薬屋のおやじのボヤキ

公的健康情報にはあまりにも嘘が多くて、それがためにストレスを抱え、ボヤキながら真の健康情報をつかみ取り、発信しています。

「平床寝台・硬枕」を始めて間もなく8年、いい健康法だ

2023年07月29日 | 薬屋のおやじの一日一楽日記

(別立てブログ“一日一楽日記”で投稿した記事をこのブログに再掲しました。)

7.28 「平床寝台・硬枕」を始めて間もなく8年、いい健康法だ

 2015-10-01「本格的に平床寝台・硬枕を始める」を記事にし、間もなく8年になる。
 その前、3年間ほどは年の半分(夏季)は、寝るときは畳の上に横になり、ヨシズを切って丸めたものを首の下にあてがって寝ていた。ヨシズは円柱状で曲率が大きく(半径が小さい)首骨の一部にしか当たらないから、最初は痛みが激しかったが、そのうち随分と慣れてきた。もっとも一晩中あてがっているのは不可能で、頭にかって横寝したりしていた。
 その後、2015年10月から、正式な「平床(へいしょう)寝台・硬枕(こうちん)」にした。戦前に確立された「西式健康法」の一つで、今でもファンは多く、これを勧めておられる医師もけっこう多いようだ。
 
 「平床」とは15mm厚のベニヤ合板であり、これを寝台とするもので、毛布やシーツは敷かないのが正式なもの。前後に歪み過ぎた背骨の矯正をするためである。「硬枕」とは丸太を縦に半分に切った半円状の硬い枕を首にあてがって寝るというものである。これによって、首骨の歪みを正常化する。
 小生の場合、「平床」は15mm厚のベニヤ合板では、いかにも重く、これでは片付けるときに往生しそうで、畳の上で使うのだから9mmでも凹むことはないだろうと、それをホームセンターで購入。税込1280円と安いものであった。ベニヤ板の淵や角にサンドペーパーを掛け、雑巾で全体を2度拭きし、綺麗にして完成。
 一方の「硬枕」は、西式健康法の本部「西会」の推奨店へ注文して送ってもらった「木枕」で、総桐であるが、中は空洞で非常に軽い。送料を含むと6000円と高価であった。これは「平床」を作った前日に届いた。少々小さかったから、木枕の下に畳んだタオルを敷いてうまく首骨に当たるようにして(その後は、木枕をタオルで包む)使用。
 話によると、「平床」も「硬枕」も、最初は痛くてとても使えない人が多いそうだが、小生の場合は「硬枕」はヨシズの円柱に比べて刺激が全然少なく、物足りなさを感じたほど。でも、「平床」のベニヤ板は畳と違って全然凹まないから、ケツが痛くてしょうがない。慣れるのに半年以上かかった。 

平床寝台.jpeg


 ここのところの猛暑で、暑さ対策を重視すれば、「平床」のベニヤ板よりは、畳のほうが熱を逃がしてくれるから畳の上で寝た方が良かろうが、ベニヤ板に慣れてしまうと、畳は柔らか布団のような感じがして落ち着かない。
 よって、パジャマ姿で、シーツも敷かずにベニヤ板に寝て、木枕を首に当て、タオルケットもなし。木造の古い農家ゆえ、エアコンは不要。せいぜい扇風機を斜め上方に向け、弱風で首振りさせる程度で熟睡できる。
 ただし、今年は足の指先に冷えを感じるようになった。間もなく後期高齢者となり、低体温となってきたからだろう。よって、足首から先をタオルケットに潜り込ませる。

 厚手のベニヤ板と半円形の木枕という、この正式な「平床寝台・硬枕」、8年も経つと、最高級の寝具と思えるようになった。首骨の正常化は、肩こり・頭痛・目の障害などの解消に大きく貢献するし、背骨の正常化は、思わぬ内臓疾患に効果的とのことだが、腰痛改善にことのほか効果を発揮する。百姓をやるとき、けっこう腰をかがめて作業するが、その姿勢から直立するとき、腰の痛みから容易には直立できないのが、「平床寝台」にしたら、それが大きく改善された。もちろん普段に腰痛を感じたことは一度もない。
 今朝もすっきりした目覚め。「平床寝台・硬枕」さまさま、である。

 皆さんにもお勧めしたいところだが、いきなり正式な「平床寝台・硬枕」に入ったら、悶絶するしかなかろう。「硬枕」は5秒ともたない。「平床寝台」もせいぜい10秒といったところだろう。
 始めるなら「硬枕」の代わりに「タオル枕」であり、「平床寝台」は畳である。
 「タオル枕」の作り方については以下の記事をご覧あれ。
  首・腰タオル枕健康法(三宅薬品・生涯現役新聞N0.272)

 

