薬屋のおやじのボヤキ

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我が女房の心不全闘病記

2023年11月16日 | 高血圧

我が女房の心不全闘病記
(初投稿:2018年11月末、追記:2020年5月20日)

 2018年9月10日の記事 「ついに古希を迎えた小生、人生の考え方がまたひとつ変わってきました」 のなかで、女房の病気について次のように書きました。

 2か月ほど前に、3つ年下の女房が治療法がない慢性心不全とわかり、今のところ日常生活にさほど支障はないものの、もはや全く無理が利かない体になってしまった…。
 
なお、女房の体力低下は前からあり、女房が高齢者の仲間入りをした2年前に店の定休日を週2日(日、月曜日連休)としたところです。…女房も、無理が利かない体と上手に付き合いながら、“暇つぶし”と“ボケ防止”に店をやっていこう、そして、店は気の合ったお客様との楽しいコミュニケーションの場、という考え方に変わってきていますので、この先、夫婦で細く長く店はやっていけることでしょう。

 女房の体調変化は、4年ほど前(2014年:63歳)からありました。それまでは低血圧傾向にあり、血圧(上)が常時110程度でしたが、急に140ほどに上がったのです。こうした血圧の急激な変化は、血管のどこかで血液の通りが悪くなり、その先への血流確保のために心筋の収縮が以前より強くなった、という可能性が大きいと考えらます。
 でも、体調になんら変化がなくて、女房は、“まあ、これは年のせい。年齢相応の血圧になったわ。”と言い、検査も受けませんでした。そんな頃、小生の血圧も20ぐらいポーンと上がったものですから、“お互い、年を食ったもんだ”と、小生も気にしませんでした。

 今、思うに、このときに検査を受けておけばよかったのかも…。
 このブログの高血圧の記事 「 高血圧は健康で長生きできます。血圧の薬は飲んじゃダメ。中高年は180でも大丈夫。(改訂版)」 のなかで、小生は次のように書いているのですからね。
 
☆ 注意が必要、急な血圧上昇 
 ほぼ一定の値を示していた血圧が、過剰なストレス負荷などの原因が思い当たらないにもかかわらず、あるときから急に上がり始め、恒常的に3、40なり、それ以上にも上がってしまった、というような事態が発生したときには、何らかの血流阻害が体の中で起きていると考えるべきでしょう。こうした場合には、早速に生活習慣を改めるとともに、精密検査を受けられたほうがいいでしょうね。

 その後、女房の血圧は若干上がり気味でしたが、せいぜい150ほどにしか上がらず、体調も良好でした。しかし、それから2年ぐらい経った2016年頃、再び血圧が急上昇し、180ほどになりました。“こりゃあ、放っておくと、どこかの血管が詰まるかもしれん。”と、小生も少々心配になりました。 
 女房は薬剤師であり、無資格無免許の小生(ただし登録販売者の資格あり)よりも医学的・薬学的知見はあり、また、自分の体は自分が一番よく分かることですから、血管の詰まりを解消する漢方薬「丹参製剤」を飲み始めました。
 しかし、一向に血圧は下がってくれず、以前から感じていた“むくみ”が増してきました。そこで、当店に出入りしている漢方製薬会社の営業マンとあれこれ相談し、もう1種類漢方薬をあれこれ試すも、むくみはどれだけも取れず、血圧も高値安定。
 体調の変化としては、むくみの他は、少々息苦しさを覚えるだけで、日常生活に特に支障はなく、加齢により動脈硬化が進んでいるか、としか捉えていませんでした。
 今、思うに、ここまで急に上がって、決して下がらなかった血圧ですから、少なくともこの時点で検査を受けておけばよかったかもしれませんが、血管の詰まりを解消する方法は「手術か丹参製剤か」そのいずれかしかないでしょうから、女房は後者を選択したところです。もっとも、丹参製剤は規定量の半分しか飲まなかったですが。

 そうした対応を続けながら、さらに1年ほど経った昨年(2017年)11月に夫婦で富士五湖へ1泊2日で出かけ、標高差450mほどを往復する山登りをしてきました。恒常的に少々息苦しさを覚えるようになっていた女房ですから、往きは小休止をこまめにとってゆっくり登りましたので標準時間の5割増しを要しましたが、下りは標準時間で難なく降りられました。“けっこう丈夫いな、女房は。これなら心配はいらんわ。”と感じた次第です。
 ところが、今年(2018年)1月に女房が一人で名古屋へ行ったとき、長い階段を上る途中で息切れし、苦しくなって、しばらくじっとしていなければならない事態に。女房は、けっこう歩いたからそうなっただけかと思い、新たな対処法は何もとらず、やりすごしました。
 その後、息切れは少しずつ高まったようで、2月には漢方薬を1種類増やすことにしました。この時点で飲んでいた漢方薬・健康食品は次のとおりです。
 10数年前からずっと飲んでいる「銀杏葉エキス製剤」(抹消血流改善)と「高麗人参・シベリア人参製剤」(細動脈血流改善、冷え症改善)、最近飲み始めた「丹参製剤」(大動脈の詰まりを解消する漢方薬<ただし規定量の半量しか飲まず>)と「苓桂朮甘湯」(最終的にたどり着いた、むくみがどれだけかとれるようになった漢方薬)
 これに静脈流の改善に良い「四川富貴廣」(田七人参ほか生薬配合)を足す。

 しかしながら、息切れの改善は見られず、4月から疲労を感じたときには「牛黄製剤」を頓服で飲むようにしました。これは疲労解消にかなりの効果があります。
 この時点で、遅ればせながら精密検査を受けるべし、という状態に至っていたのですが、女房は娘と2人で6月に海外旅行に出かけることにしており、検査は旅行から帰ってから、ということにしました。旅行中は「牛黄製剤」を毎日しっかり飲む、これで乗り切れると考えられたからです。

 さて、何とか無事に海外旅行から帰って、早速に近所の循環器内科医院に行き、その紹介でG病院で精密検査を受けることになりました。
 その結果はというと、“こりゃあ、ひどい”という状態になっており、かなり特殊な症例ということで精密検査も2回にわたって行われ、後日、補足検査も行われました。
 診断の結果は、循環器内科医院のW大先生(元G病院長で循環器内科のベテラン)とG病院の若手医師で若干見解が分かれましたが、最終的には「拡張型心筋症を伴う慢性心不全」という判定が下され、治療法はないというものでした。
 2回目の精密検査のあと、小生も立ち会って心臓の状態について説明を受けたのですが、聞くより見たほうがはやい。CTだかMRIだが知りませんが、その画像を見ると、左心室の冠動脈が真っ白で血流が止まった状態。左心室の周りから新たな血管が随分と伸びてきており、それでもって左心室の心筋を何とか働かせているといったところ。随分前に血管が詰まってしまったんだなあ、という印象を受けました。
 その辺りの説明を詳しくしてくれればいいのに、若手医師は、心臓の働きの基礎の基礎を説明した後、画像説明はそこそこにして、飲まなきゃいけない薬の説明をくどくど言い、おまけに食生活改善のため栄養士の指導を受けなさい、とまで言う。
 しびれを切らし、小生が“女房は薬剤師ですから…”と告げると、“あっ、そうでしたか”とくる。検査前に、調書には職業もちゃんと書いてあるのに、それを全然見ていない医者。出す薬もマニュアルどおり。これじゃあ、とんでもないヤブだ。
 ついでに付け加えておきますと、2回目の精密検査はカテーテル主体で、手術の扱いになり、きっと詰まっている血管の掃除でもしようということになったのでしょう、それを研修医にさせたものだから、これがへたくそで、無理にカテーテルを通そうとする。女房は一時的に窒息状態。死ぬかと思ったと言う。そして、生検もするからと、心筋の一部をつまみ取る。“あっ、取りすぎた”との声。心臓に穴が空くんじゃないかと、女房は心配になったそうな。まあ、そうしたことで、無事解放された後には、女房は心身ともクタクタに。恐れ入りました。

 ところで、左心室の冠動脈が詰まりかけたときには、何らかの狭心症の症状が出てもよさそうなものですが、女房には何らそうした症状が出ませんでした。そうしたこともあって、高血圧やむくみがどこからきているのだろうか、肝臓なのか、腎臓なのか、膵臓なのか、肺なのか、といったところを女房はいろいろ自分なりに探っていたのですが、どこということもない、さっぱり分からない、という状態でした。まさか心臓そのものだったとは思いもよらなかった、というのが検査結果を聞いてからの女房の弁。

 さて、その後の状況ですが、最初の検査で鉄欠乏性貧血がけっこうひどいことが分かり、これは女房も承知していたものの、鉄剤なり総合ミネラル剤を少しでも飲むと便秘し、なんら対処しないままできましたので、7月から循環器内科医院で定期的に鉄剤注射を受けることにしました。
 G病院の若手医師から処方された薬は、降圧剤2種類、血液をサラサラにするアスピリンと制酸剤、そしてコレステロール値がたいして高くもないのにコレステロール薬、あとは、むくみを取るための利尿剤が2種類、たしかそんなところでした。
 で、これら全部を規定量どおりに飲んだらどうなるか。女房も心得たもので、基本的に何も飲まず、です。(コレステロール薬については、このブログ記事 「 コレステロール降下剤は毒薬。更年期すぎの女性は飲んじゃダメ!(改訂版) 」を参照ください。)
 もっとも、利尿剤は即効的にむくみを取ってくれますから、2種類のうちどちらか一方を量を加減して飲んでみる、といったところです。そして、血圧が180と、医師から見ればチョウ高いですから、150を下回る程度に抑えられるよう、どちらか1種類をチビチビ飲んで、その後の検査をパスする。そうした飲み方をしています。
 その後、予後を見てみたいとのG病院の若手医師の要望があって、2度通わされるも、あとは循環器内科のW大先生に定期的に通うからと頼み込み、なんとかG病院のヤブ医者からおさらばさせていただきました。
 さて、G病院から解放された11月下旬に循環器内科医院へ女房が行きましたら、W大先生は心配顔で、“降圧剤が前回より倍量出ているがどうしてだろう?”とおっしゃる。すかさず女房が、“わたし、降圧剤、飲んでませんから心配いりませんわ”と返答する。すると、W大先生は笑いながら、“少しは飲んだ方がいいんじゃないかあ~”といったようなやりとりをして、鉄分注射だけで帰ってきました。

 11月現在の体調は、7月から定期的に鉄分注射を受けるようになってグングン良くなりました。ヘモグロビンが少なきゃ、息切れするのは必然ですから、当然の結果です。加えて、赤血球に活力を与える(だから疲労も取れる)「牛黄製剤」を毎日飲むようにしましたから、より快調です。両先生とも慢性心不全がかなり改善していると驚いてみえます。
 でも、長い階段を上る場合はやはり息切れし、途中でストップして小休止、という登り方をしています。そして、日常は心臓に負担がかからないよう、決して無理な動きはしないと心がけています。でも、少しは足の筋肉に負荷を与えないと筋肉がやせてしまいますから、加減しながら自転車に乗ったり、歩いたりしています。

 治療法のない病ゆえ、最初の精密検査のあと、W大先生は、“あなたは、もって20年でしょうなあ。”と、おっしゃる。即、女房は、“20年もなんて、先生。5年もてば十分ですわ、わたし。”と応答したとのこと。これにはW大先生もあっけにとられたそうな。
 還暦がとうに過ぎ、高齢者にもなり、あとは、いつピンピンコロリと逝ってもいい、できればそう願いたい、という気持ちになっている我が夫婦ですから、そうした返答になります。
(参考 延命治療を受けないためのリビングウィル(死の間際にどんな治療を望むかをあらかじめ示した書)を書く )

 ところで、女房が日常生活をするうえで、一つ困った問題が生じました。これは4月頃から出ていたのですが、ときおり咳き込むことです。スギ、ヒノキ、その他が原因して花粉症の症状が春先から6月頃まで毎年出ますから、咳の原因は花粉症と思っていたのですが、それがずっと続くのです。慢性心不全であると肺に水が溜まり、それがゆえに咳が出る、ということが往々にしてあり、原因は花粉症ではなく、慢性心不全だったのです。
 慢性心不全が原因して肺が弱る、水が溜まる、咳き込む、ということになるのですから、肺に活力を与える生薬を飲めば、咳が減ずるのではなかろうか。となると、霊芝がファーストチョイスで、これを毎日飲んで何とかならないか。そこで、霊芝配合の健康食品「参霊茸」を目安量の半量ですが、これを2か月飲み続けました。
 しかし、残念ながら改善の兆候は全く出てきません。よって、接客中や夜中に咳き込みがひどいときは、やむを得ず咳止液を頓服で飲んで咳を抑えていますが、そのうち漢方の咳止めを試してみようと女房は考えているところです。

 以上が、2018年11月末現在の女房の「心不全闘病記」(ちょっとオーバーな表現で、すみません)ですが、折をみて、その後の状況を追記したいと思っています。
 類似した病気をお持ちの方の参考に少しはお役に立てれば幸いです。

(2020年5月20日追記)
 当初は、半年ごとに追記しようと思っていたのですが、もう1年半も経ってしまいました。症状が進むのが当たり前のところ、逆に良くなってきて、お医者さんもたまげておられるような状態になってきたからです。
 当初は咳でけっこう悩まされていたのですが、これは市販の咳止め薬を頓服で使うことによって乗り切っています。
 今は3か月に1回お医者さんに行って鉄分注射をしてもらっています。
 利尿剤はその後、弱いものに変えてもらい、毎日飲むことによってむくみを緩和させています。
 何といっても、やはり漢方薬の力はすごいものがあります。
 なお、当初飲んでいた「丹参製剤」(大動脈の詰まりを解消する漢方薬)は飲むのを止め、血管改善のためのものは以前から飲んでいた「銀杏葉エキス製剤」(抹消血流改善)のみとし、「高麗人参・シベリア人参製剤」(細動脈血流改善、冷え症改善)はシベリア人参単剤のものに変更しました。
 静脈流の改善に良い「四川富貴廣」(田七人参ほか生薬配合)と「牛黄製剤」(赤血球に活力を与える。だから疲労も取れる)は引き続き毎日飲用。それに「鹿茸製剤」(生命力を養うベーシックなもの。牛黄の働きを補助。)を足しています。

 階段を登るには10段で小休止、こうしないと息切がひどくなる、という状態は続いていますが、何をするにもゆっくり動けば日常生活に全く支障はなく、症状の進行は全く認められない、といったところです。
 検査数値も異常に良くなり、W大先生も漢方系の薬・健食に驚いてみえます。
 降圧剤は一切飲んでいないのですが、当初180ぐらいあったのが、今は130ぐらいになり、どうしてこんなに下がったのか不明ですが、小生思うに、心臓の働きが鈍ってきて高い血圧を維持することができなくなったのではないか、といったところでしょう。なんせ慢性心不全なんですからね。
 気がかりなのは体重増加。これはお医者さんが言っておられたとおり。食欲が旺盛なのは変わらず、動きはのろくなった、よってエネルギー差し引き計算すれば余りが出る、というものです。
 各種花粉に反応する女房です。例年、初夏もくしゃみや咳をすることが多く、加えて心臓の弱りから肺に水が溜まり、そのために咳が出やすい状態にあるものの、今年はコロナ対応もあって接客中はこれらはご法度なのですが、ほとんどくしゃみも咳も出ず、何が功を奏しているのかつかみかねていますが、とても助かっています。

(2023年11月16日追記)
 月日が経つのは早いもので、前回追記して以来、3年半が過ぎました。
 その後、体調が悪化することは全くなく、どちらかと言えば、少しずつ良くなってきているという、有り難い状態にあります。また、体重増加も止まっています。通院は3か月に1回で、いただいている薬はむくみに効く利尿剤のみ。ときおり鉄分注射。これだけです。
 W大先生は、“どんどん悪くなっていくはずの慢性心不全が、あなたの場合はどんどん良くなっていく。不思議だ。どうやら漢方薬が効いているようだ。G病院で近く漢方勉強会を始めるから、あなたの症例を紹介したい。今飲んでいる漢方薬を書き出してほしい。”とおっしゃる。保険適用されない漢方薬ばかりですが、参考になればと、女房が全部書いてお渡ししたところです。
 一番効果があったと思われるのは牛黄製剤なのですが、牛黄はここ何年かずっと中国で投機対象となっており、投機家によって買い占め傾向が続いているようで、品薄となり、価格は高騰を続け、うちが仕入れている牛黄製剤も、この6月に3年前の2倍にもなっています。毎日けっこうな量を飲んでいる女房です。金銭的な負担も痛いですが、万一入荷できなくなったら弱ったことになってしまいます。仕入れ制限も掛かっており、お客様への販売にも支障をきたす、昨今です。

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適正血圧は上下の比率が110:70を最適とすべし、です。

2021年12月29日 | 高血圧

適正血圧は上下の比率が110:70を最適とすべし、です。

 半年前にこのブログを見て当店ホームぺージへメールで健康相談いただいた方から、その後の体調について経過報告がありました。
 最近はこうした相談が月に1件ぐらいに減っていますから、“ああ、あの方か”と覚えていていいはずなのですが、歳を食っていますから(73歳)、“はて、どんな相談を受けたのだったっけ?”と思い出せなかったものの、そのときのメールのやり取りがぶら下がっていましたから、“ああそうだった”と思い出しました。
 半年前のやり取りと今回の経過報告をかいつまんで紹介しましょう。

 60歳超えの男性。3年近く前に軽い心疾患を患い、それ以降、降圧剤を2種類飲み続けていたら、腎機能が落ちてきたり、血糖値が上がったりし、加えて、血圧がだんだん上がってきて、血圧(上)が常時180ほどになった。そこで、小生のアドバイスを受け、かかりつけ医師と話をし、一切の薬を絶つことに。そうしたら血圧(上)がすぐに200ほどにアップ。これは今年の6月のこと。
 その後、血圧は若干下がりぎみになるも、寒さ厳しくなった現在は血圧(上)が200超えを頻発。ただし、断薬により体調はすこぶる良好となり、検査数値も軒並み改善。主治医も検査数値改善には驚いている。
 なお、血圧の上下の比率は110:65~75をキープしており、最適比率である110:70を概ね維持している。

 ということです。今まで健康相談をいろいろ受けてきましたが、スパッと断薬することをお医者さんに正直に話をされた方は10人に1人あるかないかです。この方の勇気に敬服しました。
 そして、断薬された方からは、たいてい体調が良好になったとの報告を受けています。生活習慣病に使用される薬の長期服用を止めた場合は、まずこういう結果となるのが普通です。

 で、今回の経過報告において、常時血圧(上)が200超えであっても心配ないか、との念押しの質問であったのですが、次のように回答しました。

 血圧の上下の比率が110:65~75の範囲に収まっていれば、西勝造氏の理論からして、上の血圧が2百数十までは大丈夫

 この理論は西勝造氏が、世界各国の文献や自分で集めたデータをもとに、すでに戦前において構築されたものですが、後にも先にもこの理論を評価する者は日本の医学界にほとんどいないようで、全く知られていません。とても残念なことですが、「適正血圧は上下の比率が110:70を最適とすべし」なのです。
 西氏の専門は土木工学でして、血圧理論も弾性力学からのアプローチで裏付けされたものです。そして、医学については幼少時のあまりの虚弱体質からの脱却を独学で学び取られた方ですから、実体験に基づいており、その分、西式健康医学は信頼が置けるというものです。
これについての概説は「高血圧について基本的なお話し(自分の血圧を測ってみて)」をご覧ください。 

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高血圧について基本的なお話し(自分の血圧を測ってみて)

2021年03月25日 | 高血圧

高血圧について基本的なお話し(自分の血圧を測ってみて)

 血圧が140だとビックリされる方が多いようですので、高血圧について基本的なお話しをすることにしましょう。
 昨日、久しぶりに小生(今72歳)の血圧を測ったところ、上141、下79と出ました。ちょうど5年前の今頃(67歳)の値は、上137、下84でした。
 もっとも、血圧は上下とも日変動が激しいですし、測定時刻によっても差が出ますから、1回計っただけでは、これが通常値とは言えませんけどね。
 それにしても、還暦前あたりまではよ~く体を動かしていましたから、たいてい上110台、下70台前半でしたが、
その後はずいぶんと怠けるようになって血圧がグンと上がり、今では5年前に比べてまた上がったようです。飽食して体を動かさなきゃ、血圧は上がるのは当たり前で、加えて加齢に伴ってまた上がるのは、文明人に共通するところです。
 昨日の測定結果の評価は、常識的には、とうとう危険水域に達した、といったところですが、小生は、上141についてはなんも心配していません。

