生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

学問修行20210228-1 新興SARS-CoV-2ウイルスのタクソン学とシステム学

2021年02月28日 14時30分27秒 | 生物哲学
学問修行20210228-1
新興SARS-CoV-2ウイルスのタクソン学とシステム学
Taxology and systemology of emerging SARS-CoV-2 viruses


1234567890123456789012345678901234567890

Bunge, M. 2003a. Philosophical Dictionary. Enlarged edition. 315pp. Prometheus Books.

Bunge, Mario. 2003b (2014 reprinted in paperback). Emergence and Convergence: Qualitative Novelty and the Unity of Knowledge. Toronto Studies in Philosophy.

Bunge, Mario. 2008. Political Philosophy: Fact, Fiction, and Vision. Transaction Publishers.

Bunge, Mario. 2013. Medical Philosophy: Conceptual Issues in Medicine. xvi+270pp. World Scientific.

International Committee on Taxonomy of Viruses (ICTV). Taxonomy > ICTV Taxonomy Introduction to Virus Taxonomy. https://talk.ictvonline.org/taxonomy/w/ictv-taxonomy[受信:2021年2月26日(金曜)。]

International Committee on Taxonomy of Viruses (ICTV). ICTV 9th Report (2011) : Positive Sense RNA Viruses (2011) / Positive Sense RNA Viruses (2011) / Positive Sense RNA Viruses / Coronaviridae. https://talk.ictvonline.org/ictv-reports/ictv_9th_report/positive-sense-rna-viruses-2011/w/posrna_viruses/222/coronaviridae[受信:2021年2月26日(金曜)。]

Mahner, Martin & Bunge, Mario.[マルティーン・マーナ/マリオ・ブーンゲ]1997, 2000(小野山敬一訳,2008/0726).生物哲学の基礎.xxi+556pp.シュプリンガー・ジャパン.

National Institute of Infectious Diseases (NIID).2020/0507.An epidemiological study of the SARS-CoV-2 genome in Japan (updated: April 16, 2020).
https://www.niid.go.jp/niid/images/research_info/SARS-CoV-2_Genome-network.pdf[受信:2020年8月20日(木曜)。]


Pengcheng Xu, Hua Qian, Te Miao, Hui-Ling Yen, Hongwei Tan, Min Kang, Benjamin J. Cowlin, Yuguo Li. 2020/0409. Transmission routes of Covid-19 virus in the Diamond Princess Cruise ship. https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.09.20059113v1.full.pdf[受信:2020年8月4日(火曜)。]



[著者名の、あいうえお順]
石戸 諭.20200731 06:40.押谷仁教授が語る、PCR検査の有用性とリスクとの向き合い方.https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/pcr-4.php[受信:2020年8月15日(水曜)。]

一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ.20201025[紙書籍の発売は、2020年10月23日。電子書籍は、2020年10月18日発売].新型コロナ対応・民間臨時調査会 調査・検証報告書.466pp.ディスカヴァー・トゥエンティワン.

井上 栄.20200428.感染症 広がり方と防ぎ方 増補版.vi+235pp.中央公論新社[中公新書 1877].

岩田 健太郎.20200420.新型コロナウイルスの真実.217pp.KKベストセラーズ[ベスト新書 610].

岩田 健太郎.2020/0428.感染症は実在しない.318pp.集英社インターナショナル[インターナショナル新書 052].

岩田 健太郎.2020/1020.ボリュームは充実だが検証はあまり専門的ではない。.https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R3QTY4Z7PF1MEY/ref=cm_cr_arp_d_viewpnt?ie=UTF8&ASIN=4799326805#R3QTY4Z7PF1MEY[受信:2021年2月26日(金曜)。]

岩田 健太郎.2020/1030.丁寧に考える新型コロナ.382pp.光文社[新書1092].

浦島 充佳.パンデミックを阻止せよ! 感染症を封じ込めるための10のケーススタディ 新型コロナウイルス対応改訂版.


江澤 誠.2012/08.脱「原子力ムラ」と脱「地球温暖化ムラ」 いのちのための思考へ.222pp.新評論.[本体1,800円+税]
  [B20120917 、1,890円][未読][2冊有り!]

大橋 眞.2029/1231[第3刷は2021/0122発行].PCRは、RNAウイルスの検査に使ってはならない.212pp.ヒカルランド.[本体2,200円+税]

大村 大次郎.2020/0610.新型コロナと巨大利権.

岡田晴恵(述)・吉田美智子(聞き手).2021/0208.岡田晴恵さんの「敗北宣言」 コロナ改めてご説明します.https://digital.asahi.com/articles/ASP253JDTP25UCLV001.html?iref=pc_photo_gallery_bottom

岡田 晴恵・田代 眞人.2013/1127.感染爆発[^パンデミック^ルビ]にそなえる ——新型インフルエンザと新型コロナ.xii+130pp.岩波書店.

小野山 敬一.2018/0831.エーテル体とオルゴンと暗黒物質.生物学史研究 (97): 94-97.
尾身 茂.2011/1015[第3刷20200701発行].WHOをゆく 感染症との闘いを超えて.162pp.医学書院.

上 昌広(著)・倉重篤郎(構成).2020/1130.日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか.207pp.毎日新聞出版.

加藤 哲郎.20201030.パンデミックの政治学.263pp.花伝社(発行)・共栄書房(発売).

木村 盛世.2009/0330.厚生労働省崩壊 「天然痘テロ」に日本が襲われる日.217pp.講談社.

木村 盛世.2009/1220.厚労省と新型インフルエンザ.205pp.講談社[現代新書2026].

木村 盛世.2021/0222.新型コロナ、本当のところどれだけ問題なのか.203pp.飛鳥新社.

木村 良一.????.「新型コロナウイルス」—正しく怖がるにはどうすればいいのか—.?.?.

黒木 登志夫.2020/1225.新型コロナの科学 パンデミック、そして共生の未来へ.vii+7+326pp.中央公論新社[中公新書2625].

厚生労働省.2020/0220〔令和2年2月20日〕.クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」内の感染制御策について.2pp.https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000598163.pdf[受信:2020年7月20日(月曜)。]

古賀 茂明.2020/1031.日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任.318pp.集英社.

国立感染症研究所.20200503[修正 2020/5/20].ダイヤモンドプリンセス号環境検査に関する報告(要旨).https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9597-covid19-19.html[受信:2020年7月20日(月曜)。]

小林 照幸.2003/0220.検疫官 ウイルスを水際で食い止める女医の物語.293+5pp.角川書店.

小柳 剛.2020/0528.パンデミック客船「ダイヤモンド・プリンセス号」からの生還.239pp.KADOKAWA.

シュワブ,クラウス・マルレ,ティエリ・ナショナル ジオグラフィック (編).(藤田 正美 ・チャールズ 清水・安納 令奈 訳 20201026).グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界.290pp.日経ナショナル ジオグラフィック(発行)・日経BPマーケッティング(発売).

上念 司・篠田 英朗.2020/1128.不安を煽りたい人たち.238pp.ワック[WAC BUNKO B-330].
 
杉本 裕明.2012/0510.環境省の大罪.396pp.PHP研究所.

田辺 文也.2011/1125.まやかしの安全の国 原子力村からの告発.206pp.角川マガジンズ(発行)・角川グループパブリッシング(発売).

苫米地 英人.2011/0629.現代版 魔女の鉄槌.273pp.フォレスト出版.

苫米地 英人.2012/0214.洗脳広告代理店 電通.213pp.サイゾー.

苫米地 英人.2012/1203.「イヤな気持ち」を消す技術.256pp.フォレスト出版.

長崎大学バイオハザード予防研究会.2020/0630.新型コロナのエアロゾル感染 【上巻】分析編 医療問題.191pp.緑風出版.a

長崎大学バイオハザード予防研究会.2020/1106?.新型コロナのエアロゾル感染 【下巻】提言編 法律・経済・教育問題.274?pp.緑風出版.[B20210227日、]

西浦 博・川端 裕人(聞き手).2020/1210.理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!.292pp.中央公論新社.[本体1600円+税]

西村 秀一・井上 亮(編).20201030.新型コロナ「正しく恐れる」.215pp.藤原書店.[本体1,800円+税]

西村 秀一(聞き手:朝日新聞).20200711 5:00.(インタビュー)専門家は確率を語れ 新型コロナ 西村秀一さん.https://digital.asahi.com/articles/DA3S14545188.html[受信:2020年7月14日(木曜)。]

西村 秀一(聞き手:藤田 さつき・大牟田 透).20200711 22:00.ウイルスの実態と合わない対策 過剰な恐怖広げた専門家.朝日新聞デジタル.https://digital.asahi.com/articles/ASN7C3GMNN78UPQJ00J.html?iref=pc_rellink_03[受信:2020年8月16日(日曜)。]

野嶋 剛.2020/0701.なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか.269pp.扶桑社[新書].

船橋 洋一.2020/1110.検証 2020年のコロナ対策「民間臨調」が総括した「日本モデル」の虚構と真実.文藝春秋 98(12): 224-234.

舛添 要一(述)・大牟田 透(聞き手).20200228.舛添氏「長期政権の堕落」 情報公開せず、遅すぎた対応.朝日新聞デジタル.https://digital.asahi.com/articles/ASN2W5RJ0N2VUPQJ00C.html?iref=pc_rellink_01


水谷 哲也.2020/0519.新型コロナウイルス 脅威を制する正しい知識.130+3pp.東京化学同人.