(備考)一日一楽日記に関して
2012.9.2別立てブログ記事で書きましたが、毎日何か楽しい出来事が少なくとも1つはあったはずであり、それを書き綴っていけば落ち込みから脱却できるとのことで、小生も“一日一楽”日記を付け始めました。
 また、このブログの2015.3.3の記事で紹介しました、ひすいこたろう著「ものの見方検定」に書かれている「小さな幸せに気づくレッスン」で次のように述べられています。
 「わたしは今日幸せでした。なぜならば…」、これの続きを3つ考えてから寝てください。寝る前に幸せを味わって眠ると、不思議と、朝起きたときの表情が違うんです。これも続けるとよくわかるのでぜひお試しくださいね。
 小生も早速これを始め、うち1つを記事にしたところです。

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憎まなければ、がんは悪化しない(三宅薬品・生涯現役新聞N0.342)

2023年07月25日 | 当店毎月発刊の三宅薬品:生涯現役新聞

当店(三宅薬品)発行の生涯現役新聞N0.342:2023年7月25日発行

表題:憎まなければ、がんは悪化しない

副題:がんは不良息子と一緒。憎まず、かわいがってあげるといいのです

(表面)↓ 画面をクリック。読みにくければもう1回クリック。以下同様です。

     

(裏面)瓦版のボヤキ

    ハクビシンには往生させられる

    

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広がりを見せてきた在宅医療看取り。これに大活躍しておられる小笠原文雄医師

2023年07月23日 | やがて訪れる死に備えて

広がりを見せてきた在宅医療看取り。これに大活躍しておられる小笠原文雄医師

 当店のお客様から「在宅医療看取りで大活躍しておられる小笠原文雄という医師が、当地の近くで在宅ケアクリニックを開業しておられ、本も書いておられる。」と教えていただいた。その本は「なんとめでたいご臨終② 最期まで家で笑って生きたいあなたへ」(2023年3月刊)である。
 著者のプロフィールを調べてみると、どうやら高校の同級生であることは間違いなさそうなのだが、記憶がおぼろげで、いたような、いなかったような…、もう忘れた。よう分からん。もう60年近く前のことだから。
 それはそれとして、興味をひかれた本ゆえ、早速に購入して読んでみた。

 小笠原氏の名前「文雄」は「ふみを」と読むのではなく「ぶんゆう」と読ませる。つまりお寺の生まれだ。ずっと二足のわらじで、医師の仕事が主だが、週一で住職の仕事もやっておられる。何かとお忙しそうな方ではあるが、今年、後期高齢者となるも毎日走り回っておられるようだ。
 在宅医になって33年、看取った患者さんは1800人。これほどの経験の持ち主はそうはいないであろう。加えて、本の表題にあるとおり、本人も遺族もご臨終は明るく、楽しくであって、ご臨終直後にご遺体の前で遺族が“笑顔でピース”の写真を撮影されたケースが50件以上にのぼるというから、驚きだ。

 「在宅医療看取り」ともなると、家族の負担がそりゃ大変で、病院に放り込んでしまえ、と通常は考えてしまう。小生のおふくろの場合は、おふくろが動けなくなって往診に来ていただいた、かかりつけ医は、もって3日とおっしゃったが10日もった。おふくろの希望で自宅での看取りをすることにしたが、10日のことであったから、小生や女房に大した負担にはならなかったものの、これが1か月、2か月ともってしまうとなると、病院に放り込んでしまえ、と、したくなる。
 もっと早く小笠原文雄氏を知っておれば、おふくろが死ぬ半年ほど前から体力がかなり落ちてボケ症状も出てきていたから、彼に在宅医療看取りを頼んだものを、ではあるが。
 なんせ、在宅であっても家族に一切負担がかからない方法があり、このほうが患者が気持ちよく過ごせるというのだから、これも驚きである。介護素人の家族が世話すると、当の本人も家族も苦痛を味わうだけで、ここはプロの介護士等に任せた方がいいようである。
 加えて、何もかも医師や介護士等に全部任せたとしても、在宅医療看取りのほうが入院加療よりも、うんと割安につくケースが圧倒的に多いとのことでもある。具体的な事例を幾つも上げて詳しく比較対象しておられる。へえ~そんなに安く上がるの?と思わせられるほどであるが、本当のようだ。
 何よりも、当のご本人(患者)が苦しむことなく、ご臨終の直前まで楽しく、明るく生きていられるケースがほとんどである(例外は心不全であるが、彼は、高度な医療法でそれも克服もされた)というから、これまた驚いた。だから、先に紹介したように「ご臨終直後にご遺体の前で遺族が“笑顔でピース”の写真を撮影」なんてことにもなるのだろう。

 で、これからの時代、在宅医療看取りがどんどん進んでいってほしいところであるが、現にそうした傾向が出てきているも、小笠原氏のクリニックのような経験豊富で介護士等のスタッフが充実したところばかりではなさそうで、けっこうピンキリがあるようだ。その見極め方も、本書に詳しく書かれている。

