今、出発の刻(たびだちのとき)

車中泊によるきままな旅
<名所旧跡を訪ねる>

華宮山 阿弥陀寺(山口県防府市大字牟礼)

2013年07月15日 | 神社・仏閣
阿弥陀寺の歴史
阿弥陀寺は、山口県防府市牟礼にある華厳宗の寺院。本尊は阿弥陀如来。山号は華宮山。
治承四年(1180)に焼失した奈良東大寺復興の大勧進職を務めた俊乗房重源上人が後白河法皇の現世安隠祈願のため、阿弥陀寺は東大寺の周防別所として、文治三年(1187年)に建立。
その後約300年間、住職は勅命をもって拝任、周防国務管理を兼ねていたという由緒ある名刹。

駐車場から仁王門への途中に竹の杖が置いてある。今日は自分の意志で数本取りだし気に入ったものを選んだ。
今日も石段を上がることになるのかと覚悟を決めた。







仁王門
建久の頃の創建と伝えられるが貞享2年(1685)領主、毛利就信によって原型に再建された。



金剛力士像(重要文化財)
金剛力士像(仁王像)は、寺門(仁王門)の左右に立ち、仏法の守護にあたる像で、邪悪なものが寺域に入らないよう憤怒の表情を浮かべている。
ヒノキの寄木造りで、像高は阿形は270cm、吽形は275cm。堂々とした体躯、力量感あふれる雄健な表現は鎌倉初期彫刻の特徴を遺憾なく発揮しており、快慶一派の作とみられている。

金剛力士像は嫌いではないが撮影するには苦労する。特に阿弥陀寺の場合は保護している金網の目が細かく焦点が合い難い。







予想通りの石段が目の前に、今日は周囲の風景を楽しみながら上がることにした。



念仏堂(浄土堂)
創建当時は丈六の阿弥陀如来が安置され12名の念仏衆がいて、日々念仏を唱えて心身浄化をはかる修行の場であった。
現在の建物は明治36年に再建されたもの。1692年作の阿弥陀如来座像が安置されている。










経堂






開山堂






本堂






ここに来てはじめて参拝者に会った。駐車場に京都ナンバーの車があったのでその人かも知れない。
お寺の鑑賞の仕方もマニアという感じがする。軽く挨拶を交わし、しばらく周囲を歩き回っているうちに、2人に共通する目的があることを互いの動きから感じた。
それは御朱印をいただくことだ。しかし、寺には誰もいる様子がない。




しばらくすると3名の女性が居住区に入って行ったのが見えたので、大きな声で呼んでみると寄り合いがあって留守をしていたようで申し訳ありませんと謝罪された。
早速、御朱印と事前連絡が必要らしい宝物館の入館をお願いしたところ快諾していただいた。









 
宝物館
大雨で地盤が緩み土石流のため、これまであった宝物館が被害を受け建て直したそうだ。
下の写真の石はきれいに並べて公園のようになっているがその時の石。




入館前に「あなたも五木さんの影響ですか」と聞かれた。「そのような方が多いのですか」
「最近は少なくなりましたが、以前は多く来られていましたよ」「そうなんですか」
「もう一人の方もそうだそうですよ」「すっかり忘れていましたが私も最初はそうでした」
この会話について説明すると
作家五木寛之氏が2年間で100寺を巡礼するという民放の番組がありDVDにも写真入りで本にもなっている。
私の場合はこの番組を全てDVDにより視聴しその全てをまわろうと考えるなど多大なる影響を受けている。

住職の奥様から宝物館の展示物について丁寧に説明をしていただいた。
私個人の感想であるが「重源上人坐像」を拝観できたことは大きな喜びだ。多くの人に観て欲しい仏像の一つ。




鉄宝塔(国宝:鎌倉時代)
重源上人が願主となって建久八年(1197年)に鋳造したもの。
鋳工は東大寺の大仏を鋳た日本鋳師を代表する、草部是助・是弘、助延たちで屋蓋部・塔身部・基壇の三部を分鋳し組み立てている。
相輪部は後に補修したもの。塔身部にはもともと両面開きの扉がついていて、その中に仏舎利七粒を納める水晶五輪塔(国宝)が安置されていた。


重源上人坐像(重要文化財:鎌倉時代)
日本最古の寿像といわれ、よく老僧の風格をあらわしている。
鎌倉肖像彫刻の傑作と言われている。平成3年、大英博物館の要請に応じて英国へ貸し出された。




銅造六葉鐘
昭和28年阿弥陀寺が東大寺別院となったのを記念して、昭和33年重源上人ゆかりの東大寺六葉鐘を模造して東大寺より寄贈された。






駐車場で京都ナンバーの男性に声をかけた。五木氏の百寺を巡礼し御朱印をいただいているそうだ。
御朱印帳は宝物であり死んだときは棺桶に入れてくれと家族に話しているそうだ。参った。


撮影 平成25年5月21日

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