水谷 哲也.2020/1001.新型コロナ超入門 次波を乗り切る正しい知識.viii+134pp.東京化学同人.

湊 櫻.20200618.ダイヤモンド・プリンセス乗船手記 〜あの日、船内で起きていたこと〜.KADOKAWA.[電子書籍].



【再掲】Bunge 哲学辞典:アニミズム animism、汎心論 panpsychism

2020年09月25日 14時40分26秒 | 生物哲学
学問修行2020年8月12日(水曜)-2
【再掲】Bunge 哲学辞典:アニミズム animism、汎心論 panpsychism

Bunge 哲学辞典:アニミズム animism、汎心論 panpsychism
2011年07月31日 11時20分46秒 | 生命生物生活哲学
2011年7月31日-1
Bunge 哲学辞典:アニミズム animism、汎心論 panpsychism

アニミズム animism [Bunge (1999) 哲学辞典初版 p.18]
 すべての物は、あるいは或る種類のすべての物は、生き物のように動かされている〔animated〕という教義。つまり、非物質的な↑【霊たち 〔spirits〕】によって宿られており、支配〔rule〕されている。例:魂は身体を統治〔govern〕するという見解〔考え方 view〕。同義語:↑汎心論〔panpsychism〕。

 
汎心論 panpsychism[Bunge (1999) 哲学辞典 初版 p.205]
 あらゆるものは心的である、あるいは或る程度に心的プロセスを経験する能力を持つ、という教義。同義語:アニミズム〔animism〕。

 
*******
 トランスヒマラヤ密教とも呼ばれる秘教の文献での関連するところは、下記の通り。『魂』とは、どのように定義されたり、使われたりしているのだろうか?
 ただし、われわれが概念を媒介として理解をする場合、その内容を表示するために言葉を使う。<言葉は真理を隠すものである>といったことが、『トランス・ヒマラヤ密教入門第1巻』のどこかに書いてあった。
 この秘教体系では、<すべてはエネルギーである(とみなされる)>(『トランス・ヒマラヤ密教入門第1巻』164頁["Telepathy and the Etheric Vehicle", p.177])が公理となっている。すると、より具体的な存在者を捉えることは、様々な観測をして、エネルギーの種類と程度を内部整合的に分類し、結果としての分類体系を提示することとなるだろう。

 
  「1. 魂は、大宇宙的で小宇宙的であり、普遍的で人間的であるが、それは、霊様相〔aspect〕と物質様相が互いに関係するときに存在へともたらされる〔brought into being〕存在者〔entity〕である。
   a. 魂は、したがって、霊でもないし物質でもなく、霊と物質の間の関係である。
   b. 魂は、この二重性の間の媒介者〔調停者 mediator〕である。それは中央原理〔中間原理、中央素因 the middle principle〕であり、神と神の形態の間の連結〔link〕である。
  〔プログレッシブ英和中辞典。middleは空間時間期間, またものごとできごとのまん中. 点というより部分. centerは円球または円球的なものの正確な中心点, また二極間の中間点:the middle of the line A B線ABの中間点. heartは内部深く存在し全体を左右する中枢をさす〕
   c. したがって魂は、自然界においてであれ人間においてであれ、キリスト原理に対する別名である。
  2. 魂は、創造された宇宙の誘引力〔attractive force〕であり、(機能するとき)すべての形態をまとめ、そうして神の生命が顕現したり、形態を通して神自身を表現することが可能になる〔may〕。
   a. したがって、魂は形態を建設する様相であり、また宇宙、惑星、自然王国と人間王国(人間は自身においてすべての様相を要約する)でのあらゆる形態における誘引的要因である。この誘引的要因は、形態を存在へともたらし、内在する〔宿る indwelling〕生命がより適切に住まうように発展し〔発達し〕成長することを可能にする。〔略〕
  3. 魂は進化〔開展 evolution〕自体の力である。このことは、聖パウロが「あなたのうちのキリスト、栄光なる希望」について話したときの心のなかにあったものである。」(Bailey, Alice A. 1934. "A Treatise on White Magic", pp.34-35.)[20110731試訳]。

 
[B]
Bailey, Alice A. 1934. A Treatise on White Magic or The Way of the Disciple. xiv+705pp. Lucis Publishing Company.

Bailey, Alice A. 1950. Telepathy and the Etheric Vehicle. xi+219pp. Lucis Publishing Company.

Bailey, Alice A. [Djwhal Khul](アート・ユリアーンス(編))(土方三羊訳,2002.2)トランス・ヒマラヤ密教入門 第1巻 [人間の本質].236pp.アルテ.[Jurriaanse, Aart. Ponder on This.]

[J]
Jurriaanse, Aart. (ed.) 1971. Ponder on This [From the Writings of Alice A. Bailey and The Tibetan Master, Djwhal Khul]. [14+]431pp. Lucis Publishing Company.

*******
 心の哲学まとめWiki、の「汎経験説対創発説」への網繋(link):
http://www21.atwiki.jp/p_mind/pages/108.html

  「参考
   汎経験説、創発説ともに精神現象の由来を説明しようとするものであるが、上記のようにそれぞれ難点を抱えており、意識のハードプロブレム〔→意識についての難問〕の最大の問題となっている。」
http://www21.atwiki.jp/p_mind/pages/108.html

 日本版ウィキペディアの「意識のハード・プロブレム」への網繋(link):
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%8F%E8%AD%98%E3%81%AE%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%A0

マリオ ブーンゲ 2003『創発と収斂:質的新奇性と知識の統一』の目次

2016年06月22日 00時29分47秒 | 生物哲学
2016年6月22日-1
マリオ ブーンゲ (paperback 2014)『創発と収斂:質的新奇性と知識の統一』の目次

Mario BUNGE 2003 (paperback 2014)
Emergence and Convergence: Qualitative Novelty and the Unity of Knowledge
UNIVERSITY OF TORONTO PRESS Toronto Buffalo London

Contents

PREFACE ... xi
Introduction ... 3

Part I: Emergence

1 Part and Whole, Resultant and Emergent ... 9
 1 Association and Combination ... 10
 2 Emergence and Supervenience ... 12
 3 Levels and Evolution ... 15
 4 Structure and Mechanism ... 19
 5 Emergence and Explanation ... 21
 Concluding Remarks ... 24

2 System Emergence and Submergence ... 26
 1 System Emergence ... 27
 2 Emergence ex nihilol ... 30
 3 Submergence: System Dismantling 31
 4 System Types ... 33
 5 The CESM Model ... 34
 Concluding Remarks ... 38

3 The Systemic Approach ... 40
 1 The Systemic Approach ... 40
 2 Conceptual and Material Systems ... 42
 3 The Systemic Approach to Physical and Chemical Processes ... 43
 4 The Systemic Approach to Life ... 45
 5 The Systemic Approach to Brain and Mind ... 49
 Concluding Remarks ... 52

4 Semiotic and Communication Systems ... 53
 1 Words, Ideas, and Things ... 54
 2 Semiotic System ... 58
 3 Languages as Semiotic Systems ... 60
 4 Speech and Language ... 62
 5 Speech Learning and Teaching ... 65
 6 Communication System ... 67
 Concluding Remarks ... 68

5 Society and Artefact ... 70
 1 The Systemic Approach to Society ... 71
 2 Microsocial and Macrosocial, Sectoral and Integral ... 73
 3 Emergence by Design ... 75
 4 Social Invention ... 76
 5 Philosophical Dividends of the Systemic Approach ... 77
 Concluding Remarks ... 80

6 Individualism and Holism: Theoretical ... 82
 1 Individual and Individualism, Whole and Holism ... 84
 2 Ontological 85 3 Logical 87
 4 Semantic 89
 5 Epistemological 91
 6 Methodological 93
 Concluding Remarks ... 95

7 Individualism and Holism: Practical ... 97
 1 Value Theory, Action" Theory, and Ethics ... 97
 2 Historical and Political Individualism ... 100
 3 First Alternative to Individualism: Holism ... 101
 4 Hybrids 105
 5 The Systemic Alternative ... 106
 Concluding Remarks ... 109

8 Three Views of Society ... 112
 1 The Two Classical Views of Society ... 112
 2 The Systemic Approach ... 114
 3 From Statistics to Theoretical Models ... 115
 4 The Science-Technology-Market Supersystem ... 119
 5 Implications for Social-policy Design ... 121
 6 Social Studies Are about Social Systems ... 122
 7 The Competitive Advantage of Systemism ... 124
 Concluding Remarks ... 126

Part II: Convergence

9 Reduction and Reductionism ... 129
 1 Reduction Operations ... 130
 2 Micro-levels, Macro-levels, and Their Relations ... 133
 3 Same-level and Inter-level Relations ... 135
 4 Inter-level Hypotheses and Explanations ... 136
 5 From Physics to Chemistry ... 137
 6 Biology, Ecology, and Psychology ... 139
 7 From Biology to Social Science: Human Sociobiology and the IQ Debate 141
 8 Kinds and Limits of Reduction ... 144
 9 Reduction and Materialism ... 146
10 Concluding Remarks ... 147

10 A Pack of Failed Reductionist Projects ... 149
 1 Physicalism 149
 2 Computationism ... 150
 3 Linguistic Imperialism ... 152
 4 Biologism I: Sociobiology ... 154
 5 Biologism II: Evolutionary Psychology ... 156
 6 Psychologism 162
 7 Sociologism, Economism, Politicism, and Culturalism ... 164
 Concluding Remarks ... 167

