看護師確保対策の質問・答弁の全文を掲載します。
関質問
次に、看護師の養成と確保について質問します。
今年3月、県は県内医療機関へのアンケート調査を元に、2011年から15年までの県内看護職員の需給見通し案を発表しました。
調査は、「経営状況等を考慮した実現可能な範囲の望ましい看護職員数」を求めたものであって、看護師不足の原因となっている労働条件の抜本的な改善を前提としない非常に不十分なものでありますが、それでも、需要に対する不足は2011年で934人、5年後の2015年でも449人としています。
一方、市立荘内病院の病棟は、現在患者10人に看護師一人の看護師配置基準となっていますが、急性期病院としての機能を充実させていくために7対1に引き上げていくには看護師の大幅な増員が必要となります。
もちろん、一人当たりの夜勤回数削減や、所定の休日休暇取得を保障して、安全安心の医療を提供するためにも看護師の大幅な増員がどうしても必要であります。
そこで第一に伺いたいことは、
荘内病院も県の調査に対して2015年までの看護師確保計画を報告した訳ですが、どのような計画を立てたのかということであります。
二つ目に、看護師確保は市立病院のみならず民間病院も含めた本市の医療機関全体が切望していることですが、そのためには、市としての看護師養成数を拡大していくことをまずもって追求すべきではないかということであります。
市立荘内看護専門学校の一学年の定員は20人、山形市立、酒田市立の30人などと較べても少ない数ですが、3年生の学校としては恐らく全国で最も少ない定数となっているのではないかと思います。
他より多いか少ないかが判断の基準ではありませんが、看護師確保に苦労している市としては、世間並みの養成数をめざしていくべきではないかと思うところです。
当然色々な条件整備は必要となりますが、是非とも定員拡大を検討していくべきではないでしょうか。当局の考えを伺います。
三つ目に、看護師確保策として、卒業後に鶴岡の病院で働く意志のある看護学生に対して、返済免除の奨学金制度を設けることです。
高卒後看護専門学校等の看護師養成課程に進む鶴岡の若者は、恐らく毎年50人程度はいるのではないかと推測しますが、その多くは自宅を離れて市外・県外の看護学校に進学することになります。
学費に加えて生活費の負担ものしかかる中で、学校関連の医療機関などの奨学金を受けることによって、卒業後に県外就労の義務を負うという学生も少なくありません。
また、進学費用の重さから、看護学校等への進学を諦めている高校生もいます。
ふるさとで看護の仕事をしたいと願う多くの高校生・看学生がいるにも関わらず、看護師を必要としている本市の看護の職場に迎え入れることができないでいるとは、実にもったいないことではないでしょうか。当局の考えを伺います。
荘内病院事務部長
次に、荘内病院の看護師確保の計画と見通しについてでございますが、お話ありましたが、現在、荘内病院では入院患者10人に対し看護師1人を配置する「10対1看護体制」を採用しているところでござまして、今年度当初の看護部の常勤職員数は406人、パート職員が12人となっております。また、看護師業務の負担軽減を図るために、現在、看護助手を58人配置し、看護業務をおこなっているところです。
しかしながら、県内の他の公立病院に比べで病床稼働率が相当高く、なかには100%に達する月もあることなどから、常に入院患者が多い状態が続いていること、それに、産休・育休などで長期に休む職員が増加傾向にあることなどから、看護職員の負担がなかなか軽減されない状況となっております。こうした中で、議員お話の、山形県では、平成23年度から27年度までの5年間における県全体の看護職員の需給見通しを策定するために、昨年11月、県内の各病院等に対する調査を行っております。この調査に対し、当院では7対1の看護体制、これは患者7人に看護師1人を配置する体制でございますが、7対1看護体制と、ICU加算の取得に向け、合計65名の増員見通しを回答しております。
今後の看護師の増員に関しましては、看護業務の負担軽減や患者サービスの向上をはじめとして、費用対効果などを勘案しながら検討してまいりたいと存じます。
次に、荘内看護専門学校の定員に関するご質問でございますが、荘内看護専門学校は、今年創立60周年を迎え、これまで900人を超える人材を育成し、地域医療発展に寄与してきました。
現在の学校の定員は1学年20名、3学年合計で60名でございます。
本校は、新病院の建設に合わせまして、一部校舎を活用するとともに、新たに講堂や実習施設などを整備してきましたが、教室の広さなど定員20名を想定して整備されており、仮に増員となれば、大規模な施設改修が必要となります。さらには、教員の増員も図らなければならないということになります。
また、荘内病院が実習生の受入を行っておりますが、荘内看護専門学校以外にも鶴岡准看護学院、更には地元出身の宮城県及び新潟県の通信課程の学生の実習を受け入れており、小児分野や産科分野の実習は、これ以上の受入が非常に困難な状況となっております。
こうしたハード・ソフト両面で大きな課題がございますことから、定員の増加につきましては難しいものと考えております。
健康福祉部長
三点目の看護師養成と確保に関して、奨学金制度創設についてのご質問でした。
本市を含む鶴岡地区の看護師の就業状況は2年ごとの届け出数でみますと平成20年12月31日現在で974人となっておりまして、県全体では9351人となっております。
人口10万人当たりでみますと鶴岡地区は664.9人、県で787.4人、全国では687.0人ということになっておりまして、県内でも若干低いという状況になっております。