 なお、この本で、在宅看取りが不可能になる、興味あることが書かれていた。それは次のとおり。(以下引用)
 (在宅医療看取りに興味を持った患者さんからの「救急車に電話してもいいのかい?」という質問に対して)
 「…救急車は呼ばないほうがいいと思うよ。誤解している人が多いけど、救急車を呼ぶのは延命治療を望むっていう意思表示だからね。どんな手段を使ってでも生きたい人ならいいけど、そうでない人が呼んでしまうと、『家で死にたい』っていう願いが叶わなくなることもあるよ。」
(引用ここまで)
 こうした例は小生の親戚でもあった。自宅で介護していた、よぼよぼになってやっと歩ける状態の90歳過ぎのお年寄り(男性)がバタッと倒れたので(後で分かった原因は脳梗塞)、家族が救急車を呼んだところ、病院でしっかり延命治療し、胃ろうまで進み、それを断ろうとしても「救急車を呼ばれたということは延命治療を希望されたということですから、胃ろうをしないわけにはいきません。」となり、もう3年も寝たきり状態。世の中、こうした単に生かされているだけの病院(あるいは施設)入院患者がいかに多いことか。
 救急車は呼んじゃいかんですね、やっぱり。バタッと倒れても、ベッドに寝かしつけ、かかりつけ医に往診に来てもらい、「家で死にたいと言っていました」と告げて、毎日往診に来てもらうよう頼みこむといいんじゃないかなあ。水も飲ませなきゃあ、1週間か10日で気持ちよく旅立てますからね。

(関連記事)
「救急車を呼ばないようにしてもらう」ことに関して
 2013.9.10  延命治療を受けないためのリビングウィル(死の間際にどんな治療を望むかをあらかじめ示した書)を書く
「1週間か10日で気持ちよく旅立てます」に関して
 2014.12.29 
「自然死」のすすめ(中村仁一著)読後感想

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24節気の健康と食養:大暑から立秋まで

2023年07月22日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:大暑から立秋まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 大暑 初候 桐始結花(きり はじめて はなを むすぶ)桐の実が生り始める
    次候 土潤溽暑(つち うるおうて むしあつし)土が湿って蒸暑くなる
    末候 大雨時行(たいう ときどきに ふる)時として大雨が降る

 小暑の次にやってくる24節気が大暑で、毎年7月23日頃(2023年は7月23日)になります。気温もどんどん高くなって、読んで字のごとく、暑さは大暑でもってピークを迎えるということになりましょうか。特に梅雨のある本州・四国・九州では、例年、梅雨明けしてしばらく経って大暑を迎え、梅雨明け後の1週間、10日は猛暑となることが多いです。
 今年は梅雨明け直前にひどい炎暑が3日続きましたが、再びこれから本格的な猛暑がやってきそうです。

 ところで漢方5季(春夏秋冬と土用)の区分では、大暑から立秋までは、夏の土用(7月19、20日頃~立秋の前日まで)と概ね一致します。
 よって、『24節気の食養:大暑から立秋まで』は、投稿済みの次の記事と大きく重複しますから、先ずはこれをご覧ください。
 夏の土用に何を食べますか。まずは「体の中の水害を防ぐ」ことから。

 これに少々補足します。
 この時期、例年、梅雨明け後の1週間ほどは猛暑にさらされ、かつ、地面の湿り気で湿度も高く、蒸し暑さがとてつもないものとなります。昼間、屋外に長時間いると、熱中症の危険が大です。その時期が過ぎれば、湿度は低下し、少し楽になります。
 昼間、暑い盛りに、体の芯を冷やしてくれるスイカがとてもおいしく感じます。でも、冷蔵庫で冷やし過ぎたスイカの食べ過ぎは「冷たい物中毒」の恐れがあり、要注意です。
 そして、快適な冷房も長時間あたると、体が冷えすぎてしまい、様々なトラブルが発生します。その対応策は、前々回の「夏至から小暑」の記事で書きました正しい入浴法や、前回の「小暑から大暑」記事で書きました貼るカイロの利用があります。参考になさってください。
 この時期に旬となってくるのが、真夏の果物です。露地物のスイカ、メロンが出回わります。これらは、体に熱がこもる昼間に召し上がると、熱取りとなります。

 大暑が過ぎた頃に「土用の丑」の日がやってきます。この日に鰻を食べると滋養が付き、夏病みしないと言われます。中国や韓国では、概ね「土用の丑」と同じ頃、その前後10日の日の3回を「三伏」*といい、1年で一番暑い時期とされ、肉料理で滋養をつける習慣があります。韓国料理の「参鶏湯」が有名です。これについては、当店新聞2016年8月号で紹介したところです。
(注)*「三伏」とは、正確には次のようになります。
 夏至から数えて3番目の庚(かのえ)の日から「初伏」が始まり、夏至から4番目の庚の日から「中伏」が始まる。そして、立秋以後の最初の庚の日から「末伏」が始まり、初伏、中伏、末伏の総称が「三伏」となる。初伏と末伏はそれぞれ10日間と日数が決まっているが、中伏の日数は年によって異なる。夏至から立秋までの間に、庚の日が4回ある場合、中伏は10日間、5回ある場合は20日間となり、「三伏」の期間は年によって30日間となったり40日間となったりする。

