薬屋のおやじのボヤキ

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太田胃散が胸やけに効くわけは意外なところにあり

2018年03月13日 | 胃の病

太田胃散が胸やけに効くわけは意外なところにあり
(最新更新:2018.6.21)

 このブログで慢性胃炎について、幾つかの記事、例えば「胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる(付記:お茶も薬のうち)胃酸の逆流で逆流性食道炎が起きるなんて大間違い !?」で取り上げたところ、読者の方からコメントやメールそして電話相談がたくさん寄せられ、そのなかで「太田胃散」を飲むと不快な症状(特に胸やけ)が解消するというお話がけっこうありました。実際、当店のお客様でもそうおっしゃる方が多いです。

 太田胃散の特徴は重曹(炭酸水素ナトリウム)が高配合なことです。“たかが重曹で、そんなに効くわけがない。どういうことだろう?”と不思議に思っていました。
 というのは、以下、重曹の特性ですが、
 重曹(炭酸水素ナトリウム)の水溶液は pH = 8.3 程度の弱いアルカリ性を示す。
 
酸と反応して炭酸と塩ができ、炭酸は二酸化炭素と水に分解する。
  NaHCO3 + HCl → NaCl + H2CO3
  H2CO3 → H2O + CO2
 化学式が出てきて少々難解ですが、要するに、重曹(NaHCO3)を飲むと、胃酸の主成分である塩酸(HCl)と反応して、食塩(NaCl)と炭酸(H2CO3)になる。
 炭酸は水には低濃度にしか存在できず、水と炭酸ガス(二酸化炭素)に分離する。そして、分離した炭酸ガスは水に溶けた状態で存在し、体内に吸収される。
 なお、「炭酸水」とは、水に炭酸ガスを高圧で水に溶け込ませたもので、ごく一部が炭酸(H2CO3)として存在するだけです。圧を開放すると、溶け込んでいた炭酸ガスが泡となって出ます。サイダーやビールの発泡がそうです。

 さて、「胸やけ」とはなんぞや。
 医学的解説では、「胸が焼けるような感じや痛みを感じたり、違和感を感じる症状のことです。胃酸が食道へ逆流したときに起こるものです。」とあります。
 つまり、「食道の粘膜が酸で痛めつけられ炎症を起こしている」ということになるのですが、弱アルカリの重曹を飲んだことにより、食道の粘膜に付着している胃酸が中和されることはあったとしても、炎症までもが速やかに解消するとは不思議なことです。
 太田胃散の場合、重曹のほかに各種生薬や複数の胃酸中和剤が配合されているも、それが効果的に作用するとは思えません。

 しかし、重曹を飲むことによって、胸やけが速やかに解消するのですから、上の説明の胸やけの原因が間違っているのか、重曹に中和作用以外の働きが何かあるのか、ということになります。
 考えられるのは、「胃酸の逆流で逆流性食道炎が起きるなんて大間違い !?」のなかで、福田稔著『実践「免役革命」爪もみ療法』から引用しました次のこと、
 実はH2ブロッカーは、そうした自律神経を調整して白血球に働きかける作用があるのである。胃かいようの治療…(に使う)…H2ブロッカーという薬には、白血球の中の顆粒球を抑えるという「副作用」があるのである。実はこの「副作用」こそが、かいようを改善させている効果の本質だったのだ。(引用ここまで)

 これと同様に、胸やけも「高ぶった交感神経の作用により顆粒球が増えて暴れ(活性酸素を異常発生させ)、食道粘膜に炎症を起こさせている」というのが真の原因でしょう。
 そこで、副交感神経の働きを高めて交感神経を鎮めてやれば、それによって顆粒球が減り、食道粘膜が正常化する、ということになりましょう。
 そうした働きが重曹にもあるというものです。

 では、重曹に「交感神経を鎮めて顆粒球を減らす」その作用機序はというと、次のように考えられます
 (10年以上前に買った本を引っ張り出してきて読んでいたら、興味ある記述を見つけました。)

 安保徹著「免役革命」(2003年)より引用
…意外に思われるかもしれませんが、炭酸飲料をたくさん飲むことも、副交感神経を優位にします。…炭酸ガスがある状態では、人間はどんどんリラックスします。…コーラでもサイダーでもビールなどの炭酸飲料は、一服するとき、休むときに飲みたくなるでしょう。
 炭酸ガスというのは、体液にとけたときに、酸素を奪って炭酸になる性質があります。…生体から酸素が奪われるとリラックスします。(引用ここまで)

 なんでもないことだったのです。救世主は単なる炭酸ガス。もっとも太田胃散には芳香性生薬としてケイヒ(=別名:ニッキ、シナモン)などの気分をリラックスさせてくれるものが含まれていますから、相乗的にリラックス効果が得られようというものです。

 だからといって、太田胃酸などの重曹配合のものを多用していいかとなると、こうした胃腸薬には重曹より強烈な胃酸中和剤が複数配合されるのが常ですから、胃液の酸性度が落ちてしまい、消化不良を起こしますから、いただけません。

 しょっちゅう胸やけを起こす方は、自律神経のバランスが崩れて交感神経が高ぶっているに違いない、つまりストレス過乗なのですから、その原因を断ち、リラックスする方法を見いだすしかないのです。
 なお、炭酸ガスに効果がけっこうあるのですから、お風呂は発泡入浴剤のバブでも入れて楽しまれてはいかがでしょうか。湯に溶け込んだ炭酸ガスがどれだけかは皮膚から吸収されてリラックスできましょう。

 ところで、安保徹先生が紹介した著のなかで炭酸ガスを発生させるものとして「コーラ、サイダー、ビール」を例示されていますが、慢性胃炎の方にはどれもこれもおすすめできません。炭酸飲料は弱った胃を冷やし過ぎます。弱っている胃は温めるのが何よりですからね。

(参考記事)本稿の中で、福田稔著『実践「免役革命」爪もみ療法』を一部引用しましたが、“爪もみ療法”は、交感神経を沈め、副交感神経を高めますから、慢性胃炎の方におすすめしたい治療法です。下記をご覧ください。
 2018.6.21 実践「免疫革命」“爪もみ療法”のすすめ。いろんな病気が改善しますよ。

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胃酸の逆流で逆流性食道炎が起きるなんて大間違い !?

2018年01月18日 | 胃の病

胃酸の逆流で逆流性食道炎が起きるなんて大間違い !?
(最新更新:2018.6.21)

 局所のことについて語ろうとする本題に入る前に、物事は高所から大局を見通す必要がありますので、少々長くなりますが、まずは小生がそこに至ったまでの経緯を述べさせていただきます。
 
大晦日のことであった。年末年始休業の店内で1か月の〆の経理事務をしていたら、ゆうパックが届く。なんと偉い先生(高木智司先生=『タオル枕健康法』の著者)から「爪もみリング2個とその関連書籍」を贈っていただけたのである。その先生の書かれた本を要約して当店新聞の記事「首・腰タオル枕健康法」にしただけであるのに。
 早速お礼の電話を入れたところ、
高木先生がおっしゃるには、1年前に安保徹先生(2016年12月逝去)がお亡くなりになってから免役治療の活動(日本自律神経免役治療研究会[現:日本自律神経病研究会])もしぼみがちになってしまったとのことで、いたく嘆いておられた。その活動とは鍼灸(しんきゅう)を中心としたもののようで、いただいた本の題名が『実践「免役革命」爪もみ療法』(2004年)とあるから、そういうことであるのであろう。

 さて、その書は、福田稔著・安保徹推薦とあり、推薦者と著者とが同列で名が挙がっている。このように安保さん推薦となっているものは他の著者のものもあり、無名な著者の本を目だ立たせようという意図があるのではあろうが、本を読んでみたら、こと自然免役に関しては「福田=安保理論」とあり、なんとお二人は同格である。著『免役革命』(2003年)で一躍有名になられた安保先生であり、異端の免役学者・安保先生と、福田先生が同格であるとは知らなかった。加えて、日本自律神経免役治療研究会理事長との肩書きもあるのだから大御所でもある。しかしながら残念なことに、福田先生も2014年にお亡くなりになっておられた。
 なお、安保先生はその研究会の名誉理事長であったし、冒頭で紹介した高木先生は理事(現職)であるし、「爪もみリング」の開発者でもある。

 本をいただいてから10日ほど過ぎてやっと読み終えた。福田稔医師もやはり異端児である。大病院で外科医として長年勤務し、数多くの手術をこなすなかから、胃がんなどの手術に疑問を持ち、高名な鍼灸師の出会いによって衝撃を受けたのを機会に、今までの治療法を完全に変えて、手術しないで漢方薬を使ったり、鍼(はり)の代わりに注射器の針でチクチクつぼを刺したりし始められたのだから、そりゃあ大変だ。「福田がオカルト療法を始めた」などと陰口をたたかれたりして、とうとうその病院を首になり、その後、小さな病院にもぐりこんで鍼灸治療を続けてこられたとのことである。

 ここで異端児と言ったが、それは現在の日本の医学界サイドから見た言い方であって、実際は、実に全うな治療法を確立されたのであるからして、こちらが正道である。
 福田先生はその著書のなかでこう言っておられる。
 「病院側からももっと一般的な治療を行なうよう求められもした。それも無理はない。自律神経免役治療に基づく治療で、一人の患者から私が受け取る金額といえば、わずか数百円にすぎなかった。病院にすれば、いくら治療効果が上がっても、私は厄介者でしかなかったのだろう。それでも私はそれら雑音には耳を貸さず、ただ患者の笑顔を頼りに、己の信じる道を歩み続けてきた。そしてそれなりの実績を積み上げてきたつもりである。今、逆に私は彼らに問いたい。彼らが拠り所としている現代医学でがんやアトピー性皮膚炎などの難病がどれほど治癒しているのかと。」

 本書が発売されてから14年が経とうとしているが、内容は新鮮であり、決して古ぼけてはいない。安保先生の『免役革命』(2003年)とてそうである。続刊を含めて安保先生の本は数冊持っているのだが、今までにまともに取り上げたことがない。これらはいずれ機会をとらえて紹介せねばいかんと思っている。

 随分と前置きが長くなってしまい、申しわけありません。
 これより本題に入りますが、予備知識として「逆流性食道炎」について概説します。
 食道も胃や腸と同様にぜん動運動をし、飲食物を胃の方向へ運びます。その末端には食道括約筋があって、飲食物が食道を通過したら食道を絞り込んで胃の内容物が逆流しない造りになっています。加えて、もし胃の内容物が少々逆流しても、ぜん動運動でもってすばやく胃へ戻したり、食道に入った胃液を唾液によって薄めて押し戻すことで、食道粘膜が炎症を起こさないようにしています。
 この仕組みのどこかが何らかの原因によってうまく働かなくなると、胃の内容物が逆流して食道粘膜が炎症を起こし、それがひどくなるとびらん(ただれ)が生じます。自覚症状としては胸やけです。なお、
内視鏡検査で異常が見られない場合は「非びらん性胃食道逆流症」と言います。
 そして、胃の内容物の逆流が喉まで達すれば喉の痛みを感じますし、それが誤って気管支に流れ込めば咳込むことになります。寝たきり老人の場合、こうした症状や反応を示さないことも
ままあり、雑菌が肺に入り込んで肺炎を引き起こす元凶になります。
 なお、ゲップが出る場合にも胸やけと似たような症状を起こすことがありますが、これは胃から何らかのガスが逆流するとき、胃の内容物が少量逆流することによるものです。

