薬屋のおやじのボヤキ

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人類の直立二足歩行は今でも内臓疾患の元凶となっている

2021年10月12日 | 人類水生進化に起因する疾病

 先日、このブログで今は亡き西丸震哉氏(1923年生まれ、2012年没)が1981年に書かれた「食生態学入門」という書から、その一部を抜粋して紹介しましたが、氏の論調は実に愉快で面白いです。そうであっても、的を得た、これぞ真実といった内容になっています。小生、この本をもう10回周りぐらい読んだと思うのですが、いつもアッハッハと吹き出してしまう面白い箇所があります。それを紹介することにしましょう。

第2章 人類の起源
直立歩行がもたらしたもの
 人間の先祖が直立歩行をはじめて、そのおかげで人間ができあがったことになるが、直立歩行が人間に対して絶大なプラスの作用を与えたと手ばなしで感謝していいかどうか。なんらかの方向に効果があったといえるとき、必ず足をひっぱる面がどこかに発生して、歪となって影響してくるはずである。
 四足で、四つんばいで生活している動物たちの場合には、内臓諸器官はすべて背骨からぶら下げられた、つるし柿のような状態となっているから、それぞれが独自の空間を占めていられて、隣に影響を与えることはなく、内臓の重みや、とんだりはねたりの衝撃のために、つるしている筋がゆるんでもただ下にたれ下がるだけで終わる。駄馬のおなかが下にダブンとたるんだ状態だ。
 ところが背骨が直立したときには、上の臓器は下の臓器をおさえつけ、パパイアの木に実が鈴なりになった形となり、下降を抑える面が当分出てこなければ内臓を支える筋はますます伸ばされてしまう。臓器がみんな下腹にたまって、いわゆる中年の体形ができあがっていく。何十年も地球に下からひっぱられたあげく水滴形ができるのだ。
 胃の次に腸があって、という順序が崩れて、胃はどんどんたれ下がり、胃の検診医がモタモタする。私の胃はもっと下ですよ、もっと、そう骨盤のあたり、ネ、あったでしょ? なんて毎回いわなければならなくなる。
 食事をすると胃がふくれる。そうすると隣から文句が出る。おれは膀胱だが、そう押すなよ、お前だれだ?おれ胃。
 そこで食事をすると小便がしたくなるような反応が出てくる。ふつうは胃に食物がはいると便意をもよおすもので、これを胃・大腸反応というが、胃・膀胱反応なんていう新語も出なければならなくなるだろう。
 この先はもうただの空間というところに肛門があるが、上からやたらと圧迫されつづけると、抵抗しきれなくなって脱肛になりやすくなる。痔疾の原因はそんなものじゃないといわれるだろうが、イヌ、ネコその他四足獣には未だかつて痔で悩んだ個体はないのに、人間だけがこの苦痛を背負わされる根本原因がここにあるのだと考えねばなるまい。
 このほか、急に立ち上がって脳貧血になるのも、1000万年程度の歴史的経過の中では、まだ適応しきれていない面の現われであろう。
(引用ここまで)

 いかがでしたでしょうか。
 「胃が骨盤当たりまで下がる」なんて冗談だろうと思っていましたが、EPARK病気スコープの解説によると「胃を支える筋肉の低下などさまざまな理由によって…胃が骨盤の位置まで下がってくることもあります。」とあり、ウソではないです。
 その原因として、同解説では「痩せすぎにより、腹壁の筋肉や脂肪が少なく、腹部の圧力が低下するためにおこるといわれています。体質的な理由のほかに、悪い姿勢や動作によって内臓が下がり、不自然な腹圧がかかることによって胃が下がるともいわれています。出産経験を多くしている人にも多くみられます。妊娠によって緊張していた腹壁が出産によって緩んでしまうことから胃下垂がおこります。」とのこと。

 よって、同解説で「胃下垂だけではとくに病気というわけではありません。」と言わしめてしまっているほどに、人間の内臓はいまだ直立歩行に伴う“パパイアの実”状態なんです。

 直立歩行する人間と四足動物の違いを別のたとえで解説したものがあります。どなたが言いだされたのか知りませんが、これも面白いです。
 四足と二足の違いは、“洗濯物干し”に例えられます。四足ですと、洗濯竿に相当する背骨に、きれいに内臓が吊るされ、押し合うことも癒着もありません。それが、竿を垂直にすると、洗濯物が下に固まるように、背骨の役割が消えてしまい、内臓は押し合い、癒着し、垂れ下がる一方で、臓器はその能力を十分に発揮することができなくなるのです。

 病の器といわれる人間の、そもそもの原因は、どうやら直立したことによるようです。この構造的欠陥は四足に戻らないことにはどうしようもない、もう無理ですが。


(関連記事)
2012.5.16 直立二足歩行する裸の猿・ヒトは人類水生進化説に基づき的確な健康対策を

2012.2.3 人は病の器であり、その最大の原因は直立二足歩行

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“裸の猿”ヒトには発汗の訓練が必要です

2012年07月04日 | 人類水生進化に起因する疾病

 “裸の猿”ヒトには発汗の訓練が必要です

 ヒトは欠陥商品の発汗システムしか持っていないから大変なのです
 ヒトに近縁のチンパンジー。彼らは熱帯に暮らしながら毛皮をまとい、暑そうにみえますが涼しい顔をしています。
 ヒトは暑いときにはポタポタ大汗をしたたらせ、フーフーいっています。
 この違いはどこにあるのでしょうか。
 チンパンジーは発汗システムがヒトと丸っきり違います。
 彼らは、ヒトの脇の下などごく一部にしかないアポクリン腺が全身にあって、ここからシットリ汗を出し、毛に吸い取らせて、汗の全部を効率的に蒸発させ、その気過熱で体を冷やしています。
 ヒトの場合は、チンパンジーの掌で働いているエクリン腺…木にぶら下がるときの滑り止め…を全身に展開させ、これで発汗させているのです。
 エクリン腺は、ドッと汗を出してしまうという弱点があります。
 ヒトは、その進化(詳細は小生の別立てブログ⇒「人類は水生(海水)環境で進化」)の過程でアポクリン腺を失い、やむを得ず、欠陥商品のエクリン腺で代用せざるを得なくなったのです。
 よって、体熱を放散するにはエクリン腺から大汗を出すしかなく、多くの汗が無駄になってしまいます。加えて、ヒトには汗を蒸散させるのに好都合な体毛もないのです。
 こうしたことから
、ヒトは夏には脱水症状を起こしやすいですし、熱中症にかかりやすいのです。

