雑感日記

思ったこと、感じたことを、想い出を交えて書きたいと思います。

昔話ー82 部品の価格体系

2007-12-26 04:55:05 | カワサキ単車の昔話
部品については、特に明石工場の部品管理については、カワサキは伝統的に力を入れていた。

確か、部品担当は桑畑、田崎、北村さんと大物が歴任した。そのあとも那波、酒井さんとカワサキの有名人ばかりが担当している。
当初の部品補給の評判が「強烈に悪かった」ので、
部品対策はその「補給レベル」にずっと焦点が当たっていたのである。

営業関係でも、補給体制のシステム改善で補給率を如何に上げるかが、第一の課題であった。
その「損益については二義的」であったように思う。
当時、「部品は儲からない、損をするもの」と言うような常識みたいなものがカワサキのなかにはあったように思う。


多分、今の人たちが聞いたら考えられないようなことだと思う。
第一線でも、決算ごとに廃却する部品がヤマほどあった。

そんな状態が改善されだしたのは、部品の流通体制を変えて、明石の根元に独立した部品専門会社を設立してからである。
この会社を担当されたのが、もう故人となられたが苧野豊秋さんである。
私や田崎さんの先輩に当たるのだが、JJSBAのジェットスキーなど、その後もいろんな意味で援けて頂いた。

当時は、珍しかった宅急便を利用しての物流や流れ作業による部品のピックアップなどもあったが、何よりも部品の「安定した収益改善」を実現されたのである。



その後、事業部の経営再建で企画を担当したとき、「部品の収益改善」が大きな課題になっていた。
カワサキの特に明石工場での事業部の部品の収益率は、1988年から画期的に改善されている筈である。
何も難しいことをした訳ではない。「部品の価格体系」を総合的に触っただけである。

流通過程に於けるマージン体系は、「流通コスト」を意識して造られるべきである。

部品などは、何十億の部品在庫を持ち、それを管理し発送する根元のメーカーが一番の流通コストを負担しているのは明確である。
ところが流通過程のそれぞれで、それぞれがいろんな意見を言い、いろんな主張をする。
それを少しずつでも取り入れたりすると、どこかにしわが寄るのである。
当時のカワサキの場合は、メーカーにしわが寄っていた。

新流通形態を採用した国内の販社など、部品は注文も販売店がダイレクトに、代金回収も自動振込みだとすると部品マージンは新車を売ったという権利代みたいなものである。少なくとも流通コストは殆ど負担していない。
私は、ご縁があって部品の流通などに若いときから関係したので、何となく全体が理解出来ていたので、全体の流通マージンの再配分、適正化を図っただけである。

新しい価格体系を造って、流通マージンの再配分を行って以来、事業部の部品収益は画期的に安定したのである。従来、利益が少なくて結果的に不良部品の廃却等も充分に行えていなかったものも一挙に綺麗になった。


世の中には、「既得権」というのがあって、実際の内容は変わっていてもそのままの状態が続いていることはよくあるものである。
これを直すのは難しいのだが、一部の人の「既得権」で多くの人が迷惑しているのである。


コメント (2)
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