何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

わが心の ワンコ

2016-01-10 22:17:55 | ひとりごと
題名の「わが心の ワンコ」は、「わが心のジェニファー」(浅田次郎)のもじり。

いつもの本仲間から勧められて手にとったものの、七日からワンコの体調が芳しくなく、新しい本を読む気分ではなかった。

後ろ足に踏ん張る力がなくウンチポーズがとれないため、ウンチ介助をするようになって数か月たつが、チッチは自分で頑張っていた。
チッチ前には、恥ずかしそうな声で鳴き前足を人の腕にかけ、それと知らせる、ワンコ。
ワンコを庭の定位置に連れて行くと、自力で立って用を足す、ワンコ。
自分でチッチができることが、ワンコ自身の’’支え’’だったのかもしれない。
それが、七日から粗相をするようになり、自力で立ってチッチをすることが難しくなってしまった。
食欲もない。
夜鳴きどころか、のべつ幕なく吠え立てる。

以前、「老化は徐々の進むのではなく階段状に進む」と教えられていたので、一気に一段階進んでしまったのかと落ち込んでいたが、それにしても、鳴き方が凄まじい。
今までにない口臭もある。

くちびるをめくると、2.5㎝ほどの腫物がある。
五日の夜確認した時にはなかったはずの腫物が、たった二日で2.5㎝にもなっている。

もはや覚悟を決めねばならないのか。

ワンコと過ごした17年の日々が走馬灯のように頭を駆け巡り、恐ろしい宣告を受けるかもしれない覚悟を持つことが出来ず、ワンコ病院に行く勇気が持てないでいたが、ワンコの鳴き声が一刻の猶予も許さないような悲痛なものを帯びていた。

ワンコだけが知っている、私の心の痛み。
おそらくワンコだけが知っている、家族それぞれの痛みがあったにちがいない。

今、これ以上ワンコを苦しめてはならない。
せめて痛みだけは取り払わなくては。

おそろしい宣告を受ける覚悟で胸が潰れ、震える腕でハンドルを握り、ワンコ病院へ。

休日だが運よくワンコが大好きな美人先生がいてくださった。
この美人先生は、むやみと検査はされないが、科学的検査と同じほどの精度で、的確な診断をしてくださるので、ワンコともども心から信頼してきた。
その美人先生は一目患部を見るなり・・・・・

「口内炎です、塗り薬をぬっておきましょう」と。

あぁーーーーーーーーーー良かった、胸を撫で下ろす、私。

いや、口内炎だからといえ、良くはないのだ。

また体重が少し減っていた。

口内炎で口から栄養が摂りにくい日が続けば、さらに減る。
それは、そのまま生命の危機にも繋がりかねない。

当分の間、点滴に通うことになったが、最悪の事態を想定してのたうち回っていた我が家は、ほんの少しだけホッとした空気に包まれている。

今、初等科卒業文集で「生き物の命」について書かれた敬宮様の優しさを思い出しながら、「愛子の海の上の診療所」を読み返している。(参照、「受け継がれる命を育む御心」 「海の如く広い愛と創造の翼」

敬宮様が生き物を手当てされたならば、ワンコの美人先生のように、患ワンコから全幅の信頼をおかれる素晴らしい獣医さんになられることだろう、そんなことを思い浮かべる余裕ができたことが、今は有難い。