 血圧141というのは、心臓が血液を送り出した時の動脈血管内圧を水銀柱で示した値で、141㎜Hgということ。地表での空気の圧力(大気圧)は760㎜Hgですから、それに比べれば2割にも達せず、これでもって血管が破裂するなんてことは絶対にあり得ません。血圧が200になっても血管破裂の危険性はほとんど皆無のようです。
 地球上の生物は760㎜Hgという「高圧力」の下に暮らしているのですから、ときおり血圧が200になっても、そう騒ぎなさんな、です。じゃあ300になったらどうか。実例としては、戦後初期に対米交渉を行った吉田茂首相は交渉時には血圧が常時300になったといいますから、これまた問題ないでしょう。

 この世で一番の健康生活を送っているのは菜食中心の採集狩猟民です。粗食で体を毎日よく動かす。仕事らしい仕事は午前中で終わり、午後は暇潰しし、暗くなったら夜が明けるまで寝る。これが理想的。で、彼らの血圧はというと、老いも若きも上110、下70。この血圧がヒトのあるべき姿なのです。
 肉食を控え目にし、よ~く体を動かしていた還暦前の小生の血圧は、これに近いものでしたから、この血圧値は納得がいきます。

 ところが文明生活にどっぷり足を突っ込んでいると、加齢とともに血圧が上がっていくのですが、上(収縮期血圧)と下(拡張期血圧)が、採集狩猟民の血圧比率「110:70」に比例して上がっていくのであれば、なんら問題は生じません。
 このことについては、すでに戦前に西式健康法を樹立された西勝造氏が言っておられますし、また、45年ほど前に(財)労働科学研究所所長・小山内博氏が、ゆっくりランニングを毎日2~30分続けると、誰しも血管がだんだん正常化していって、血圧は上下ともに採集狩猟民の血圧「110:70」に近付いていくことを計測されています。
 しかし、今日、医学会はこの比率を完全無視。上の値だけを持ち出してああだこうだ、下の値だけを持ち出してああだこうだと言っているだけです。せいぜい上下の差(脈圧)で何かものが言えないかを調べているだけで、これも的外れです。

 血管は伸びたり縮んだりするゴム管のようなもの。ここは、力学における弾力性の良し悪しを計ることになります。ゴム管が硬化してくれば管内圧の上下の差が小さくなりすぎますし、ゴム管が弛んでくれば管内圧の上下の差が大きくなりすぎますから、これらはともに使い物にならないです。力学上の観点からは、その伸びしろと縮みしろが比例していれば、まだまだ使えるということになります。血管の場合、上の血圧がいくら上がっても、血圧の上下の比率が理想値の「110:70」を維持すれば、まだまだ使えるのです。
 例えば、上が140なら理想値110の27%増しですから、下も理想値70の27%増しの89となれば、血圧の上下の比率が「110:70」となって、血管はまだまだ使え、つまり、適正血流量が維持されようというものです。
 ですから、血圧の上下の比率でもって、血流の良し悪しを判断すべきなのです。

 さて、小生の場合はいかに。還暦前は上110台、下70台前半で極めて理想的で優良な血管。5年前の今頃(67歳)の値は上137、下84で比率は110:67となり、昨日(72歳)の値は上141、下79で比率は110:62となり、適正比率110:70からだんだん離れていっているようです。先にも言いましたが、どちらも1回の測定結果ですから、なんとも言えませんが、どうやら血管が弛んでいく傾向にあるようでして、そのうち使いものにならなくなりそうでもあります。

 西勝造氏は(戦前)日本人は平均的に110:65、米国人は110:75であり、一般的傾向として前者は穀類食傾向によるものであって、後者は肉食傾向にあることが原因していると言っておられるようです。そして、適正比率110:70より比率が広がれば広がるほど胃腸病を招きやすく、適正比率110:70より比率が縮まれば縮まるほど脳梗塞、心臓病、糖尿病、関節炎を招きやすくなると言っておられます。

 小生の場合は、菜食のほうが多いようにも思うも、たぶん穀類食傾向にあるのでしょう、血圧上下比率が広がる傾向にあるようで、「年を食ったら肉を少しは食え」と、西勝造氏の養生訓にありますから、米国人の食生活に少し変えれば、適正な血圧上下比率110:70にどれだけかは近付くんじゃないかと思っています。
 皆さんも自分の血圧上下比率「110:〇〇」を一度計算なさってみてください。そして、いつも〇〇が60を切ったり80をオーバーしたら、ちょっとやばいでしょう。少し食生活を変えてみられてはいかがでしょうか。
 もっとも、なんといっても一番なのは、採集狩猟民並みに毎日体をよく動かすことですけどね。ヒトの体の器官は、限度を越えない範囲であれば、使えば使うほど良くなるものです。脳だって筋肉だって。それと同様に血管も、運動して血液を大量にドーッと流すことを繰り返していれば、血管壁構造(筋肉層)もだんだん弾力を取り戻してきて若返ろうというものです。


(関連記事)
2012.4.21 ゆっくり走って治す高血圧。低血圧もゆっくり走って改善。上は110、下は70に近づきます。

 

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血圧は年齢とともに上がる、高血圧は病気ではない

2020年07月05日 | 高血圧

血圧は年齢とともに上がる、高血圧は病気ではない

 佐伯誠一著「からだの雑学事典」(1984年)は絶版となり、今や古本でしか買えませんが、蔵書を断捨離していて、けっこう興味深い箇所がありましたので、このブログでも紹介することにします。 で紹介したものです。)
 36年も前に出版された本からの引用ですが、その当時、血圧についてどのように理解されていたのか、現在における理解との違いがけっこうあって、面白いです。
(以下「からだの雑学事典」から該当箇所を引用)

 血圧は年齢とともに上がる
 心臓が伸縮して血液を押し出すときの圧力が血圧だ。心臓が縮むと血圧は最高に達し、これを最高血圧、またの名を「収縮期血圧」と呼ぶ。めいっぱい広がって次に縮む直前、血圧はいちばん低くなる。これが最低血圧、別名「拡張期血圧」。
 血圧は心臓から遠い場所ほど低くなる。心臓から出たところの最高血圧が140の人なら、上腕の動脈で120、足の先で90、最後の毛細血管では20に落ちている。
 ふつう、血圧というときは上腕の動脈で測った圧力のことだ。そして、血圧120ミリというと、重い水銀を12センチも押し上げる圧力のことで、もしかりに水なら170センチもふき上げるすごい力だ。
 血圧は朝より昼が高いし、寒いと上がる。夏と冬では20ぐらい違う。トイレを我慢したり緊張すると高くなるし、性的なことを想像しただけでも上昇する。それに40歳を過ぎると健康な人でも血圧が上がっていく。これを本態性高血圧と呼ぶ。
 本態性というのは、血圧が高くなるということ以外には、何の異常もないということで、一種の生理現象だ。血圧は、人によって、上がりやすいタチの人と、上がりにくいタチの人がいるのだが、時間が遅れるだけで、誰でも、いつかは上がる。40や50で上がらなくても、70歳、80歳になると、やはり上がる。
 高血圧は病気ではない
 血圧が高いということは、病気ではない。それどころか血圧が高いと血の巡りがいいのだから、喜ばなくてはいけない。(中略)
 人間の血管は、ふだんの10倍の圧力を加えてみても破れないほど弾力がある管だ。だが、どこかもろくなった箇所があると、そこがはじけて裂ける。脳卒中(※)は脳の中の動脈がもろくなり、血液がどっとあふれ出たものだ。動脈硬化こそ卒中の原因で、単なる高血圧だけでは血管は破れない。高血圧と動脈硬化はまったく別の病気である。
(以下、引用略)

 いかがでしょうか。「血圧は年を食えば上がって当然。血圧が高けりゃ血の巡りが良くなって喜ぶべし。血圧は1400(あり得ないが)になっても血管は破れやせん。なんも気にせんとてええ。」ということになる(これが正しい)のだが、佐伯氏はそう断言せず、医者の回し者のような解説をもしておられるので、間違い直しをしつつ、それを併せて以下に紹介しよう。
 まず、引用文中の(※)について、ちょっと注釈を入れておく。著者佐伯氏は医学の専門家ではないからか、「脳卒中は…血液が…あふれ出たものだ」と、正しくは「脳出血」のことを、かように書いておられるが、これは明らかな間違い。「脳卒中は、血管が詰まる脳梗塞と血管が裂ける脳出血・くも膜下出血を含めた脳の血管系疾患の全体」をいうのであって、血管の破れ、詰まり、その両方をいうのである。
 それと最後の一文「高血圧と動脈硬化はまったく別の病気である。」は、いただけない。見出しで「高血圧は病気ではない」と言っておきながら、高血圧が病気にされてしまっている。(もっとも、これは「(以下、引用略)」とした部分の記述との関連でそうなったきらいはあるが。)
 さらに付言すれば、動脈硬化も病気ではなく、「血管が硬く脆くなり、内壁にコレステロールなどが沈着して血液の通りが悪くなる」状態のことをいうのであるから、いまだ未病の段階にあり、あえていうとならば「動脈硬化症」だ。
 なお、現在では、高血圧も「高血圧症」と言われることが多くなったが、動脈硬化ほどには血管系疾患との因果関係はなく、佐伯氏が言われるように「血圧が高いと血の巡りがいいのだから、喜ばなくてはいけない。」のであって、「本態性高血圧」と呼ぶにとどめおくべきものである。

 ところで、「(中略)」の部分には、次のように書かれている。
 ただ、高血圧が何らかの原因になって、さまざまな症状が起こる。それが問題なのだ。
 そして、「(以下、引用略)」には、現在言われていることと全く同じ“脅し文句”が書かれている。それを以下に全文引用することとする。
 血圧が高くなると、心臓は自らの筋肉を肥大させてそれに耐えようとする。そのため心臓そのものが拡大して機能が低下し、心不全を起こす。さらに心臓に栄養を送っている細い動脈の硬化が進んで、心臓が栄養不足や酸素不足になり、狭心症や心筋梗塞を起こす恐れがある。
 高血圧は病気ではなくても、脳卒中、心臓病、動脈硬化などを起こす要因になっている。脳出血や心筋梗塞、狭心症を除くには、そのもとの高血圧を何とかしなくてはならない。それで、高血圧を病気扱いにするのだ。世界保健機構では、最高血圧が160ミリ以上、または最低血圧が95ミリ以上を、高血圧と定義している。
(以上で全文引用完了)

 血圧に関して佐伯氏の捉え方に2通りある。その時代以前の捉え方「高血圧は本態性であり、血の巡りがいいのだから喜ばなくてはいけない。」というものと、たぶんこの頃から騒がれだしたであろう「高血圧が何らかの原因になって、さまざまな症状が起こる。それが問題」というもの。
 前者だけに止めておけばいいものを、後者に言及するから一言文句を言いたくなる。

 まず、心不全に関する記述だが、心臓の筋肉はそんなに華奢(きゃしゃ)なものではない。年を食えば高血圧であろうとなかろうと、心臓肥大は避けられないものの、けっこう元気に動いてくれるものである。ただし、いつまでもその元気さは保証されるものではなく、心筋梗塞や大動脈解離または大動脈瘤破裂といった突発性疾患がなければ、やがて心臓は機能不全となり、ご臨終ということになるのだが、死因が老衰と診断されるのはまれで、多くは心不全と診断されるだけのこと。
 高血圧が起因して血管系疾患を誘発すると盛んに言われているが、降圧剤でもって血圧を下げた結果、逆に血管系疾患を誘発するという報告もあり、高血圧と血管系疾患との間にはたいした因果関係はないというのが本当のところだ。血管系疾患は飽食と運動不足が原因と言った方が当たっているのである。

 その後、どんどん高血圧が口やかましく叫ばれるようになり、現在ではWHO(世界保健機構)の高血圧基準は最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上になっており、日本の医学界も概ねこれに準拠している。
 で、現在、日本の高血圧の基準値はどうなっているかというと、非常に複雑化させており、巧妙に仕組まれている、といってよいであろう。基本は140と90であるものの、130どころか120までが登場している。一方で、年齢区分は極めて荒っぽく、加齢とともに上がっていく血圧につき、高齢になればなるほど高血圧症にされてしまう。こうして、「皆、血圧の薬を飲め」とばかり、悲しいかなますます薬漬けから脱却できなくなっている日本の医療制度である。
 そして、けっこう若くして(40代、50代で)血管が詰まる疾患を発症するのが近年の傾向であり、これが増え続けている。これは、ますます高度文明社会になって、飽食と運動不足、これにストレスが加味されてのことであり、この3大要因の除去なくして血管系疾患からの脱却はあり得ない。しかし、これはどだい無理な話。今さら狩猟採集民には絶対に戻れないのであるから、これを甘んじて受け入れるしかないのである。

 さて、高齢者が血圧の薬を飲めば、血圧が下がって血の巡りが悪くなるのであり、体全体の元気さが失せてしまい、かえって様々な疾患を拾うことになるのである。うち一番の問題が、年寄りはただでさえ脳血流が悪くなるのであるからして、血圧の薬なんぞ飲めば“ボケ街道まっしぐら”への道を突き進むしかなくなるのだ。今日の日本は、高度文明社会の便益をたっぷり享受できて実に有難いことではあるが、それがために、皆、長寿となり、そのあまりの長寿が災いして痴呆症が多発する。痛しかゆしである。
 ここで、小生はあえて痴呆症と言い、認知症と言わなかったのは、「痴呆という症状を呈するから痴呆症なのであって、逆に認知できるのであれば非常に健康な頭をしており、認知症とは痴呆が治ってしまう状態」をいうからである。ボケを認知という言葉を使って表現したいのならば、認知不全症とでも言うべきだ。

 高齢者と呼ばれる年齢になったら、その先はそう長くはないもの(人生100年時代というから随分先になるかもしれぬが)と、こころえ、年を食えば食うほど、いくら健康に留意したとしても最期は血管系疾患で逝く可能性がどんどん高まるのであるからして、高血圧を甘んじて受け入れたいものである。そのいい例が、「ピンピンコロリ」運動を展開してみえる長野県で、お年寄りたちの最新の合言葉は、これが一番苦しまずに死ねるからであろうが「脳血管障害で95歳で死のう!」となっているようだ。
 長野県のこの例は、例外であって、世間一般、どううわけか日本人の年寄りどもは、“俺は死にとうない”とばかり、医者から単なる延命措置にしかならない薬をガバチョともらい、ヨタヨタになっても悪足掻きしまくる輩があまりに多い感がする。どうやらこれは日本人の無宗教性(ここでいう宗教とは、超越者である特定の神を唯一絶対の存在とする一神教)が災いしているのではなかろうか。そんなふうに小生は思う。

 本稿は、途中まではこのブログの“一楽”に沿った明るい内容の記事であったが、引用の後半からは別立てブログ「薬屋の…」にふさわしい暗いボヤキ記事になってしまった。
 読者の皆さん、お許しあれ。
 そして、もう一つ。このブログで2016.3.30に「高血圧の話はもう終わりにしませんか」と題して記事を書きましたが、その後も高血圧の記事を何本か書き、今回もまた高血圧に関して書いてしまいました。重ねて、読者の皆さん、お許しあれ。

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それでもまだ降圧剤を飲みますか

2020年01月16日 | 高血圧

それでもまだ降圧剤を飲みますか

 日本高血圧学会のサイトでは、次のように謳われています。
 高血圧(140/90 mmHg以上)は、日本人の三大死因のうちの二大疾患である脳卒中や心臓病など、生命に関わる病気を引き起こす最も主要な原因となっています。
 
また、同学会の一般向け「高血圧治療ガイドライン」解説冊子には、
  高血圧は、サイレントキラーといわれるように、自覚症状はほとんど現れませんが、長い時間をかけて動脈硬化を進行させます。症状がないからといって、高血圧を放っておくと、突然脳卒中や心筋梗塞になることがありますし、徐々に腎機能が低下してしまいます。動脈硬化が進行して引き起こされる脳卒中、心筋梗塞や腎臓病などの重大な病気になってから高血圧に気づくことも多いため、注意が必要です。
と書かれています。つまり、
 原因=高血圧、結果=動脈硬化→脳卒中、心筋梗塞や腎臓病などの病気を招く
というのです。

 これって素直に考えてみるに、“おかしい”となりませんか。
 誰しも年を食うと、体が硬くなり、シワも寄ります。血管だって同様でしょう。つまり年を食えば血管は動脈硬化を起こす。すると、血液の流れが悪くなり、体中が欲しがっている酸素が十分に供給できなくなる。そうなりゃ心筋が収縮力を高めて血圧を上げ、酸欠状態にならないようにするでしょう。これは、ヒトにはホメオスタシス(生体恒常性)の維持機構が備わっていますから、血圧上昇はごく自然にスムーズに行われるというものです。

 つまり、日本高血圧学会の主張の真逆の形、
 原因=動脈硬化、結果=高血圧→年を食っても十分な血流を保ち、健康維持
ということになりましょう。

 その昔、血圧は年齢+90、これだけあって普通で、これが基準値と言われました。
 このことは、原因=動脈硬化、結果=高血圧、と言っていると考えるべきことです。
 もっとも、この動脈硬化と血圧の関係は、鶏が先か卵が先か、という因果の問題になりましょうから、容易には解明できない性質のものではありますが。
 でも、間接的状況証拠になるものが幾つかあります。つまり、血圧を降圧剤で下げるとどういう結果を招くか、動脈硬化が止まるのか止まらないのか、これは検査が困難であるも、心血管や脳卒中疾患が減るのか否かをみてみればいいでしょう。

 こうした考え方を取っておられるのが日本脂質栄養学会で、下図のようにまとめられておられます。

出典:2019.9.8 発刊「日本人は絶滅危惧民族 ー誤った脂質栄養が拍車ー 」
<裏表紙:糖尿病 慢性性腎炎 骨折 脳・心血管病 認知症 少子化の予防を目指して> 
(日本脂質栄養学会 食品油脂安全性委員会 糖尿病生活習慣病予防委員会 編著者:奥山治美)

 そして、上記出典のなかで次のように述べられています。
 上述(資料62図)のように、降圧剤が血圧を下げる結果として抹消組織を虚血状態にし、むしろ脳・心血管病を増やす可能性がある。実際にこのような因果関係を示唆する具体的な臨床データを数例示す。
 一般集団を10年間追跡し、降圧剤の使用群と非使用群について脳卒中死と心血管死が比較された。…この一般集団についての大規模な観察研究の結果にもかかわらず、日本高血圧学会が低い基準値を設定して、降圧剤治療を進める根拠は見いだせない。…


(次に)日本の保健所を中心とした追跡調査の結果を資料65に示す。結果について強いていえば、WHOの分類Ⅵ群(>180 / >110)のみ、降圧剤によってわずかな脳卒中イベントの抑制が期待できるが、促進の場合もありうる。開始時血圧がそれ以下の場合は、降圧剤を使用して脳卒中発症をまったく抑えることはできない。

(引用ここまで)
 これ以外の追跡調査としては、降圧剤使用での総死亡率の増加、自立率の低下の2例が、上記出典に掲載されていますが、このブログの「高血圧は健康で長生きできます。血圧の薬は飲んじゃダメ。中高年は180でも大丈夫。(改訂版)」で紹介したものと同じですので、割愛します。なお、上記出典には図表は乗っていませんでしたが「茨城県民(40歳以上男女)約10万人を5年間追跡調査した結果も同様に、降圧剤を使用しない群のほうが癌死亡率も総死亡率も低かった(入江ふじ子ら、2001)。」との記述があります。
 これだけ状況証拠が出てくると、表題に掲げましたように「それでもまだ降圧剤を飲みますか」と結論付けていいように思うのですが、残念ながら科学的に明確に断定するのは早いようです。上記出典では、これらの研究における降圧剤の使用群と非使用群はランダムに割り付けられたものではなく、背景因子が異なる可能性が高いからであるとし、納得できるRCT試験の結果が待たれる、としています。
 RCT試験:対象者を無作為に介入群(検診など、決められた方法での予防・治療を実施)と対照群(従来通りまたは何もしない)とに割り付け、その後の健康現象(罹患率・死亡率)を両群間で比較するもの。無作為化比較対照試験、ランダム割付比較試験とも呼ばれる。

 しかし、どうでしょう。ダメ押しとなる可能性の高いRCT試験なんぞやろうものなら、降圧剤は有害であるという明確な結論がでてしまい、開業医の倒産続出となりましょうから、日本医師会がだまっていないでしょう。よって、このような医者の生き死に関わる試験は阻止され、そして相も変わらず一般向け「高血圧治療ガイドライン」解説冊子をばんばん配り、患者のみならず国民をだまし続けることでしょうね。
 なんとも弱った世の中です。自分の身は自分で守るしかなく、何が真実かを自分で調べるしかない世の中にますますなっていく令和の時代。
 このブログがそうしたことに少しでもお役に立てば幸いです。

