電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

下野竜也指揮チェコフィルでR.シュトラウス「英雄の生涯」を聴く

2012年05月13日 06時15分22秒 | -オーケストラ
季節が良くなってくると、オーケストラの音を存分に聴きたくなります。となれば、R.シュトラウス。下野竜也指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団による「英雄の生涯」を聴きました。このCDは、実は先の山響定期に下野さんが客演した際、都合悪く行けずにあげたチケットのお礼にと、知人がプレゼントしてくれたものです。

この曲については、一昨年の「アフィニス音楽祭」における山響+音楽祭参加メンバーによる合同演奏会や、ブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデンによる演奏などを、すでに記事にしております(*1,2)が、下野竜也指揮チェコフィルによるこのライブ録音も、たいへん伸びやかな、魅力的な演奏です。

第1曲「英雄」、低弦で表される英雄の雄々しさや、第2曲「英雄の敵」における、噂・陰口・嘲りの笑いなど、実にうまいです。独奏ヴァイオリンはコンサートマスターのミロスラフ・ヴィリーメッツだそうですが、軽やかに敵を描いています。こうしてみると、ブロムシュテット盤では、あくまでも地味。葛藤し内省する英雄を中心に全体を描いているのでしょう。
第3曲「英雄の妻(伴侶)」、いちばん長い楽章で、コンサートマスターの奏するヴァイオリンが、奥さんを描いているのでしょう。四管編成をフルに使った、かなり壮大な愛の歌が歌われます。
第4曲「英雄の戦場」は、勇壮な戦場の場面で、もちろん英雄は勝利します。
第5曲「英雄の業績」では、「ドンファン」「ツァラ」などのテーマが引用されます。だからシュトラウスは自分を英雄に見立てたんだろうと言われるのはもっともな話です。曲はテンポを落として回想する風情に。
第6曲「英雄の引退と完成」。「ドン・キホーテ」の終曲のテーマが使われ、田舎に引退した生活、伴侶との静かな暮らしが描かれます。

前にも書きました(*2)が、自分をアレクサンダー大王やナポレオンに見立てたと考えると、ちょいと自信過剰な誇大妄想を連想しますが、「ヒーローの人生」と訳せば印象は一変します。

英雄っていうとナポレオンとかアレクサンダー大王とかいうレベルに感じますが、ヒーローって言うと、サザン・オールスターズの桑田さんとか、野球の長嶋さんとか、たくさんいる感じ。「いや~、ヒーローの人生って、けっこう大変なんスよ~」というノリで自伝を書いちゃう人はいそうです。はたしてR.シュトラウスはどんなノリでこの曲を書いたのか、案外、長嶋さんみたいなノリだったりして(^o^)/

まあ、眉間にシワを寄せてストイックに判定するような曲ではありません。あくまでもおおらかに、オーケストラの響きを楽しむべきでしょう(^o^)/

2009年10月1日&2日、チェコ、プラハの芸術家の家、ドヴォルザーク・ホールにてライブ収録とあります。CDは avex レーベルで、AVCL-25454 という型番のもの。DSD Recording とありますが、デジタル録音であること以外は不明。下野さんのチェコフィル・デビュー時の演奏会をライブ収録したもののようです。

■下野竜也指揮チェコフィル盤
I=4'06" II=3'26" III=14'40" IV=6'41" V=6'06" VI=11'04" total=46'03"
■ブロムシュテット指揮ドレスデン・シュターツカペレ盤
I=4'06" II=3'22" III=13'09" IV=7'06" V=6'46" VI=11'01" total=45'30"

(*1):アフィニス音楽祭でモーツァルトとR.シュトラウス「英雄の生涯」他を聴く~「電網郊外散歩道」2010年8月
(*2):通勤の音楽で聴くR.シュトラウス「英雄の生涯」~「電網郊外散歩道」2010年8月
コメント