 以上のことは現代医学の教科書に書いてあることです。
 さて、これより
福田稔著『実践「免役革命」爪もみ療法』から胸やけの真の原因について紹介します。小生、これにはほんとビックリしました。以下、引用します。

 誰でも食べすぎたり飲みすぎたりして胸がムカムカしたことがあるだろう。この胸やけはどうして起こるのか。一般には胃酸が食道に逆流することが原因と考えられている。
 胃がなくても胸やけが起こる謎
 しかし、この原因はどうもあやしい。
 というのは、私は外科医として数え切れないほど胃の切除を行なっており、手術後、胃がまったくなくなった人が胸やけに悩まされるケースを多々、目(ま)あたりにしているからである。胃がなければ胃酸が分泌されるはずがない。にもかかわらず胸やけが起こっているのである。と、すれば、食べすぎや飲みすぎの場合も、原因は別のところにあると考ええるのが自然ではないか。
 そう思って、これまで診てきた胸やけ患者に思いをはせると、意外なくらいにすんなりと解答が頭に浮かんできた。
 胸やけを訴えて来院する人は痩せ型の男性が多い。…典型的な交感神経優位のタイプだ。当然、彼らは副交感神経の働きが弱く、食道、胃、腸など消化器の働きが不活発な状態に陥っている。食べるとすぐに、胃や腸のぜん動がストップし、胃酸や消化液も不足してしまうのだ。と、すると胸やけはそうした体の限界を告げるサインと考えればいいのではないか。
 これまでの通念である胃酸の逆流というのは、胃酸が過剰に分泌されていることを意味しているといってもいいだろう。しかし、じっさいはその逆で、胃酸が枯渇していることによって胸やけが起こっているのである。
 そう考えると、胃を全摘した患者が胸やけに悩まされるのも納得できる。胃がなくなったことで、彼らは胃酸がまったく分泌されず消化能力が枯渇している。そのために体が悲鳴をあげているというのが、彼らが胸やけに悩まされる真因だろう。
 もちろんこのときに自律神経が交感神経優位に大きく傾いているのは、いうまでもないだろう。
(ここより、少々飛んで、別の項から引用)
 胃かいようの犯人も顆粒球だった
 …もうひとつだけ、今度は思わず笑ってしまうような事例を紹介しておこう。サラリーマンの多くが経験しているだろう胃かいよう治療のケースである。
 最近でこそ、胃かいようの犯人はピロリ菌ではないかといわれているが、少し前までは胃かいようというと、わけもなく胃酸過多が原因と決め付けられていた。これはある医師がH2(エイチツー)ブロッカーという胃酸の分泌を抑える制酸効果のある薬を胃かいようの治療に用いたところ、てきめん効果が現れたことによるものだ。つまり制酸作用を持つ薬に効果があったからと、いわば後づけで原因が特定されていたわけだ。
 しかし実のところ、胃かいようの原因が胃酸ではないのは明らかだった。何といっても胃の働きが弱く、胃酸の分泌が極端に少ない人でも、胃かいようになっていたのだから……。
 ところが、不思議なことに、そんな場合でも病院では、H2ブロッカーが処方されていた。そして、かいようは改善されていたのである。と、なると、ますますもって制酸効果はかいようの改善とは無関係と考えるのが普通だろう。つまり胃かいようの原因は胃酸とは別のところにあるわけだ。
 しかし、これもまた不可解なことに、医療の世界では相も変わらず胃酸過多が胃かいようを引き起こすと考えられ続けていた。そうして胃が弱い人にH2ブロッカーが効果をもたらすことについては「不思議だね」のひとことで片づけられていたのである。
 医学界の大誤解「胃酸と胃かいよう」
 しかし、じっさいのところは不思議でもなんでもない。
 私たちは、胃かいようも、がんやアトピーと同じように、自律神経の働きが乱れ、白血球の中の顆粒球が増大することが原因していると考えている。副交感神経が優位ならば、胃酸の分泌は多くなるし、交感神経優位であれば、分泌は低下してくる。前にあげたピロリ菌にも顆粒球を増大させる作用があることもわかっている。むしろ胃酸が多ければ、ピロリ菌は少なくなる。つまり、リンパ球は多くなってくる。と、すれば、自律神経の働きを是正して白血球のバランスを改善することが、もっとも効果的な治療であるはずだ。
 実はH2ブロッカーは、そうした自律神経を調整して白血球に働きかける作用があるのである。胃かいようの治療を手がけている医者なら誰でも知っているH2ブロッカーという薬には、[一般の医者は知らないようだが  *1]白血球の中の顆粒球を抑えるという「副作用」があるのである。実はこの「副作用」こそが、かいようを改善させている効果の本質だったのだ。
 加齢により、胃酸の分泌は低下する。もちろん、ストレスによっても胃酸の分泌は低下してくる。すると胃の中にピロリ菌は住みやすくなる。胃酸の分泌が多ければ、ピロリ菌は、少なくなってくるし、胃・十二指腸かいようも改善される。とにかく、悪の根源は、[顆粒球が異常に増大することによって大量発生ずる  *2]活性酸素である。
 残念ながら医学界は、いまだにこの事実を認めようとしない。目の前の症状や既成事実として認められていることだけに気をとられ、大きな視点で人間を観ることのできない、この旧弊な体質こそが医学界の最も本質的な問題だ。もう少し目を開き、自律神経の働きに着目すれば、難病といわれる病気にも治癒の道が開かれるのに……。そう思うと残念を通り越し、無念の思いさえ禁じえないこの頃である。
(引用ここまで) (注:[ ]内の*1は引用者が類推して挿入、*2は他の項の記述による)

 ここで、「自律神経」「交感神経」「副交感神経」「顆粒球」「リンパ球」について、ちょっと解説しておきます。
 自律神経とは、随意神経(運動神経や感覚神経)に対比される不随意神経で、自分の意思で働かせることができない神経系です。そして自律神経は交感神経とそれに相対する神経である副交感神経からなります。前者は興奮しているとき、後者はリラックスしているときに優位になり、そのバランスがとても重要です。ストレスがかかると交感神経が優位になり、ストレスが大きいほどよりそうなってしまってバランスを崩し、様々な体調不良、疾患を生じやすくなります。
 白血球は幾種類かありますが、圧倒的に多いのが「顆粒球」と「リンパ球」の2種類で、そのバランスが重要なものとなるとするのが「福田=安保理論」の本質です。顆粒球とリンパ球のバランスは自律神経バランスと密接な関係にあり、交感神経が高ぶれば顆粒球が増大し、副交感神経が卓越すればリンパ球が増大することが判明しています。そして、顆粒球はその寿命が尽きるときに活性酸素を大量にばら撒きますから、ヒトの体内で作られるSOD(スーパーオキサイド ディスムターゼ)などの抗酸化剤では処理しきれず、顆粒球がいたずらに増大することは生命活動に様々な支障をきたすことになるのです。

 さて、慢性胃炎の方は、往々にして胃もたれ(消化不良)と併せて胸やけが起きます。このブログの「胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる…」などの記事でコメントやメールでをいただいたりするなかで、極度の消化不良でありながら、お医者さんからH2ブロッカーを処方され、これによって胸やけが軽減したという方が何人かいらっしゃいました。
 本書を読む前までは、“胃酸が強く出すぎて胸やけになる”という常識にしばられていましたから、“胃酸の出が極端に悪い人でも食道粘膜が過敏になっているのであろうから胸やけが生じ、徹底的に胃酸の出を絞ってやれば、とんでもない消化不良を起こすものの、胸やけが解消する”ものだと思っていました。
 でも、そうではなかったのですね。どうやら、H2ブロッカーの「副作用」で顆粒球が減ってリンパ球とのバランスが整い、そして交感神経と副交感神経のバランスを整える方向に働き、その結果として胸やけの軽減という効果をもたらした、ということになります。

 もう一つ異様な例を紹介しておきます。3、4か月前に当店に来られたお客様でガスターテン(H2ブロッカー)をお求めになり、問診すると“不眠症でもあるし、これを飲むとよく眠れる”とおっしゃる。これにはたまげましたが、本書の引用部を読んで、そういうことも有りなんと感じたところです。これも、顆粒球が減って交感神経の高ぶりが抑えられ、精神安定剤同様の「副作用」として働いたことでしょうが、絶対に真似をしてほしくない使い方です。虚弱な胃をますます痛めつけることになるH2ブロッカーですからね。

 近年、逆流性食道炎がマスコミにもよく登場するようになりました。でも、これはその多くが冒頭の基礎知識で書きました寝たきり老人に当てはまるだけのことでしょう。
 胸やけは逆流性食道炎が原因するものではないとする、福田医師の説のほうが的を得ているように思われます。非びらん性胃食道逆流症は特にそうですが、びらん性であっても、胸やけの原因は「胃や腸のぜん動がストップし、胃酸や消化液も不足してしまう。そうした体の限界を告げるサイン」と考えたほうがいいでしょう。
 このことは、漢方の理論からも裏打ちされます。漢方では、「消化器系の不調は消化器官粘膜を荒らし、その粘膜とつながっている皮膚をも荒らす」となり、胃なり腸の不調でもって、口腔では口内炎を起こしやすくなるのはよく知られたことですし、食道も影響を受けて炎症を起こしやすくなるのは必然です。そして、皮膚も荒れるところまでは行ってなくても随分と過敏になっていることでしょう。

 もう一つ、別の観点から補足しましょう。それはゲップです。冒頭で「ゲップが出る場合にも胸やけと似たような症状を起こすことがありますが、これは胃から何らかのガスが逆流するとき、胃の内容物が少量逆流することによるものです。」と書きました。
 慢性胃炎の方はゲップがでることがけっこう多いようです。その原因は3つほどあります。(1)食べ物と一緒に空気が胃に入り込み、その空気が逆流してくる。(2)唾をゴクンと飲み込んだときも同様なことが起きる。(3)腸で内容物が発酵・腐敗したときにできるガスがおならとして出ず、逆流して口から出る。
 胃が健常な人が満腹食べたときは(1)が生じますが、慢性胃炎の方は、精神的緊張から唾を飲み込むことが多くて(2)が往々にして生じますし、腸の働きも落ちていることが多いですから(3)も起こりえます。
 こうしたゲップによって、食べた物の味や臭いを感じることになるのですが、そのとき胃の内容物はごく少量逆流するだけで、すぐに新たな唾でもって洗い流されますから食道に炎症を起こすことにはなりえない性質のものでしょう。せいぜい過敏になっている食道粘膜が異常反応する程度のことです。
 なお、こうした異常反応の根源は、「福田=安保理論」からして活性酸素の大量発生ということになります。つまり、常時大きな精神的ストレスを抱えていると、交感神経が高ぶり、顆粒球が増大し、やがて顆粒球が寿命が尽きるときに活性酸素を大量にばら撒き、その活性酸素によって全身の細胞が痛めつけられて過敏になり、特に脆弱な粘膜において自覚症状として現れるというものです。

 最後に「逆流性アルカリ性食道炎」についても触れておきましょう。
 胃を
全摘した場合に、いつまで経っても胸やけで悩まされる事例があります。この場合は、胃がないですから胃酸が出ることはなく、十二指腸内の胆汁や膵液が逆流して食道に炎症を起こすと言われています。これは、術後に腸管との縫合部などで癒着、狭窄が起きた場合、食物が通過しにくくなって起きるもので、再手術によってこれが解消され、胸やけが治るという事例から、そのようだと言われるのです。
 胃切除後逆流性食道炎に対する再手術の経験(富山医科薬科大学他)
 なお、胃を全摘した場合の癒着、狭窄がないケースでも、お腹の圧迫などによって逆流が生ずることもあると言われています。
 こうした事例は、たしかに消化管内容物の逆流という物理的現象も生じましょうが、その胸やけの主因は、胃がないことによる消化不良とそれに密接に関係する腸内環境の悪化によって「体が悲鳴をあげている」というサインが出ているから、と捉えたほうがいいのではないでしょうか。小生にはそのように思われます。

 本稿は、慢性胃炎の方に胸やけを訴える方が多いですから、その真因について、下記記事の補足として投稿させていただきました。慢性胃炎の方にどれだけかの参考になれば幸いです。
  薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる(付記:お茶も薬のうち)
  胃の調子が少々おかしくてもヒーヒー言うんじゃない!

