電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」を観る

2023年01月29日 06時00分43秒 | -オペラ・声楽
真冬の土曜日、1月28日の午後2時から、山形市のやまぎん県民ホールでモーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」を観て聴いてきました。宮本亜門演出による二期会公演です。午後2時からの公演なので、午後1時前に出ないと駐車場が満車になりそうなので12時半すぎに出かけたのですが、昼に飲食した分だけ水分が多かったらしく、到着してすぐにトイレにかけこみました。おかしいな、こんなにトイレが近くないはずなんだけれど。



今回の席は、体調に自信がなく、だいぶぎりぎりになってから購入したので、3階のA席となりました。でも比較的前の方ですので、ステージ全体がよく見えますし、山響こと山形交響楽団が演奏するオーケストラピットの中もかなり見えます。手前の列の様子はわからないのですが、指揮台のすぐ脇にチェンバロがあり、左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンの対向配置、正面奥にコントラバスが2と、弦楽セクションはやや規模を縮小した形のようです。でも、Fl(2), Ob(2), Cl(2), Fg(2) の木管群と Hrn(2) はステージ左側、tp(2) は右側に配置されているようです。残念ながら、ティンパニはどこにあるのかみつけられませんでした。

指揮者の阪哲朗さんが登場、「フィガロの結婚」序曲が始まると、やっぱり心が浮き立ち、ワクワクします。オペラの序曲は、オペラの始まりに期待を持たせるのが本来の役割なのだと実感します。
第1幕が開いて、伯爵の召使いフィガロと伯爵夫人の侍女スザンナが、伯爵からいただくことになった新婚の部屋を測っている場面。スザンナは自分が目当てと伯爵のねらいを指摘し、フィガロはそうはさせないと息巻きます。女中頭のマルチェリーナはフィガロに横恋慕、医師のバルトロを巻き込んでなんとかフィガロをものにしたい。ケルビーノは、まあねぇ、あちこち引っ掻き回す役どころだからねぇ(^o^)/
このへんが第1幕ですが、大変、第1幕と第2幕の幕間にまたトイレに行きたくなってしまいました。マズイ! 急いでトイレに駆け込んだものの第2幕の始まりには間に合わず、廊下のモニターで伯爵夫人の登場とケルビーノのアリアを聴く羽目に(^o^;)>poripori
幸いに、スタッフの方の機転でタイミングをみて最後列の席に入れてもらい、残りの第2幕を観ました。印象的だったのは、伯爵が銃を持って伯爵夫人にケルビーノと浮気をしたと脅す場面。台本では金槌と釘抜きになっているはずですが、銃とは驚きました。たしかに、武器と暴力を背景にした貴族(伯爵)の権力の拠り所がよくわかり、生々しい描き方だと感じます。決して上っ面だけの言葉のやり取りではないのです。

第2幕が終わり、休憩時にようやく本来の席に戻りました。ステージ前を眺めていると、オーケストラピットに近づいて興味深く眺める聴衆の姿が印象的。若い人が多いようで、好奇心が微笑ましく好感が持てます(*1)。

第3幕は、伯爵夫人とスザンナが謀略(^o^)をめぐらす場面からです。逢引を誘う偽りの手紙を伯爵に届けるのですが、一方でマルチェリーナとバルトロによる「借金返済か結婚か選べ」計画は、フィガロがマルチェリーナの息子であることが判明して頓挫、伯爵はスザンナからもらった偽の手紙に舞い上がってしまいます。
第3幕と第4幕の場面転換は、幕を降ろさずに装置を動かすだけでスムーズに行われ、このあたりは演出と大道具の勝利でしょう。最終幕は、夫婦や恋人たちがお互いに疑い、嫉妬し、怒りますが、伯爵夫人に扮していたのがスザンナだとわかり、伯爵が夫人に謝罪する場面で、あの素晴らしい和解の音楽が流れるのです。ドタバタ喜劇にはお約束の唐突な和解ではありますが、その音楽は素晴らしく、演奏も歌も無類にステキ! 「もう飛ぶまいぞこの蝶々」や「恋とはどんなものかしら」等の有名アリアよりも、このシーンが一番お気に入りですね(^o^)/

なお、今回の出演者は、以下の皆さんでした。

アルマヴィーヴァ伯爵:大沼 徹
伯爵夫人:髙橋絵理
スザンナ:種谷典子
フィガロ:萩原 潤
ケルビーノ:小林由佳
マルチェリーナ:石井 藍
バルトロ:北川辰彦
バジリオ:高橋 淳
ドン・クルツィオ:渡邉公威
バルバリーナ:雨笠佳奈
アントニオ:髙田智士
花娘1:金治久美子
花娘2:金澤桃子

管弦楽は山形交響楽団、指揮:阪哲朗、合唱:二期会合唱団、合唱指揮:大島義彰です。
カーテンコールで出演者がずらりと並び、指揮の阪さんが中央に、オーケストラピットの山響の皆さんの演奏をたたえます。良かった〜。ほんとに良かった〜! 後半はトイレに行きたくなる心配もなく、安心して音楽にひたることができました。



さて、次は2月26日(日)のプッチーニ「ラ・ボエーム」だな。こちらは演奏会形式で、やまぎん県民ホール。その前に、山形テルサで2月11日と12日の山響第306回定期演奏会があります。それまでに体調を整えておかなければ。

教訓:オペラはいつもの定期演奏会よりも休憩までの時間が長い。午前中〜開演前の飲食で摂取する水分量を控えめにコントロールしておくこと。



(*1): このあたり、聴衆側と演奏側ではやや受け止め方の印象が違うようで、「クマ牧場」か「ワニ園」のクマやワニになった気がするのかもしれません(^o^)/ が、それで若い聴衆が育つと考えれば、クマさんやワニさんの奮闘もたいへん有意義なことかと愚考いたしまする(^o^)/ 〜「フィガロの結婚」〜「中爺通信」より

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