 寝苦しさが一番ひどくなるのもこの時期です。敷布団が背中にぴったり張り付いて、暑くって汗をかき、熟睡できません。
 よって、女房はこの時期、畳の上で寝ています。
 小生も以前はそうしていましたが、1段レベルアップして本格的な「平床寝台&硬枕利用」を2015年10月から実行しています。
 厚手のベニヤ板と木枕を使い、下図のように寝るのです。

 「人は病の器」と言われるほどにたくさんの病気を抱えているのですが、背骨と首骨を正してあげると、一見無関係と思われる部位の様々な病気が治癒してしまうことがけっこうあります。整体治療がその良い例ですが、寝方一つでそれが十分に期待できるとのことで、小生も実行しているのですが、これに慣れるまでが大変です。1年は掛かりました。興味がお有りな方は、次の記事をご覧ください。
 なんと腰痛も解消!背骨と首骨を正す西式健康法「平床寝台&硬枕利用」

 次回は、「立秋」(8月8日頃)からの健康と食養です。

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「心温まり、勇気を得て、感動した!」記事満載の「日本講演新聞」から記事を1本紹介しよう

2023年07月21日 | 心に安らぎを

 この日記でときおり紹介している「日本講演新聞」(旧名:みやざき中央新聞)。毎月4回発行され、定期購読しているのだが、読んだとき傑作な記事には黄色の蛍光ペンで丸印を付けておく。それを毎月20日頃にもう一度読み、少々拡大コピーして切り取り、所定のA4用紙(上段に「日本講演新聞」のロゴやキャッチコピー入り)に貼り付ける。今月分と先月や先々月の繰り越し分の中から、“これはいい”というものを4つ選び出し、両面コピーし、2枚にしてDMに使うことにしている。ただし、たいていの方へは1枚だけの送付となる。
 この新聞のキャッチコピーは「宮崎発未来~ときめきと学びを世界中に」と「心揺るがす」の2つあるが、当店のお客様の心のケアに役立たないかと考え、DM封筒に入れて毎月発送しているのだが、そのキャッチコピーは「心温まり、勇気を得て、感動した!」と勝手に付けている。
 こうして、優れた記事を2、3回読むことになり、読むその度に「心温まり、勇気を得て、感動した!」という気分を味わっている。そして幸せな気分にもなれるから、実に有り難い。

 毎号けっこういい記事があるが、1つの記事に(A4サイズで)4ページ割かれるものは、いくら内容が良くてもDMで2枚になってしまい、採択しにくく、めったに使ったことがない。たいていお蔵入りとなる。
 これではなんとも残念だから、このブログの読者の皆さんに読んでいただこうと、4ページものを初めてのことだが、以下に紹介させていただくことにした。

 少々前の話になるが、今年の3月に侍ジャパンがWBCで世界一に輝いた、その理由をヘッドコーチの白井一幸氏が語っておられる、その講演録である。選手皆の力が存分に発揮できるようにするためには指導者はどう対処すべきか、それを熱く語られている。まさに「心温まり、勇気を得て、感動した!」内容である。ご一読いただきたいです。

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夏の土用に何を食べますか。まずは「体の中の水害を防ぐ」ことから。

2023年07月19日 | 漢方五季の食養

夏の土用に何を食べますか。まずは「体の中の水害を防ぐ」ことから。 

 夏の土用の入りは7月19、20日頃で、2023年は7月20日です。そして夏の土用は、立秋の前日までの19日間ほど続きます。夏は、立夏に始まり、土用の入り前日までで、立秋からは秋になります。なお、土用は、各季節の変わり目を指し、年に4回訪れます。
 中医学(漢方)では、このように季節区分がなされているのですが、梅雨のない中国の中心部では、これでピッタシなんでしょうね。
夏の土用の入りの時期は、夏至からすでに約1か月経ち、日が昇るのが遅くなり、沈むのも早くなり、秋へ移らんとする季節だと。
 でも、24節気の大暑が7月23日頃で、暑さのピークとされている上に、日本では、この頃に本格的な梅雨明けとなり、猛暑となります。特に、本格的な梅雨明け後の1週間か10日間は、高温多湿の酷暑となります。
 ここに、中国中心部と日本とで、年平均気温が同じぐらいの地域であっても、夏の土用の季節感は、全く異質なものとなります。よって、夏の土用の健康対策も、中医学(漢方)のそれをダイレクトに採択することはできないでしょう。