 大汗をかき続けると、血液がネバネバになるだけでなく、ミネラルを汗と一緒に流出させますから困ったものです。
 また、汗をかくには発汗力がいり、滅多に汗をかかない方やお年寄りは発汗が不十分になって熱中症を引き起こします。
 ヒトは、汗をかくにも日頃の訓練がいるのですが、上手に汗がかけるようになると、無駄に発汗しなくなり、ミネラルの損失も少なくなります。
 これには、毛穴の開け閉めが円滑にできることが条件になります。
 冬に寒風でしっかりと毛穴を閉め、夏には思いっきり開くという、皮膚の筋肉トレーニングです。これは、毎日入浴前後に冷水シャワーを浴びるのが効果的です。
 少なくとも夏は冷水シャワーを欠かさないようにしてください。

 ところで、めったに汗をかかない方が大汗をかくと、嫌な臭いがします。
 これは、毛穴に詰まっている有機物が原因していて、2、3日連続して大汗をかけば、嫌な臭いの元がなくなって、気にならなくなりますから、ご安心ください。
 また、毎日、どれだけかの汗をかいていれば、ミネラル流出を最小限に抑えることができるように体が反応します。
 でも、ゼロとはまいらず、ミネラル補給が必要になります。つまり、塩分補給ですが、ヒトが他の動物と違って塩辛いものを求める原因は、人類は水生<海水>環境で進化したことにあると考えられるのです。
 なお、塩(粗製塩でも精製塩でも)だけの補給ですと、他のミネラルが不足し、ミネラルバランスが崩れて体が重だるくなりますから、総合ミネラル剤の補給が重要です。
 なお、スポーツをやって大汗をかき、足が吊ったり、筋肉が痙攣するのは、明らかにマグネシウム欠乏です。そうしたときは、汗でマグネシウムが流出しただけでなく、他のミネラルも一緒に流出していますから、総合ミネラル剤の補給が欠かせません。
 夏に盛んにスポーツを行う方は、毎日総合ミネラル剤を補給なさってください。

 汗かきには良いこともあります。これは、シットリ汗でもそうですが、腎臓から排出できない老廃物を排泄できることです。
 汗をかいた後に、体がスッキリして、生き生きとした感じがするのは、まさにそれです。
 ですから、汗は必須でして、夏場は上手に汗をかきたいものですね。

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直立二足歩行する裸の猿・ヒトは人類水生進化説に基づき的確な健康対策を

2012年05月16日 | 人類水生進化に起因する疾病

直立二足歩行する裸の猿・ヒトは人類水生進化説に基づき的確な健康対策を

 人類は、きっと海または塩水湖という水生環境で進化し、その後は陸に上がったものの、まだどれだけも経っていないであろうがために、ヒトは様々な疾患を抱えている身体障害者であると、このブログで何度か書いてきました。
 その人類水生進化説は、あまりにも突飛すぎて、従前からある草原進化説を信奉する権威ある学者からは、異常と言えるほどに毛嫌いされ、そして無視されています。
 この説をまとめ上げたのがエレイン・モーガン女史(英国人)で、文系出のシナリオライターの職にある門外漢だったものですから、専門家からは、“素人のでしゃばり女め!”と怒りを買い、余計に評判の悪い説となってしまいました。

 ヒトは、チンパンジーとの共通の祖先から枝分かれしたことは、DNAの塩基配列の比較からはっきりしています。それも、高だか数百万年前のことです。
 それから今日までの間に、ヒトは体の形質を大きく変え、直立二足歩行・大きな頭・無毛症・犬歯の退化といった、チンパンジーにはない姿になってしまいました。それ以外にも、皮下脂肪を持つ、体温が1度ほど低いなど、目に見えない体質の違いもあります。
 これらの違いを説明するのに、ヒトはジャングルから草原に生活の本拠を移したとする草原進化説では、どだい無理な話であって、それに代わる水生進化説の立場に立てば、全てがスムーズに説明できてしまうのです。もっとも、犬歯の退化については、モーガン女史も触れていませんし、これについては、群社会の在り様の変化を持ち出さないことには説明できないと思われ、ここでは取り上げません。

 さて、人類水生進化説の詳細説明となると、モーガン女史が5冊もの本で書かれており、とても本ページで説明できかねます。これについては、小生の論文(人類水生進化説)、これは“犬歯の退化はなぜ起きたのか”を紐解くための入り口となるものですが、その第4章で概説していますので、お時間がありましたら、そちらを覗いて来てください。
 ここでは、ヒトの形質・体質変化によって、どのような疾患が生じているかを中心にして書くことにします。
 まず前提として、現生人類は数百万年の水生生活の後、十数万年前にやっと陸に上がっただけの、陸生生活経験が非常に浅いヒトであるということです。
 ヒトはアフリカ東部の大地溝帯で誕生し、当地の乾燥化に伴って、順次その地を後にし、ジャワ原人になったり、北京原人になったりしたのですが、彼らの生き残りであれば、陸生生活に随分と慣れて形質変化し、現生人類のような疾患を背負い込み続けることはなかったと思われるのですが、彼らはそうなる前に絶滅してしまいました。
 そうしたことから、現生人類は、陸ではまだよちよち歩きの生き物だと心得てください。