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高血圧は健康で長生きできます。血圧の薬は飲んじゃダメ。中高年は180でも大丈夫。(改訂版)

2019年05月30日 | 高血圧

高血圧は健康で長生きできます。血圧の薬は飲んじゃダメ。中高年は180でも大丈夫。(改訂版)
(2015.10.24投稿)
(最新更新 2023.2.19)

 降圧剤の副作用もあってか、このブログで1、2にアクセスが多いのが本稿ですが、追記を何度も行っていますので、たいへん読みずらくなっています。そこで、最近立ち上げたホームページで、「高血圧のコーナー」として編集し直しました。それと同じものをこのブログにも掲載することとします。

高血圧のコーナー
(高血圧に関連する10本ほどのブログ記事を要約したものをここに記すこととします。その詳細についてはブログ「薬屋のおやじのボヤキ」の中のカテゴリー「 高血圧 」などに入れてありますので、お時間がありましたらお読みなさってください。なお、主だったものは各項に参考記事として掲げました。)

● はじめに
 まずは、 原点に立ち返って「血圧」(ただし、上の血圧「収縮期血圧」。以下、単に血圧と記します)というものを考えてみましょう。
 「血圧が低い」ということは、心筋の収縮力が弱くて血流を生み出す力が弱いということになりますし、逆に「血圧が高い」ということは、心筋の収縮力が強くて血流を生み出す力が強い、と言えましょう。
 どちらがいいでしょうか。「血圧が高い」ほうがいいに決まっていますよね。
 なんせ、これによって血流がスムーズになり、全身くまなく血液が巡り、体中の細胞に十分な酸素供給をすることができるからです。
 野口英世の有名な言葉に「人間の病気や体内の痛みは、細胞が酸素欠乏で死んでしまうから起こるものだ」があります。酸素は命なのです。
 (参照:ブログ記事 野口英世の言葉「酸素だ!」 )

 これは一般論ですから、補足します。
 血管に弾力があり、詰まりもないのであれば、血液はスムーズに流れますから、心筋の収縮力は小さなもので済みます。若い人や毎日スポーツを欠かさない中高年の方は、概ねこの傾向にあります。
 逆に、血管の弾力がなくなり、所々で折れ曲がっりたり、詰まりかけたり、といった状態になると、血流にブレーキがかかりますから、全身に十分な血液を流すには、心筋の収縮力を高めるしかありません。
 これは典型的な老化現象で、中高年は避けて通れないところです。
 でも、粗食で毎日運動を欠かさない方は、血管にまだまだ弾力が残っており、詰まりもなく、わりと低い血圧で推移しましょう。
 次に、体質というものがあります。血管の太さが人によって異なったり、働きうる毛細血管の本数に差があったり、その他様々な要因でもって、同じように若くて同じように運動している人でも血圧に差が出てきます。

 こうして、健康な人の血圧は、様々な数値を示すことになり、幾つなら安全とか、危険とかを決めることはできないのです。
 これは、身長が150cmだと鴨居(かもい)に頭が届かなくて安全、180cm超だとオデコをぶつけて危険、ということと同じレベルの問題なのです。 背が高ければ何かと有利な反面、ときには危ないこともあるのでして、血圧もこれと同じで、あとから述べますが、血圧が高いと有利な面がけっこう有るようです。
 従って、特別な場合、例えば超肥満で冠状動脈の血管壁がベトベトになっていて心筋梗塞の危険が高いとか、中高年になって冠状動脈が切れそうな状態にあるとか、そういった血流ストップや血管破裂の恐れが非常に高い場合に、あくまで補助的に血圧を下げる必要が出てくるだけのことでしょう。

● 血圧の基準値の捉え方 
 私が若い頃は、血圧の基準値は「年齢+90」と言われていました。
 これが本来の基準値というものです。
 (参考資料:本来の基準値というものはどうやって定められ、それが年齢階層別にどういう数値になっているのか、それを「 健康診断 本来の基準値 」として表示しましたのでご覧ください。)
 その後1970年代に一律に「160」と定められ、一時(1987年から)高齢者は「180」とされました。ところが、1990年代に入ると、「140から160」がグレーゾーンとされ、2000年代にはグレーゾーンが消えて「140」と改訂されたのです。さらに2014年には、基準値「140」は変わりませんが、「正常高値血圧140未満、適正血圧130未満、至適血圧120未満」とされ、“もっと下げろ”と言わんばかりです。もっとも、後期高齢者は「150」が基準となりましたが、糖尿・尿タンパク陽性の方にあっては「130」と厳しいものです。(この段落:2016.2.18改訂)
 2017年に米国では高血圧の基準値を従来の140から130へ変更しましたが、日本高血圧学会は2019年4月に高血圧治療ガイドライン2019(5年振りに改定)を発表し、基準値そのものは据え置いたものの、一部の数値が変更されました。
 そして、旧ガイドラインで「治療による目標血圧値」と表記されていたものを「降圧目標」に微妙に変えました。“ちゃんと血圧を下げなきゃいかん”というニュアンスが強まったと言えましょう。その数値はというと、成人は旧ガイドラインでは140となっていたものを130に、後期高齢者は旧ガイドラインでは「150(様子を見ながら下げられれば140)」となっていたものを一律140と厳しくしました。(注:糖尿病などの患者は130で変更なし)
 また、旧ガイドラインでは、「家庭血圧」は数値が低めに出るからとして一律「マイナス5」した数値を基準値などの物差しにしていましたが、新ガイドラインでは高い血圧ゾーンについては、「診療室血圧」から「マイナス15~20」というべらぼうに値を変えた「家庭血圧」基準にしました。例えば、「診療室血圧140~159=家庭135~144」、「診療室血圧160~179=家庭145~159」といったぐあです。家庭血圧が150あったら、すぐに医者に飛んで来い、ということになてしまいます。これには恐れ入ります。(この段落:2019.5.30挿入、5.31訂正)
 もっとも、基準値をだんだん厳しくしていくのは国際的なもののようで、先進諸国の生活習慣として過食・運動不足が進み、血管の詰まりによる死亡、後遺症が漸増してきましたから、ある一定の血圧以上の人を「要指導対象」とする必要性がでてきたからです。
 よって、欧米では初診料の保険点数が非常に高いですから、基準値をオーバーした人には医師が懇切丁寧に生活習慣指導を行うだけで、降圧剤を即投薬し、これをずっと飲み続けさせるなどということは決して有り得ません。
 ところが、日本の医療制度は欧米とまるっきり違い、初診料は雀の涙ほどしかありませんから、検査や投薬の保険点数でちまちま稼ぐしかなく、基準値が下がったのはもっけの幸いとばかり、“やれ脳溢血だ、冠状動脈破裂だ、血圧を下げないと死んでしまう!”と患者を脅しまくり、薬を飲ませ続けるのです。
 正確性を欠きますが、世界の降圧剤生産量の5割以上を日本人だけで消費しているとのことですから、クスリ漬けもいいとこです。
 “日本人は他の人種と違って、皆、特異体質であり、降圧剤を飲まなければ生きていけない”とでもいうのでしょうか。
(参考記事) お医者さんにおいしい高血圧患者(その1)<基準値オーバーで即投薬できる日本>

● 血圧の値は往々にして高めを示す 
 健康診断のみならず、ちょっとしたことで医者にかかったときにも医者は保険点数を稼ぐため、必ずといっていいほど血圧測定は付き物になっています。
 血圧が高いと昇進にも悪影響するからと、測定時に緊張して平時よりも20、30高くなったり、どこかが調子悪くて血圧がピーンと上がったりもします。
 そうしたとき、”血圧が高いねえ”と必ず言われることでしょう。
 実は、私は「白衣性高血圧」でして、看護婦さんに測ってもらうときは何てことないのですが、お医者様が直々にお測りくださるときは、緊張してしまって、30アップし、150超になってしまいます。(その対処法は10行ほど下の※)
 このように、往々にして血圧は平時より高めの数値が“公表”されてしまいます。弱ったものですね。
 そして、大きなストレスが掛かると、血圧は100アップが珍しくないものとなります。半世紀以上前の吉田茂首相は、外交交渉で血圧が300になることが度々だったといいます。大病院の真面目な院長も200超はざらだそうです。
 これらは極端な例ですが、どなたでも血圧というものは、ストレスはじめ心が臨戦態勢になれば必ず上がるものなのです。
 加えて、血圧をあまりにも気にしすぎると、家庭で自分で測定するときであっても、ドキドキして20、30高くなってしまいます。
 このように、血圧の値は乱高下しやすいですから、健康診断の時には、最初と、中程と、最後の3回くらい測っていただいて、最低の数値を“公表”値としてほしいものですね。 
 (参考記事)  健康診断の“検査”は“病人”を作り出すだけのもの。特に「血圧」と「コレステロール」が悪質
※(2016.2.25追記)
 ベテランの医師、松本光正氏は次のようにおっしゃっています。
 「血圧計で測る前に、にっこり笑ってみましょう。それだけで心が穏やかになります。高血圧に最も必要なのは、降圧剤ではなく、“くすり”
と笑うことだと、私は長年の経験で感じています。」 (追記ここまで)

● 降圧剤を飲み続けることによる弊害:副作用 
 血圧が150だ、180だ、といって、降圧剤をずっと飲み続ければ、その種類により異なってきますが、必ずや何らかの副作用が現れることでしょう。
 全身くまなく血液を循環させるのに必要となる、その人にとっての適正血圧を降圧剤で無理やり下げるのですから、いいわけがないです。
 直接的に血管や心臓に弊害を及ぼすでしょうし、肝臓や腎臓など他の臓器への影響も懸念されます。何よりも、血流不足が心配され、全身くまなく十分な酸素供給ができなくなる恐れが大きいです。
 ところで、厚生労働省や医師会の見解では「血圧が高いと動脈硬化が進む」と言われていますが、研究者の中には「降圧剤で血圧を下げると、血流が澱んでかえって動脈硬化が進む」とおっしゃる方もみえます。
 真逆の2論があるわけでして、どちらが正しいのか、私も判断しかねるのですが、加齢に伴い動脈硬化が進むのは必然ですし、それが直ちに生命の危険になるものでもないですから、枝葉末節な議論とも言えます。
(参考記事) お医者さんにおいしい高血圧患者(その2)<メタボ検診を導入し、降圧剤投与の悪乗り>

降圧剤弊害に関する2つのコホート研究(2016.3.15追記)
高血圧治療のガイドラインのデータに基づく検証[医療情報学 28(3)125-137]
 この中で、「降圧治療の住民対照研究」(東海大学大櫛陽一ほか)の郡山市におけるコホート研究の調査結果として次のように出ています。
 降圧剤治療を受けた人は受けなかった人に比べ、どの血圧レベルも総死亡率が高くなりますが、収縮期血圧180以上の方は総死亡率の危険度が約5倍(データ使用標本数からして統計的に有意<95%信頼区間の下限は危険度約1.8倍>)と出ています。


②最大血圧値と自立者の割合
 (1980年国民栄養調査対象者の14年間追跡コホート研究データからの解析)
 高齢者の最大血圧値を20mmHgごとにグループ分けし、降圧剤を服用しているか否かで自立者の割合に差があるかどうかを解析したもの。

 
この図から降圧剤でもって自立度が落ちることは明白ですし、最大血圧を120未満に下げると自立度が極端に落ち、これは大きな問題でしょう。
 ところで、降圧剤の有無に関わらず血圧が高いほど自立度が落ちていますが、これは高齢になればなるほど血圧が高くなりますから、年齢と自立度との因果関係が、血圧と自立度との相関関係として現れたにすぎないと考えるべきものです。(追記ここまで)

降圧剤の使用群と非使用群について脳卒中死と心血管死の比較研究(2020.1.16追記)
(2014年EPOCH-JAPAN研究、2013年JPHC研究)
 これについては それでもまだ降圧剤を飲みますか
 を参照ください。(追記ここまで)

 健康で暮らすには血圧はどの程度がいいか
 血圧の大小によって健康状態の善し悪しがどうなるのか、その大規模な疫学調査はいまだ行われていませんが、これは、どうやらその答えが分かっているようでして、厚生労働省はそうした調査には補助金を付けないようです。
 なお、信頼が置ける疫学調査がひとつあります。それは、ヨーロッパ高齢者高血圧研究会によるもので、詳細情報は入手していませんが、「血圧が高いほど死亡率が低い。血圧が180程度までは脳卒中になる可能性が高くなるという明確な根拠はない。」という報告があるとのことです。
 ところが、日本においては、脳卒中の発生頻度に限って血圧の大小との関係を中規模的に調査したものがあります。それによると、血圧130台の人に対して、140~150台の人は12%アップ、160台以上の人は43%アップと出ています。信頼度にかなり幅がありますから、多少正確性に欠きますが、血圧が高くなると、どれだけかは脳卒中の発生が増えるのは確かなことでしょう。
 だからといって、血圧を下げて長寿が得られるかとなると、他の臓器(肝臓、腎臓、肺などなど)が弱り、それらでもって短命となることをヨーロッパの報告が示しています。

● 高血圧を喜びましょう 
 ここまで述べてきましたように、平常時の血圧が150とか180とかであれば、何も悲観することはなく、喜ばしいこととして捉えたいものです。
 ある老人ホームでは、入居者に降圧剤を飲むのを止めさせたら、自立度が高まり、総じて健康になり、また、血圧が高い人ほど元気だ、とのことです。
 たしかに前項で述べましたように、血圧が高いと脳卒中になる確率は若干上がるようですが、それ以外の疾患が減れば健康で元気にすごせることになり、生涯現役で長寿を全うできようというものです。そして、後期高齢者ともなると、ボケないようにするためには、何よりも脳血流を十分な状態に保つ必要があり、血圧を上げねばならないのです。
 ちなみに、ピンピンコロリ運動を進めている長野県では、「いつまでもピンピン。95歳で脳血管系障害でコロリと死のう!」が合言葉となっています。
 お医者さんに「あなたは高血圧だ」と指摘されても、「だから健康で元気でいられます。ボケも逃げて行きます!」と言い返す勇気を持ちたいですね。
 生活習慣病改善に関しては、世界最悪の医療制度の日本ですから、「高血圧、即、降圧剤」という詐欺師もどきの話に決して引っかかってはなりません。 

※ 親御さんが医者を信じて降圧剤を飲み続ける
 若い方には「降圧剤はよほどのことがない限り飲んではダメだ」ということがかなり浸透してきているようなのですが、そうした方の親御さんの中には、医者を信じて降圧剤を飲み続けておられ、親を心配して何とか薬を止めさせようと話しかけても、“聞く耳持たん”状態にあり、困っておられるケースがけっこうありそうです。
 そうした相談を複数受けましたので、どれだけお役に立てるか分かりませんが、私からそうした親御さんにお手紙を差し上げるという形式でブログ記事を作りました。次のものです。参考になれば幸いです。
 (参考記事) お母さん、高血圧の薬、お願いだから飲まないで 

● それでも血圧を低くしたい方に 
 高度文明社会においては、絶対的に「飽食と運動不足」に陥ります。その結果が高血圧として現れます。文明度と血圧は比例関係にあると言えましょう。
 ちなみに狩猟採集民の血圧は110です。老いも若きも110です。文明人も粗食して毎日体を動かし続ければ、こうなります。
 少しでもそれに近づけたいと考えるなら、日本人であるなら肉食をうんと減らして野菜中心で腹八分にし、毎日、2、30分の軽いジョギングを日課にすれば血圧が20や30は直ぐに下がることでしょう。ただし、ジョギングを食後直ちに行うと、胃がんの発生頻度が大きく高まりますからご注意を。体に大きな負荷がかかる運動や労働は胃が空っぽのときに限ります。
(参考記事)  ゆっくり走って治す高血圧…

 しかし、ジョギングはとても無理、毎日の散歩もなかなか、という方が多いでしょう。高齢者となった小生とてジョギングは100mが限度です。
 現代人は体をあまり動かしませんから、どうしても末梢血流が悪くなり、つまり毛細血管の血流が不十分になり、毛細血管の弾力が落ちているのです。
 これが血圧を上げる一因となっています。
 毛細血管に働き、毛細血管に弾力をつけ血流を改善してくれるのが銀杏葉エキスです。これは、すぐれものです。特に脳の血流を良くしてくれます。
 当店では、抹消血流障害による頭痛、肩こり、高血圧ほか様々な症状のお客様におすすめし、皆さんに喜ばれています。
(参考記事) こんな方に銀杏葉:高血圧
 (2015.11.10 この段落:挿入、次行:一部修正)

 でも、粗食や運動、銀杏葉エキスの飲用で、短期間に血圧を下げることはできません。
 不条理のこの世の中ですから、メタボ健診で引っかかると何かと不利になり、早急に現行の基準値以下に抑え込まねはならない事情を抱えた方も多いかと存じます。当店では、そうした方も含めて高血圧のお客様におすすめし、皆さんに喜ばれているのが漢方新薬の丹参(たんじん)製剤です。
 これは、即効性があるようですし、毎日1か月飲むと数値が20前後低下することが臨床実験で明らかになっています。
 現在6メーカーほどから発売され、品名は皆違いますが、配合成分・処方量とも全く同じです。(当店の取り扱いはJPS製薬のものです。)
 イスクラ産業 冠元顆粒
 小太郎漢方 環元清血飲
 クラシエ薬品 冠心逐瘀丹
 八ッ目製薬  冠源活血丸
 JPS製薬  冠源活血丸(製造元は八ッ目製薬)
  救心製薬  冠心調血飲 

 ところで、減塩すれば血圧が下げられる(これは真っ赤なウソ)と思って、薄味で我慢なさっておられる方が多いようですが、これはバカげています。
 自分で美味しいと思う程度の塩加減で料理をお楽しみください。無理な減塩は、胃酸の出を悪くしますし、冷え症になるなど健康を害します。
(参考記事) 塩を摂りすぎると高血圧になる?…  
(2016.10.01追記)
 食塩に関連し、血圧を上げる要因として体内のミネラルイオンバランスの崩れがあります。細胞内と細胞外で濃度差を変えて絶妙にバランスを取っているのがナトリウムイオン&カリウムイオン、カルシウムイオン&マグネシウムイオンの組み合わせです。
 一般にカリウムとマグネシウムが不足がちで、それでもって高血圧を呈することがあります。カリウムは野菜、果物、芋に多く含まれていますから毎日欠かさないように食べることです。マグネシウム不足は胚芽米や玄米で概ね解消されますが、サプリメント(カルシウム&マグネシウム、または総合ミネラル剤)で補給されるとよいでしょう。
 肉が好きで野菜を食べない白米食の方は、カリウム、マグネシウム不足となり、血圧が高くなる傾向がありますから、この際食生活を改められることを、生活習慣病全般の観点からもおすすめします。(追記ここまで) 

☆ 注意が必要、急な血圧上昇 
 ほぼ一定の値を示していた血圧が、過剰なストレス負荷などの原因が思い当たらないにもかかわらず、あるときから急に上がり始め、恒常的に3、40なり、それ以上にも上がってしまった、というような事態が発生したときには、何らかの血流阻害が体の中で起きていると考えるべきでしょう。
 こうした場合には、早速に生活習慣を改めるとともに、精密検査を受けられたほうがいいでしょうね。
(2016.12.2追記)
  以上のとおり念のため注意を喚起しましたが、ここ1、2年の間に、小生、女房ともに相次いで血圧が「あるときから急に上がり始め、恒常的に3、40なり、それ以上にも上がってしまった」状態となりました。
 原因を自分なりに探ってみますと、どうやら小生は前立腺肥大、女房は体のむくみ、これが原因して血流阻害が生じ、生体反応として血圧が急激に上がってしまったようです。
 そこで、本元の原因を解消すべく対処しているのですが、これはなかなか難しく、高血圧は放置したままでいます。
 なんせ、正直言って“高血圧は恐れるに足らず”と思っていますから。
 それを念頭に置き、高血圧について別の角度から捉えた記事をこのブログで最近アップしましたので、ご覧になってください。
 高血圧の話はもう終わりにしませんか、そして高血圧の薬を飲むのは止め!

