電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

映画「テルマエ・ロマエ」を観る

2012年05月08日 06時04分51秒 | 映画TVドラマ
このゴールデンウィーク中に、妻と映画に行きました。お目当ては、「テルマエ・ロマエ」というもので、実は同名の漫画を原作にしたものだそうです。古代ローマの大浴場(テルマエ)から日本の銭湯やら温泉やら家庭の室内風呂へ、大真面目に演じられるタイムスリップのきっかけは、お風呂で溺れかけること。わははははっ!実際、「驚天動地の入浴スペクタクル」でした(^o^)/

誇張された真面目さがユーモラスに映るというのは、昔も今も変わりがないのですね。主人公ルシウスの出だしのところの生真面目さは、やっぱり世間から浮いています。ローマの大浴場で溺れかけて、日本の銭湯にタイムスリップし、日本とローマのお風呂文化の違いに愕然とするあたりも、どうにも笑ってしまいます。模倣するだけで創造する才能がないと悩むルシウスは、どちらかといえば日本人的なのでは。

前半は、どちらかというとギャグで笑わそうという意図が感じられて、あまり素直に笑えないのですが、後半、ハドリアヌス帝との関わりが出てくるあたりから、ドラマはぐっとおもしろくなります。賢帝の孤独、老いの進行、ローマの膨張の停止と成熟など、時代的背景もうんちくを傾けたもののようで、好奇心を刺激します。加えて、ルシウスと心惹かれあう山越真実とのエピソードが、原作にはないものだそうですが、けっこういい味を出しています。実は、当方は芸能スポーツ領域はいたって暗く、ルシウス役の阿部寛という俳優さんは実にはまり役でしたし、上戸彩(うえと・あや)という女優さんをはじめて知りました。また、ハドリアヌス帝の後継を争うケイオニウスとアントニヌスの逆転のきっかけが傷病兵の温泉療法というあたりも、予想通りの展開ですが、やっぱり笑えます。



しかし、この映画が満足度が高かった理由は、やっぱり音楽でしょう。ラッセル・ワトソンの「誰も寝てはならぬ」をはじめ、ヴェルディの歌劇「アイーダ」「リゴレット」「ドン・カルロ」、プッチーニの歌劇「トスカ」「蝶々夫人」「トゥーランドット」など、これぞイタリア!という名曲・名演のオンパレードです。プラシド・ドミンゴとジェイムズ・レヴァイン指揮メトロポリタン・オペラによる「アイーダ」なら、DVD で楽しんでいますが、これからはこの音楽を聴く度に、ちらりと「テルマエ・ロマエ」を連想するのでしょうか(^o^)/

(*):「テルマエ・ロマエ」公式サイト
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