水生生活に随分と馴染んだことによって獲得した形質・体質と問題点
・直立二足歩行
 チンパンジーとは別種(実質は亜種)のボノボは、湿潤なコンゴ盆地に住み、雨期には水中歩行を強いられることが多く、その骨格はチンパンジーに比べてヒトに少々似ています。そして、ボノボは二足歩行が上手です。このことからだけでも、ヒトは水生生活をしていたと考えられます。
 でも、ボノボもチンパンジーも、地上を歩くときは、手があまりにも長いので、ナックル歩行します。これは、ニホンザルのような完全な四足歩行ではなく、手の甲を地面に軽く付けた歩き方で、二足と四足との中間型です。この姿勢であれば、両足首だけでバランスを取る必要はないですし、腰関節は四足に近い使い方になります。
 それが、現生人類となると、完全な直立二足歩行になりましたから、腰関節を限界いっぱいまで伸ばした姿で常時歩きますので、設計許容範囲から逸脱してしまったのです。
 只今、腰関節改造の工事中といったところです。加えて、腰回りの筋肉も増強中です。
 そして、幼少時代に走ることを覚えると、足首の亜脱臼を起こしてしまいます。大人に成長した後、これに気づいていない方が多いですが、常時軽い炎症を持った状態にありますから、冷え症になってしまいます。
 さらに、説明するまでもない膝痛を発症します。
 加えて、大きな頭や手の重みを背骨で支えねばなりませんから、脊椎に荷重が常時かかった状態を強いられます。これによる脊椎損傷はあまり多くはないでしょうが、骨の芯にある骨髄が圧迫され、造血が滞ります。日中は時々、そして夜はたっぷり「骨休め」のために横になり、地球の重力から開放してやらねばならなくなったのです。
 また、肩こりや首筋のこりも、手の重みと大きな頭を支える筋肉の疲労によるものです。これが高ずれば頭痛持ちにもなります。
 簡単に並べあげるだけで、直立二足歩行が元になっている疾患がこれだけあります。
 次に、直立二足歩行で内臓疾患を引き起こします。
 四足と二足の違いは、“洗濯物干し”に例えられます。四足ですと、洗濯竿に相当する背骨に、きれいに内臓が吊るされ、押し合うことも癒着もありません。それが、竿を垂直にすると、洗濯物が下に固まるように、背骨の役割が消えてしまい、内臓は押し合い、癒着し、垂れ下がる一方で、臓器はその能力を十分に発揮することができなくなるのです。
 胃下垂、脱腸、脱肛といった自覚症状に止まらず、一番上にある肺を除いて全ての臓器が常時圧迫され続け、そのために病んでいると言っても過言ではないでしょう。
 本格的な直立二足歩行を円滑にするための骨格や筋肉は遠い将来に設計改造できるでしょうが、四足動物にとって骨髄と内臓に掛かる重力方向の変更は想定外のことですから、はたしてこれがうまく設計変更できるかどうかは甚だ疑問です。
(参考記事:2012.2.3 人は病の器であり、その最大の原因は直立二足歩行

・無毛症と皮下脂肪と低体温
 この3つは相互に関連があって、大型水生動物に共通するものです。
 無毛症は、皮膚が水によって冷やされて体表面への血流が滞り、体毛への酸素と栄養補給が止まり、毛が抜け落ちたものと思われます。
 また、水によって体熱が奪われて
体温が低下し、基礎代謝が落ちてエネルギー利用が減り、過栄養は脂肪細胞に溜め込まれ、これが皮下脂肪になったことでしょう。
 この皮下脂肪が育ってくれば、保温材として働き、体熱が奪われにくくなります。
 こうして、水生生活に慣れた後でも、無理やり元の体温まで上げることなく、低体温のままで暮らすことになったものと思われます。
 ちなみに哺乳類の体温ですが、陸生動物は38±0.5度、水生動物は36±0.5度といったところです。ヒトはどっちに入りますか?
 低体温ですと、免疫力が低下することが分かっています。白血球が免疫を担当するのですが、低体温ですと、その活性度が落ちるのです。ヒトが病原菌に感染しやすい大きな原因になっていると考えられます。
(参考記事:2012.2.28 人が病気しやすいのは、そもそも低体温動物だから

 これらにはメリットもあります。初めて出た、数少ないメリットではありますが。
 それは、皮下脂肪により体熱の放散が防げますから、エネルギー源となる食糧をあまり必要としないことです。体温も低いですから基礎代謝を抑えられ、この面からも少食で済みます。加えて、食糧が全く手に入らなくても、皮下脂肪で食い繋ぐことができます。
 飢餓にめっぽう強いのが現生人類なのです。もっとも、今の日本人は飽食を満喫していますから、何の役にも立ちませんけど…。
 ついでながら、メリットかどうか判断しかねますが、低体温だと長生きできることです。非常に近い種のチンパンジーよりずっと寿命が長いのはこれが原因していましょう。
(参考記事:2012.5.16 人はなぜ長寿なのか?

・口呼吸
 口から息を吸い、口から息を吐くという口呼吸、これをヒトはできます。一般の陸生動物は鼻呼吸です。口呼吸ができるのは水生動物に限られます。長く潜水して水面に浮上し、一気に息を吸うなかで、手に入れた技でしょう。
 よって、喉の構造が複雑になっており、ヒトもそうです。
 問題になるのは、口から息を吸うときです。鼻の中には立派な空気清浄器があって、雑菌はそこで補足されて殺菌されます。ところが、口から息を吸うと、喉がその役割をするのですが、不完全になりますし、喉は乾燥に弱いですから、乾いた空気ですと、その働きが落ち、雑菌の体内侵入を許してしまいます。
 風邪を引きやすくするだけでは済みません。体内侵入した雑菌が体中の細胞に寄生してエネルギーの横取りをし、低体温にしてしまって、アレルギー症を起こさせるのです。
 メリットとしては、口から息をゆっくり、そして随意に吐けますから、言葉が喋れることです。チンパンジーは随意呼吸ができませんし、口からゆっくり息を吐くこともできませんから、キャッとかウォッとかの叫び声しか出せないのと、大きく異なるのがヒトです。
(参考記事:2011.02.15 アトピーの本質的な原因について考える(その4)
(参考記事:2011.12.27 風邪を引かない“犬”に学ぶ) 

・塩分コントロール機能
 陸生動物は塩分をあまり必要としませんし、欠乏したときは塩分の高い湧き水を飲んだり、そうした泥を舐めるのですが、必要量が摂取できたら、そこでピタッと止めます。
 ところが、ヒトは、海または塩水湖での生活を長く続けたことでしょうから、塩分のある物を好みますし、必要量以上に摂取してしまいます。
 ヒトは、塩分コントロール機能が壊れてしまっていると考えてよいでしょう。
 それがために、塩分の過剰摂取で高血圧になる方があります。もっとも、代替機能が働いているからと思われるのですが、塩分過多でも高血圧にならない方の方が多いです。
(参考記事:2011.11.8 ヒトはなぜ塩っ辛い物を食べてしまうのでしょうか

陸生生活に戻ったことによって獲得した形質・体質と問題点
・発汗システムの変更
 チンパンジーの発汗は、体中にあるアポクリン腺から、ほんの少しずつ汗をかき、体毛に吸い取らせて効率良く体熱を放散します。ところがヒトは、アポクリン腺を脇の下など一部に残すものの、これを全身から無くしてしまいました。その代わりに、チンパンジーの掌にあるエクリン腺(滑り止めになる)を全身に展開し、体熱が溜まると、少々の時間差をもって一気にポタポタと汗を噴出させることになりました。
 何とも効率の悪い、大雑把な発汗の仕方で、これにより、脱水症状を引き起こす危険が高まり、暑いときには頻繁に水分補給せねばならない動物になってしまったのです。
(参考記事:2012.7.4 “裸の猿”ヒトには発汗の訓練が必要です

