませんが、長野県民が張り切ってPPK運動にいろいろと取り組んでおられるからとのこと。とばっちりを受けたのがお医者様。病院病床利用率は全国で40位と低く、延命治療費もグーンと少ないそうです。よって、お医者さんは儲からない。
 そんなことから、人口当たりの医師数は全国で38位の低さで、医者いらず。
 長野県の各界でPPK運動が展開されているようですが、仕掛人は、一高校の先生で、昭和54年のこと。今では長野県民の健康への関心は非常に高くなっているようです。
 でも、「住民検診を必ず受けよう」は、正解にあらず。進んでいる長野県のある村では、「住民検診をいくら強化しても生活習慣病は減らないし、早期発見もできない。やっても無駄だ。」と、政府の方針に反する考えを持って、やっているのは、「生活習慣改善を啓蒙するのが一番。」と、これに精力を投入しているとのことです。
(2013.5.6補記:その村は、長野県泰阜(やすおか)村で、1989年からのこと。村診療所の網野医師の強い方針のもと、村がこれに従ったのが切っ掛けです。)
 霞ヶ関の中央官庁の言うことは机上の空論。地方がそれぞれの実態をしっかり把握して、その地方にピッタリの施策を打たなきゃ間違ってしまいます。そういう地方の勝手な行政が住民に幸せをもたらすのです。
 さあ、私たちもシッカリと足下をみて、どうしたら「ピンピンコロリ」といけるか、良ーく考えてみましょう。その一つは「食」です。
 明治初期、日本に来た欧米人は、日本人の健康さに圧倒されました。「毎日50Km以上走る人力車の車夫が皆、ケロッとしている。誰一人全く疲れた様子がない。」
 調査した欧米の栄養学者は、食生活によるところが大きいと言っています。
 戦前まで、ほぼ同様な食生活を続けた日本人です。伝統的な食、おふくろの味を見直そうという「スローフード」運動が今、起きています。食文化の復活こそ、健康づくりの源ではないでしょうか。
 そして、適度なストレスを持つことがボケ防止に効果絶大です。特に女性の場合「いつまでも若くありたい。毎日、お化粧しなきゃ。」と思うこころがボケない最高の秘訣です。
 さあ、あなたもピンピンで長寿美肌。頑張りましょう、コロリまで。

 さて、これより最新の話題を紹介しましょう。
 高齢者福祉の進んでいるスウェーデンでは、近年、寝たきりにさせないために、大型の特別養護老人施設を全廃して、グループホームに変換させたとのことです。そして、女性の寝たきり防止のためには「口紅、化粧、身だしなみ」が最重要であるから、これを積極的に指導しているとのこと。
 一方、長野県が進めているPPK運動で、現在目立っているのは、生涯学習に力を入れていることだそうです。これによって、いくつになっても仕事をし、趣味を持ち、奉仕活動もするという気構えが持てるから、あらゆる生活習慣病が逃げていくようです。現に、働いている高齢者の率は長野県が日本一です。
 よって、病院通いする人や入院患者の割合が日本一少なく、県民一人当たりの治療費も日本一少ない。よって、医者の収入が一番低い県とのことです。
 その長野県で目立つ死因が、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害。これは、小生の推測ですが、病院が少なく、遠くにしかないから、即治療とは参らず、手遅れでご臨終。よって、寝たきりや半身不随にならず、延命させられて別の病名で死ぬことは少なくなる。
 でも、長野県民は長寿ですから、お年寄りたちの最新の合言葉は「脳血管障害で95歳で死のう!」とか。これぞ正しく「ピンピンコロリ」ですよね。

 そして、新しく作られた言葉がNNK(ネンネンコロリ)。長-くネンネンしてやっとコロリではあかん、というものです。こうしたお年寄りが日本にはいかに多いことか。
 参考までに、死因として脳血管障害が目立つのが欧米諸国です。そして、入院期間、病床数ともに、欧米は日本の4分の1です。ということは、欧米人は、長野県民以上にPPKが多いということでしょうね。でも、欧米でPPK運動をしているなぞ聞いたことがありません。このことからも、日本の高齢者医療は、どこかおかしいとなります。
 よって、医療においては、この際、TPP、いやそのずっと上を行く、正真正銘の黒船到来が待ち望まれるのですが…。

(2013.12.14追記:米国在住の日本人の方からの情報などを元に)
 TPPのその後の交渉において、医療分野ではどれだけも門戸が開かれることはなさそうです。実に残念です。
 薬漬け・検査漬けを解消するには、米国のように民間会社による健康保険制度の導入が一番です。民間会社は健康保険料を低くして加入者を増やし、なおかつ利益を上げねばなりません。ここに良い競争原理が働きますし、生命保険と同様に、加入者としても、手厚い保障を得たければ高額の保険料を払い、最低限の保障でよければ安い保険料で済み、幅広く選択することができます。
 よって、米国の保険会社は、保険診療する医療機関を厳しく査定することができ、検査数値がどれだけのこともないのに薬をやたらと処方すれば、保険会社はその医療機関との契約を解消してしまいます。例えば、血圧は180を超えないことには簡単には降圧剤を処方できないようですし、更年期過ぎの女性には基本的にコレステロールの降下剤を処方できないようです。無駄な検査も認められず、MRIやCTなど1回5万円以上要する検査は保険会社の了承が得られないと実施できないとのことです。
 そうした仕組みになっています。
 一方、日本の場合はというと、健保組合が医療機関の水増し請求を調べるだけで、こうした米国のような査定は全くなされていません。これでは薬漬け・検査漬けはブレーキの掛けようがなく、生命保険への外資の参入と同様に、健康保険にも米国式制度に乗っかった外資の参入が待たれるのです。
 TPP交渉によって、こうした黒船到来があれば、老人医療費は半減、いやそれ以下になり、老人は皆元気を取り戻し、PPKで安心してあの世に旅立てるのですが…。
 夢がはるか彼方に遠退きました。NNK(ネンネンコロリ)。

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「いただきます。ごちそうさま。」 大事にしたいです、明治に生まれたこの言葉。

2011年11月23日 | 食養

「いただきます。ごちそうさま。」 大事にしたいです、明治に生まれたこの言葉。

 勤労感謝の日(その昔は新嘗祭)によせて、毎日いただく食卓に並んだ食べ物に対して、私たちが何を思うかについて、今一度取り上げることにします。
 なお、この記事は、当店の生涯現役新聞2005年11月号の記事に一部書き足したものです。

<日本人の食事のときの挨拶>
 食卓に並んだ食べ物を眺めてから、「いただきます」と、1人で食べるときであっても何気なく口にします。これを見た外国人は、けげんな顔をします。
 外国では、「さあ、食べましょう」とか「食事を楽しみましょう」という言葉であったり、「食欲あれ」という意味の言葉や日本語の「どうも」のように何にでも使える言葉であったり、国によって様々のようです。ただし、これらの言葉が発せられるのは、皆が揃って食べ始めるときに限られます。
 皆が揃っても、「………」と、いきなり食べ始める。これが大変多いようです。
 もっとも、信仰心の厚いキリスト教徒やイスラム教徒の場合は、「神の恵みに感謝」するお祈りの言葉を発しますが。
 信仰心とは別のところで発する日本人の「いただきます」と同じ意味の言葉は、世界中探しても、どこにもなさそうです。ただし、韓国には(「ごちそうさま」も含めて)同じ言葉がありますが、これは、食事をおごっていただいたときに、その方へのお礼の言葉であって、全く異質の使い方です。
 そして、食事を食べ終わったら、日本人は、空になった碗や皿に向かって、「ごちそうさま」と言いますし、「いただきます」を言わない人でも、これを言う人は多いです。外国ではどうかというと、「………」、何も言わないケースが圧倒的に多いようです。

 「いただきます」と「ごちそうさま」、日本人に深く根付いているこの言葉は、江戸時代まではなかったようですが、明治になってから一部で使われるようになりました。
 これが順次広く国民に広がり、戦後にテレビが普及して、家庭ドラマなどを通して完全に定着したと考えられます。
 私たちは、現在、この言葉にどういう意味を込めて発しているのでしょうか。
  「神仏への感謝」、「自然の恵みへの感謝」、「生産者への感謝」、「働き手のお父さんへの感謝」、「調理してくれたお母さんへの感謝」などなど。
 これらが混然一体となって使われているように思われます。

 小生の思い(6年前の当時)としては、ここ10年ほど百姓を少々やるようになって、この言葉は「豊かな自然から与えられた恵みへの感謝の気持ち」の表現ではなかろうか、と思い始めました。そこで、あるとき、親戚の法事に行ったときに、お坊さんに、自分はこう思うようになったが如何なものか、と聞いてみました。
 そのお坊さん曰く、
 もう一つございます。人間は、自分が生きるために、食卓に並んだ「生き物」を食べてしまいますが、「生き物」は、“人間に食われる”ために生まれてきたわけではありません。「生き物」を食べてしまうことに、“申し訳ない”という気持ちをお持ちになってください。また、「生き物」を採ってくれた人間、「生き物」を売ってくれた人間には金を払うが、「生き物」には一銭の金も払っておらんです。まことに“申し訳ない”ことです。そう思って食事をお召し上がりください。
 なるほど。小生はそこまで考えが及びませんでした。実に“申し訳ない。”
 その日以降、この両方を思って、「いただきます」と「ごちそうさま」を発するようになりました。

 最後に、少食健康法を勧めておられる甲田光雄医学博士の話をご紹介しましょう。
 …食われる者の身になって考えてみよ。人間本位の、動植物に対する差別思想の食生活により、あらゆる生き物を殺しまくり、たらふく食べて生活習慣病を引き起こしている。その報いが環境破壊という重大事になり、人類を滅亡へと向かわせようとしている。今、人間は地球上の全ての「いのち」と共存共栄を図ることを本当に実行に移すか否かが問われている。…

 以上のように、当店の生涯現役新聞2005年11月号に書いたところですが、その3年後に「数の文化と論理」という論文を書き、その中の第2章第7節で「明治に生まれた純粋贈与思想」として、「いただきます」と「ごちそうさま」を取り上げ、だれがなぜに、このような言葉を作り出したのか(これを調べようと、ネット検索したのですが、ヒットせず)について、小生の推測で恐縮ですが、その思いを述べていますので、それをここで再び書かせていただくことにします。皆様も、一緒にお考えいただければ幸いです。

