どうしてこんなに楽しいんだろう!

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「愚」という貴い徳

2013年04月19日 20時12分46秒 | Weblog
NHK BSプレミアム「井上陽水のマニアックカタログ」
番組中、陽水が谷崎潤一郎の小説「刺青」(しせい)の冒頭文を取り上げ感想を語る。

「それはまだ人々が「愚」(おろか)という貴い徳を持っていて、
世の中が今のように軋み合わない時分であった。」


この作品が発表されたのは1910年(明治43年)というから
今から約100年前・・その時代からすでに"軋んでいた"のか?!

いや、その時代がというよりも
常に人の世というものは、喜怒哀楽、愛情と憎悪というものが入り乱れ、
軋み合いながら成立しているものなのかもしれない。

それにしても「愚という貴い徳」という表現は新鮮だ。
愚かさを許す社会・・いや、許すというよりも尊敬の念すら感じる。
愚かさを持つということは、人が機械ではなく人間であることの
重要な条件かもしれないと思った。


同じく明治の小説家 幸田露伴は次のように言っている。

「今の人ややもすれば益の道可なるを知って、損の道の妙を知らず。」

もちろん、この"今の人"とは明治の人々のことだ。

人生において、何度も遭遇する分岐点。
誰しも自分を利する道、さらに言えば楽な道を選択しがちだ。

露伴はそのような人生を、
深みのない、ある意味残念な生き方だと警鐘を鳴らしている。

100年前も今も、人の世の生き様は変わっていないということか・・・

"損の道の妙"・・これもまた、とても深い言葉だ。









コメント (2)
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