11 Why Integration Succeeds in Social Studies ... 168
 1 The B-E-P-C Square ... 169
 2 Social Multidisciplinarity ... 171
 3 Social Interdisciplinarity ... 176
 Concluding Remarks ... 177

12 Functional Convergence: The Case of Mental Functions ... 179
 1 Informationist Psychology ... 181
 2 Mark II Model: Connectionism ... 183
 3 Localization of Mental Functions ... 185
 4 Functional Interdependence of Neural Modules ... 187
 5 Consciousness: From Mystery to Scientific Problem ... 188
 6 Two Convergence Processes ... 191
 Concluding Remarks ... 194

13 Stealthy Convergence: Rational-choice Theory and Hermeneutics 196
 1 Divergence and Convergence ... 197
 2 Methodological Individualism ... 199
 3 Subjective Process and Observable Behaviour ... 201
 4 Inverse Problems ... 203
 5 Figuring Out Mediating Mechanisms ... 206
 6 Example: The Delinquency-Unemployment Relation 208
 Concluding Remarks ... 209

14 Convergence as Confusion: The Case of 'Maybe' ... 213
 1 Logical Possibility ... 214
 2 Factual Possibility ... 217
 3 Likelihood 220
 4 Relation between Frequency and Probability ... 221
 5 Probability, Chance, and Causation ... 223
 6 Credibility 226
 7 Probabilistic Epistemology ... 228
 8 Plausibility or Verisimilitude ... 232
 9 Towards a Plausibility Calculus ... 233
 Concluding Remarks ... 235

15 Emergence of Truth and Convergence to Truth ... 237
 1 The Nature of Truth ... 237
 2 Towards an Exact Concept of Correspondence ... 239
 3 Partial Truth ... 241
 4 The Emergence of the Knowledge of Truth ... 245
 5 Truth-centred Ethics and Ideology ... 247
 Concluding Remarks ... 249

16 Emergence of Disease and Convergence of the Biomedical Sciences 250
 1 Multilevel Systems and Multidisciplinarity ... 250
 2 What Kind of Entity Is Disease? ... 252
 3 Diagnosis as an Inverse Problem ... 253
 4 Knowledge of Mechanism Strengthens Inference ... 256
 5 Bayesian Number Juggling ... 259
 6 Decision-theoretic Management of Therapy ... 261
 7 Medicine between Basic Science and Technology ... 263
 Concluding Remarks ... 265

17 The Emergence of Convergence and Divergence ... 268
 1 Divergence 268
 2 Convergence 270
 3 Caution against Premature Unification ... 272
 4 Why Both Processes Are Required ... 274
 5 Logic and Semantics of Integration
 6 Glue 278
 7 Integrated Sciences and Technologies ... 280
 Concluding Remarks ... 282


GLOSSARY ... 285
REFERENCES ... 293
INDEX OF NAMES ... 315
INDEX OF SUBJECTS ... 323



一過性全健忘症(続考)

2016年06月03日 13時17分47秒 | 生物哲学
2016年6月3日-2
一過性全健忘症(続考)


 2016年5月20日-1 一過性全健忘症、記憶の読み書き
http://blog.goo.ne.jp/1trinity7/e/6f49234532343f63ffcb6e0d72514e50

の続きである。
 記憶装置に(おそらく電気的に)接続してやり取りして(アクセスして)、意識が意識の座(interface)を通じて読み書きする、というモデルを考えたいところである。一過性全健忘状態では、記憶内容の書き込みがその時点では仕組みが壊れて、たとえば海馬との接続できず、また一週間ほど前のすでにある記憶を想起できない(→すでに存在する記憶内容の読み出し接続線が機能しない、→神経細胞水準かその上位のシステム体の機能不全)ことは、読み出し機構の方もイカれてしまっていた(しかしこの古い時点の記憶内容は回復した)。問題(?)は、一過性全健忘状態では書き込みができないので、一過性全健忘状態にあったときの出来事(自分の言った内容、不安そうに振る舞っていたこと)をそもそも覚えていないことである。しかし、しゃっべった内容はまったく覚えていないのに対して、身体動作的なことは、かすかながら思い出せる「ような気がする」。まことにあやふや。

 一過性全健忘症という事項は、ウィキペディア日本語版には無かった。英語版から、その原因と先行事象の部分を試訳したものを下記に掲げる。

 一過性全健忘(症)Transient global amnesia (From Wikipedia, the free encyclopedia)
https://en.wikipedia.org/wiki/Transient_global_amnesia[受信:2016年6月3日。]

  「
Causes
 The underlying cause of TGA remains enigmatic. The leading hypotheses are some form of epileptic event, a problem with blood circulation around, to or from the brain, or some kind of migraine-like phenomenon.[7][18][19][20] The differences are sufficiently meaningful that transient amnesia may be considered a heterogeneous clinical syndrome[2] with multiple etiologies, corresponding mechanisms, and differing prognoses.[8]
原因 Causes
 一過性全健忘症を引き起こす原因は、謎のままである。指導的仮説は、或る形態のてんかん症的事象だというもので、脳の周りか、脳への、あるいは脳からの血液循環の問題であるか、或る種類の偏頭痛に似た現象であると言う。[7][18][19][20] 〔意見の?〕相違は十分に意味があるので、一過性健忘症は、多種多様の病因と相当する機構と様々な予後をともなう種々雑多な臨床的症候群であると考えられよう。[8]


先行する事象〔出来事〕 Precipitating events
TGA attacks are associated with some form of precipitating event in at least one-third of cases.[21]
一過性全健忘症の襲来は、少なくとも3分の1の事例で、或る形態の先行事象と結びついている[21]。

The most commonly cited precipitating events include vigorous exercise (including sexual intercourse), swimming in cold water or enduring other temperature changes, and emotionally traumatic or stressful events.[2]
最も普通に挙げられる先行事象には、(性交を含む)強力な運動、冷水中で泳ぐことまたは別の〔otherの意味がわからない〕温度への変化に耐えること、そして感情的に〔情緒的に〕衝撃的な〔トラウマ的な〕または緊張に満ちた出来事〔事象〕が含まれる。

There are reports of TGA-like conditions following certain medical procedures and disease states.[19]
 一定の医学的手順と病態に続く、一過性全健忘症に似た状態についての報告がある。[19]

There is a slight (2%) familial incidence.[2]
わずかだが(2%)、家族遺伝的罹病率がある。[2]

If the definition of a precipitating event is widened to include events days or weeks earlier, and to take in emotionally stressful burdens such as money worries, attending a funeral or exhaustion due to overwork or unusual childcare responsibilities, a large majority, over 80%, of TGA attacks are said to correlate with precipitating events.[8]
先行事象の定義を数日前か数週間前へと広げ、また、お金の心配とか、葬式への参列とか、働き過ぎまたは普通でない育児の責任による疲労困憊とかといった、感情的にストレスの多い重荷を取り入れると、一過性全健忘症の襲来の大多数(80%超)は、先行事象と相関すると言われている。[8]

The role of psychological co-factors has been addressed by some research.
心理学的共同因子の役割が、或る研究によって提出された。

It is the case that people in a state of TGA exhibit measurably elevated levels of anxiety and/or depression.[3]
一過性全健忘の状態にある人々は、測定可能な水準の不安または鬱あるいは両方を示すことは本当である。[3]

Emotional [8] instability may leave some people vulnerable to stressful triggers and thus be associated with TGA.
感情的不安定は、或る人々にとっては、緊張に満ちた引き金に感じやすく、こうして一過性全健忘症と関連するのであろう。

Individuals who have experienced TGA, compared with similar people with TIA, are more likely to have some kind of emotional problem (such as depression or phobias) in their personal or family history[22] or to have experienced some kind of phobic or emotionally challenging precipitating event.[23]
一過性全健忘を経験した個人は、TIA〔Transient ischemic attack 一過性虚血発作〕をもつ同様の人々とくらべると、個人のまたは家族の歴史において(鬱または恐怖症といった)或る類いの感情上の問題を持っていそうである、あるいはなんらかの類いの恐怖症的先行事象か感情的にやりがいのある先行事象を経験したことがありそうである。[23]

===
Progression of a TGA event
一過性全健忘事象の進行

 This onset of TGA is generally fairly rapid, and its duration varies but generally lasts between 2 and 8 hours.[2]
一過性全健忘症の発病は、概してかなり速く進む。その持続時間は変異するが、概して2時間ないし8時間続く。[2]

A person experiencing TGA typically has memory only of the past few minutes or less, and cannot retain new information beyond that period of time.
一過性全健忘症を経験している人は、ほんの二分か三分以下の過去の記憶しか持っておらず、その期間を越えた新しい情報を保持できない。

One of its bizarre features is perseveration, in which the victim of an attack faithfully and methodically repeats statements or questions, complete with profoundly identical intonation and gestures "as if a fragment of a sound track is being repeatedly rerun."[4]
さの奇怪な〔異様な〕特徴の一つは、反復症である。襲来された犠牲者は、誠実にかつきちょうめんに陳述または質問を繰り返し、「或る録音軌道〔録音帯、サウンドトラック〕の一断片が繰り返し再演奏されるかのように」大いに同一の抑揚と身振りで仕終える〔「, complete with」がイマイチわからん〕。

This is found in almost all TGA attacks and is sometimes considered a defining characteristic of the condition.[2][5][6]
このことは、ほとんどすべての一過性全健忘症の襲来において見られ、この症状の定義的特徴であると時には考えられている。[2][5][6]