 ところで、土用は、先に言いましたように、年に4回訪れ、春夏秋冬の4つの季節の間に、季節の変わり目として入っています。
 
その土用の時期は、たいていは“土”に“用”がある時期で、つまり、耕地を掘り返すことが多くなります。小生の百姓生活の経験から、そのように思われます。
 
なぜに季節の変わり目を土用と言うのか、それを明確に解説されたものを見かけないのですが、土用の季節は「土を掘り返すことで湿気を多く浴びることが多い時期であるから、体調に注意しなければならない」との言い伝えが日本国内にあります。
 また、「土用の期間中
は、土の中に神様がいるから、毎日土を掘り返してはならぬ。定められた特定の日にしなさい。」という習慣も日本国内にあるようです。これは、上の言い伝えと同義でしょう。
 よって、こうしたことから、小生思うに、24節気なり季節区分や土用の設定は、そもそも農業暦から来ているのですから、“土”に“用”があるから「土用」なのだと理解してよいと考えます。そして、土用に注意すべきことは「湿気」であると。これは、農作業をするなかで、土を掘り返している最中にしゃがみこむと、むっとした嫌な湿気を強く感じますから、よく理解できます。

 さて、日本の「夏の土用」は、入りが本格的な梅雨明けと概ね重なり、1週間か10日は蒸し暑さが猛烈にひどくなります。中国中心部では、蒸すことはなくても、この時期に大暑が来ますから猛烈な暑さになり、暑さという面では一致し、やたらと水分を取りたくなりましょう。
 ところで、漢方の世界では、土用は脾(ひ)の季節です。脾は「消化吸収の要となり、水分代謝を調節する役割を担う働き」を指し、脾に密接な臓器は胃とされています。
 このことは、春の土用でも夏の土用でも他の土用でも同じです。
 よって、「消化吸収・水分代謝」に気を付けなけねばならないのは、先の春の土用と同じです。対処の仕方にどれだけかの違いが出てくるだけです。

 先ずは、梅雨以降、「湿熱」で「脾=胃」が弱っていますから、胃に負担がかからないよう、よく噛んで食べるのが第一となり、この時期にはエネルギー消耗が少ないですから腹八分としたいものです。なお、食欲も落ちていますから、おいしく食べられるものを少しずつあれこれ食べるのが良いということになりましょう。
 また、梅雨時以上に「冷たい物」を口にしたくなりますが、決して「冷たい物」を摂らないことです。その昔には、「冷(さ)めた物」も摂りすぎには要注意、と言われました。つまり、常温状態の「冷めた物」であっても胃腸に差しさわりがあると言っていたのでして、ましてや冷蔵庫で異常に冷やした「冷たい物」となったら論外なのです。
 うちでは梅雨後半からこの時期にかけて「むしシャブ」をやることが多いです。様々な野菜と茸を中心にして、豚肉を少々乗せます。「胃」に負担を掛けず、「胃」を温めるという、「胃」に優しい料理です。食事中に汗をかきますが、日中に汗をほとんどかくことがない女性に特におすすめします。こうでもして汗をかかねば健康を維持できませんからね。

 次に、水分代謝ですが、この時期は「体の中の水害を防ぐ」という感覚でもって、「入りを絞り、出すを放つ」ぐらいの対処が必要でしょう。
 もっとも、水分補給なしで大汗をかけば脱水症状を引き起こし、熱中症になってしまいますから、暑いなと感じたらチビチビと水分補給する必要があります。
 さて、水分補給ですが、この時期、気化熱の放散がままならず、「湿熱」が体内にこもってしまい、冷蔵庫が普及した今日にあっては、「よく冷えた飲み物」でもってダイレクトに体の芯を冷やしたくなります。
 さあ、こうなると大変。「脾=胃」が、びっくり仰天!
 一気に大量の冷水を補給すると、「体の中で水害が起きてしまう」と心得えてください。限度を超えた冷水は、「脾=胃」の処理能力を超えてしまい、何ともなりません。ましてや、昭和の高度成長以降は、「異常に冷たい物」が容易に「胃の腑」に入ってくるようになったのですから、大変なことになります。
 これが頻繁に繰り返されると、「冷たい物中毒」になってしまいます。
「冷たい物中毒」がいかに恐ろしいものであるかは、まだ十分には認識されていないようです。
(参照→暑くなった5月半ば、“冷たい物中毒”から脱却するチャンス!
 かといって、何らかの形で体を冷やさないことには体に熱がこもってしまいます。
 さてどうしたものか。
可能であれば、日中に「水風呂」に入ることですし、夜の入浴時には、前後にたっぷりと冷水シャワーを浴びることです。
 こうして体の表面の熱を取り、体の芯からは決して熱を取らないことです。

 日本では、暑くて暑くてたまらない、今のような時期には「冷たい物」で水分補給するのが一般的ですが、漢方の本場、中国では「暑い時期はお湯を飲むべし」という習慣が身に付いています。かえってそのほうが喉の渇きが収まりますし、しっとり汗をかいて体熱を放散してくれるのです。
(参考記事)暑い時期はお湯を飲むべし(三宅薬品・生涯現役新聞N0.271)