・皮脂分泌と皮膚常在菌との共生
 水生時代から皮脂分泌をしていたと思われるのですが、これによって陸生となってから皮膚の乾燥を防ぐことができました。でも、過剰に出る傾向にあり、ニキビ、吹き出物の原因になります。でも、こうしたデメリットよりもメリットが大きいと思われます。
 それは、皮脂に取り付いた細菌との共生です。細菌は皮膚の垢を食べつつ、酸性の液を分泌し、皮脂を弱酸性に保ってくれるのです。これにより、酸性を嫌う病原菌の増殖と体内侵入を防ぐことができるのです。
 平安時代のように入浴習慣がなければ、皮膚常在菌は1兆個も住んでいます。健康な皮膚は皮膚常在菌あってのことなのです。
 高度成長期にボディーシャンプーなるものが販売されるようになってから、皮膚病が急増した事実を忘れないようにしていただきたいものです。
 体を洗うとは、皮脂を落とすことなく、汗臭さだけを落とすことだと心得てください。江戸時代、入浴時には、米糠でもって脂を補給したくらいですからね。
(参考記事:2013.2.26 ヒトの皮膚呼吸、皮膚の吸収・排泄機能…

 以上、ヒトは水生生活に馴染んだことによって、たいそう厄介な問題を抱えざるを得なくなったことをよく承知していただいて、健康対策に取り組んでください。
 最後に、もう一つ重大な疾患をヒトは抱えています。それは、性行為を正常に行なえなくなったことです。これについては、人類水生進化説第5章をご覧ください。
 

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人はなぜ長寿なのか? 水生動物やゾウと同様に低体温だからです。

2012年05月16日 | 人類水生進化に起因する疾病

人はなぜ長寿なのか? 水生動物やゾウと同様に低体温だからです。

 “鶴は千年、亀は万年”と言います。長寿の代表選手が鶴と亀。でも、彼らは鳥類と爬虫類です。ヒトは哺乳類であり、哺乳類で長寿な種となると、クジラとゾウです。そして、ヒトも同程度に長寿です。哺乳類の寿命は種によって様々ですが、どうして種によって寿命の差がでるのでしょうね。

 心臓の脈動回数には限界があり、一生の脈動回数は哺乳類は皆同じで、脈拍が高い種は短命であるという説があります。これには、どれだけかの相関関係があるようです。
 でも、寿命は体温との相関関係が強いように思います。
 そのデータは、“人類水生進化説”の補強=ヒトの低体温 で示していますが、例を挙げれば次のとおりです。
            体温   寿命
  クジラ      35~37度    85歳
  ゾウ         36度    70歳
  ヒト        36.5度   100歳
  チンパンジー    37.5度   50歳
  イヌ        38.5度   14歳
  ネコ        38.5度   14歳
  ブタ         39度     10歳
  ヒツジ        39度     10歳
(注)寿命は、通常何歳まで生きられるか、といった経験に基づく値で不正確です。

 ヒトは、陸生動物としては例外的に皮下脂肪を持ち、これによって体熱の放散を防ぐことができますから、低い体温であっても暮らしていけると考えてよいのではないでしょうか。これは、人類水生進化説の一つの状況証拠となりましょう。
 そして、ヒトに極めて近い種のチンパンジーとは体温で1度もの違いがあり、寿命は倍半分の違いが生じています。
 水生動物のクジラや、かつて水生生活に馴染んだと考えられるゾウも低体温で長生きする動物です。
 それに比べて、ヒトより2度も体温が高いイヌやネコとなると寿命がグンと短くなりますし、さらに0.5度高いブタやヒツジとなると、より寿命が短くなります。
 こうしたことから、「長生きしたかったら、低体温を保つが良い」ということになりますが、事実、エネルギーがほとばしっているような元気な方…きっと体温が高いことでしょう…は、案外短命なことが多いように見受けられます。
 でも、平熱が36度を下回るようになると、免疫力が低下しますし、ガンにもかかりやすくなりますし、何よりも体が重だるく、気分も優れないですから、いいことは少ないです。

 ところで、体温が高まると、免疫機構の働きがグンと強まり、白血球が病原菌やウイルスをやっつけてくれて病気しない傾向にあるのですが、恒常的に体温が高いと、それほど免疫力は期待できないのかもしれません。
 
なぜならば、ヒトの場合、イヌやネコ並みの高熱が数日続けば、まず100%病原菌やウイルスを殺せますし、ガンの塊が大幅に縮小します。つまり、たいていの病気が治ってしまうのですが、常時高熱状態のイヌやネコも人並みに病気にかかりますからね。

 さて、体温が高い状態というのは、それだけ余計に体熱が生産されていると言えます。
 その体熱は、細胞内小器官のミトコンドリアが生み出します。
 動物が酸素を必要とするのは、そのミトコンドリアが働くために欠かせないのが酸素だからです。細胞そのものは酸素を嫌っているのですが、唯一ミトコンドリアだけが酸素を求めるのです。
 そして、ミトコンドリアが働いたときに、活性酸素が生じます。
 
その全部がエネルギー生産に使われれば良いのですが、どれだけかは細胞内に漏れ出し、これが他の細胞内小器官や細胞膜そして遺伝子を傷つけます。
 恒常的に体温が高い方ばかりでなく、過激な筋肉運動を長時間強いられる方は、これが加速されます。また、精神的ストレスは活性酸素を大量に発生させ、同様です。

 この猛毒の活性酸素を消す酵素は主として体内で作られ、また野菜などから抗酸化物質が取り入れられ、活性酸素の大半を消し去ってくれるのですが、完全消去とは参らず、遺伝子の傷が少しずつ増えてきて、新陳代謝によって細胞の作り直しを繰り返していると、だんだん不完全な細胞ばかりとなってきます。
 つまり、老化です。活性酸素による老化です。

 こうして、動物には、自ずと寿命というものがあると考えて良いでしょう。
 哺乳類の場合、体温によって寿命の差が出てくるということは、活性酸素を消す酵素の生産システムはどの種も同じと思われます。
 
その点、40度を超える体温を恒常的に維持している鳥類は、同程度の体温の哺乳類であれば寿命が1、2年で終わってしまうであろうに、随分と長生きできるのですから、生体の仕組みが哺乳類とは大きく違うことでしょう。
 不老長寿の妙薬は、案外“鶴の研究”で開発されるかもしれませんね。

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皮膚常在菌という“宇宙服”を脱ぐと、命は…。シャンプー・ボディーソープは危険です。