The individual experiencing TGA retains social skills and older significant memories, almost always including knowing his or her own identity and the identity of family members, and the ability to perform various complex learned tasks including driving and other learned behavior; one individual "was able to continue putting together the alternator of his car."[2]
一過性全健忘を経験している個人は、社会的技能を保ち、古い意義深い記憶を保持しており、その記憶としては、ほとんど常に自分の同一性〔本人であること、身元〕を知っていることと家族の構成員の同一性認識〔身元〕をしていることを含んでいる。また、様々な複雑な身につけた仕事を遂行する能力としては、運転と他の習得した行動を含む。〔或る?、つまり一例の観察か?〕一人は、「自分の車の交流発電機を組み立て続けることが可能であった」。[2]

Though outwardly appearing to be normal, a person with TGA is disoriented in time and space, perhaps knowing neither the year nor where they reside.
外見上は正常に見えるけれども、一過性全健忘の人は、時間と空間が位置がわからない〔混乱する〕。おそらくその年〔の位置〕もどこに住んでいるかも、知らない〔わからない〕。


〔略〕

There is also evidence that the victim is aware that something is not quite right, even though they can't pinpoint it.
(正確に指摘できないけれども)なにかが完全には正しくないと、犠牲者は気づいているという証拠もある。


一過性全健忘症、記憶の読み書き

2016年05月20日 15時11分52秒 | 生物哲学
2016年5月20日-1
一過性全健忘症、記憶の読み書き

 一過性全健忘症(TGA: transient global amnesia)にかかったらしい。らしいというのは、その症状下の2016年5月18日22時30分頃から翌日の2時30分頃までの記憶がすっぽりと無いからである。その後眠って朝起きたときにはほぼ正常になった。
 「 ドクターすなみの脳のおはなし 第81回 一過性全健忘症」に、一過性全健忘の特徴として下記の八つが挙げられている。

  「 一過性全健忘の特徴

 1.突発的に健忘状態(記憶喪失)が起きる。
 2.症状が持続する時間:数時間続くケースが多い。
 3.睡眠をとる(眠って起きると)と回復する。
 4.発症中に起きた出来事は記憶されない(思い出せない)。
 5.発症前の数日~数か月前にした行動を思い出せない(逆向性健忘)。
 6.発症中でも意識や知識・判断力はいつもと変わらない。
 7.回復すると、記憶の機能は戻る。
 8.後遺症はない。」
(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/ehime/cat070/suggestion/sunami/20141031004[受信:2016年5月20日。])

 わたしの行動を観ていた人の話と私自身の判断にもとづくと、これらの8項目がすべて当てはまる。さらに、発症中には、同じ質問を答えを聴いた直後に質問し、10回[+α:20160521追記した]ほど繰り返した(らしい)ということは、下記の、

 ibaibabaibaiのサイエンスブログ
 2016-01-21
 ある日海馬が故障した - 一過性全健忘(TGA)体験記
(http://ibaibabaibai-h.hatenablog.com/entry/2016/01/21/030957)

で、「自分「え? 同じ電話を何回もしているの? まったく記憶にないけど」」とあるように、同じ質問を繰り返すという記述と同じである。
 家の中で、「ここ、○○○[←地名]」とか「わし、いったいどこにいるの?」などと言ったらしい。翌日には、普通に発話しているので、発症時には記憶倉庫とのやりとり(書き込みと引き出しという、意識という中央演算装置と記憶装置との間の入出力)がまったく出来なかったようだ。廊下を行ったり来たりとか、戸の開閉とか、体勢感覚的な事柄はうっすらと記憶があるような気がする。その場合でも、昨晩のことだったのか、数日前のことだったのか、時間的位置がわからない。
 仕組み(機構 mechanism)としては、質問して答えを聴いたことが記憶されないのから、同じ質問を繰り返すということになるだろう。
 上記の一過性全健忘体験記の「突然海馬が故障して記憶にまったく書きこみができなくなり,数時間で治った」と述べる筆者は、「発症後少し経過してから高解像度のMRIを撮ると,8割以上の症例で海馬に微小な高信号領域(白点)がみられるとのこと.48時間~72時間がピーク.」ということで、或る撮影条件(「3テスラ、2~3mmのスライス、高b値」)でMRIを撮ると、
  「上がDWI(拡散),下がT2強調といわれる画像である.両方に出ているが,上ので十分だろう.DWIに出ているということは新鮮な病変であることを意味している.」
と、「虚血に対して非常に脆弱である」(ウィキペディア)海馬、のCA1領域が白く写る。
 また、或る症例では、
  「発症 80 時間後の 3.0 Tesla 頭部 MRI 拡散強調画像で両側海馬 CA1 領域に高信号域を、頭・頸部 magnetic resonance venography(MRV)で右側横静脈洞の低形成と両側腕頭静脈狭窄をみとめた。また、頸静脈エコーでバルサルバ負荷時に右側内頸静脈の逆流時間の延長をみとめた。自験例は、脳から還流する血管床が減少した状況下でバルサルバ負荷によって静脈内圧が上昇し、虚血に脆弱な海馬 CA1 領域に静脈性虚血が生じたものと推定される。」(坂井利行・冨本秀和 2012: 769頁[要旨]。「, 」は「、」に、「. 」は「。」に変換した。)
とある。バルサルバ負荷って?。
 →(脳システムの一部である)海馬の構造と機能を勉強すべし。動脈からの血流が供給されなくて酸欠になるので、一過性全健忘というわけではないのか?。
 
 
 脳は、自動機械 automaton である(機械と見立てればだが、アーリス ベイリーが伝えたジュアルカル大師の教えでは、そのように言明している。→機械とは、また「自動的に」作動する機械とはなんだろうか?)。
 計算機 computor という機械を、模型 model に取ると(つまり、類似的に、あるいは同型的に考えると)、記憶装置との入出力部分の機構 mechanism の故障である。中央演算装置は、ちゃんと作動している。む?、しかし意識はどういうことに対応する?。
 脳は神経細胞から構成されるが、機械の作動によって機能を維持しているわけで、血流が酸素や栄養物質を運ぶことで脳は機能している。
 

□ 文献 □
ibaibabaibai.ibaibabaibaiのサイエンスブログ 2016-01-21 ある日海馬が故障した - 一過性全健忘(TGA)体験記.
http://ibaibabaibai-h.hatenablog.com/entry/2016/01/21/030957[受信:2015年5月19日。]

ibaibabaibai.ibaibabaibaiのサイエンスブログ 2016-01-23 一過性全健忘(TGA)体験記 /補遺.
http://ibaibabaibai-h.hatenablog.com/entry/2016/01/23/122541[受信:2015年5月20日。]

坂井利行・冨本秀和.2012.神経画像検査にて脳静脈還流異常をみとめた一過性全健忘の 39 歳女性例.臨床神経学 52(10): 769-773.
https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/052100769.pdf[受信:2016年5月20日。]

角南典生.2014/11/1.ドクターすなみの脳のおはなし 第81回 一過性全健忘症.
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/ehime/cat070/suggestion/sunami/20141031004[受信:2016年5月20日。]

メルクマニュアル18版.健忘: 大脳葉の機能および機能障害: メルクマニュアル18版 日本語版.
http://merckmanual.jp/mmpej/sec16/ch210/ch210c.html[受信:2016年5月20日。]


Bartsch, Thorsten & Deuschl, Günther. 2010/2. Transient global amnesia: functional anatomy and clinical implications. The Lancet Neurology 9: 205-214. [2016年5月20日に入手したが、未読]



===今後、読みたいブログ記事

 ついでに、相転移についての、量子計算とか、上位システムと下位システムの模擬計算との関係とか、興味深いことが述べられている下記の記事を読もっと。
 (タークマター、暗黒物質の記事は無いようである。)

ibaibabaibaiのサイエンスブログ
2016-04-19
アイス・イレブンの秘密(2) 72K相転移の発見
http://ibaibabaibai-h.hatenablog.com/entry/2016/04/19/233753

ibaibabaibaiのサイエンスブログ
2015-12-01
ワトソン君よりアントン君 - 揺らぐタンパク像
http://ibaibabaibai-h.hatenablog.com/entry/2015/12/01/081912

2015-11-10
プリオンなんて嘘だと思ってた

2015-11-24
動的平衡なんて怖くない
http://ibaibabaibai-h.hatenablog.com/entries/2015/11/24


伊庭幸人.2002/5/20.「情報」に関する13章 : 私家版・情報学入門.物性研究 78(2): 172-193.
(http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/97205/1/KJ00004704570.pdf
識別子は、http://hdl.handle.net/2433/97205[受信:2016年5月20日。])


読書録20160512、科学哲学

2016年05月12日 11時55分44秒 | 生物哲学
2016年5月12日-1
読書録20160512、科学哲学

 横山輝雄(1994: 124-125頁)は、科学哲学の内容を、下記の二つに分類している。
  1. 科学方法論
  2. 自然哲学または宇宙論
 第一の部類は、「科学とは何か、〔略〕科学の方法や手続きはいかなるものか」などについて論じ、「より一般的には知識論や認識論と呼ばれる」。
 第二の部類は、「自然、宇宙、実在などについてのもの」で、り「科学が対象としているのとある意味で同じ対象」である。そして、「このような自然哲学がはたして科学と別に展開しうるかどうかについてさまざまな問題がある」としている。

 自然主義とはどういうものか、言及がある。

「クーン以降の科学哲学者たちは、〔略〕心理学、社会学などの経験科学の延長線上に、知識論、認識論、あるいは科学方法論を展開するべきだと考えており、広い意味での「認識論の自然化」を志向している。〔略〕
「自然主義」という言葉は異なった文脈に応じて種々な意味で〔現在用いられている。〔略〕科学方法論、知識論、認識論における自然主義とは、超越論的な立場に対立するものであり、クワインなどの物理学還元主義もその一つであるがあるが、〔略〕ある種の歴史主義も含みうる広い意味で用いられている。科学方法論の場面で言うと、ある特定の方法、例えば反証可能性の基準は、超時間的、超歴史的な基準ではないという立場である。〔略〕ラカトシュ〔は〕科学方法論についてのメタ基準の問題を生成論的、歴史的な議論と関連づけて提起した。ローダンの自然主義もこの延長にあるものである。それゆえ〔略〕次第に歴史的あるいは生成論的な議論に近づいていくことになる。」
(横山輝雄 1994: 128-129頁)。

文献
長尾龍一・川上倫逸(編).1994/4/25.開かれた社会の哲学――カール・ポパーと現代.243pp.未来社.[本体2,500円+税][B20000505]

横山輝雄.1994/4/25.現代科学哲学とポパー.長尾龍一・川上倫逸(編),『開かれた社会の哲学――カール・ポパーと現代』: 124-130.未来社.

