関とおるの鶴岡・山形県政通信

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荘内病院夜勤問題学習会に参加

2012年10月31日 | 医療・介護・福祉など社会保障

 10月30日(火)夜、荘内病院の夜勤問題の学習会に参加しました。
 私が先の9月議会で取り上げた、長時間二交代夜勤の試行問題について、職員労働組合が主催したものですが、この問題は、荘内病院の医療体制問題の中でも最大級の重要課題です。
 組合では、市議会全会派に案内したということでしたが、出席は私だけで大変残念でした。
 講師は、日本看護協会の社会経済福祉委員会委員として、協会の政策立案に大きな役割を果たした佐々木司氏ということで病院当局も重視し、看護部長他看護管理職、病院総務課長なども参加していました。
(※最初の投稿では「社会経済委員会」と書いてしまいました。正しくは、「社会経済福祉委員会」です。)

 お話しは、夜勤労働についての国際的原則となっている、「ルーテンフランツ9原則」に沿って、睡眠とは何かというところから夜勤労働を生理学的、社会経済学的に説き起こし、その特性、あるべき姿について、国際的な理論的到達を紹介するもので、2時間びっちり、息もつかせぬ濃密な内容でした。

特に関心を引きつけられたことは、
 ☆これまで「二交代が良い」という主張の根拠とされてきた「論文」の科学的価値は低い。
 ☆睡眠とはどういうものか。睡眠と夜勤労働の関わり。
 ☆夜勤労働は飲酒状態と同じー事故がおこらないのは緊張しているから。従って、夜勤労働の分析のために夜勤後を調べる。
 ☆長時間夜勤の広がりの現実の中で、看護協会は「8時間にしなさい」と言う立場にない。
 ☆ 「16時間を12時間にする」のは改善だが。それを「改善」というのは妥協。
 ☆外国では16時間夜勤はまず無い。英語には言葉すら無い。
  12時間夜勤にしていい仕事も、「熟練労働」以外で「残業が無い労働」に限られている。
 ☆12時間夜勤は生理学的に悪いが、生活的には満足感高い。
  健康上はあまり変わりないー夜勤は健康と安全がトレードオフする勤務ということ。
 ☆除波睡眠とレム睡眠 睡眠の質を確保することが大事。
  突然死は睡眠中が高い。睡眠の質の低下が死をももたらす。
 ☆睡眠は翌日の予定の影響も受ける
  翌日の予定(日勤を早くすると)によって「睡眠不安」=質の低下となる。
 ☆正循環勤務がなぜ良いかーサーカディアンリズムは24時間より長い
 ☆リズムをあやつるためには光が重要
  ゴーグルをかけるといいが、実際は通勤の関係で無理。本当は病棟で寝ていくのがいい。
 ☆夜勤には発ガン性リスクがある。
 ☆夜勤者の労働を評価する3つのポイント
  1.安全性 2.健康性 3.生活性 の緊急性・実感性
  ○最も大事なのは安全性だが、それは事故が起こらないとわからない。健康性は病気にならないとわからない。
 ☆看護労働は、実態はキュア(治療)だが、理想はケア(看護)の仕事。
   労働負担を減らそうとしてキュアを減らすー2人夜勤を3人にしても負担は減らず、その分(看護師が自分で)ケアを増やしてしまう。看護は生活支援技術だから。
 ☆関越バス事故はなぜおきたか
  金沢から東京まで3~4千円で行けると思った。乗客は夜勤者の辛さがわからなかった。
  夜勤労働改善のためには、日勤労働者に理解を広げることが必要。
 ☆科学的知見はお話しした。後は労働組合の仕事。 

「いくつか」挙げるだけでこんな感じで、パワポで40数コマ、大変な勉強をさせていただきました。


 しかし、その硬い内容にも関わらず、講師はかなりユーモアのある方のようで、「ルーテンフランツ原則のその一・・」と紹介するのは桃太郎侍、そして折々にかなりギャグが散りばめられていました。生真面目な鶴岡人を爆笑させるまでには至りませんでしたが・・。


(こういう画像ばかり紹介すると誤解されそうですが、内容は恐ろしくハードでした)

 まあ、そのぐらい砕けてもらわないととてもついて行けないようなハイレベルな、膨大な内容の講演でした。

講師自身が最初に述べた通り、「二交代か三交代か、どうあるべきか」の話ではなく、その前提として理解すべき「科学的知見」であり、労使ともにこの内容をしっかり受け止めた上で、今後のあり方を考えなければならないのだなと強く感じました。

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