2012年04月02日 | 人類水生進化に起因する疾病

皮膚常在菌という“宇宙服”を脱ぐと、命は…。シャンプー・ボディーソープは危険です。

 生き物の体表は微生物の防御服で守られているのです。
 「何だ、このキャベツ。青々とした葉っぱに真っ白なものが付いている。これは農薬か?とても食えんわ。」
 お世話になった方へ、うちの畑で採れたキャベツを日持ちするよう、外皮を剥がさずに宅急便でお送りしたら、後日、そんな声が聞こえてきました。
 外皮に付いた白っぽいものは微生物です。あらゆる野菜の表面に、びっしり張り付き、野菜と共生しています。
 野菜が元気に育ち、また、漬物が美味しくなるのも、この微生物のお陰です。

 動物の場合はどうか。野菜同様、皮膚全体にびっしり微生物が住んでいます。ヒトの場合は、1平方センチメートル当たり数十万~数百万。1人当たり1兆個にもなります。
 これを「常在菌」と言います。
 皮膚の垢(アカ)を栄養とし、皮脂を分解して脂肪酸を作り、皮膚の表面を酸性に保ってくれ、酸性を嫌う化膿菌などの黴菌の増殖を抑えてくれています。
 腸と皮膚は非常に似た器官です。皮膚が進化して腸になったのですからね。
 どちらも外界と接していますから、黴菌が住み着いたり異物が入り込みやすく、様々な防御網ができています。
 でも、ヒト単独、つまり体の内側からだけでは、とても防ぎ切れません。
 腸と善玉菌の関係と同様、皮膚も常在菌(=皮膚の善玉菌)との共生なくしては、ヒトは生きていけないのです。
 特に、ヒトは水生環境で進化した“裸の猿”ですから、猿のように体毛でもってバリアの役割のかなりを担うということもないですので、非常に深刻な問題になるのです。

 野菜の話に戻します。野菜の表面に黴菌が取り付いたら、どうするか。
 農薬を散布しますが、その昔、農薬工場の大火災で、一時期、農薬が入荷しなくなったことがあります。さあ、大変。
 そのとき、農薬に詳しい方が、台所洗剤を薄めて噴霧すれば良いと、皆に指導されて、見事に黴菌の退治に成功!
 どちらも強力な界面活性剤であり、黴菌の細胞膜を破壊します。野菜と共生する微生物も大多数がやられますが、膨大な数が住み着いていますから、回復可能です。

 再びヒトの皮膚の続き。皆さん、お風呂で、こんなことしていませんか。
 毎日毎日、汚れ落ちの良いボディーソープをタオルにたっぷり付け、全身をゴシゴシ擦って、“あー、さっぱりした!”。

 <常在菌の叫び声>
 「わっ! 仲間が擦り取られて流されていくっ…。残った仲間も界面活性剤で次々と死んでいくー…。ほっ、ご主人様がやっと風呂から上がられた。生き残った仲間は、たったの1%かぁ…。」
 これでは、余りにも残酷ではありませんか。
 皮膚の常在菌の数が百倍に回復するのに約8時間。それから、すっかり無くなった脂肪酸作りに常在菌は大忙し。健全な皮膚に戻せるのは、いつのことやら。
 汚れ落ちが良いものほど、界面活性剤が強力です。ご注意を。

 <正しい体の洗い方>
 まず、タオルを使わないことです。
 素手で擦り洗いしただけでも、常在菌の9割が洗い流されます。化粧品をお使いの方は、洗顔は「泡で包むだけで擦らない」ということをご承知と思います。体も全く同様。
 そもそも、ヒトの体は洗浄剤で洗う必要がないようにできています。
 日本では、江戸時代までは石鹸すら使っていませんし、逆に、米ぬかで保湿成分を補っていました。垢は常在菌によって完全に分解され、ほとんどの汚れは、湯に浸かるだけで綺麗に取れます。
 洗浄せねばならない部位は、汚れが溜まりやすい陰部や肛門、脇の下、足指の間だけです。あとは、脂性の方の頭皮と顔ぐらい。
 その洗浄には、石鹸が一番。泡立てしてからしか使えませんし、界面活性剤は通常入っていませんからね。

 皆さん、ヒトの体は、『常在菌という宇宙服』で守られていることを、しっかり理解し、お風呂にお入りください。
 腸内善玉菌と同様、皮膚の常在菌を大事にしてあげれば、皮膚はドンドン若々しく健康になり、『長寿美肌』間違いなし!

(ここまでの記事は、当店「長寿美肌新聞」2005年3月号を再掲したものです。以下、今回の継ぎ足し)。

 

 “ボディソープを使わないなんて、おかしい”と、お思いの方が多いと思いますが、これが市場に出始めて喜んだのは、何と皮膚科医でした。皮膚は皮膚常在菌で守られていることをよく知っていたからです。
 考えてみてください。腸を綺麗にしようと、毎日、排便後に下剤を飲んで腸洗浄するなんてことは、とんでもないことであることは、誰でも分かるでしょう。毎日排便されれば、それだけで腸は綺麗になるのですからね。それと同じで、毎日お風呂に入れば、それだけで皮膚は十分過ぎるほど綺麗になるのです。

(2017.1.20補記)
 ここまで、体の洗い方について述べてきましたが、髪となるともっと大変なことが起きます。ここから先は、
最近発売された週刊現代に興味深い記事<「逆さま健康法」 これで元気に100歳だ>が載っていて、そのなかに<髪は洗わない>と題して、宇津木龍一氏の話がありましたので、それを紹介しておきましょう。
(以下、抜粋)
 抜け毛、ふけ、かゆみなど、男女を問わず、高齢になると頭皮や頭髪に関する悩みは避けられない。シャンプーを変えたり、念入りに洗髪したりしてもなかなか状態が改善しないことも多いだろう。それもそのはず、頭皮や髪の悩みはそもそもシャンプー自体に原因がある可能性が高いからだ。
 著書に『シャンプーをやめると、髪が増える』がある宇津木龍一氏が解説する。
 「たくさんのふけが出て頭がかゆくなるといった脂漏性皮膚炎の症状は、ほとんどの場合、頭皮に真菌(カビや酵母菌)がついている。皮膚科で診察を受けると副腎皮質ホルモン(ステロイド)、免役抑制剤といった薬を処方され、一時的に症状は治まりますが、薬をやめるとまたすぐ症状が出る。なぜか? 理由は毎日のシャンプーにあります。…
 シャンプーはクリーム状の非常に栄養価が高い液体で、菌が増殖するのに理想的な状態です。そのためパラペンなどの強力な防腐剤を入れなければ液体は腐る。ほとんどの人は防腐剤がたっぷりで消毒効果の高いシャンプーで頭皮を痛めているのです。
 皮膚表面は常在菌により、他の病原菌の侵入や外的な刺激から守られています。ところが毎日のシャンプーは、常在菌を殺しているのと同じことなのです。
 シャンプーがもたらす弊害は皮脂と皮脂腺に顕著に表れます。皮脂腺には皮脂をつくる機能があります。シャンプーで頭の皮脂をすっかり洗い流してしまうと、皮脂が不足するため、それを補うため皮脂腺が大きく発達します。すると毛に供給されるはずの栄養の多くが皮脂腺に行ってしまい、毛は栄養不足の状態に陥ります。その結果、本来太くて長かった毛が細く短いうぶ毛のようになるのです。…
 臭いの元は皮脂が酸化してできる酸化脂質や過酸化脂質、アンモニアや硫化物などです。これらは皆、水で洗い流せます。
 脱・シャンプーをしてしばらくのあいだは、臭いやべたつきが気になる人もいるかもしれません。長年のシャンプーで皮脂腺が発達しているからです。しかし、水だけで洗髪することを数か月続ければ、皮脂腺はすっかり小さくなってべたつきも感じなくなるはずです。」(
宇津木氏)
 いきなりシャンプーをやめることに抵抗がある人は、まずは頻度を減らして、水やお湯だけで洗う日を設けてみてはどうだろう?(引用ここまで)

