今年に入って読んだ本の中ではいちばん面白かった本。amazon.でこの本を見つけたときは,「こういう本を探していた!」と手を叩きなくなった。読んでみると,期待を裏切らない,というか期待以上の重量感。
20代にアジアを自転車で旅した経験を持つ著者は,その後バックパッカーに。この本は,秘められた世界である排泄行為にスポットを当ててアジアを旅した見聞記。本文も読み応え充分ならば,各国のトイレの様子を描いたイラストも秀逸。
この本で紹介されている国は中国,サハリン,インドネシア,ネパール,インド,タイ,イラン,韓国。読んでみていちばんスゴかったのは,ネパールのブタ小屋トイレ。小屋で飼われているブタに向かって尻を出すと,ブヒッ!ブヒーッ!と異常に興奮したブタが「早く食わせろ」と言わんばかりに寄って来るその光景…。
ブタに向かって尻を出した状態の著者は…
「僕はヘッドランプを股間にそっとむけてみた。するとそこには異様な光景があった。」
「わが愚息と陰嚢の彼方に,ブタの濡れた鼻腔が湯気を立ててヒクヒクと動めいていた」
「目をそらそうとしたとき,その奥に二つの瞳を僕は見た。」
「その瞳は明らかに求めていた。これほど激しい情熱的な瞳に最近接する機会が無かった」
ほかにも,インドネシアで人糞を食べて育った魚を著者が食べて,大変な下痢に見舞われたり…。
カルカッタへ旅行に来た日本人の学生が,通りに座っている足のない乞食,ボロボロの服を着た子供,つきまとう麻薬の売人。そして人糞・牛糞だらけの道路に驚き,チェックインしたホテルから一歩も出られなくなったという話もすごかったな。
とにかく,一読の価値ありです。