何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

命かがやく光の春

2015-02-11 21:44:56 | 自然
このところの曇天が嘘のような今朝の空。
窓から差し込む日脚は、まさに 「光の春」 を感じさせ、睡蓮蜂の底でうずくまっていた金魚も光を受けて泳いでいる。

こんな時、自分で一句ひねる才能があれば良いが、そんな風流人ではないので、この「光の春」を詠むものはないかと、家人と話していた。

久方の光のどけき春の日に しづ心なく 花の散るらむ
・・・・・・光のどけき春の日に、とは詠っているが、これは桜が散る頃の歌だろう、と。

春の海 終日のたりのたり哉
・・・・・・のたりのたりしているのは、まだ寝ぼけ眼の自分だろう、と。

菜の花や 月は東に日は西に
・・・・・・菜の花は、時期的にもう少し後だろうし、これは夕方の歌。


そう言えば、時期は少し違うが、明るい春を迎える清々しい御歌があった。
日嗣の御子の妃 雅子様が敬宮愛子様ご誕生を詠われた御歌 平成14年歌会始にて

生れいでし みどり児のいのち かがやきて 君と迎ふる春すがすがし

お生まれになったばかりの愛子様の命の輝きを感じながら、皇太子様と御一緒に新春をお迎えになる喜びを詠われたものであるが、
何やら、万物の誕生と光の春を感じさせ、建国記念日に思い出すにはピッタリのお歌だと、朝から気分が良くなった。

気を良くして、少し調べると、愛子様の御誕生(12月1日)から3か月ほど後のお歌も見つかった。

乳母車おして歩めばみどり児は 光あふるる空にまばたく

おぉ なるほど、やはり「光の春」
愛子様の歩まれる先々が、明るい光に包まれることを寿がれるかのお歌。

光が強ければ強い程、映しだされる影も闇も明らかとなるが、ここは日の国。

光は必ずや闇を討つ。

愛子様を包む光が、全てを明るく優しく照らし輝かせるよう願っている。


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イーハトーブの星

2015-02-11 00:31:54 | 
今日、本屋に立ち寄ると、読売新聞×EhonNavi 「伝えたい、あたたかな愛のえほんフェア」 なるもののコーナーがあり、一際目立つ場所に 「セロ弾きのゴーシュ」(宮沢賢治)と 「おじいちゃんがおばけになったわけ」がディスプレイされていた。

題名でほとんど内容が分かってしまう「おじいちゃんがおばけになったわけ」という絵本にも興味を持ったが、 苦手意識が強いため、ほとんど読んだことがない宮沢賢治を手に取ってみた。

宮沢賢治の作品は教科書に載ることも多く誰もが一度は目にしたことあり、作者も作品も有名で、私が宮沢賢治に初めて出会ったのも教科書だったが、あれでスッカリ宮沢賢治に苦手意識を持ってしまった。

クラムボンはわらったよ。
クラムボンはかぷかぷわらったよ。
クラムボンは跳ねてわらったよ。
クラムボンはかぷかぷわらったよ。

苦手だと言いながら、今でも「やまなし」の冒頭が口をついて出るのだから、やはり名文なのかもしれないが、ともかく長らく宮沢賢治に苦手意識を持っていた。
それを少しばかり変えたのが、

「よだかの星」

かもめのジョナサン(リャード・バック)のジョナサンが、自らの理想を目指して飛び続けるのと対照的に、
よだかは、嫌われ者の自分が、途方に暮れて飛び回りながらも小さな虫を食べてしまうことが辛くなり「僕はもう虫をたべないで餓えて死のう。いやその前にもう鷹が僕を殺すだろう。いや、その前に、僕は遠くの遠くの空の向うに行ってしまおう。」と、空遠くへ燃えながら飛んでいく。
現実に絶望し飛び去った よだか が、しかし、夜空で今も輝いている。
北の空を見上げると、カシオペア座の近くに、赤く燃える よだか を探してしまうのが習い性になってしまっている。

クラムボンはわらったよ

おそるべし宮沢賢治

ところで「セロ弾きのゴーシュ」のセロとは、チェロのこと。
敬宮愛子様が演奏されることで俄かに注目を浴びた(地味な)楽器。

これは曖昧な記憶で、ニュアンスは多少違うかもしれないが。
「皇太子様には、幸せな人になって欲しいというより、どのような環境でも幸せを見いだせる人になって欲しい」
「皇太子・天皇という立場は孤独ゆえに、静かに自らを省みることが出来る人になって欲しい。楽器の練習に心を傾ける時間は、内省にも慰めにもなる」
との深いお考えから楽器を勧められ、皇太子様も研鑽を積んでこられたと、何かで読んだ記憶がある。

これほどの逆境の時が続いても、皇太子様の品格が揺らくことがないのは、誰に理解されることが無くとも、飛ぶこと(内省と自己研鑽)を続けておられるからだと思われる。

昨年春、ビオラの皇太子様とチェロの敬宮様は演奏会で共演された。

皇太子様と同じく敬宮様も厳しい道を歩まれるかもしれないが、お二方の歩まれる軌道は、行く手を照らす心星につながると信じている。


追記
ところで、チェロを地味な楽器と書いたのは、ヴァイオリンの華やかさと、コントラバスの大きさと比較してのこと。
チェロやビオラの音色が一番好きだという人も多くいる。

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