 いかがでしたでしょうか。
 肌も髪も常在菌でしっかり守られているのです。というか、ヒトと常在菌は共生関係にあり、常在菌はバリアを作ってヒトの体を守るとともに、垢やふけを栄養源にして生きているのです。さらに、毛じらみも常在菌同様に共生関係にあるとも言われたりします。
 清潔意識が高すぎる現代の日本人です。こうなったのは、つい最近のこと。
 その昔、平安貴族には入浴習慣がありませんでした。そのため、臭い対策として香を焚いたのです。その時代に戻れとは言いませんが、いい点はぜひ取り入れたいものです。

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腰痛のつらーい痛みを治す

2012年02月06日 | 人類水生進化に起因する疾病

腰痛のつらーい痛みを治す

 前号の記事「人は病の器であり、その最大の原因は直立二足歩行」で書きましたが、人類の苦難の始まりは、直立二足歩行をするようになったからであることは、疑うべくもありません。
 内臓がおかしくなりますし、関節に無理がかかり、炎症を起こします。
 哺乳動物の骨格は、本来、四足で動くのに都合が良いようにできています。
 ヒトは、その骨格をどれだけも変えないままで、直立二足歩行をしているものですから、腰を悪くするのは必然となってしまうのです。
 地球の引力は、あまりにも大きすぎます。
 体重を4つの足で受け止めずに、2本で受け止めることによって、足首に炎症を起こし、膝を痛めるのですが、腰となると、上半身の重みを足側で全部受けるだけでなく、腰骨への荷重のかかり方が4足とはまるっきり違ったものとなってしまいますから、故障するのは必然のこととなります。
 中には、腰痛なんて全くないとおっしゃる方がみえますが、これは、腰回りの筋肉を十分に発達させ、関節のぐらつきを防いでいるからでして、これしか腰を守る方法はないと言っても過言ではないでしょう。

 さて、背骨から腰骨にかけて24個の椎骨があり、椎骨と椎骨の間には、クッションの役割をする椎間板が挟み込まれています。
      
 椎間板の中に詰まっているのが、ゼリー状の髄核で、それを繊維輪で密閉しています。アイスノンのようなものだと考えていただいてよいです。
 力が加われば、椎間板は形を変え、荷重を分散して、椎骨や椎間板が壊れるのを防ぎます。
 椎骨と椎間板を回りから支えているのが、靭帯と筋肉です。
 また、背骨を前後左右に曲げるために、椎間関節があり、これも靭帯で支えられています。
 靭帯は皮バンド、筋肉はゴムバンドと思ってよいです。

 姿勢が悪いと、一部の靭帯と筋肉が緊張を強いられて、疲労が重なり、なんとなく腰に違和感を感じたり、重だるくなってきます。
       
 これが高ずると、慢性の腰痛へと悪化していきます。
 そうした自覚症状がなくても、靭帯や筋肉が疲労していると、わずかな負荷がかかっただけで、断裂したり、損傷して、強烈な痛みがでます。
 これが、ぎっくり腰です。
 また、椎間板ヘルニアという症名をご存知でしょう。
 不自然な姿勢を取り続けたり、重労働が重なると、椎間板の繊維輪に、疲労して弱くなった部分ができてしまいます。その部分に繰り返し荷重がかかると、髄核が繊維輪から飛び出します。これを、椎間板ヘルニアと言い、直ぐ近くを縦に走っている神経を圧迫して、激痛を生じさせます。

 椅子に座った姿勢で、お辞儀をするだけで、椎間板にかかる荷重は185Kgにもなります。地球の引力は、このように凄まじく恐ろしいものであり、ごく普通の生活をしていても、椎間板は、疲労に疲労を重ねて弱っていきます。
 椎間板は、なんと十代後半から老化が始まります。50歳にもなると、髄核の水分量が大幅に減り、ほとんど弾力を失ってしまいます。
 “人生50年”とは、椎間板の寿命を言っているような気もします。
 50歳を過ぎたら、すでに“腰はご臨終”として諦めるしかないのです。
 これは、当然のこととなります。

 哺乳動物は、4足として完成していますから、そもそも椎間板には、たいした荷重がかからないものとして設計されており、よって、髄核はいつまでもゼリー状を保てるのですが、直立二足歩行を常時強いられる生活では、椎間板に上半身の自重がかかり続けますから、髄核の水分が少しずつ抜けていくのは防ぎようがないからです。
 50歳過ぎてからの重労働は、腰を壊すことになってしまいますから、くれぐれもご用心ください。

 でも、打つ手はどれだけか残っています。それをご紹介しましょう。
 腰痛から開放され、腰痛を防止するには、何よりも、姿勢を正すことです。
 こうすれば、椎間板に均等に荷重がかかります。
 でも、どんな仕事であれ、不自然な姿勢を強いられます。
 一部の靭帯や筋肉にも緊張を強いることになり、これらを硬くしてしまいます。
 痛みがあれば、より収縮してしまいます。
 当然に、その部位の血流が悪くなり、必要な栄養素や酸素が供給できなくなり、自然治癒力が発揮できません。

 どうすれば良いでしょうか。
 第1に、ストレッチ運動です。
 緊張し、収縮している靭帯や筋肉を開放してあげてください。
 特に寒さ厳しいこの時期にあっては、血流が滞りがちになっていますから、腰、背中の曲げ伸ばしを小まめに行なっていただきたいです。
 また、腰痛は、背骨の歪みで起きることが多いですから、これを是正する必要があります。そのためには、過去記事「金魚運動」がお勧めです。

