中野幸次著「清貧の思想」では、主に、方丈記と徒然草についての言葉が多い。ドイツ文学を専攻しながら、古文の方丈記等に魅せられた。良寛や光悦についても書いているが、やはり、鴨長明と吉田兼好人柄を的確に表している。
枕草子、徒然草、方丈記は三大随筆であり、長明はこの世で一番大事なものは心が安らかであるかどうかである。絶えず安らかならぬ心の状態なら宮殿・楼閣に住んだとて空しく、もし草庵にいても心安らかならその方がずっといいと言っている。しかし、出家遁世しても、真の悟道とはいいがたい。しかし、徒然草には一人の恐ろしいほどよく目の見える冷めた人物の居るのを感じる。
方丈記には、悟道と程遠い、世間と人間への関心を最後まで捨てきれない煩悩の人で、世の中への未練や恨み、貪婪な好奇心執着を捨てきれない自分に忠実に生きた。そこに方丈記の面白さは人間臭さによる。
現に、嚢中三升の米、炉辺一束の薪誰か問わん・・・越後五合庵の良寛を湛え、光悦の母妙秀は、身の貧なることは苦しからず、富貴なる人はけんどんにて有徳に成りつらんと心もとなし。金銀など持ち参る嫁などふがいなし、禍のもとなり。金銀を宝と好むべからず。夫婦の中互いに大切ならば、いかほど貧しくともたんぬべし。
現代では変わり者といわれるが、こんな生活に入りたいと思う今日この頃である。
枕草子、徒然草、方丈記は三大随筆であり、長明はこの世で一番大事なものは心が安らかであるかどうかである。絶えず安らかならぬ心の状態なら宮殿・楼閣に住んだとて空しく、もし草庵にいても心安らかならその方がずっといいと言っている。しかし、出家遁世しても、真の悟道とはいいがたい。しかし、徒然草には一人の恐ろしいほどよく目の見える冷めた人物の居るのを感じる。
方丈記には、悟道と程遠い、世間と人間への関心を最後まで捨てきれない煩悩の人で、世の中への未練や恨み、貪婪な好奇心執着を捨てきれない自分に忠実に生きた。そこに方丈記の面白さは人間臭さによる。
現に、嚢中三升の米、炉辺一束の薪誰か問わん・・・越後五合庵の良寛を湛え、光悦の母妙秀は、身の貧なることは苦しからず、富貴なる人はけんどんにて有徳に成りつらんと心もとなし。金銀など持ち参る嫁などふがいなし、禍のもとなり。金銀を宝と好むべからず。夫婦の中互いに大切ならば、いかほど貧しくともたんぬべし。
現代では変わり者といわれるが、こんな生活に入りたいと思う今日この頃である。