薬屋のおやじのボヤキ

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頭のいい人は脳が重いか

2020年07月14日 | ボケ・認知症

頭のいい人は脳が重いか

 佐伯誠一著「からだの雑学事典」(1984年)からの引用記事を先日書いたところであるが、読み終わってみて、けっこう面白い記事が何本かあった。今日も、その一つを紹介。今回が最終です。 で紹介したものです。)
(以下引用)

 人間の脳は、大脳、小脳、中脳、延髄からできている。そのうち大脳は、脳の中でいちばん大きく、脳の大部分を占めている。
 大脳は、脳の中でも最も重要なはたらきをし、人間の知恵のもとだ。このはたらきをするのが、大脳の表面の大脳皮質に並んでいる神経細胞と、神経細胞から出ている突起である。
 大脳の表面の皮は平均2.5ミリの薄さしかなく、深いしわが寄っている。しわを伸ばして広げると、おとなで約2200平方センチ、ちょうど新聞紙1ページの広さになる。これが大脳皮質である。そして、ここには神経細胞が140億個もぎっしり並んでいる。
 ところで、脳の重さと頭のよし悪しはまったく関係ない。
 日本人の大脳の大きさは、成人男子で1350*~1400グラム、女子で1200~1250グラム。(注 *印 投稿時1000としていましたが、転記ミスしたようです。訂正します。本を捨ててしまったので正確性を欠きますが。メールで間違いをご指摘いただいた方、有り難うございます。)
 もし脳が重いほどいいというのであれば、男性は女性より常に利口ということになるが、こんなことを真面目に信じる人はいないだろう。
 まして4キロ以上もあるゾウや、9キロ以上もあるクジラが、人間よりはるかに利口などということはあり得ない。天才や偉人たちの脳の重さを調べても、平均より重い人・軽い人さまざまである。(本項付随イラスト「天才たちの脳の重さもイロイロだ!」に6例示され、小さい例としてノーベル文学賞受賞者アナトール・フランス(男性)の1000gが挙げられている。)
 大脳皮質の神経細胞の数は、年齢、性別、人種などによって異なることはなく、生まれたときから同じであり、年を取るにしたがって、その機能を失うと言われている。
 1個の神経細胞には数十から数千もの突起が出ているが、これが隣の神経細胞と複雑にからみ合っている。大脳に刺激を与えると、このからみ合いが複雑になる。
 頭のよい悪いの違いは、これらのからみ合いの具合、いいかえると神経の配線のよし悪しによるのである。
(引用ここまで)

 最近の研究では、脳の神経細胞は加齢で数を減らしても、部分的に増えることもあることがわかった。それは短期記憶をつかさどる海馬という部分である。
 そして、高齢となっても脳は使えば使うほど神経細胞の突起のからみ合いが増え、これは決して衰えるものではなく、ますます頭が良くなると言われている。年を食うと、そこまでの努力をほとんど誰もしなくなるだけのこと。そして、どんなものも使わなきゃ衰えるのであり、一般的に年を食えば食うほど頭を使わなくなり、神経細胞は減り、突起のからみ合いも消え、やがてボケるのである。
 なお、チンパンジーの脳の構造はヒトと酷似しており、脳の容積はヒトの3分の1ぐらいだから、大脳皮質の表面積となると約2分の1となる。よって、神経細胞の数はヒトの約2分の1を下回るようなことは決してなかろう。ひょっとすると、同じかもしれない。というのは、ネズミの脳は0.4グラムしかないし、イヌは100グラムしかないが、けっこう利口な動物であるからだ。
 となると、ヒトはボケボケしてはいられない。毎日ボヤーッと過ごしていると、頭の良さはチンパンジーに負けてしまうかもよ。
 これに対する反論として、「チンパンジーのおでこは小さく、おでこの内側にある前頭葉(記憶を照らし合わせて判断を下したり、ものごとを考えたりする“人間らしさ”を表出する大脳)が発達していないから低能だ。」という説明がまかり通っている。
 しかし、ヒトの頭蓋骨は単に幼形成熟しただけのことであり、生まれたばかりの赤ちゃんはヒトもチンパンジーも頭蓋骨の形は似ている。チンパンジーは、幼いときに比べて大人になるにしたがい頭蓋骨をかなり変形させ、顎を発達させたにすぎない。脳の神経細胞の数はヒトもチンパンジーも生まれたときと大人になったときと変化はないのだから、この説明は間違っている。
 先に言ったように「脳は使えば使うほど神経細胞の突起のからみ合いが増える」のであるからして、我々は、チンパンジーに負けないよう、毎日頭を使わなきゃいかんのです。