 …幕末の開国によって、日本に欧米人が数多く入ってきました。異文化の流入です。
 食に関する彼らの文化は、「食べ物は単なる栄養物」であって、「生き物は殺して食えばよい」というものです。これは、人間というものは、あらゆる生き物の上に立つ優れた存在であるとする思想から出てくる感情です。文明開化によって、この殺伐とした文化が日本人に広まってはいかんという危機意識がまずあったことでしょう。
 日本人には、人間は自分の力でもって生き物を採って食べて生きているのではなく、「生き物によって生かせれている」とする思想が、その本質としてあるからです。
 そこで、従前からあった「もったいない」という観念、これを拡張させることにしたのではないでしょうか。なお、この言葉は、そもそもは仏教用語で、意味を異にするものの、これに日本固有の生き物を敬う多神教の文化を融合させて出来上がった、これも、世界に誇れる日本特有の素晴らしい言葉…今、この言葉は国際化しつつあります…であるのですが、この「もったいない」という観念を、食事のたびに、食卓にのぼった生き物に対しても直接的に投げかけようとして、「いただきます」と「ごちそうさま」という言葉を登場させたのではないでしょうか。
 そして、明治初期に、だれかがこの言葉を食事のときに発した。
 それが、短期間で全国に広まったようですから、発進元は、軍隊か学校のいずれかしか考えられません。そこに、実に立派な、それも多分身分の低い方であったろう、無名なだれかがいらっしゃったと考えるしかありません。
 私たちは、その方に敬意を表しつつ、永遠にこの素晴らしい文化を守り通さねばならない責務があるのではないでしょうか。
 蛇足ながら、そのときに合掌するか否かですが、小生は、当初は迷って合掌したりしなかったりでした。今は、軽く会釈するだけです。そのときのこころが重要であって、儀式はどうでも良いでしょう。理屈を言えば、仏教から出た言葉ではないですから合掌する必要はないですし、神道から出た言葉でもないので拍手を打つ必要もないのです。自分にとって、最も真摯な気持ちになれる型であれば良いのであり、ここは無意識の自己に従うのが一番の方法でしょう。

 いかがなものでしょうか。

(2014.5.23追記)
 「ごちそうさま」は先行してどれだけか使われていたようですが、「いただきます」は明治になってから少しずつ使われるようになり、両方が本格的に使われるようになったのは戦後になってからとのことです。
 今日、このことについて検索していたら、『日本人はいつから「いただきます」するようになったのか』という本を篠賀大祐氏が書かれているのを知りました。
 これはネットで全文を見ることができます。興味深いです。次をクリック。
(2017.2.17追記)残念ながら、下記をクリックしても、もう読めなくなりました。  
 http://itadakimasusuru.info/ (ちょっと重たいです。何秒かかかります。)
 (場合によっては、幾つかのサイトが出るかもしれませんが、たぶんトップに「いただきます」が出てくると思います。それをクリック。)

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冬ヤセ、夏ヤセで毒だし!おすすめします1日断食の繰り返し

2011年11月12日 | 朝食抜き・断食で健康

冬ヤセ、夏ヤセで毒だし!おすすめします1日断食の繰り返し

 6年前の夏のこと。おふくろが、「おめぇ、やせたなぁ。無理してでも食わんと、体に悪いわ。」と小生に申しました。実は、そのとき、女房を付き合わせて1日断食を月に3回実行していて、原因は断食にあったのですが、それをおふくろは知らなかったものですから、夏やせと勘違いされたてしまったのです。
 体重は変動しない方が健康と言われますが、果たしてそうと言えるでしょうか。
 野生動物は、夏やせしますし、冬やせします。特に冬にやせます。食い物がないからです。やせたり肥えたりを年に2回繰り返すのが普通です。
 実は、野生動物は、こうだからこそ健康が維持できて、病気にならないのです。

 一方、豊かになった日本人です。有り余る食糧に囲まれ、毎日毎日たらふく食べて“飢餓に備え”備蓄脂肪を腹の周りにたっぷり抱き抱えて、体重が年変化することなく、肥満の体を持て余まし気味にして、のそのそ動いています。
 小生とて、その12年前まではサラリーマンでしてデスクワークの仕事でしたから、体重は62キロもあり、のそのそ動いていました。でも、親父の跡を継いで店頭に立ち、一日中動き回らざるを得なくなり、また、その後1日1食にするようになって、体重は50キロまで減りました。
 それでも、体脂肪率は10%を切ることはなく、6、7キロ程度の備蓄燃料を持ち歩いている勘定になります。以前は、20キロ近い備蓄燃料を腹の周りに巻き付けて持ち歩いていたのですから、そりゃあ重かったに違いなく、のそのそ歩きになるのは当然のこと。
 “明日にも突然に飢餓が訪れて、当分の間、餌にありつけない。”とばかりに、“万一に備え”万全を期すのも良いでしょうが、果たして如何なものか。どんな災害に遭ったとしても、1週間分の備蓄、体脂肪が2キロ程度でもって事足りるでしょう。
 なお、小生は、当時、体脂肪率を何とかして10%を切るところまで持って行くことを目標とし、1日断食を繰り返したのですが、体重を47キロまで落として、やっとたどり着いただけです。ここまで減らすと、頬がこけ、薬屋の店主としては貧弱すぎてみっともなくなり、急ぎ体重を50キロまで戻して体裁を取り繕ったのですが、その間、健康そのもので、体重を増減させても決して健康に悪くないのを実感しています。

 さて、この断食、やり方はいろいろありますが、自分勝手にやると体を壊す元になりますから、正しく、できればその道のプロに指導してもらって行う必要があります。
 と言いますのは、断食すれば必ず体重が減りますが、やり方が悪いと筋肉を落としてしまい、脂肪が落ちないという結果にもなりますからね。そして、何よりも断食明けの復食のリバウンドが怖いです。(2014.4.19追記:ご紹介します⇒「家庭でできる断食健康法」)
 断食の目的は、宿便を取ることと備蓄脂肪を燃やすことにあります。宿便については別の機会に譲りますが、ここでは備蓄脂肪について説明しましょう。

 溜め込んでいる脂肪は、早々に燃やさなければいけないのです。溜めたら燃やすを頻繁に繰り返すことによって、実は、毒素がスムーズに抜けていくのです。野生動物は、だから健康であると言えるのです。
 体内脂肪は、飢餓に備えての備蓄燃料であると同時に有害物質の保管庫でもあるのです。体液中に有害物質がたくさんあると生命活動に大きな支障が出ますから、生体はそれを防止するために、常日頃は使わない場所に寄せ集めるのです。それが一般に内臓脂肪であったり、人では皮下脂肪(これを持つ動物は限られ、人は珍種です)であったりします。飽食すれば、保管庫も大きくなりますが、そこにしまい込む有害物質も必然的に多くなります。
 その保管庫は完全なものではありませんから、有害物質が少しずつ漏れ出し、体中で悪さをします。
 ですから、保管庫丸ごと外へ放り出す必要があります。つまり、体内脂肪を一気に燃焼させて、そのときに有害物質をドッと吐き出させ、尿中へ放出させるのです。
 これが、断食であり、動物であれば、夏やせ、冬やせです。また、肉食動物であれば、毎週の定期断食です。例えば、野生のライオンであれば、通常、1週間に1回狩をし、1週1食で済ませていますし、動物園では、1日1食、1週間に1日断食させています。
 季節ごとの断食であれ、週ごとの断食であれ、体内脂肪をまとめて燃焼させることによって…一気に全部ということではなく、部分的であっても…かなり多量の有害物質が体外に排出されるようです。

 これは、ヒトにおいて、実証されています。
 典型的な2例を紹介しましょう。昭和43年の「カネミ油症事件」と、それよりずっと前の昭和30年の「森永ヒ素ミルク事件」です。
 前者は、製造過程で混入したPCBが食用油に混ざり込み、これを摂取して体内でダイオキシンが発生し、吹き出物、頭痛、肝機能障害で苦しみました。被害者は1万4千人。後者は、幼児用ミルクへのヒ素の混入で、患者は1万2千人、死者130人。
 ともに有害物質が体内脂肪に蓄積され、それがじわりじわりと溶け出してきて、半永久的に体を蝕ばみ続けるという質の悪いものです。
 どちらの治療法も分からず、厚生省はお手上げ状態にあったのですが、「カネミ油症事件」の被害者を救われたのが、淡路島の小さな診療所の医師、今村基雄先生です。
 昭和47年に、患者に断食療法を勧め、体内脂肪を燃焼させて、ダイオキシンを尿として体外排出させることに成功したのです。厚生省も「今村式断食療法」を治療法として、正式に採用したほどの効果がありました。
 同じ年に、「森永ヒ素ミルク事件」の被害者を救われたのが、八尾市で医院を開設しておられた甲田光雄先生です。こちらも断食療法を採り入れ、期待以上の好結果を得て、世界中で反響を呼びました。断食で予想以上のヒ素が尿として排出されたのです。

 11月14日は「世界糖尿病デー」です。食べ過ぎ、肥満を戒める日です。
 小生は昨年の11月14日に1日断食に再度チャレンジしました。今年は遠慮しときますが、皆さんも断食をなさってみませんか。そして、今冬は、冬やせに挑戦してみてください。毒だしができて、健康を取り戻せますよ。そう言う小生も冬やせするよう、今から腹八分にせにゃいかんですね。
   

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元祖「公害」は奈良の大仏、すさまじかった水銀汚染。今はマグロで水銀が体内蓄積。

