11月25日 火曜日 カロパ二にて
ネパールの緯度がもっと北だったら.
ネパールは位置的には亜熱帯の国なのだが、しかし、この国の気候的な特徴は東西南北では著し切れない、垂直で表す季節感が存在する.
標高の低い町ならバナナやマンゴーが実る国で、真夏でも6000mから上に行けば雪と氷の世界が有るのだ.
自分が6000mに登ったのは秋と冬の境目のような季節だったから降雪はまだ少なく、なんとか登れたが、あれ以上寒くて雪が多かったらとても登れなかっただろう.
そんな事から、もしもヒマラヤが亜熱帯ではなくもっと北の方に有ったならそう容易く登れはしなかっただろうと思う.
高所に置ける野糞の考察.
標高2000mや3000mでの野糞の経験はあるが4000mから上でのそれは未体験だった.
4000mは高度順化も容易く、比較的慣れるのも早いし酸素の量もまだそれ程減っては居ないので特別な不都合は無かった.
自分が野糞をしてこれはヤバイと感じたのは5000mから上だった.
5000mに要る時には高度順化も不完全で頭痛を感じていた.
頭痛を抱えた頭で野糞をした場合、あまり固く無い自分の便でも多少の息みは必要なのだが、それをしただけで猛烈な頭痛に襲われた.
標高5000mは日没後相当に冷え込む.
そこで尻を長く風に晒せば色々と不都合なことが起る.
なので素早く排泄したくて息もうとするのだが、気張れば頭の血管が二三本ブチッと切れたかと思うような感覚が頭部を襲う.
可能かどうかは別にして、高地での野糞は自然体で出るに任せてするべきで、気張ってはいけないと思った.
駄獣ってなんだ?
ネパールの事やチベット旅行記の少し真面目な本を読むと、色々なところに駄獣と言う表現が出て来る.
自分がネパールを歩いてみるまでは駄獣が何物なのか見当もつかなかったが、それは、恐らくラバの事だろうと見当がついた.
本の中には駄獣として山羊やロバを含めて書いているものもあったがそれは間違いだと思った.
馬以外の荷役の動物を駄獣と言ってしまっては収まりがつかなくなってしまうし、河口慧海は山羊に荷物を背負わせた記述があるが、自分は一月のネパール滞在で山羊や羊が荷物を運ぶ姿は見なかった.
ちなみにラバは雄のロバと雌の馬を掛け合わせて生まれるが一代限りで繁殖は出来ないらしい.
ラバは身体がロバより大きくきつい荷役に耐えつつ性格が温厚で、ロバ並みの粗食にも耐える事から山岳部では荷役に活躍していて普通に見る事が出来た.
ヒマラヤ・チベット旅行記で河口慧海と関係の深い自分の愛読書、根深誠著「遥かなるチベット」にもラバの記述は有って、ネパール語でカッツアル、チベット語でテェーと言うと書いている.
しかし、根深誠はラバとは別に駄獣と言う表現の動物も書いているのだが、荷役をするしないに関わらず、牛馬やロバ以外の小型の家畜を駄獣と言う慣しでもあるのだろうか、と思うが.
インド文化圏の存在
日本人にとってのアジア経済と文化は、どうしても日本が中心に回っていると思いたいが、現実は、中華経済文化圏やインド経済文化圏が厳然と存在し、そこでは日本は影が薄い事を痛切に感じた.
ネパールはインド経済文化圏であった.
例えば、日本が誇る自動車は韓国製のキアよりも少なかったかも知れない.
ネパールで走っているのは、小さな乗用車から大型トラックまで、ほとんどがインドのタタ自動車製であった.
関税や価格的な事もあるのだろうがアジアでは当たり前に幅を利かせている日本の自動車が殆ど見られないのは感動的たった.
そして、ヒンドゥー経による宗教と文化の影響と、自動車以外の経済もインドに頼っているネパールは確実にインド経済文化圏と呼んで良いと思った.
そこにチラチラと中国の影が見えているのがまた面白かったが、アジアと言えば日本が盟主だと思うのは日本人の勝手な思い込み、勘違いであると強く感じだ.
しかし、宿の経営者などの金持ちと話しをするとトヨタのランクルは一番人気なのだが、関税が高くて買えないとの事だった.
タタの小型車なら40万円程度で買えるが、トヨタのランクルは250%の関税で日本円で1500万円にもなるそうだ.
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