読書録:森田邦久 2012/6 科学哲学講義

2015年12月31日 22時20分46秒 | 生物哲学
2015年12月31日-2
読書録:森田邦久 2012/6 科学哲学講義

森田邦久.2012/6/10.科学哲学講義.202pp.[本体価格740円+税][B20120626] [20151229読始、20151230読了].

買って3年半後に、読み始めた。
第1章と第2章は、読みにくく、肝心のところが理解できなかった。
第2章の途中で止めて、 一時は放棄しようと思ったが、最後の章を読むと難なく読めた。そして、第3章以降もすらすら読めた。

森田 2012: 20頁。
白いカラス。
カラスはCorvus 属の種の個体か?。同属の数種は、種として一部が黒ではない。

種システムとしては、個体発生途上で事故(材料不足とか放射線が当たるとか)がなければ、羽根は黒くなるようになっている。メラニン色素の沈着によって。
ウォディントンの頑健な発生経路。

あるダイエット食品や民間治療法が、同じまたは同様の状態にたいして、一般的でなく、私に効果があるかどうか、が問題である。→諸条件の同定。

グルーという述語
変態する昆虫は、グルー的性質を持つ。
幼虫が蛹になり成虫になるのは、グルー的性質の発揮である。
→種システムの、種生物体発生システム、または形態形成システム。

「「投射可能な述語」をはっきりと説明するのは難しい」、で終わっている。しかし、この投射可能な述語を使っている。そして、
「投射可能な述語を用いることは、自然法則であるための必要条件であるが、十分条件ではない」(27頁)と述べる。

→渡辺慧の醜い家鴨の仔の定理、は投射可能な述語なるものは、相対的であることを含意する。

私見.
プルトニウム239をおよそ10kg以上集めると、ましてや1トン集めると、または1トンを集める前に、核分裂するので、1トンのプルトニウム239は存在しないというが、そうとは限らない。或る法則でも、或る日を境にして変わる、または成立しなくなるかもしれない。
また、環境条件が述べられていないが、絶対零度下では、プルトニウム239を1トン集めても、核分裂しないかもしれない。→理論的にはどうなのか?。理論的にはあり得ないと予想されても、実験結果は無いだろう。

→9kgごとのを作っておいてそれらを1トン分を一度に瞬間的に集めるとどうか?、やった人はいないだろう。日は明日も昇る、が保証が無いのと同じ。
核分裂を起こす、というが、これも帰納的推論で、次はわからない。→理論と根拠は相互依存。二項の同時分類。

31頁。私見。
法則とは?
他の法則が正しいとは限らない。
太陽が55億年後に消滅するかどうかは、一つの予想であって、確証されてはいない。その予想するより一般的な、恒星の大きさによって分類された、または数値で異なる結果となる一般的な理論、も確証されてはいない。→無矛盾性のみ。→後日には反確証されるかも。
→森田の議論は、厳密ではない。

種生物体の発生的条件が満たされれば、或る種システムが製作するすべての生物体は、一定範囲内の形態や機能を持つことになる。
→何らかの条件のもとに、または人が操作した結果として、脚が頭部に一つついていても、それはその種の生物体である。キメラなら、二種のシステムの合作である。それぞれのシステムの寄与割合を決めるのは難しい。二つの種の諸機構の(また或る環境下での)相互作用なので。

→ウォディントンの発生的結果の頑健性。

→カラスは黒い、は種固有的な「法則」?または、例外の無い規則である。発生結果は、発生機構による。機構は、存在する力を使って制御し、材料を変換もして構築している(諸結合関係による空間構造をもたらす)。
→物体間の結合関係の種類と程度。

「「すべてのカラスは黒い」も、じっさいにそれを否定するような事例があるのですが、それがなかったとしても、生物学的な法則からメラニン色素が欠如すればカラスでも白い場合がありうるので、法則とは言えません。」(森田 ?頁)。

私見。
→頭部に毛の無い、女王アリ、Pyramica。たまたま、発生途上での何かの条件違いで、そうなったのかも。
→種同定での注意点。

すべての人は死ぬ。
→キリストの肉体の再作動。チューリンの帷子の写真ネガみたいな像の焼きつけ痕。
→イオン化的エネルギー注入。細胞の再活動。生システムの再作動。

35頁。
結論が正しいとは限らないのが、アブダクション。
→良い指摘。
→ゆえに、試験されて確証または反確証されなければならない。架空の物語作りかもしれない。なんらの確証も無い、系統物語の花盛り。

私見。
本質的性質、本性 natureはその種システムが備える機構によってもたらされる。
→本質とは、種システムの機構の必然的結果である。障害がなけれは、種システムの(伝達経路を経て)諸力の操作の結果である。機構とは、定義により、そのような結果を一定範囲内の条件下で必然的にもたらすものである。
→発生経路の制御。

水は一つのタクソン名とすることができるが、H2Oは分子の元素構成を表わしたもの(化学式)であり、水と呼ぶものの本質を示した記号である。

可能世界は、実在するのか?
必然性という概念を考えるための、人が工夫した構築体である。また、言い換えにすぎないのか。しかし、実在しないなら、それによる推論は正しいと言えるのか?

41頁。
「1kgは1gの千倍である」というのは定義によって正しく、ア・プリオリには正しいのですが、必然的には正しくはありません。なぜなら、1kgの定義がこの現実世界と異なる可能世界はありえるからです。そこでは1kgは1gが100倍なのかもしれません。」

では、「この現実世界で「水がH2Oである」というのが正しいのなら、その他のあらゆる可能世界でも正しいはずだということです。」→?

ここでの議論は、40頁1行目からの、
「H2Oでないものは水ではありませんし、……」
であるが、まったく理解できない。
→或る現実世界についての可能世界の定義は?

41-42頁。
アブダクション、帰納的推論の一種だが、枚挙的帰納ではないということか?

53-54頁。
同じ可能世界を用いた議論を、因果について行なっている。ここでも、理解できない。

103頁。NO GO 定理。

「重力や磁力が、離れたものどうしに働いているように見えますが、今では「場」と呼ばれるものを介して働く「近接作用」として理解されているのです。」
(森田邦久 2012/6: 108頁)

116頁。確証性の種類と程度として理解すべきである。
→渡辺慧の信憑性、ベイズ。

117頁。検証可能性基準を「ゆるめた」(117頁)?、確証可能性基準。

私見。確証可能性基準でよい。
「このようにゆるめると、今度は、直感的には非科学的だと思われるような命題までが科学的になってしまうのです。たとえば、「神さまがこの世界の生きとし生きるもの、いまあるようにデザインしてお創りなさったのだ」という命題の「確からしさ」を上げるのは容易です。というのも、〔略〕生物というのはじつにうまくできています。」
(森田邦久 2012/6: 108頁)。

したがって、なんらかの設計が介在していると仮定して、試験し、確証または反確証(反証と同じ。文脈または考え方としては異なるが。下記に私見を参照せよ)すれば良い。

→森田邦久 201?.理系人に役立つ科学哲学.の32頁、に確証可能性基準についての問題を述べている、らしい。

私見。
或る命題が正しいとすると、それが間違っていると証明できないはず。間違っているとする証明の方が間違い。
→反証性基準は、役に立たない.
ポパーの考え方では、反証された理論だけが、科学的だった(過去形に注意)のである。Mario Bungeや渡辺慧のポパーへの批判を参照せよ。

「ラウダンは、そもそも科学と疑似科学を区別するのは不可能だと主張しています。」
(森田邦久 2012/6: 160-161頁)。

ラウダンの見解に同意する。

最後の方での森田邦久(2012/6)の結論も、科学と非科学との間の線引きは無理、というものだったと思う。
しかし、幾つかの基準によって諸段階を設けることは、できるだろう。そして各基準ごとの合致の程度を明示すると良い。
→何事についても、〈種類と程度〉を考えることを、心がけよう。


ゼーレン レブトラップ 1987『ダーウィニズム:或る神話の論駁』(1)

2015年09月07日 14時21分15秒 | 生物哲学
2015年9月7日-1
ゼーレン レブトラップ 1987『Darwinism: The Refutation of a Myth ダーウィニズム:或る神話の論駁』(1)