2011年11月11日 | ミネラルが最重要

元祖「公害」は奈良の大仏、すさまじかった水銀汚染。今はマグロで水銀が体内蓄積。

 西暦710年に奈良の地に都が移され、752年に大仏が完成しました。大仏の完成が近付くとともに都に疫病が流行り出しました。よって、時の政権は、784年にとうとう奈良の都を放棄して、長岡京へ遷都せざるを得なくなってしまうのです。
 さて、この疫病ですが、当時、地球の寒冷化があって、これとの関連も大きいですが、奈良の都に特有の大きな原因が別にありました。それは、大仏の建立そのものです。
 最初の大仏は、今とは違って金ぴかの大仏でした。金を9トンも使って、とんでもない方法で金メッキしたのです。金と水銀を1対5の割合で混ぜた合金(アマルガム)を大仏に塗りつけた後、炭火の熱で水銀を蒸発させ、金だけを表面に残すという方法です。
 これを行うこと5年。その間に、何と50トンもの水銀が撒き散らされたのです。なにやら福島原発に似たような状況が発生しました。
 これによって、職人は皆、ひどい水銀中毒になり、また、周辺に住む都の住民は、風向きによってあちらこちらへ流れていった水銀を吸い込み、そして、地面に撒き散らされた水銀が農産物に濃縮されて、それを食べ、かなり広範囲に水銀中毒患者を出したことでしょう。これが、奈良の都に特有の疫病で、日本における元祖「公害」の発生です。

 奈良の大仏に限らず、水銀は、その後も使われ続けます。
 神社仏閣の朱色の塗装は水銀の酸化物ですし、近年は農薬に多く使われました。
 こうして、日本国中、水銀まみれになっていますし、これは世界的なことでもあって、海洋汚染も起き、放射能と違い永久不滅の元素ですから、今も継続中です。
 なお、火山岩や堆積岩にも天然の状態でどれだけか含まれている水銀ですから、これが侵食されて、土壌に含まれることになり、海へも流れ出ることになります。
 よって、海は海でも、湾内は人工的な汚染、海洋は避けられない天然現象として水銀が存在すると考えた方がよいかもしれません。
 そして、海の食物連鎖の頂点に立つマグロなど大型捕食魚やクジラ類には、必然的に水銀が濃縮されて存在し、特に脂肪に多く含まれることになります。ですから、マグロなどを世界一食べている日本人の体内水銀蓄積量は世界一となっているのです。
 でも、水銀中毒を起こすほどの量ではなく、また、慢性化していて、体に何ら異常を感じることはないのですが、そうであるからこそ、実は困った問題を抱えています。

 元素の周期表をご覧いただきますと、左から12列目(第12族)に上から亜鉛、カドミウム、水銀と3つ縦に並んでいます。同族ですから、体内で同じような化学的挙動をし、有機化合物に結合している亜鉛に置き換わったりして、亜鉛の働きを阻害します。
 ヒトに必須の微量ミネラル(ミリグラム単位で必要なミネラル)として、酸素を運搬する鉄と並んで重要なのが亜鉛です。亜鉛は、ヒトの体内で有機化合物と結合して酵素を形成し、新陳代謝(細胞の生まれ変わり)や細胞分裂の促進、免疫力の増強、活性酸素の除去、性ホルモンやインスリンの合成など、非常に多くの重要な働きを担っています。
 ですから、亜鉛の働きが水銀によって阻害されると、成長の遅れや老化、不妊、様々な生活習慣病の発生の恐れが出てきます。また、味覚異常も亜鉛欠乏が原因です。
 この中で、特に問題となるのが、細胞分裂に支障をきたすことで、低濃度の水銀であっても、亜鉛の働きが阻害されて、胎児の成育に障害を起こす恐れがあります。

 ヒトの体内に入り込んだ水銀は、多くは脂肪に蓄えられ、それがじわりじわりと血液中に溶け出してきますから、厄介です。その水銀が亜鉛の働きを殺すのですから、ただでさえ亜鉛摂取が不足気味の日本人にとっては、要注意となります。
 この水銀の排出は、かなりが髪の毛から行われるようでして、毛髪検査をすれば明確になり、日本人の体内水銀蓄積量が世界一であることが判明しています。
 体内に蓄えられた水銀を抜く方法は、唯一“断食”しかありません。
 これは水銀のみならず重金属その他の有害物質全般に言えることです。
 この断食によって、体内脂肪が燃焼されるときに、多量の有害物質が放出され、主として尿や皮膚から体外排出されるのですが、1回の断食で全部が全部出るものではなく、繰り返し何度も断食せねば出し切れるものではありません。
 その点、野生動物は冬と夏に痩せ、それに併せて体毛が生え変わりますから、実に合理的に水銀はじめ有害物質を抜き去ることができます。
 現代文明社会にあっては、冬に痩せることは不可能ですが、夏痩せすることは可能ですから、夏には少食に取り組んでいただきたいものです。

 もう一つの排出法が、ミニ断食で、それは、朝食を抜くことです。
 朝食を抜くなんて体に絶対に悪いとされていますが、1日3食しっかり食べている人がいきなり朝食を抜くと、血糖値が低下してエネルギー供給に支障が出るのですが、江戸時代初期までは将軍から農民まで、僧侶を除いて皆、朝食抜きでしたから、朝食抜きに慣れれば、体内脂肪からエネルギー源が円滑に供給されるようになって、かえって体がよく動くようになり、また、頭が冴えるようになります。
 このことについては、このブログのカテゴリー「朝食抜き・断食で健康」の中で、小生の臨床例を含めて詳しく紹介していますので、一度ご覧になってください。
 そのブログ記事の中では述べていませんが、朝食を抜くことの大きな利点の一つとして、生体は午前中に排泄が盛んになりますから、生体はこれに専念できることです。
 ヒトも動物です。一度にあれもこれも同時にこなすことはできません。
 朝食を取ると、最優先される消化吸収にどうしても精力がそがれてしまって、その分、排泄機能がフル運転できませんから、老廃物や有害物質の排泄が滞るのです。
 朝食を取らなければ、生活行動をする上で、エネルギー源として体内備蓄されている脂肪を分解し、これを使うと同時に、脂肪中の有害物質が放出でき、盛んになっている排泄作用で、尿や皮膚、そして毛根への取り込みが促進されるというものです。

 冬場はたいてい体重が増え、有害物質を溜め込む一方になります。
 何とかして、野生動物と同様に冬痩せし、有害物質を排泄したいものです。
 そのために、小生が実践している朝食抜き健康法を、皆さんにも始めていただきたいです。でも、いきなりは、体を壊しますから、先ずは朝食を半分に、慣れたら味噌汁だけに、最後はお茶と梅干だけ、と順次減らしていけば、体に何ら支障は生じません。

 水銀の怖さについて、もう少し補足させていただきます。
 我々日本人は、皆が皆、世界一水銀を溜め込んでいますから、それによる障害、例えば、どれだけかの体のだるさ、これは皆が皆、一様にそうなっていますから、全く意識に昇ることはないでしょう。例外的にそうでない方は、異常に元気すぎて…これが本来の姿なのですが…オバケ扱いされてしまうことになります。
 本来、健康とは、このオバケのようでなければならないのですが、皆が皆、意識することのない体のだるさであれば、それが健常であると思い込んでしまうのです。
 我々が教訓とすべき、その1例を紹介しましょう。
 紀元前の都市国家ポンペイの悲劇は、ベスビオス火山の大噴火による火砕流で一瞬にして消滅したことで有名ですが、実は、もう一つ知られざる悲劇を抱えていました。
 それは、都市住民が皆、鉛中毒になっていたことです。
 ポンペイでは、公共施設のみならず、各家庭へも水道が網の目のように張り巡らされており、その水道管が何と鉛で作られていたものですから、いたしかたありません。
 でも、皆が皆、そうした健康状態になってしまうと、高度文明都市…当時のポンペイは群を抜いて発達していた都市であったようです…では、それが当たり前となり、そうであっても健康だと錯覚してしまうのです。
 ポンペイの都市住民は背が低く、短命であったと言われていますが、彼らは、高度文明社会に暮らすがゆえの生活習慣病としか考えていなかったことでしょう。

 これと全く同じことが、今日の高度文明社会にも当てはまります。
 それどころか、より深刻なものになっていると思われます。
 ポンペイでは、せいぜい鉛だけのことであったと思われるのですが、現代は、様々な有害物質で複合的に体が害されている可能性が大きいからです。
 その一つ一つを取り上げてみますと、比較的低濃度のものであり、疫学調査を行ってみても、どおってことないとなってしまい、これがあえて問題視されることはありません。
 よって、日本では、マグロにある程度の水銀が含有されていても、無視され続けてきました。そして、近年、特に水銀が多く含まれる部位「トロ」…以前は「猫またぎ」と言われ、捨てていたもの…を最優先して食べるようにもなっています。
 ところが、近年、マグロなど大型捕食魚を食べる習慣が欧米にも生まれ、これをドカ食いする人に、まれに水銀中毒が起きて、ついに規制が掛けられるようになりました。
 そして、妊娠している女性を中心に摂取基準が設けられるようにもなっています。
 日本も遅ればせながら、平成15年
に厚生労働省が「妊婦への魚介類の摂取と水銀に関する注意事項」なるものを作りました。そして、平成17年に改定され、このときにマグロが対象魚に加えられました。その基準(平成22年に小幅改定)は、例えば、キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、マッコウクジラなどは1週間に1回(80グラム)以下、といったものになっていますが、米国や欧州の基準とは設定の仕方が少々異なるものの、摂取制限については概ね類似したものとなっています。(もっとも、米国は、エビ、サケ、タラまで規制対象を広げていますが。)
 しかし、対象者に大きな違いがあります。日本は、妊婦と妊娠する可能性のある女性だけとしているのに対し、欧米では、授乳中の母親そして幼児も対象者に含めています。さらには、カナダやオーストラリアでは、一般の大人まで対象者にしています。この点、世界一こうしたものをたくさん食べている日本は、明らかに基準が緩いです。
 
これは、農林水産省や業界の圧力があるからでしょうね。ちなみに、平成17年改定の厚労省発表資料には「妊婦が注意事項の対象者であり、子供や一般の方々は対象外であること。」と念押しし、さらに各ページ下段には「本注意事項については、いわゆる風評被害が生じることのないよう、正確な御理解をよろしくお願いします。」と、わざわざ四角で囲んで、これを目立たせていますから、ここに何やら、うさんくささを感じます。

