研究の中心的な立場を任せてもらって,まず心がけようと思ったことが
「組織で動こう」
ということです。
以前の自分ならそういう考えはあまり浮かばなかったと思います。
自分でなんとかしようと,どんな仕事も真っ先に自分が手を伸ばしていたでしょう。
でも,前任校で教務や研修を担当させてもらい,そのときの経験が生きました。
学校を動かそうとするのに,一人でできることは限られている。
一人でしようとすると,学校は動かない。
いろんな場面で痛感しました。
そこで,今回の大仕事も,まずは組織を作ることから始めました。
やること,研究内容が明確になったら,それぞれにリーダーを当てはめました。
そして,そのリーダーの下につくメンバーを配置しました。
そしてそのグループごとに,研究のゴールと,研究を進めていくプランを示しました。
ここまでの作業は4月に行わなくてはいけなかったことで,簡単なことではありませんでした。
自分の学級の大事な時期でもある一方で,こちらの仕事に重点を置かなくてはいけませんでした。
さあ,私的には組織をつくり,それが動き出すために必要なことはしたつもりです。
あとは,それぞれの組織で軌道に乗ってほしい。
そう思っていました。
が
うまくいかないことも多々ありました。
仕事を誰かに頼んだ場合,うまくいかないパターンとして,その相手が…
× その仕事を引き受けてさえくれない
× 引き受けてくれたが,その仕事への意欲が著しく低い
× 意欲はあるが,仕事の内容を理解してくれていない
× 仕事の内容は理解してくれているが,それに対する異論や抵抗感をもっている
× 共感してくれているものの,あまり重要性を感じてくれていない
× 重要性を感じてはいるのに,計画通りに仕事を進めてくれない
× 計画通りに仕事を進めたが,期待通りの結果を出してくれない
× 期待通りの結果を出してくれたが,予想以上の費用を使ってしまった
ざっと考えてみただけでも,こんなにあります。
これらの「×」のどれにも引っかからずに仕事を進めてもらえる方が,珍しいことなのかもしれません。
そんな人がいたら,大変腕の立つ人でしょうし,仕事を頼んだこちら側としては,うれしい,頼もしい限りです。
私も広く仕事を依頼しましたが,やっぱりこれらの「×」のいろんなところでひっかかっていました。
特に苦労したのは「計画通りに仕事を進めてくれない」というところかなぁ。
もちろん,引き受けてくれた先生はみんないい人なのですが,「いい人」で済まされる話ではないのが仕事です。
でも,じゃあやっぱり一人でするかというと,そうではありません。
「×」にひっかかることを恐れて,独りよがりな仕事をすることほど,大きな「×」はないでしょう。
だから,大事なのは,
「×」はあらゆるところに点在するものだとして,その上でどう対処していくかを考えていく!
ことでした。
最初にゴールやプランを示しただけでは不十分。
それで組織が軌道に乗るなんて思うのは甘すぎるということ。
軌道に乗せるためには,随時その組織の状態をチェックし,必要な手立てを講じることが最低条件でした。
5月以降,私にはそれがずいぶん不足していたと,今反省しています。
思えば,学級での仕事に似ています。
子どもたちのグループ活動。
人を動かす法則のようなものは,子どもも大人も同じものがあるんですね。