「Cogitare necesse est〔考えることが必要である(この仮訳は正しい?。デカルトのcogito ergo sumのcogitoは疑うとも考えるとも違うのだったか、論理展開が違うのだったか、どの本で読んだのだったか、はて?)〕

To: Jacques Barzun
  Paul Brien
  C.D. Darlington
  Leon Croziat
  Richard B. Goldschmit
  Gertrude Himmelfarb
  Norman Macbeth
  Robert G.B. Reid
  Otto H. Schindewolf
  D'arcy W. Thompson
  John C. Willis」


 上記のように、So/ren Lo/vtrup (1987) の『Darwinism: The Refutation of a Myth ダーウィニズム:或る神話の論駁』の献辞先名として、C.D. Darlington、Leon Croziat、Richard B. Goldschmit、Gertrude Himmelfarb、Otto H. Schindewolf、D'Arcy W. Thompsonらとともに、Norman Macbethがあった。
 Norman Macbethは1971年に『Darwin Retried: an Appeal to Reason』という本を出版した。1976年、それを読んだ。ほどなくして、訳書が出た。(1985年には、『Darwinism: A Time for Funerals』を出したようである。)
 最近ざっと読んだ、吉川浩満 2014/10『理不尽な進化 遺伝子と運のあいだ』は、ネオダーウィニズムの教義にはまったく無批判であった。(ルートヴィヒ ウィトゲンシュインの家族的類似性についても、無批判。レイチェル クーパーの『精神医学の科学哲学』でも、ウィトゲンシュインの家族的類似性を無批判に引き合いにしている。)したがって、『個体発生と系統発生』という本のあるスティーヴン J. グールドは根本的なところで救済されていない。それは個体発生が関わる。

 種システムが、それに属すると判定できる生物体を産出するのである。タクソンとは、法則性にもとづいた分類単位である。生物学的タクソンは、システム的種概念によって説明される。
 Ernst Mayr エルンストマイアの生物学的種概念は、隔離的種概念と名づけるべきであるが、しかしマーナ・ブーンゲ『生物哲学の基礎』が言うように、それは二つの生物体が同種か別種かの基準を与える指標仮説であって、種概念とは言えない。そしてまた、現実に照らせば、その基準は連続的尺度になってしまう。つまり、雑種が何代までできるかは、生物種によって様々である。
 また、ラバは雄のロバと雌のウマを掛け合わせてできる(つまり二つの種システムの生物体システム製作上でなんとかシステム成立したという結果的妥協の産物)生物体だが、逆の掛け合わせ(雄のウマと雌のロバ)で生まれる家畜をケッテイの性質は、ラバとはかなり異なる。
 しかし、エルンストマイアは、重要な事柄を示そうとしたのである。わたしがシステム的種概念を思いついたのは、Mayr (1988) の『The Growth of Biological Thought: Diversity, Evolution, and Inheritance 生物学的思想の成長:多様性、進化、そして遺伝』を読んでのことである。しかし、結局マイアは、いわば「進化は事実である」仮説または理論を疑わず、自然淘汰の説得力を疑わなかった。


*******
So/ren Lo/vtrup 1987
Darwinism: The Refutation of a Myth

ゼーレン レブトラップ 1987
『ダーウィニズム:或る神話の論駁』

  序 Preface 〔p.ix〕

 わたしの先立つ本である『後成論 Epigenetics』と『脊椎動物の系統 The Phylogeny of Vertebrata』では、広く受け入れられている進化理論、つまり「ネオダーウィニズム〔新ダーウィン主義〕」または「現代的総合」と呼ばれる理論は、間違いであることを示そうとした。
 それに続く仕事のなりゆきで、進化思想の歴史に興味を持つことになって、わたしは大変注目すべき予期しなかった発見をした。それは、誰も、ダーウィンや彼に最も近しい友人たちでさえ、ダーウィンの自然淘汰の理論を少しも信じてはいなかった、という発見である。すなわち、ダーウィニズムは、それが思いつかれたその時から、誤りが明らかにされていたのだ。ダーウィンまたは自然淘汰のどちらかへの証拠〔賛辞 a tribute to〕を見つけなければ、生物学的学術論文を公開することは困難であることを考えるとまことに、生物学の歴史、事実における科学の歴史において、大変奇妙な状況に面している。この状況は、説明を要するものである。本書は、それを提供する一つの試みである。
 〔略〕



   はじめに Introduction 〔p.1〕 

 〔T.H. Huxleyによる二つの文章の引用箇所を、略〕

 この惑星上の生命は進化の過程を通して生じたという考えは、教養あるすべての人々によく知られている。たいていの人々は、この理論のちゃんとした名前は「ダーウィニズム」であると教えられる。その理由は、有機的進化についての考えを最初に述べ、さらに自然淘汰の理論を創始したのはチャールズ ダーウィンだったからである。自然淘汰理論は、進化の過程が実現される機構を疑いの余地もなく説明するのである。
 〔続く〕


文献
Lo/vtrup, S. 1974. Epigenetics: A Treatice on Theoretical Biology. xvi+547pp. John Wiley & Sons. [P]

Lo/vtrup, S. 1977. The Phylogeny of Vertebrata. xii+330pp. John Wiley & Sons.[P]

Lo/vtrup, S. 1987. Darwinism: the Refutation of a Myth. x+469pp. Croom Helm. [B19870701, 12,960円(14,400)丸善予価12,600]

Macbeth, Norman. 1971. Darwin Retried. 178pp. Dell Publishing Co. Inc.

マクベス,N. 1971.(長野敬・中村美子 訳 1977).ダーウィン再考.212+xxv pp.草思社.[1,300円]

*Macbeth, Norman. 1985. Darwinism: A Time for Funerals. An Interview with Norman Macbeth.


機構的説明

2015年08月10日 21時42分25秒 | 生物哲学
2015年8月10日-2
機構的説明


   「explanation 説明 [BungeDic1, p.93-94。BungeDic2と照合すべし]
 説明は、諸事実と関係のある一つの認識的操作である。或る事実(具体物の状態または状態の変化)を説明することとは、それがいかにして生じたかを示すことにある。例:日没は地球の回転によって説明される。〔略〕説明は記述と試験〔テスト test〕によって先行される。説明には三つの側面〔相 aspect〕がある。すなわち、論理的、存在論的、そして認識論的という側面である。説明の_論理_は、規則性(たとえば、法則)と状況 circumstance(たとえば、諸初期条件)に関わる演繹的〔導出的 deductive〕論証としての説明を提示する。説明の_存在論_は、仮説化した↑【機構〔メカニズム〕mechanism】(因果的、機会的、目的論的、など)を指し示す。そして、説明の_認識論_は、既知のものまたはなじみのものと、新しいものまたはなじみではないものとの間の関係を問題にする。魔術的で宗教的な説明と同様に、典型的な科学的説明は、なじみではない諸存在者または諸性質を引き合いに出す。しかし、前者とは違って、後者は↑【検証可能 scrutable】である。
  〔訳註。scrutable 精密な調査[研究]によって理解できる(大辞泉)。日本の新聞やテレビではよく「検証」という言葉が聞かれる。アメリカ合州国での scrutinize が検証に当たるようである。実証との関係は? 科学哲学業界での検証という訳語は、論理実証主義または論理経験主義的なverificationである。積極的な意味では、立証という日本語がある。verificationism を立証主義とし、test を試験またはテストとするとよいかもしれない〕。
 そのうえ、通常の知識と魔術的説明とは対照的に、科学的説明は↑【法則 law】としっかりと認定された well-certified 事実を伴う〔を要件とする involve〕。
 二種類の科学的説明を区別しなければならない。すなわち、弱いまたは包摂的と、強いまたはメカニズム的である。
 _包摂的_説明とは、普遍のもとで特殊を包摂することである。それは、
  (諸)法則 & 状況 |--? 被説明項(説明されるべき事実)
という形式を持つ。ここで諸法則は純粋に記述的であり得る。たとえば、併存〔? concomitance〕の言明や速度方程式である。例:ボブが死を免れないことは、彼が人であるというデータ、および、すべての人は死を免れないという一般化によって(弱く)説明される。(つまり、∀x(Hx ⇒ Mx), bH |--? Mb.)これは、J.S. ミル以来、大多数の哲学者たちが説明を理解してきたやり方である。
 _機構的 mechanismic_〔訳註。mechanisticではないことに注意。〕または強い説明は、機構の開示である。それは、包摂と同じ論理形式を持つが、それに関与する(諸)法則は↑【機構〔メカニズム〕mechanism】を記述する。集成 assembly、衝突、拡散、競争、そして協力〔協調 cooperation〕といったものの機構である。たとえば、人は死を免れないことは、数多くの合同的に〔併発的に、同時的に concurrent〕作用する機構によって(強く)説明される。すなわち、酸化、DNA損傷、消耗、アポトーシス(遺伝的にプログラムされた死)、ストレスに満ちた時期のあいだにできた糖質コルチコイドの作用による免疫の低下、事故、などによってである。機構的説明は、包摂を包含 subsumeする。」〔20111102試訳、20150810一部修正〕
[2011年11月2日-3 Mario Bunge 哲学辞典:説明、説明力.http://blog.goo.ne.jp/1trinity7/e/80d2aa92205c0cc6947951de3716ac32]

 科学的説明の二種類とは、包摂的説明と機構的説明である。機構的説明は、存在論的説明でもあるが、包摂的説明を包括するから、説明とは機構的説明という一種類となる。そこで、Mario Bunge (2013) の本、『医学の哲学 医学における概念的論争点』の用語集では、〈説明とは機構的説明である〉、ということになるわけであろう。

 ついでに、下記の事項も引用しておこう。

  「explanatory power 説明力[BungeDic1, p.94。BungeDic2と照合すべし]
 仮説または理論の、それが言及する諸事実を説明する力。↑【適用範囲 coverage】(または確証の程度)と↑【深度〔深さ〕 depth】(関係する水準〔レベル level〕の数)の積として分析されるかもしれない。あらゆることを説明すると主張する仮説は、なにごとも説明しない仮説と同様に、まさに無価値である〔無用である worthless〕。」〔20111102試訳〕


文献
  Bunge, M. 1999. Dictionary of Philosophy. 316pp. Prometheus Books.

