現代医療にまたまた問題点“検診は無意味いや罪悪”
現代医療の問題点、特に生活習慣病については、過去記事の中で幾度か取り上げました。主なものは、次のとおりです。
2010.10.23~27 岡本裕著「9割の病気は自分で治せる」を中心に、8本の記事
2011.2.15 西原克成著「究極の免疫力」などから、アトピーに関する4本の記事
2011.9.13~15 土橋重隆著「ガンをつくる心 治す心」から、3本の記事
2011.12.28 新聞記事より「癌に関連して…“老いは病”か“病は老い”か」
いずれも現代医療の問題点を痛烈に批判したもので、それを紹介させていただいたのですが、そうした論述を展開される医師が近年大変多くなってきました。
これは、現代医療がどんどん望ましくない方向に向かっている証しでしょう。
今日の厚生労働省の施策や医師会の取組み方に大きな問題点があるのです。
今回、小生が師とする同業者から、またまた現代医療の問題点を指摘する良い著書が出版されたとの情報を得ましたので、ここに紹介することにします。
それは「新がん革命」、著者は安保徹医師ほかです。安保氏は、その著「免疫革命」(2003年)で一躍有名になった方で、その当時から現代医療のあり方を批判しておられ、その後幾冊も出版され、この度2011年8月に本書を共著されたものです。
必読の1冊でして、小生も近日これを入手しますが、その要点を既に師が顧客向け通信で分かりやすく紹介してみえますので、それを以下に寸借させていただきます。
主治医はあなた
現代医療の多くは、病気の根本原因が分からないまま、対処療法の薬が大量に処方されています。“対処療法を長期間続けて病気が治る”ということはあり得ないので、近年、医療不信が生じてきているわけです。
多くの病気は、「生き方の無理」や「食事の偏り」が原因であることを自覚し、病気は「自分が主治医となって治していく」時代になってきました。
定期健診=人間ドック(年1回検診)を受けても、健康で長生きはできない?!
欧米では、随分前から「人間ドックを受けた人」・「受けなかった人」の追跡調査を行い、その結果、“受けた人の方が健康で長生きをしている”ということが証明できないので、「人間ドックは無意味だ」というのが常識です。
あるのは日本だけ。
日本では、年間300万人以上が「人間ドック」を受けて、その結果、9割の人が何らかの「数値異常」と診断されています。
メタボ検診と同じように、わざとハードルを低くしているから、ほとんどの人は引っかかります。これは、「人間が異常」なのではなくて、「数値が異常」なのです。
がん検診、受けた人ほどがんになり、死亡率が高くなる?!
がんは「早期発見」・「早期治療」により、“がんは撲滅できる”と言われて久しくなりますが、しかし毎年がんで亡くなる方は確実に増えています。
それはなぜか。
1つには、繰り返し行なわれたレントゲン撮影やCT検査による放射能の被曝によって新たながんが発生すること。2つ目には、放置してもかまわないがん(がんもどき)が多かった可能性があり、余計な治療で亡くなったこと。3つ目には、がん治療で必要のない治療を受けたことで、体の抵抗力が落ちて、他の病気が増えたこと。
抗がん剤ががんを治せないどころか、新たながんを発生させる?!
多くの抗がん剤には強い副作用があります。
それは、抗がん剤が「大変な猛毒物質」だからです。
さらに、抗がん剤が「新たながんを発生させる」こともある…これは製薬会社も厚生労働省のお役人も、そしてがんの専門医も皆知っている…ことで、知らないのは、我々一般の国民だけ。
では、なぜそんな効かないどころか、発がん性のあるものを使うのか。
それは、日本の医療費は今35兆円と言われていますが、がん絡みの医療費は約20兆円だそうで、ここに大きな答えがあるようです。
症状とは病気が治る証しである?!
