関とおるの鶴岡・山形県政通信

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参院選結果の歪んだ解釈~朝日新聞「オピニオンの『複雑な解釈』」~

2013年07月24日 | 政治全般

参院選の結果について、沢山の論評が現れていますが、23日付朝日新聞の17面、「寄稿 オピニオン」という6段のスペースに掲載された小論を読んで首を傾げました。

(記事の写メを掲載しておりましたが、著作権法に抵触するため、2022年7月7日に削除しました)

 神戸女学院大学名誉教授の内田樹(いつき)という、かなり有名らしい先生が書いたもので、「複雑な解釈」というタイトルがつけられています。
 要約すると、
 自分は、「参院選の結果をどう解釈するか」について、「これまで起きたことが今度もまた起きた」と「簡単な解釈」をするのではなく、「前代未聞のことが起きた」という「複雑な解釈」をすると述べてから、
 「参院選の際だった特徴は、『自民党の大勝』と『共産党の躍進』である(それに『公明党の堅調』を加えてもいい)。この3党には共通点がある。いずれも『綱領的・組織的に統一性の高い政党』だと勝った政党を一括りに特徴づけて、
「有権者は『一枚岩』的政党を選好したした」ことを参院選の「解釈」の中心にしようという論です。
 次に、この「選好」について、「議会制民主主義というのは、さまざまな政党政治勢力がそれぞれ異なる主義主張を訴え合い、それをすりあわせて、『落としどころ』に収めるという調整システムのこと」であり、「知られる限りの粛正や強制収容所はすべて『ある政党の綱領が100%実現された』場合に現実化した」ことから、
 「一枚岩」の政党を選択した今回の結果を「大きな災厄」をもたらしかねないものと言いたいようです。
 その結論の論証として、
 「『ねじれ』は二院制の本質であり、ものごとが簡単に決まらないことこそが二院制の『手柄』」であり、「『ねじれの解消』という文言もまた先の『綱領的・組織的に統一性の高い政党』への有権者の選好と同根」、
 「なぜ日本人はそのような統一性の高い組織体に魅力を感じるようになったのか。それは人々が『スピード』と『効率』と『コストパフォーマンス』を政治に過剰に求めるようになったからだ」として、それが「経済のグローバル化が政治過程に侵入してきたことの必然的帰結・・政治過程に企業経営と同じ感覚が持ち込まれた」と解釈、
 そのような感覚では、原発や年金制度やTPPのような「未来の見通し」は立てられないとしています。

 寄稿者はフランス現代思想の大家であられるということでしたが、有権者の真剣な選択を歪めた「解釈」と思いました。
 一方、昨日付(投票日翌日)の朝日新聞は、「共産党、政権批判票集める」という三段見出しで、「アベノミクスのほか、原発政策や憲法改正、環太平洋経済連携協定といった政策で自民党との対決姿勢を鮮明にした。これが功を奏し、組織票に加え無党派層も引きつけて政権批判の受け皿となった」と報じました。
 参院選の結果は、二大政党制の失敗を受けての「民主党でない党」の選択と、それに対する高まりつつある批判というふうに見るのが「簡単」でも疑いようの無い「解釈」と思いますが、なぜこのような「歪んだ解釈」が出てくるのか。

 私なりにこの「複雑な解釈」を解釈すると、
 ①議会制民主主義の「システム」と、その構成要素である政党の「システム」を混同しているということと、
 ②選挙の意味の曲解と有権者の蔑視、
 ではないかということです。

 ①政党が有権者に公約した政策を守るということは、議会制民主主義の前提となる問題です。
 選挙における有権者の選択が反故にされるようでは、代議制度は成立しない訳で、そういう意味に於いて「一枚岩」こそが議会制民主主義における政党のあるべき姿です。
 日本に先行して議会制民主主義を形成してきた欧米等の諸国では、公約を守らない政党は、政策の是非以前に、有権者の支持を失うと言います。
 公約をちゃんと守る政党を育てることは、議会制民主主義を成熟させる上で最も重要なテーマの一つでしょう。
 日本共産党の場合は、民主集中性というシステムを確立して、「公約を断固守る」政党としての信頼を得ています。
 そのことと、将来政権を取った場合の国のシステムをどうするかは全く別問題であり、日本共産党は議会制民主主義・複数政党制を守り発展させることを50年以上前から明確にしています。
 私は、第一にこの小論を、「公約を守らない政党の勧め」と読みました。

②多くの有権者は、自分の現在と未来の生活、次の世代の幸せを真剣に考えて、政党の実績・政策を選択します。自民党への一票と、日本共産党への一票は、まったく異なる選択です。
  私は今回の選挙の中で、多くの有権者の方々から、腹から絞り出すような願いを沢山受け取りました。
  月額5万円ばかりの国民年金とわずかの仕事で生活しているお年寄りから、「今の世の中でもオレのような貧乏生活がある。消費税が増税されては生きていけない」
  50代の女性から、「ウチの息子はもう30歳にもなるのに、正職員の仕事をしたことがない。自分たちが死んだら息子はどうなるのか」
  戦争でお父さんを亡くして大変な苦労を体験した方から、「あんな悲惨な戦争は絶対に繰り返してはならない。九条は守らなければならない」と。
  このような方々が、自民党の暴走を止めさせて欲しいと、日本共産党に熱い期待を寄せて下さいました。
  そのような選択を「あなた方の選択は、私から見れば同じもの」などと「解釈」することは、選挙の意味を否定し、有権者を侮辱するものと言わなければなりません。
  小論は第二に、庶民の暮らしの現場、生の声を知らない(無視した?)机上の空論と読みました。

 さらに大きな問題は、
 小論では、今回の「選好」を原発、年金、TPPなどについて「未来の見通し」をもたず、「未来を軽んじる」ものとも言っていますが、日本共産党はどの問題についても、将来に責任を持つ抜本的対案を提案しています。
 日本共産党を最初から無視したこのような小論に提供されたスペースの広さから、大手マスコミが抱える問題の大きさを改めて読み取りました。

 以上、大手マスコミの報道にいちいち反応するのは時間の無駄と承知してはいるのですが、余り「立派」な体裁の記事だったので、「ナ~ニ~ッ」と思ってついついちょっかいを出してしまいました。
 最後まで読んで下さった方がいらっしゃるとすれば望外の幸せです

「簡単な解釈」もご紹介。http://blog.goo.ne.jp/sekitouru/e/078febe175d8866493a7c4324c0c93a9

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