生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

風間虹樹:光絵画詩 <あれ、あれ、さぎ>

2011年05月18日 09時45分27秒 | 詩 poetry
2011年5月18日-3
風間虹樹:光絵画詩 <あれ、あれ、さぎ>



  あたしたちが 彼方へと 幻影の淡いの向こうへと退いていくとき。
  あれ。 言いえぬあれ、 は立ち現われる。
                     そのようなとき。

    裂けを透して
    非在という果てしない存在の陰で
  
   □              ■
     □       □
      □  ■
       ■
       □
      □■

 
 
 
 ]脚注:あちこち、字余り[


  

鯉杉光敏:鉄鈴、 の鳴る 、風、の

2011年04月26日 22時47分14秒 | 詩 poetry
2011年4月26日-9
鯉杉光敏:鉄鈴、 の鳴る 、風、の

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鉄鈴、 の鳴る 、風、の


湿地帯、を青白、い野火、が連なる。深い

捏造、の末に産み出された琴の音、が表層

に染み渡る。親子亀が転ぶ。赫赫、たる華

、は浮草の集まりのように。煮花の残菊、

と苦々しい顔、そこに、一対の哲学がある
                   けらく
。ぼくらは斜面、に生きるのである。快楽


を敬慕崇拝し暁には死ぬ形、に刻まれた汗

。ぼくらが焦土、の如くに接吻したのはそ

の頃だ、った。浜辺、の砂の熱愛、に打ち

負かされて脈絡もなく深夜の霧巻く斜面を

伝って弔歌、のうづくまっている広場に出

た。蝉時雨、の記憶は、救いの術、となり

ぼくらは過潮の海峡を流れてゆく。憂愁の
     かぶ
波、を身に被って地の果て、を旅する。貝
             あてど
、を焼き魚、を干しながら。当所もない歩
    おわり            ちぎ
みは世の終焉を告げる落陽を身に引き断切

られる重みを感じ見る。こんな時

   は痛切だ。墜落が肝心。みゃ。瞑想

に纒わりつく欺瞞、を押し潰し嗄、れた窪

みへ凍てついてしまった夢を捨てにゆく。

ぼくらはやっと光る泉、に辿り着き


      を喜ぶのだった。

 
_________________
 鯉杉光敏(1971)詩組曲『記号列遊び』の「鉄鈴、 の鳴る 、風、の」全文:
http://www.k4.dion.ne.jp/~rainbow3/kigou/teture.htm



岩成達也『みどり、その日々を過ぎて。』

2010年12月22日 14時02分28秒 | 詩 poetry
2010年12月22日-1
岩成達也『みどり、その日々を過ぎて。』

 『レオナルドの船に関する断片補足』に、「A M」とあるのは、Ave Mariaと、a M[idori](緑に、という献辞)の両方なのかな、とかつて思った。
 『みどり、その日々を過ぎて。』の63頁に、「マリア・セシリア ミドリ」とあるから、マリア=緑。もっとも、そうなると「Ave」は意味していないほうに傾くかも。

 あとがきの106頁に、「感慨表出、感情吐露ということに心からの嫌悪を覚えていた」とある。たしかに、「感情吐露」ではないにせよ、『レオナルドの船に関する断片補足』では、情緒的なものを喚起するまたは呼び入れる invokeような道具立てがあると思う。
 それは、非現実的な言語空間を構築して、独特の筋書きまたは物語を、これまた独特の語り口で語るとともに(発話者の仮構)、(小道具的といってよいのだろうか、)「ふにゃふにゃ」といった二回繰り返した擬態語を散りばめていることである。そしてそれらの効果として、独特の情緒的(感情emotionではなく、情緒feeling)なものを喚起して、なおかつ、その他の諸々とともに、屹立した世界が構築されているのだと思う。

 あたしが想い出に浸るとき、それは退避かつ癒しであるのか、あるいは?
 ピタゴラス教団。数としての(あるいは数へと回収される)想い出、あるいは(時間は実在ではないが、出来事の生起について周期性を仮定して)日付けの問題。
 変換を(自由回)重ね、制約条件も或る程度の自由度があるならば(下記の場合は「九」を発見している)、なんでも起こり得る。
 ゆえに、人は、(能力に応じて)なんでも起こすことができる。われわれは質料を組み合わせたり変換できる。ただし、質料そのものは、(現在のところ)創造できない。<無>から、何かを作ったとしても、それは変換であり、元の<無>もまた(現在のところ)創造できない。

 
 
***********

 (前略)

 …… 数ほど神秘的なものはこの世にない
 …… 僕は表を作ってみた
 一月八日
 二月七日
 三月六日
 ……
 五月四日
 ……

 …… 君はやっぱり神秘の少女 僕にはね
 
 
 (後略)
 
***********
   (「(神秘の少女)」より。『みどり、その日々を過ぎて。』16頁、17頁、18頁)


 小林弘明氏による、岩成達也論の電脳場所があった。
  岩成達也論補遺:悪癖からくる下降を特徴とする妄想
http://www.asahi-net.or.jp/~ae7h-kbys/F-cri_.html

 
岩成達也.2009.8.みどり、その日々を過ぎて。112pp.書肆山田.[活版] [y2,500+]