参考にしていただきたサイト
 高血圧に関して、参考になるものを次に掲げましたのでご覧ください。
1931年生まれの経験豊かな方のブログ「お爺ちゃんの万華鏡」に、血圧の本質的な解説が分かりやすくなされています。
  血圧の不思議
▼厚生労働省や医師会などが言っていることは間違っていることを取り上げ、具体的に解説されたサイト。
  武田邦彦(中部大学)
 たくさんの記事があり、その中で「健康と長寿」で検索したものが上のURLです。下の方にある01~04までが「高血圧」に関するものです。他の記事も参考になります。

 「高血圧のコーナー」はここまでです。
 かなりの長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(2016.2.25追記)
 ベテラン医師が長年の経験で、高血圧治療の無意味さや薬害を語っておられます。わりと最近に刊行された本を紹介しておきます。
 松本光正著:高血圧はほっとくのが一番 (講談社+α新書) 新書 2014/4/22
 大櫛陽一著:長生きしたければ高血圧のウソに気づきなさい 単行本 2014/10/21

(2017.9.2 関連記事投稿)
 最近、高血圧の薬を飲むのを止める方が増えてきた感がします

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最近、高血圧の薬を飲むのを止める方が増えてきた感がします

2017年09月02日 | 高血圧

最近、高血圧の薬を飲むのを止める方が増えてきた感がします
(最新更新 2018.12.3)

 小生のこのブログでアクセスが一番多いのが高血圧の記事です。なかでも「高血圧は健康で長生きできます。血圧の薬は飲んじゃダメ。中高年は180でも大丈夫。」(旧版と改訂版)に集中しています。高血圧に関して、随分と数多くのコメントやメールをいただいていますが、電話での相談もけっこう多いです。
 電話での相談は、ブログ記事の確認が主ですが、それは当然のことでしょう。ブログなんてものは、どこの誰だか分からない御仁が無責任に勝手なことを書いていて、はたして信用していいものか、心配になりますからね。もっとも、小生のこのブログは、ホームページ同様に住所・氏名・電話番号に顔写真まで載せていますから、どれだけかは信用していただけるようですが、しかし、できれば直接会って確かめたいし、少なくとも電話で声を聞いて確かめたい、人間誰しも当然そう思います。
 よって、わざわざ遠方から車で時間かけて来てくださった方も何人かいらっしゃいます。そうした方には1時間ぐらいお話を聞き、病歴や現在の疾患を踏まえて、降圧剤飲用の良し悪しをアドバイスさせていただいていますが、引き続き飲む必要がある方は1名しかありませんでした。他の方は、スパッと止めていい方ばかりで、たいていは金輪際飲むのを止めようと決心され、後日、体調が良くなったとか安心して毎日が過ごせるようになったとか、感謝の電話をいただくことが多いです。こうした電話をいただけるのは最高にうれしいです。“よかったぁ、人の役に立てたぁ!”です。
 車では出かけられない大半の遠方の方からは、たくさんお電話をいただいています。ご来店いただいた方のように詳しくはお話が聞けませんが、要点だけは聞き取り、たいていは“直ちに飲むのを止めても問題ないです。”とアドバイスさせていただいています。
 先日は、事前の相談ではなくて、事後の感謝の電話をいただきました。小生のブログを見て、血圧の薬を飲むのを止めようと決心し、おっかなびっくり降圧剤を段々減らしていき、3か月(半年?)で断薬したところ、それ以降、信じられないくらい元気な体になられたとのことで、感謝感激され、涙ぐんで電話してこられました。このような電話をいただくと、小生の涙腺もむずがゆくなります。うれしいですね、こうした電話、最高です。

 さて、我が女房(66歳)、若かりし頃は低血圧で、上の血圧は100台でずっと推移していたのですが、還暦を過ぎた頃から上がり始め、高齢者となった頃には150台となりました。女房は“上の血圧は「年齢+90」が標準だからちょうどいいわ。”と言っておりましたが、それもつかの間のことで、半年ほど前から180台に急上昇し、190超えも度々。加えて、昔から大きかった脈拍数(70台)も若干アップし、80超えの連続。
 こうなると、女房も自分の体が少々心配になり、“原因はなんだろう。息苦しくなることもあるし、これは体のむくみから来ているのかも。”ということになり、むくみを取る漢方薬をいろいろ試すも、なかなかむくみが取れず、血圧も変化なし。そこで、長年の頭痛持ちで、これにいい銀杏葉エキス製剤、といっても医薬品ではなく健康補助食品の「銀杏葉α」(全薬工業の製品)、これを長年飲んで頭痛はほぼ解消していたのですが、これを目安量の倍量飲み、最終的に選び出した漢方薬と、利尿効果のあるお茶の3種類の併用で、やっとむくみが概ね解消し、また、息苦しさを感じなくなり、体調も良くなりました。
 しかし、血圧はいっこうに下がる気配なし。なお、むくみを取る漢方薬をいろいろ試すなかで、血圧を下げる効果が高い丹参製剤(冠源活血丸)を1か月間、規定量の半分飲んだものの、ほとんど効果はありませんでした。そうしたことから、女房曰く“わたし、血圧を下げるのはもうあきらめたわ。上の血圧180台、これがわたしの正常血圧よ。体調はいいのだから、何も心配ないわ。”ということで、一件落着。
 小生思うに、運動オンチでスポーツは何もしてこなかった女房ですから、全然血管が鍛えられていなくて、か細い血管しか持ち合わせておらず、ために、高齢者となって動脈硬化が始まったら、普通の人よりも顕著に血圧の上昇をみるに至った、といったところではなかろうか。これは単なる憶測にすぎませんが、当たらずといえども遠からずでしょう。
 一時、動悸・息切れがあって、少々心配したものの、今ではそれもすっかり消えたところをみると、幸い心臓もその血圧を維持できるだけの丈夫さがあり、必要な血流は十分確保されていることでしょう。体調良好だから、何も心配なしです。
 小生とて、還暦前は半農半商生活で、1年365日、毎日、体を十分に動かしていて、血圧は上:110台、下:70台を維持し、狩猟採集民と同等の理想的な値でしたが、その後は運動量が減ったこともあって、だんだん血圧が上がりだし、間もなく69歳になるのですが、今では血圧は上:140台となり、150を超えることもあります。これも加齢により動脈硬化が進んだことによるものでしょう。

 ここで、最近発行の「みやざき中央新聞」にシリーズで載っていた、田中保郎ベテラン医師(日本「腸」医療界の第一人者:1942年生れ)の講演録要旨から、高血圧に関するお話を紹介します。
 今は血圧の正常値が130だと言われています。しかし昔は「年齢に90を足す」と言われていました。僕は今74歳なので正常値は164となります。…僕は血圧の最高値が280くらいある98歳の方を3人診たことがあります。その方々に共通するのは最低値が低いことで、70~80くらいしかありませんでした。実は、最高血圧が120くらいしかなくても、最低血圧が100もある人は亡くなってしまうことがあります。最高血圧が高いと、病院で薬を処方されてその数値を下げられてしまいますよね。そうすると、その患者さんはどうなってしまうと思いますか? 体を保てなくなってふらふらしてしまうのです。僕はお年寄りは血圧が上がっても構わないと思っています。ただ、最低血圧だけはチェックしていただきたいですね。(抜粋ここまで)

 というようなことで、血圧が280というオバケのような方さえいらっしゃるのですから、女房も自信を持って、お客様に“わたしなんか血圧はいつも180台よ。でも、血圧の薬なんて飲まなくて大丈夫、平っ気。あなたも飲むのを止めなさいよ。”とやっています。
 こうして、当店のお客様のなかにも高血圧の薬を飲むのを止める方が出てきました。
 そして、先に書きましたように、
小生のブログを見た方も高血圧の薬を飲むのを止める方がけっこう出てきているようです。
 これだけのことで、表題の「最近、高血圧の薬を飲むのを止める方が増えてきた感がします」なんてことは言えないのですが、同業者で小生のような取り組みをしておられる方が数多いですし、小生のようなブログを立てておられる方も相当数あることでしょう。
 そうした地道な取り組みでもって、近い将来、表題のとおりのことが実現するのを夢見ている小生です。
 おっと失礼。お医者様のなかにも、ここに紹介した田中保郎医師のような先生も増えてきているようにも思います。そうしたお医者様方にも頑張っていただきたいですね。

(備考) 1年ほど前に「高血圧の話はもう終わりにしませんか… 」と題して記事にし、もう血圧の記事は新たには書くまいと決めていたのですが、180超えの女房を目の当たりにし、また、280くらいもあるお年寄りの例を知ったものですから、1本、記事を起こしたところです。

(2018.12.3 追記)
 女房の血圧が150台から180台に急激に上昇して少々心配したことを、この記事で書きましたが、この記事を書いてから10か月後に慢性心不全と判明しました。
 そのあたりのことについては、別途記事にしました。
  我が女房の心不全闘病記

 

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高血圧の話はもう終わりにしませんか、そして高血圧の薬を飲むのは止め!

2016年03月30日 | 高血圧

高血圧の話はもう終わりにしませんか、そして高血圧の薬を飲むのは止め!
                                                       (2016.8.13改題)

 このブログで最もアクセスが多い記事は高血圧に関する記事でして、コメントも数多く寄せられ、またメッセージなどからの相談も度々入ってきております。 
 そうしたことから、高血圧をテーマにした記事を今までにこのブログで11本(まとめや改訂で実質7本)も書いてきました。
 しかしながら、高血圧というものは、つまるところ測定数値の大小で一喜一憂させられるだけのことでして、血圧がどんなに高くても何ら支障ないと言い切っても、まず問題にならないと、ますます最近思えるようになりました。
 そこで、このブログでまだ紹介していない戦前の古典的な適正血圧の捉え方を本稿で紹介し、 これでもって高血圧の話を終わりにしたいと思います。
 なお、以下の記事は、先日、別立てブログ「薬屋のおやじの“一日一楽”&“2日前”の日記」に2回に分けて書いたものを再編集し、松本光正著「高血圧はほっとくのが一番」を参考にするなどして一部書き添え、まとめあげたものです。

<戦前の古典的な適正血圧の捉え方(その1)>
 下(拡張期)の血圧[最低血圧]は上(収縮期)の血圧[最高血圧]の11分の7が理想的なようです。これは、昭和9年頃に健康医学の大家、西勝造氏が提唱され、力説されていたことです。しかし、今日、これを支持する医学者は残念ながら誰もいないようです。
 ところで、なぜに11分の7なのか。その説明は手持ちの書には書かれておらず、どうしてだろうと疑問を持ち続けていたところ、先日、それにハッと気が付きました。
 西氏の弟子として有名な甲田光雄医師(故人)の古いラジオ放送がYou Tubeで流されており、それを聞いていたら、少食を第一とする健康生活を送っておられた甲田氏が、“自分の血圧は、ずっと上が110で下が70だ”と言っておられました。
 なあんだ、そうか。これを聞いて、類まれなる健康体であれば皆そうなるのだし、110と70ということは、比率は11:7で、「下の血圧は上の血圧の11分の7」になる、という簡単な算数です。これに気付くのがとんと遅い小生。
 粗食で毎日動き回っている狩猟採集民の血圧は、上が110で、下が70であるし、軽いジョギングを続けていると、だんだん上110、下70に近づいていく傾向にあるという臨床データもあります。このことについては、このブログで既に紹介(「ゆっくり走って治す高血圧…」)しているし、自分でもしっかり記憶できてもいるはずです。
 それにもかかわらず110と70が11分の7と表現されると、全く別のものに思えてしまって、同じことを言っているのがいつまで経っても分からなかったのは、いかに小生の脳が硬くなっているのかを示しています。お恥ずかしいかぎりです。
 ところで、文明生活にどっぷり浸かっていると、過食が元で動脈硬化が進み、血圧は年とともに必ず上がっていきます。これは常識であり、間違いないことです。
 そして、西勝造氏の言によれば、過食傾向にあっても、その食事内容が正しく、適度な運動を毎日していれば、血圧の上下とも同じ比率で上がっていき、つまり下の血圧は上の血圧の11分の7が保たれるといいます。加えて、この11分の7が保たれている限り、上の血圧はのちほど紹介する年齢を加味した「正常なる最高血圧」の2倍あっても差し支えないとまでおっしゃっておられます。つまり、血圧は200数十あったって何ら問題はないということも往々にして有り得るというもの
です。これには小生もたまげました。でも、西氏であれば、数多くの臨床データからの解析結果に違いなく、信頼できる発言でしょう。
 西氏が力説されていることは、次のことです。
 注意せねばならないのは、血圧がごく普通の数値であっても、最低血圧が最高血圧の11分の6を下回ったり、逆に11分の8を超えたりした場合です。
 戦前の日本人は、これが7を下回る(平均では6.4)傾向にあり、その原因は手持ちの書だけでははっきりしないものの、どうやら白米の多食によるビタミンB1欠乏が第1のように思われるのですが、7を超えるのが米国人(平均では7.4)であり、その原因は肉や乳製品の多食にあることははっきりしています。
 さて、小生はいかに。測ってみたら、上137、下84。11分の6.7と出ました。11分の7に近いとはとうてい言えない数値。でも、白米の多食はないし、白米といっても七分搗きであるし、かつ、ビタミンB1を多く含む豚肉が食卓にのぼることが多いから、ビタミンB1欠乏ではないでしょう。すると、原因は別のところにありそうなのですが、残念ながら真の原因はとんと分かりません。
 さてさて、久し振りに血圧測定したその翌日は外食したのですが、小生の11分の6.7という数値からして中華料理店に行き、ご飯を少なくし、酢豚をたっぷり食べ、グルメを満喫しました。そして、これからは野菜も大事だが、しっかり肉食もしていれば、血圧が理想的な11分の7に近づきはしまいか。年寄りは肉を食いたがるのは自然の流れであると、つい最近、別立てブログで記事「年寄りは肉を食え」にしたばかりだし。
 こうした口の卑しさに対して屁理屈をこねて正当化しようとする意地汚さに我ながら辟易するのですが、この年(67歳)になると、ますます何よりも食うことが最大の生きがいになってきていて、我が煩悩のなせるままにするしかないでしょうね。

<戦前の古典的な適正血圧の捉え方(その2)>
 ここからは、上の血圧について述べることにします。
 上の血圧が幾つなら正常なのか、あるいは理想的なのか、そして危険なのか。これについては、戦後の日本において医学界はどんどん低い数値を基準値に設定し、改定を繰り返しています。ということは、その医学が正しければ、日本人は高度文明社会に別れを告げて順次狩猟採集民生活へ逆戻りしていることを意味します。
 現実は逆です。狩猟採集民、農耕民、文明社会人と進むにつれ、血圧が高まってくるのは医学界でも常識であり、医学界がまっとうであるならば、戦前より戦後は血圧の基準値を上げねばならないのですし、高度成長後はもっと上げねばならないのですし、車社会になってからはまた一段上げねばならないのです。
 飽食して運動不足が重なれば、これによって血圧が上がっていくのは因果の法則に基づくものですし、平和が続き文明が高度化すれば、必然的にこうなり、これを認めずして基準も設定のしようがないのです。
 さて、すこぶる健康で理想的な血圧は、先に書いた狩猟採集民の上110、下70で、人間の理想値はこれ一つで不動のものです。ヒトと同程度の大きさの健康な大型犬の血圧は上90で、ヒトは四足から二足直立したがために頭へ血液をポンプアップする必要が生じ、20アップして110となったのです。
 ということは、すこぶる健康な寝たきり老人(有り得ない存在ですが)の上の血圧は90が理想値となります。
 血圧がいつも高めに出て、お医者さんに脅されることが多い方は、緊張感もあって定期健診などで測ってもらうと、より高い値が出がちです。そんなときは、“緊張しちゃって…。横になるとリラックスできますので、そこのベッドで横になってから測っていただけませんか。”と申し出られてはいかがでしょうか。お医者さんに嫌がられるかもしれませんが、これで20下がります。こうした申し出をしたときにクスリと微笑めば、緊張感も抜けて、それ以上に下がるでしょう。血圧低下の一番の薬は“クスリと笑う”ことなのですからね。
 今どき上110、下70という理想的な血圧の持ち主は珍しい存在です。でも、小生は還暦前あたりまでは、上110台、下70台前半でした。それが維持できたのは、1日1食(夕食のみ)で肉少々・野菜たっぷりの食事とし、店や畑仕事で毎日体をよく動かしていたからです。
 それが今は前日に測定したように上137、下84となってしまいました。10年ほど前に比べて上20アップ、下10アップです。1日1食生活を続けているも、以前に比べて腹いっぱい苦しいほどに食べるようになりましたし、店や畑仕事での体の動かし方も減ったからです。また、加齢も原因していましょう。
 この小生の上の血圧をどう評価するかですが、ちょうどピッタリ当てはまる基準値がありました。これまた西勝造氏が昭和9年頃に提唱された「正常なる血圧」の項で示された「正常なる最高血圧」でして、これは次の算式で求められます。
 男子 最高血圧=115+(年齢ー20)/2
 (
婦人に対しては男子より一般に5ミリ低いのを正規とする。)
 これに小生の年齢(67歳6か月)を入れて計算すれば、約139となり、極めて「正常なる最高血圧」となります。“どうだ、立派だろう”と威張りたくなります。少なくとも昭和初期の時代の人と同等の食生活や体の動かし方をしていると言えるのだからと。
 小生も日本人、こうした数字にとても弱いです。検査測定値に一喜一憂させられます。今回の血圧測定で上137と出て、昔の正常値が139とあるから、大喜びしているのですが、測り直せば140と出ることもありましょう。そうすると、たったの1超えただけですが、がっかり、しょんぼり、悔しーい、となってしまいます。
 冷静になって客観的に判断するに、西氏が提唱された「正常なる最高血圧」は昭和初期の人たちに適用されるのであって、今日の高度文明社会人に適用するのは無理がありましょう。より飽食時代になり、より体を動かさなくなっているのですから、戦後の高度成長期頃に言われた次の算式が「
正常なる最高血圧」となりましょう。
  最高血圧=年齢+90
 これによれば、小生の血圧は157あってかまわないのです。
 そして、今は当時に比べ、段違いの車社会となりましたから、さらに血圧は高くなり、「正常なる最高血圧」は、もっと単純明解な次の算式で示してよいのではないでしょうか。
  最高血圧=年齢+100
 非常に分かりやすい基準値です。小生は167あってしかるべき。それが137と30も低いのは、あまりに時代遅れな原始人だ、ということになります。考えてみるに、小生が1日1食でずっと通していると言うと、皆、目を丸くしてびっくりするし、店の暇を見つけては野良仕事をしているのですが、よう動くなあ、と感心されます。自分ではマイペースでそうしているのでして何も無理していないのですが、傍目からはそう映るのであり、どれだけか原始人的ではありましょう。
 文明は後戻りせず前へ前へと進みます。これから10年20年経てば、世の中はよりグルメになり、指先だけを小まめに動かすだけの生活となるのは必至で、小生が唱える単純明快な“正常血圧式”が正しいものであるとして評価されてほしいものです。
 平和で豊かで便利な社会、これが何と言っても誰にも最優先で求められるものでして、これによって人々は幸せを満喫できるのです。誰も狩猟採集民に戻りたいとは思わないです。おらの村には電気もねえ、車もねえ、こんな村にはとてもじゃねえが住めたものじゃねえ、です。そう思いませんか、皆さん。
 それと引き換えに脳梗塞、脳溢血、心筋梗塞といった血管の詰まりや破れによる病気に罹る確率が増えていくのですが、電気もある、車もある、コンピュータもある、グルメも満喫できる、そうした高度文明の恩恵に浴しているのですから、これは必然でして、血圧測定の数値を見て悪あがきしても全く無駄なことです。血圧が高くても低くても、こうした疾患は皆、等しく発症する危険性を同程度の確率で持っているのが現実ですし、それよりも、数値の大小にかかわらず、加齢によって循環器・脳血管疾患の危険度はグングン増すのであって、これは防ぎようがない性質のものなのです。