 本題の夏の土用の食事ですが、これも、基本は春の土用と同じです。
 五味に注目してください。脾が欲しがるものは、甘味でしたよね。それに塩味を足し、辛味を添えれば満点です。避けねばいけないのが酸味で、苦味はほどほどであれば気にすることはないというものです。
 夏の土用といえば、鰻(うなぎ)の蒲焼です。土用丑(うし)は、皆さんご存知のとおり。この鰻の蒲焼ですが甘味があります。どの鰻屋さんも秘伝のタレに甘味を入れていますが、漢方では肉は甘味の食品としていますから、甘味の塊のようなものです。
 そして、タレは醤油などの塩味がたっぷり付いています。大汗をかけば塩分を失いますから、適度の塩味が求められます。
 鰻の蒲焼に必ず添えられるのが、山椒です。これは辛味です。
 漢方食学から評価すれば、この三味の組み合わせは、満点の調理法となります。
 加えて、柔らかくて消化しやすいですから、この時期に気を付けたい「消化吸収」にもってこいの料理です。
 日本料理には、こうした漢方食学の五味が、知らず知らず生かされているものが多いのですが、味覚という面からも、三味の組み合わせはとてもうまくできています。

 残りの2味は酸味と苦味で、酸味を避け、苦味はほどほどに、ということになります。
 先に、苦味について申しましょう。この時期の苦味の代表は、ビールです。苦味はほどほどにした方がよいですから、ビールは嗜む程度に止めたいものです。冷えたビールのがぶ飲みは、先に書きました「体の中の水害」どころか「大洪水」と心得た方が良いでしょう。ちなみに、西欧では猛暑にならないこともあって、ガンガンに冷えたビールを飲むことは決してしませんし、氷を浮かべた水というものもありません。

 最後に酸味ですが、その前に、「食い合わせ」というものがあって、「てんぷらとスイカ」がよく知られています。この組み合わせは胃に負担がかかり、消化不良を起こしやすいですから、特にこの時期に問題となる「食い合わせ」の一例です。
 この「食い合わせ」に「鰻と梅干」というものがあります。これは理由が分からんから間違いだと言われるのですが、漢方食学の五味の理論からすれば、土用には酸味を避ける必要があるから梅干は控えなさいとなって、皆が一度は食べたくなる鰻は夏の土用の時期ですから、これで正しいのです。
 この理論に従って、「春は酸味が必要だから梅干を食べ、春の土用は酸味を控えるために梅干を食べるのを止め、夏はほどほどであれば良いから小梅を食べ、夏の土用は再び梅干を食べるのを止める。」というのが正解かというと、決してそうではありません。
 何ごともバランスの問題でして、夏の土用に酸味を抑えすぎると、これを欲しがる肝臓が弱るでしょうし、甘味(肉を含む)が必要だからといっても、度が過ぎれば、これを欲しがっている胃とてトラブルを起こすに決まっています。
 特に、飽食時代の今日の日本人にあっては、血液がドロドロになっていますから、血液をサラサラにしてくれる梅干は年中欠かせないですし、また、その酸味の主成分であるクエン酸はエネルギー回路を円滑に回すのに欠かせない有機酸ですから、梅干は土用の時期であっても食べたいものです。朝に1粒で良いですからね。
 それに上乗せして、昼食に鰻丼と梅干では、酸味の摂り過ぎと考えたいです。
 つまるところ、今日の日本において「酸味を避ける」とは、調理する上で土用には「酢を控え目にする」という配慮を働かせれば良いでしょう。
 例えば、酢の物は日本料理に付き物ですが、土用には酢を控え、春には強くするといった配慮です。老舗の高級料亭では、このように季節によって味付けを変えておられるようです。

(備考)2011.7.20投稿、2015.7.22微修正、2016.7.17一部追記。2018.7.19一部追記。以下、毎年日にち改訂。

五行配当表
(下図) 各ブロックの端に味が表記されています。
     
 「水」・「冬」のブロックの左端が味の「鹹」ですが、塩のことです。

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ラムネ瓶の栓にする玉はA玉、じゃあビー玉って何だ?

2023年07月10日 | 心に安らぎを

ラムネ瓶の栓にする玉はA玉、じゃあビー玉って何だ?

 浄土真宗の東本願寺出版「法語カレンダー随想録 今日のことば2022」という小冊子、もう1年半以上前のことになるが、これをいただいた。その中に興味ある随想録がしたためられていたのを、今になって思い出したので、遅ればせながら皆さんに紹介したい。