 こうなると、各自が自衛するしかありませんね。
 一つは欧米の基準(平成17年厚労省資料)[←クリック]に従うことです。
 もう一つは、摂取した水銀をどれだけかでも無毒化することです。
 それの筆頭はセレンで、マウスによる実験で確かめられています。これは、国際シンポジウム「水銀とセレンの役割」で紹介されています。
 こうしたことから、米国では、マグロなどを好んで食べる人は、水銀の毒消しのために、セレンをサプリメントで摂る傾向があるようです。
 セレンは、微量ミネラルの1種で、小魚にけっこう含まれていて、これを食べるマグロですから、マグロにはセレンが水銀と同程度の量が蓄積しており、これでもって、マグロは水銀をどれだけか無毒化し、まずまず元気に泳いでいるのでしょう。
 小魚で、セレン含有量が高いのがイワシです。寿司を食べるのなら、マグロと併せて、彼らが好物としているイワシも、ということになりますし、なければ、丸干しイワシでも食したいです。ジャッコ、シラス干しでもよいです。
 野菜では、ネギにセレンが多く含まれていますので、マグロはネギトロでいただきたいですし、ネギ焼きなりネギの味噌和えなどネギ料理も意識して食べたいものです。
 しかし、厚労省も農水省も、これらの毒消し法をPRしていませんので、根拠薄弱なのかもしれません。そうなると、やはりマグロは控えた方が良いとなりますが…。

 いずれにしても、偏った食生活は体を害する元ですから、食べる魚がマグロに偏っては体を害すると考えるしかありません。魚介類にも旬がありますから、季節によって変え、色々な種類のものを食したいです。

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肥満に課税=脂肪税、ポテトチップ税etc.世界的に広がりをみせています

2011年11月10日 | 生活習慣病一般

肥満に課税=脂肪税、ポテトチップ税etc.世界的に広がりをみせています
(最新更新 2022.11.16 前回更新2019.12.12)

 2011年10月1日、デンマークで「脂肪税」が導入されました。飽和脂肪酸を2.3%以上含む食品が対象で、バターやチーズがその対象となります。課税基準が2.3%と半端な数値になっているのは、乳製品を狙い撃ちしたからです。
 デンマークでは、20年以上前から、バターやチーズの取り過ぎが生活習慣病の原因であるからとして、年々消費量を控えてきており、バターは最盛期の5分の1程度までに減ってきているものの、ここ10年は横ばいで推移しており、まだまだ摂取過多であるとして、課税に踏み切ったとのことです。
 税金というものは、日本でも同様ですが、取れるところから取る、というのが原則になっており、デンマーク政府は、これにより約22億クローネ(300億円強)の税収を見込んでいるとのことです。国民の健康は建前、増税が本音といったところのようでもあります。
 デンマーク政府の公式見解では、飽和脂肪酸の摂取量を減らして国民の健康を改善すれば平均寿命が3年延びるとのことですし、また、飽和脂肪酸の取り過ぎで国民の4%が早死にしているとのことです。これも、いささか信憑性が疑われますが。
 ですが、健康を損なうようなものは、タバコがいい例ですが、どんどん課税するのも、手でしょうね。ヘビースモーカーの小生は、それにじっと耐えていますが。
(2018.10.11追記:デンマークの脂肪税は導入1年後の2012年に廃止に追い込まれました。その理由は、食品価格が高騰して近隣国に国民が買い物に行くようになってしまい、期待した効果が得られなかったからとのことです。)

 デンマークに先立つこと1か月。ハンガリーでは、9月1日から、脂肪だけでなく、糖分や塩分の多い食品にも課税する制度が施行になりました。通称「ポテトチップ税」と呼ばれるもので、他にアイスクリーム、ソフトドリンク、スナック菓子などが課税対象です。
 ハンガリー政府の説明では、肥満を防止し、国民の健康増進のためとのことですが、これは建前であって、本音は財政再建のための増税のようでもあります。

 この両国の食品税は西欧各国へも飛び火しそうな勢いで、フランスでは糖分の高い飲料に2011年に砂糖入り飲料1缶に対し0・01ユーロ(約1円)と低額ですがソーダ税が導入されていますし、英国ではデンマーク方式が検討されているとのことですし、また、アイルランドはデンマーク方式の課税を近く実施するとのことです。一方、米国においては、この類のものは州税となり、州によっては検討に入ったところもあるようです。

 税以外の規制も近年各国で始まっています。
 特に子供の肥満防止対策として多く見られます。シンガポールでは学校内売店で揚げ物や炭酸飲料の販売を制限し、韓国では同じく高カロリー・低栄養の食品販売を禁止しましたし、米国の幾つかの州では自動販売機に入れるものを規制しているようです。
 また、台湾では“おまけ付き”ファーストフードが過熱気味で、“おまけ”が禁止になり、同様なことは、米国サンフランシスコ市でも行政指導されているとのことです。

 これらの食品とは趣が変わりますが、マーガリン類の規制が世界的に進んできています。マーガリンとは、そもそもはバターの代用品として開発されたもので、常温では液体の植物油を人工的に水素添加して合成した“半固形プラスチック”です。
 水素添加時に、基本的には自然界には存在しない「トランス型脂肪酸」ができてしまい、これを分解できる微生物は限られますし、ヒトの体内酵素では、その分解はかなり難儀なようです。なお、これは、例外的に反芻動物の胃で微生物によって作られ、牛肉や牛乳にどれだけか含まれていますが、ウシであれば、その体内酵素での分解は容易なことでしょう。
 このトランス型脂肪酸は、通常存在するシス型と形状を異にしますから、細胞の部品として使いにくく、体内脂肪として蓄えられる傾向にあるようですが、一部は細胞の部品として使われて欠陥のある細胞ができてしまう恐れがあり、糖尿病の原因になったり、脳細胞が正常に働かなくなったり、アトピーの原因になるとの研究報告もあります。(2022.11.16追記:この段落での危険性の主張は確たるエビデンスはなく、2019.12.12追記のなかで紹介した副生物が原因しているかもしれません。)
 脂肪酸の重要な働きは、正常な細胞膜を形成することにあるのですから、トランス型脂肪酸であっては、異常が起きるのも当然のことでしょう。
 さて、その規制ですが、これもデンマークでは、含有量の表示義務と、高含有のものは販売禁止になっています。米国、カナダでも表示を義務付けています。
 自主規制としては、韓国の製菓メーカーなどが「トランス型脂肪酸ゼロ化」を宣言し、米国ではマクドナルドにその動きが出ています。
 なぜ製菓メーカーやファーストフードかと言いますと、マーガリンを精製したショートニングを使うと、食感が良く、日持ちするという大きな利点がありますし、フライがからりと揚がるからです。それ以外に、アイスクリームやチョコレート、パン、ドレッシングと広範囲に汎用されているのが、トランス型脂肪酸なのです。

 バターにはハエがたかっても、マーガリンにはハエはたかりません。ハエは“プラスチックなんぞ食えるか!”と、ちゃんと知っているのです。
 この「トランス型脂肪酸」こそ、タバコと同様に高い率の課税をすべきでしょうね。
(2013.11.8追記)
 米国食品医薬品局(FDA)は、トランス型脂肪酸を食品に用いることを原則禁止とする規制案を提示。60日間の猶予を置いて施行する見込み。理由は、心筋梗塞などの心疾患の発生リスクが高い。
2016.9.9追記:その後、施行が引き伸ばされ、2018年までに全廃するとのこと。)
(2014.4.19追記)
 日本では規制されていませんが、メーカーによってはトランス型脂肪酸がごく微量のマーガリンが開発(2019.12.12追記:このころからパーム油などに代替され始めたようです)されています。ただし、マーガリンは化学工業的に水素添加された脂肪酸ですから、体に悪影響を及ぼす懸念があります。
(2019.12.12追記)
 最近ではマーガリンの主成分は水素添加植物油脂(トランス脂肪酸を数%から十数%含有)から熱帯油脂(トロピカルオイル=パーム油など)に切り替えられましたが、水素添加植物油脂は、ショートニング(マーガリンの純度を高めたのもの。さっくり感やパリッとした食感を出すのに好都合で、菓子類製造に利用されることが多い)としてその後も使われています。
 その後、トランス脂肪酸そのものの害は恐れられていたほどのことはないことが分かってきたものの、植物油脂を化学的に水素添加するときにジヒドロビタミンK1(ビタミンK1の変性物)が副生し、これに強い毒性があることが判明しました。
 このことに関して、記事にしましたのでご覧ください。
 水素添加植物油脂はトランス型脂肪酸以外の毒物により食用に不適です

(2018.10.12追記)
 以上紹介しました世界各国のその後の状況は分からないところが多いですが、どれだけかは追記するなどして訂正しました。
 それ以外の最近の状況で、ネットニュースで取り上げられているものを以下に紹介しますが、脂肪課税は少なく、砂糖課税が多いようです。
 ノルウェーは砂糖税を既に1922年から導入しており、これは、ぜいたく品に対する課税で税収を増やすことが目的でしたが、現在では、政府は子供の肥満を抑えることに有効性を認めているようです。そして、最近、食品製造業者に製品中の砂糖を大幅に減らすよう働きかけ、最大80%の砂糖をカットする業者も現れたとのことです。
 メキシコでは、思い切った砂糖課税により、初年度の2014年には課税対象となる飲料の消費量が12%減少したとのことです。
 イギリスでは、2016年6月に「砂糖は新しいたばこだ」と言われるようになり、2018年4月から
砂糖を多く含む飲料(特に炭酸飲料)に約5億2000万ポンド(約820億円)の砂糖税を課すという制度が実際に導入されたとのことです。

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ヒトはなぜ塩っ辛い物を食べてしまうのでしょうか。それは人類進化の傷跡なのです。

2011年11月08日 | ミネラルが最重要

ヒトはなぜ塩っ辛い物を食べてしまうのでしょうか。それは人類進化の傷跡なのです。

 ご迷惑をおかけしますが、ただいま塩分調節機能が故障中です。
 ヒトの生体反応は、残念ながら、このような状態になっていまして、塩分を摂り過ぎてしまうことが往々にしてあります。となると、減塩に心掛けなければならないということになりますが、ヒトの体は、まあまあうまくできていまして、何とかしてくれるものです。もっとも、程度を超えて塩分を摂り過ぎれば障害が生ずるのは当然のことですが。

