46歳大リーガー、ノーラン・ライアンに学ぶ。肉と油脂を制限、ミネラル補給で選手生命を保つ
恐竜の絶滅は、巨大な隕石が地球に衝突し、環境に大異変を生じたからと言われています。そして、その死因は何かというと、一説には、ミナラルの1種、マグネシウム欠乏だったそうです。人も、マグネシウムが欠乏すると突然死しますから、あり得る話です。
ミネラル欠乏については、18世紀に鉄貧血が発見されるなど、古くから分かっていました。でも、日本では、鉄以外は一般的でなく、ほとんどの人は全てのミネラルが足りており、最近まで注目されませんでした。
ところが、昭和30年代から、食事の洋風化が始まり、今日に至っては、食生活が一変しました。下表をご覧になってください。
これからすると、ミネラルは十分に摂取できているやに感じられます。
1日当たりの食品供給量(単位:グラム)(小数点以下四捨五入)
1935年 1965年 1994年 94年/35年の倍率
米 346 315 182 0.5
小麦 29 71 91 3.1
芋類 77 83 56 0.7
豆類 25 25
野菜 205 273 282 1.4
果物 61 61 117 1.9
肉類 5 14 84 15.5
乳製品 9 61 244 28.1
鶏卵 6 17 49 7.7
魚介類 38 76 84 2.2
砂糖類 36 41 54 1.5
油脂類 2 12 40 18.8
ところが、化成肥料による野菜の連作、促成栽培によって、野菜のミネラルは低下し、また、加工食品にすることによって、さらにひどいものになります。
加えて、肉(戦前の16倍)、油脂(戦前の19倍)などが極端な摂取過剰になって、これにより、ミネラルの吸収力が落ち、かつ、体外流出が激しくなります。
昔に比べて食品の摂取量が増えても、ミネラル不足になってしまう今日です。
世界中で、この傾向があり、欧米ではミネラル対策が進んでいます。
特に米国ではサプリメントで積極的に補給される方がけっこう多いようです。
一例をご紹介しましょう。
1993年に、46歳で大リーガーを引退したノーラン・ライアンは、7度のノーヒット・ノーランを記録し、生涯奪三振5,714という大リーグ記録を作った偉大な投手で、引退の年にも5勝をあげ、時速151キロの豪速球を投げていました。
このような“高齢”まで、先発投手として活躍できたのは、彼の栄養指導者が、肉と油脂の摂取を制限しつつ、不足するミネラルを計画的に補給させたことが、大きな要因になっています。
今日、日本人の体力が昔に比べて格段に落ち、長持ちしなくなったと言われています。
例外的に、プロ野球選手には、西武の工藤公康や中日の山本昌のようにノーラン・ライアンと同程度の年齢まで現役を続ける投手もいますが、40歳を過ぎれば勝ち星も球速も随分と落ちていますから、彼の比ではないです。
やはり、今の日本人は、ミネラル不足の傾向にあるから、こうしたことにもなるのではないでしょうか。そして、ミネラル不足は、肥満の原因にもなります。
摂取したカロリーをエネルギーに変えるにはミネラルが不可欠です。ミネラルが不足すると完全燃焼できず、体内脂肪として蓄積してしまいます。
日本人皆、ミネラルは積極的に補給したいものですね。そして、肉(戦前の16倍)と油脂(戦前の19倍)を根本的に見直し、ミネラルの体外流出を防がねばなりません。
(この記事は、当店「生涯現役新聞」2003年5月号を一部改変、追記したものです。)
(2015.3.19補記)
ノーラン・ライアンが46歳まで大活躍できたこと、昔の日本人の体力は随分と長持ちしたこと、この2つに共通する原因の一つは次のとおりです。
動物性タンパク質をたくさん摂ると成長スピードが速くなりますが、ここに危険な落とし穴があります。それは、「成長」はある年齢を超えた時点で「老化」と呼ばれる現象に変わるということです。つまり、成長を早める動物性タンパク質の摂取は、別の言い方をすれば、老化を早める食事ということになるのです。肉を好んで食べている人は、健康を害し、老化を進めているということをしっかり覚えておいてください。