キラキラヒカツテイマスカ

2010年11月21日 00時14分53秒 | 詩 poetry
キラキラヒカツテイマスカ

 ....whispers the words with wisdom, let it be ....
 ビートルズが崩壊寸前にあったとき、男は未整理の録音テープの山から一つの曲をものにした。それがLet it be。
 あるがままにあらしめよ。
 だが、あるがままであることの難しさ。「汝自身を知れ」は、(というわけで)、永遠の課題となっている。わたしはだれ、ここはどこ? つまり、どういうことでもない。
 もし、東洋の発想が中心のないことで、無たる中心が生き生きとしたものとなっており、西洋の発想があくまで中心からの、そして神=ヒトを中心に置いたものであるなら、両方が生物界には見られることになる。また、関係的と実体的の違いにも対応するだろう。例えば連結によって存在する代謝サイクル、例えば核という中心をもった細胞。
 だが中心は中心ではないものによって支えられている。

 というわけで。
 知識とはすでに死んでいるものであり、叡知は今を生きているものである。
 われわれは、今を生きるほかない。そうして、光はヒカリ、ヒカリカガヤク。

 というわけで(どういうわけでもよい)、タテよこ斜めに読んでみよう。


キラキラヒカル

キラキラヒカルサイフヲダシテキ
ラキラヒカルサカナヲカツタキラ
キラヒカルオンナモカツタキラキ
ラヒカルサカナヲカツテキラキラ
ヒカルオナベニイレタキラキラヒ
カルオンナガモツタキラキラヒカ
ルオナベノサカナキラキラヒカル

 〔中略〕

   キラヒカルオンナハナイタ

  (入沢康夫1955『倖せそれとも不倖せ』より)


 
 も一つおまけで。

静物

夜の器の硬い面の内で
あざやかさを増してくる
秋のくだもの
りんごや梨やぶどうの類
それぞれはかさなつたままの姿勢で
眠りへ
ひとつの諧調へ
大いなる音楽へと沿うてゆく

  〔後略〕

 (吉岡実1955『静物』より)


 [ つまり、
  なるようになる。
  なるようにしか、
  ならん。
  ならば、
  なるように
  ならしめよ。]



鯉杉光敏 お好みの詩集と詩篇

2010年11月15日 01時38分57秒 | 詩 poetry
お好みの詩集と詩篇
   鯉杉光敏 1973年1月 選定

□ 詩集
入沢康夫  倖せそれとも不倖せ
岩田宏   最前線
岩成達也  レオナルドの船に関する断片補足
千田光   千田光詩集
那珂太郎  音楽
藤富保男  正確な曖昧
吉田一穂  吉田一穂体系


□ 詩篇
鮎川信夫  繋船ホテルの朝の歌、死んだ男
茨木のり子 女の子のマーチ
祝算之介  龍、夜の伽、鳥、挿話
岩田宏   いやな唄、神田神保町、触れるべからず、あなたの朝昼夜
岩成達也  第二の断片(『燃焼に関する三つの断片』)
入沢康夫  わが出雲
岡田隆彦  史乃命
岡田兆功  うた[ねむれ、ふぉーぬ…]、なまめかしい処から、匍匐抄
梶井基次郎 闇の絵巻、桜の木の下には
粕谷栄市  「犯罪」の第六段落まで(『世界の構造』)
風童太   イマージュII、赤銅色の晩歌、ひとときの歌IV、太古の沈潜
北川透   風景論(初出誌のほう)
金時鐘   第III章(『新潟』)
児玉実用  解氷期[詩・現実]、解体
草野心平  秋の夜の会話、蛙と河童
佐藤千志子 虚への歩み[ユリイカ1971.9月号]
渋沢孝輔  水晶狂い
鈴木志郎康 
高野喜久雄 
滝口修造  絶対への接吻
滝口雅子  男について
築山登美夫 蛇の環、陰の祭(第二連まで)[ちぇつ・くそ8号]、
粒来哲蔵  儀式(ユリイカ197*.*月号)、椅子
原民喜   ギラギラノ破片ヤ
中村稔   愛のかたち、『鵜原抄』のはじめの部分
野間宏   『暗い絵』の冒頭部分の「**」まで
宮川明子  物語N
牧羊子   沖の碑
三好豊一郎 讃歌[現代詩手帖1966.9月号]
花田英三  ※・※※
山田美津子 すねいく、私という現象と毒蛇の死
安水稔和  鳥[ねむっても…]、鳥[]、笑い
吉岡実   静物[夜の器の…]、伝説
吉野弘   I was born
吉増剛造  黄金詩篇、疾走詩篇、死の山

あまたの蝶、骸をおおい、肉にすがりつく……

2010年11月12日 18時38分26秒 | 詩 poetry
2010年11月12日-6
あまたの蝶、骸をおおい、肉にすがりつく……

 
   永良部幻想

 
            てのひらをひらくと、そこか
らはくるめくようにあまたの蝶が舞いあがり、    
      みるまに落ちかかって骸をおおい、その肉[いきみ]
にすがりつく。
 
 
 
  (粒来哲蔵 1971『孤島記』の「永良部幻想」17-18頁より引用。前略、〔  の部分=〕中略、後略)

 
粒来哲蔵.1971.9.30. 孤島記.八坂書房.V+181pp.(限定500部)[B19711224, y2000]