近年の看護師需要は、医療機関のみならず介護・福祉施設などにも拡大しておりまして、看護師確保に苦慮していると言うことを聞いています。
県内の看護師養成状況についてみますと、H19年4月現在で大学が2校、養成所が9校となっており定員は455人となっております。
本市には看護師、准看護師養成所がそれぞれ1校ということで、毎年42から45人を有資格者として輩出をしているという状況です。
ご提言の看護学生への奨学金制度でありますが、多くは都道府県単位で制度創設がなされておりまして、山形県でも昭和35年から、山形県看護職員修学資金貸与条例を制定し、県内の看護職員の確保及び資質の向上に資する目的で 運用されておりますが、これは17年度で募集を停止していると伺っております。
この奨学金制度は県内の中小規模の病院などの医療機関に5年間就業した場合に返還が免除されるというものですが、奨学金の貸与を受けた学生が、より高度な知識・技術の習得や高度医療の環境下での従事を希望する傾向がある、また、県外に就職するという卒業生の動向がありまして、事業目的に合致した成果が得られないといったようなことから、中止をされている。
これは他県に於いても同様の課題があると伺っている。
学生の経済的負担の軽減策と致しましては、国や企業団体学校がおこなう奨学金制度の活用なども考えられるところでありまして、本市として実施した場合には、市内の医療機関に従事するというような制約を設けた奨学金制度になるということになりますが、こうした各県の動向というところから見ますれば、まだまだ研究が必要ではないかと考えている。
いずれにしても、鶴岡地域の看護師の需給量については、課題があるというふうに存じておりますが、山形県保健医療計画の看護職員の需給見通しやその対応、新卒離職防止や医療の高度化に対応した研修事業、学生の負担軽減を図るための養成機関への補助金制度、ナースバンク事業、県内就業促進のためのガイダンスの開催など、県の取り組みもある訳ですし、本市では、養成事業、准看護師養成に対する補助などもおこなっておりまして、これについては引き続き行って参りたいと考えておりますので、ご理解を賜りますようお願い致します。
関 看護師確保策について再質問したいと思います。
荘内病院看護師の労働条件について若干触れておきたいと思います。
山形県医労連がおこなている夜勤実態調査の今年5,6月分のデータがあります。加盟する県内公私16病院の比較可能な直近のデータですけども、荘病は、平均夜勤回数でみると、どちらの月も多い方から3番目ということのようであります。
年休を一日でも取得できた方が、5人に1人、因みに山形市立済生館は、同じ時期に87%が取得しているということであります。
純増で65人という計画に到達しようとすれば、毎年20人も採用していくと言うことが必要になっていくと思うのですけども、月8日以内夜勤、時間外労働削減や労働条件の改善を図るためには、もっと大幅増員が必要となると言うことであります。
「業務改善に向けて検討していきたい」ということのようでありましたのでそこは最大限の努力をしていただきたいと思います。
同時に、地域全体の看護師確保の必要性について認識を伺っておきたい。
少し答弁の中にも入っておりましたが、荘内病院の看護職場が大変だという話を少ししました。
なおさらに、民間病院というのは、職場の状況は同様でありながら、労働条件については劣っているということですから矛盾は更に深いものとなっています。
私自身も20年間民間の医療機関におりましたので、その状況につきましては、身が痛む思いをしております。
これまでも県立病院や荘内病院看護師募集によりまして民間病院の看護師が退職して出てしまうということがあって、病院の運営に困難がもたらされたことがありました。
近年も、医師や看護師の不足から病棟の一部を閉鎖したり、老健等に転用しなければならないという事態も発生している訳です。
これはすなわち、看護師不足によって市民に負担が発生しているということです。
そういう事態についての認識と、従って民間医療機関の看護師確保も、地域医療を確保するために必要となっているということについて認識も伺いたい。
健康福祉部長
先ほども申し上げました通り、看護師の需給量については、やはり課題があるのだろうと思ってはおります。
その中で奨学金のご提案があった訳ですが、卒業される方々がより高度な知識技術、高度医療の環境などで県外に就職する、そんなことで奨学金制度も募集がとりやめられているということですので、少し構造的なものがあるのだろうと思われますが、それらの中身につきましてはまだつまびらかになっていないので、そうしたところも見ながら、もし対応策があるのであれば、そうしたものも検討して参りたい。
関 大変な状況については認識をお持ちだということですから、これまでの延長線でない対応策、方策を考えていく必要があるということ、そういう認識をお持ちだと理解しました。
看護師の確保策ということについては、申し上げましたように、地域の医療、急性期を荘内病院が担うし、その後を、湯田川病院や民間病院が担っていくという、こういう地域医療の状況の中で、地域医療の確保のためにどうしても必要な課題、困難が予測される課題ということで検討をお願いしたいと思います。
また、看護師の確保は別の角度でみますと、地元で働きたいという青年、そして命と健康を守る仕事に従事しようという志のある若い方について地元に働ける場所を確保するということになりますし、そのことが命と健康を支えて、地域社会に活力を増していく、大きな意義のある政策だと考えますので、なお一層の今後のご検討をお願いして質問を終わります。