(補記)
 女性の脳は男性より小さいが、大脳皮質内の神経細胞は女性のほうが密に存在し、その数には差がない。また、チンパンジーの大脳皮質内の神経細胞数はヒトの8割であり、このことからして知能的な差はさほどないと思われる。  

 ところで、ヒトと類人猿の頭脳はどれくらいの違いがあるのか、その事例紹介を別立てブログで記事にしていますが、面白いものを4つ紹介しましょう。
夕陽を見つめるチンパンジー(Vol.2)
歌を口ずさむゴリラたち
首飾りをつくるオランウータン
瞬間記憶ができるチンパンジー、これができない人間

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アレコレ症候群と認知症、そうならないための処方箋

2014年08月20日 | ボケ・認知症

アレコレ症候群と認知症、そうならないための処方箋

 少々古い本ですが、平塚秀雄著「あなたはアレコレ症候群になっていませんか?」(2003年)(小学館)という本があります。
 この中で、「年齢相応のもの忘れ(=アレコレ症候群)」と「病的なもの忘れ(=痴呆)」
は別物ではあるものの、その中間的なものがあるとして、次のように書かれています。

 MCI(mild cognitive impairment)という概念があります。これは年齢に比較して「異常ともいえる記憶低下」があり、家族も気づいている状態です。しかし記憶以外は、日常生活を含めて正常な活動ができます。MCIと診断された人たちは、4年で約半数がアルツハイマー病にかかるといわれており、正常な老化と痴呆の過渡期と考えることができます。

 こうしたことからして、単なるもの忘れと認知症とは別物であり、無関係と言われますが、小生思うに“アレコレ症候群が高じて認知症になる”のではないでしょうか。
 認知症の代表的なものにアルツハイマー病があります。脳が萎縮し、神経細胞の脱落が目立ち、老人斑が見られ、神経原線維変化がひどくなる、といった脳内変化が生ずるものですが、ある方がお亡くなりになった後で、その方の脳を解剖した結果、こうした病変が明らかに認められるにもかかわらず、生前は認知症の症状が全く認められず、知能テストも高得点であったという例があります。これは、別の本「白澤卓二著:100歳までボケない101の方法」で紹介されている、101歳で天寿を全うされた米国の修道女シスター・マリーさんです。この方は、好奇心旺盛で、新聞は毎日隅から隅まで読み、何事にも積極的に取り組まれ、「私が引退しているのは夜眠っているときだけよ」が口癖だったことからも分かるように、常に頭を使っておられ、アレコレ症候群にも無縁だったようです。
 これは、アレコレ症候群にならなければ、脳が病変していっても、決してアルツハイマー病が発症しないという良い事例でしょう。

 さて、“歳を食っても頭は使えば使うほど良くなる”と言われます。半分信じられないことですが、これは医学的にも一部立証されています。平塚秀雄著「あなたはアレコレ症候群になっていませんか?」から、以下、引用します。

  脳の神経細胞は歳をとっても増える! という大発見
 脳を構成する基本単位である神経細胞は、…140億個と推定されました。しかも、この数は生まれた時点で決まっていて、その後の成長の過程で増えていくことはないといわれてきました。
 神経細胞は別名、分裂終了細胞ともいいます。そしてその名前の通り、細胞分裂して増えることなく、減る一方で、20歳を過ぎると1日10万個の割合で死んでいくといわれます。しかも、神経細胞は一度死ぬと再生されませんから、加齢とともに自然に減っていくことになります。
 ところが最近の研究では、脳を構成する神経細胞は…1000億個とも推定され、脳の特別な部位の神経細胞は、成人を過ぎても増えることが段々わかってきました。これはまさに大発見!なのです。なかでも特に注目されているのが、…海馬という部位の神経細胞です。海馬は記憶に重要なところですので、これは従来の常識を破る大発見といえます。そしてカリフォルニア大学のバークレー校の実験により、刺激のある、豊かな環境におかれたネズミの海馬は大きくなる、海馬が大きいほど賢いという事実がわかってきました。
 また、海馬以外の脳でも、神経細胞のやりとりが多いとき、つまり脳を活発に活動させているときは、生き残った健康な神経細胞が、失われた回路を再構成するということもわかってきました。さらにネズミの脳は、歳をとってからでも、豊かな環境に移すとより大きくなりより利口になるということも実験によって示されたのです。…
 (別の節から引き続き引用)
 タクシー・ドライバーの脳については、イギリスの医学データでたいへん興味深い報告があります。タクシー・ドライバーの海馬をMRI(磁気共鳴画像)で調べたら、普通の人より大きいのです。いろいろな道を通り、いろいろな人に会うという新しい刺激がたくさんあるから、海馬のニューロンが増えるというわけです。
 しかも、海馬の大きさはタクシー・ドライバーの勤続年数に比例して、増大しているのです。脳は使えば使うほど、ニューロンが増えるという事実を示しています。(引用ここまで)

