宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

NASAの新型ロケット(SLS)が、基本設計審査会を通過

2012年12月30日 | スペースシャトル ~ SLS, オリオン
NASAは、スペース・ローンチ・システム(SLS)のコア・ステージが、基本設計審査会を通過したと発表しました。

2030年代に実施が計画されている有人小惑星・火星探査。
これを目指して開発されている新型ロケットが、SLS(Space Launch System)です。

現在、NASAやボーイング社を中心に開発されていて、
開発が中止されたアレスI/Vロケットとは異なり、エンジン数を増やしたり、より強力な第2段ロケットを追加することができます。
これにより、有人宇宙船の打ち上げから、重い貨物の打ち上げまで、単一のロケットで対応できるんですねー

このロケットのコア・ステージ(第1段)には、
スペースシャトルで使われていたエンジンやタンクを改良したものが使われ、
その両脇を固めるブースターも、スペースシャトルの固体ロケットブースター(SRB)を改良したものが使われるんですねー

まぁー スペースシャトルの部品を組み合わせることによって、
低コストでかつ、スペースシャトルの持つ信頼性を受け継いだ、強力なロケットを建造することを目指しているということです。
ゆくゆくは、より安価なエンジンや新開発のブースターが使われる見込みです。

基本設計審査会とは、設計が当初の要求を達成できているか、
また、スケジュールや予算が妥当であるかを確認するためのものです。

今回、コア・ステージの審査が通過したことで、ブースターや上段など、コア・ステージと結合される他の部品の設計を固めることができるようになります。

2014年には詳細設計審査会が待ち構えていて、これを通過すればいよいよ実機の製造に入ることができるんですねー

そして、2017年にはSLSの初号機の打ち上げが予定されています。
この飛行では、無人のオリオン宇宙船を月に送り、月の裏側を通ってそのまま地球に帰還させるミッションになるようです。


こちらの記事もどうぞ ⇒ ディスカバリー最後の打ち上げ

ロケットを装備して初の滑空試験を実施 “スペースシップ2”

2012年12月29日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
ヴァージン・ギャラクティック社は19日、
“スペースシップ2”にロケットエンジンを搭載して、初めての滑空試験を実施しました。

“スペースシップ2”は、現在ザ・スペースシップ・カンパニーによって開発が行われ、
ヴァージン・ギャラクティック社によって運用される予定の“サブオービタル宇宙船”です。

“サブオービタル宇宙船”とは、
スペースシャトルやソユーズ宇宙船などとは異なり、
地球を回る軌道には乗らないんですねー

でも、一般的に宇宙とされている高度100キロを飛行する宇宙船です。

宇宙にいられる時間は数秒なんですが、“青い地球”や“黒い空”を眺めることができ、
自由落下時には無重力状態も味わえます。

現在、いくつかの会社によって“サブオービタル宇宙船”の開発が行われていて、
その中でも“スペースシップ2”は、もっとも実現に近い機体なんですねー

“スペースシップ2”は、2010年から滑空試験を開始し、
今年の8月までに22回の試験を行ってきました。

この後、“スペースシップ2”にロケットエンジンや熱防護システムを、
搭載・装着する作業が始まっています。

これにより、実際の宇宙飛行に向けた機体造りは進み、
12月19日、本番にきわめて近い構成での“スペースシップ2”による滑空試験が、
実施されることになります。

今回の飛行に関して、ヴァージン・ギャラクティック社は
「すべての目的を達成した」と発表しているので、どうやら試験は成功したようです。

実用化に向けた次のステップは、ロケットエンジンに火を入れて飛行すること。

今年の5月30日にアメリカ連邦宇宙局(FAA)から、飛行試験の許可が与えられているので、
年内にも、“スペースシップ2”による高度約100キロメートルへの弾道飛行が、
実現すると期待していたんですがねー

ヴァージン・ギャラクティック社によれば、
ロケットエンジンを用いた空中での打ち上げ試験には、
あと最低でも2回の滑空試験が必要なようです。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 今度はヴァージンの“スペースシップ2”

宇宙の美しさ、巨大なスケール感 “はくちょう座ループ”

2012年12月28日 | 宇宙 space
1500光年先に広がる、巨大な超新星の残骸“はくちょう座ループ”








