学級は1年というスパンを見通して経営していくことが大事です。
1年というのは我々大人にとってはそれほど長い時間には感じられないかもしれませんが,子どもにとってはとても長い時間です。
例えば小学1年生,6歳の子にとっては,その一年は人生の1/6になるわけです。
30歳の先生の1/30とは大きさがかなり違います。
だから,その1年間の中で子どもはいろんなことを体験し,そしていろんな変化が起こり,成長していきます。
学級の組織そのものも,そうだと考えた方がいいでしょう。
学級がスタートした4月と,学級が終わっていく3月では,学級の様子は変わります。
変わります,というより,変わっていないといけないでしょう。
それが「成長」です。
そう思えば,学級のリーダーとなる担任のリーダシップのとりかた,学級経営の手法というのも,1年間の中で変わっていくべきでしょう。
子どもの成長に合わせて,クラスの成長に合わせて,リーダーが変わっていくことも必要です。
リーダーが1年間ずっと同じように子どもたちに接し,同じようにクラスをまとめようとすれば,それは実態に合わないはずですし,逆にそれが通用するクラスでは,あまりクラスとして成長できていないと思わなくてはいけないのかもしれません。
基本的に
担任と子どもとの関係は,求心力から遠心力へ!
ととらえています。
「求心力」が強く働くのは学年前半の時期です。
先生の強いリーダーシップや,憧れる人柄に子どもたちが慕ってきて,先生の教えることをどんどん吸収していきます。
その時期に,先生は授業の進め方や学級生活の在り方を子どもたちに徹底して教えます。
その学年としてふさわしい形を子どもたちに身につけさせます。
イメージとしては,学級という円の中心に先生がいて,周りにいる子どもたちはその先生に向かっているような学級の形です。
そして,先生のカラーが子どもたちに浸透し,教えが身についてきた学年後半,今度は「遠心力を働かせます。
先生に教えられたことをしっかりと持って,今度は自分たちの自主的な活動量が多くなります。
また,先生に教えられたことにから発展して,より高いものを身につけようと向上心を持ちだします。
先生は,そういう子どもたちのことをどっしりと見守り,サポートしていく役目へと変化していきます。
イメージとしては,学級という円の中心にいる先生に対して,子どもたちは背を向けて円の外側に向かっているような学級の形です。
一つの理想的な一年間の学級の形だととらえています。
この形をきちんとつくっていくのは簡単なことではありません。
学年前半に「憧れる」「強いリーダーシップ」の先生になるよう努めなくてはいけません。
学年の後半に「自主的に」「発展的に」活動できるたくましい子どもたちを育てなくてはいけません。
でもそれが,学級を1年間というスパンの中で適切に成長させていくためのリーダーの務めだと思って,その時々の自分の姿を見つめ直していくことにつながります。
さあ,10月。
1年の折り返しの頃です。
学級は,そして担任はこれからどんな風に変わっていくべきか,考えます。