関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

奨学金=「自分の教育ローン」では困ります

2007年02月19日 | 子育て・教育

 昨日、子どもが通う高校の進路ガイダンスに参加しました。先週一杯高熱が続いてフラフラだったのですが、厳しいお話しを伺って、悪寒がぶり返すような思いがしました。
 成績のことはさておいて、学校では奨学金制度について詳しい説明がありました。
「文化系私大では初年度百万円、二年度以降80万円程度、生活費も含めて4年間で一千万円かかると言われている」
「このお金が無いという保護者は多いが、それは当然。普通は、借りるのです」
「役に立つのが奨学金。子どもが返せばいいのです
以上のようなことを、もちろんもっと丁寧に、保護者の立場に立ってお話しされました。

 添付された「独立行政法人日本学生支援機構」の資料からいくつかシュミレーションを上げると、
 第一種奨学生(無利息)の対象は、高校2~3年の評定3.5以上、家計支持者の所得1400万円程度までで、
 ①私立に自宅外から通う場合、月6.4万円(総額288万円)借りると、返済は月1.5万円×15年間
 第二種(有利息)では、学力条件が緩くなり、医科歯科等を除く大学で10万円まで借りられるようですが、
 ②月5万円借りると、返済は14000円×15年間。
 ③月10万円(総額480万円)なら、21400円×29年間

 「子どもが返せばいい」と言っても、①②の場合、37才まで「学費」を返済することになります。
 もう自分の子どもの学費に追われる時期に入っているのではないでしょうか。
 ③では51才まで(!)です。
 大学には行ったものの、卒業後の生活が成り立たないという恐れが出てくる訳です。
 確かに、他に手段の無い家庭にとっては、奨学金は最後の頼みになります。しかし、このまま(というか、制度が改悪されてきてこうなっている訳ですが)にしておくのは、政治の怠慢です。

 事実、奨学金を返せないケースが増えているといいます(以下、昨年のしんぶん赤旗報道です)。
「前述の学生支援機構の奨学金制度利用者の滞納者が01年度から急増し、05年度末時点で185000人、滞納額(延滞債権額)1864億円に達した。
 滞納理由は、「無職・失業」が急増20・3%。トップは「低所得」22・1%。」
 99年度から第二種が大幅に拡大されましたが、小泉政権の「構造改革」と並行して滞納が急増してきた訳です。

 奨学金というと貸与制(返済する)が当たり前のようですが、欧米諸国では「給付制」です。
 そもそも、高等教育は無償とするのが世界の流れです(「高等教育の漸進的無償化」条項を批准していない国は、条約加盟151カ国のうち、日本、マダガスカル、ルワンダの三ヶ国だけ。国連人権委員会は、日本政府に同条項の批准を勧告。)
 世界一高いとされる学費を払うのに、「奨学金」という名の「教育ローン(しかも、自分の)」を使わねばならない高等教育。
 このあたりの、国民が切実に願っている問題をたくさん解決しないと「美しい国」になりませんよね。