 さて、ヒトはどうして塩分を摂り過ぎてしまう傾向にあるのでしょうか。
 陸生哺乳動物で、こんな障害を持つものは
ヒトだけです。ここで、陸生に限定したのは、海生のものにあっては、ヒゲクジラ類のように、プランクトンを食べるときに、どれだけか海水も一緒に飲まざるを得ない種がいるからで、彼らは、当然に塩分の摂り過ぎになってますが、それに順応し、また、排泄力も有しているからです。

 ヒトの塩分過剰摂取の原因として、まずは、文明によって食塩を作る技術を覚え、食塩を味付けに多用するようになったことが挙げられます。そして、今日の食生活においては、手抜き料理が多くなって、また、廉価な外食を食べる機会が増え、濃い目の塩味に慣らされていることです。まずい食材であっても、塩を濃くすれば、いとも簡単に美味しくすることができますからね。

 しかし、これは本質的な原因ではないでしょう。塩分は、陸生哺乳動物も必要とします。彼らは、どちらかと言えば塩分が摂取不足ぎみでして、塩分が濃縮された地層が露出していたり、そこから染み出してくる湧き水があったりすると、それを好んで食べたり飲んだりすることがあります。類人猿のオランウータンにあっては、そうした場所から遠く離れている地域には住もうとしないと言われているくらいです。
 でも、彼らは、そうした場所に頻繁に現れるものでもなく、少々舐める程度で済ませていますから、体に必要な量が摂取できれば、そこでストップできる能力を持ち備えているとしか考えられません。つまり、塩分調節機能を舌に持っていることでしょう。

 では、なぜにヒトは、その機能が働かないのでしょうか。これは、人類進化の歴史の中に原因していると思われます。ヒトは、チンパンジーから進化するにあたり、一時、半水生生活をしていて、それが海あるいは塩水湖であったとの説があります。これについては、小生の別立て「永築當果のブログ」の中の人類水生進化説」で詳細に説明していますので、ご覧いただけると幸いです。
 ヒトが長く塩水に親しんでおれば、ヒゲクジラ類のように塩分調節機能が壊れてしまっても大丈夫な体になったでしょうが、一時であったがために、きっとこの塩分調節機能が故障中の状態にあるのでしょうね。これは個人差が有って、かなり回復しているヒトもおられるようですが、何ともならない人が多いような気がします。皆が皆、回復するには、まだ何十万年、何百万年もかかることでしょうし、もはや不可能かもしれません。

 いずれにしても、ヒトという動物は、生物界における欠陥商品の見本のような存在でして、様々な内臓疾患を抱えていますし、身体障害者でもあるのです。
 そもそも内臓は背骨で吊り下げられ、背骨が地面と水平な状態、つまり四足で生活すると都合が良いようにできているのですが、ヒトは直立したがために、内臓同士が押し合い、挙句の果てに重力で下に引っ張られても腹で受けられず、垂れ下がるばかりになって、胃下垂、脱腸などヒトにしか生じない疾患が多く発生するのです。膝、腰、足首の亜脱臼や関節炎の多発も、直立二足歩行という、おかしな格好で歩くことによります。
 それ以外にも、我々が気が付かない重大な疾患がいくつかありますが、それは、先に紹介しました小生の別立てブログをご覧いただくとして、ここでは省略します。

 脱線してしまいましたが、本題の塩分の話に戻しましょう。
 塩分を摂り過ぎると、血圧が上がる方が3~5割おみえです。生体反応としては、これが正常でしょうが、これがために脳出血などの循環器系の疾患が心配されます。もっとも、一昔前までは、高血圧は160以上となっていまして、これくらいであれば全く問題ないです。(このブログ記事「 おいしい高血圧患者(その1~3)」で詳細を書いています。)

 でも、塩分を摂りすぎても血圧が上がらず、塩っ辛い物が好きな方となると、少々問題になってきます。一面、塩分過多に順応し、ヒゲクジラ類に近い機能を有していて、そういう方は何も問題にならないと言えるのですが、はたして皆が皆そうであるのかどうか。
 やはり、生体に無理がかかり、循環器系の疾患はじめ様々な生活習慣病の原因になっている恐れがありますし、免疫系にも障害を起こしかねないでしょう。

 ミネラルはバランスが肝腎です。カルシウムとマグネシウムの関係と同様に、ナトリウム(食塩:ナトリウムと塩素の化合物で水に溶ければ両者がイオン化してバラバラになります)とカリウムはバランスが重要になります。
 ともに電子を1個放出してプラスイオンになり、極めて水に溶けやすいです。真水を電解質にして電気を流れやすくし、神経や筋肉を動かす電気信号を伝わりやすくします。
 そして、ナトリウムイオンとカリウムイオンが神経細胞から出たり入ったりして、神経細胞を興奮させたり鎮静させたりします。これによって、電気信号が伝わるのです。
 よって、ナトリウムイオンとカリウムイオンのバランスが整わないと、神経細胞の正常な働きができにくくなるのです。特に、ナトリウム不足になると、精神不安に陥りやすいです。
 (ここで、お断りをしておきますが、この電気信号に関する記述は、正確ではなく、大雑把に捉えれば、だいたいこんなものと考えてください。)

 こうしたことから、塩分を過剰に摂取してしまう方は、カリウムを積極的に補給する必要があるのです。カリウムは野菜や果物に多いです。促成栽培された野菜は総じてミネラルが少ないですが、カリウムだけは十分に含まれています。なぜならば、化成肥料が大量に使われ、その3成分の一つがカリウムだからです。
 大いに野菜を食べたいものです。そうすれば、ナトリウムの害をかなり防ぐことができましょう。厚生労働省も米国(高血圧合同委員会)の後追いをして、カリウムの摂取基準を2005年に大幅に改定しました。もっとも、その数値は余りにも大き過ぎて、2010年には可能な程度に下げました。
 参考までに、最新のその数値を挙げておきましょう。

 カリウム摂取 高血圧予防目標量[2010年版] (カッコ内は充足率)
  20~29歳 男 2800mg(74%) 女 2700mg(69%)

  30~39歳 男 2900mg(75%) 女 2800mg(68%)
  40~49歳 男 2900mg(74%) 女 2800mg(74%)
  50~59歳 男 3000mg(82%) 女 3000mg(81%)
  60~69歳 男 3000mg(93%) 女 3000mg(87%)
  70歳~   男  3000mg(86%) 女 2900mg(81%)

 なお、充足率は、2008年11月の「国民健康・栄養等調査」における栄養等摂取量の値を用いて算出しました。
 これだけでは、正しくありませんから、もうひとつの摂取基準を示します。

 カリウム摂取 目安量
  男 2500mg 女 2000mg

 これは血圧が正常な方の摂取基準と考えて良く、これは、2005年版より大幅に上げられました。なお、厚生労働省の摂取基準は、米国の後追いをしながら、くるくる変わりますので、あまり数値に囚われる必要はなく、参考程度にすればよいと思います。
 この目安量からすると、50歳未満の男性に摂取不足の傾向にあるということになりますが、重要なのはナトリウムとカリウムのバランスですから、塩っ辛い物を食べるときには、野菜をたっぷり取れば、基本的には問題ないです。

 体に必要な塩分(ナトリウム)ですし、冬には「腎」(腎臓や膀胱そして生殖器)が塩分を求めていると解するのは、3000年にわたり経験を積んできている中医学(漢方)からして正しいでしょうから、冬には塩味をほど良く楽しめば良いでしょう。これについての詳細は、このブログの一つ上の記事「 立冬から冬、何を食べますか 」をご参照ください。
 いずれにしましても、冒頭で述べましたように、ヒトの体は、たいていの方が“ご迷惑をおかけしますが、ただいま塩分調節機能が故障中です。”の状態にありますから、過剰摂取かもしれないナトリウムの害を消すために、カリウムたっぷりの食材である野菜(どんな野菜でも可)を毎日たくさん食べることが、他の面からも望まれることになります。

(追記)
 減塩に気を使いつつ、高血圧予防にカリウムを十分に摂ろうと、生野菜に塩を振らずに食べられる方がみえますが、こうした方はナトリウム不足になる危険性があります。
 体の生理機構が正常に働かなくなり、特に体に冷えを起こします。
 カリウムの多い食品は体を冷やし過ぎますから、塩(ナトリウム=体を温める)でもって打ち消す必要がありますし、ナトリウム・カリウムのバランスを取ることが大事です。
 「塩っ辛すぎない、美味しい」と感ずる塩加減にして召し上がってください。

関連記事 「減塩のし過ぎは考えもの

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減塩のし過ぎは考えもの。精神不安、腎の働き低下、胃の殺菌力低下など悪いことだらけ。

2011年11月08日 | ミネラルが最重要

減塩のし過ぎは考えもの。精神不安、腎の働き低下、胃の殺菌力低下など悪いことだらけ。

 日本人の食塩摂取量は、平成10年「国民健康・栄養調査」によると、成人男子が約12グラム、女子が約10グラムでして、食塩は過剰摂取となっており、厚生労働省は、推奨量として、男子が9グラム未満、女子が7.5グラム未満としています。
 つまり、食塩は約3割も摂り過ぎており、大幅に減らさなきゃいかんと、厚生労働省は言っているのです。
 なぜに減塩しなければならないのか。これについては、高血圧になるからだと言われ、高血圧は循環器系の疾患を引き起こす元凶だと説明されています。

 しかし、いくら減塩を叫べども、食塩の摂取量はどれだけも減りません。大きな原因は、外食産業やインスタント食品にあり、減塩しては飲食店から客は遠ざかるし、加工食品が売れません。家庭でもそうなります。塩味を控えるとまずくなり、家族から文句が出ますから、味見したときに、まずければ塩なり醤油を足すでしょう。
 多分こうしたことから、米国では、減塩運動をあきらめて、ナトリウムの害を消してくれるカリウムの大量摂取を呼びかけることにしたのではないでしょうか。
 それで、厚生労働省は、日本の官僚の特徴であるところの、一旦言い出した減塩運動の旗は降ろすことなく、これを続けながらも、米国に習って、カリウムを大量摂取するように栄養素の摂取基準を改定したと、小生は思っています。