 第2に、冷・温交替浴です。
 まず、ぬるめ、浅めの風呂に長時間浸かりたいです。体の芯の血流がグーンと良くなり、併せて靭帯や筋肉の血流も改善されます。
 熱い湯は体表面の血流が直ぐに良くなり、靭帯や筋肉にとっては都合が良いですから、それでもかまいません。ただし、内臓への血流は絞られてしまいます。
 十分に温まってから、湯船からあがり、腰回りに冷水シャワーをたっぷりかけます。
 そして、再び湯船に浸かります。
 温まったところで、再び冷水シャワー。
 このように、最低2回冷水シャワーをかけ、あがるときは冷水で終えます。
 これを毎日行なっていると、腰回りの血管への収縮刺激で、だんだん血管に弾力が付いてきて若返り、椎間板や靭帯への血流を改善してくれます。

(2015.11.5追記)
 腰痛を治す別の方法を記事にしましたから、下記もご覧ください。
  なんと腰痛も解消!背骨と首骨を正す西式健康法「平床寝台&硬枕利用」
(2017.09.27
追記)
 「平床寝台&硬枕利用」は少々過激な方法ですので、それをうんと柔らかにした方法「首腰枕」があり、これは上の記事の中でも簡単に触れましたが、次の記事でもう少し詳しく紹介しましたのでご覧になってください。
  首・腰タオル枕健康法(三宅薬品発行の生涯現役新聞N0.272)

(2017.8.31追記)
 「胃の調子が少々おかしくてもヒーヒー言うんじゃない!」のなかで書きましたが、「痛みは心で感ずるものであるからして、そのときそのときの心のありようで痛みの感じ方が大きく違ってくる」というものでして、これは腰痛についても言えます。
 “読むだけで腰痛が治る”本があります。伊藤かよこ著「人生を変える幸せの腰痛学校」、なんと小説です。小生が定期購読している「みやざき中央新聞」2017.4.10号の社説で次のとおり紹介されています。腰痛でお悩みの方、読んで損はしない本のようです。
 ↓ クリックし、読みにくければ、もう一度クリック

(この記事は、当店「生涯現役新聞」2006年11月号を一部改変し、その後に追記を加えました。)

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人は病の器であり、その最大の原因は直立二足歩行

2012年02月03日 | 人類水生進化に起因する疾病

人は病の器であり、その最大の原因は直立二足歩行

 …自然に棲息する動物には病気というものはない。仮にあったとしても、たちまち治ってしまう。しかるに、人のみは何故に古来より「人は病の器」と言われるほどに病気が多いであろうか。これは誠に不思議な現象と言わなければならない。
 人は何故に病気などにかかるのであろうか。この疑問が正しく解答せられるならば、必然の結果として、病気のない世界が顕現してこなければならぬ。
 してみると、この疑問が、人類から病魔を駆逐することができるかどうかの鍵となる。…

 こうおっしゃっているのは、戦中・戦後にかけて「西式健康法」を編み出された西勝造氏です。引き続き、氏の著「[原本]西式健康読本」からの抜粋を紹介しましょう。

 …人が、自然に棲息する動物と異なって病気にかかるのは、人と動物との生活の相違に帰せられなければならぬ。しからば、その差は何か。
 人は直立歩行する。人は衣服を纏う。(中略)人は火食する。(中略)この7項目が動物の生活と異なるものと言わねばならぬ。いまここに、これらを少しく検討してみよう。…

 ここから先は要約して、それらの弊害について紹介することにします。
 人類は、進化の途上で直立したがために、四足動物に適する梁(はり)として設計された脊柱を柱として使用するようになったことにより、力学的に椎骨が傾斜したり、中心を外れたりし、亜脱臼を起こしてしまいます。このため、椎間の神経を圧迫し、その神経に繋がっている臓器・器官に様々な障害を生じさせてしまうのです。
 (このことについては、後日記事にしたいと思っています。)

 次に、今まで四肢にかかっていた体重が後肢のみにかかるようになって、足にかかる荷重が倍化し、そのうえ、体の重心が高くなって足を支点とする力率が大きくなり、これらによって、足が故障しやすくなりました。真っ先に足首が故障し、亜脱臼を起こします。
 ところが、人は皆、大なり小なりこうした状態にありますから、これに気付きません。
 ところが、亜脱臼していると、これが微熱の原因となり、寒気を感ずるようになります。
 これは、風邪の引き始めに微熱が出ると、悪寒を生ずるのと同じことです。
 こうして、人は、熱帯地方を除き、衣類を纏わざるを得なくなってしまったのです。

 そして、衣服を纏うと、今度は、必然的に正常な皮膚機能が阻害されてしまいます。
 皮膚呼吸ができにくくなり、酸素欠乏で猛毒の一酸化炭素が発生してきます。
 加えて、放熱が防がれる分、余分に汗をかき、脱水症状を示さなくても体内水分が不足ぎみになりますし、ミネラルの損失が大きいです。
 これらによって、様々な疾病を呼び込むことになり、より寒気を感じて、近代になってからは、暖かく柔らかい衣服を纏うばかりでなく、締め切った部屋でたっぷり暖房を掛け、悪い空気を吸うという不健康な生活に陥ります。
 これが、身体にまた悪い影響を及ぼします。

 すると、歯茎までが弱くなって、もはや自然のままの硬い物を食べられなくなり、あらゆるものに火を通して柔らかく食べやすくする、という火食が中心となってしまいます。
 これによって、食べ物本来の栄養素が熱で破壊され、栄養上大きな欠陥を生じます。
 火食によって胃腸の負担は減りますが、それだけ胃腸が脆弱になってしまいます。
 特に、粗い食物繊維の摂取不足により、腸壁への刺激が減少して、蠕動運動が落ち、宿便が溜まり、ついには便秘症を引き起こします。
 宿便や便秘は毒素を発生させ、これが全身を駆け巡り、より多くの疾病を呼び込むことになり、ますます寒気を感じて、厚着し、外出も控えるようになってしまいます。

 こうして、どんどん悪循環に陥り、「人は病の器」と化してしまうのです。
 自分は健康だと思っている人であっても、未病の状態にあって、内臓・諸器官は弱りきっていると考えてよさそうです。また、その弱りに気が付かないだけのことです。
 なぜならば、真冬に裸で過ごすことができないのが、それを証明しています。
 もっとも、何事も例外があって、真冬でも裸で過ごせた健康な民族がかつてはありました。アメリカ大陸最南端のパタゴニア地方のフェゴ島の住民です。
 また、日本人も、その昔は、現代人が真似をすると、たちどころに風邪を引いてしまうような粗末な着物、素足で冬を乗り切りましたし。
 高度文明社会になって、より悪循環が進んでいるのでしょうね。