 話はちょっとずれますが、簡単に健康測定できるものに何があるでしょうか。一つは体重計ですが、秤に乗らなくてもメタボかどうか見当がつきますから、なくてもいいものです。2つ目が体温計ですが、これもおでこに手を当てれば見当がつきますし、測ってみて39度もあればびっくりしてあわてふためくだけで、意味をなさないです。3つ目が血圧計です。小生がそうですが、血圧測定して一喜一憂させられるのですが、どんな数値が出ても、実際のところ、これまた何の役にも立たないのです。
 ただし、体温が40度もあれば何か手を打たねばならなくなるのと同様に、血圧が300にもなれば何か手を打たねばならないでしょう。もっとも、戦後初期に対米交渉を行った吉田茂首相は、交渉時には血圧が常時300になったといいますから、風邪をひいて38度の熱があってもけっこう仕事はできるのですし、血圧が300であっても仕事をして差し支えないとも言えます。安静にせねばならない血圧が幾つ以上なのか、それは小生には分かりませんが、とんでもない高い数値になれば、体が異常を感じて生体反応が働き、横になってじっとしていたくなるでしょう。そうなったときに、血圧を測ってみて、とんでもない数値が出たら、何とかなる場合は何とかなるでしょう。ただ、それだけのことです。
 血圧に関して困った問題は、医学界が適正血圧なるものを低めに設定し、事あるごとに血圧を測定させ、一度でも基準値を超えたら降圧剤を飲ませたがることです。これは日本の医療制度に大きな欠陥があるからでして、薄利多売の商売をせねばならないようになっているからです。医者は数多くの患者を創りだし、薬漬けにしないことには食っていけないのです。結果、世界中の降圧剤の生産高の何と5割を日本人だけで消費させられているのです。これには、うんざりさせられます。ようもこんなに毒を盛るとは、です。
 簡単に健康測定できる血圧計というものがこの世にたまたま存在するから、こうなったとしか言えないのではないでしょうか。血圧計の発明者を恨みたくなります。
 ちなみに、死亡原因が高血圧性疾患とされる割合は、65~79歳で0.3%、80歳以上で0.7%にすぎません。(平成25年人口動態調査)

 実に恐ろしい世の中になったものです。じゃあ、どうすればいいかというと、いずれは循環器・脳血管疾患で死ぬ確率が極めて高いのですから、「ピンピンコロリ」運動を展開してみえる長野県では、お年寄りたちの最新の合言葉は、これが一番苦しまずに死ねるからでしょうが、「脳血管障害で95歳で死のう!」となっているようです。もっとも、救急車を呼んでもらっては困りますが。長野県民は長寿、一人当たり老人医療費もベッド数も全国一少ない、その長野県民は、死を恐れず、悪あがきせず、死を受け入れて、さあどうする、という発想法でもって対処しているから、きっと健康でいられるのでしょう。

 ここまで、とりとめもないことを書き綴ってきましたが、小生思うに、血圧というものはヒトの体の原始性を測る道具にすぎず、それが低ければ原始人に近い生活を自ら望んでやっているだけのことであり、それが高ければ高度文明生活を十分に堪能なさっているのであって、どっちが良いの悪いのと決めることはできない性質のものでしょうね。
 小生の血圧が大方の人より低いのは単に原始人の生活が好きなだけのことですし、女房は最近血圧がぐんぐん上がってきたのですが、仕事が楽になって立派な高度文明生活をエンジョイしまくっているだけのことです。小生はそのように理解しているところです。
 健康で長生きしたかったら、食養生と適度な運動そしてこころのストレスの上手な抜き方、この3つをバランス良く、無理しない範囲で、自分なりにうまく見つけ出すことでしょう。いずれも相当に難しい課題ですが、これをクリアするしか他に方法はないと、つくづく思うようになったこの頃です。

 最後に、「高血圧はほっとくのが一番」を著された松本光正医師は、「血圧測定なんかいらない、血圧計は今すぐ捨てなさい」とまでおっしゃっていられます。
 ということは、小生に対して“ぐだぐだと血圧のことをこれ以上は
書くな”というご忠言をいただいたことにもなり、真摯にこれを受け止めて、表題の「高血圧の話はもう終わりにしませんか」とした次第です。

 本稿を最後までお読みいただいた読者の皆様には、長時間無駄話に拘束してしまい、誠に申し訳ありませんでしたが、この駄文が皆様の血圧に対するご理解にどれだけかでもお役に立てれば幸いです。

(2016.8.13補記)
 最近、話題になっている週刊現代・週刊文春の対抗記事より、血圧の薬(降圧剤)についてポイントだけ要約して引用します。
<週刊現代7月16日、一部7月23・30日号>
 高血圧には2つのタイプがあります。血管が外側から締め付けられるギュウギュウ型と、血液量が増えて起きるパンパン型です。日本人に多いのはパンパン型で、ギュウギュウ型は少ない。原因は塩分摂取量が多いこと。
 パンパン型には利尿薬とかカルシウム拮抗薬といったタイプの薬がよく効きます。ところが、ギュウギュウ型に効くARB(ディオバン、アジルバなど)ばかりが処方されている。
 カルシウム拮抗薬は長く飲み続けると交感神経が緊張し、心臓に負担がかかります。
<週間文春7月28日号>
 高血圧薬は成人の28.1%、70歳以上だと51.5%が服用している。(平成26年 国民健康・栄養調査)
 高血圧薬の中で、多くが第1選択としてあげるのがカルシウム拮抗薬。一番安全で使いやすく、たぶん最も飲まれています。
<備考>
 2つの週刊誌で、相矛盾する説明がなされているところが、週刊誌らしいですね。
 よって、どちらも信頼性に欠けますが、参考にはなりましょう。
 いずれにしても、高血圧の薬(降圧剤)は飲んだところでどれだけの効果もなく、かえって害になることのほうが圧倒的に大きいのですから、飲むのを止めるべしです。

(2017.9.2追記)
 もう血圧の記事は新たには書くまいと決めていたのですが、最近、180超えの女房を目の当たりにし、また、280くらいもあるお年寄りの例をある方の講演録で知ったものですから、次のとおり記事を1本起こしたところです。
 最近、高血圧の薬を飲むのを止める方が増えてきた感がします

 

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お医者さんにおいしい高血圧患者

2016年02月29日 | 高血圧

お医者さんにおいしい高血圧患者
(本稿は過去記事:その1、その2、その3の3本をまとめて1本に編集したものです。)

●お医者さんにおいしい高血圧患者(その1)
<基準値オーバーで降圧剤を即投薬できる日本>

 お医者さん方が国民の健康を考えて厚生労働省を動かし、高血圧の基準値を平成12年に、160/95mmHgから140/90mmHgに引き下げられました。
 これにより、高血圧患者が2千万人から一気に5千万人に。
 加えて平成16年には、老人以外は130/85mmHgと再度引き下げられ、新たに何百万人もの患者が増えました。
 大人の2人に1人は、高血圧患者のレッテルを貼られたのです。

(2014.5.8挿入)基準値を緩める動き:日本人間ドック学会4月4日発表
 人間ドック受診者150万人という膨大な標本から算出した“新基準値”の元になるものとして「(上)147mmHg」という数値が打ち出されましたが、しかし、これは標本を操作し捏造したものと言わざるを得ません。詳細は「 日本人間ドック学会の“新基準値”の評価 」をご覧ください。(挿入ここまで)

 高血圧のレッテルを貼られた者に対しては、お医者さんが降圧剤をすすめます。そして、日本人の場合は、たいてい素直に従い、薬を死ぬまで飲み続けます。
 こうして医療費が急増しました。(未確認情報ですが、世界の降圧剤出荷高の5割を日本人が消費しているとのことです。)これって、どこか おかしくないですか。

 岡本裕さんというお医者さんがいらっしゃいます。先生は、長く脳外科専門医をなさっておられた経験から、血圧が常時200mmHgを超えるほどでなければ、血圧と脳出血の相関はないという印象をお持ちです。
 そして、先生は、その後専門医を引退し、開業医となられましたが、こうした医療に矛盾を感じて、今は医療相談のみに専念しておられます。
 その先生は、次のようにおっしゃっておられます。
高血圧患者はおいしい患者で、来院の度に血圧検査し、適当に降圧剤を処方して、毎日飲ませれば基準値をクリアし、患者も安心する。降圧剤で高血圧が治るわけがなく、飲み続けねばならない。こうして、高血圧患者は上得意客となり、これによって医療機関の経営は安定する。…

 小生もこれを知っていましたから、降圧剤を飲み続けている92歳のおふくろに、「毎日百姓をやって体を動かしているんだから、高血圧は心配せんでええ。薬を飲むのを止めえ。」と強く言っても、「お医者様の言うことは聞かなあかん。」と、息子の言うことなど一切取り入ってくれません。
 やっぱ、お医者様は偉いんだねえ・・・。小生のごとき単なる医薬品登録販売者の資格では何ともならんですわ。

(2014.5.2追記)
 別記事で随分前ですがコメントをいただき、その関連で少々補足します。
 高血圧の基準値は、WHOなどで定められた世界的な基準値を日本も導入したのですが、その取り扱い方が、欧米と日本では丸で違います。
 欧米では、基準値は生活習慣の改善指導の切っ掛けにするだけで、決して投薬することはありません。明らかな血管性疾患がある場合に必要な限度において投薬するだけです。
 それが、日本では医師会あげて“基準値オーバー、即投薬”で保険点数を稼ごうとするのです。こんな国は日本しかありません。米国であったら、このようなことをする医院は、保険診療の資格が剥奪されてしまいます。

 

医者さんにおいしい高血圧患者(その2)
<メタボ検診を導入し、降圧剤投与の悪乗り>

 高血圧患者は、基準値を下げに下げて無理やり作り出されたことを、その1で書きましたが、それに輪をかけて、平成17年にメタボの基準が作られました。
 肥満に加えて、高血圧、高血糖、高脂血症(脂質異常症)のいずれかが基準値を超えればメタボ予備軍、2つ基準を超えるとメタボと診断されちゃいます。
 前回ご登場いただいた岡本裕先生は、この制度も医者が主犯と言っておられます。
 そして、政府は、メタボ患者を多く抱える健康保険組合に対して、組織的に患者を減らさなければ補助金を削減すると言い出しました。
 組合は、これでは困るからと、メタボ患者に高血圧の薬を医者からもらって正常値の範囲に抑えろと迫ります。
 こうして、メタボ検診によって、ますます多くの国民が医者通いを強いられ、お医者さんにとって、おいしい患者が作り出されたのです。

 高血圧は、体のどこかで血流が悪くなって酸欠ぎみになり、心臓がそれをキャッチして無理して動かしている状態です。降圧剤を飲むと、心臓の動きが鈍り、血圧が下がるのですが、体中が酸欠になるのは必至です。

  岡本先生は、特に高齢者の場合、降圧剤を飲み始めると、「元気がなくなった。頭がボーッとする。寝起きがスッキリしない。手足が冷たくなった。」などの症状を訴える人が多くなると言っておられます。加えて、「認知症の進行が早くなる。」とのことです。

 当然の帰結ですよね。血流を悪くしたのですから。
 どれだけも血圧が高くないのに、医者の勧めで降圧剤を飲んでいる小生のおふくろにも、こうした症状が出ており、薬を飲むなといくら言っても言うことを聞かない。
 お医者様に頼り切って小生を無視。
 でも、頭重が続くからと、やっと最近、血管の大掃除をしてくれる漢方薬を飲むようになって、その症状が消えたものの、体調は完全ではないです。
 降圧剤を飲むのを止めれば、全ての問題が解消するんですがねえ・・・。

 ところで、小生のおふくろのような困った年寄りを抱えておられる方も多いことでしょう。そうした方にお勧めなのが、「銀杏葉エキス」です。
 実は、うちもこれを10年以上前からおふくろに飲ませています。これは、降圧剤の副作用で「めまい」を訴えるようになったものですから、抹消血流を大きく改善してくれる「銀杏葉エキス」を飲ませ、それ以降、「めまい」が消えました。加えて、元気も出てきました。
 “降圧剤の副作用を銀杏葉エキスで消す”という“2重の無駄”で、どちらも飲まなければ、「めまい」もせず、元気に暮らせるというものですがね。
 なお、血圧が高くて心配な方は、降圧剤を飲まないで「銀杏葉エキス」だけを飲まれるとよいです。抹消血流が改善されて血圧が下がり、イキイキ元気感が味わえますよ。
 「銀杏葉エキス」の詳細は、小生の別立てブログ「銀杏葉の百科事典 銀杏葉に惚れ惚れ」をご覧になってください。

 

●お医者さんにおいしい高血圧患者(その3)
<降圧剤を飲むのを止めた老人は元気になります>

 ヨーロッパ高齢者高血圧研究会の調査によりますと、高齢者にとっては、むしろ血圧が高いほど死亡率が低くなるという結果が出ています。また、上の血圧が180mmHgくらいまでは脳卒中になる可能性が高くなるという明確な根拠はないそうです。
 前回にも登場いただいた岡本裕先生が、老人ホームで調査された結果も、血圧が高いことが元気な方の共通点でした。そして、降圧剤を飲むのを止めた老人は、総じて自立度が高くなり、元気にもなったとのことです。
 岡本先生は、こうおっしゃっています。
血圧が高いのは、それなりにちゃんとした理由があって、血圧を高く保つことで生体の機能をうまく維持しているわけでして、何の脈絡もなく薬で血圧を無理やり下げてしまっては、体にいいわけがないに決まっています。…

 ここで、“なぜ、体にいいわけがない”のかを、詳しく説明したいのですが、紙面の都合で、小生の別立てブログ「銀杏葉に惚れ惚れ」の中の<野口英世の言葉「酸素だ!」>をご覧になってください。

 なお、脳外科専門医であった岡本先生は、血圧が低くても脳出血が起きることがあると言っておられ、脳出血の危険性は、血圧の急激な変動、過度なストレスの負荷、生活習慣の乱れ、栄養の偏りなどだそうです。
 では、健康で長生きするにはどうしたら良いでしょうか。
 岡本先生は、生活習慣を是正し、体重を減らし、ストレス負荷を和らげる工夫や努力をするに尽きると言っておられます。
 美食と運動不足、そしてストレスが元凶というわけです。

 でもねえ~、グルメ華やかな今日ですし、車が移動の足になっていますし、景気が急降下してお先真っ暗な世の中ですから、ストレスも溜まりますよねえ~。
 血圧が急上昇する要因だらけの昨今。景気が急上昇せんかいなあ・・・。

(2014.11.4追記)
 別立てでホームページを開設しました。高血圧対策についてまとめたページは次のとおりです。併せてご覧ください。
  生涯現役をサポート:三宅薬品のHP 健康情報 高血圧のコーナー

(2017.9.2追記)
 もう血圧の記事は新たには書くまいと決めていたのですが、最近、180超えの女房を目の当たりにし、また、280くらいもあるお年寄りの例をある方の講演録で知ったものですから、次のとおり記事を1本起こしたところです。
 最近、高血圧の薬を飲むのを止める方が増えてきた感がします

コメント

お母さん、高血圧の薬、お願いだから飲まないで

2014年11月03日 | 高血圧

お母さん、高血圧の薬、お願いだから飲まないで

 息子が母親の健康を心配して、どれだけこう訴えかけても、当の母親は“聞く耳持たん”という状態で、息子は悶々とするだけ。どうしたらいいだろう…。
 そこで、何かいい知恵はないかと、その息子さんがこのブログにコメントされ、薬屋のおやじである小生に、その対処法を聞いてこられました。
 しかし、小生も3年前まで、何度も「おふくろ、高血圧の薬、飲むの止めろ」と忠言するも、「お医者さんからいただいた薬は飲まなあかん」と言い張り、小生の言うことは完全に無視。あるとき、頭にきて「俺の言うことを聞くのか、医者の言うことを聞くのか、どっちや!」と迫ると、「そりゃ、お医者さんに決まっとるわ」と、しゃあしゃあと宣う。
 ガックリである。
 お医者様は正しく新興宗教の教祖様。お医者様が言われた言葉は神様の言葉であり、信じきって一切疑わない。いただいた薬でたとえ副作用が出ても、それは別のことが原因しているものと考えてしまって、お医者様が「年ですねえ、それは何とも」とおっしゃれば、「はい、もう若くはありません」と納得してしまう。
 おふくろは、そうした新興宗教の信者であるがゆえに、脳がそのような思考回路になってしまっているとしか思えず、よって、なすすべがなくなり、それ以降は、血圧のことはもう何も言わないことにし、以前から飲ませている降圧剤による副作用(めまい)を消す健康食品(イチョウ葉エキス)を毎日必ず飲むようにさせるだけに止めました。
 それからしばらく経過して、小生を無視した
バチが当たったのか、イチョウ葉エキスの効果が行き届かなくなったようで、おふくろに酷いめまいが来て、1か月ほど寝たり起きたりの不自由さを余儀なくされてしまいました。おふくろは、そのとんでもない目に遭って、やっと小生の言うことの方が正しいのではないかと思うようになったようで、この災難に遭って以降、パタリと医者通いを止めてしまいました。
 そのとき、おふくろは93歳で耳も遠く、別居の独居生活で、1日1回は顔を合わせることにしていたのですが、会話らしい会話ができないものですから、医者通いを止めた理由を聞き出すことができず、また、下手に聞くと「医者に連れていけ」となってしまいそうで、はっきりとした理由は不明のままで今日に至っています。

 というような状況でして、お尋ねの息子さん(30歳前後)の母上(60歳)に、何とかして降圧剤を飲まなくさせるいい方法というものは、小生の頭に湧いてきそうにありません。
 かと言って、あっさりギブアップし、“わかりません”と回答してしまっては、いかにも情けないです。そこで、小生から、その母上にラブレターを出し、それを読んでいただければ、ひょっとしたら考えを改めていただけないだろうかと思い、以下のとおり、お手紙をしたためたところです。その効果はいかに。全く自信がありませんのでご容赦ください。

      * * * * *

 突然お便りを差し上げる失礼をお許しください。私、薬屋のおやじ こと 三宅和豊と申します。岐阜で薬屋(三宅薬品)をやっている66歳の高齢者です。
 先日、貴女様のご子息から、貴女様が飲んでおられる降圧剤による副作用が心配で、どうしたらよいか、私のブログへのコメントでもって、ご相談を受けました。
 それを読ませていただくとともに、ご子息が立てておられるブログも拝読させていただきましたが、御子息の文章力はなかなかなものですし、その内容からしてとても理知的であり、また、物事の判断力に優れたものがお有りだと感じました。これは、貴女様の子育てが上手であったからでしょう。敬服いたしております。

 さて、ご子息が言われますには、貴女様は高血圧であるがゆえに、降圧剤を毎日欠かすことなくお飲みになっておられ、どうやらその副作用で「気分が悪くなって寝込むことが度々」といった症状が出ているようでして、たいそう心配しておられます。
 私のところへは、こうした類のご相談が、ご来店のお客様以外に、ネットを通して月に1、2件は来ております。
 私の今までの接客経験からすると、降圧剤を飲んでも全く副作用を感じない方もありますし、一方でもっとひどい副作用で苦しまれている方があったりと、人によって千差万別ではありますが、降圧剤は無理に血圧を下げるものですから、降圧剤を飲むことによって体調が良くなることは決して有り得ないものであることを痛感しております。

 降圧剤の様々な副作用というものは、次のように考えられます。
 今まで高い血圧でもって全身に十分な血流が確保されていたものが、降圧剤で血圧を下げれば部分的に血流が不十分な所が生じてきて、その箇所が酸欠状態となり、正常な機能が発揮できなくなって、その箇所が悲鳴を上げていると思ってよいでしょう。
 こうした障害が
その発生箇所により様々な症状となって現れるのですが、人によって千差万別です。部分的に血流が悪くなってくる箇所というものは、人によって違ってきますし、同じ人であっても年の経過でもって、その箇所が変わってくることもあるからです。
 また、動悸がして心臓が苦しくなるということが起きる場合もあります。これは、血圧低下を心臓がキャッチして血圧を上げようとするも、降圧剤が効いていて血圧を上げられず、心臓がもがいていることの現れです。

 以上、降圧剤の副作用の概略を説明しましたが、これは比較的短期間に現れるものです。ところが、降圧剤を何年も飲み続けていると、別の大きな問題が発生します。
 その原因の一つは、先に申しましたとおり十分な
血流が確保されず、全身の細胞が酸欠気味になっていることです。もう一つは、「抑える」という薬は、解熱剤や鎮痛剤なども含めて皆そうですが、全身の細胞のエネルギー生産をも抑えることになってしまいます。この二つが相まって、細胞の老化現象がじわりじわりと進みます。自覚症状としては、体のだるさ、動きの鈍さ、頭がぼんやり、といった加齢現象の促進です。これは、副作用の枠外の扱いにされてしまってしまっていますから、たちが悪く、単に「年だから」で済まされてしまうのです。
 私は、これが一番怖いと捉えています。寿命がどれだけか縮むのはまだ良いとしても、自立生活ができる健康寿命が大幅に縮み、寝たきりそしてボケが長く続くという
恐れが非常に高くなるからです。年老いたら、いっそのこと高血圧で血管が切れたり詰まったりして、ピンピンコロリといったほうが家族にも迷惑がかからず、そう願いたいものです。
 現に、ピンピンコロリ運動で有名な長野県では、お年寄りたちの合言葉は「脳血管障害で95歳で死のう」です。なお、一人当たりの老人医療費が最も少ない都道府県は長野県です。