 ここで、海馬と記憶に関して簡単に説明しておきます。
 脳の中で記憶に最も関係が深い部位が海馬で、入ってきた情報を30秒から長くて数分程度、保持してくれます。海馬が大きくて活性化していれば、その保持時間もきっと長いことでしょう。その時間内に、その情報を長期間保持し続けるための操作、例えば、何度も頭の中で繰り返したり、語呂合わせしたり、意味付けしたりということをすれば、これをワーキング・メモリー(作業記憶)といいますが、これに成功すれば、ついに長期記憶として、脳のあちこちの所定の場所に留められることになるのです。
 なお、新たな長期記憶は雑然と保存されるのではなく、整理分類したうえで保存されるのですし、そのとき、既に保存されている関連した長期記憶が呼び戻されて再整理もされますから、様々な記憶がしっかりと定着し続けるのです。
 つまり、“絶えず新しいことを覚えよう”という意欲があり、新たな情報をそれぞれ工夫して長期記憶として定着させる努力を毎日のように続ければ、長期記憶の量は増すばかりで、もって脳全体の活性化につながり、「アレコレ症候群」とは無縁の脳に生まれ変わってしまい、賢くもなっていくのです。
 なお、長期記憶の保存容量の限界は無限大と言ってよいほど大きいです。

 最後に、“歳を食っても頭は使えば使うほど良くなる”方法とまでは言えませんが、「アレコレ症候群」克服のための7通の処方箋を紹介しましょう。引き続き、平塚秀雄著「あなたはアレコレ症候群になっていませんか?」からの要約・引用です。
1 繰り返し
 何よりも記憶したい情報を復習することで、メモ、日記、手帳などを使って何度も繰り返したり見たり書いたりすることが特に効果的です。
2 ダジャレ
 ダジャレは言葉遊びですから脳の活性化になります。また、ストレスは脳の海馬の神経細胞も破壊しますから、ストレスがかかったときほど笑い飛ばす必要があり、ダジャレやユーモアが欠かせまん。
3 カラオケ
 音楽を演奏したり聴いたり歌を唄ったりすると、脳はリラックスしたり逆に刺激されたりして、記憶力や知的能力が向上するのです。特にカラオケはストレスの発散にもなり、おすすめします。
4 外国語学習
 私たちの脳は、英語と日本語では文法が大きく異なり、全く違う思考回路を使っています。加えて、外国語を「聴く」と「話す」は別々の言語中枢が働き、両者で思考のキャッチボールが行われますから、努力しながら外国語の習得作業を続けていると、長期的な情報処理能力の効率が高くなり、脳が活性化します。
5 画像記憶
 脳には言葉の記憶とは別に画像情報を記憶するところがあります。情景を繰り返し思い浮かべる、いわゆるイメージ・トレーニングを積み、情報を画像として覚えてしまうというものです。脳を鍛えるには、これがたいへん役に立ちます。
6 脳活性食
(これについては小生の見解と異なる所が多く、一致する項目だけ紹介します。)
・血液をサラサラにし、記憶の破壊を防ぐ
 何といっても日本食が一番です。
・もの忘れの頻度はカロリー摂取量に比例する
 食べ過ぎるほどもの忘れが多くなる。少食にしましょう。
・噛むことで脳は活性化する
 脳を刺激し、活性化し、集中力を高める作用があります。
7 グーパー運動(7項目中3項目を紹介)
 海馬の神経細胞を増やすこと、脳を活性化させること、これには運動がたいへん役に立ちます。歩くだけでも効果があります。特に効果的なのは指先を動かす運動です。
 速さよりも正確さを優先し、動かしている部位を極力意識して行ってください。
・グーパー 両手を前に伸ばし、肩の高さの位置で拳を握ったり開いたりする。
・指折り   両肘を軽く脇腹に当て、掌を上向きにして開き、親指から順に小指へと折り、小指から親指へと開く。
・指つまみ 上の運動の変形で、握らないで指先を合わせて輪を作る形で行う。

