近いうちにクラスで研究授業をするというとき,先生は子どもたちに何と言うでしょうか。
とういより,まずは「何か言うでしょうか。」
ですね。
中には,最後まで黙っておく先生もいるようです。
研究授業本番になって,ぞろぞろと教室に入ってくる先生たちに子どもたちが驚き,
「え,なに!?」
「まさかあれ?研究… なんとかってやつ!?」
みたいな感じに。
先生は
「この授業を先生たちが見に来られますが,いつもと変わらぬ授業です。気にしないでください。」
のように平然を装います。
この先生としては,研究授業は子どもたちにとって特別なものではなく,普段通りの姿で授業を受けてほしい。
そういうねらいがあるんでしょう。
・・・・・が,これはいかがですかね。
いくら「いつもどおりに」って言われても,子どもたちは後ろにいるたくさんの先生たちを全く気にせず授業ができるでしょうか。
きっと落ち着かないものでしょう。
「何しに来てるんだろう…」
「だれが来るんだろう…」
「私も見られてるのかな…」
「私はどうすればいいのかな…」
なんて,頭の中でいろんなことを想像しては,気の弱い子なんかは,このいつもと違う状況に少なからず混乱することだってあるでしょう。
この気持ちは分かりますね。
私たち大人だってそうでしょう。
仕事をしているところに,急に,えらそうな年配の方たちが入ってきて,だまーって仕事の様子をじろじろ見出したら,そりゃあ気が気でありません。
居心地悪くてたまりません。
普段通り仕事をしろと言われても,それ以上に
「この人たちは何者!教えて!」
って気持ちになります。
私は思いますが,
研究授業に際しては,子どもたちにもその内容と意味を伝えておく!
ほうがいいと思います。
内容については
「来月10月23日月曜日の5時間目にこのクラスで研究授業をします」
「教科は算数で,単元は分数の割り算です」
「学校内の先生たちが全員見に来られます。30人ほどです。」
このことをきちんと事前に伝えておきます。
直前まで内緒にするというのは,やっぱり酷です。
そして,研究授業の意味。
ここが大事です。
「先生たちは,算数の授業の仕方についてみんなで研究をしています」
「このクラスの授業を通して,その研究をより深めようとしているんです」
「このクラスでする理由が分かりますか?研究をするのにバッチリな,いいクラスだからですよ。」
「このときは,先生たちのためにも,はりきって授業にのぞんでください。」
ぐらい伝えたいところです。
研究授業が自分のクラスであるってことは,直観として子どもたちはいやなものでしょう。
中には喜ぶ子もいるかもしれませんが,多くの子にとっては,やっぱり居心地の悪いものです。
それを,できるだけ前向きな気持ちにさせてあげるのがねらいです。
結果として,いい授業をつくることが一番の願いですから。
学年や,クラスの子たちの雰囲気によって,研究授業について何と語るかは変わってくるでしょうが,その子たちに適した,きちんとした内容に説明と,やる気をもたせる話を事前にしておきたいものです。