 真っ先に降圧剤の悪い点をいろいろと申し上げてしまって、ひどく気分を害されたことと存じますがお許しください。
 それでは、お医者様がなぜに降圧剤をおすすめになるのでしょうか。
 十分にご存知のことと思いますが、ポイントだけを簡単に述べさせていただきます。
① 
血圧が高いと血管壁に内圧がかかり、血管破裂の危険性が高まります。その危険性を減ずるには血圧を下げねばなりません。
② 血管のどこかに詰りそうなところが生ずると、そこで流れが細くなって不充分な血流しか得られず、その先の箇所が酸欠になっていることを体がキャッチし、血圧を上げます。血圧が高いままだと、その詰りそうな箇所からコレステロールなどの塊が剥がれやすくなり、万一剥がれたら血栓ができて脳梗塞や心筋梗塞になってしまいます。
 昔は栄養状態も良くなく、年を食うと血管壁がボロボロになりやすく、①により脳出血や冠動脈破裂の危険性が高かったです。一方、今日では過栄養によって血管壁にコレステロールなどが張り付きやすく、②の危険性の方が圧倒的に高いです。
 よって、昔は①の理由により、高血圧の方は降圧剤を飲む必要がありました。とてもじゃないが、毎日美食して過栄養にし、血管壁にコレステロールなどを張り付る(これはボロボロの血管の接着剤になる)なんてことは金銭的に全く不可能でしたからね。
 じゃあ、今はどうなんでしょうか。①はよほどのことがない限り心配に及びませんから、「粗食で腹八分、適度な運動」でもって、②の危険性を減ずるのが最善の道となります。それには相当な期間を要しますから、危険性がある程度回避されるまでの間は、緊急避難的に降圧剤を飲まなければならないケースもありましょう。

 こうしたことから降圧剤が必要になるのですが、降圧剤が必要となる血圧の値はいくつでしょうか。それは、基準値をオーバーしたときであると、誰しも思っておみえです。
 しかし、そうではありません。ベテランの脳外科医などがその臨床経験からおっしゃるには、常時血圧が200を超えるという状態が続けば危険性が出てくる場合があるが、200を下回るようであれば、ほとんど心配はいらないとのことです。
 私の若い頃(貴女様も)は、血圧の標準値は「年齢+90」と言われていました。60歳であれば150が標準で、160あっても気持ち高いかな、で済んでしまっていたのです。
 その後に基準値が設けられ、上限は160に設定されましたが、平成12年には140へと引き下げられました。
 この基準値なるものが曲者です。本来の基準値(血液検査項目の大半)は、健康な人の膨大なデータを整理して、下限・上限の各2.5%をカットした残りの95%の人が納まる数値の最大値と最小値を言います。
 これを血圧について算出された東海大学の大櫛教授によりますと、例えば60-64歳女性の場合は上限値が159、65-69歳女性の場合は164と出ています。
 このように、血圧の本来の基準値は年齢とともに上がっていくものなのです。

 では、なぜに現在の基準値はかくも低く設定されたのでしょうか。
 
これは国際的なもので、WHOの勧告に基づき、先進各国は皆、日本とだいたい同じような基準値を設定しています。
 そのように設定した理由は、先ほど説明しました②によります。先進各国とも、国民は飽食と運動不足が進んで、血管壁がコレステロールなどでベトベトになっており、血栓ができやすく、現実に心筋梗塞・脳梗塞の発生が急増してきたのです。よって、こうした血管性疾患がこれ以上増えないよう、世界中の人々に警告を発せねばならなくなったのです。
 その目安として、一番に取り上げられたのが、当然のことながら血圧の数値です。そして、「血圧140で要チェック」としたのです。

 ここから先の取り組みが、先進各国で異なったものになりました。と言うより、日本とそれ以外の国が異なったものになった、と言ったほうがいいでしょう。
 日本以外の国は、血圧140で要チェックとなったら、お医者様がたっぷり時間をかけて生活習慣指導を徹底的に行われます。決して、即、降圧剤投与ということはありません。これは、初診料が日本の10倍程度と高いですから、少ない患者であってもカウンセリングに十分な時間を割くことができるからです。また、保険制度の違いがあって、やたらと薬を出せない仕組みになっています。
 一方、日本の医療制度は先進各国と大きく異なったものになっていて、薄利多売方式ですから、生活習慣指導に時間を割いていては患者をさばききれませんし、また、どんどん投薬の処方箋を書かなくては、お医者様は食っていけないのです。
 よって、これは、お医者様の経済事情によって異なりますが、「血圧140で要チェック」=「即、降圧剤投与」となってしまう傾向が大きくなってしまいます。
 ちなみに、先進各国の人口(OECD加盟国:1245百万人)に対し、日本の人口は128百万人で、ほぼ1割なのですが、降圧剤の世界生産量の約5割を日本人が消費しているという、実に歪な医療が日本では取られているのです。クスリ漬けの日本の医療と言われるゆえんがここにあります。なお、日本以外の先進各国では、降圧剤を飲んでいる人の割合は(過大に見積もったとしても)日本人の約10分の1という計算になります。

 もう一つ、先進各国と日本の違いがあります。
 それは国民性によるものなのですが、健康に関して先進各国では、「自分の健康は自分で管理して、自分で責任を持つ」という考え方が強いです。それに対して日本人は「自分の健康はお医者様にお任せ」という考えになっています。
 これは、健康に限らず何事も自己責任で行うという個人主義的考えを持った先進各国の人々に対して、日本人は自己主張を控えて多数に従うという集団主義的考えをまだまだ濃厚に持っていますから、自分一人で物事を判断するのを避ける傾向にあり、健康に関しても、厚生省や医師会の指導指針に従っておればよい、となってしまうのです。そのほうが迷わずに済み、何も考えなくて済みますから、うんと楽できます。

 さて、貴女様のかかりつけのお医者様はどんな方でしょうか。患者さんのことを真剣に考えてくれて、(もしそうであれば、やたらと降圧剤はお出しにならないでしょう)、安心して本当に頼れるお医者様でしょうか。それとも、医院を開設した借金がまだ残っており、検査機器の高額なリース料も払わねばならず、処方箋を書きまくらねばならない経済状態にあるお医者様でしょうか。ここら辺りは概ね察することができましょう。

 自分一人で物事を判断するには、入ってくる様々な情報に絶えず注意し、どれが正しくて、どれが間違っているのかを日々知恵を絞って考えねばなりません。
 これは、私とて日本人ですから、その連続となると息が詰まりそうになります。
 そこで、判断基準として何か簡単なものを探し出す必要があります。

 こと降圧剤に関して私の最も簡単な判断基準、それは、降圧剤の世界生産量の約5割を日本人が消費しているという実態、これは絶対おかしい、と強く感じました。
 だから降圧剤は飲むべきではないと、わりと簡単に結論付けられたのです。
 そこから先は、稼業が薬屋ですから、多少はあれこれ勉強して、皆様に、そして今回は貴女様にどれだけかは理解していだだけるよう、ここまで長々と高血圧に関した医学的説明をさせていただきました。

 しかし、これがために、かえって貴女様の心を混乱させてしまうかもしれません。
 でも、貴女様には、しっかりしたご子息がおみえですから、自分の不安・迷いをご子息にぶつけて、解決策を見出していただければ、私としても安堵できます。
 自分一人で物事を判断するのは日本人にとっては実にきついことですが、二人で一緒になって考えれば、かなり楽になりますし、より良き解決策も生まれ出ることでしょう。
 貴女様が「気分が悪くなって寝込むことが度々」ということが金輪際なくなりますよう、陰ながらお祈りいたしております。そして、ますますご健康になられますよう、併せてお祈り申し上げます。

      * * * * *

(追記)
 以上の内容は、別立てで開設しましたホームページの高血圧についてのページを要約したものです。そちらもご覧ください。
  生涯現役をサポート:三宅薬品のHP 健康情報 高血圧のページ

 

コメント (7)

「脈圧」「平均血圧」って何かの役に立つの?

2014年08月10日 | 高血圧

「脈圧」「平均血圧」って何かの役に立つの?

 血圧というと、普通は「収縮期血圧」(俗に「上の血圧」)を指し、たいていこれで評価されます。「拡張期血圧」(俗に「下の血圧」)はさほど問題にされません。
 これに加えて、10年ほど前から、「脈圧」と「平均血圧」が話題に上るようになり、4つの血圧指標でもって診断することが望ましいという学者もいらっしゃいます。さらには、心拍数を加えた5指標で評価すべきだと、より複雑さを見せています。
 本稿では心拍数については触れませんが、新たに登場した「脈圧」と「平均血圧」について、小生の思いを述べることにします。

 「脈圧」とは、「上の血圧」と「下の血圧」の差で、単に引き算した数値のことです。
 それに対して、
「平均血圧」は多少難しく、大動脈や動脈(動脈の太さは約4mmで、血圧測定はこれを測っています)にかかる圧力の平均的な値を言います。その「平均血圧」は、近似的に次の算式で求められ、通常これが使われています。
  「平均血圧」=「下の血圧」+「脈圧」÷3

 「脈圧」は、大動脈や動脈の動脈硬化の指標として使われることがあるようですし、「平均血圧」は、細動脈や毛細血管の動脈硬化の指標として使われることがあるようです。
 なお、細動脈は太さが0.2~0.5mm程度のもので、そこにかかる血圧は定常で約35mmHg、毛細血管は太さが0.01~0.1mm程度のもので、そこにかかる血圧は定常で約15mmHgと言われています。よって、「平均血圧」の圧力が細動脈や毛細血管にかかっているのではありません。

 さて、「脈圧」の数値は、どの程度が望ましく、いくら以上が危険なのか。これは、学者によってまちまちのようです。幾つか拾ってみましたが次のようです。
 ・50前後が目安で、大きくなればなるほど危険
 ・基準値は40~60の範囲内
 ・下限は30、上限は60
 ・至適40、正常40~、正常高値45∼、軽度50∼、中度60∼、重度70∼
 ・正常の範囲は30∼40。高齢者の上限はこれより若干高くなる
 ・明確な基準はないが、65以上は危険性が高まるという報告がある

 どれが正しいのか。はたまた、皆、間違っているのか。
 「脈圧」について、
日本高血圧学会、動脈硬化学会、循環器学会のHPをサイト内検索してみましたが、何もヒットしませんでした。
 見つけた報告は次の2つのコホート研究で、それを紹介しましょう。
(用語解説:疫学調査<病気の原因と思われる因子を設定し、その因子が病気を引き起こす可能性を調べる統計的調査>の1種に「コホート研究」があり、「特定の地域や集団の人々を対象に長期間にわたって健康状態を調査する研究」を言います。)

 ・JALS 日本人における脳卒中と心筋梗塞のリスクと4つの血圧指標
  http://jals.gr.jp/result/2009_119_1892.html
 この論文は、40歳から89歳を対象とした16集団、48,909人を対象としたコホート研究によるもので、統計的に有意と思われます。そのリスクについては紹介を省略しますが、その執筆者、三浦克之氏(滋賀医大)によるコメントには、「脈圧を重視した健康管理はすべきでないでしょう」とあります。

 ・国立がんセンター 血圧指標の一つの脈圧と脳卒中発症との関連について
  http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2875.html
 この論文は、40歳から69歳を対象とした33,372人を11年ないし14年間追跡調査したコホート研究で、1,081人が脳卒中を発症しています。
 その結果は、「血圧要素別にみた脳卒中発症との関連」と題して次の図が示されています。

 この図からすれば、「脈圧」が50未満に対して、①50以上はその数値に関わらず5割増程度の危険度があった、②脈圧がいくら大きくなっていっても危険度に差はない、という読み取りができます。
(棒グラフに細い縦線「エラーバー」が付いていますが、これは標準誤差を示し、棒グラフは平均値、その信頼区間がエラーバーの範囲ということになるようです。脳卒中発症者が全体で1,081人とさほど大きくないため、エラーバーが割と長くなってしまった、ということでしょう。なお、「+1SD増加」のグラフは、標準偏差解析のようでして、少々ややこしく、小生も分かりかねます。) 
 そして、この論文の解説に、次のように書かれています。
 「脈圧と脳卒中発症との間に有意な関連を認めましたが、その危険度は収縮期血圧及び拡張期血圧よりも弱いものでした。…高血圧域に入ると脈圧を重視するよりも収縮期血圧及び拡張期血圧を目安にすることが大切というとらえ方がよいように思われます。…脈圧だけを見ることは適切ではないということもはっきり示しています。」

 JALS及び国立がんセンターの報告からすると、「脈圧は無視して差し支えない」ということになるのではないでしょうか。小生にはそのように思われます。

 次に、「平均血圧」の数値は、どの程度が望ましく、いくら以上が危険なのか。
 これも、学者によってまちまちのようです。幾つか拾ってみましたが次のようです。
 ・目安90、110以上は要警戒
 ・正常90未満、90以上は要注意
 ・90を超えると動脈硬化の疑いあり
 ・95未満が望ましい、100を超えないように
 ・正常90以下、軽度90~、中度100~、重度110~

 どれが正しいのか。はたまた、皆、間違っているのか。これを検索しても、先の3つの学会では何らヒットしませんでしたが、見つけた信頼がおけそうな報告は、先に「脈圧」で紹介しました「JALS 日本人における脳卒中と心筋梗塞のリスクと4つの血圧指標」です。
 その中で、結論として「収縮期血圧と平均血圧が…発症リスクを最も強く予測すると考えられました。日常の健康管理の場では主に収縮期血圧を用いてリスク評価をすべきでしょう。」と書かれています。
 これは、当然のことでしょう。「上の血圧」が高ければ、これにつられて「下の血圧」
も高くなる傾向にあるでしょうから、必然的に「平均血圧」も高くなることでしょうね。

 以上、こうしたことから、“「脈圧」や「平均血圧」って何も役に立たない”と考えていいのではないでしょうか。
 そもそも、「上の血圧」にあっても、その適正値は個人差が大きいですし、加齢とともに動脈硬化は避けられないことですから、その値が高まってくるのはごく普通のことです。
 先に示した図からも、「上の血圧」が高くなるほど脳卒中の危険性が高まりますが、これも加齢によるものであればやむを得ないこととして受け止めるしかありません。
 こうした図や数値を見ると、我々は錯覚に陥りやすいものです。“「上の血圧」と「脳卒中の危険度」は綺麗な相関関係にあるじゃないか。やはり、高血圧には気をつけねばいかん。”と思ってしまいます。じゃあ、「5歳ピッチの年齢層」と「脳卒中の危険度」をグラフにしたら、どうなるでしょう。これと同じ、いや、それ以上に綺麗な相関関係が生まれます。“歳を食えば、血圧の高低と関係なく、脳卒中の危険度が大きく高まる。これは止むを得ん。”と捉えるべきでしょうね。

 脳卒中の危険性を回避せんとして、降圧剤を飲んで無理やり血圧を下げようとするのは、悪あがき以外の何物でもなく、残念ながら降圧剤を飲み続けたからといって脳卒中の危険性がどれだけも減るものではなく、かえって血流を阻害してしまうという副作用でもって健康を害するのがおちです。
 動脈硬化を食い止めるには、少食にして正しい食生活をし、適度な運動をする以外にありません。これはあらゆる生活習慣病の予防・改善に共通する処方箋です。
 あまり色々な検査値に振り回されないようにしたいものです。

(2016.2.18追記、3.5再追記、3.15再々追記)
 ここ半年ほどこの記事へのアクセスがけっこう多いものですから、再度ネット検索をかけたり、手持ちの文献に目を通してみました。
 それによって
新たに得られた知見を紹介することにします。
 得られた知見は「脈圧」に関するものですが、正反対の結論が出ており、どちらが正しく、どちらが間違っているのか、定かでありません。

老年者の心血管事故の危険度は収縮期血圧と相関するが、拡張期血圧とは負の相関関係にある(脈圧の重要性)[Framingham研究](ライフサイエンス出版)
 このコホート研究(米国)では、冠動脈疾患について報告されているようであり、上で紹介した国立がんセンターの脳卒中発症とは部位が異なりますから、比較はできませんが、脈圧が小さい人に比べ脈圧が大きい人は、約1.5倍ないし約2倍の罹患危険度がある、と出ています。

 なお、引用したライフサイエンス出版の記事の中に、パリ(フランス)のコホート研究の結果が次のように紹介されており、若干の違いがあります。
 「男性、女性とも心血管疾患死の頻度は収縮期血圧と相関し,収縮期血圧が正常であれば、拡張期血圧は心血管疾患死に影響しなかった。収縮期高血圧男性例では心血管疾患死と拡張期血圧は「U型曲線」関係を示し、拡張期血圧90~99 mmHgで最も低頻度であった。同女性では心血管疾患死と拡張期血圧は直線関係を示した。

 この内容は、直接的に脈圧に関して言及していませんが、「U型曲線」関係を示すとの記述からすると、脈圧が小さくても大きくても危険度が増し、程よい脈圧がありそうだとも思われます。

高血圧患者で収縮期・拡張期血圧差がもつ意味(札幌医科大学内科教授 飯村攻)
[CLINICIAN,93No.42332]
 これは、照会回答形式で解説されたものですが、次のように書かれています。
 「拡張期血圧が高く、脈圧が小さくて、収縮期血圧がさして高くないか、あるいは低目の場合は、…心不全の徴候とすべきでしょう。
…心臓病の教科書にも、心不全(低拍出量型)では脈圧が狭くなる、と書かれております。」
 これからすると、脈圧が小さすぎると心不全の恐れあり、となります。

正常なる血圧は「収縮期血圧×7/11=拡張期血圧」
 これは、昭和9年頃に西勝造氏が提唱されたもので、氏の著:原本・西式健康読本(昭和24年発刊)の中で言っておられるものです。
それを要約して紹介しましょう。
 最小血圧(拡張期血圧)は、最大血圧(収縮期血圧)の11分の7であるべきである。
 この比を保っておれば、最大血圧が50歳であれば260、60歳であれば270、70歳であれば280まで上がっても差し支えない。
 比は11分の7が理想であるが、11分の6から11分の8までの間を安全範囲とする。
 11分の8を越える(=脈圧が小さい)ときは早晩、脳溢血の危険がある。
 11分の6を下回る(=脈圧が大きい)場合は、肺炎、肺結核、癌、胃腸腫瘍、腎臓疾患などを警戒すべきである。
 アメリカ人の健康体の比は、11分の7.4付近であり、日本人のそれは11分の6.4を示している。これは、前者が高血圧による心臓病の死亡率の高いことを示し、後者が肺や消化器関係による死亡率の高いことを物語っている。
 現代医学においては、最大血圧のみを問題にし、その最小血圧との比を無視するから、正常の最大血圧の持ち主が脳溢血を起こすのである。すなわち11分の7を大きいほうに遠ざかることは、最大と最小が接近(脈圧が小さくなる)することであって、これは危険である。ゆえに薬剤を用いて最大血圧を低下することは、その両者の接近であるから、危険は更に増大すると考えねばならぬ。
 以上、要約しましたが、西勝造氏の論は幾多の文献からまとめ上げられたもので、統計的に有意であることは間違いないですし、欧米化した今日の日本人の食事からして、十分に現代日本人に適用できましょう。
 そして、西氏がおっしゃっておられるように、脈圧ではなく、拡張期血圧と収縮期血圧の比率でもってコホート研究をしていただきたいと小生は願っています。
(2016.3.4再追記)
 西氏が「11分の7」を理想とされる根拠はなんでしょうか。氏の著:原本・西式健康読本には書かれていませんが、次のように考えられます。
 毎日たっぷり運動せざるを得ないのが狩猟採集民です。彼らの血圧は概ね「上:110」・「下:70」です。また、軽いジョギングを毎日3か月間行った場合に血圧がどの値に向かうかのデータを小山内博氏が採られたところ、「上:110」・「下:70」にきれいに向かっています。
 →ゆっくり走って治す高血圧。低血圧もゆっくり走って改善。上は110、下は70に近づきます。(このページの中ほどの図を参照ください。)
 こうしたことを踏まえると、人の理想的な血圧は、「上:110」・「下:70」と言えるのではないでしょう。なお、小生も10年ほど前(50歳台後半)の夏は毎年野菜中心の食事で体を良く動かしていまして、血圧は「上:110台」・「下:70台」でした。
 よって、これがベースとなって、「11分の7」という基準が登場したのではないでしょうか。(再追記ここまで)