 さて、減塩し、厚生労働省が言うところの、男子が9グラム未満、女子が7.5グラム未満に持って行くのは、ヒトの健康を考えるに、これは良いことでしょうが、「未満」という言葉に引っ掛かります。
 食塩の2成分(ナトリウムと塩素)は必須ミネラルですし、これが欠乏しては大変なことになります。ゼロであれば、死に至ります。
 よって、極端に減塩すると、様々な障害が出てきます。
 まず、ナトリウムですが、カリウムとセットになって神経細胞に働くことは、「 ヒトはなぜ塩っ辛い物を食べてしまうのでしょうか 」で書いたとおりでして、ナトリウムが欠乏すると精神不安に陥ることが分かっています。カルシウム不足で精神不安になるのと同様、ナトリウム不足でもそうなるのです。
 次に、中医学(漢方)からすれば、「腎」(腎臓、膀胱そして生殖器)が弱ります。特に冬場においてはそうなります。これは「 立冬か冬、何を食べますか 」の記事で書きました。
 そして、塩素不足も大きな問題になります。
 塩素は塩酸を作る元になり、これが胃酸となって、胃における消化と殺菌作用を発揮する上で不可欠なもので、減塩は、消化不良と殺菌力の低下を招くのです。
 そもそも胃弱な日本人ですから、胃酸の分泌が少しでも減ると、直ぐにこうした障害が起きてしまうのです。東南アジアへ旅行して同じ食事をとっても、欧米人は大丈夫でも日本人だけにコレラを発症する例が多いことからも、明らかなことです。コレラ菌は胃酸が十分出れば簡単に殺せるものですからね。

 自分は十分に減塩しているから健康が保てている、と思っていらっしゃる方は、ここに挙げました「精神不安」「腎の弱り」「消化と殺菌力の低下」が起きていないか、今一度チェックなさってみてください。何事も、行き過ぎは健康を害することになりますからね。

(追記)
 野菜を毎日しっかり食べておられる方は、カリウムが十分に摂取できていますから、減塩するのは問題があります。体の生理機構が崩れ、特に冷えを引き起こすからです。
 こうした方は、野菜に適度な塩を振る必要があります。
 塩(ナトリウム=体を温める)で、カリウムによる冷えを中和してくれます。
 果物も極端にカリウムが多い食品ですから、塩を振って食べるのが原則となります。
 推奨量の男子が9グラム未満、女子が7.5グラム未満とするための減塩の必要性は全くなく、「塩っ辛すぎない、美味しい」と思う塩味を楽しんでいただいてかまいません。
追記2)
 関連する次の記事もご覧ください。
 「 減塩は大間違い!塩味を楽しんでイキイキ元気!

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カルシウムは、やっかいもの?!(その1)

2011年11月02日 | ミネラルが最重要

カルシウムは、やっかいもの?!(その1)

1 “皆が飲め飲め、牛乳を!”キャンペーン
 「日本人のカルシウム摂取量は欧米人の半分に届かず、これでは絶対的に不足するから、もっと摂りなさい。」と口やかましく言い続けられています。そして、「吸収の良い牛乳を毎日飲んで、カルシウムを補給しなさい。」と、国も、畜産業界も、お医者さんも、そう言います。また、食品業界も、カルシウム添加を謳い文句にした商品の販売に熱心です。
 さらには、一部の学者が牛乳は体に悪いと言い(確かにそうで、ここでも後ほど取り上げます)、健康産業では、これを大きく取り上げて、サプリメントでカルシウムを補給しなさいというPRに躍起です。
 こうして、だけもかれもが、カルシウム、カルシウムと叫び続け、カルシウムで一儲けしようと目論んでいます。
 でも、こんな国は、世界中で日本だけでしょう。
 牛乳を多飲する欧米では、カルシウムの取り過ぎ(原因はマグネシウムの相対的な不足によるミネラルバランスの崩れ)によって骨粗鬆症になると言われるようになり、また、牛乳の主成分である乳糖を消化できない乳糖不耐症の人がけっこういて、そういう人には牛乳は体に悪いから控えなさいと言われるようになっています。これは、10年以上前からの話です。
 でも、日本では、国(厚生省、文部科学省、農林水産省)は、こうしたことは一切言いません。この中で、一番たちが悪いのが文部科学省で、日本人の多くが乳糖不耐症であるにもかかわらず、学校給食で牛乳を無理やり飲ませています。

 こうなってしまう第1の原因は、これは資本主義経済の最大の弊害でもあるのですが、何でもいいから需要を生み出すことが最善とされるからです。なぜならば、GDP(国内総生産)を大きくすれば、国民が物質的豊かさを享受できることになるからです。
 この論理によって、カルシウムが欧米人の半分しか摂れてないからドンドン摂らなきゃいけないのは当然のことにされてしまうのですし、これ以外にも、食塩(ナトリウム)の摂り過ぎには
カリウム(野菜・果物)をもっと補給してバランスを取るべしとなり、油脂の摂取バランスが悪いから青背の魚の脂も積極的に摂りなさいとなるのです。
 日本も、国民の豊かさはGDPが全てではないとする北欧諸国を少しは見習いたいものです。酪農大国でありながら、デンマーク政府は、2011年10月1日、酪農を潰すような行動に出ました。何と、バターとチーズに“脂肪税”を課したのです。これは、飽和脂肪酸の摂取過多が心筋梗塞の大きな原因になっていることから、国民の健康を考えて、その消費を落とそうとするものです。政府の見込みでは、この課税によって消費が15%落ち込むとのことです。

 第2に、一旦こうと決めたら決して変えようとしない日本国政府の官僚体質にあります。たとえ間違いであることが分かっても訂正しようとしない。改定するのは、米国からの圧力があって、米国に追従して変えるだけである、と言っても過言ではないでしょう。
 ちなみに、成人のカルシウムの所要量(必要とする量)は、米国が適切摂取量(これ以上摂る必要がない量)として1000mg、日本が600~800mg(男女差、年齢差で50mg単位で設定)であるのに対して、小柄なイタリア人は500mgとなっています。
 なお、日本人の成人の摂取量は500mg強で横ばい状態です。


 カルシウムを補給しても背は伸びない
 さて、戦前の日本人のカルシウム摂取量は、1日当たりせいぜい400mg程度であったと推計されていますが、カルシウム欠乏症を呈する人はいなかったと思われます。
 今日においても、国や民族によっては、300mg
程度のカルシウム摂取量であっても、何ら問題が起きていません。
 要するに、普通の食事をしていれば、カルシウム欠乏症にはならないのです。
 しかし、戦後の日本においては、戦勝国の米国に追いつけ追い越せとばかり、何もかもアメリカナイズされる風潮になりました。
 これは、GHQの方針でもありましたが、日本人は易々とこれに乗ってしまったのです。
 カルシウムについても正にそうなりました。
 日本が米国に負けたのは、日本人は背が低かったからであり、背を伸ばすにはカルシウムだ、牛乳を飲め、となってしまったのです。スタートは、カルシウム摂取不足だからカルシウムを摂れというのではなく、体位向上のためにカルシウムを摂れであったのです。

 たしかに戦後の日本人の平均身長は伸びてきていますが、その原因は、カルシウムの摂取量が増えたからではありません。
 
骨は鉄筋コンクリートにたとえられるのですが、骨を伸ばすには、鉄筋に相当するコラーゲン(骨の成分の2割を占めるタンパク質)を体内で十分に合成すればよく、その原料となるタンパク質を摂ればよいのです。コラーゲン(鉄筋)が十分にできれば、後はカルシウム(セメント)が勝手に張り付いてくれるだけのことです。
 でも、日本人の平均身長が伸びたと言っても、とても米国人(アングロサクソン系)に追い付けるものではありません。これは、民族性によります。
 寒い地方の民族は背が高く、暑い地方の民族は背が低いです。北欧人は極めてノッポですし、英国人となると少し背が低くなり、イタリア人となると日本人と変わりません。
 動物は皆そうした傾向があり、寒さをしのぐには体表面積を相対的に小さくするために体を大きくするのですし、暑さをしのぐためには逆に効果的な放熱をするために体を小さくするのです。日本の梅雨時から梅雨明け後の蒸し暑さをしのぐには体が小さい方がよく、よって小柄な方が適しているのです。

 牛乳を飲むことが定着しない日本人
 さて、戦後間もなくして、米国からの食糧援助として脱脂粉乳が大量に供給され、学校給食で毎日出されるようになりました。吸収の良いカルシウムがたっぷりだから、これを飲めば背が高くなると言われ、飲み残そうものなら先生に叱られたものです。団塊の世代の小生の時代がそうでした。熱ければ何とか飲めましたが、温くなると飲めたものではありません。いっそのこと粉のまま舐めた方がましでした。
 それに合わせて、酪農振興が強力に推し進められるようになり、牛乳が普及をし始め、朝は牛乳を飲むという朝食の洋風化が進み、また、学校帰りに喉が渇いたら牛乳を飲むという習慣が定着していきます。
 こうして牛乳に馴らされた団塊の世代ですが、大人になれば牛乳離れしていき、欧米人のように毎日飲む人は少数となってしまい、これは次世代でも同様です。
 なぜに、牛乳が定着しないのか。
 農林水産省が躍起になってPRし、厚生労働省を動かして骨粗鬆症で脅し、文部科学省と結託して体位向上を叫んでいるのですから、日本人皆が牛乳を毎日1本ぐらい飲むようになってもよさそうなものですが。
 これは、日本は食が豊かで、かつ、バラエティーに富んでおり、同じ飲み物を繰り返し毎日何度も摂っていては飽きが来るのが最大の要因ではなかろうかと小生は捉えています。それだけ日本は食文化が豊かなお国柄なのではないでしょうか。

 そもそも、人類が動物の乳を飲むようになったのはいつからか。
 これは比較的新しい食文化と思われ、概ね1万年前に中東で羊や山羊が家畜化された後の出来事でしょう。その後、牛の家畜化によって牛乳が飲まれることになったのでしょうが、乳を多飲する食文化は、他に食べるものがなくて、やむを得ず家畜の肉と乳に偏った食となり、これがいつしか定着してしまったと考えて良いでしょう。