(2018.3.13追記)
 胸やけを解消する意外な方法があることを知りましたので、記事にしました。
  太田胃散が胸やけに効くわけは意外なところにあり

(2018.6.21追記)
(参考記事)本稿の中で、福田稔著『実践「免役革命」爪もみ療法』を一部引用しましたが、“爪もみ療法”は、交感神経を沈め、副交感神経を高めますから、慢性胃炎の方におすすめしたい治療法です。下記をご覧ください。
  実践「免疫革命」“爪もみ療法”のすすめ。いろんな病気が改善しますよ。

 

コメント (2)

慢性胃炎:交感神経の高ぶりで胃への血流は2段構えで絞られます

2017年10月12日 | 胃の病

慢性胃炎:交感神経の高ぶりで胃への血流は2段構えで絞られます
(最新更新:2018.6.21)

 このブログで最近一番アクセスが多いのは2015.3.10投稿の「胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる(付記:お茶も薬のうち)」です。あらためて慢性胃炎の方がいかに多いのかを感じています。コメントやメールでの相談もずっと続いています。その後、相談者の大半の方が心因性のものであると気付き、2016.9.24に少々きついですが、「胃の調子が少々おかしくてもヒーヒー言うんじゃない!」と題して記事にしました。これでもって、慢性胃炎は心因性のものであることがご理解いただけたのではないかと思っています。
 しかし、そうであるからこそ、つまり心因性であるからこそ、その治療はたいそう難しいものとなります。安易に心療内科にかかって向精神薬でも飲まされようものなら、慢性胃炎をかえって悪化させた上に、心まで蝕まれてしまう恐れさえ出かねません。

 じゃあ、どうすればいいか。
 容易にはこれといった解決法が出てきませんが、「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」と申しますように「敵=慢性胃炎」とはどういうものか、「己=生活習慣・精神」はどんな状態にあるのか、まずはこれをしっかり捉えなければいけないでしょう。
 「己=生活習慣・精神」を知るについては、2016.9.24の記事「胃の調子が少々おかしくてもヒーヒー言うんじゃない!」で触れましたから、本稿では「敵=
慢性胃炎」について、別サイドから、どういうものなのかを探ってみることにします。

 慢性胃炎の症状は、説明するまでもないですが、むかつき、吐き気、げっぷ、痛み、膨満感など様々な胃(時には下腹部も)の不快感が、人によっては強弱を伴って全部であったり、一部であったりし、これが恒常的に続いています。
 そして、慢性胃炎は胃下垂(胃の入り口の位置は正常なのですが胃袋が引っ張られて下に伸びている状態をいいます)を伴うことが多いようです。
 胃下垂の原因は、胃での消化が悪くなり、それによって食物が長時間滞留することにより引き起こされるのが一般的で、慢性胃炎と同時並行で起きると言えましょう。

 健全な胃から分泌される胃液は、1日に約2リットルと言われています。
 胃液と一口に言いますが、主成分は次の3つです。
 ・食べ物を殺菌する胃酸(=塩酸)
 ・タンパク質を分解する消化酵素(=ペプシノーゲン:不活性な前駆体であり、これが分泌後に塩酸と反応して活性型のペプシンに変化する)
 ・胃粘膜を守る胃粘液
 胃粘膜は、強い酸性を示す胃酸によって炎症を起こしやすいですし、ペプシンによって胃粘膜も消化されます。よって、急性胃炎で胃袋に穴が空くということも起こります。
 それを防いでくれているのが胃粘液なのですが、食べ物を殺菌・消化するために胃は蠕動運動をしますから、健全な胃であっても不完全にしか防げません。
 よって、胃粘膜はどんどん作り替えられていて、3日もすれば新しい粘膜に入れ替わるようです。この作り替え(新陳代謝)は、夕食を胃で消化しきって胃が空っぽになった後の夜中に盛んに行われ、朝には概ね完了するようですが、十分なエイジング(慣らし、熟成)を必要とし、健全な胃の持ち主にあっても、できれば朝食を抜くと、十分な厚みのある、より健全な胃粘膜をキープすることができます。

 慢性胃炎の方は、胃液のこれら3成分の出が悪くなっていますし、かつ、胃の蠕動運動も弱々しいものになっています。なお、胃粘液の出方が胃酸や消化酵素に比べて相対的に少ないと、胃粘膜を荒らして痛みを強く感ずることになります。

 以上のことからして、慢性胃炎の方は胃全体の働きが極端に悪くなっているのでして、胃が“眠らされている”状態になっています。
 健康な人の場合、たっぷり食事を取ると、動きたくなくなり、眠くなります。これは血液が消化系(特に胃:蠕動運動のため)へ多く送り出され、手足の筋肉や脳への血流がすぼめられますから、特に、脳細胞が酸素不足になって、眠くなるのです。
 ここらあたりの調節をするのが自律神経です。神経は、大きく2分され、随意的な運動を支配する体性神経と不随意運動(意志に基づかない自動的に行われる運動)を担う自律神経があります。そして、自律神経は、交感神経と副交感神経という相反する働きを指示する神経系に分かれ、その絶妙なるバランスでもって正常な生命活動を続けることができるのです。

 さて、ここで全身に張り巡らされている血管と神経の働きを、その生い立ちから眺めてみることにしましょう。
 この地球上に動物が発生してから血管と神経は順次できてきました。動物の体は、その性質によって大きく2分されます。一つは内臓系で、腸管(吸収)・腎管(排出)・血管(循環)の3つで成り立っています。もう一つは体壁系で、外皮(感覚)・筋肉(運動)・神経(伝達)の3つで成り立っています。原始的な動物の場合、そうそう動き回らなくても餌は容易に得られましたから、最初に発達したのは内臓系で、体壁系の発達はどれほどのものもなく、主従関係は、内臓系が主で、体壁系が従でした。これはしごく当然なことで、生きていくためには内臓系をしっかりさせ、餌を獲得する体壁系の機能はどれだけも必要としないからです。
 動物も脊椎動物の発生そして哺乳類の誕生へと進んでくると、餌を得んとする体壁系の運動機能が必然的に発達します。それに伴い、内臓系に属していた血管なのですが、血管からの酸素と栄養を体壁系が求め、血管が内臓系から体壁系へ伸びていき、酸素と栄養が体壁系へも順次回されるようになります。これだけに止まらず、餌を獲得するための神経が発達するに伴って、神経は内臓系にも伸びていき、先ずは血管を支配し、より多くの酸素と栄養が体壁系に回されるよう操作するようになります。次に、腸管・腎管を神経が支配し、吸収・排出の働きをコントロールするようにもなったのです。
 こうして、主従関係が逆転したのですが、正常な生命活動を続けるためには、この状態は危うい力関係です。動物がすこやかに生きていくためには、やはり内臓系が健全なのが基礎になりますからね。哺乳類に至って、いつしか主従関係が逆転してしまった原因としては、餌が容易には得られない厳しい環境がきっと恒常化したからでしょうね。

 そもそもの起源が体壁系にあった神経ですが、今ではヒトに顕著ですが自律神経が体全体を支配し、様々な臓器、器官の働きをコントロールするようになってしまいました。
 神経は、本来、“餌を見つけた!筋肉を動かして捕りに行こう”とか“天敵が来た!筋肉を動かして逃げよう!”という体性神経だけで十分であったのですが、これだけでは発見が遅れるし、取り逃がしたり捕まってしまうからと、感覚を研ぎ澄ませ、俊敏な動きが可能となるよう、より濃密に酸素を外皮(感覚)・筋肉(運動)に供給するために、つまり、血管を操作して内臓系への血流を絞り込み、体壁系への血流を十分に確保する働きを担う自律神経わけても交感神経を発達させたと言えましょう。
 元々内臓系であった血管は、こうして自律神経わけても交感神経によって完全に支配されます。副交感神経が働くのは、獲物がたっぷり獲れたときや天敵から逃げおおせたとき、つまり満足感や安心感があるとき、リラックスして楽しいというとき、ということになります。そうしたときは、交感神経を高ぶらせる必要がないですからね。

 ここで、表題にしました「交感神経の高ぶりで胃への血流は2段構えで絞られます」について説明しましょう。
 心臓から送り出される動脈血は、先ずは体壁系3系統の大動脈に流された後、下行大動脈となって内臓へ向けて送り出されます。前者が体壁動脈であり、後者が内臓動脈です。この分岐点あたりで、どちらに多く血液を送るかが交感神経節によって調節されます。下行大動脈は順次枝分かれして各内臓に供給されるのですが、その中で胃袋へ行く腹腔動脈にあっては、その分岐点で血流の絞込みを強烈にする機構ができています。腹腔動脈入り口の左右に大きな塊=腹腔神経節があり、それが血流の絞込みを行うのです。なお、こうした神経節は、腹腔動脈に続いて枝分かれする上腸間膜動脈(主として小腸へ)、その下の下腸間膜動脈(大腸へ)、腎動脈(腎臓などへ)にも用意されていて、必要に応じて交感神経節が血流の絞込みを行っています。

 このように、胃への血流は2段構えで絞られますから、交感神経の高ぶりが延々と続くとなると、胃への血流は極端に絞られ続けることとなり、食べ物が胃に入ってきても消化はままならず、長時間滞留するしかなくなるのです。
 胃を健全にするには、まずもって胃への血流を大きくしてあげて、血液中にたっぷりある酸素でもって胃の機能を正常化させ、つまり、胃液の分泌を盛んにさせ、胃粘膜の新陳代謝を促進させねばなりません。
 そのためには、交感神経の高ぶりを鎮めないことには何ともならないのです。
 そして、胃の蠕動運動を盛んにしてあげる必要があるのですが、これには、胃への血流を大きくしてあげることのほかに、休みっぱなし、抑えられっぱなしの副交感神経をよく働くようにしてあげるしかありません。
 交感神経は「闘争と逃走の神経」とも呼ばれています。ストレス社会にあって仕事や家庭で大きな悩み事を抱え続けていると、日夜「闘争と逃走」の状態にあり、ずっと交感神経優位の状態になってしまい、眠っている時間帯でさえ熟睡できず、夢見も悪く、副交感神経は抑えられっぱなしになっています。

 どうしたらいいか。
 つまるところ、自分で心のケアをするしかない、ということになります。リラックスして楽しい気分になれば、交感神経は抑えられ、副交感神経が働き出すのですからね。
 なお、小腸や大腸への血流は、胃ほど強くは絞られないようですが、血流の絞り方は胃と同様に2段構えになっていますから、消化吸収が滞りますし、大腸の蠕動運動が不十分となって便秘がちになったりします。
 交感神経が高ぶりやすい方は性格によるところが大きいようで、ベテランの解剖学者、三木成夫氏(故人)は、「屍体解剖してみますと、交感神経系が非常によく発達している人と、あるかないかわらない人と、これくらい個人差の甚だしいものはありません。」 とおっしゃっておられます。
 でも、あきらめる必要はありません。心の持ち方は訓練次第でいくらでも変えることができ、副交感神経優位の生活を楽しむことも可能なのです。
 このブログのカテゴリー「心に安らぎを」「心に安らぎ・トイレ掃除」「心の病からの脱却」「笑い話&回文物語」をお暇な時間にお読みになってください。 

 

(2018.1.18 追記)
 慢性胃炎の方は胸やけを訴えられることが多いのですが、その真因は胃酸の逆流ではないことを知りましたので、そのことについて解説しました。
 → 胃酸の逆流で逆流性食道炎が起きるなんて大間違い !?
 