 かくして、脈圧が大きいと危険という調査研究があったり、脈圧が小さいと危険だと言われたり、程よい脈圧が安全そうに思われる節があったりし、小生も困惑しておりますが、もう2点、調査研究を補足して紹介しておきます。(⑤を再々追記)
高血圧治療のガイドラインのデータに基づく検証[医療情報学 28(3)125-137]
 この中で、「降圧治療の住民対照研究」(東海大学大櫛陽一ほか)の郡山市におけるコホート研究の調査結果として次のように出ています。
 収縮期血圧180以上の方で、降圧剤治療を受けた人は受けなかった人に比べ、総死亡率の危険度が約5倍(データ使用標本数からして統計的に有意<95%信頼区間の下限は危険度約1.8倍>)と出ています。

 これは、③で西氏がおっしゃる“降圧剤で脈圧を小さくするから危険度は増大する”と符合するのではないでしょうか。

 ⑤最大血圧値と自立者の割合(2016.3.15再々追記)
 (1980年国民栄養調査対象者の14年間追跡コホート研究データからの解析)
 高齢者の最大血圧値を20mmHgごとにグループ分けし、降圧剤を服用しているか否かで自立者の割合に差があるかどうかを解析したもの。

 
この図から降圧剤でもって自立度が落ちることは明白ですし、最大血圧を120未満に下げると自立度が極端に落ち、これは大きな問題でしょう。
 ところで、降圧剤の有無に関わらず血圧が高いほど自立度が落ちていますが、これは高齢になればなるほど血圧が高くなりますから、年齢と自立度との因果関係が、血圧と自立度との相関関係として現れたにすぎないと考えるべきものです。
 なお、この解析と脈圧との関連はないですが、降圧剤には問題があることを本稿で書き添えることにしました。(再々追記ここまで)

 これにて追記を終ることにしますが、これを踏まえたとしても、当初の記事で最後に書きましたとおりのこと以外にないでしょうね。それを再掲します。
 
動脈硬化を食い止めるには、少食にして正しい食生活をし、適度な運動をする以外にありません。これはあらゆる生活習慣病の予防・改善に共通する処方箋です。
 あまり色々な検査値に振り回されないようにしたいものです。

コメント

(旧版)高血圧は健康で長生きできます。血圧の薬は飲んじゃダメ。中高年は180でも大丈夫。

2012年12月10日 | 高血圧

 このブログで最もアクセスが多いのが本稿ですが、追記を何度も行っていますので、たいへん読みずらくなっています。そこで、最近立ち上げたホームページで、「高血圧のコーナー」として編集し直しました。それと同じものをこのブログに「改訂版」として従前と同じタイトルで掲載することとしました。
高血圧は健康で長生きできます。血圧の薬は飲んじゃダメ。中高年は180でも大丈夫。(改訂版) (2015.10.24投稿)
 お読みいただくとすれば、上をクリックして改訂版ページをご覧ください。
 本稿へのコメントは受け付けを停止しました。コメントは「改訂版」へお願いします。

<以下は、旧版です。>

血圧は健康で長生きできます。血圧の薬は飲んじゃダメ。中高年は180でも大丈夫。

 何年か前、イタリア紀行のテレビ番組を見ていたら、田舎の独居老人宅への巡回診療の場面が出てきました。日本でもそうですが、まずは血圧測定。そして、お医者さん曰く「血圧は150、健康」と。これを、今でも、はっきりと覚えています。
 しかし、日本では絶対にこのようにはなりません。日本のお医者さん曰く「血圧が150もある。これは高すぎる。脳卒中になっちゃうよ、心筋梗塞の危険もあるよ。血圧を下げる薬を出しておきましょう。毎日飲んでくださいね。」となります。

 日本では、血圧に限らず様々な検査数値を厳しく設定し、それを少しでも超えようなら、基準値以内に止まるような薬を処方しようとするのが常です。
 こんな国は日本だけです。薬漬けも甚だしいかぎりです。
 お医者様に頼ろうとする日本人の国民性(特に老人)に付け込んで、医師は薬を処方し続けて保険点数を安定的に稼ごうとするのです。
 医者本来の役目は、的確な病気の診断であり、患者と一体になって病気を治すことにあります。こと生活習慣病にあっては、検査数値が超えたから(例えば血圧が150)といって、それそのものが病気(高血圧症)ではないです。単に、多少好ましくないだけのことであって、このままの生活習慣を続けると、将来的に病気(脳卒中や心筋梗塞)になる危険性がどれだけか高まる恐れがあるだけのことです。
 よって、医者本来の生活習慣病に関する対処法は、生活習慣改善のカウンセリングに止めるべきで、薬を処方してはいけないのです。処方するとすれば、例えば、時々血圧が急上昇した(これは自覚出来ます)ときに限って飲む薬を出すだけにすべきです。
 しかし、これでは1人ひとりの患者の指導にたいそうな時間が掛かって保険点数も上がりませんし、生活習慣が改善されれば検査数値が基準値内に納まってしまって患者が来なくなります。そうなると、医者は食っていけません。
 そこで、カウンセリングなどという面倒な指導はそこそこにして、患者の方も“楽して検査数値を基準値内に納めたがっている”のだから(そのように洗脳されているのですが)、検査数値を基準値内に即効的に納めることができる薬を処方し続けるのです。
 このように医者は毒を盛り、患者は苦しめられるという、何ともならない日本の医療制度ですが、そうなってしまった経緯については、かわいそうな日本のお医者さん の記事をご覧ください。

 さて、日本人の適正血圧は、その昔「年齢プラス90」と言われていました。
 20歳なら110、40歳なら130、60歳なら150です。この計算式は高齢者にも適用され、80歳なら170です。よって、高血圧症とされる患者数はわずかなものでした。
 それが、従前は基準値が160であったものを2000年に140と改定され、更に2004年には老人以外は130に改定されました。この改定は、どう考えたって医師会と製薬会社が結託した“患者の大量生産”以外の何物でもありません。
 その昔、40歳の適正血圧であった130が、今では基準値いっぱいいっぱいの扱いにされてしまい、その昔、老人の適正血圧(70歳160、80歳170)であったのが、皆、基準を大きくオーバーしてしまったのだからです。
 “血圧が160、170ともなると、これはいかにも高すぎる。やはりこれは高血圧だ。”と、誰しも考えるようになってしまった今日です。これも、洗脳されているからです。

 「適正血圧は年齢プラス90」が正しいことを説明しましょう。
 (もっとも、これは文明社会のことでして、毎日よく動き、過食しない狩猟採集民にあっては、老いも若きも皆、血圧は110程度のものですし、文明社会にあっても、類似した生活をしている方は、それに近いものとなりますが、ここでは、それを除外します。)
 「適正血圧は年齢プラス90」には、ちゃんとした根拠があります。
 戦後暫くしてから、米国フラミンガム市で50年以上の長期にわたって疫学調査が行われました。一人ひとりの血圧を50年以上もの間、記録を取り続け、その血圧がどのように変化していくかを調べたものです。
 その結果、生存者の血圧変化の平均は、概ね「年齢プラス80~90」になっているのです。さらに、血圧の高低は個人差がありますから、調査対象を4群(高い、やや高い、普通、低い)に分けて見てみると、高いグループにあっては80歳で血圧は200を超えるのですが、それでもピンピンしており、85歳まではちゃんと生きているのです。
 なお、この調査は、85歳で終わっているようでして、このグループが90歳まで生きたかどうかは分かりませんが、若いときから血圧が高い方にあっては、年を取ってから血圧が200を超えてもどってことないを示しています。
(フラミンガム市の疫学調査の詳細は、年をとったら血圧は高くてよい[吉岡英介さんのHP]をご覧ください。この段落はその要旨です。)(このHPはその後閉じられました) 

 次に、ヨーロッパ高齢者高血圧研究会の調査、これは既に記事にしたところですが、高齢者にとっては、むしろ血圧が高いほど死亡率が低い、血圧が180ぐらいまでは脳卒中になる可能性が高くなるという明確な根拠はない、という結果が出ています。
(2013.5.6補記:フィンランドで、75歳から85歳までの降圧剤を飲まない521人の経過を見た調査では、80歳以上のグループでは血圧が180以上の人たちの生存率が最も高く、140を切った人たちの生存率はガクンと下がっています。)
 こうしたことから、冒頭で書きましたイタリア人のお医者さんは「血圧150、健康」と診断されたのです。なお、テレビに登場したご婦人は80歳ぐらいでしたから、もっと血圧が高くてもいいくらいです。
 もう一つ既報ですが、岡本裕さんというお医者さんは、長く脳外科専門医をなさっておられた経験から、「血圧が常時200を超えるほどでなければ、血圧と脳出血の相関はない」という印象をお持ちです。→この段落の詳細は「 おいしい高血圧患者(その3) 」をご覧ください。

(2013.12.12挿入)
 どの程度血圧が高くても安心できるか、その指標として「基準値」があるのですが、様々な指標は、「本来の基準値<健康な人の95%が入る範囲>」となっています。
 ところが、血圧、コレステロール、中性脂肪については、その「基準値」は恣意的に低く抑えられているのが現状です。そこで、これらの指標について「本来の基準値」を男女・年齢別に算出する必要があり、それを行われたのが、東海大学医学部名誉教授の大櫛陽一氏で、これは当大学のHPに載っています。(追記:その後、本来の基準値はHPから削除されてしまいました。)
 そのあたりの概要を次の記事で紹介させていただきました。その中で、血圧、コレステロール、中性脂肪の「本来の基準値」<男女・年齢別>を表にしていますので、一度ご覧ください。たいていの方は「本来の基準値」の範囲内に納まることでしょうね。
 例えば、男(50-54歳)155、(60-64歳)164、女(50-54歳)151、(60-64歳)159 と、かなり高い基準値になっています。
 → 健康診断の“検査”は“病人”を作り出すだけのもの 
(2014.5.6挿入)
 日本人間ドック学会が4月4日に“新基準値”の元になるものを発表しました。150万人のドック受診者から算出されたものですが、コレステロール値は素直に出されているようで、東海大学のものと酷似していますが、血圧は“男女差なし、年齢差なしで147”と、かなり低い数値を出しています。これは標本を操作し、捏造されたものと言わざるを得ません。詳細は次の記事をご覧ください。
 → 人間ドック学会の“新基準値”の評価
       (挿入ここまで)

 さて、日本で盛んに処方されている血圧の薬“降圧剤”を飲み続けると、どうなるでしょうか。1980年代に発売されたサイアザイド系利尿剤について、数多くの大規模調査データが幾つかあるようです。これは業界の関係者が知るだけで、一般国民には広報されていなかったようでして、小生も先日知っただけなのですが、次の結論が出ています。
 1 脳卒中による死亡がわずかながら減少する
 2 心筋梗塞による死亡が増える(または、減らない)
 3 寿命が延びることは決してない
 このことは、新潟大学の岡田正彦教授によれば、以後に発売されたどの降圧剤にも一様に認められるとのことです。さらに、教授がおっしゃるには、サイアザイド系利尿剤を長期服用すると、『コレステロール値、中性脂肪値、血糖値が徐々に上がる』ということが、調査の過程で判明したとのことです。すなわち、これらの物質が血液中に増えて血管壁を傷つけ、心筋梗塞を引き起こすというものです。また、薬の効き過ぎによる脳血流の低下などの弊害により、寿命が延びないと考えられると、おっしゃっておられます。
 加えて、降圧剤の服用者には交通事故死が多いとか、鬱病(うつ病)による自殺者が増えるというデータもあるとのこと。

 ところが、降圧剤に効果ありとする報告もあります。
 1997年に60歳以上の約5千人の高血圧患者を対象とした調査で、2年間の降圧剤処方で、上の血圧が平均23下がり、こうして血圧を下げたことにより、脳卒中は42%低下し、心血管死は27%減少した。
 その調査手法が分かりませんから何とも言えませんが、はたして疫学調査の手法が正しく行われていたかどうか疑問です。期間が2年は短すぎますし、降圧剤非投与群との比較はきっとしていないでしょう。また、死亡率は単に全国平均との比較と思われ、そうなると調査対象群の死亡者数が少ないですから、統計上の意味がなくなるからです。少なくとも1桁上の調査対象群とする必要があり、そうした調査を行えば、先に紹介したサイアザイド系利尿剤の大規模調査の結果と一致することでしょう。
 国民に知らされるのは、こうした医師会と製薬会社に都合の良い結果だけであって、いわば捏造されたとも言える調査報告が大きくPRされ、だまされてしまうのです。

 繰り返しになりますが、血圧は個人差があり、年々上がっていくのが正常なのですから、“俺は200歳まで生きるんだ”という人は110歳を超えると血圧は200を超えてしまい降圧剤が必要になるかもしれませんが、そうした方はおみえにならないでしょう。
 高血圧の人は、自分の体が正常に働くよう、心臓が血圧を高くしてくれているのです。それによって、体の隅々まで十分な酸素が供給されるのです。
 
これは、普通の血圧の人でも、運動すれば筋肉が普段よりも酸素を多く要求しますから、血圧が高くなるのと同じことです。
 そして、高血圧状態がすっと続いていても、息苦しくもなく、どってことなければ、心臓は楽々その血圧を維持してくれていることになりますから、何も心配いらないのです。
 体質的に高血圧の方は、生まれつき、あるいはどこかの時点で部分的に血管が細くなっていたり詰まり気味になっていたりして、血流が悪くなっているからでしょう。
 このことは加齢によっても生じます。血管の弾力が落ちてきますし、どれだけかの動脈硬化は避けることができないからです。それでも、心臓は十分に対応してくれ、血圧を上げて全身に必要な酸素を供給するのです。
 酸素を供給するのに必要だから血圧を上げているのに、血圧を下げてしまう降圧剤は、無理に血圧を下げることによる副作用が大き過ぎます。
 今まで体の隅々まで酸素を供給できていたのが、血圧低下によって、それが不十分となりますから、特に、心臓より上部にある頭への血流が細くなるのは必然で、酸素を大量に欲する脳の働きが鈍ることになります。
 めまい、ふらつき、頭がぼーっとする、だるい、頭痛がする、肩がこる、……
 そして、体の上部に止まらず、内臓や筋肉への血流も悪くなりますから、酸素供給が減ってエネルギーの生産が落ち、動きも鈍くなり、それに相当する分を減食すればいいのですが、普段どおりに食べていれば、やがて過栄養となってしまい、『コレステロール値、中性脂肪値、血糖値が徐々に上がる』という結果を招くことになるのです。
 加えて、心臓の筋肉は強く収縮しようと思っても降圧剤で抑え付けられますし、酸素不足にもなりますから、息苦しくもなり、かえって心臓に負担が掛かることにもなります。

 どうでしょうか、何もいいことがない降圧剤なのです。
 最後に、この記事を書く切っ掛けになった経緯を述べさせていただきます。
 それは、小生のおふくろ(94歳)の体調の変化です。
 おふくろは、70歳頃から降圧剤を飲み始め、それによって、年に1、2度めまいに襲われて丸1日寝込むようになり、80歳頃から心臓の疲れが出てきて、救心を飲んだり、その後医者で心臓の貼り薬をもらったりしていました。そして、背中に痛みを感ずるようになり、下呂膏をしょっちゅう貼るようになりました。90歳頃にはコレステロールの薬も処方されましたが、これだけは飲むのを止めさせました。降圧剤以上に毒になる ものですからね。(降圧剤も止めさせようとしたのですが、頑として言うことを聞かず。)
 なお、めまいは薬で治るものではなく、80歳頃から店にある銀杏葉エキスを飲ませることにしたのですが、思いのほか良く効いて、めまいがほとんどしなくなりました。

 しかしながら、おふくろは、加齢による体の弱りもありましょうが、昨秋、畑仕事に精を出しすぎた疲れにより、重いめまいに襲われ、とうとう寝込んでしまい、1ヶ月間、寝たり起きたりの生活を余儀なくされました。
 これは、やはり降圧剤が原因していると思われ、その副作用を消してくれる銀杏葉エキスでもってしても防ぎえなくなってしまっていたのでしょう。
 そして、1か月も外出できなかったですから、お医者さんの薬も底をついてしまいました。めまいの症状が消え、出歩けるようになったおふくろは、お医者さんに行くかと思っていたのですが、どういう訳か全く行かなくなり、それがもう1年近くになるのですが、降圧剤も心臓の貼り薬もなしで済ませています。今、おふくろが飲んでいるのは、従前からの銀杏葉エキスと病中から飲ませるようになった漢方の滋養薬です。
 足の弱りがあって、以前ほど出歩くことはなくなりましたが、体調は前通りに回復しています。そして、驚いたのは、背中の痛みに貼っていた下呂膏を半年ほど前から必要としなくなったことです。加えて、時々の頭痛に鎮痛剤を飲んでいたのですが、これも不要となりました。また、時々訴えていた指先のしびれもなくなりました。
 新たに飲ませるようになった漢方の滋養薬には、こうした効果はあまり期待できないと思われますから、これはやはり降圧剤を飲まなくなったことにより、その副作用が消えてくれたと考えざるを得ないのです。
 こうしたことから、“降圧剤は恐ろしいものだなあ”と、しみじみ感じたところです。

 今、ご自身が、あるいは身内で降圧剤を飲んでおられる方で、血圧が「年齢+90」に納まっておられるのであれば、降圧剤を飲むのを止めることをお勧めします。
 なお、飲まなくなったことによって、何か体調に変化を感じたら、血圧を測定され、ひどい異常値が出たら、そのとき降圧剤をお飲みになればいいでしょう。
 ただし、従前は低い血圧であったのが、最近急に血圧が高くなった方にあっては、降圧剤を止めると再び血圧が急上昇すると思われますので、慎重に対処なさってください。
 血圧急上昇の原因は、過剰なストレスであるのか、脳卒中や心筋梗塞の前触れであるのか、といった原因の特定を急ぐことが肝要でしょう。

 長文となってしまい、また、所々で他の記事へジャンプさせたりして、お手間を取らせて申し訳ありませんでしたが、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
 いずれにしましても、ヒトは動物ですから、毎日体をよく動かす=そのとき血圧を上げて酸素を全身に供給=それによって健康で長生きできるのです。
 ですから、体が良く動く限り、多少の高血圧は心配に及ばずです。
 第1級の寒波が日本列島を覆っています。閉じこもりがちになりますが、ラジオ体操なり膝屈伸運動なりで体を十分に動かし、血圧を上げ、今日も健康でお過ごしください。

(2013.10.24 追記)
 このブログ記事の中で2番目にアクセスが多く、また、最もコメントが多いのが、この記事です。いかに多くの方が「高血圧」と診断されて心配されているかが推し量られます。
 そこで、重要なことを一つ書き漏らしていましたので、少々補足させていただきます。
 世の中には真面目なお医者さんも多くいらっしゃいます。しかし、そうしたお医者さんであっても、患者さんを前にして“血圧が150を超えているか。でも大丈夫、薬はいらない。”と、ダイレクトに話をしたとすると、その後にその患者さんがもし万一脳出血でもして大変なことになり医療過誤で訴えられたら、敗訴は間違いなしとなりますので、“血圧が高い。降圧剤をお飲みになった方がいいですよ。”と言わざるを得ないのです。
 いくら信用のおけるお医者さんであっても、こうした立場に置かされていることをよく頭において、お医者さんと対応なさってください。

 ついでで恐縮ですが、このことを含めて「降圧剤問題」に関する基本的な解説をされておられるサイトがありますので、紹介させていただきます。
 なお、そのサイト名は、「武田邦彦(中部大学)」で、武田氏は当大学教授、専門は資源材料工学(原子力関連)ですが、幅広い人脈のもとに医療の本質や裏側もよくご存知な方で、言っておられることは信用が置けます。
 2013.10.21 降圧剤ディオバンのデータねつ造になぜ11億円も使ったのか?
  http://takedanet.com/2013/10/post_e0e5.html <この記事は今はアクセスできなくなっています>(音声が主体で、記事はお話の要約になっています。)

 その中で、批判的に言っておられるのが、次の言葉です。
 「食事や軽い運動では誰も儲からない。国民を高血圧にして降圧剤で儲けるのが一番良い。」 そうなってしまったのは、文部科学省の責任が大きい。
 詳細は、URLをクリックしてご覧になったください。

(2013.11.5 追記)
 昨日、あまりにも血圧が高いので心配という方から相談がありました。
  56歳女性 身長151cm 体重63~4kg
  自宅で測って常時150~160台、最近は180~190
  心配で病院へ行き測定してもらったら230超
  薬をもらい飲むも、1週間高いまま
  再度病院へ行き、投薬追加 2日後から150~130台
  医者は、ずっと降圧剤を飲み続けるしかないだろう、とおっしゃいます。
  はたして降圧剤を飲み続けてよいものでしょうか。
  なお、LDLは200を超えます。