 ここで、日本人の牛乳を飲む文化について、紹介しておきましょう。
 記録にあるのは、醍醐天皇の時代に、主に貴族が諸国から貢物として献上させ口にしたとありますが、その後はすたれてしまったのでしょう。記録にありません。
 そして、幕末に、興味深い逸話が残っています。
 米国が下田に領事館を置き、初代領事ハリスが幕府に牛乳の提供を申し出たのですが、幕府は、「牛は、農耕、運搬のためにのみ飼い置いており、養殖は全くしておらず、まれには子牛が生まれるが、乳汁は全て子牛に与え、成育させるがため故」と理由を説明し、「牛乳を給し候儀一切相成りがたく候間、断りおよび候」と拒否し、ならば雌牛を提供してくれという申し出に対しても、同様に断固として拒否しています。
 ところが、その1年半後、ハリスが重い病に臥したため、幕府は、何としてもハリスを死なせてはならぬと、あれほど望んだ牛乳であるから、どれだけかの効果はあろうと牛乳を差し出し、それ以降、各国領事館へも牛乳が販売されるようになったとのことです。
 このように、人が牛乳を飲むという行為は、生を受けたばかりの生き物を“飢え死に”に至らせる、“かすめ取り”以外の何物でもなく、これは“鬼畜の行い”
であると、当時の日本人は捉えたのでしょう。
 よって、戦前においては、いくら欧米文化を積極的に取り入れようとも、日本においては牛乳文化はほとんど広まらなかったと言えましょう。
 しかし、敗戦によって、価値観が変わり、また、変えさせられ、牛乳を飲むことへの抵抗感が消失してしまったのです。

 日本人に牛乳は必要か?
 ところで、母乳を含めて動物の乳にはどのような効果があるのでしょうか。
 主成分は3つです。エネルギー源となる乳糖、体細胞を増やしたり骨の元を作る原料となるタンパク質、骨を完成させるリン酸水素カルシウムで、いずれも消化吸収しやすいものになっていて、消化器が未発達な乳飲み子に適しており、実に理に適ったものになっています。
 しかし、これは乳離れまでのことであり、その後も体は成長していきますが、乳は離乳後の子供に一気に適さないものになります。
 まず、エネルギー源の乳糖ですが、その分解酵素が離乳によって分泌されなくなり、消化不能となるのです。そして、骨の形成速度が落ちますから、骨に回らない
リンとカルシウムが体液中にあふれるのです。
 ところで、1万年ないし数千年前から動物の乳を常飲するようになった民族は、いつしか乳糖分解酵素を離乳後も働かせる能力を獲得し、乳糖をエネルギー源としてしまいました。もっとも、全員が全員そうなったものではなく、それらの民族においても、民族によって差はありますが、今日でも乳糖不耐症の人の割合は少なからずあるようです。
 さて、この消化されない乳糖は、有害なのか無害なのかですが、過敏な方は下痢しますから、有害と言った方がよいでしょう。無害なものであれば、わざわざ下痢という無駄な生体反応を起こさないでしょうからね。
 このように、乳なるものは、江戸幕府が言うように、乳飲み子の占有物であって、離乳以降は飲んではならないものなのです。
 2つ目のタンパク質については、そのもの自体は何ら問題ありませんが、動物性タンパク質の摂取過剰という別の問題のもとになります。
 3つ目の
リンとカルシウムの取り過ぎの問題について取り上げてみましょう。
 リンの過剰摂取は生命現象を円滑に進める上で様々な支障を生ずることは、言い尽くされていますが、生き物にとって、これは極論ですが、格別にはたいした問題にはなりません。たいていは、いずれ溶け出して排泄が可能だからです。
 それが、カルシウムとなると、過剰なものをリンのように処理できないのです。
 場合によっては、過剰なカルシウムがどこかに沈着してしまい、一旦そうなると、死ぬまで永久に残ることになります。
 なお、こうなってしまう本質的な原因については、次項で述べることにします。
 こうしたことから、牛乳なるものは、摂る意味がないどころか、害になる代物なのです。

 海生動物に一番厄介なミネラルがカルシウム
 ここで、海水の組成(水を除く)を見てみましょう。塩素、ナトリウムの2元素が突出して多く含まれ、これでもって約90%を占めています。次に、マグネシウム、硫黄、カルシウム、カリウムの4元素がパーセントオーダーで含まれ、4元素合計で9.0%、その他が全部で0.4%となっています。ちなみに、リンは0.0002%とわずかです。
 この比率は生命が誕生した太古からほとんど変わっておらず、今日の濃度は生命誕生時の約3倍になっていると考えられています。
 生命誕生時の生物にとっては、海水中の主要6元素の濃度がそのようになっていても問題なかったでしょうが、生物が進化していくに連れ、動物にあっては、細胞中のカルシウム濃度を海水の1万分の1程度に極端に小さく保たねば生命活動に支障を来たすようになりました。
 そうなると、細胞内に入り込んだカルシウムをひたすら排泄するしかなく、それが上手にできないとなると、単細胞動物であれば細胞膜の外に、多細胞動物であれば体表の外に沈着させるしかなかったのです。
 こうして、サンゴや貝の類が炭酸カルシウムの形で固形物を身にまとうことになり、その死骸が積もり積もって石灰岩を形成するに至ったのです。
 その後に進化した脊椎動物にあっては、この不用なカルシウムを体の芯に集め、骨を形成することになったのですが、そもそも骨の起源は、ゴミ捨場だったのです。
 なお、海水の主要6成分の中で、カルシウムだけが固形物になるのは、他の5成分は水に溶けやすいからです。ただし、硫黄は元素のままでは不溶性ですが、酸化されて可溶性の硫酸イオンとなって、沈着することはないのです。

 このように、海生動物にとってはカルシウムは厄介物であって、各細胞はカルシウム・ポンプでもってカルシウムを細胞外へ排泄する機能を獲得するに至ります。また、ナトリウムも同様に厄介物で、各細胞はナトリウム・ポンプも持っています。
 多細胞動物にあっては、細胞外に排泄されたカルシウムやナトリウムは、細胞外液つまり体液に溜め込まれます。
 一方、体液中のカルシウムやナトリウムそして他のミネラルの濃度は生命誕生時の海水と同等の濃度になっており、これを維持せねば生命が保てません。
 しかし、億年単位で時間が進むに従って、海水中のミネラル濃度がどんどん高くなっていきますから、高濃度のミネラルが体内へ浸透しないようにし、また、体液中の過剰なミネラルを排泄せねばなりません。つまり、海水の塩分濃度が高まることによって、動物にあっては、全てのミネラルが厄介物になってしまったのです。
 そのために、動物は、過剰なミネラルの排泄機能も獲得するに至ったのでしょう。

 陸生動物はミネラルを逃さない機能を獲得
 さて、その動物が、やがて陸へと進出し、海水から真水へと環境ががらりと変わります。真水には厄介物であったミネラルがほとんどないですから、食べ物(植物)からミネラルを取り込み、簡単には排泄しないようにせねばなりません。各細胞は従前どおりのミネラル濃度を維持せねばならないのは当然ですし、各細胞が正常に働くには、細胞外液つまり体液も生命誕生時の海水と同等の濃度に保たねばならないからです。

 よって、陸生動物は、腸で食べ物からミネラルの能動的な吸収を行うようになり、また、腎臓において原尿からの能動的再吸収を行うようになったのでしょう。
 こうして、細胞内液、細胞外液ともに、海生時代と同じミネラル濃度を保つことを基本とするようになります。
 なお、陸生動物において、あるミネラルが細胞外液に十分な濃度で存在するとなると、そのミネラルを食べ物から能動的に吸収することを抑制するようになり、また、そのミネラルの腎臓における再吸収も抑制されることでしょう。こうして、細胞外液中のミネラル濃度を一定に保っていると考えられます。
 そして、動物それぞれの種に適した食べ物があります。それが守られておれば、絶えず不足気味なミネラルはしっかりと吸収・再吸収されるでしょうし、過剰気味なミネラルは、能動的な吸収・再吸収を抑制する機能が円滑に働いていることでしょう。
 こうして、陸生動物は、食べ物にミネラルが少なくても、生命を維持するための十分なミネラル濃度を生体内に保持できるように進化したのです。
 もっとも、塩分を多く含んだ土やそこから湧き出す水を食べたり飲んだりすることがありますし、オランウータンにあってはそうした場所から遠く離れた所には住まないと言われていますので、ミネラルが不足気味なこともどれだけかはあるようです。

 さて、問題はヒトです。
 ここから先はページを改め、「カルシウムは、やっかいもの?!(その2)」で記事にすることとします。かなりの長文になってしまい、恐縮ですが、引き続きお付き合いください。

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カルシウムは、やっかいもの?!(その2)

2011年11月02日 | ミネラルが最重要

 カルシウムは、やっかいもの?!(その1) の続きです。

 ヒト本来の食性と代替食糧の氾濫
 ヒトの祖先は、現生類人猿の祖先と種を同じくし、その食性は完全な植食性であって、現生類人猿との違いは、ヒトは代替食糧として芋を食べるようになったことです。
 ヒトは、猪や豚と同様に、他の動物に比べてデンプン消化酵素を抜きん出て良く出せます。よって、芋は、ヒトに適した食糧になっていると考えて良いです。
 従って、野菜、果物、豆、芋をバランスよく食べるのが、ミネラル摂取のみならず、健康を保つ上で理想的な食生活となります。
 ところで、現代において、食糧のウエイトが高い穀類ですが、これを食べるようになったのは、2万年ほど前からで、盛んに食べるようになったのは、一部地域において、せいぜい1万年前からです。穀類は、それ以前に食べていた食糧が、人口増加によって食べられなくなり、やむを得ず面倒な調理をしてでも食べるようになった代替食糧ですから、はたしてこれがヒトにやさしい食べ物かどうか、若干の疑問があります。
 穀類の特徴は、ミネラルが濃厚だということです。これによって、一面、ミネラル摂取が容易となりますが、反面、ミネラル摂取過剰の心配が出てきます。もっとも、穀類だけの食生活ではないでしょうし、ミネラルの吸収・再吸収を抑制する機能が十分に働くでしょうから、これは、たいした問題とはならなかったことでしょう。
(ただし、玄米を水に漬け置きせずに直ぐに炊飯すると、毒素が分解しないばかりか、ミネラル吸収が阻害されますので、ご注意ください。詳細については、2011.01.12付けの過去記事「玄米vs白米論争」をご覧ください。)