(2018.3.13追記)
 胸やけを解消する意外な方法があることを知りましたので、記事にしました。
  太田胃散が胸やけに効くわけは意外なところにあり

 

(2018.6.21追記)
(参考記事)本稿の中で、福田稔著『実践「免役革命」爪もみ療法』を一部引用しましたが、“爪もみ療法”は、交感神経を沈め、副交感神経を高めますから、慢性胃炎の方におすすめしたい治療法です。下記をご覧ください。
  実践「免疫革命」“爪もみ療法”のすすめ。いろんな病気が改善しますよ。

 

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胃の調子が少々おかしくてもヒーヒー言うんじゃない!

2016年09月24日 | 胃の病

胃の調子が少々おかしくてもヒーヒー言うんじゃない!
(最新更新:2018.6.21)

 ここ半年ほど、“胃(そして腸までも)が慢性的におかしくて何とかならないでしょうか”という健康相談がけっこう多くなった。それは、このブログの「胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる(付記:お茶も薬のうち)」(2015年3月)へのアクセスがだんだん多くなってきて、これを読んでのことである。
 今までの回答の仕方は、おおよそ次のとおりである。
 “あなたは体質的に胃腸虚弱でほんとお気の毒ですね。ご存じのとおりストレスで真っ先に痛めつけられるのが胃です。ストレスのない生活をしようにも仕事や家事を放り投げるわけにはいかず、とにかく胃を思いっきりいたわってあげるしかないですね。そのためには、あれをやり、これをやり、できることならそれもやり …”
 といったアドバイスが中心である。そこで、今後の相談を踏まえて、毎回同じようなアドバイスになる事項については、先日追記しておいた。
 軽症の方はこれでなんとかなる。
 また、仕事などで強いストレスが掛かっている方には、ストレスの抜き方を教えてあげたりするが、これは人様々な手法をとるしかなく、一筋縄ではいかない。カウンセリング時間がたっぷりいるから、電話やメールではどれだけのこともできない。
 そして、相談を受けていて、だんだん分かってきたのだが、重症の慢性胃腸炎はストレスが原因というより、全部が全部、心因性ではなかろうか、と思えるようになってきた。これの対処法は、また違ったものとなってくる。
 そんなことから、本稿を起こしたのであるが、内容が内容だけに、いつもの「ます体」ではなく、「である体」でビシバシ書き綴ったほうがよかろうと思い、そうしたところである。

 重症の慢性胃腸炎の方は、電話での相談者の声を聞いていると、やはり神経質そうな方で、「思い悩む」ことが多いようである。年齢は30代から50歳ぐらいに集中している。この年齢層は働き盛り、子育ても大変ということもあって、仕事、家事に何かと「思い悩む」ことが多いのは間違いない。
 ここは開き直って、思いっきり「思い悩む」のも必要であろう。姜尚中(カン サンジュン)著「悩む心」(集英社新書)、これでも読んで、自分が抱えてる課題に真正面からぶつかってみるのも手であろう。
 小生はもう高齢者になってしまっているから、「思い悩む」ことから卒業したが、脂が乗りきっている年代のときには大いに「思い悩む」ことに身をさらしたものだ。
 姜尚中氏の生き方については、このブログの『
悩まないで、何事にもひたすら「ありがとう」「愛してる」という言葉を投げかける』の中で随分と引用したが、ここでも少しだけ引用しよう。なお、そのブログ記事の主題は、「思い悩む」のではなく、「悩まないで」であるが、「逃げ道」としての「悩まないで」の選択は、いつでもできるから、働き盛りの年代の方は、精神を鍛えるためにも、まずは思い切って仕事や家事などに「思い悩む」ことから入ってみることをお勧めしたい。
(これより引用開始)
・確信するまで悩むしかない
 人生とは、自分がどうすべきなのか選択せざるをえない瞬間の集積であり、それを乗り越えていくためには、何かを信じて答を見つけなければなりません。生身の人間ですから、どうしていいかわからなくて、たじろぐこともあるでしょう。たとえば、…苦しい経験をしたとき、どう乗り越えるのか。治らない病気になったとき、死とどう向きあうのか。
 意識していようといまいと、人は信ずるところのものから、ものごとの意味を供給されます。意味をつかめていないと、人は生きていけません。
 そのための方法はいくつかあると思います。擬似宗教に拠った生き方をする方法もあるでしょう。時に応じ、場合に応じ、何かに身を預けて危機を切りぬけていく方法もあるでしょう。要は、そこから与えられた答えに納得して生きていけるなら、それでいいのです。あるいは、最初から何も考えず、滑っていくことに妥協できるなら、それも一つの方法かもしれません。
 しかし、そのどれにも納得できないなら、何ものにも頼らずに…自分の知性だけを信じて、自分自身と徹底抗戦しながら生きていくしかありません。これは相当苦しい方法で、…気が狂いそうになることもあるかもしれません。…
 そして、かく言う私も、自分を信じるしかない、「一人一宗教」的に自分の知性を信じるしかないと思っています。(引用ここまで)

 こうおっしゃる姜氏は、「まじめに悩む」「悩み続ける」ことによって「瞬間瞬間の一つ一つの事象に対して自分の知性だけを信じて答を見い出していく」という生き方を選択されておられるようで、毎日毎日がストレスの塊みたいな方に思える。そして、そのストレスを楽しんでいるのでは、といっては失礼だが、果敢に様々なストレスに立ち向かっていく、という凄まじい生き方をされておられる。
 “この真似はとてもできたものじゃない”と、はじめから逃げ腰になるのではなく、ときには“なにくそ、立ち向かってやろうじゃないか。”と、“から元気”を出してでもやってみる必要があろう。長い人生で、こうした立ち振る舞いをせねばならないことは一度や二度はあるものだ。その経験も若いうちに早く積んだほうが、腹が据わってその先が楽になる。

 こんなことを言えるのは、そうした経験をしてきた団塊世代までかもしれないが、これができない方々は「ひ弱すぎる」のであって、「甘ったれるな」と叱責したくもなる。反論として、若者を「温室育ち」させてしまった団塊世代が悪い、これは一理あるのだが、だからといって団塊世代が責任を取ってこの先「おんぶにだっこ」してくれることは絶対ない。ここは、自分で自分の道を、それは茨の道ではあろうが、その先にお花畑が広がっていると信じて、しゃにむに突き進んでいくしかないのである。

 凄まじい精神論をここまで述べてきたから、多くの方はうんざりされたであろうが、日本の過去・現在・未来を見比べてみればそういうことになるのだが、どっこい世界はまるで違う。これからますますグローバル化するのであり、欧米人、中国人らと対等に付き合っていかねばならず、そこで彼らがどのような立ち振る舞いをしてきているかといえば、今も昔も在日韓国人二世である姜尚中氏とどれだけも違わない。彼らは同一民族内であってもずっと弱肉強食の社会で生き抜いてきているのであって、平和ボケした日本列島に住む民族、“おててつないで皆一緒に”“みんな仲よく助け合って”などとやっていては、回りの者に餌食にされるだけである。
 そんなことは信じられないとおっしゃる方は、木村尚三郎著「西欧文明の原像」でも読んで、欧米人の生き方の実態を知ってもらいたい。その一部抜粋は別立てブログで紹介したから、参照されたい。→ 文明の根底には略奪文化がある

 以上のことを踏まえて、ということになるが、このブログの「胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる(付記:お茶も薬のうち)」の中で、新谷弘実氏:著「病気にならない生き方」から引用した新谷氏の感想として、次のものがある。
 …内視鏡で胃を診ていて不思議に思っていたのですが、日本人とアメリカ人では、症状の感じ方にかなりの差があります。日本人は診てみるとたいした症状でもないのに、胃の痛み、不快感、胸やけなどの症状を訴えることがとても多いのです。ところがアメリカ人は、胃や食道の粘膜がかなり荒れていても日本人ほど胸やけを訴える人はいません。(引用ここまで)

 日米両国人のこの違いはいかに。
 同著で新谷氏は特に何も言っておられないが、理由は2つあるように小生は思う。
 一つは、表題にしたようにアメリカ人には“胃の調子が少々おかしくてもヒーヒー言うんじゃない!”という生き方の文化があるのではなかろうか。相手に弱みを見せれば付け込まれるだけであり、決して自分の得にならないのである。その点、日本人は逆である。自分の健康に弱点があればそれをさらけ出し、同情を呼ぼうとし、お気の毒様と言ってもらって安心する。「弱音を吐いて安住する」のだ。アホかいな、である。
 もう一つは無意識下における自己暗示(実質は違う面があるが、とりあえずそう言っておこう)である。アメリカ人であれば、少々の不快感は食べすぎたり飲みすぎたりすれば当然に生ずることであり、ちょっと時間が経てば不快感は消えてしまうに決まっていると思っているであろうから、何かに気を取られたり、何か集中せねばならないことを始めれば、たちどころに不快感を忘れてしまうのであろう。それが、日本人となると、お医者さんから“胃の調子が少々おかしいんじゃないですか”と問われれば“はあ、そう思います”と話を合わせてしまい、その気になってしまう傾向が高く、自分で勝手に胃が悪いと思い込むのである。あげくに胃薬をたんまりもらって喜び、それを飲んでも一時よくなった気分にさせられるだけで、その薬を飲まされ続けて逆に胃を悪くしてしまうのである。

 「痛みは心で感ずる」、この言葉を大脳に叩き込んでおいてほしい。
 「関東病院 ペインクリニック科」のサイトに次のように書かれている。
 体の防衛機能のひとつとされる「痛み」は、どういうメカニズムで起こるのでしょうか。痛みについての基礎的な知識を、ここで確認しましょう。痛みは人間ならではのものです。そう言ったらビックリする人も多いでしょう。国際疼痛研究学会(IASP)では、『痛みは実際の、または潜在的な組織損傷を伴う不快な感覚的、精神的な経験』と定義しています。つまり、痛みは体が何らかの障害を受けたときに生じる単なる刺激ではなく、心や感覚が伴った苦しみ、これが私たちの感じる「痛みの本質」であります。(引用ここまで)