(著:谷大輔(京都教区良覺寺住職))
 ラムネ瓶の栓をするための玉を何というかご存じですか? 一般的にあの玉は「ビー玉」と呼ばれますが、正式な名称を「A玉」というそうです。
 ラムネは炭酸水ですから、しっかりと栓をする必要があります。そのため栓の役割をするガラス玉は完全な円形で少しでも傷があってはなりません。厳しい規格審査に合格したものがラムネ玉として認められた”A玉”になれます。そして規格審査の“A”に不合格だった玉は、“B”、つまり“B玉”と呼ばれています。B玉は規格に不合格ではあるけれど、せっかく作ったものを捨てるのはもったいないので、ラムネを買ってくれる子どもにあげようと駄菓子屋に置かれるようになりました。やがてB玉は「ビー玉」と呼ばれるようになり、いまも広く親しまれています。
 皆さんはA玉ですか? それともB玉ですか? 自分を振り返った時、A玉のように挫折なく生きてこられたと思える人は少ないでしょう。誰しもB玉のように、世間の価値観から落ちこぼれて、挫折して唇を嚙みながら悔し涙を流した経験が、大なり小なりあるのではないでしょうか?
 世間には人間をはかる価値観が溢れています。有用や有益で人間がランク付けされ、間に合う人間には居場所が与えられますが、世間の価値観からふるい落とされた人間の居場所は、小さく狭くなって、どこにもなくなってしまいます。
 そういった世間を生きていると、知らず知らずに世間の価値観は自分の価値観になります。A玉のように時流に乗りうまく生きられているときは何も問題を感じませんが、B玉のように世間から価値のない者と見捨てられたとき、自分で自分をはかり、「こんな自分でなかったら」と自分で自分を見捨ててしまいます。そして、自分を価値のないものと認めたくないから、自分より下の人間を探すことで自尊心を保とうとする。生きるということの意味を、世間の価値観だけで見出そうとすると、劣等感、そして優越感から解放されることはないのです。
 仏の教えは世間を「覆真(ふしん)」と言い当ててくださいます。世間の価値観は、真実・本当のことを覆い隠しているから、世間に生きる我々は本当ではないことを本当のように勘違いし、迷い、苦悩しているのです。
(中略)
 B玉は審査に合格できなかった規格外の落ちこぼれかもしれません。しかしビー玉は、えらばれ、はかられ、見捨てられるという価値観ではないところで、今でも居場所があります。無条件にそのままを受け入れられているそのすがたは、濁った眼で覆い隠されて見えないけれども、我々が深いところで求めている真実・本当のことを教えてくれているように思います。
(引用ここまで)

 いかがでしょうか。誰しも存在価値は等しく持っており、その存在価値に優劣は付けられないというもの。
 坊主もたまにはいいことをおっしゃる、という3分法話でした。
 仏教は宗教にあらず。釈迦は思想家であり、釈迦は人々に人生の生き方を知らしめたにすぎない、と小生は捉えています。もっとも、その思想にたどり着くまでの思考は哲学であり、その後に発展した仏教哲学は実に奥深く、これぞ真理、といった感がしますが、再度言いますが、この仏教哲学も宗教とは無縁のもの。

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24節気の健康と食養:小暑から大暑まで

2023年07月06日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:小暑から大暑まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
小暑 初候 温風至(あつかぜ いたる)暖い風が吹いて来る
   次候 蓮始開(はす はじめて ひらく)蓮の花が開き始める
   末候 鷹乃学習(たか すなわち わざを なす)鷹の幼鳥が飛ぶことを覚える

 夏至の次にやってくる24節気が小暑で、毎年7月7日頃(2023年は7月7日)になります。
 気温もどんどん高くなって、この先、大暑でもってピークを迎えるというのが、中国中心部の気候で、梅雨はありません。中国で梅雨があるのは、長江下流域とその西方の中国南部だけです。北海道を除き、全国的に梅雨がある日本ですから、中国とは季節の捉え方が随分と変わったものとなります。
 芒種の頃から始まった長丁場の梅雨は約3分の2が終わって、残すは約3分の1となり、ほぼこの節気の期間と一致します。ジメジメ感、蒸し暑さともにピークに達します。
 長雨で外に出られず、室内で椅子に腰かけたまま、という姿勢をとり続けて、猫背になり、肩こり・首のこりが起きやすい時期でもあります。そんなとき、腰かけたままで隙間時間にすぐできる、とっておきの体操があります。“空に向かってボート漕ぎ”といった感じの簡単な体操で、所要時間60秒ほど。やってみてください。
 → 「猫背、肩・首こり」全解消!医師考案の"凄い体操"
  ( 医学博士池谷敏郎氏考案の
「脱・E.T.体操」:東洋経済オンライン2023.5.6) 

 夏至が過ぎたとはいえ、昼の長さはまだまだとても長く、それによって活動時間も長くなり、夏:心の季節ということもあって、心臓の働きは活発になります。人の体は、夏:心の季節に十分に対応していることでしょう。
 
これを踏まえた夏の食養生法を下記の記事で紹介しています。ご参照ください。
  
立夏は夏の入り、五味を上手に夏食に。先ずは「心」が求める苦味です。

 ここでは、小暑から大暑までの養生について、前々回の芒種や前回の夏至とかなり重複しますが、夏の季節として特徴的なものを紹介することにしましょう。
 昼間がとても長いですから、その分活動量が増え、心臓も長時間働かされます。よって、エネルギー代謝をスムーズにしてあげる必要があります。
 芒種の頃から旬となっているのがタマネギです。これといった栄養価はないものの、特有の刺激臭「硫化アリル」がビタミンB1を活性化させ、これによってエネルギー産生回路を円滑に回す、つまりスタミナ食になりますから、心臓にとって実に望ましい食品といえます。旬のタマネギを大いに食したいものです。
 つの味「五味」についても頭に置いといてください。漢方では、五臓のバランスを整えるため、夏は<主・苦味、従・辛味、添・甘味>この三味の組み合わせを最適としています。料理は、この三味を頭に置いて行っていただきたいものです。
 この頃から旬となるのがゴーヤです。苦味食材の代表です。おおいにゴーヤ料理を食していただきたいものです。なお、ゴーヤの苦味が苦手な方は、味噌料理とすれば、かなり苦味を隠せます。

