2014年7月30日-3
脳死とは/ウイルスは生きものか
「両者〔「呼吸を行う能力の不可逆的な喪失(したがって心拍能力の喪失も)」と「意識喪失」の二者だろう〕は、基本的な脳幹の機能であり、たまたまこの二つは脳幹の両端の機能を表している。」
(武下浩・又吉康俊 2011/8: 247頁)。
「英国では、過去に脳死判定に関してメディア最大の誤った放送が行なわれたことがあり、「パノラマ事件」として有名である。イギリスBBC放送のテレビ番組「パノラマ」で1980年10月13日に放送されたもので、脳死と判定された後に意識を回復した例が紹介されたが、除外すべき上で筋弛緩薬の使用を防止処理として取り上げていたことが判明し、最終的に中断したが撤回し、全面謝罪で落ち着いた。」
(武下浩・又吉康俊 2011/8: 247頁)。
「少なくとも日本を含めて国際的に発表されている脳死判定基準に則って施行されれば、脳死の判定は確実に施行しうる。したがって、「脳死からの奇跡の生還」に類似した記述を今後行なう場合は、しっかりとした検証が必須である。ちなみに英国基準は30年以上にわたって改正されておらず、日本でも米国でも30年近く判定基準は変わっていないが、もしの報告例は1件もない。」
(武下浩・又吉康俊 2011/8: 248頁)。
☆☆☆☆☆☆☆
「ウィルスは生物かという問いかけが、福岡伸一氏の著作『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)の中にある。ウィルスは、栄養を摂取することもなく、呼吸もしない、もちろん二酸化炭素を出すこともなく老廃物を排出することもない。つまり、一切の代謝を行なっていない。(無生物でない根拠は自己複製機能のみ。)」
(武下浩・又吉康俊 2011/8: 248頁)。
栄養物質ではなく、植物のように光エネルギーを取り入れればよい。光合成には他に様々な物体が必要だが、それらもエネルギーの或る状態と見なし得る。
ウイルスは、寄主のシステム(このシステムの作動には、たとえばATPを介したエネルギー供給が必要である)を借りているが、真核生物体でも寄生性のものはいる。
「ウイルスは様々な点で一般的な生物と大きく異なる。
1. ウイルスは非細胞性で細胞質などは持たない。基本的にはタンパク質と核酸からなる粒子である。(→ウイルスの構造)
2. 大部分の生物は細胞内部にDNAとRNAの両方の核酸が存在するが、ウイルス粒子内には基本的にどちらか片方だけしかない。
3. 他のほとんどの生物の細胞は2nで指数関数的に増殖するのに対し、ウイルスは一段階増殖する。またウイルス粒子が見かけ上消えてしまう暗黒期が存在する。
4. ウイルスは単独では増殖できない。他の生物の細胞に寄生したときのみ増殖できる。
5. ウイルスは自分自身でエネルギーを産生しない。宿主細胞の作るエネルギーを利用する。
なお4の特徴はウイルスだけに見られるものではなく、リケッチアやクラミジア、ファイトプラズマなど一部の真正細菌や真核生物にも同様の特徴を示すものがある。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/ウイルス
ウイルスはATP合成も蛋白質合成もしない(できない)というのは、細胞膜または細胞壁といったものを持たないことの結果であろう。
では、大腸菌はファージに寄生されると、構造は解体する。その前に大腸菌のなかで産生されるもの(ウィルス物体)は、大腸菌ではない。大腸菌とは異なる種類の、なんらかの生きているシステムまたは生きていないシステムが作動したと考える(システム的捉え方)。
ウイルスの活動は、「自己」複製だけだとしよう。
たとえば大腸菌の細胞システムの力、「複製」結果となるように順序が定まったいくつかの分子的反応が遂行されるように、一定の種類の原子や分子などが適切に空間配置され(空間構造化)、そのことで、形態的に境界を持つ」物体の外部に存在する他者のシステムとエネルギーを利用する。
要は、「複製」のための材料と機構を他者に依存していて、寄生の機会も成り行き任せであろうとも、《自律的》に利用していると言えなくもない。
〈ウイルス粒子が見かけ上消えてしまう暗黒期が存在する〉とは、何だろうか?