 ということであるからして、患部の炎症のシグナルが神経経路を通って脳で痛みとして察知されたりするものの、いくら大きなシグナルが来ていても、大脳でそれが無視されることもあり得るのである。
 「医療法人ラザロ会 江口クリニック」のサイトに次のように書かれている。
 痛みは、「気のもの」なのですから、当然、心理的な要因は、痛みの感じ方に大きな影響を及ぼします。慢性の下肢痛をずっと訴えられていた患者さんが、転倒して上肢を骨折し手術をしたような場合、当面、下肢痛を訴えられなくなるのが普通で、また、家族に不測の事態が起きてその収拾に没頭しているような時には、それまであった慢性の痛みを感じなくなっているというのもよくあるケースです。(引用ここまで)

 これは小生にも経験がある。サラリーマン時代に、虫歯になって食事の後でしばらくの間うずくことがあった。日増しにそれが強くなって、明日には歯医者に行こうと思っていたところ、急に大きな仕事が入り、神経を集中して取り組まねばならず、それも半分徹夜が続いた。休日出勤もし、1週間か10日で一区切りでき、ホッとしたところで食後に歯がうずきだしたのである。仕事にぼわれていた間は、ゆっくり食事する暇がなかったがために食事をした後の歯のうずきを脳が無視したのであろう。仕事に没頭していた期間中、虫歯であることなんぞとんと思いもしなかったのである。他にも経験がある。幾針も縫わなければならない大けがを足にしたときも、精神がものすごい緊張状態にあったから、その状態が続いた3時間ほどは自分でも不思議であったが、全く痛みを感じなかったのである。

 このように、痛みは心で感ずるものであるからして、そのときそのときの心のありようで痛みの感じ方が大きく違ってくるのである。特に胃痛や胃の不快感というものは、「ストレスで胃が真っ先にやられる」、これは確かなことだが、皆がその先入観が非常に強いから、始末が悪い。よって、次のような悪循環に陥ることが多くなる。
 胃の痛みや不快感を
気にする⇒心配になる⇒症状がひどくなったと思い違いする⇒ 不安になる⇒症状がよりひどくなったと思い違いする⇒失望する⇒もうどうにもならない 

 この段階まで来ると、四六時中、胃腸の不具合が気になっているから、仕事や勉学、家事に身が入らなくなる。たびたび休みを取って、ますます胃腸の不具合さに神経を集中させるようになるから、悲鳴をあげることになる。
 それがどうだ。病院であらゆる検査をしても特に異常なしということが多いのである。
 もう、これは、心因性疼痛とでもいうしかなかろう。
 「ハートクリニック大船」のサイトに次のように書かれている。
 
身体表現性障害は、痛みや吐き気、しびれなどの自覚的な何らかの身体症状があり、日常生活が妨げられており、自分でその症状をコントロールできないと考えている病態を指しています。ブリケ症候群、ヒステリー、心因性疼痛と呼ばれることもあり、おそらく不安に結びついているものとされています。異常が示唆されるような身体の問題を訴え検査を行うものの、異常は見あたらないという結果が出るものや、自分の外見に欠陥があると思いこむもの、自分が深刻な病気にかかっているのではとこだわってしまうものなど、さまざまな精神疾患が含まれます。
 ここまで来ると、心療内科のお世話となる。そこから先は恐くて記事にできない。(→「向精神薬の断薬…」の冒頭部分を参照されたい。)

 さて、どうしたものでしょうか。
 かかりつけの医者、専門医、大病院、心療内科にかかっても、慢性胃腸炎はまず治らないですから、ここは医者に一切の世話にならず、「自らの力でもって独力で治しきる」、その道を探り、実践するしかないでしょう。
 原因は、心因性のものであることを、まずしっかりと押さえてください。
 自分は「ひ弱すぎる」「甘ったれ」「温室育ち」であることを素直に認めることです。
 これなくして、次のステップに進めません。
 でも、直ちに「精神を鍛えろ」という必要は毛頭ありませんからご心配なく。
 じゃあ、何をすればいいでしょうか。
 もうお分かりでしょうね。
 心の居場所を胃腸のことから離れさせて、別のことに向けさせればいいのです。
 仕事や勉学、家事に集中し、徹夜も辞さない、これは今のあなたには無理です。
 なんせ「ひ弱すぎる」「甘ったれ」「温室育ち」なんですからね。
 じゃあ、何をすればいいでしょうか。
 そうですよね、楽しいことに集中すればいいのです。
 1つや2つ趣味はあるでしょう。それをオーバーに楽しめばいいのです。
 趣味がないという方にお勧めなのが「トイレ掃除」。趣味がある方にも、これはお勧めします。御利益は、ほんと大きいですよ。
 (鬱病からの脱却を中心に何本かの記事が「心に安らぎ・トイレ掃除」に入っています。)

 これは、ほんと夢中になれます。便器がピッカピカになったときのうれしさといったらスゴイです。小生が鬱病になりかけたとき、これを徹底的にやったら、自分でもビックリ!!
 自宅のトイレが終ったら、“今度は公園だ、神社だ”と、外へ打って出ます。
 これには勇気がいりますが、“自分は社会奉仕できたんだ”と、社会に対して大きな自信が持てるようになります。勇気を出して行動することによって、「ひ弱すぎる」「甘ったれ」「温室育ち」から一歩二歩脱却でき、「精神を鍛えろ」の第1段階がまず突破されます。
 次が、質的に無理がない仕事や勉学、家事に集中することです。
 ここまで来れば、慢性の胃腸炎もかなり改善してきていることでしょう。
 もっとも、順調に少しずつ、とはまいらず、一進一退しながらだんだんいい方向に、ということになりましょうが、なによりも根気よく続け、胃腸のことに注意が向かないように、気をそらすように、という生活習慣を身に付けることです。
 なお、同時に胃腸に気配りを忘れてはなりません。それはほとんどが食事時のことですが、とにかく胃腸をいたわってあげることも重要です。
 これについては、「胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる(付記:お茶も薬のうち)」で追記した事項を本稿でも末尾に再掲しましたので、参考になさってください。

 長い人生ですが、何事にも勇気を持って第一歩を踏み出すしかありません。
 ここで躊躇してしまう方が多く、そうなるとだらだらと時間だけが過ぎていって、何もしないで老けていく、そしてつまらない人生で終ってしまう、そんなことになってしまいます。
 ここは、清水の舞台から飛び降りるつもりで、第一歩を踏み出しましょうよ。小さな一歩でかまいません。一歩前に進めば、第二歩目は思いのほか楽に踏み出せますからね。
 ここで一番重要なことは、“じゃあ、明日からやってみよう”は絶対に止めてください。明日になったら、言い訳が山ほど大脳の中から湧いてきて“そんなことをしたって無駄だ”と
なってしまいます。ここは、林修の名言「いつやるか? 今でしょ!」です。
 ここまで読んでくださった慢性胃腸炎のあなたに申します。
 
早速、裏面が印刷されていない新聞折込チラシを引っ張り出して、「慢性胃腸炎を自力で治しきるぞ!!」とマジックインクで大書きし、壁に貼りましょう。そして、もう1枚チラシを用意し、「慢性胃腸炎は治る!!」と大書きし、これも貼ります。
 貼り終わったら、“から元気”を出して、自信たっぷりに大きな声で読みます。
 ついでに「いつやるか? 今でしょ!今やった!」と言ってください。そうすると、ポスター作りですごく緊張していたあなたは、第一歩踏み出しの達成感から、ホッとし、リラックスできます。たぶん、ここであなたはグッタリし、どっと
疲れを感ずると同時に充実感が湧いてくることでしょう。あわせて、心が楽しくなったり、ワクワクしたりするでしょう。そうなれば、あとは簡単。ご自分で第二歩目は何にするか、ゆっくりお考えください。
 そのようにうまくいかない方もいらっしゃいます。“とんでもないことを宣言してしまった。絶対に無理。困ったぁ。”と後悔される、これが普通でしょう。でも、見事に第一歩を踏み出した自分の勇気ある行動を自分でほめてあげてください。今日はこれまでとし、また明日、勇気を持って2枚のポスターを大声で読むのです。これで少しは前向きになれましょう。それでもダメならまた明日、その繰り返しを根気良く続けてみませんか。そのうち、きっと第二歩目が踏み出せますよ。焦らなくていいです。たとえスタートダッシュで遅れをとっても、完治させるには長丁場を覚悟せねばなりませんからね。マラソンレースと一緒で、後半にごぼう抜きということがよくありますから。
 いずれの場合も、2枚のポスターを毎日眺め、自信たっぷりに大きな声で毎日読んでください。そのうち、知らず知らず自己暗示がかかってしまい、その気になれて、近い将来、慢性胃腸炎はあなた自身の心でもって治癒させてくれます

 諸君の成功を祈る!!

(補記)
 心の居場所が胃腸のほうに向かいかけたとき、注意をそらすと同時に心の安寧が得られるのは、自分の好きなジャンルの読書です。それがなければ、このブログのカテゴリー「心に安らぎを」から下のカテゴリー各項目を順次クリックして読書なってください。

(再掲)
 慢性胃腸炎の<胃腸をいたわる>対処法
・食べ物はよく噛んで丸飲みしない。「一口30回噛む」を目標にゆっくり食事する。
・暴飲暴食を止め、たばこ、アルコール、コーヒー、濃いお茶など刺激物は控える。
・間食の甘い物は厳禁で、どうしても食べたいときは食後に少々よく味わって食べる。
・夕食は寝る前4~5時間前には終え、胃を空っぽにしてから寝る。
・胃酸の出を良くするには食塩が必須で、減塩しない。
・朝の梅干が効果的で、口の中でよく溶かし、十分な温かい白湯で飲む。
・冷たい物は極力避け、努めて体温より高いものを口に入れる。
・胃に休養を与えるには「朝食抜き」が一番。体を慣らすため、だんだん減らしていく。
・朝食抜きにすると空腹感とともに胃の荒れを強く感じるので、温かい白湯を飲む。これで楽にならないときは、温かい「すまし汁」を飲む。(「すまし汁」は、断食のときに汎用されるもので空腹感も和らぎます。作り方:乾燥椎茸、昆布を水で戻し、醤油(お好みの量)、黒砂糖(なるべく少なめ)を加えて煮出したもの。料理で作るお吸い物に比べ、乾燥椎茸、昆布は倍の濃さが目安。このすまし汁を昼食前まで何度か水分補給のつもりで飲む。)
・牛乳・乳製品は一時的に胃の痛みを緩和したり、空腹感を消してくれますが、腸へのダメージが大きいですから、避けてください。
・必要に応じて消化薬を食事のときに飲む。なお、動物性タンパク質や脂肪の摂取を少なくし、胃腸への負担を軽減する。
・腸内環境を改善するために野菜中心の食事にするとともに、整腸剤の助けを借りる。
・口の中がただれているときは歯磨きは乳酸菌入りのものにするか、整腸剤をよく噛んで、しばらく口の中にふくんでから、のどに流し込む。
 <乳酸菌入り歯磨き> わかもと製薬 アバンビーズ
  http://www.wakamoto-pharm.co.jp/avantbise/index.html
・お腹を温めるツボに貼るカイロのミニサイズを下着の上から貼るといいです。「環跳」というツボで、立ったときにお尻の両脇にできるくぼみです。お腹から離れた場所にありますが、お腹に一番効くツボで、間接的に胃にも効果的です。温まりすぎて気分が悪くなるようでしたら、取り外します。
・新谷弘実氏がおっしゃておられるようにビタミンAの補給もいいでしょう。
 カワイ肝油ドロップSが信頼が置け、お勧めです。 