6億画素の画像に収まった
“はくちょう座ループ”の全容






満月の約45倍にも広がるその全容を、“6億画素”およそ1.7ギガバイトもの巨大サイズで詳細にとらえた画像が初公開されました。

“はくちょう座”ループは、約1000年~1万年前に起こった超新星爆発により放たれたガスの残骸です。
地上から見ると、月の45倍近い面積にまで広がる巨大な天体なんですねー

1784年にイギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルが、初めての観測記録を残しています。
でも、あまりに大きいので、それぞれの部分が別の天体として分類されてきました。

たとえば、東側(画像の左側)は“NGC 6992”、“NGC6995”、“IC 1340”
中央上は“NGC 6960(網状星雲)”、西側(画像の右側)はピッカリングの三角(網状星雲)
っといった具合です。

今回初公開された画像は、2003年にアリゾナ州のキットピーク国立天文台で撮られています。
0.9メートル望遠鏡に、広視野モザイクカメラを取り付けて撮影されました。

天文学の研究では多くの場合、より深い分析のために、とらえた画像は地味な数値情報の表やグラフに変わってしまいます。

でも、このような画像は、我々を囲んでいる宇宙の美しさ、巨大なスケールを感じることができていいですねー

火星のイエローナイフ湾を調査中 探査車“キュリオシティ”

2012年12月27日 | 火星の探査
今月上旬に“Shaler”と呼ばれる、岩石が露出している場所で成分や構造を調査した、
NASAの火星探査車“キュリオシティ”。







“キュリオシティ”が撮影したShaler




その後、中旬には約0.5メートルの傾斜を下りて、
イエローナイフ湾と呼ばれる、浅い盆地で岩石の調査を続けています。
14日には“コステロ”と“フラハーティ”と名付けられた岩石を分析し、写真も撮影しています。






“キュリオシティ”の移動経路
着陸してから667メートル移動した




今後は、“キュリオシティ”の運用チームが年末休暇に入る前に、
もう一度盆地内部で移動し調査を行う予定です。

来年初めには、振動ドリルを使って岩石内部から、サンプルの採取を実施する予定です。
この調査は、粉末状にした岩石サンプルを、ふるいにかけて分析するという、火星探査では初めての試みになるようですよ。

12光年先に第2の地球を発見?

2012年12月26日 | 宇宙 space
12光年かなたにある“くじら座”の3等星に、5個の惑星候補が見つかりました。
そのうちの1つは地球の5倍の質量を持ち、中心星からの距離は水が液体として存在できる範囲にあるそうです。

ようするに、地球から12光年先に“第2の地球”の可能性がある惑星を発見したということです。
しかも、太陽系外で生命が存在する可能性がある惑星としては、これまで発見された中で最も地球に近いんですねー











発見された惑星系
(イメージ図)








ハワイのケック天文台などによる観測で、惑星候補が見つかったのは、12光年かなたにある太陽と同タイプの恒星“くじら座τ(タウ)”です。

5つの惑星は、地球の2~5倍の質量を持つ“スーパーアース”で、
そのうち1つは、生命の存在に欠かせない水が、液体として存在できる範囲“ハビタブルゾーン”にあるんですねー

“くじら座τ(タウ)”との距離は、太陽と金星ほどで公転周期は約168日で、大気が存在する可能性もあるとか…
質量は地球の約5倍で、これまでハビタブルゾーンで見つかったものとしては、もっとも軽いものになります。

研究チームは、小型の系外惑星に由来する弱いシグナルを、検出するための技術をすでに開発していて、
今回の発見は、そのテスト観測中にもたらされた予想外のものだったんですねー

また、恒星としては非常に近くにあり、しかも明るいので、
遠くない将来に、これらの惑星の大気を調べることができるかもしれません。

こんなに近くに見つかったということは、ひょっとすると天の川銀河には、こうした惑星系がありふれているのかもしれませんね。

でも現在、分かり始めているのは、
複数の惑星がそれぞれ100日以下の周期で、1つの恒星を回るような惑星系が多数派なのでは?
っということです。

公転周期88日の水星が、一番内側という太陽系は少数派みたいです…