 さて、「人は病の器」と化す出発点であるところの足首の亜脱臼の治し方、予防法を、西氏の同著から紹介しましょう。
(1)扇形運動
 先ずは、右足の運動。仰向けに寝て、両足を上げ、右手にて右足のスネの下部を外側から握り、ヒジでヒザを抱くようにし、左手でもってカカトをつかみ、両手の調子によって足先を左右に振り動かす。
 振る時間は、1分半ぐらいとする。次に、左足を同じ要領で行なう。
(2)上下運動
 先ずは、右足の運動。(仰向けに寝なくてよい。)右足を上げ、右手にて右足のスネの下部を外側から握り、これに左手を持ち添えて、足先を上下に振り動かす。
 振る時間は、1分半ぐらいとする。次に、左足を同じ要領で行なう。

 以上により、足首の亜脱臼は治り、予防にもなるとのことです。
 そして、足首のみならず全身の血行を良くする「毛管運動」を併せて行なうのがお勧めです。これは、俗称「ゴキブリ体操」と呼ばれるもので、小生の別立てブログで紹介していますから、覗いてみてください。 クリック↓
 http://kmiyake.blog.fc2.com/blog-entry-51.html

 なお、両足あるいは片足がX脚やO脚のなっていて、靴が片減りする人が多いのですが、西氏がおっしゃるには、これも主として足首の亜脱臼の表れだそうです。
 そして、欧米(戦前のこと)では、20歳以前や40歳以後は、編み上げ靴を履くようにして足首を守っているから、これが少ないのに対して、日本人にはその習慣がないから、より全身の障害が発生しやすいとのことです。
 また、赤ちゃんを早く歩かせるようにするのは、あまりにも危険だと言っておられます。

 西氏は、また、「足は万病の基」(昭和10年刊)で、足に故障を起こすと、心臓、腎臓、血管に故障を生じ、それが万病に発展するということを明らかにされ、「喉が悪いのも足を治せば治るところをみれば足が原因であり、風邪を引くのも足が悪いからである。」とまで言っておられます。

 先ずは、足首の関節の正常化です。そして、足を使うことによって、足首を支える筋肉が増強され、健全な関節が保たれることになるのです。
 毎日1万歩は歩きたいものですね。

(関連記事)
2011.12.21 “金魚体操”で内臓と背骨にも運動を
2012.05.16 直立二足歩行する裸の猿は人類水生進化説に基づく健康対策を

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ロコモティブ・シンドローム(運動器症候群)はメタボと密接な関係

2012年01月24日 | 人類水生進化に起因する疾病

ロコモティブ・シンドローム(運動器症候群)はメタボと密接な関係

 ロコモティブ・シンドロームが話題になっています。
 骨・関節・筋肉のアンチエイジングをなさってください。

 いきなり難しい言葉を連発させて申し訳ありません。先ずは、用語の解説をしましょう。
 シンドロームは、メタボリック・シンドロームでご存知のとおり「症候群」です。ロコモティブは「運動器」(正確には「運動の」)の意味で、ロコモティブ・シンドロームは、「運動器症候群」となり、通称「ロコモ」と呼びます。
 次に、アンチエイジングですが、アンチは反対、エイジングは加齢ですから、老化防止という意味になります。
 この2つのカタカナ用語は、これから多く使われるようになるでしょうから、覚えておいてください。

 「ロコモ」という言葉を登場させたのは、日本整形外科学会です。
 日本の要介護者数は、ここ9年間で約2倍に急増し、約500万人にもなりました。
 要介護となる原因は、厚生労働省の2010年国民生活基礎調査によりますと、メタボ関連28%、ロコモ関連23%、認知症15%、高齢による衰弱14%の順となっています。
 この中で2位のロコモが特に注目されていて、予備軍を含めると4700万人もがロコモと推定され、新たな国民病と言われるようになりました。

 ロコモは、骨・関節・筋肉の働きが、加齢により低下することから始まり、次の症状が現れます。
 ◆膝(ひざ)・腰の痛み
 ◆膝関節の変形
 ◆筋力の低下
 ◆バランス能力の低下
 これらは連動していて、一つの運動器が機能低下すると、他の運動器にも障害が現れ始めます。すると、次第に歩行が困難になり、歩けない、立てない、動けないという状態へと進んで、要介護者となってしまいます。
 世の中、とかく便利になって、体を動かさなくても良くなったことが、根本的な要因です。よって、真っ先に筋肉の衰えが出ると考えて良いです。
 膝痛や膝関節の変形が、まさにそうです。

 膝が痛いからといって、動かさずにいると、関節に必要な栄養素も患部に届かなくなります。痛くっても、少なくとも、次の運動を行ってください。
(1) 足首のストレッチ
   足を投げ出して床に座り、足首を反らしながら、ゆっくりと膝を伸ばす。
   5秒間静止し、これを10回繰り返す。
(2) 膝曲げストレッチ
  (1)のストレッチに引き続き、片方の膝を曲げて両手で膝を抱えて引く。
   5秒間静止し、これを5回繰り返す。
   反対側の膝も同様に行なう。

 この運動を毎日続けていると痛みが増してくる場合は、入浴中に行ってみてください。
 それでもダメな場合は、消炎剤を使いつつ行なうしかありませんが、一般的な消炎剤の常用は血流を悪くし、症状を悪化させますから要注意です。
 そのような場合は、膝関節への栄養素補給(グルコサミン、コンドロイチン、2型コラーゲン)と併せて「MSM」の補給がおすすめです。「MSM」は、消炎効果がある軟骨成分ですから、常用しても問題がありませんからね。

 メタボはロコモと密接な関係にあります。
 脂肪が付いて体重が増えれば、関節に負担がかかり、動きたがらないから、筋肉が落ちます。特に、冬場は屋外に長くいることが少ないですから、「食っちゃ寝、食っちゃ寝」の生活になりやすくなり、メタボとロコモが同時進行します。
 加えて、困った問題が発生します。動かないと骨が脆くなり、お日様に当たらないと骨の新陳代謝が進まなくなり、より骨を脆くしてしまうのです。
 骨粗鬆症の発生です。こうなると、何かの拍子に転べば簡単に骨折し、まさにロコモで寝たきりになってしまいます。
 冬場こそ、つとめて体を動かすように心掛けましょう。  

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