宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

衝突か通過か? ハロウィンに小惑星が最接近!

2015年10月31日 | 宇宙 space
ハロウィンの夜、高層ビルよりも大きな小惑星が、
地球の近くを通過するそうです。

なんでも、2013年2月にロシア上空の大気圏に突入した、
チェリャビンスク隕石の約30倍なんだとか…

ただ、この小惑星が通るのは月のすぐ向こう側、
でも天文学的スケールでいうと、すれすれの位置になるんですねー

発見はごく最近

NASAの地球近傍天体(NEO)プログラムに所属する天文学者たちが、
この小惑星を発見したのは10月10日。 最接近のわずか3週間前のこと…

あまりに小さく、かすかなため、
調査用の大型望遠鏡の範囲に入るまで発見されなかったそうです。

いまでは、科学者が毎晩スクランブル体制で、
小惑星の軌道や形、大きさなどを追跡し続けています。

この小惑星の正式名称は“2015 TB145”なんですが、
スプーキー(不気味なもの)と名付けられ、直径が290メートルから650メートルもあるようです。

ただ、レーダーによる測定ができるようになるまで、
正確なサイズは分からないんですねー

そして、もっとも正確なサイズが分かるのが、最接近するハロウィンの日。

予想の中間の470メートルと見積もっても、
2013年にシベリアのチェリャビンスク州に落下して派手に燃え尽きた隕石の、
およそ30倍もの大きさになります。
スプーキーの直径は、
直径650メートル(大きな円)から290メートル(小さな円)と予想されている。

NASAが小惑星の経路を計算した結果、
地球の近くを安全に通り過ぎることが分かっています。

通過時の速度は秒速35キロと、高速で飛ぶ弾丸のおよそ29倍におよび、
アメリカ東部時間で10月31日午後1時5分(日本時間11月1日午前2時5分)、
月の軌道の少し外側を通過する見込みです。


ぎりぎりのニアミス

実は、地球近傍を通過する小惑星は、それほど珍しくはありません。

今年の1月には、“BL86”がスプーキーと同じくらいの距離まで近づいています。
最接近時の距離は月までの距離の1.3倍。

次に同じようなニアミスが起こることも分かっていて、
2027年8月には“1999 ANIO”が月の距離を通過します。

でも、これまでの状況を考えると、
もっと近い将来に、同じようなニアミスがあることも十分に考えられるんですねー

そこでNASAは、スプーキーを含む天体に今後も注目し、
経路予測と将来の危険予測を行っていくそうです。
太陽系のスケールで見ると「すれすれ」だと分かる。

スプーキーのニアミスは、
その距離と大きさから、高解像度画像を撮影するチャンスとも考えられています。

そこでNASAが立てた計画は、
ゴールドストーン深宇宙通信施設の34メートルのアンテナから電波を発信、
小惑星の表面を反射させ、戻ってきたレーダー反射波を観測するというもの。

レーダー反射波の受信には、
アメリカのバージニア州およびプエルトリコの電波望遠鏡が用いられるようです。

NASAにとってこの観測は、
地球近傍を通過する天体の画像を2メートルの解像度で観測する、
初のケースになるそうです。

地球近傍天体は、これまでに約1万3000個が記録されています。

でも、スプーキーと同程度の大きさの小惑星のうち、
観測されているものは、わずか30%でしかないと考えられています。

さらに、30メートル以上のものに関しては1%未満なんだとか…

30メートルとはいえ、都市を1つ破壊しかねない大きさななのに、
ほとんど分かっていないんですねー


こちらの記事もどうぞ ⇒ 地球の近くを通過した小惑星“ビースト”

再使用ロケット“ファルコン9”を着陸させよう!

2015年10月30日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
アメリカのスペースX社が挑戦しているロケットの回収と再使用。
そのロケットの回収を体験できるゲームが公開されているんですねー


第1段機体の着陸

プレイヤーが目指すのは、
上空から帰ってきた“ファルコン9”ロケットの第1段機体を、
うまく制御して、海上に浮かぶ船の上に着陸させること。

操作できるのは機体下部のロケットエンジンの噴射と、
上部のスラスターにより、機体を左右に傾ける操作だけ…

また上空から帰ってくるのは、打ち上げを終えたロケットの第1段機体なので、
噴射に使える推進剤の量も少なくなっているんですねー

その中で、ゆっくりと、なおかつ垂直に降ろさないといけないので、
もし少しでも規定値を超えると、爆発、炎上してしまいます。

ゲームそのものは、かつてアメリカのアタリ社が開発した、
あの有名な“月面着陸ゲーム”と似ているのですが、
地球の重力は月よりもはるかに大きいので、
難易度はこちらのほうがはるかに高いようです。