 次に、梅雨時の養生について説明します。これの詳細な解説は、次をご覧いただくとして、ここでは簡潔に要点を述べます。
  梅雨時の健康法は「湿熱」疾病と「冷たい物中毒」の合併症からの脱却
 梅雨時は「湿熱」で「脾=胃」が弱っていますから、胃に負担がかからないよう、油っこいものを避け、よく噛んで食べるのが第一となります。また、この時期、通常はエネルギーの消耗が少ないですから腹八分とし、食欲も落ちてきますから美味しく食べられるものを少しずつあれこれ食べるのが良いということになりましょう。
 そして、梅雨の晴れ間には少しはお日様に当たりたいものです。骨を丈夫にする活性化ビタミンDは皮膚で太陽光線により作られるのですからね。特に朝日を浴びるのは重要です。というのは、「幸せホルモン」セロトニン、「睡眠ホルモン」メラトニンを体内で十分に作るには先ずは朝日を浴びるに限るからです。これについては「
セロトニンとメラトニンを十分に出す生活習慣を」で解説しましたのでご覧になってください。

 この時期になりますと、晴れた日の屋外は、蒸し暑さがとてつもないものとなります。長時間屋外にいると体に熱がこもってしまいます。熱中症の危険が大です。
 よって、この時期は旬が盛りとなったキュウリ、トマト、ナスを生食で毎日いただくと良いです。これら夏野菜は体の芯を冷やしてくれる力があり、これは生食に効果があります。ただし、熱をかけると冷やす効果は大きく落ちてしまいます。

 ところで、中国中心部においても、小暑の節気には雨が比較的多く、現代の中医学では「蒸し暑くうだって、食欲がなくなる。こういうときは、粥そして野菜と豆をとろ火で煮込んだスープなど温かくて柔らかい食事をとり、生ものや冷たいものを避けるべし。暑さしのぎに果物を食べるのもよいが、胃腸の負担を考えて適量にすること。」と言われています。
 こうしたことからも、この時期、「胃腸が弱っているな」と感じられたら、夏野菜の生食は控え、お粥や野菜煮込みスープがいいでしょう。なお、肉もどれだけか食べたいとなれば、豚肉の細切れを入れた野菜たっぷりの蒸しシャブ料理がおすすめです。我が家ではこれからの時期、ときどき夕食に登場します。汗をかきながらの蒸しシャブはなかなかいいものです。
 そして、食後のデザートとして冷蔵庫で冷やした「ニッキ味の寒天菓子」です。寒天は水溶性・不溶性の両方の食物繊維の塊ですから、腸内環境改善に最適です。そして、ニッキは漢方で言う「桂枝(けいし)または桂皮(けいひ)」で、体の芯を温める作用がありますから、冷えた寒天菓子でも腸にダメージを与えることはないでしょう。

 蒸し暑さが高まれば、現代では職場に快適な冷房が入ります。すると、体が冷えすぎてしまい、様々なトラブルが発生しだすのもこの時期です。その場合は、前回の「夏至から小暑」の記事でも書きましたが、正しい入浴法がとても効果的です。
 それを再掲しましょう。
 温めの湯に長く浸かり、汗が出だしたら体の芯が十分に温まったことでしょうから、湯上がりに冷水シャワーを気持ちいい程度に浴びます。すると、皮膚がしまり、熱を閉じ込めてくれます。ただし、いきなり全身に冷水を浴びると心臓麻痺を起こしそうになりますから、先ずは手足だけ、次に下半身だけ、といった具合に少しずつ体を慣らしてください。
 初めて冷水シャワーに挑戦なさる方は、次の記事を参照ください。
 今がチャンス!始めましょう、冷水シャワー。万病に効果あり。ただし、夏を過ぎても毎日実行。

 入浴以外の冷房病対策として、貼るカイロの利用があります。つぼは「環跳(かんちょう)」で、ここに貼るカイロ(ミニサイズがいいでしょう)を貼ります。「環跳」は、立ったときにお尻の両脇にできるくぼみ(肛門をキュッと締めると、よりくぼむ)です。ここに下着の上からカイロを貼ると、その温もりが体の奥へ伝わりやすくなります。腰痛、下痢、生理通、頻尿、お腹の冷えにも効果的です。
 そして、体が冷えた方におすすめの食材は「ニラ」です。ニラは漢方では別名を「起陽草」といい、この時期の体を温める代表的な食材です。
 また、夕食で汗をかくのもいいです。先におすすめしましたお粥や野菜煮込みスープあるいは蒸しシャブなどいかがでしょうか。

 次回は、「大暑」(7月23日頃)からの健康と食養です。

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