「暗黒期においてはウイルス粒子は脱殻を行い、ウイルスタンパク質や核酸の合成を行なう。子孫ウイルスの出現により再びウイルス粒子の検出が可能となる。感染後に子孫ウイルスが細胞外に放出されるまでの期間を潜伏期と呼び、細胞膜表面で成熟して放出されるウイルスの暗黒期は潜伏期と一致する。分裂により増殖する生物ではその形態が観察できなくなる期間はなく、暗黒期の存在はウイルスをリケッチアやクラミジアと分ける大きな特徴である。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/暗黒期
ここでの検出とはいかなる方法のものか?。「検出不可能」の基準は?。「形態が観察できなくなる」とは、電子顕微鏡でもできないということか?。解像度を挙げれば、見えるのか? あるいは、ウイルスのDNA鎖またはRNA鎖が、鎖として検出できないのか?。つまり、複製元のDNA鎖もバラバラになる??
「ウイルスは基本的にタンパク質と核酸からなる粒子であるため、ウイルスの複製(増殖)のためには少なくとも
1. タンパク質の合成
2. ウイルス核酸の複製
3. 1. 2.〔→1と2〕を行〔な〕うために必要な、材料の調達とエネルギーの産生
が必要である。しかしほとんどのウイルスは、1や3を行うのに必要な酵素の遺伝情報を持たず、宿主細胞の持つタンパク合成機構や代謝、エネルギーを利用して、自分自身の複製を行〔な〕う。ウイルス遺伝子には自分の遺伝子(しばしば宿主と大きく異なる)を複製するための酵素の他、宿主細胞に吸着・侵入したり、あるいは宿主の持つ免疫機構から逃れるための酵素などがコードされている。
〔略〕
ウイルスは1つの粒子が、感染した宿主細胞内で一気に数を増やして放出(一段階増殖)する。また感染したウイルスは細胞内で一度分解されるため、見かけ上ウイルス粒子の存在しない期間(暗黒期)がある。
ウイルスの増殖は以下のようなステップで行〔な〕われる。
細胞表面への吸着 → 細胞内への侵入 → 脱殻(だっかく) → 部品の合成 → 部品の集合 → 感染細胞からの放出」
http://ja.wikipedia.org/wiki/ウイルス
「感染したウイルスは細胞内で一度分解されるため、見かけ上ウイルス粒子の存在しない期間(暗黒期)がある。」と、〈分解されるため、見かけ上〉存在しないとは、解像度の問題なのか。そうだとして、では、どうやって、ウイルス体は元と同一の構造体を作れるのか?。部品の集合は、「自然と」起きるのか?。放出は、分解酵素が作用して?
「ウイルス遺伝子には自分の遺伝子(しばしば宿主と大きく異なる)を複製するための酵素の他、宿主細胞に吸着・侵入したり、あるいは宿主の持つ免疫機構から逃れるための酵素などがコードされている。」
の詳細を知りたいところ。
「メガウイルスなど細菌に非常に近い構造を持つウイルスの発見により、少なくとも一部のウイルスは遺伝子の大部分を捨て去り寄生に特化した生物の一群であることが強く示唆されている。また、レトロウイルスとトランスポゾンの類似性は、これまた少なくとも一部のウイルスは機能性核酸が独立・進化したものである可能性を強く示唆している。つまり、「ウイルス」として纏められている物は多元的であり、人為分類群である可能性が非常に高い。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/ウイルス
◇ 文献 ◇
武下浩・又吉康俊.2011/8/9.解説「脳死」.XI+249+13pp.悠飛社.[本体1,800円+税][ob490.154]
ウィキペディア[日本語版].ウイルス.http://ja.wikipedia.org/wiki/ウイルス.[受信:2014年7月30日。]
ウィキペディア[日本語版].暗黒期.http://ja.wikipedia.org/wiki/暗黒期[受信:2014年7月30日。]
脳死とは/ウイルスは生きものか
「両者〔「呼吸を行う能力の不可逆的な喪失(したがって心拍能力の喪失も)」と「意識喪失」の二者だろう〕は、基本的な脳幹の機能であり、たまたまこの二つは脳幹の両端の機能を表している。」