ステージは、船が固定された状態と、動いている状態、
そして陸上への着陸と3つが用意されています。
SpaceX Falcon 9 Lander (now with Autopilot)


ロケットの回収はゲームでも難易度は高かった

あまりにも難易度が高かったためか、
9月21日には“オートパイロット”モードが追加されたんだとか。

完全自動で着陸する様子を眺めるだけなんですが、
手動で遊ぶ際の参考にはなります。

なお“オートパイロット”でも、
難易度によっては高確率で失敗するそうです。
スペースX社は、ロケットの打ち上げコストを大幅に下げることを狙い、
打ち上げ後の第1段機体を、海上や、無人の船の上に降ろす試験を、
繰り返し行っています。

これまでに7回、
海上(5回)や船の上(2回)に着陸させる試験を行っているのですが、
目標地点の上空まではたどり着けても、着陸には成功していないんですねー

さて、ゲームでは何回目で着陸できるのか? チャレンジしてみませんか。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 補給船の打ち上げは成功したけど着地は失敗に… ファルコン9ロケット

地球外文明の巨大建造物かも!? 恒星を周回する謎の物体…

2015年10月29日 | 地球外生命っているの? 第2の地球は?
地球化から約1500光年の距離にある謎の星…

この星は明るさの変化パターンが異常なので、
この恒星を周回する「巨大な何かが」存在している可能性があるんですねー

このことに関しては、科学者らの間で議論を巻き起こしていて、
一部では、地球外文明が見つかるかもしれないという説まで出ているようです。


奇妙な光度曲線

謎の星“KIC8462552”の明るさの時間変化を示す光度曲線が奇妙なのは確かでした。

ただ、それは「太陽系外惑星や二重星の標準的な高度曲線に似ていない」っというだけで、
すぐに宇宙人と結びつけるには、少し無理があるようです。

また、“KIC8462852”が異常な高度パターンを示すことについて、
周囲を物体が周回しているからかもしれません。

まぁー とにかく、このような恒星については、まだ何も分かっていないということです。


何かが恒星面を通過している

2009年に打ち上げられたNASAの系外惑星探査衛星“ケプラー”は、
惑星の恒星面通過(トランジット)現象を観測するトランジット法で、
遠方の恒星を周回する惑星を探査してきました。

これまでに3000個以上の系外惑星候補を発見してきたんですねー
NASAの系外惑星探査衛星“ケプラー”(イメージ図)。

トランジット法とは、
惑星が恒星の手前を通過(トランジット)する時に見られる、
わずかな減光から、惑星の存在を検出する方法です。

通常、惑星が恒星の前を通過するとき、
数時間から数日の間、恒星の光を遮ることになり、
やがては恒星の背後に消え、また正面に現れます。

でも、謎の星“KIC8462852”では一度に80日間も光が弱まり、
それが起きる間隔も不規則でした。

また“KIC8462852”から発せられる光は、
不規則な間隔で15~22%減光するように見えています。

もし、この惑星が太陽系最大の木星くらいの大きさだとしても、
“KIC8462852”と望遠鏡の間を、この惑星が通過する際に起きる減光は約1%。

なので、惑星は減光の原因にはなり得ないと考えることができます。

それでは、減光の原因は何になるのでしょうか?

原因として、
“ケプラー”の不具合、小惑星の集合、衝突で発生した大量の彗星残骸など、
さまざまな自然のシナリオが調査されています。

ただ、チリや岩石の集まりである可能性は低いようです。

チリや岩石などデブリの環の存在は、
若い恒星でしか知られておらず、“KIC8462852”は若くはないんですねー
さらに、デブリがあれば余計に赤外線が放射されるのですが、それも無し…

彗星残骸にしても、
はたして15~22%もの光を遮るほど大量にあるのかということになります。

そして、かなり無さそうな話になりますが、
「異星人の建造物によって光が遮られている」という説がでてきます。


地球外文明説はワクワクするけど…

文明の技術が発達するにつれて、
エネルギーの需要はますます高まることになります。

物理学者フリーマン・ダイソンは、
高度に進化した文明は、いずれ恒星のエネルギー全てを利用する必要に迫られ、
おそらく恒星を丸ごと覆って、エネルギー全てを集める建造物を建設する。
という仮説を唱えています。
その派生的な建造物がダイソン・スウォームになります。

これは恒星エネルギーの収集装置で、恒星全体を覆ってしまう代わりに、
その軌道を周回させるものです。太陽フレアにどう対処するのか分かりませんが…

そして“KIC8462852”の光度パターンを、
地球外文明のしるしとして解釈する学者も存在します。

宇宙人が建造した恒星エネルギーの収集装置のような“巨大構造物の大群”を、
減光の原因としているんですねー

地球外文明についてNASAはかなり慎重で、
“KIC4110611”として知られる別の恒星も、奇妙な光度曲線を示すことを指摘しています。

実は、この恒星“KIC4110611”の光度曲線は、
数年に及ぶ研究の結果、5連星系であることが原因だと判明しています。

まだまだ、知られていない自然のシナリオの方が可能性が高いように思えますね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 惑星の“大気汚染”を観測すれば、異星人が見つかるかも?


