電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

香月美夜『本好きの下剋上』第5部「女神の化身X」を読む

2023年01月11日 06時00分30秒 | -香月美夜
TO出版から刊行されているライトノベル、香月美夜著『本好きの下剋上』第5部「女神の化身」第X巻を読みました。12月発売の最新刊ですが、少々ほとぼりを冷ます意味もあって、これまで記事にするのを延ばし延ばしにしてきた(*1)ものです。

前巻は、毒に倒れたフェルディナンドを救出するために、ダンケルフェルガー有志と共にアーレンスバッハへ侵攻したローゼマイン一行が、救出に成功したフェルディナンドと共に、エーレンフェストに侵入していたゲオルギーネとアーレンスバッハ(旧ベルケシュトック主体)の勢力を打ち破る話で、主な舞台はアーレンスバッハとエーレンフェストでした。本巻では、舞台は主として中央、貴族院での攻防となります。

プロローグはアーレンスバッハの領主となるはずのアホ娘ディートリンデのワガママと愚かさ、そしてそんなディートリンデに教えてもらわなければいけないランツェナーヴェの侵略者たちの様子から。夜の貴族院に転移したローゼマインとフェルディナンドたちに加え、ダンケルフェルガー有志たちが中央の様子を探ります。フェルディナンドにとっては悪夢の場所であったアダルジーザの離宮に突撃して眠っている侵略者たちの部隊と武器とを押さえ、図書館で司書ソランジュを救い、ランツェナーヴェの王ジェルヴァージオがすでにメスティオノーラの書を得るべく始まりの庭に向かっていることを察知します。本来ならば侵略に対抗しなければならないはずの王族は、ランツェナーヴェとゲオルギーネと組んで中央内部の裏切り者となっているラオブルートの策動によって骨抜きにされているのですが、フェルディナンドは激怒、ローゼマインはメスティオノーラの書を取り込んでいるジェルヴァージオを邪魔して Good Job !

講堂での戦いから一転して始まりの庭でエアヴェルミーンに叱られるハメにはりますが、女神メスティオノーラがローゼマインに降臨してエアヴェルミーンを「メッ!」したことで、事態はローゼマイン、フェルディナンド、ジェルヴァージオの三人によるレース形式になります。しかし、そんなルールの隙間を突いてフェルディナンドが暗躍、ジェルヴァージオの動きをことごとく封じ込んでしまいます。さすがは「魔王」とよばれた男! いやはや、兵士の娘から神殿の青色巫女となり、領主の養女を経てこんどは女神の化身です。これはもう、下剋上というレベルではないような(^o^)/

「小説家になろう」サイトに掲載されているWEB本編(*2)はローゼマインの視点による物語の流れでしたので、案外すんなり通り過ぎたところでも実はかなりギリギリの状態だったことが、他者視点、例えばフェルディナンドのツェント・レースの裏側あたりから読み取ることができ、面白さは倍増しました。『本好きの下剋上』シリーズ、残すはあと2巻、そして短編集が本年中に出て完結の予定とのこと。面白いです。

(*1): そのため、写真の備忘録ノートが「2022」になっています。
(*2): 香月美夜『本好きの下剋上』(WEB版)〜「小説家になろう」より

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