(武下浩・又吉康俊 2011/8: 247頁)。
「英国では、過去に脳死判定に関してメディア最大の誤った放送が行なわれたことがあり、「パノラマ事件」として有名である。イギリスBBC放送のテレビ番組「パノラマ」で1980年10月13日に放送されたもので、脳死と判定された後に意識を回復した例が紹介されたが、除外すべき上で筋弛緩薬の使用を防止処理として取り上げていたことが判明し、最終的に中断したが撤回し、全面謝罪で落ち着いた。」
(武下浩・又吉康俊 2011/8: 247頁)。
「少なくとも日本を含めて国際的に発表されている脳死判定基準に則って施行されれば、脳死の判定は確実に施行しうる。したがって、「脳死からの奇跡の生還」に類似した記述を今後行なう場合は、しっかりとした検証が必須である。ちなみに英国基準は30年以上にわたって改正されておらず、日本でも米国でも30年近く判定基準は変わっていないが、もしの報告例は1件もない。」
(武下浩・又吉康俊 2011/8: 248頁)。
☆☆☆☆☆☆☆
「ウィルスは生物かという問いかけが、福岡伸一氏の著作『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)の中にある。ウィルスは、栄養を摂取することもなく、呼吸もしない、もちろん二酸化炭素を出すこともなく老廃物を排出することもない。つまり、一切の代謝を行なっていない。(無生物でない根拠は自己複製機能のみ。)」
(武下浩・又吉康俊 2011/8: 248頁)。
栄養物質ではなく、植物のように光エネルギーを取り入れればよい。光合成には他に様々な物体が必要だが、それらもエネルギーの或る状態と見なし得る。
ウイルスは、寄主のシステム(このシステムの作動には、たとえばATPを介したエネルギー供給が必要である)を借りているが、真核生物体でも寄生性のものはいる。
「ウイルスは様々な点で一般的な生物と大きく異なる。
1. ウイルスは非細胞性で細胞質などは持たない。基本的にはタンパク質と核酸からなる粒子である。(→ウイルスの構造)
2. 大部分の生物は細胞内部にDNAとRNAの両方の核酸が存在するが、ウイルス粒子内には基本的にどちらか片方だけしかない。
3. 他のほとんどの生物の細胞は2nで指数関数的に増殖するのに対し、ウイルスは一段階増殖する。またウイルス粒子が見かけ上消えてしまう暗黒期が存在する。
4. ウイルスは単独では増殖できない。他の生物の細胞に寄生したときのみ増殖できる。
5. ウイルスは自分自身でエネルギーを産生しない。宿主細胞の作るエネルギーを利用する。
なお4の特徴はウイルスだけに見られるものではなく、リケッチアやクラミジア、ファイトプラズマなど一部の真正細菌や真核生物にも同様の特徴を示すものがある。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/ウイルス
ウイルスはATP合成も蛋白質合成もしない(できない)というのは、細胞膜または細胞壁といったものを持たないことの結果であろう。
では、大腸菌はファージに寄生されると、構造は解体する。その前に大腸菌のなかで産生されるもの(ウィルス物体)は、大腸菌ではない。大腸菌とは異なる種類の、なんらかの生きているシステムまたは生きていないシステムが作動したと考える(システム的捉え方)。
ウイルスの活動は、「自己」複製だけだとしよう。
たとえば大腸菌の細胞システムの力、「複製」結果となるように順序が定まったいくつかの分子的反応が遂行されるように、一定の種類の原子や分子などが適切に空間配置され(空間構造化)、そのことで、形態的に境界を持つ」物体の外部に存在する他者のシステムとエネルギーを利用する。
要は、「複製」のための材料と機構を他者に依存していて、寄生の機会も成り行き任せであろうとも、《自律的》に利用していると言えなくもない。
〈ウイルス粒子が見かけ上消えてしまう暗黒期が存在する〉とは、何だろうか?