若い恒星を取り巻く、華やかな二重リング

2015年10月28日 | 宇宙 space
アルマ望遠鏡が、
若い恒星“おおかみ座IM星”の周りに、二重の華やかなリングをとらえたんですねー

この二重のリングは、今まさに惑星が形作られている円盤“原始惑星系円盤”にあり、
予想されていた内側のリング以外に、予想外になる外側のリングも発見されました。

この発見は、原始惑星系円盤の外側の性質を理解する手がかりになるようです。


リングの素材

若い星“おおかみ座IM星”の周りにある二重のリングは、
宇宙で最もありふれている重イオン(荷電分子)の1つ、
DCO+(重水素-炭素-酸素)でできているそうです。

ただ、宇宙にはHCO+(水素-炭素-酸素)という重イオンが多く分布しているんですねー

なのでDCO+は、HCO+の水素が“水素重水素交換”という反応で、
重水素に置き換えられたもののようです。
アルマ望遠鏡が観測した、“おおかみ座TM星”の周囲の原始惑星系円盤。
中心の恒星を取り囲むDCO+の二重リングが見えている。


外側のリングにあるDCO+

星の近くでは温度が低く、材料になる一酸化炭素(CO)ガスが豊富にあるので、
DCO+のリングが作られると考えられています。

もっと星に近いとDCO+ができるには暖かすぎで、
反対に離れてしまうと貯まっていた一酸化炭素がすべて凍り、
チリの粒や、微惑星の上に氷の膜を作ることになります。

では外側のリングのDCO+は、どうやってできたのでしょうか?

研究チームが導いたのは以下の仮説でした。

中心の星から遠くなるほど周囲の環境は冷たく暗くなります。

でも、円盤の密度がひじょうに低い部分では、
中心星からの光が、円盤の内部まで突き刺さるように届くことになります。

この光によって、凍っていた一酸化炭素が昇華し円盤中に戻っていくことで、
DCO+の生成が再び起こるというもの。

つまり、重水素でできた重い分子が、
これまで予想されていなかったような場所で、
作られる可能性があるということになります。

今回の研究により、
これらの分子が太陽系や、その他の惑星系の形成史を探る、
有力な道具になることが分かったということです。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 原始惑星系円盤に2つ目のリングギャップを、すばる望遠鏡が発見

冥王星の空は青かった!

2015年10月27日 | 冥王星の探査
NASAの探査機“ニューホライズンズ”による観測で、
青く美しい冥王星の大気のもやがとらえられました。

もやの粒子自体の色はおそらく灰色や赤。
でも、その粒子が青い光を散乱し、この美しい光景として見えているんですねー

まさか、カイパーベルトに青い空を持つ天体が存在するとは、
思いもよらないことでした。
青いもやに包まれた冥王星

地球では窒素分子が太陽光を散乱し、そのおかげで空が青く見えます。
では、冥王星の場合はどうなのでしょうか?

冥王星では、窒素分子より大きい“ソリン”と呼ばれる粒子が、
その役割を果たしているようです。


“ソリン”が表面を赤くする

“ソリン”の粒子は、高度の高い大気中で作られると考えられています。

そこでは太陽光の紫外線が窒素やメタンの分子を分解・電離し、
より複雑なイオンができていきます。

初めて土星の衛星タイタンの上層大気中で確認されたプロセスと同様に、
イオンは再結合して、さらに複雑な高分子となり、それらが結合して小さな粒子になります。

その後、粒子に霜がつき、大気中から冥王星表面へと降って、
冥王星の表面が赤っぽくなることになるようです。


水の氷が露出

また“ニューホライズンズ”は、
冥王星の表面に、水の氷が露出した領域を検出しています。

領域は小さいのですが、数多く見つかっているようです。
検出された水の氷(青い部分)

冥王星の表面は別の物質の氷で覆われているので、
広い範囲にわたって水の氷の露出は見られませんでした。

なぜ、今回の場所で水の氷が露出していて、他の場所でしていないのか?
が、今後解決すべき課題になるようです。

さらに興味深いことは、
水の氷のスペクトルがはっきりと見られた領域が、
冥王星の明るい赤い領域と対応していること。

ただ、氷はひじょうに赤いのですが、
赤っぽい“ソリン”の色素との関係は、まだ分かっていないそうです。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 【冥王星探査】“ニューホライズンズ”が最接近のデータを本格送信