生薬「刺五加(シゴカ)」(単剤または配合剤)は胃を温めてくれ、胃がホッとします。漢方薬としてイチオシのものです。
 JPS製薬 双参

(2017.1.21追記)
 本稿を書くきっかけとなった本当の理由は、実を言うと、何度も何度もいちいち細かいことを聞いてくる御仁がいて、幾ら説明しても、らちがあかないことが続いたからです。
 “こんな人に何を説明しても自分で判断しっこないから良くなることはないわなあ。”
 このことについて、ずばり物言いをされた内海聡医師。
 そのブログ記事がアップされましたのでリンクを貼っておきます。
 ちっとも治らないという方、ご自分の胸に手を当てて、自分はこういう人間なんではないのだろうかと、先ず考えてみてください。(そう言っても無駄かな?考えっこないもの。)
 治らない人たちの特徴

(2017.8.31追記)
 「痛みは心で感ずるものであるからして、そのときそのときの心のありようで痛みの感じ方が大きく違ってくる」ものだということを本文中で書きましたが、「治したかったら治そうとしないこと」というのも一法です。これは腰痛についても言え、“読むだけで腰痛が治る”本があります。伊藤かよこ著「人生を変える幸せの腰痛学校」、なんと小説です。小生が定期購読している「みやざき中央新聞」2017.4.10号の社説「治したかったら治そうとしないこと」で、こうしたことが書かれています。胃痛でお悩みの方にも参考となりましょう。
 ↓ クリックし、読みにくければ、もう一度クリック

(2017.10.12追記)
 「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」と申しますように「敵=慢性胃炎」とはどういうものか、「己=生活習慣・精神」はどんな状態にあるのか、まずはこれをしっかり捉えなければいけないでしょう。そこで、「敵=慢性胃炎」について、別サイドから、どういうものなのかを探ってみることにしました。
  → 慢性胃炎:交感神経の高ぶりで胃への血流は2段構えで絞られます
 

(2018.1.18 追記)
 慢性胃炎の方は胸やけを訴えられることが多いのですが、その真因は胃酸の逆流ではないことを知りましたので、そのことについて解説しました。
 → 胃酸の逆流で逆流性食道炎が起きるなんて大間違い !?

(2018.3.13追記)
 胸やけを解消する意外な方法があることを知りましたので、記事にしました。
 → 太田胃散が胸やけに効くわけは意外なところにあり

(2018.6.21追記)
 慢性胃炎の方は、交感神経が高ぶっていることが多いです。福田稔著『実践「免役革命」爪もみ療法』の中で紹介されている“爪もみ療法”は、交感神経を沈め、副交感神経を高めますから、慢性胃炎の方におすすめしたい治療法です。下記をご覧ください。
 →  実践「免疫革命」“爪もみ療法”のすすめ。いろんな病気が改善しますよ。
 

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胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる(付記:お茶も薬のうち)

2015年03月10日 | 胃の病

胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる(付記:お茶も薬のうち)
(最新更新:2018.6.21)

 1997年に抗酸剤H2ブロッカー・ガスターテンがOTC薬として店頭販売できるようになったとき、テレビCMの効果もあったのでしょう、かなり多くの方がドラッグストアでこれをお買い求めになったようです。そして、ガスターテンを飲まれた方が“胃の調子がひどく悪くなってしまった”と、何人もが当店に相談にみえました。その多くは消化不良による胃の変調です。
 発売当初に当店にも若干名のお客様がガスターテンをお求めにいらっしゃいましたが、お客様には「この薬は胃酸が出るのを強くブロックしてしまいますから、胃の荒れからくる痛みは解消してくれますが、消化不良を起こします。胃が空っぽの状態でガスターテンを飲み、次の食事は抜いてください。胃をその間休ませて胃壁が修復されるのを助けてあげてください。」と説明したものです。
 なお、ガスターテンの効き目には個人差があるようでして、全然消化不良を感じない方もいらっしゃいます。これは、それまでの胃薬の常用で胃が慣れてしまい、ブロック効果があまり生じなくなってしまっているからでしょうかね。反面、滅多に胃薬を飲んだことがない方だとバッチリ効きすぎるほど効いてしまう、そんな感がしないでもないです。
 さて、胃薬といえば、太田胃散、サクロンなど制酸剤中心のものがまずあげられます。これは胃酸をどれだけか中和させて胃の中の酸度を下げ、荒れた胃壁が強酸でこれ以上のダメージを受けないようにするものです。ガスターテンほどではありませんが、消化不良にしてしまう傾向にあります。なお、この種の胃薬にはアバロンS(大正製薬)などのように胃粘膜保護剤を加えたものもけっこう多いです。
 次に、大正漢方胃腸薬など、主に健胃成分からなる漢方処方のものがありますが、たいていのものは「安中散」プラスアルファとなっていて、安中散に配合されている「ボレイ」に制酸作用があります。なお、ボレイとは牡蠣(かき)殻粉末のことで主成分は炭酸カルシウムです。これは各種制酸剤の中で中程度の制酸作用がありますが、太田胃散などに含まれる制酸剤の数分の一以下の配合量です。
 これ以外に胃薬としてはガロニン(全薬工業)などの消化薬があり、通常、油っぽいものの消化を助ける胆汁エキスをメインとしてデンプン消化酵素なども配合されていますが、これに制酸剤や健胃薬がどれだけか配合されるのが普通です。
 ところで、ガスターテンがそうですが、パッケージに「胃腸薬」と記されており、全般にこうした胃薬が多いです。でも、決して「腸」に効くものではないです。また、効能が幾つも並べられている場合が多いのですが、この薬にこのような効能があるとはとても思えないというケースもあります。そのいい例がガスターテンの効能「もたれ」です。冒頭で述べましたように、ガスターテンを飲めば消化不良で胃がもたれるのですからね。なぜに「もたれ」が効能として書かれているかというと、2、3週間ガスターテンを飲み続ければそのうち胃が元気を取り戻して「もたれ」を感ずることはなくなる、といったところでしょう。
 このように、どんなときにどんな胃薬を飲んだらよいのか消費者には非常に分かりにくいものになっているのが、日本の胃腸薬です。そして、どんな胃薬にも大なり小なり制酸作用のあるものが配合されているのも日本ならではの特徴です。加えて、何にでも効かせようとして相反するものまであれこれ配合し、結果、ほとんど何も効かない胃腸薬まであります。
 日本で市販されている胃薬は、このように困ったものが多く、また、多くの胃薬は常用することによる害がけっこうあります。
 ここまで、当店に置いている胃薬のオールラインアップを1品だけ商品名を伏して紹介させていただきました。いかに売れていないか、ご推察いただけたかと思いますが、売ろうとしないから売れなくなったと言った方がいいかも。自信を持ってお勧めできるものがないから、必然的にそうなります。
 おっと、1品忘れていました。「御岳百草丸」がありました。これはお年寄りがお1人買っておられましたがお亡くなりになってしまいましたから、期限が来たら廃盤でしょう。これは漢方処方にない生薬が2品目入っている和漢薬で、健胃・整腸・下痢止め効果があり、制酸作用はないものの筋弛緩(けいれん緩和)作用がありますから、これもまた飲み続けてよいものではありません。

 さて、これより表題にしました「胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる」このあたりのことを根拠を示して説明させていただこうと思います。でも、ここは、医学も薬学も正式に学んでいない小生の口から説明しても“ほんまかいな?”と信じてもらえそうにありませんから、この分野の重鎮でありかつ最も信用がおける新谷弘実氏にご登場願うことにし、最後の最後で新谷氏がおっしゃっておられなかった事項を付言させていただくことにします。
 氏はその著書「病気にならない生き方」の中で、表題の項目以外にもズバズバ述べておられますので、関連することも含めて少々詳しく紹介しましょう。
 なお、新谷氏は内視鏡外科の先駆者であり、たぶん世界一の臨床例(著書発刊時で日本人・米国人合計30万例)をお持ちで、患者が胃薬を常用していたか否か、どんな食事をしてきたかをヒアリングし、それによって胃壁がどうなっているか(「胃相」の良し悪し)をつぶさに観察なさっておられ、その深い経験から導き出された有意義なお話です。
 少々長い引用となりますが、最後までよろしくお付き合いください。なお、引用に当たっては、本書の後ろの方の頁に書かれたものを一部関連する前の方の頁に入れ込んで編集しています。