  Bunge, M. 2003. Philosophical Dictionary. Enlarged Edition. 315pp. Prometheus Books.
  [マリオ・ブーンゲ(2003)『哲学辞典 増補版』より10項目の日本語訳は、http://www10.plala.or.jp/trinity7/M&B/bungedic10.htm、にある。]

  Bunge, Mario. 2013[/5/30]. Medical Philosophy: Conceptual Issues in Medicine. Paperback. World Scientific Publishing. [B20150717, paperback 6016円+0=6016円amz]


システム的機構 systemic mechanism

2013年04月14日 12時01分02秒 | 生物哲学
2013年4月14日-2
システム的機構 systemic mechanism

 わたしは、ISHPSSB off-year workshop in Kobe, 6 November 2008 で、次のように種を定義した。

  A species is an integrated system with hierarchically controlled, organism-producing mechanisms.
  一つの種は、生物体を産出する、階層的に統御された諸機構を持つ、一つの統合されたシステムである。

 【削除。ここでの《種》〔《種》は概念といった構築体を指し、「種」は種という表記を示す。〕は、人が心的に構築した存在者か、あるいは、どこかに実在する物体である。(実在するかどうかは探求して物質的に同定することになるが、検出手段が未成立の段階ではああでもないがこうでもないとかああでもあるがこうでもあるとかいったおしゃべりよりも検出手段の開発を考えるべきである。)】
 
 (仮構されたまたは実在する(法則はどこに実在するのか?))
 或る種システムは、同様の素材を使い同様の方法で製作するので、生物体同様の形や機能を備えた
 同様の素材を使うようにするために、同様の素材から構成され、同様の素材を外界からまたはおよび自身の身体から調達する生物体を使っている。或る細胞は、同様の細胞を産出する。子細胞は、その子細胞を産出する。
 素材を組み立てるのは、その種システムが備えている機構理念(または設計イデア)を実装されている生物体である。


 さて、システムが主体的または能動的に振る舞うのは(まるでシステムの《意志》を仮定しているみたいだが、人が自由意志を持つならば、そのことをこのようにして説明できるかもしれないことになる)、それが備える機構 mechanismによるものだと考えよう。
 すると、問題は機構とは何か、それはどう定義されるのか、である。
 Fagan (2012.4, 2012.10)は、下記の三つの定義を掲げて論じている。

  "Mechanisms are entities and activities organaized such that they are productive of regular changes from start or set-up to finish or termination conditions." (Machamer, Darden, & Craver 2000: 3).
  「機構とは、開始から終了まで状態の、または設立から消滅までの状態の規則的な〔一定の regular〕変化を生じるような、編制された〔組織された〕存在者と活動である。」(Machamer, Darden, & Craver 2000: 3;20130414試訳)。

  "A mechanism underlying a behavior is a complex system which produces that behavior by ... the interaction of a number of parts according to direct causal laws." (Glennan 1996: 52).
  「或る振る舞いの原となる underlying 一つの機構は、直接的な因果的諸法則にしたがう 数多くの部分の相互作用によって その振る舞いを産み出す 一つの複雑なシステムである。」(Glennan 1996: 52;20130414試訳)。

  "A mechanism is a structure performing a function in virtue of its component parts, component operations, and their organization. The orchestrated functioning of the mechanism is responsible for one or more phenomena." (Bechtel & Abrahamsen 2005: 423).
  「一つの機構は、それを構成している部分、構成している働き operations、そしてそれらの編制によって、一つの機能を遂行する一つの構造である。諸機構が調整された機能は、一つ以上の現象を担当している〔responsible for は、あるいは「動因または原因である (being the agent or cause)」(Weblio辞書による)。」(Bechtel & Abrahamsen 2005: 423;20130414試訳)。


 



文献

'The Systemic Concept of Species'の検索結果(3件):

2010年7月26日-3:The Systemic Concept of Species [20081106英文テキスト]


2012年6月22日-6:種システム species system について、ないしは(わたしにとってはとっくに解決済みの)種問題 species problem 周辺の記事【再録1】

2010年8月21日-2:生殖隔離的種概念からシステム的種概念へ

---

Fagan, M.B. 2012.4. The joint account of mechanistic explanation: *** draft of April 25, 2012 ***. [受信:2013年4月12日]

*Fagan, M.B. 2012.10. The joint account of mechanistic explanation. Philosophy of Science 79: 448-472.

Glennan, S. 1996. Mechanisms and the nature of causation. Erkenntnis 44: 49-71.

Machamer, P., L. Darden, and C. Craver. 2000. Thinking about mechanisms. Philosophy of Science 67: 1-25.

Woodward, J. 2002. What is a mechanism?: a counterfactual account. Philosophy of Science, 69: S366-S377.



システム的世界観、Bunge (2000)

2013年04月14日 09時19分39秒 | 生物哲学
2013年4月14日-1
システム的世界観、Bunge (2000)

 Bunge (2000)は、個体主義 individualismと 全体論 holism のどちらの見方も片手落ちであり、システム主義 systemism が良いと、社会経済的な例を引き合いにして主張する。
 では、システム的な見方とはどんなものなのか。

  「これ〔システム的世界観〕は、次の前提を中心としている。
  1. あらゆるものは、具体的であれ抽象的であれ、一つのシステムであるか、一つのシステムの実際のまたは潜在的な構成者である。
  2. システムは、構成者には無いシステム的(創発的)特徴を持つ。そこから、
  3. すべての問題は、切断的によりもシステム的に取り上げる approach べきであり、
  4. すべての考えはシステム(つまり理論)へと組み立て put together into systems (theories) られるべきであり、そして、
  5. 考えであれ人工物であれ、どんかなものについての試験 testing も、他の事項の妥当性を仮定しており、それらの事項は少なくともさしあたりは〔当分の間は for the time being〕基準点として 受け入れられる taken as benchmarks 。」(Bunge 2000: 149)。

 もっと具体的なシステム的分析の方法を知りたいところ。
 
 産出物については、どうなのだろうか? たとえば生物体発生(organism generation, ontogenesis)では、種類によって異なるが、環境条件の変動や悪条件にも関わらず、それなりに変化が進行する。眼玉が一つになって死亡しても、それは_ Homo sapiens_ だと同定できる。

 事の生起、特に産出されるという事柄は、日常的な因果的系列に、たとえば環境条件を或る主体(たち)にとって都合良く変えたり、身体を道具化したりしたりして、或る事がより生起しやすいようにする場合がある。

[B]
Bunge, M. 2000. Systemism: the alternative to individualism and holism. Journal of Socio-Economics 29: 47-157.


タクソン学の基礎:本質主義と進化的思考

2013年04月10日 22時10分14秒 | 生物哲学
2013年4月10日-5
タクソン学の基礎:本質主義と進化的思考

 科学では、その方法や構築内容の伝達のために、たとえば数式を含む言語を使う。言語体系は、なんらかの同一性のよって、差異性を表わす(逆に言えば、差異性によって相対的に同一性[の種類と程度]を示す)。したがって、科学は或る精度のもとでの同一性と差異性の体系を産み出すことになる。
 Mayr は、進化的考えを擁護するために、個体群思考 population thinking を唱え、類型主義または本質主義を排撃することを試みた。おそらく、進化的考えが多数の者に受け入れられていたため、本質主義は採用されることが少なくなった。
 しかし、生物分類学者は、たとえば種への検索表を作る。それは、その種に属する生物体はすべて、その種に同定されなければならない。望ましくは、まず種タクソンを定義する。よく行なわれるのは、諸形質(性質)を列挙することによる定義である。そして、手っ取り早い同定にためには、できるだけ明瞭に分かれるように、鍵対 key couplet での外的形質に大きく差異が出て間違いにくいような形質を選ぶことである。ここでの形質としては、種の定義形質が採用されるとは限らない。たとえば、或る群の二種の生物体の大きさの範囲(最小値と最大値)が多くの標本を測定しても、全く重ならないとしよう。

 手っ取り早さを優先するならば、或る種の生物体たちの95%が『頭部は白い』という形質で他の或る群内の他種から区別できるなら、その形質を採用するかもしれない。

環状分布種 ring species [circularly distributed species]