例えば、風邪を引いたときに、熱・咳・くしゃみ・鼻水・下痢・頭痛などの症状が出ます。
これは、「自然治癒力」が働いて、体内に侵入した細菌やウイルスを撃退するための現象でして、「体が治ろう」としている証拠でもあります。
東洋医療は、「病気」と「症状」を分けて考えます。
「症状」が現れるのは、「病気」が治ろうとしている証しでして、むしろ好ましいことであって、それを手助けすることを考えます。
ところが、西洋医療の薬物治療は、両者を同一と考えて、「症状」を一つでも攻撃して潰していけば「病気」は治る、と考えます。
どちらが良いのか、子供でも分かりますよね。
今回の内容は、とてもとても一薬剤師(小生の師)であるオヤジが言えるものではありません。(でも、とても共感しています。)先に紹介した本を、ぜひお読みになってください。
ということです。皆さん、どう感じられましたでしょうか。
ここで、師の弟子である小生から、少々補足させていただきます。
西洋医療の考え方である“症状を攻撃して潰していけば病気は治る”という観念は、どこから来ているかについて、10年ほど前に、興味深いお話を聞く機会がありました。
講師は、元某テレビ局のニュースキャスターをされていた方で、演題は経済関係のものでしたが、西欧人の「物の考え方」の参考になるからと、自身が家族連れでドイツへ赴任していたときに、ご子息を病気で亡くされた件について、触れられたものです。
ご子息がお亡くなりになった原因は、西欧医療の本旨に基づき、“症状を強烈に攻撃した”(具体的には、高熱が出たから全身を水風呂に漬けて冷やした)ことにより、それに耐えるだけの抵抗力がなかったことによります。
そして、担当医師からの次のように説明を受けたとのことです。
「ご子息は、対処療法に耐えることが出来なかった病弱な体でした。もし、一命を取り留めていたとしても、このような病弱な体では、これから先、幾つもの病気にかかるに決まっています。生涯、病気で苦しみ続け、不幸を一生背負っていかねばならないでしょう。若くして他界できて、かえって良かったのではないでしょうか。」
そこで、講師のお話。
「西欧は、“弱肉強食、適者生存”が当たり前の文化になっている世界ですから、日本人が西欧で病気にかかったら、急ぎ日本にとって帰り、日本の病院に駆け込まなくてはいかんですよ、皆さん。そうしないと、殺されかねませんよ。」
そこから先は、小売業界一般の日欧比較の話になりましたが、ところで、今日、日本の病院に駆け込んで望ましい治療が受けられるかとなると、講師のご子息のように殺されるようなことはないにしても、その治療方法は、大同小異のような気がします。
日本の文化も西欧型になりつつありますから、抗がん剤治療のように、“がんが先に死滅するのか、母体が先に死んでしまうのか”、そのせめぎ合いをさせられることになるのですからね。
その西欧文化は、“弱肉強食、適者生存、そして自然淘汰”の考え方になりきっていますが、これは、皆さん、どこかで耳にされた言葉でしょう。
そうです、ダーウィンの進化論です。
でも、これは何も生物学の世界の言葉ではなく、ダーウィンが「種の起源」を発表した頃は産業革命が真っ盛りの時代で、当時の経済論が、そのような論点に立って展開されていましたから、ダーウィンが生物界も同じ論理が成り立つと見誤っただけのことです。
このように、“弱肉強食、適者生存、自然淘汰”という捉え方は、西欧社会のあらゆる分野で根深くはびこっている文化なのです。
こうしたことから、医療においても、「病気に勝てない虚弱な人間は淘汰されるしかない」という論法になってしまい、治療に当たっては、質実剛健な人間の「症状を消せば良い」ということになるのでしょう。
ところが、日本には、この西洋文化とは真逆の“弱者救済、共存共栄、敗者復活”の文化がまだまだ根強く残っています。
それだけ日本列島は平和が長く続いたからでしょう。その背景は、西欧と違い、異民族間の相互侵略の嵐に巻き込まれることがなかったからと考えるしかありません。
よって、「弱肉強食することなく弱者に救済の手を差し伸べ、適者生存ではなく共存共栄を目指し、自然淘汰させることなく敗者を復活させてしまう」という、実に心豊かで心穏やかな文化が、日本列島には長く生き続いてきていると考えられるのです。
こうしたことを踏まえますと、日本の本来の医療というものは、「どんな病気に対しても、まずは虚弱体質を改善するために滋養強壮になる生薬を与え、何らかの症状が出ても、病気と仲良く付き合うしかないとして、対処療法を行なわず、症状即療法でもって自然治癒するのを待つ」という考え方が育ってきたものと、小生には思われます。
さて、小生の師とする薬剤師さんやうちの店が、どういうスタンスでお客様に対応すれば良いのか。
質実剛健な人に対して対処療法で症状を消してあげるのか、それとも、虚弱体質の人に対して滋養を付け自然治癒力を高めてあげるのか、いずれかの選択を迫られるのですが、師も小生も、当然にして後者であるとして、接客しているところです。
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