 …薬で病気を根本的に治すことはできません。薬は激しい痛みや出血など、どうしてもすぐに食い止めなければいけない症状を抑えるためのものと考えたほうがよいでしょう。私も胃潰瘍を起こして出血と痛みを訴えている患者さんにはH2ブロッカーのような抗酸剤を処方します。でも、その期間はどんなに長くても2~3週間です。そして、薬で痛みを止めているあいだに、潰瘍の原因を取り除くのです。胃潰瘍の原因は、食事の量、質、時間やストレスなどさまざまですが、そうした原因が取り除かれないかぎり、いくら薬を飲んだところで効果はありません。一時的に薬で潰瘍が治癒したように見えたとしても、必ずまた再発してしまいます。
 病気を根本的に治すことができるのは、日々の積み重ねだけです。ですから、原因を取り除き胃潰瘍が治ったら、その後は二度と胃潰瘍を起こさないよう、規則的な食生活と生活習慣を実践していくことが大切です。
…だいたい「胃酸過多」という考え方自体が間違っていると、私は思っています。胃酸が出すぎるということは、実際にはありません。胃酸は健康を維持するために必要だから出ているのです。そうした体の仕組みを無視して薬を飲むことは、文字どおり命取りにつながります。
…薬に思わぬ副作用があるものも少なくありません。たとえば、消化性潰瘍治療薬やH2ブロッカー系の胃薬を男性が常用すると、インポテンツを起こす可能性があります。さらにインポテンツにならなくても、精子の数が急激に減少するというデータも出ているのです。ですから、近年、問題となっている男性の不妊の原因も、いろいろな強い制酸剤を服用したせいであるといっても過言ではないでしょう。
…人間の顔に人相のよしあしがあるように、胃腸にも「胃相」「腸相」のよしあしがあります。人相はその人の性格が表れるといいますが、胃相・腸相にはその人の健康状態が表れます。
 健康な人の胃相・腸相はとても美しいものです。胃であれば、粘膜が均一のピンク色で、表面にでこぼこがなく、粘膜下の血管が透けて見えることもありません。また、健康な人の粘膜は透明なので、内視鏡が照らす光に粘液が反射し、キラキラ輝いて見えます。…
 人間は誰でも子供のころはきれいな胃相・腸相をもっています。それが日々の食事や生活習慣によって変化していくのです。
 不健康な人の胃は、粘膜の色がまだらで局所的に赤くなっていたり、はれたりしています。また日本人に多い萎縮性胃炎になると、胃粘膜が薄くなるので、粘膜下の血管が透けて見えるようになります。さらに、胃の粘膜が萎縮すると、それを補うために表面細胞が部分的に増殖するため、胃壁がでこぼこになってきます。ここまでくると、もうガンの一歩手前です。
…腸相は肉食文化の影響でアメリカ人のほうが悪いのですが、胃相はじつは日本人のほうがアメリカ人より悪い人がはるかに多いのです。私はアメリカ人と日本人、両方の胃を診ていますが、胃の粘膜が薄くなる萎縮性胃炎になる人は、私の臨床経験では日本人のほうが20倍近くも多いのです。そして、萎縮性胃炎は胃ガンを発生させることが多いため、胃ガン発生率も日本人のほうが10倍も多いのです。
…内視鏡で胃を診ていて不思議に思っていたのですが、日本人とアメリカ人では、症状の感じ方にかなりの差があります。日本人は診てみるとたいした症状でもないのに、胃の痛み、不快感、胸やけなどの症状を訴えることがとても多いのです。ところがアメリカ人は、胃や食道の粘膜がかなり荒れていても日本人ほど胸やけを訴える人はいません。
 こうした違いが生ずる理由の一つに、食事に含まれるビタミンAの量があります。ビタミンAは、胃…粘膜をプロテクトする働きをもっています。…ビタミンAを多く含んでいるのは「油」です。日本の食事も欧米化したとはいえ、油…乳製品…の摂取量はアメリカ人にははるかに及びません。こうした食物は、体全体の健康を考えるとよくないのですが、粘膜のプロテクションという意味においては効果があるのだと思います。
 アメリカ人の胃腸が丈夫な理由として、もう一つ考えられるのが「消化酵素の量」です。…消化酵素の分泌量が不十分だと、消化不良を起こし臓器に負担がかかってしまいます。
 日本人の多くが、胃粘膜の状態がそれほど悪くないのに、胃痛や胃もたれなどの症状を感じやすいのは、(たんぱく質と脂肪の)消化酵素の量がもともとアメリカ人よりも少ないからだと考えられます。
 さらに、日本人は胃の調子が悪いとすぐに胃薬を服用しますが、アメリカ人は胃薬をあまり飲みません。彼らが飲むのはサプリメントの消化酵素です。これは日本では市販されておらず、必要に応じて医師が処方するようになっています。しかし、アメリカでは消化酵素は非常にポピュラーなサプリメントで、健康食品店で簡単に購入できるうえ、毎日飲んだとしても1か月20ドル(約2千円)程度しかかかりません。
 そしてじつは、この胃酸を抑える薬をすぐに服用するということが、日本人の胃を悪化させるのに拍車をかけているのです。最近日本で人気の高い「H2ブロッカー」や「プロトンポンプインヒビター(プロトンポンプ阻害剤)」配合の胃薬などは、胃酸の分泌を抑える働きが高いことを売りにしていますが、胃酸を薬で抑えてしまうと、胃粘膜は萎縮してしまいます。…胃の粘膜には「絨毛」という小さな突起があり、そこから胃酸が分泌されているのですが、胃酸を抑える胃薬を飲み続けていると、その絨毛の機能が低下し、どんどん短くなっていきます。これが粘膜の萎縮です。粘膜の萎縮が進むと、胃粘膜が薄くなるため炎症を起こしやすくなり、萎縮性胃炎へと移行します。萎縮性胃炎を起こしている胃は胃酸の分泌が少ないので、ピロリ菌や雑菌の温床となり、ますます粘膜の炎症を悪化させ、最後には胃ガンを発生させてしまいます。…
 ピロリ菌感染が必ずしもガンの発生に直結するわけではありませんが、ピロリ菌の増殖を防ぐためにも、制酸剤を含む胃薬の服用はできるだけ避けたほうがよいのです。
 日本人は、とても気軽に「薬」を服用します。でも薬はすべて基本的に体にとって「毒」だということを覚えておいてください。…漢方薬であろうが化学薬品であろうが、薬が体にとって毒であることに変わりはありません。
 ですから、胃もたれや胃痛を感じる人は、医師にきちんと自分の体調を伝え、症状にあわせたエンザイム(酵素)サプリメントを処方してもらうようにしてください。また、最近は日本でも海外のサプリメントが購入できるようになってきているので、安易に市販の胃薬(抗酸剤・制酸剤)を飲むのではなく、エンザイム・サプリメントを上手に活用するようにしてください。消化エンザイムのサプリメントを飲むことで、胃の具合は十分に改善されます。(引用者注:胆汁エキスもエンザイムと同等の扱いをしてよいでしょう。)
…人間の体には非常に強い酸で保護されることによって正常に機能する場所が2か所あります。一つは「胃」、もう一つは女性の「膣」です。この2か所はどちらもpH1.5~3という強酸を示しますが、なぜこれほど強い酸が出ているのかというと、一つはばい菌を殺すためです。
…胃にもさまざまな食物とともにばい菌が入ってきます。食事のたびに胃に入ってくるばい菌の数は、3千億とも4千億ともいわれています。そうした膨大な数のばい菌を胃液に含まれる強酸がその大部分を殺してくれているのです。
…体を守るために必要不可欠なその胃酸を薬で抑えてしまったらどうなるでしょう。…
 胃薬が体に与える害はそれだけではありません。胃酸の分泌が抑えられてしまうと、消化酵素を活性化させるペプシンや塩酸が不足し、消化不良を起こしてしまうのです。また十分な胃酸がないと鉄やカルシウム、マグネシウムなどのミネラルの吸収が阻害されます。…
 胃酸の分泌が不十分だと、…食べ物は消化不良の状態のまま腸へと進みます。そのため本来なら腸で消化吸収されるはずの食べ物が、不消化物として腸内に残存してしまいます。…当然のごとく腐敗・異常発酵が起きます。これにより腸内では悪玉菌が異常増殖し、免疫力が低下してしまうのです。
 そのようなところに、さらに胃で食い止められなかったばい菌が入り込んでくるのですから、
具合が悪くならないほうが不思議かもしれんません。
 このように、胃薬を飲めば飲むほど体はダメージを負ってきます。
 では、どうしたらよいでしょう。答えは簡単です。胃薬を飲みたくなるような胸やけや膨満感が起きないようにすればいいのです。なぜ胸やけや膨満感が起きるのかを知っていれば、ちょっとした心がけで防ぐことができます。
 胸やけは、食道に胃酸が逆流していることで生じます。もともと食道というところはアルカリ性になっているので、酸には弱い場所なのです。そのため普段から人間は、胃酸が上がってくると、無意識のうちにアルカリ性の唾(つば)を飲み込むことで、逆流してきた胃酸を洗い流しているのです。しかし、食べすぎや消化不良などによって、唾では洗い流しきれないほどの酸が上がってくると、食道に「びらん」というひっかき傷のようなただれができてしまいます。そこにさらに胃酸が来ると…痛みや不快感を伴う「胸やけ」という症状が起きるのです。胃薬を飲むと胸やけがスーッとひいていく感じがするのは、逆流している胃酸が抑えられるからなのです。
 つまり、胸やけを防ぐには、胃の中のものが逆流してこないようにすればいいということです。それには、まず暴飲暴食とたばこ、アルコール、コーヒーなどを控えることです。そしてもう一つ大切なのが、夕食は寝る前4~5時間前には終え、寝るときには胃がからっぽの状態にしておくということです。

(参考:本書において、「夕食は寝る前4~5時間前には終える」に関連する病気)
 睡眠時無呼吸症候群…もっとも患者数が多い「閉塞型」睡眠時無呼吸症候群をかんたんに治す方法があるのです。それは、睡眠の4~5時間前から、胃に何も入れないことです。もっとわかりやすくいえば、胃をからっぽにしてから寝るようにするということです。
 人間の気管は、空気以外のものが入らないような仕組みになっています。しかし、寝る前に胃にものが入っていると、横になることでその内容物がのどまで上がってきてしまうのです。これが著しく気道が狭くなる「閉塞型」の原因だと私は考えています。… 
 夜、どうしてもおなかがすいて耐えられないという人は、…果物を少し食べるようにするといいでしょう。(果物は消化されやすく)…1時間ぐらいたつと、横になっても逆流を起こす心配はありません。

(付記:本書の中で胃に関する「お茶」の害の記事)
 たしかに緑茶に多く含まれるカキテンには、殺菌効果や抗酸化作用があります。そのため日本茶をたくさん飲んでいれば長生きするとか、ガンの予防になるというストーリーが生まれました。でも私は、こうした「カキテン神話」にかねがね疑問を抱いていました。それは…「お茶をたくさん飲む習慣がある人の胃相は悪い」という臨床データが出ていたからです。
 お茶に含まれるカキテンが、抗酸化作用をもつポリフェノールの一種であることは間違いではありません。しかし、そのカキテンはいくつか結合すると「タンニン」とよばれるものになります。
 タンニンというのは、植物がもつ「渋み」成分で…非常に酸化しやすい性質をもっており、…容易に「タンニン酸」に変化します。そしてタンニン酸には、タンパク質を凝固させる働きがあります。ここからは私の仮説ですが、こうしたお茶に含まれるタンニン酸が、胃粘膜に悪い影響をおよぼし、胃相を悪くしているのだと考えられます。
 事実、タンニン酸を多く含むお茶(緑茶、中国茶、紅茶、どくだみ茶、杜仲茶など)を常飲している人の胃を内視鏡で見ると、粘膜が薄くなる萎縮性変化が起きていることがよくあります。…お茶の先生など仕事で大量のお茶を飲んでいる人には、胃ガンの前駆症状ともいえる萎縮性胃炎を起こしている人が少なくありません。…
…慢性の萎縮性変化、または萎縮性胃炎は、胃ガンになりやすくなることがわかっています。そして、この説を裏付けるように、2003年の9月には、日本癌学会において三重大学の川西正裕教授(衛生学)らが、カキテンによりDNAが損傷するというレポートを発表しておられます。
…お茶が好きな方は、…比較的胃粘膜に負担がかからないように空腹時を避け、食後に飲む。そして、1日2、3杯程度にとどめるようにしてください。

 以上、胃薬とそれに関連する事項の抜粋です。いかがでしたでしょうか。
 なお、参考としてあげた睡眠時無呼吸症候群に関する部分は、過去記事2015.2.19「睡眠時無呼吸症候群の治し方」でより詳しく紹介しています。胃を空っぽにして寝ることは、肥満防止もそうですが、健康上いろいろな面で重要なことになります。
 最後に、胃にそして腸にやさしい食事方法について新谷氏は本書において次のことを強調されていますので、併せて実践なさってください。

…入院した経験をおもちの方はわかると思いますが、いまの病院食というのは、何かというとすぐに「お粥」を食べさせます。とくに内臓を手術した後の患者などには、「胃腸に負担をかけないように三分粥から始めましょう」と、いかにも体を思いやっているような言い方をします。でも、これは大きな間違いです。
 私は、胃の手術をした患者さんにも最初から普通食を提供します。なぜお粥よりも普通食のほうがいいのか、それはエンザイム(酵素)の働きを知っていればすぐにわかります。
 普通食がよいのは「よくかむ」ことが必要だからです。よくかむことは唾液の分泌を促します。唾液の中には消化エンザイムが含まれており、かむことによってエンザイムと食物がよく混ざり合い、食物の分解がスムーズに進むので消化吸収がよくなるのです。
 しかし、お粥だと最初からどろどろしているので、ろくにかまずに飲み込んでしまいます。そのため、やわらかいはずのお粥は、エンザイムが充分に混ざっていないため消化が悪く、よくかんだ普通食のほうが消化がよいという皮肉な結果になるのです。
…よくかむとうことは、病人に限らず消化吸収をスムーズに行うためにとても大切なことです。とくに胃腸に問題ない人も、普段から30~50回はかむように心がけることをお勧めします。(
引用ここまで)