「暗黒期においてはウイルス粒子は脱殻を行い、ウイルスタンパク質や核酸の合成を行なう。子孫ウイルスの出現により再びウイルス粒子の検出が可能となる。感染後に子孫ウイルスが細胞外に放出されるまでの期間を潜伏期と呼び、細胞膜表面で成熟して放出されるウイルスの暗黒期は潜伏期と一致する。分裂により増殖する生物ではその形態が観察できなくなる期間はなく、暗黒期の存在はウイルスをリケッチアやクラミジアと分ける大きな特徴である。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/暗黒期
ここでの検出とはいかなる方法のものか?。「検出不可能」の基準は?。「形態が観察できなくなる」とは、電子顕微鏡でもできないということか?。解像度を挙げれば、見えるのか? あるいは、ウイルスのDNA鎖またはRNA鎖が、鎖として検出できないのか?。つまり、複製元のDNA鎖もバラバラになる??
「ウイルスは基本的にタンパク質と核酸からなる粒子であるため、ウイルスの複製(増殖)のためには少なくとも
1. タンパク質の合成
2. ウイルス核酸の複製
3. 1. 2.〔→1と2〕を行〔な〕うために必要な、材料の調達とエネルギーの産生
が必要である。しかしほとんどのウイルスは、1や3を行うのに必要な酵素の遺伝情報を持たず、宿主細胞の持つタンパク合成機構や代謝、エネルギーを利用して、自分自身の複製を行〔な〕う。ウイルス遺伝子には自分の遺伝子(しばしば宿主と大きく異なる)を複製するための酵素の他、宿主細胞に吸着・侵入したり、あるいは宿主の持つ免疫機構から逃れるための酵素などがコードされている。
〔略〕
ウイルスは1つの粒子が、感染した宿主細胞内で一気に数を増やして放出(一段階増殖)する。また感染したウイルスは細胞内で一度分解されるため、見かけ上ウイルス粒子の存在しない期間(暗黒期)がある。
ウイルスの増殖は以下のようなステップで行〔な〕われる。
細胞表面への吸着 → 細胞内への侵入 → 脱殻(だっかく) → 部品の合成 → 部品の集合 → 感染細胞からの放出」
http://ja.wikipedia.org/wiki/ウイルス
「感染したウイルスは細胞内で一度分解されるため、見かけ上ウイルス粒子の存在しない期間(暗黒期)がある。」と、〈分解されるため、見かけ上〉存在しないとは、解像度の問題なのか。そうだとして、では、どうやって、ウイルス体は元と同一の構造体を作れるのか?。部品の集合は、「自然と」起きるのか?。放出は、分解酵素が作用して?
「ウイルス遺伝子には自分の遺伝子(しばしば宿主と大きく異なる)を複製するための酵素の他、宿主細胞に吸着・侵入したり、あるいは宿主の持つ免疫機構から逃れるための酵素などがコードされている。」
の詳細を知りたいところ。
「メガウイルスなど細菌に非常に近い構造を持つウイルスの発見により、少なくとも一部のウイルスは遺伝子の大部分を捨て去り寄生に特化した生物の一群であることが強く示唆されている。また、レトロウイルスとトランスポゾンの類似性は、これまた少なくとも一部のウイルスは機能性核酸が独立・進化したものである可能性を強く示唆している。つまり、「ウイルス」として纏められている物は多元的であり、人為分類群である可能性が非常に高い。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/ウイルス
◇ 文献 ◇
武下浩・又吉康俊.2011/8/9.解説「脳死」.XI+249+13pp.悠飛社.[本体1,800円+税][ob490.154]
ウィキペディア[日本語版].ウイルス.http://ja.wikipedia.org/wiki/ウイルス.[受信:2014年7月30日。]
ウィキペディア[日本語版].暗黒期.http://ja.wikipedia.org/wiki/暗黒期[受信:2014年7月30日。]