 次なる代替食糧は、魚介類と哺乳動物です。通説では、これらの動物食は人類誕生のときからと言われ、何百万年にもなると言うのですが、もし、そうであれば、芋と同様にして、これを食してもヒトの体にやさしいものになっている、とまではいかなくても、たいした問題がでないように生体反応が整っていることでしょう。
 でも、現実はそうではなく、これは目新しい代替食糧と考えるべきでしょう。
 簡単に捕ることができる魚介類を盛んに食べれば、骨や貝殻が残り、それが遺跡として見つかるのですが、高々十数万年前以降のものしか見つかっていません。
 2百万年以上前の哺乳動物の骨の化石に、人工的に砕かれた痕跡があり、これでもって、ヒトはその当時から狩猟をし、動物食をしていたとされていますが、決してそうではないでしょう。なぜならば、哺乳動物の骨は手頃な農具であり、既に主要食糧となっていた芋を掘り出すために使おうとして、それを加工し、その失敗作が放られていたと考えることができるからです。
 小生が思うには、数万年前に人類が寒冷地へも進出し、食べるものが哺乳動物しかいなかったがために、その地方においてのみ、動物食が行われるようになり、他の地域では、せいぜい祭事のときにのみ少々口にするだけで、常食はしなかったのではないでしょうか。現生チンパンジーがたまに行う動物狩り程度のことであったと考えたいです。
 広い地域で動物食が常食されるようになったのは、羊や山羊の家畜化、その後の牛や豚の家畜化に伴って進んできたことでしょう。併せて、動物の乳を飲むという習慣も発生してきます。でも、これらは、野菜、果物、豆、芋という本来の食糧や新たに開発した穀類が手に入らないときの代替食糧であって、やむを得ず食べていたのではないでしょうか。
 動物食は、完全な植食性であったヒトという生体にとって、あまりにも適さないからです。
 これは、タンパク質過剰になり、脂肪過剰でもあり、様々な問題を抱え込むことになることは、今日、各方面から言われているところです。
 そして、ミネラルが大きな問題となって登場します。
 動物食は、牛乳と同様にリン過剰を引き起こしますし、植物のミネラルバランスとは全く様相を異にしたミネラルバランスとなっているからです。

 ミネラルバランスの崩壊
 それであっても、ヒトは過剰なミネラルの能動的吸収・再吸収を抑制する能力を持っていますから、不用なミナラルが過剰にならないようにすることができますが、動物食が限度を越えれば、リン過剰は避けられないでしょう。
 また、未消化タンパク質によって腸内環境が悪化し、大腸でのミネラル吸収が落ち、マグネシウムや微量ミネラルの欠乏が危惧されるようになります。

 ところで、ヒトに特有のもう一つの弊害が生じてきました。
 文明の発展とともに塩が容易に手に入るようになって、これが顕著になります。
 それは、ヒトの塩分調節機能が故障してしまっていることです。
 このことについては、のちほどの記事(3つ後の11月8日付け「ヒトはなぜ塩っ辛い物を食べてしまうのでしょうか」)の中で詳しく述べますが、ヒトは塩っ辛い物を必要量以上に摂ってしまうのです。この記事(その1)の中で、陸生動物は、塩分を含んだ土を舐めたりすると言いましたが、彼らは必要量が摂取できたら、そこでピタッと止める能力も持っていると考えられるのに対して、ヒトにはその力が欠如していると考えるしかないのです。
 これによって、ナトリウムの摂取過剰に陥ります。ナトリウムはリン以上に能動的吸収・再吸収の抑制が難しいようで、専ら受動的に吸収されると考えて良いでしょう。

 そして、この記事(その1)の中で、動物の細胞内液はカルシウムやナトリウムの濃度が薄く、細胞外液は太古の海水のミネラル濃度に保つことによって、正常な生命活動ができると言いました。それが、現代の食生活となると、穀物食、動物食そして食塩の摂取過剰によって、特定のミネラルが限度を越えて過剰摂取となり、生体内でのミネラルバランスが取り難くなってしまったのです。
 また、腎臓における能動的なミネラル再吸収において、リン過剰やナトリウム過剰の状態においては、主要ミネラルであるカルシウムとマグネシウム、そしてその他の微量ミネラルの再吸収が阻害されるということが分かっており、各種ミネラルが不足したり、バランスを崩したりします。
 これに追い討ちを掛けるのが、タンパク質の過剰摂取によって生じた尿素や尿酸によるミネラルの再吸収の阻害です。
 さらには、ストレス過多によって、カルシウムもそうですが、特にマグネシウムの再吸収が大きく阻害されます。

 こうして、現代人は、ヒト本来の食から大きく外れるとともに、高度文明社会にあってはヒト本来の生活から大きく乖離してしまっているがゆえにストレスで健康を害するようになり、また、幾種類かのミネラルが不足したり、バランスが整わなくなってきています。そして、その悪循環により、健康寿命を縮めつつあります。
 この記事(その1)で言いましたように、生命を維持するためには、第1族同士のナトリウムとカリウムとの間において、また、第2族同士のカルシウムとマグネシウムの間において、微妙なバランスが求められるのですし、加えて、第1族と第2族のバランスも重要ですし、リン過剰も防がねばならないのです。

 ところで、本題の“厄介物”であるカルシウムですが、日本人の場合、何ら意識しなくても摂取量は不足することはないと言えますし、マグネシウムもそれなりに摂取できていますから、入りのカルシウムとマグネシウムはほぼ充足し、また、両者のバランスは概ね整っていることでしょう。
 でも、先ほど言いましたように、肉の多食、ナトリウム過剰、ストレス過多によって、カルシウムもマグネシウムも、特にマグネシウムが体外排泄されてしまい、細胞外液の適正な濃度を保てなくなります。なお、アルコールの多飲が、これに拍車を掛けます。
 ところが、骨には膨大な量のカルシウムが蓄積しています。そして、毎日、摂取量の10倍程度のカルシウムが骨の新陳代謝のために溶かし出されます。よって、細胞外液のカルシウム濃度が低くなれば、それでもって賄われます。なお、その分、骨量が減ることになり、これが恒常化すれば骨粗鬆症を引き起こす危険が出てきます。
 こうして、カルシウム濃度は一定に保たれるのですが、一方のマグネシウムは骨に若干量蓄えられているものの、その量は、概ねカルシウム100に対して3程度の割合でしかなく、骨からマグネシウムを賄うことはとうてい不可能ですし、また、賄おうとすると、マグネシウムと一緒に大量のカルシウムが溶出してしまいます。
 よって、マグネシウム不足が解消されない恐れが出てきますし、また、カルシウムとのミネラルバランスを崩しやすくなってしまいます。

 ミネラルバランスを整えるために
 そこで、マグネシウムをサプリメントなどで補給する必要性が出てきます。
 マグネシウム不足のサインは、偏頭痛をひどくする、まぶたピクピク、足がつる、これが代表的なものです。なお、イライラや精神不安は、カルシウム不足のサインであると同時にマグネシウム不足のサインでもあるようです。
 そこで、近年、鎮痛剤にマグネシウム配合のものが出てきました。偏頭痛の軽減に即効的な効果があるようです。
 まぶたピクピク、足がつるという症状は、筋肉の痙攣で、筋肉中のマグネシウムが不足すると、収縮した筋細胞が弛緩しにくくなるから起きるものです。
 こうしたサインが認められる方は、マグネシウム不足と考えてよく、積極的な補給が求められます。
 しかし、マグネシウム単品の健康食品は、まず出回っていないようですし、マグネシウムだけを過剰に摂ってしまうと、逆にミネラルバランスを崩しかねません。
 よって、当店では、カルシウムも配合されたサプリメントをお勧めしています。
 通常、カルシウムは足りているでしょうが、カルシウムと一緒にマグネシウムを摂取すれば、そのときのミネラルバランスの状態に応じて、それぞれの能動的吸収が十分に行われたり、あるいは抑制されたりして、過不足なく、理想的なミナラルバランスに近づけることができようというものです。

10 カルシウム補給で改善される症状もありそう
 ここまで、カルシウムは厄介物で、意識的に摂らなくても、ほぼ充足していると言いました。ところが、カルシウムを補給することによって症状が軽減する疾患もあるようです。
 既に記事にしました精神疾患です。カルシウムが精神安定剤としての効果があるとのことです。また、腺病質(体格が貧弱、虚弱で神経質、免疫力が弱く感染しやすい、アレルギーに過敏など、虚弱体質と同義語)に有効のようで、カルシウム剤の効能として上げられていて、風邪を引きにくくなったり、アレルギーが軽減したという症例も多いようです。
 ただし、これらを否定する見解もあります。たいして効くものではなく、全く効かない人が多いというものです。
 これをどう解釈するかですが、小生が思うに、こうした症状を呈する方の中に、たまたま低カルシウム血症の方がけっこうあって、カルシウム補給によって低カルシウム血症が改善され、その結果、こうした症状を軽減させたのではないでしょうか。
 なお、低カルシウム血症の原因は様々なようですが、主として、
腸におけるカルシウム吸収、腎臓における再吸収、骨からの溶出が、複合的に不十分になって起きるようで、副甲状腺の機能低下が大きな原因になっているように思われます。
 ところが、低カルシウム血症の方にカルシウムを補給しても効果があまり出ない場合も多いようです。これは、低カルシウム血症と低マグネシウム血症が同時に起きている場合ではないでしょうか。そうした方の場合は、まず、副甲状腺の機能を阻害している低マグネシウム血症を改善するためのマグネシウムの補給ということになりましょう。
 こうすることによって、低マグネシウム血症が改善されて、副甲状腺の機能が向上し、低カルシウム血症の大きな原因が取り除かれようというものです。
 こうしたことからと思われるのですが、ある製薬メーカーは、腺病質などを謳い文句にしていたカルシウム単剤を、最近、カルシウム・マグネシウム複合剤に切り替えました。

 ここまで、カルシウムに着目し、ミネラルバランスについて長々と書いてきましたが、小生にも、まだまだ分からないことが多く、一部誤りもあるかもしれませんが、そこのところはお許しいただき、この記事が皆様方にどれだけかでもお役に立てれば、幸いです。

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