1. 本質主義の定義
2. 本質主義へのMayrによる批判

3. Rosenberg (1985) の言う本質主義

  『進化の証拠が無いときには、或る種の属員たちが共通して持つ何かがあり、この共有する諸性質がその種の属員たちを属員としており、そしてそれが他種の属員からの区別性 distinctness を説明すると思うのには理由があった。
 種についてのこの本質主義的信念〔確信 conviction〕の確立は、進化的思考にとっての障害であった。それは、種の進化について、種内と種間の変化について語ることを困難にした。元素間の変化について語るのが困難であることとまさに同様である。或る量の物質が、崩壊によってラディウムであることからラドンであることへと変化したと言うことは、もちろん不可能ではない。しかし、元素ラディウムが元素ラドンへと変化するというようなことは無い。せいぜいのところ、ラディウムのすべての量がラドンへと崩壊するかもしれない、そしてその後にはラディウムの標本は残っていないであろう〔ということである〕。ただし、周期〔律〕表におけるラディウムの位置が消されることは無いであろう。変換〔変質〕 transmutation または崩壊によって、多量の他のもっと重い元素がラディウムの標本になるかもしれない。しかし、ラディウムという_類_がラドンという_類_に変化することはあり得ない。そのことの本質主義的見解では、種が進化するという概念は、生物体の変化ではなく、それらが属する類の変化という後者の意味で理解されるべきである。そういうわけで、種が進化できないのは、ラディウムという類がラドンという類に変化できないのと同じである。もちろん、多量の物質が或る元素から別の元素に変化することについて語るのと同様にして、種の進化について語ることを許すような種についての解釈を与えることはできる。血統の系列が特定の種タクサに入りそして離れると言わなければならない。もっとも、これは可能な語り方ではあるけれども、不自然であり、種の絶滅について言っていることと和解させることは難しいし、進化について考えることへの幾分かの障害をまさに反映している。この程度に、本質主義は進化的思考と反目している。」(Rosenberg 1985: 189〔OK〕;試訳20130410)。


  「種に関する本質主義とは、各種には個々の生物体の一組の瑣末ではない*〔ありふれたものでない〕 nontrivial 諸性質があり、それらの諸性質は生物体たちにとって中心的で特有 〔区別的、示差的〕distinctive であるか、あるいは属員であることにとってそれぞれの性質は必要で、かつ合わせれば十分である、という主張である。ゆえに、本質主義は、一つの特定の種名は、たとえば_Didus ineptus_ (ドゥードゥー)は、明示的な定義を与えることができるか、あるいは少なくとも、科学 において得ることのできる定義に近いのである。種に関する本質主義は、極微物理学 microphysics の基本粒子または周期表における元素に関する本質主義と違わない。メンデレーエフがひとたび周期表を提案すると、物理学者と化学者は様々な元素の周期表における位置を説明する基本的特徴を探究することが可能となった。ついには、原子理論は、各元素の化学的および物理的諸性質を、元素を構成する原子たちの原子構造と結びつけることで、この説明を提供した。すなわち、陽子、中性子、そして電子のそれぞれの数と、核を囲む『殻』における配置である。こうして、分類のもともと〔当初 original〕の基礎であった化学的および物理的諸性質は、元素の原子的諸性質に取って代わられ、それらの特権的位置はさらなる説明がやり遂げられることで強化された。すなわち、いまだ発見されていない元素の諸性質の予測、同位元素 isotope の収容場所 accomodation、などである。或る元素の原子構造は、それゆえその元素の本質を提供し、本質的性質を運搬する convey と言われる。」(Rosenberg 1985: 188;試訳20130410)。

 →暗黒物質 dark matter 〔暗黒とは正体不明という意味をかけているらしいが、光物質 light matterと名づけたいところである。lightは軽いという意味もある。〕と暗黒エネルギーが検出または同定されていないが、その存在を信じる物理学者は多いらしい。このことを考えると、

  「しかしこの主張は、きわめて強い形而上学的ないかなる意味で(少なくとも科学者の目的にとっては)理解されるべきではない。この主張は、原子構造は特定の量の或る元素の非原子的諸性質にとって論理的に必要であることを、あるいは、原子構造は或る元素の概念を思案することによって暴かれるのだということを、ほのめかそうとするわけではない。本質主義はここでは、学究的哲学がこの用語を用いるような仕方での、同一性を授ける非偶発的な関連、についての主張ではない。この点については、本質主義という用語は不運な〔都合の悪い unfortunate〕用語である。というのは、それは中世哲学と合理的神学の刷毛で、完全にまともな科学的研究綱領 research progrm を汚しているからである。その綱領とはすなわち、より接近可能な現象の構成物を統御する基礎的一様性 uniformity〔斉一性〕を発見し、またそれらをより適切に体系化して説明する斉一性を発見するための綱領〔計画 program〕である。化学における本質主義はまさに、メンデレーエフ Mendeleev が明らかにした秩序の諸原因を発見するための実験的探究を企てる要求である。もしも20世紀の物理学がこのような秩序を暴くことに失敗していたならば、元素についてのメンデレーエフの分類学 taxonomy は疑いをかけられていたであろうが、当然である。同様に、メンデレーエフの周期表とは両立しない基本構造を20世紀の物理学が暴いていたならば、より基本的な原子理論を収容するように、周期表は調整されたであろう。原子理論が化学元素の本性の 基本的説明を提供するようにみなされたので、それは化学元素の『本質主義的』定義を提供するのである。物理諸科学においては、本質主義はまた別個の用語であって、自然の統一性と単純性への信念に対する用語であり、そして本質主義的拘束〔制限〕を破る諸理論は、まさにそのことによって疑わしい。」(Rosenberg 1985: 188-189。試訳20130410)。

  「生物学においては、しかし、この教義は悪評に陥った〔has fallen into disreputeだが、「悪評散々となった」と誇張したいところである。〕。種についての『本質主義』は、




 
□ 文献 References □
池田清彦.2002.7.生命の形式:同一性と時間.245pp.哲学書房.[B20021120, y1,900]

Rosenberg, A. 1985. The Structure of Biological Science. xi+281pp. Cambridge University Press. [B19870804, 3580円/紀伊國屋書店-新宿]

===
Liu, Y-S., Wang, Q-L., and Li, B-Y. 2010. New insights into plant graft hybridization. Heredity 104: 1?2. [doi:10.1038/hdy.2009.115; published online 26 August 2009][接ぎ穂[枝, 芽];接ぎ木]


パターン分析/Grenander, Ulf

2012年10月29日 11時50分39秒 | 生物哲学
2012年10月29日-1
パターン分析/Grenander, Ulf
鍵語:言語、アブダクション、数学的定式化、

 Grenander (1969) に、記号 sign の定義などがある。
 検索すると、
  The Brown University Pattern Theory Group
http://www.dam.brown.edu/ptg/participants.shtml
  Division of Applied Mathematics Papers & Technical Reports on Applied Probability, Pattern Theory, and Statistics
http://www.dam.brown.edu/ptg/publications.shtml
や、
 Ulf Grenander の
  Ulf Grenander's Home Page
http://www.dam.brown.edu/pattern/ug.html
があった。
 
 また、
  Pattern theory
http://en.wikipedia.org/wiki/Pattern_theory

  Abductive reasoning
http://en.wikipedia.org/wiki/Abductive_reasoning

 
[G]
Genander, ULF. 1969. Foundations of pattern analysis. Quarterly of Applied Mathematics, 27: 1-55. [19710222入手]



エンテレキーは情報か?

2012年08月30日 22時45分47秒 | 生物哲学
2012年8月30日-3
エンテレキーは情報か?

 エンテレキーは情報か?
 そう主張するまたは解釈する根拠と文脈は?

ドリーシュ『生気論の歴史と理論』訳書
 230頁。ontology 本体論→存在論。
 235頁。機械論と生気論についての記述。生気論のなし得ることが述べられている。
 236頁。カンメラーについて。
 238頁。マシン理論。
 238頁。ルーは当初は、展開論者 evolutionist。「情報」はどの細胞にも分配される。「全体性」=個体性を、片方の細胞だけでも持っていた。
  カエルでは、分化= DNA活性化。
  ウニでは、1/4でも、全体性=個体性。8細胞期になるとダメ。
 241頁。だだし→ただし[誤植]。
 243頁。胞胚が等能(個体発生)系であるのは、細胞分割において、核やミトコンドリアのがどれにも、したがって1組のゲノムが存在するからである。[この言い方は変?]

 
 システム主義では、情報は、どのように扱うか?
 Bunge 1999では、
  system =〈composition、structure、environment、mechanism〉
  システム=〈構成、構造、環境、機構〉
   (註。〈〉は順序n組であることを表わす。)
だが、
  システム=[(構成、構造、機構)、環境]
と書き直すことにする。ここで()は、或るシステムとそれを取り巻く環境との関係を示すためのものである。さらに、統御的階層または制御的階層を導入するために、
  システム=[機構(諸機構)、環境]
と、メカニズムに統御という観点から見た階層を考える。ここで、()の内外は或る下位システムとその直近の上位システムとの関係を表わすためのものである。ここでは、或る作用または生物体全体での機能的過程をもたらす機構 mechanism を問題としている。当然、或る機構は環境諸条件との関係で作用する。
 Bunge (1999)は、機構を無視すれば、システム=〈構成、構造、環境〉となると言っているが、システムの作動を問題とする場合には、そのシステムが備えている機構 mechanismの解明が重要である。とりわけ、生命、生物体、あるいは種(または種的存在様式)について知りたい場合は、そうである。

 一元的に機構を解明して、作動様式を解明するのがよい。制御においては、様々な情報の伝達と加工または変換が行なわれる。その際の(物質的および、あるとして非物質的)経路と作動機構が解明されるべきである。

 情報と同定するためには、何が必要か?
 発信システムと経路と解読システム。
  1. 発信者ー媒体ー受信者。渡辺慧の指摘を参照せよ。
  2. 物質に担われる。
  3. 物質の配列状態の読み取り。
  4. 情報のシステム的使用。
    [DNA対応表の場合]

 [当時の「誤同定」→同定カテゴリー体系の間違い。]