 これに対して、次のとおりお話させていただきました。
  何よりもメタボ解消が重要でしょうね。
  ゆっくり少しずつ体重を減らす努力を。年5kg減が目標。
  LDLの本来の基準値は50代後半は192で心配ない。ダイエットで確実に下がる。
  メタボでLDLが多いと、コレステロールの行き場がなく血管壁に沈着し、
  それでもって高血圧を引き起こす可能性がある。
  白衣性高血圧でもなさそうで、データは通常の血圧を示していると考えられる。
  高血圧の体質と思われるが、230超はちょっと異常と言えましょう。
  
動脈のどこかで詰まりがある可能性があり、
  万一それが剥がれると心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす恐れあり。
  人間ドッグなり、病院なりで一度精密検査を受けられたほうがよいでしょう。
  降圧剤で血圧を抑え続けても動脈の詰まりが解消されることはなく、
  血流不足で特に脳が酸素不足になり、何ひとついいことはないですからね。

(備考:高血圧に関する記事は、「減塩する必要はない」ことなど、他にも幾つか投稿していますので、左サイドバーのカテゴリー「高血圧」をクリックして参考になさってください。また、高血圧は動脈硬化との関係が深く、脂質異常症と密接な関連がありますので、カテゴリー「脂質異常症」もご覧になってください。)

(2014.4.18追記)
 高血圧によい安全な漢方薬はないか、とのお尋ねが、このブログを見て、数多く寄せられています。
 また、その中には、不条理のこの世の中ですから、メタボ健診で引っかかると何かと不利になり、血圧の数値が高くても安心と知っていても、現行の基準値以下に抑え込まねはならない事情を抱えた方も多いです。
 当店では、そうした方も含めてお客様におすすめし、皆さんに喜ばれているのが漢方新薬の丹参(たんじん)製剤です。小生の知るかぎり、現在5メーカーあります。
 それを下記ページの文末で紹介させていただきましたので、ご入用な方は漢方薬局やネットでお求めなさってください。
  血管を大掃除しませんか。動脈硬化を予防し、高血圧を解消。

(2014.11.4追記)
 長文を最後までお読みいただき、お疲れ様でした。もう一度読み直したいという方は、別立てホームページでどれだけか簡潔にまとめましたので、よろしかったら下記をクリックしてご覧ください。
  生涯現役をサポート:三宅薬品のHP 健康情報 高血圧のコーナー 

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コメント (59)

塩を摂りすぎると高血圧になる?心配ご無用!でも食塩感受性が高い人は注意すべきでしょう

2012年08月14日 | 高血圧

塩を摂りすぎると高血圧になる?心配ご無用!でも、食塩感受性が高い人は注意すべきでしょう
 (最新追記 2020.1.27)

 国際的に減塩運動が盛んに行われており、減塩すれば生活習慣病なり胃ガンの予防になると、声高に叫ばれて久しいです。そして、近年の日本人成人の平均食塩摂取量は男12g、女10gですが、厚生労働省は、これを25%削減し、男9g、女7.5gにせよと言っています。なお、国際的には、推奨6g以下、目標5g以下、とされています。
 なぜにこんな厳しい基準が設定されたのでしょうか。そして、これは正しいでしょうか。

 塩と高血圧の関係が最初に示されたのは1954年のことで、ダールという学者が世界5地域の食塩摂取量と高血圧者率を示した簡単な報告です。
 これによりますと、次のとおりです。(図からの読み取りにつき、数値は概数です。)
                  食塩摂取量    高血圧者率
  日本・東北地方         27 g/日      40 %
  日本・九州地方         17         22
  アメリカ・北部         11          7
  太平洋・マーシャル諸島      8          6
  北極・エスキモー         4          0

 なお、地域間を比較する場合には、統計学的に標本の足並みが揃っていなければなりませんが、このデータは標本数が少なすぎるものがあったり、性別・年齢の偏りがあって、信頼性が弱いものなのですが、大雑把な傾向をつかむことは可能です。
 戦後間もなくのことであり、東北地方の人は食塩摂取量が1日当たり30g程度であったことは確かであり、高血圧者率(40%は?)も高かったことは事実です。そして、九州地方は相対的に食塩摂取量は低く、高血圧者率も低かったのも事実ですからね。
 また、エスキモーの食塩摂取量もうなづけますが、彼らに高血圧者がいないこと(標本数は20)と、食塩を摂らないこと(4gは動物の血液などからで食塩はゼロ)とは無関係で、これは狩猟採集民に共通することであって、毎日体をよく動かせば血圧は正常に維持される傾向が強いからです。なお、この知見は、当時は知られていませんでした。

 その後、この種の疫学調査が幾つも行われたのですが、統計学的に不備なものが多く、そこで、1982年に国際心臓学会連合が、統計学的に意味がある手法で国際的な統一調査をすることにし、1988年にインターソルト・スタディーを発表しました。
 世界32か国の52地域、10,079人を対象としたもので、1地域の男女(20~59歳)各100人以上としています。なお、食塩摂取量は、これと因果関係が深い尿からの排泄量をとっています。
 その結果は、ダールの報告どおりのものが期待されたのですが、たしかに、文明からほぼ隔絶された地域(狩猟採集民)では、食塩摂取量、高血圧者率ともに、ゼロか極めて小さな数値であることが分かったものの、文明化された地域(食塩が流通している地域)にあっては、ほとんど相関関係が見い出せない結果となってしまったのです。

 翌1989年に、インターソルト・スタディーの結果について国際的な討論会が開かれたのですが、減塩運動無意味派と推進派が対立し、推進派はわずかな相関関係でもって、そして、その後にデータの評価見直しを行って相関関係を見い出し、減塩運動は続けるべしとして今日に至っています。なお、無意味派は、評価見直しは恣意的であり、相関関係は認められないと主張し、平行線をたどっている状態にあります。

 以上が学者先生方が行ってこられた調査研究の概要ですが、これをどう評価するかです。政府は、そして国際的にも、厳しい減塩運動をこれが正論であるとばかり、運動を展開することに熱心で、別途記事にしました「塩を摂りすぎると胃ガンになる?」と、全く同じです。そして、食塩のことをよく知っている循環器系の専門医は、高血圧予防に当たっては“塩と高血圧は明確な相関はないが、ガンの専門家によると塩と胃ガンは相関があるとのことだから、やっぱり減塩したほうがいいよ。”となり、同様にして、がん専門医は、がん予防にあたっては、“塩とガンは明確な相関はないが、高血圧の専門家によると塩と高血圧は相関があるとのことだから、やっぱり減塩したほうがいいよ。”となります。
 ここまでくると、あきれて物も言えないです。
 高血圧も胃ガンも、食塩摂取量と関係ありとする主張の出所は、戦後間もなくの東北地方の古い古い調査データです。その当時の東北地方の食生活は、白米と塩辛い漬物
の多食が顕著なものであり、現在とは丸っきり違っていました。そうした食なりそれ以外の食生活あるいは食以外の生活習慣が起因して、高血圧や胃ガンが多かったのでしょう。それが、今日では食塩摂取量は半減され、生活習慣全般に平均的な日本人に近いものとなり、高血圧も胃ガンも日本人の平均と差がなくなっているのです。
 今でも食塩摂取量が1日当たり30g程度と高ければ、減塩も意味があるかもしれませんが、半減された今日にあっては、調査研究するのは、15gではどうか、10gではどうか、5gではどうか、という食塩摂取量での比較で行うべきでしょうね。

 さて、現在の食塩摂取量をさらに下げて、どれだけの効果が得られるか。
 これについては、減塩運動推進派の学者は、「食塩摂取量を生涯にわたって6gにすれば、血圧は9mmHg下げられる」などと言っています。
 これに対しては、“たったの9、あっ、そう。”と受け流せばよいでしょう。
 そもそも高血圧で注意せねばならない数値は幾つか、これが実におかしなものになっています。以前は160/95mmHgだったのですが、2000年に140/90に改定され、更に2004年には老人以外は130/85にされました。
 これは厳しすぎる基準です。長らく脳外科専門医をされていた岡本裕氏は「血圧が常時200を超えなければ、血圧と脳出血との相関はない。」と言っておられますし、「血圧が高いのは、それなりにちゃんとした理由があって、血圧を高く保つことで、生体の機能をうまく維持しているわけでして、何の脈絡もなく薬で血圧を下げてしまっては、体にいいわけがないに決まっています。」ともおっしゃっています。
 (詳細は過去記事:2010.10.23「 おいしい高血圧患者(その1) 」をご覧ください。)
 こうしたことからも、食塩摂取量を気にする必要はなく、塩味を楽しんでいただいてよいのです。食塩は必須の栄養素でして、食塩が欠乏すると様々な疾患が生じますし、何よりも、やる気が失せ、元気がなくなるのです。このことについては、後日記事にしました「 減塩し過ぎるとどうなる? 」をご覧ください。

 ここまで総論的なことを述べてきましたが、これより各論的なことについて少々触れておきましょう。
 1954年のダールの食塩摂取量と高血圧者率の相関が注目されて、1962年には動物(ラット)実験で、多量に食塩を与え続けると、なかには血圧が上がるものがいることが判明しました。これを、「食塩感受性」というのですが、これが、人についても言えることが1978年に発表され、1980年に同様な結果が出て、確認されています。
 その後、「食塩感受性」について数多く調査されているようですが、どの程度をもって「食塩感受性あり」とするのか定義が定められておらず、定性的なことは言えても定量的なことは言えず、「食塩感受性」のある人の割合はいまだはっきりしていません。
 これは、人によって、少量の増加に敏感に反応する人もいれば、一定程度以上でないと反応しなかったり、また、血圧の上がり方もまちまちであったりするからでしょう。
 なお、はっきりしませんが、「食塩感受性」がない人の方が多いようです。

 なぜに「食塩感受性」が生ずるかについては、小難しく学術的に説明されたりしていますが、次のように考えれば、まず間違いないでしょう。
 食塩を量多く摂取すれば、吸収されて血液に入り、それが細胞外液に染み出して浸透圧を上げることになりますから、必然的に血管が圧迫され、心臓は必要な血流を確保しようとして血圧を上げざるを得ないことになります。これが自然の理です。
 でも、血圧が上がらない方が数多くいらっしゃいます。これは、血液中の食塩濃度が高まれば、不要なものは早速腎臓で濾過されて排出されてしまうからでしょう。
 こうしたことから、「食塩感受性」が高い人は、腎臓の濾過機能が弱いと言えましょう。
 自分は「食塩感受性」があるのかないのか、それが高いか低いかは、自分では調べられない、あるいは、勝手に調べないでくださいと言われていますが、これは自分で調べればよいです。毎日定期的に血圧を測っておられる方であれば、塩っ辛い物を食べたときに血圧がどう反応するか、減塩したらどうなったか、容易に結果が出ます。もっとも、1回で判定することはできません。別の要因で血圧が変化することは幾らでもありますから、最低1週間はチェックし続ける必要がありましょう。

 次に、減塩生活に入ったら血圧はどう変化するかという臨床データがあります。
 正常血圧の大人の場合、ほとんど変化しない方もあれば、どれだけか(10~15前後)は血圧が下がる方が多い反面、血圧が少々(10程度)上がってしまう方も少なからずみえます。子供の場合も、数値幅は狭まりますが、傾向は同じです。
 高血圧の大人の場合は、血圧が下がる(15ダウンをピークに正規分布)方が多くなりますが、それでも、変わらない方や、逆に高くなる方もどれだけかいらっしゃいます。
 なぜだか分かりませんが、“減塩によって血圧が上がる”という奇妙な現象が少なからず発生するのですから、心配になります。
 本稿で、減塩は必要ないと申しましたが、やはり自分の体が心配だからこの際減塩しようとお考えの方は、毎日定期的に血圧測定しながら減塩食になさってください。
(2014.3.31
追記)
 少ない食塩摂取でとても健康になれる方法を見つけ、2014.1.20記事にしましたのでご覧ください。→ 減塩ではなく、1か月に1回「塩断ち」して「塩持ちの良い体質」に改善

 最後に、血圧は少々高くっても何ら問題ないと申しましたが、注意せねばならないのは、普段の血圧から上がったり、下がったりする変動値です。
 一過性のものであれば問題ないのですが、それが1週間、2週間と続けば、体の中で何か異変が起きていることになります。原因を追究せねばなりません。
 たいていは生活習慣に起因しますから、それを探り出し、是正する必要があります。
 お医者さんで検査を受けても、原因が分かることは、まずありませんから、自分で探し出すしかないです。もっとも、血圧が常時200にも上がれば別でしょうけどね。
 そういう小生、普段の血圧は110~120で安定しているのですが、今冬、久し振りに血圧を測ってみたら140程度に上がっていて、数日経っても変化なし。
 そこで生活習慣の分析。考えてみるに、“これは、きっと、最近体を動かさなくなり、かつ、連日過食していたのが原因であろう。体重も急に1キロ増えたし。”と反省し、努めて体を動かし、過食を控えたところ、半月で減少し始めました。
 自分で分析したとおりの原因であったのです。
 高血圧を解消するには、やっぱり「体を動かし、腹八分にする」以外になさそうです。
 なお、もっとも効果的な高血圧解消方法は、左サイドバーのカテゴリー「高血圧」の中にあります過去記事「 ゆっくり走って治す高血圧 」です。ご一読ください。
 “運動して汗をかき、塩を舐めて、イキイキ元気!”です。

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ゆっくり走って治す高血圧。低血圧もゆっくり走って改善。上は110、下は70に近づきます。 

2012年04月21日 | 高血圧

ゆっくり走って治す高血圧。低血圧もゆっくり走って改善。上は110、下は70に近づきます。 

 狩猟採集民の血圧は、収縮期(上)が110で、拡張期(下)が70。年とともに若干下がる傾向にあります。農耕民となると、総じて高めとなり、加齢で逆に上がり気味になります。そして、高度文明社会の都市住民は、上の血圧が、年齢に100を足した程度までに上昇します。高血圧は、明らかに「文明病」です。

 高血圧を治すには、狩猟採集民の生活がヒントになります。
 その前に、血液循環について正しい理解をしていただきたいです。
 心臓が血液を全身くまなく巡らせると信じられていますが、心臓の本来の役割は、血液の逆流防止と、戻ってきた血液を一時貯留することです。
 心臓は、ミニポンプに過ぎず、血液循環は、肺がメインポンプの役割を受け持っています。息を吸ったときに、肺の組織に圧力が掛かり、血液が心臓へ向けて押し出され、息を吐いたときは、その逆の流れを起こします。
 サブポンプの役割が筋肉です。体を動かすと、一方の筋肉が収縮し、他方の筋肉が弛緩します。筋肉の収縮で圧力が掛かり、筋肉中の血液が静脈へ押し出され、弛緩で動脈から吸い込みます。
 通常、この2つで血液循環は維持されています。
 激しい運動となると、筋肉の動きが早く強くなり、サブポンプがフル稼働しますが、メインポンプの肺も助けに入って、呼吸が速くなります。ミニポンプの心臓も、心筋の収縮力をアップさせて血圧を上げ、また、心拍数を上げて協
力しますが、極めて微力です。
 時速20キロで2時間も走るマラソン選手は、肺と筋肉が強化されているのであって、心臓のポンプ能力が格段に高いわけではありません。

 血圧が高いということは、肺と筋肉がサボっているから、心臓というミニポンプが懸命に努力している証しです。
 財団法人労働科学研究所では様々な実験を行い、次のことが分かりました。

 上の血圧を下げるには深呼吸が、下の血圧を下げるには膝屈伸が効果的
(2015.8.21 投稿時に下線部分を「上げる」と誤植していましたが、今日、ある方からお問い合わせをいただき、これは真逆であることに気づきました。とんでもない大きな誤りで、訂正してお詫び申し上げます。)

 朝昼晩、ラジオ体操をやり、この2つは念入りに足し加えてください
 さらに、劇的な効果を上げられるのは「ゆっくりランニング」です。

 1日20~30分、脈拍140/分の持久走

 伴走者と話しながら走れる、やや呼吸が弾む程度の走り方です。
 これを女性522人に3ヶ月続けていただいたら、ほとんどの方に理想血圧に向かう傾向が見られました。つまり、狩猟採集民の110、70への接近です。


 さらに、これを毎日続けていけば、狩猟採集民と同じ血圧となることでしょう。

 ここで、注意事項を申し上げます。
 いきなりのランニングは危険です。走るという習慣を持たない方は早歩きから始めてください。心筋梗塞などを引き起こす恐れがありますし、足首の捻挫、膝痛を起こしかねませんからね。
 なお、脈拍が150/分以上になる走り方は、効果が出ないとのことです。

(この記事は、当店「生涯現役新聞」2004年10月号を再掲したものです。なお、この内容は、小山内博著「生活習慣病に克つ新常識」からの要約が主で、図もその著から引用しました。) 

(2014.11.4追記)
 別立てでホームページを開設しました。高血圧対策についてまとめたページは次のとおりです。併せてご覧ください。
  生涯現役をサポート:三宅薬品のHP 健康情報 高血圧のコーナー

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血管も大掃除しませんか。動脈硬化を予防し、高血圧も解消。

2010年12月15日 | 高血圧

血管も大掃除しませんか。動脈硬化を予防し、高血圧も解消。
(最新更新 2023.2.19)

 年に1回の大掃除の時期が来ました。
 1年経つのは早いものですね。もう師走になり、やらねばならぬ年1回の大掃除。
 でも、年1回だけともなると、普段は特別に支障がないですから、やってもやらなくても同じだと横着になり、手を抜くことが往々にしてあります。
 例えば換気扇の油落とし。
 でも、これをしなくても、ちゃんと羽が回ります。
 しかし、何年も掃除しないと、油がどんどん溜まって固まり、回る勢いが悪くなります。
 
でも、一気に勢いが落ちるわけではありませんから、これになかなか気付かないです。炊事場に長く煙が立ちこめ、いつまでも煙が充満するようになって、初めて気付くのです。こうなってしまった後では、いくら換気扇を掃除しても、十分な勢いは戻りません。
 もう買い換えるしかないです。

 人間の体も同様です。血管の大掃除を怠ると、血管壁にコレステロールや中性脂肪がこべり付いて固まり、血液が十分に流れなくなります。動脈硬化です。当然に血圧も上がってきていて、高血圧と診断されます。
 これも、換気扇の油と同様に、少しずつ進行します。動脈硬化は、加齢も原因しますが、飽食と運動不足が最大の原因です。毎日、腹八分で十分に運動すれば、毎日、血管壁が掃除されて、このようなことにはならないのですが、今日のような高度文明社会にあっては、なかなかできたものではありません。

 そこで、頼りになるのが、血管を大掃除してくれる丹参(たんじん)を主剤とする漢方新薬。強よ~い助っ人になります。この漢方新薬はすぐれものです。
 なんせ、中国の医学界挙げて開発に取り組んだものですから。なぜ、そうしたかというと、毛沢東主席が重い心臓病(たぶん冠状動脈の詰まりで手術不能の状態)にあり、彼が早々に死んでしまっては内政混乱を招きかねないから、何が何でも延命させねばならないという切羽詰った事情があったからです。そして、今までにない漢方新薬が開発され、毛沢東は随分と長く生きました。当時処方されたものは注射液でしたが、その後、一般に使いやすいよう改良され、飲み薬が誕生しました。
 年に1回、この丹参を主剤とする漢方新薬を飲み、これで血管を大掃除すれば、あなたの血管は、真新しい換気扇と同様に、いつまでも能力を十分に発揮するでしょう。
 換気扇のように買い換えができない血管ですから、日頃のお手入れを怠りなく。

 しかし、だれも動脈硬化の進行に気付くことはなく、「最近はスタミナが落ちたわ。これは年のせいだ。」と、片付けられてしまいますから弱ったもんです。

(2014.4.18追記)
 油が随分と巻いて血流が細くなっているような動脈硬化が進んだ血管の場合ですと、年に1回の大掃除では、とてもおっつきません。毛沢東のように、とまでは申しませんが、当分の間は毎日「丹参製剤」をお飲みになることをおすすめします。
 なお、丹参製剤は高血圧には即効性があるようですし、毎日1か月飲むと数値が20前後低下することが臨床実験で明らかになっています。
 参考までに、現在、中国から輸入されたり、日本国内で製造されているものを列記しておきます。品名は皆、異なりますが、内容成分の処方量は全く同じです。
 イスクラ産業 冠元顆粒
 小太郎漢方 環元清血飲
 クラシエ薬品 冠心逐瘀丹
 八ッ目製薬  冠源活血丸
 JPS製薬  冠源活血丸(製造元は八ッ目製薬)
 救心製薬  冠心調血飲 

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