 本稿は随分と長文になってしまいましたが、読者の皆様には最後までお付き合いいただきまして有り難うございました。
 最後の最後に小生から1つだけ付言させていただきます。
 東南アジアへの旅行客にコレラが集団発生することがまれにあるのですが、欧米人が罹患することは少なく、たいていは日本人に集団発生します。これは、コレラ菌は酸に弱いので、充分に胃酸が出ていれば胃の中でコレラ菌が死滅してしまうからです。
 いかに日本人の胃酸の出が悪くなっているか、あるいは制酸剤を常用しているかを如実に示している例です。なお、たいていのカルシウム剤も制酸剤の働きをしてしまいます。なぜならば、カルシウム剤の多くは炭酸カルシウムだからです。
 よって、お医者様からダラダラ出し続けられている胃薬は直ちに飲むのを止めましょう。そうしないと、あなたの胃は“胃ガンへ一直線”となりかねません。市販薬もほとんどのものが同様で、我慢ができない痛みや不快感があるときだけにしましょう。なお、カルシウム剤は別の観点(カルシウム不足の米国人、充足の日本人)からもお勧めできません。
 何にしても「
胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる」、これを肝に銘じておきたいものです。 

(2016.9.14 追記その1)
 胃薬に頼りすぎて、どんどん胃が変調をきたし、どうにもならなくなった方々からコメントやメッセージを幾つかいただき、その対処法をアドバイスさせていただいております。
 本稿の中でも対処法が少し登場しますが、それを含めた対処法の概略を以下に整理しておきましたので、参考になさってください。なお、胃が極端に悪い人は腸も悪くなっていますから、腸の健全化も併せて取らないと体調は良くなりません。

・食べ物はよく噛んで丸飲みしない。「一口30回噛む」を目標にゆっくり食事する。
・暴飲暴食を止め、たばこ、アルコール、コーヒー、濃いお茶など刺激物は控える。
・間食の甘い物は厳禁で、どうしても食べたいときは食後に少々よく味わって食べる。
・夕食は寝る前4~5時間前には終え、胃を空っぽにしてから寝る。
・胃酸の出を良くするには食塩が必須で、減塩しない。
・朝の梅干が効果的で、口の中でよく溶かし、十分な温かい白湯で飲む。
・冷たい物は極力避け、努めて体温より高いものを口に入れる。
・胃に休養を与えるには「朝食抜き」が一番。体を慣らすため、だんだん減らしていく。
・朝食抜きにすると空腹感とともに胃の荒れを強く感じるので、温かい白湯を飲む。これで楽にならないときは、温かい「すまし汁」を飲む。(「すまし汁」は、断食のときに汎用されるもので空腹感も和らぎます。作り方:乾燥椎茸、昆布を水で戻し、醤油(お好みの量)、黒砂糖(なるべく少なめ)を加えて煮出したもの。料理で作るお吸い物に比べ、乾燥椎茸、昆布は倍の濃さが目安。このすまし汁を昼食前まで何度か水分補給のつもりで飲む。)
・牛乳・乳製品は一時的に胃の痛みを緩和したり、空腹感を消してくれますが、腸へのダメージが大きいですから、避けてください。
・必要に応じて消化薬を食事のときに飲む。なお、動物性タンパク質や脂肪の摂取を少なくし、胃腸への負担を軽減する。
・腸内環境を改善するために野菜中心の食事にするとともに、整腸剤の助けを借りる。
・口の中がただれているときは歯磨きは乳酸菌入りのものにするか、整腸剤をよく噛んで、しばらく口の中にふくんでから、のどに流し込む。
 <乳酸菌入り歯磨き> わかもと製薬 アバンビーズ
  http://www.wakamoto-pharm.co.jp/avantbise/index.html
・お腹を温めるツボに貼るカイロのミニサイズを下着の上から貼るといいです。「環跳」というツボで、立ったときにお尻の両脇にできるくぼみです。お腹から離れた場所にありますが、お腹に一番効くツボで、間接的に胃にも効果的です。温まりすぎて気分が悪くなるようでしたら、取り外します。
・新谷弘実氏がおっしゃておられるようにビタミンAの補給もいいでしょう。
 カワイ肝油ドロップSが信頼が置け、お勧めです。 

生薬「刺五加(シゴカ)」(単剤または配合剤)は胃を温めてくれ、胃がホッとします。漢方薬としてイチオシのものです。
 JPS製薬 双参

(2016.9.14 追記その2)
 胃が極端に悪い状態が続くと腸も悪くなってきて、
リーキーガット症候群を引き起こす恐れが多分にあります。これについては別途記事にしましたので、併せてご覧になってください。
  → 
リーキーガット症候群を克服しよう

(2016.9.24 追記その3)
 
この記事を読んで数多く寄せられたこの1年半の健康相談を振り返って見ますと、けっこう慢性胃腸炎の方がいらっしゃいます。そして、慢性胃腸炎になってしまった原因は心因性のものとが多い感がしました。そこで、違った角度から慢性胃腸炎を捉え直し、別途記事を起こしましたので、参考になさってください。
  → 胃の調子が少々おかしくてもヒーヒー言うんじゃない!

(2017.10.12 追記その4)
 「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」と申しますように「敵=慢性胃炎」とはどういうものか、「己=生活習慣・精神」はどんな状態にあるのか、まずはこれをしっかり捉えなければいけないでしょう。そこで、「敵=慢性胃炎」について、別サイドから、どういうものなのかを探ってみることにしました。
  → 慢性胃炎:交感神経の高ぶりで胃への血流は2段構えで絞られます

(2018.1.18 追記その5)
 慢性胃炎の方は胸やけを訴えられることが多いのですが、その真因は胃酸の逆流ではないことを知りましたので、そのことについて解説しました。
 → 胃酸の逆流で逆流性食道炎が起きるなんて大間違い !?
 

(2018.3.13追記その6)
 胸やけを解消する意外な方法があることを知りましたので、記事にしました。
 → 太田胃散が胸やけに効くわけは意外なところにあり

 

(2018.6.21追記その7)
 慢性胃炎の方は、交感神経が高ぶっていることが多いです。福田稔著『実践「免役革命」爪もみ療法』の中で紹介されている“爪もみ療法”は、交感神経を沈め、副交感神経を高めますから、慢性胃炎の方におすすめしたい治療法です。下記をご覧ください。
 →  実践「免疫革命」“爪もみ療法”のすすめ。いろんな病気が改善しますよ。

 

 

コメント (50)

胃はデリケートな臓器です。実に真面目。いたわってあげましょう。

2011年04月25日 | 胃の病

胃はデリケートな臓器です。実に真面目。いたわってあげましょう。
(最新更新:2018.6.21)

 胃がもたれるし、みぞおち辺りがつかえた感じがする・・・。アッ、鈍い痛みも!
 ひょっとすると、ガンかも?!
 そこで、胃の検診。その結果は、「異常なし。大丈夫ですよ。」とのお医者様の声。
 すると、約3割の方の、胃の違和感がたちどころに消えます。
 原因は、ストレスだったのです。何かのストレスで胃に変調を来たし、それが解消した頃に、新たにガンの不安がストレスとなっていたのです。
 ストレスが消えれば、胃は正常に戻るのです。
 “病は気から”と言いますが、最も典型的な例です。
 このように、胃はストレスにめっぽう弱いです。
 どうして、胃は、こんなにもデリケートなのでしょうか。

 動物にとって、ストレスは、天敵への警戒によって生じます。
 そうしたときに、食事に熱中していたら、餌食になって命を落としてしまいます。
 よって、胃の働きを落とし、食べたくない状態にせねばならないのです。
 現代人は、各種のストレスが掛かっても、食われて死ぬほどの事態に落とし込められることはほとんどなく、毎日、栄養を付けなくてはと、しっかり食べようとしますから、ストレスで弱り切った胃は、ギブアップするしかないのです。
 ストレスが掛かると、2つの原因で、胃がダメージを受けます。

 まずは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れます。
 
すると、胃の血管が収縮して胃の細胞への血液循環が滞りがちになります。
 こうなると、酸素供給が不十分になり、新陳代謝が低下します。
 その結果、胃壁が脆くなる上に、胃酸が出過ぎて胃壁を荒らします。 
 次に、ストレスに対する防御反応が起きます。
 その一つに、
副腎皮質からステロイドホルモンが過剰に分泌されるようになります。
 これが、胃酸と同様に、胃の粘膜を荒らすのです。

 強いストレスが掛かると、急激に胃潰瘍を引き起こして、胃が激しく痛み、胃けいれん、吐き気などの症状を伴うことが多くなります。
 そこまでのことがない場合には、冒頭で書いたような症状が出るのです。

 ストレスは、そう簡単には解消しません。
 ストレスを無くそうと努力すればするほど、それがストレスに上乗せされて、胃の不快感が高まりますし、症状が悪化すれば、ガンではないかと心配・・・これも強いストレス・・・になり、病状は悪化する一方です。

 ここは、動物に戻って、強大な天敵が来襲したのだと考え、無理に食べないことです。
 “よし、断食修行でもしてやろう!”と思えば、気分も随分と楽になります。
 白湯でも飲んで、”1食抜こう!これで餓死するわけがない!”と、断食に挑戦するのです。腹が減っても、しばし我慢。さらに、もう1食、絶食に挑戦!
 空腹感に我慢できなくなり、断食修行にギブアップしたって、敗北感が生ずることはないでしょう。“断食明け”の食事がとても美味しく感ずるだけのことです。
 美味しく感ずるということは、それだけ胃が元気を取り戻したことの証明です。
 しかし、病み上がりの状態にあるのですから、胃に負担を掛けてはなりません。

 胃がどんな仕事をしているのか、思い起こしてください。
 ご飯のような炭水化物や食物繊維であれば、蠕動運動をして、十分にふやかし、小腸が受け取りやすい形にします。
 たんぱく質であれば、その消化は、半分は胃の責任ですから、消化酵素をたっぷり分泌し、蠕動運動も炭水化物に比べて倍ほど行い、小腸で消化吸収しやすい形にします。
 脂肪であれば、これが小さなコロイド状になるまで、たんぱく質と同程度の時間、蠕動運動を繰り返し、小腸が受け取りやすい形にします。

 こうしたことから、胃に負担が掛かるのは、たんぱく質と脂肪ですから、これらは少なめにしたいものです。そして、炭水化物や食物繊維を含め、何もかもよく噛んで、胃の蠕動運動を少なくて済むようにしてあげることです。
 胃は真面目な臓器でして、病んでいるからといって、ろくに蠕動運動もせずに、入ってきた食べ物を小腸に送り込むようなことはしません。
 ときに、消化不良と言って、いつまでも食べ物が胃に残留することがあります。
 
これは、まだ小腸にバトンタッチできるほどに胃で消化できていないために、胃が悪戦苦闘している状態です。
 胃も腸も肝臓も、様々な臓器一つ一つが生き物であり、一つ一つの臓器を労わってあげるという考えを持って、食事を摂るようにしたいものです。

 そうすれば、決して暴飲暴食はできないはずなのですが、その暴飲暴食は、脳の食欲煩悩の横着から来ていますから、やにくいです。唯一不真面目な臓器が脳でして、残念ながらこの脳が最も発達しているのがヒトですからね。

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(慢性胃炎の方におすすめの治療法です。副交感神経を優位にするのが根本治療ですから、“爪もみ”はとても効果的です。)

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