田舎主婦の日日是好日

今日も生きてることに感謝かな。

尾形光琳の弟 『乾山晩愁』 葉室麟

2020年03月18日 | 趣味・本

葉室麟さんの、

乾山晩秋(けんざんばんしゅう)と言う本。

 

先日購入した『洛中洛外をゆく』で知り、

一気に読んだ。

(この文庫には5編収められている)

2005年歴史文学賞受賞作品でありデビュー作品でもある。

 

尾形光琳の弟、

尾形乾山をモデルにした小説であるが、

兄である尾形光琳は、

知らない人はいないだろうというほどの絵師だ。

 

知人にこんな「紅白梅図」のテレフォンカードを頂いてあるのだが、

なかなか本物を見られないでいる(MOA美術館蔵)。

 

「燕子花図」は昔、東京で見ることが出来た(根津美術館蔵)。

こうした華やかな作品を残した光琳に対して、

陶工であった弟乾山は影が薄い。

(上掲本の表紙絵は乾山筆)

 

だが5歳年下の乾山は、

華々しく活躍する兄を尊敬しながら、

陶法を仁清に学び地道に生きたという。

 

対照的な兄弟だが命日が兄光琳と同じという奇遇。

そんな乾山の辞世の句は、

「うきこともうれしき折も過ぎぬればただあけくれの夢ばかりなる」

 

そして、

この文庫本のあとがきに、

葉室麟さんのこんな言葉がある。

 

尾形乾山を主人公とした小説を書きたいと思った。

兄、尾形光琳のはなやかな存在感に比べれば、

弟の乾山は、

はるかにくすんだ印象がある。

そこに魅かれた。

 

光り輝くものだけが、

この世に存在するわけではない。

光があれば、必ず、影がある。

影だけではない。

光りのまわりに、

柔らかな色彩で温かみとふくらみのある存在があって、

光を支えているのだはないだろうか。

 

先に購入した、

『洛中洛外をゆく』

『古都再見』

葉室作品にどっぷり漬かっている。

そしてまた注文した。

 

葉室麟『いのちなりけり』

 

 

コメント (18)
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