宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

暗い太陽のパラドックスに迫る新しいモデル

2017年12月26日 | 地球外生命っているの? 第2の地球は?
太陽の光が弱かったはずの数十億年前でも、
地球は凍結していなかったという“暗い太陽のパラドックス”。

この謎に迫るシミュレーション研究が行われ、
温室効果を生み出す十分な量のメタンが、
地球や地球に似た惑星で生成される確率が明らかになったようです。
太陽から地球に届くのと同程度の量の光や熱を中心星から受けている系外惑星“ケプラー22b”(イメージ図)。

暗い太陽のパラドックス

標準的な太陽モデルによると、20億年前の太陽の明るさは現在の75%程度しかなく、
年齢とともに明るくなっていったと考えられています。

もし、この理論が正しければ、当時の地球は全球凍結状態だったことになるのですが、
実際には液体の水が存在していたことを示す強い証拠が発見されています。

この矛盾を“暗い太陽のパラドックス”と呼び、
当時の地球大気がアンモニアによる温室効果を生み出していたことが凍結しなかった原因と考えられています。

今回、ジョージア工科大学の研究チームが目指したのが、
この“暗い太陽のパラドックス”の解決。

多くの微生物代謝プロセスを火山性、海洋性および大気活動と組み合わせ、
この種のものとしてはこれまでで最も包括的と思われる新しいモデルを構築しています。


2種類の光合成

この仮説で主な役割を果たしているのがメタンです。

酸素とメタンは大気中に入り込むと、
化学反応の複雑な連鎖の中で時間の経過と共にお互いに打ち消し合ってしまいます。

ただ、当時の大気には酸素がほとんど無かったんですねー
なので、メタンが今よりもはるかに高い濃度に達することができたそうです。

モデルの中核となっているのは2つのタイプの光合成で、
1つは海中の鉄を錆に変え、もう1つは水素を光合成してホルムアルデヒドに変えていました。
さらに、ある細菌はホルムアルデヒドを発酵させ、他の細菌は発酵生成物をメタンに変えていきます。

現在の地球で最も有力なタイプである酸素を放出する光合成は30億年前には存在しておらず、
それとは異なる非常に原始的な細菌による2種類の光合成プロセスが、
古代の地球の生物圏に不可欠だったということです。

研究では様々なパラメータを変更し300万回以上ものシミュレーションを実施。
その結果、古代の地球を温暖に保つために必要とされるメタンが生成されることが分かります。

両方の形態の光合成が並行して働いている場合、全シミュレーション回数の24%で、
温室効果を維持し温暖に保つための大気バランスを作り出すのに十分なメタンが生成されたんですねー

モデルのパラメータは、昔の地球を調べる目的のためだけでなく、
近年発見が続いている系外惑星の環境を理解するのにも役立つように設定されています。

そう、今回の結果は太陽が暗かった古代の地球上だけでなく、
太陽よりも小さく低温な恒星を回る地球のような系外惑星上に、
約24%の確率で安定した温暖な気候が作り出されることを意味しているんですねー


こちらの記事もどうぞ
  太陽よりも小さく低温な恒星を回る惑星にも生命は存在する?