 どういうわけか、アレコレ症候群の克服法というものは、「肉を避けて少食にし、よく噛む。極力運動する。ストレスは笑いで吹き飛ばす。」という生活習慣病予防全般に通ずる基本の基本と一致し、かつ、これが全てと言ってもいいくらいなのですが、それとどれだけも違わない処方箋となってしまっていますね。特異的なのは外国語学習ですが、高齢者ともなると、これに挑戦するのはちょっとしんどいですね。
 
 

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ボケたくない!認知症は絶対イヤ!

2014年07月15日 | ボケ・認知症

ボケたくない!認知症は絶対イヤ!

 認知症がどれだけ多いことか、1年前の日刊新聞の記事ですが、次のように書かれています。エッ、こんなに多いの!とビックリさせられます。



 さて、「ボケたくない!認知症は絶対イヤ!」と表題にしましたが、このことについては、このブログでこれまで一度も取り上げたことがありません。
 認知症は、これからますます増えていく非常に重要な課題ですが、つい先日、当店発行の新聞「生涯現役新聞」7月号を紹介する中で、初めて簡単に触れ
ただけです。
 これには少々事情がありまして、書きたくても書けませんでした。それは、「gooブログの趣旨(営利目的であってはならない)」に反するからです。
 
よって、ボケ・認知症に関しては、別立てのFC2ブログ(左サイドバー:ブックマークの一番最初に掲げた「〇〇〇の百科事典…」)の中で記事を書くことにしておりました。
 でも、今回、当店発行の新聞をこのブログに投稿したのを契機に、FC2ブログの記事の中にはgooブログの趣旨に反しないものも幾つかありますので、ここにまとめて紹介させていただきます。詳細は各項目をクリックしてアクセスなさってください。
 ところで、小生も去年「高齢者」の仲間入りを果たしました。ここのところ記憶力の衰えをひしひしと感じています。ここは、記憶力増強トレーニングを毎日積まねばなりません。そこで、後で紹介します「100歳までボケない101の方法」の中にありました「2日前の日記」を付けることにした次第です。その辺りのことは、またまた別立てになりますが、小生のブログ(このページの最後で紹介)で綴っておりますので、興味のお有りな方は覗いてみてください。

 「〇〇〇の百科事典…」
カテゴリー:ボケ・認知症
 ボケ防止の方策をいろいろと紹介させていただいています。このカテゴリーに収まっている記事を全部まとめて見るには、2行上をクリック、個別に見るには、以下の見出しをクリックなさってください。

ボケ防止:年を重ねて必要なのは教育と教養である
 「今日、行く」所がある、「今日、用」がある、これを毎日、というものです。

ボケ防止:高齢者の健康を維持するためには「三かく主義」で
 第1のかく:汗をかく、第2のかく:字を書く、第3のかく:恥をかく。
 恥をかくとは新しいことに挑戦して失敗し、人に笑われること、これでいいのです。

チャレンジ精神を持ち続ければ決してボケない
 浮世絵師の葛飾北斎、彫刻家の平櫛田中さんなど、長寿芸術家の生き方を紹介

100歳までボケない101の方法
 これは、つい先日このブログで紹介したものと内容はほぼ同じです。
 なお、これについては、シリーズで順次投稿の予定です。

<カテゴリー:こんな方に〇〇〇>
 この中にも、対処法を書いています。

 記憶力、思考力、集中力の低下
  脳の血流、海馬の働きなども解説しています。
 認知症(痴呆症、ボケ)
  これの改善には〇〇〇の他に、亜鉛の摂取、漢方薬の投与が必要になります。

★小生の2日前の日記
 付け始めた経緯を書いた記事は次のものです。
   ブログ:薬屋のおやじの“一日一楽”&“2日前”の日記
   2014.6.4投稿 2日前の日記をつけることに
 その悪戦苦闘ぶりを笑ってやってください。その後、毎日綴って記憶力増強トレーニングをしていますが、1か月経っても成果は現れません。半年1年しないと分からないでしょうね。根気よく続けるしかないと思っています。いや、これは、この世からおさらばするまでやり続けるしかない、そう覚悟しています。

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